高校では微分可能な関数(多項式、三角関数、指数関数など)ばかりを扱うため、「連続な関数は微分できる」と感じがちです。
しかし大学数学では、連続だが微分できない関数が豊富に存在することが明らかになります。
身近な例として $f(x) = |x|$ は $x = 0$ で連続ですが微分できません。
さらに極端な例として、至る所連続だが至る所微分不可能な関数(ワイエルシュトラス関数)すら構成できます。
この記事では、微分可能性の厳密な定義から出発し、「微分可能ならば連続だが、逆は偽である」という事実を具体例と証明の両面から理解します。
そして、滑らかさの度合いを表す $C^0 \supset C^1 \supset C^2 \supset \cdots$ という階層構造にたどり着き、微分可能性が連続性よりどれだけ厳しい条件であるかを把握します。
高校の数学IIでは、多項式関数に対して微分係数と導関数を次のように定義します。
関数 $f(x)$ の $x = a$ における微分係数 $f'(a)$ は、
$$f'(a) = \lim_{h \to 0} \frac{f(a+h) - f(a)}{h}$$
で定義されます。これは、曲線 $y = f(x)$ 上の点 $(a, f(a))$ における接線の傾きを表します。
数学IIIに進むと、対象が三角関数・指数関数・対数関数・合成関数にまで広がり、さまざまな微分の公式を学びます。たとえば、
高校で扱う関数はすべて、定義域のほぼ全体で微分できるものばかりです。 グラフを描くと滑らかな曲線になり、どの点でも接線を引くことができます。 そのため、「連続な関数は微分できるもの」という印象を持つのは自然なことです。
しかし、この印象は正しいのでしょうか。次のセクションでは、大学数学の視点からこの問いに正面から向き合います。
結論を先に述べます。微分可能ならば連続ですが、連続だからといって微分可能とは限りません。 つまり、「微分可能 $\Rightarrow$ 連続」は真ですが、「連続 $\Rightarrow$ 微分可能」は偽です。
この記事を通じて、以下のことが理解できます。
では、「微分可能」とは何かを厳密に定義するところから始めます。
なぜ厳密な定義が必要なのでしょうか。高校で扱う関数では「接線が引ける」ことが自明でしたが、大学では「接線が引けない」関数も考えます。 そのとき、「微分できる」「微分できない」を客観的に判定する基準が必要になります。 その基準を与えるのが、次の定義です。
関数 $f(x)$ が $x = a$ で微分可能であるとは、次の極限が有限な値として存在することです。
$$f'(a) = \lim_{h \to 0} \frac{f(a+h) - f(a)}{h}$$
ここで「$h \to 0$ の極限が存在する」とは、$h$ が正の側から $0$ に近づいたときの極限と、負の側から $0$ に近づいたときの極限が一致することを意味します。
この定義のポイントは、$h \to 0$ の極限が両側から一致して存在しなければならない、ということです。この点を明確にするために、左右それぞれの極限に名前をつけます。
右微分係数($h$ を正の側から $0$ に近づける):
$$f'_+(a) = \lim_{h \to +0} \frac{f(a+h) - f(a)}{h}$$
左微分係数($h$ を負の側から $0$ に近づける):
$$f'_-(a) = \lim_{h \to -0} \frac{f(a+h) - f(a)}{h}$$
$f(x)$ が $x = a$ で微分可能であるための必要十分条件は、$f'_+(a)$ と $f'_-(a)$ がともに有限な値として存在し、かつ $f'_+(a) = f'_-(a)$ が成り立つことです。
直感的には、右微分係数は「右側から接線を引いたときの傾き」、左微分係数は「左側から接線を引いたときの傾き」です。 微分可能であるためには、この二つの傾きが一致して、一本の接線に定まらなければなりません。
ここで定義を使って、セクション2で述べた「微分可能 $\Rightarrow$ 連続」を証明します。 この事実は直感的には明らかに思えますが、定義から論理的に導くことで、微分可能性の定義が連続性を「含んでいる」ことがはっきりします。
