前記事では $f'(x)$ の符号変化(第1次導関数テスト)で極値を判定しました。本記事では、第2次導関数 $f''(x)$ を用いたもう一つの判定法を学びます。$f'(a) = 0$ かつ $f''(a) \neq 0$ のとき、$f''(a)$ の符号だけで極大・極小を判定できるため、計算の手間が減ることがあります。ただし $f''(a) = 0$ の場合は判定不能となる点に注意が必要です。
$f'(a) = 0$ を満たす臨界点 $x = a$ において、$f''(a)$ の値を調べるだけで極大・極小を判定できます。
$f(x)$ が $x = a$ の近くで2回微分可能で、$f'(a) = 0$ とする。このとき:
(1) $f''(a) < 0$ ならば、$f(a)$ は極大値
(2) $f''(a) > 0$ ならば、$f(a)$ は極小値
(3) $f''(a) = 0$ ならば、この方法では判定できない
$f'(a) = 0$ かつ $f''(a) > 0$ とする。$f''(a) > 0$ の定義より:
$$f''(a) = \lim_{h \to 0} \frac{f'(a+h) - f'(a)}{h} = \lim_{h \to 0} \frac{f'(a+h)}{h} > 0$$
$h \to 0$ でこの極限が正なので、十分小さい $|h|$ に対して $\dfrac{f'(a+h)}{h} > 0$ が成り立つ。
$h < 0$ のとき $f'(a+h) < 0$(分子と分母が異符号)、$h > 0$ のとき $f'(a+h) > 0$(分子と分母が同符号)。
すなわち $x = a$ の前後で $f'(x)$ は負 $\to$ 正に変化するので、第1次導関数テストより $f(a)$ は極小値。 $\square$
$f''(a) > 0$(下に凸)$\to$ グラフがお椀型 $\to$ 極小
$f''(a) < 0$(上に凸)$\to$ グラフが山型 $\to$ 極大
$f''$ の符号と「凸」の方向を結びつけて覚えると間違えにくくなります。
第2次導関数テストはなぜ成り立つのでしょうか。$f''(x)$ の意味から直観的に理解しましょう。
$f'(a) = 0$ とは、$x = a$ での接線が水平であることを意味します。ここで $f''(a) > 0$ ならば、$f'(x)$ は $x = a$ の近くで増加しています。$f'(a) = 0$ から増加するということは:
つまり、$f(x)$ は $x = a$ で減少から増加に転じるので、極小値をとるのです。
$f''(a) > 0$ は「$f'(x)$ が $x = a$ 付近で増加中」ということです。$f'(a) = 0$ を通過して負から正に変化するので、極小値になります。
$f''(a) < 0$ は「$f'(x)$ が $x = a$ 付近で減少中」ということです。$f'(a) = 0$ を通過して正から負に変化するので、極大値になります。
$f''(a) > 0$ のとき曲線は下に凸(concave up)、$f''(a) < 0$ のとき曲線は上に凸(concave down)です。水平な接線のところで下に凸ならお椀の底(極小)、上に凸なら山の頂上(極大)という直観に一致します。凸性については次記事で詳しく学びます。
$f'(x) = 3x^2 - 3 = 3(x+1)(x-1)$。$f'(x) = 0$ のとき $x = -1, 1$。
$f''(x) = 6x$ より:
$f''(-1) = -6 < 0$ $\Rightarrow$ $x = -1$ で極大値 $f(-1) = -1+3+1 = 3$
$f''(1) = 6 > 0$ $\Rightarrow$ $x = 1$ で極小値 $f(1) = 1-3+1 = -1$
$f'(x) = e^x - e$。$f'(x) = 0$ のとき $e^x = e$、すなわち $x = 1$。
$f''(x) = e^x$ より:
$f''(1) = e > 0$ $\Rightarrow$ $x = 1$ で極小値 $f(1) = e - e = 0$
$f'(x) = \cos x + \cos 2x = \cos x + 2\cos^2 x - 1 = (2\cos x - 1)(\cos x + 1)$
$f'(x) = 0$ のとき:$\cos x = \dfrac{1}{2}$ すなわち $x = \dfrac{\pi}{3}, \dfrac{5\pi}{3}$、または $\cos x = -1$ すなわち $x = \pi$。
$f''(x) = -\sin x - 2\sin 2x = -\sin x - 4\sin x \cos x = -\sin x(1 + 4\cos x)$
$x = \dfrac{\pi}{3}$:$f''\!\left(\dfrac{\pi}{3}\right) = -\dfrac{\sqrt{3}}{2}(1+2) = -\dfrac{3\sqrt{3}}{2} < 0$ $\Rightarrow$ 極大値
$f\!\left(\dfrac{\pi}{3}\right) = \dfrac{\sqrt{3}}{2} + \dfrac{1}{2} \cdot \dfrac{\sqrt{3}}{2} = \dfrac{3\sqrt{3}}{4}$
$x = \pi$:$f''(\pi) = -0 \cdot (1-4) = 0$ $\Rightarrow$ 判定不能(第1次テストが必要)