示すこと:$f(x)$ が $x = a$ で微分可能ならば、$f(x)$ は $x = a$ で連続である。 つまり $\displaystyle\lim_{x \to a} f(x) = f(a)$ を示します。
証明の方針:$f(x) - f(a)$ を、微分係数の定義に現れる差分商と $(x - a)$ の積に分解し、$x \to a$ で $0$ に収束することを示します。
$x \neq a$ のとき、恒等的に次が成り立ちます。
$$f(x) - f(a) = \frac{f(x) - f(a)}{x - a} \cdot (x - a)$$
右辺は単に分母と $(x-a)$ を掛けただけなので、これは常に成り立つ等式です。
ここで $x \to a$ の極限をとります。$f(x)$ は $x = a$ で微分可能なので、
$$\lim_{x \to a} \frac{f(x) - f(a)}{x - a} = f'(a)$$
が有限の値として存在します。また、
$$\lim_{x \to a} (x - a) = 0$$
です。極限の積の法則(有限な極限値どうしの積は、極限値の積に等しい)により、
$$\lim_{x \to a} [f(x) - f(a)] = f'(a) \cdot 0 = 0$$
したがって $\displaystyle\lim_{x \to a} f(x) = f(a)$ が成り立ち、$f(x)$ は $x = a$ で連続です。 $\square$
この証明の核心は、差分商 $\dfrac{f(x)-f(a)}{x-a}$ が有限の極限値を持つ(=微分可能)ことと、$(x-a) \to 0$ を掛け合わせると $f(x) - f(a) \to 0$(=連続)が導かれる、という構造です。 微分可能性の定義の中に、連続性が自然に組み込まれていることが見えます。
では、逆は成り立つのでしょうか。次のセクションで、連続だが微分不可能な具体例を見ていきます。
最も身近な例は、絶対値関数 $f(x) = |x|$ です。この関数が $x = 0$ で連続だが微分不可能であることを、セクション3で導入した左微分係数と右微分係数を使って確認します。
まず、$f(x) = |x|$ は $x = 0$ で連続です。$\displaystyle\lim_{x \to 0} |x| = 0 = f(0)$ だからです。
次に、右微分係数を計算します。$h > 0$ のとき $|h| = h$ なので、
$$f'_+(0) = \lim_{h \to +0} \frac{|0+h| - |0|}{h} = \lim_{h \to +0} \frac{h}{h} = 1$$
左微分係数を計算します。$h < 0$ のとき $|h| = -h$ なので、
$$f'_-(0) = \lim_{h \to -0} \frac{|0+h| - |0|}{h} = \lim_{h \to -0} \frac{-h}{h} = -1$$
$f'_+(0) = 1$ と $f'_-(0) = -1$ は一致しないので、$f(x) = |x|$ は $x = 0$ で微分不可能です。
グラフで考えると、$y = |x|$ は $x = 0$ でV字型に折れ曲がっています。 右側からの傾きは $+1$、左側からの傾きは $-1$ であり、一本の接線を定めることができません。 このように、グラフが折れ曲がっている点を折れ点(角点)と呼びます。
誤:グラフが途切れていない(連続な)関数は、どこでも接線が引けるはずだ
正:グラフがつながっていること(連続性)と、そこに一本の接線が定まること(微分可能性)は別の条件です。$f(x) = |x|$ のように、つながっているが折れ曲がっている点では接線が定まりません
折れ点とは異なるタイプの微分不可能点も存在します。$f(x) = x^{1/3}$($x$ の3乗根)を考えます。
この関数は $x = 0$ で連続です($\displaystyle\lim_{x \to 0} x^{1/3} = 0 = f(0)$)。微分係数の極限を計算すると、
$$\lim_{h \to 0} \frac{(0+h)^{1/3} - 0}{h} = \lim_{h \to 0} \frac{h^{1/3}}{h} = \lim_{h \to 0} \frac{1}{h^{2/3}} = +\infty$$
極限が $+\infty$ に発散するので、微分係数は有限の値として存在しません。したがって $f(x) = x^{1/3}$ は $x = 0$ で微分不可能です。
この場合、グラフは折れ曲がっているのではなく、$x = 0$ で接線が垂直(傾き無限大)になっています。このような点を尖点(カスプ)と呼びます。
ここまでの例をまとめると、連続だが微分不可能な点には主に次の2つのタイプがあります。
| タイプ | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 折れ点(角点) | 左微分係数と右微分係数がともに有限だが、一致しない | $|x|$ の $x = 0$ |
| 尖点(カスプ) | 差分商の極限が $\pm\infty$ に発散する(接線が垂直になる) | $x^{1/3}$ の $x = 0$ |
いずれのタイプでも、「連続だが微分不可能」という事態が起きています。 しかし、これらはグラフの中で「1点だけ」特殊な場所がある例にすぎません。 微分不可能な点が1つや2つではなく、すべての点で微分不可能ということがありえるのでしょうか。次のセクションでは、この驚くべき問いに答えます。
19世紀の数学者たちの多くは、「連続関数は、例外的な点を除けば微分可能だろう」と考えていました。 セクション4で見た $|x|$ のような例はあっても、それは1点だけの例外にすぎないと思われていたのです。
この直感を完全に覆したのが、1872年にカール・ワイエルシュトラスが発表した関数です。 彼は、すべての実数 $x$ で連続だが、どの点でも微分不可能な関数を具体的に構成して見せました。
$0 < a < 1$、$b$ を奇数で $ab > 1 + \dfrac{3}{2}\pi$ を満たすものとします。このとき、
$$W(x) = \sum_{n=0}^{\infty} a^n \cos(b^n \pi x)$$
は、すべての実数 $x$ で連続ですが、どの点 $x$ でも微分不可能です。
たとえば $a = 1/2$、$b = 13$ とすると条件を満たします。
この式は、振幅が $a^n$ で減少し周波数が $b^n$ で増大するコサイン波を無限に足し合わせたものです。 なぜこの関数が「至る所連続だが至る所微分不可能」になるのか、その仕組みを見ていきます。
各項 $a^n \cos(b^n \pi x)$ は連続関数です。また、$|\cos(b^n \pi x)| \leq 1$ なので、各項の絶対値は $a^n$ 以下です。 $0 < a < 1$ より、$\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty} a^n = \frac{1}{1-a}$ は収束します。
関数列の各項の絶対値が収束する級数で抑えられるとき、これをワイエルシュトラスの優級数判定法と呼びます。 この判定法により、級数 $W(x)$ は一様収束することが保証されます。 一様収束する連続関数の級数は連続関数になる(連続性が保たれる)という定理があるため、$W(x)$ は至る所連続です。
関数列 $f_n(x)$ の級数が各点収束するとは、各 $x$ を固定したとき有限の値に収束することです。 一方、一様収束とは、収束の速さが $x$ によらず一様に抑えられることを指します。 各点収束だけでは連続性が保たれない場合がありますが、一様収束ならば連続性が保たれます。 ワイエルシュトラスの優級数判定法は一様収束を保証する便利な十分条件です。
直感的な説明をします。$W(x)$ は、低周波のコサイン波に、より高周波のコサイン波を次々と足し合わせたものです。
微分係数を調べるには、差分商 $\dfrac{W(x+h) - W(x)}{h}$ の $h \to 0$ の極限を考えます。 $h$ を小さくしていくと、低い周波数の成分($b^n$ が小さいもの)は滑らかに変化するため差分商は安定します。 しかし、周波数 $b^n$ の成分に着目すると、$h$ を $b^{-n}$ 程度まで小さくしたとき、この成分のコサインの変動が差分商に大きな影響を与えます。
条件 $ab > 1 + \dfrac{3}{2}\pi$ が効いてくるのはここです。この条件は「周波数の増大速度 $b$ が、振幅の減衰速度 $1/a$ に比べて十分速い」ことを意味します。 つまり、$n$ 番目の項の振幅は $a^n$ で小さくなりますが、その振動の激しさ(微分したときの寄与)は $a^n \cdot b^n = (ab)^n$ のオーダーで、$ab > 1$ なので $n \to \infty$ で発散します。