$x = \pi$ の前後で $f'(x)$ の符号を調べると、$f'(x)$ は負 $\to$ 負で符号変化しない。よって $x = \pi$ は極値ではない。
$x = \dfrac{5\pi}{3}$:$f''\!\left(\dfrac{5\pi}{3}\right) = \dfrac{\sqrt{3}}{2}(1+2) = \dfrac{3\sqrt{3}}{2} > 0$ $\Rightarrow$ 極小値
$f\!\left(\dfrac{5\pi}{3}\right) = -\dfrac{\sqrt{3}}{2} + \dfrac{1}{2} \cdot \left(-\dfrac{\sqrt{3}}{2}\right) = -\dfrac{3\sqrt{3}}{4}$
誤:$f''(a) = 0$ なので極値ではない
正:$f''(a) = 0$ は「この方法では判定できない」という意味。第1次導関数テスト(符号変化の確認)に切り替える
例題3の $x = \pi$ のように、実際に極値でない場合もあれば、$f(x) = x^4$ の $x = 0$ のように極小値をとる場合もあります。
第2次導関数テストが使えない場合を具体例で理解しましょう。
$f'(x) = 4x^3$, $f''(x) = 12x^2$
$f'(0) = 0$, $f''(0) = 0$ $\Rightarrow$ 第2次導関数テストでは判定不能
しかし $f'(x) = 4x^3$ は $x = 0$ の前後で負 $\to$ 正に変化するので、$x = 0$ で極小値 $0$ をとる。
$f'(x) = 3x^2$, $f''(x) = 6x$
$f'(0) = 0$, $f''(0) = 0$ $\Rightarrow$ 判定不能
$f'(x) = 3x^2 \geq 0$ で $x = 0$ の前後で符号変化なし。$x = 0$ は極値ではない。
$f'(a) = 0$ かつ $f''(a) = 0$ の場合、極大にも極小にも、あるいは極値でないこともあります。必ず第1次導関数テスト($f'(x)$ の符号変化)で判定してください。
なお、高階導関数を用いた一般的な判定法もあります。$f'(a) = f''(a) = \cdots = f^{(n-1)}(a) = 0$, $f^{(n)}(a) \neq 0$ のとき、$n$ が偶数なら極値をとり($f^{(n)}(a) > 0$ で極小、$f^{(n)}(a) < 0$ で極大)、$n$ が奇数なら極値をとりません。
$f'(0) = f''(0) = f'''(0) = f^{(4)}(0) = f^{(5)}(0) = 0$, $f^{(6)}(0) = 720 > 0$
$n = 6$(偶数)かつ $f^{(6)}(0) > 0$ なので、$x = 0$ で極小値 $0$ をとる。
2つの判定法にはそれぞれ長所と短所があります。状況に応じて適切に使い分けましょう。
| 第1次導関数テスト | 第2次導関数テスト | |
|---|---|---|
| 方法 | $f'(x)$ の符号変化を調べる | $f''(a)$ の値を計算する |
| 長所 | 常に判定可能。増減表で全体像がわかる | 1点の値の計算で済む。手早い |
| 短所 | 各区間の符号調べがやや手間 | $f''(a) = 0$ のとき判定不能 |
| 適する場面 | グラフの概形を描くとき。確実性重視 | $f''$ が簡単に計算できるとき。速度重視 |
入試では増減表を用いた第1次テストが最も標準的です。グラフの概形を描く問題では増減表が必須なので、第1次テストをベースにしましょう。
第2次テストは「極値をもつ条件を求める」問題や、臨界点の個数が多く個別に判定したいときに有効です。
いずれの方法でも、答案に判定の根拠を明記することが大切です。
第1次テスト:
$f'(x) = \dfrac{(1+x^2) - x \cdot 2x}{(1+x^2)^2} = \dfrac{1-x^2}{(1+x^2)^2}$
$f'(x) = 0$ のとき $x = \pm 1$。$(1+x^2)^2 > 0$ なので $f'(x)$ の符号は $1-x^2$ で決まる。
| $x$ | $\cdots$ | $-1$ | $\cdots$ | $1$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $f'(x)$ | $-$ | $0$ | $+$ | $0$ | $-$ |
| $f(x)$ | $\searrow$ | $-\dfrac{1}{2}$ | $\nearrow$ | $\dfrac{1}{2}$ | $\searrow$ |
$x = -1$ で極小値 $-\dfrac{1}{2}$、$x = 1$ で極大値 $\dfrac{1}{2}$。
第2次テスト:
$f''(x) = \dfrac{-2x(1+x^2)^2 - (1-x^2) \cdot 2(1+x^2) \cdot 2x}{(1+x^2)^4} = \dfrac{2x(x^2-3)}{(1+x^2)^3}$
$f''(-1) = \dfrac{2(-1)(1-3)}{(2)^3} = \dfrac{4}{8} = \dfrac{1}{2} > 0$ $\Rightarrow$ 極小値。$f''(1) = \dfrac{2(1)(1-3)}{8} = -\dfrac{1}{2} < 0$ $\Rightarrow$ 極大値。