その結果、どの点 $x$ でも、$h$ を小さくするたびに差分商が激しく振動し、極限値が定まりません。 これが「至る所微分不可能」になる仕組みです。
ワイエルシュトラス関数では、$n$ が大きくなるにつれて振幅は $a^n \to 0$ と減衰する一方、振動の周波数は $b^n \to \infty$ と増大します。 関数の値としては各項が小さくなるので級数は収束し、連続性が保たれます。 しかし微分(傾きの変化)に着目すると、各項の寄与は $(ab)^n$ のオーダーで増大し、差分商が発散します。 「連続になれるが微分できない」という現象は、振幅と振動の増大速度の競争の結果です。
$a = 1/2$、$b = 13$ の場合を考えます。$ab = 13/2 = 6.5$ であり、$1 + \dfrac{3}{2}\pi \approx 5.71$ を満たしています。
$W(x)$ の最初の数項を $x = 0$ で計算してみます。
$$W(0) = \sum_{n=0}^{\infty} \left(\frac{1}{2}\right)^n \cos(0) = \sum_{n=0}^{\infty} \left(\frac{1}{2}\right)^n = \frac{1}{1 - 1/2} = 2$$
$x = 0$ では各項の $\cos$ がすべて $1$ なので、等比級数になります。 関数値は問題なく計算できます。しかし、$x = 0$ のごく近くの値 $x = 0.001$ を代入すると、高い周波数の項(たとえば $n = 5$ では $b^5 = 13^5 = 371293$ で、$\cos(371293 \times 0.001\pi) = \cos(371.293\pi)$ と高速で振動する項)が関与し、差分商の挙動が安定しなくなります。
セクション4では、微分不可能な点が「1点」だけの例を見ました。ワイエルシュトラス関数は、その極端な一般化であり、微分不可能な点が「すべての点」に広がっています。 このことは、「連続 $\Rightarrow$ 微分可能」がどれほど成り立たないかを鮮やかに示しています。 では、この理解を踏まえて、微分可能性と連続性の関係をより広い枠組みで整理しましょう。
セクション3で「微分可能 $\Rightarrow$ 連続」を証明しましたが、微分可能な関数の導関数 $f'(x)$ は必ずしも連続ではありません。 つまり、「$f$ が微分可能」と「$f'$ が連続」は別の条件です。 この区別を体系化するのが、$C^k$ という記法です。
$k$ を非負整数とします。関数 $f$ が$C^k$ クラスであるとは、$f$ が $k$ 回微分可能で、$k$ 階導関数 $f^{(k)}$ が連続であることです。
これらの間に包含関係があります。
$$C^\infty \subset \cdots \subset C^2 \subset C^1 \subset C^0$$
右に行くほど条件がゆるく、含まれる関数の範囲が広くなります。
この記事で学んだことを $C^k$ の言葉で整理すると、次のようになります。
高校で扱う関数(多項式、三角関数、指数関数、対数関数とそれらの合成)は、定義域内でほとんどすべて $C^\infty$ クラスです。 高校で微分可能性を意識する必要がなかったのは、最も滑らかな関数だけを扱っていたからなのです。
セクション3とセクション4の結果を使うと、$f(x)$ が $x = a$ で微分可能かどうかを判定する実用的な手順が得られます。
この手順のステップ1で「連続でなければ微分不可能」と判定できるのは、セクション3で証明した「微分可能 $\Rightarrow$ 連続」の対偶(「連続でない $\Rightarrow$ 微分不可能」)を使っています。
上の手順を使って、次の関数が $x = 0$ で微分可能かどうかを判定します。
$$g(x) = \begin{cases} x^2 \sin\dfrac{1}{x} & (x \neq 0) \\ 0 & (x = 0) \end{cases}$$
ステップ1(連続性の確認):$x \neq 0$ のとき $|g(x)| = |x^2 \sin(1/x)| \leq x^2$ であり、$x^2 \to 0$ ($x \to 0$) なので、はさみうちの原理により $\displaystyle\lim_{x \to 0} g(x) = 0 = g(0)$ です。よって $g$ は $x = 0$ で連続です。
ステップ2, 3(差分商の極限):
$$\lim_{h \to 0} \frac{g(h) - g(0)}{h} = \lim_{h \to 0} \frac{h^2 \sin(1/h)}{h} = \lim_{h \to 0} h \sin\frac{1}{h}$$
$|h \sin(1/h)| \leq |h| \to 0$ なので、はさみうちの原理により極限は $0$ です。
ステップ4(結論):左右からの極限がともに $0$ で一致するので、$g(x)$ は $x = 0$ で微分可能であり、$g'(0) = 0$ です。
$g(x)$ は $x = 0$ で微分可能ですが、$x \neq 0$ での導関数は $g'(x) = 2x\sin(1/x) - \cos(1/x)$ です。 $x \to 0$ のとき $\cos(1/x)$ は振動して極限を持たないので、$g'(x)$ は $x = 0$ で連続ではありません。 したがって $g$ は微分可能ですが $C^1$ ではありません。 これは「微分可能」と「$C^1$」の間にも隙間があることを示す例です。
物理学では、位置 $x(t)$ を時刻 $t$ で微分すると速度 $v(t) = x'(t)$、さらに微分すると加速度 $a(t) = x''(t)$ が得られます。 微分可能性の階層を物理の言葉に翻訳すると、次のようになります。
| 数学 | 物理的意味 |
|---|---|
| $x(t)$ が $C^0$(連続) | 物体が瞬間移動しない(位置が連続的に変化する) |
| $x(t)$ が $C^1$ | 速度 $v(t) = x'(t)$ が連続的に変化する(急にジャンプしない) |
| $x(t)$ が $C^2$ | 加速度 $a(t) = x''(t)$ が連続的に変化する |
ニュートンの運動方程式 $F = ma$ は加速度 $a(t)$ の存在を前提としているので、位置 $x(t)$ は少なくとも2回微分可能でなければなりません。 $C^k$ の階層は、物理現象を記述する上でどの程度の「滑らかさ」を要求するかを明確にする言語でもあるのです。
Q1. 「微分可能ならば連続」の証明で用いた核心的なアイデアを、1文で説明してください。
Q2. $f(x) = |x|$ が $x = 0$ で微分不可能である理由を、左微分係数と右微分係数を用いて説明してください。
Q3. ワイエルシュトラス関数が至る所連続である理由を、「一様収束」という言葉を使って説明してください。
Q4. $C^1$ と「微分可能」の違いを述べてください。$C^1$ に属さないが微分可能な関数の例を1つ挙げてください。
次の関数が $x = 1$ で微分可能かどうかを判定してください。
$$f(x) = |x - 1|$$
微分不可能です。
右微分係数:$f'_+(1) = \displaystyle\lim_{h \to +0} \frac{|h|}{h} = 1$
左微分係数:$f'_-(1) = \displaystyle\lim_{h \to -0} \frac{|h|}{h} = -1$
$f'_+(1) = 1 \neq -1 = f'_-(1)$ なので、$f(x) = |x-1|$ は $x = 1$ で微分不可能です。これは $f(x) = |x|$ を $x$ 軸方向に $1$ だけ平行移動したもので、折れ点が $x = 1$ に移っています。
次の関数を $C^0$, $C^1$, $C^\infty$ のいずれに属するか分類してください(最も条件の厳しいクラスを答えてください)。
(a) $f(x) = x^3 + 2x$
(b) $f(x) = |x|$
(c) $f(x) = e^x$
(a) $C^\infty$ ── 多項式は何回でも微分可能で、すべての導関数が連続です。
(b) $C^0$($C^1$ ではない)── $x = 0$ で連続ですが微分不可能なので、$C^1$ には属しません。
(c) $C^\infty$ ── $e^x$ は何回微分しても $e^x$ であり、連続です。