この問題では $f''$ の計算がやや複雑なので、第1次テストの方が効率的です。
誤:$f''(a) > 0$ だから極大(「大きい」と混同)
正:$f''(a) > 0$ は下に凸(お椀型)なので極小値
$f''$ の正負と極大・極小の対応は直観に反しやすいので、「凸の向き」で覚えましょう。
Q1. $f'(a) = 0$, $f''(a) > 0$ のとき、$f(a)$ は極大値か極小値か。
Q2. $f(x) = x^4$ で $f'(0) = 0$, $f''(0) = 0$ のとき、$x = 0$ は極値か。
Q3. $f(x) = e^x - ex$ が極小値をとる $x$ を、第2次導関数テストを用いて求めよ。
Q4. 第2次導関数テストで $f''(a) = 0$ のとき、次に行うべきことは何か。
Q5. 第1次テストと第2次テストの最大の違いは何か。
第2次導関数テストを用いて、$f(x) = x^3 - 12x + 5$ の極値を求めよ。
$f'(x) = 3x^2 - 12 = 3(x+2)(x-2)$。$f'(x) = 0$ のとき $x = -2, 2$。
$f''(x) = 6x$ より:
$f''(-2) = -12 < 0$ $\Rightarrow$ $x = -2$ で極大値 $f(-2) = -8+24+5 = 21$
$f''(2) = 12 > 0$ $\Rightarrow$ $x = 2$ で極小値 $f(2) = 8-24+5 = -11$
$f(x) = x^2 \log x$($x > 0$)の極値を第2次導関数テストで求めよ。
$f'(x) = 2x\log x + x^2 \cdot \dfrac{1}{x} = 2x\log x + x = x(2\log x + 1)$
$x > 0$ なので $f'(x) = 0$ のとき $2\log x + 1 = 0$、$\log x = -\dfrac{1}{2}$、$x = \dfrac{1}{\sqrt{e}} = e^{-1/2}$。
$f''(x) = 2\log x + 1 + 2x \cdot \dfrac{1}{x} = 2\log x + 3$
$f''(e^{-1/2}) = 2 \cdot \left(-\dfrac{1}{2}\right) + 3 = 2 > 0$
$\Rightarrow$ $x = e^{-1/2}$ で極小値 $f(e^{-1/2}) = e^{-1} \cdot \left(-\dfrac{1}{2}\right) = -\dfrac{1}{2e}$
$f''(e^{-1/2}) = 2 > 0$ なので第2次テストが適用でき、確かに極小値と判定できます。
$f(x) = x^5 - 5x^4$ の臨界点をすべて求め、各臨界点で極値をとるか判定せよ。
$f'(x) = 5x^4 - 20x^3 = 5x^3(x-4)$。$f'(x) = 0$ のとき $x = 0, 4$。
$f''(x) = 20x^3 - 60x^2 = 20x^2(x-3)$
$x = 4$:$f''(4) = 20 \cdot 16 \cdot 1 = 320 > 0$ $\Rightarrow$ 極小値 $f(4) = 1024 - 1280 = -256$
$x = 0$:$f''(0) = 0$ $\Rightarrow$ 判定不能。第1次テストに切り替える。
$f'(x) = 5x^3(x-4)$:$x < 0$ で $f'(x) > 0$、$0 < x < 4$ で $f'(x) < 0$。
$x = 0$ の前後で正 $\to$ 負なので、$x = 0$ で極大値 $f(0) = 0$。
$a$ を正の定数とする。関数 $f(x) = x^2 e^{-ax}$ の極大値と極小値を求め、極大値を $M(a)$ とおくとき $\displaystyle\lim_{a \to \infty} M(a)$ を求めよ。
$f'(x) = 2xe^{-ax} + x^2 \cdot (-a)e^{-ax} = xe^{-ax}(2-ax)$
$e^{-ax} > 0$ なので $f'(x) = 0$ のとき $x = 0$ または $x = \dfrac{2}{a}$。
$f''(x) = e^{-ax}[(2-ax) + x(-a)] + xe^{-ax}(-a)(2-ax) = e^{-ax}(a^2x^2 - 4ax + 2)$
$f''(0) = e^0 \cdot 2 = 2 > 0$ $\Rightarrow$ $x = 0$ で極小値 $f(0) = 0$
$f''\!\left(\dfrac{2}{a}\right) = e^{-2}(4 - 8 + 2) = -2e^{-2} < 0$ $\Rightarrow$ $x = \dfrac{2}{a}$ で極大値
$M(a) = f\!\left(\dfrac{2}{a}\right) = \dfrac{4}{a^2} \cdot e^{-2} = \dfrac{4}{a^2 e^2}$
$$\lim_{a \to \infty} M(a) = \lim_{a \to \infty} \frac{4}{a^2 e^2} = 0$$
$a$ が大きくなると臨界点 $x = \dfrac{2}{a}$ が原点に近づき、極大値も $0$ に近づきます。$e^{-ax}$ の減衰が強くなるため、$x^2$ の増加を抑え込む効果が大きくなることを反映しています。