次の関数が $x = 0$ で微分可能かどうかを判定し、微分可能ならば $f'(0)$ を求めてください。
$$f(x) = \begin{cases} x^2 & (x \geq 0) \\ -x^2 & (x < 0) \end{cases}$$
微分可能であり、$f'(0) = 0$ です。
まず連続性を確認します。$\displaystyle\lim_{x \to +0} x^2 = 0$、$\displaystyle\lim_{x \to -0} (-x^2) = 0$ であり、$f(0) = 0$ なので連続です。
右微分係数:$f'_+(0) = \displaystyle\lim_{h \to +0} \frac{h^2 - 0}{h} = \lim_{h \to +0} h = 0$
左微分係数:$f'_-(0) = \displaystyle\lim_{h \to -0} \frac{-h^2 - 0}{h} = \lim_{h \to -0} (-h) = 0$
$f'_+(0) = f'_-(0) = 0$ なので微分可能であり、$f'(0) = 0$ です。この関数は $x = 0$ で滑らかにつながっています($f(x) = x|x|$ とも書けます)。
$f(x) = x^{2/3}$ が $x = 0$ で連続だが微分不可能であることを示してください。また、これは折れ点と尖点のどちらに分類されますか。
連続性:$\displaystyle\lim_{x \to 0} x^{2/3} = 0 = f(0)$ なので連続です。
微分不可能性:差分商を計算します。
$$\lim_{h \to 0} \frac{h^{2/3} - 0}{h} = \lim_{h \to 0} \frac{1}{h^{1/3}}$$
$h \to +0$ のとき $1/h^{1/3} \to +\infty$、$h \to -0$ のとき $1/h^{1/3} \to -\infty$ です。
極限が有限の値として存在しないので、$x = 0$ で微分不可能です。
分類:尖点(カスプ)に分類されます。グラフは $x = 0$ で上に凸の尖った形をしており、接線の傾きが $\pm\infty$ に発散しています。
次の関数が $x = 0$ で微分可能かどうかを判定してください。微分可能ならば $f'(0)$ を求め、さらに $f$ が $C^1$ クラスかどうかも判定してください。
$$f(x) = \begin{cases} x^3 \sin\dfrac{1}{x} & (x \neq 0) \\ 0 & (x = 0) \end{cases}$$
微分可能であり、$f'(0) = 0$ です。さらに $f$ は $C^1$ クラスです。
連続性:$|f(x)| = |x^3 \sin(1/x)| \leq |x|^3 \to 0$ ($x \to 0$) より、$f$ は $x = 0$ で連続です。
微分可能性:
$$f'(0) = \lim_{h \to 0} \frac{h^3 \sin(1/h)}{h} = \lim_{h \to 0} h^2 \sin\frac{1}{h} = 0$$
$|h^2 \sin(1/h)| \leq h^2 \to 0$ より、はさみうちの原理から極限は $0$ です。よって $f'(0) = 0$ です。
$C^1$ の判定:$x \neq 0$ では積の微分法と合成関数の微分法により、
$$f'(x) = 3x^2 \sin\frac{1}{x} - x\cos\frac{1}{x}$$
$x \to 0$ のとき、$3x^2 \sin(1/x) \to 0$(はさみうちの原理)であり、$x\cos(1/x) \to 0$(同様にはさみうちの原理)です。 したがって $\displaystyle\lim_{x \to 0} f'(x) = 0 = f'(0)$ となり、$f'$ は $x = 0$ で連続です。 $x \neq 0$ では $f'$ は明らかに連続なので、$f$ は $C^1$ クラスです。
セクション6の $g(x) = x^2 \sin(1/x)$ との比較がポイントです。$x^2$ が $x^3$ になったことで、導関数にも $x$ が1つ多くかかり、$\cos(1/x)$ の振動が抑え込まれて連続性が保たれています。