「$y = 2x + 3$ で $y = 9$ のとき $x$ はいくつか」── この問いに答えるために、$x = \frac{y - 3}{2}$ と $x$ について解きましたね。この「$x$ と $y$ を入れ替える」操作を一般化したのが逆関数です。逆関数の概念は、関数を「巻き戻す」装置であり、指数関数と対数関数、三角関数と逆三角関数など、数学の至るところに登場します。
関数 $y = f(x)$ は、$x$ を入力すると $y$ を出力する「変換装置」です。では、逆に「$y$ を入力したら $x$ を返す」装置があったら便利ではないでしょうか。それが逆関数です。
日常的な例で考えてみましょう。「摂氏を華氏に変換する関数」$F = \frac{9}{5}C + 32$ があるとき、「華氏を摂氏に戻す関数」$C = \frac{5}{9}(F - 32)$ が逆関数です。元の変換を「巻き戻す」操作にあたります。
関数 $y = f(x)$(定義域 $A$、値域 $B$)が1対1の対応であるとき、$B$ の各要素 $y$ に対して $f(x) = y$ を満たす $A$ の要素 $x$ を対応させる関数を、$f$ の逆関数といい、$f^{-1}$ で表す。
$$y = f(x) \iff x = f^{-1}(y)$$$f$ が $a$ を $b$ に写すなら、$f^{-1}$ は $b$ を $a$ に写します。つまり、$f(a) = b \iff f^{-1}(b) = a$ です。
これは「$f$ で変換してから $f^{-1}$ で変換すると元に戻る」ことを意味します。式で書くと $f^{-1}(f(x)) = x$ かつ $f(f^{-1}(y)) = y$ です。
✕ 誤:$f(x) = 2x$ の逆関数は $f^{-1}(x) = \frac{1}{2x}$
○ 正:$f(x) = 2x$ の逆関数は $f^{-1}(x) = \frac{x}{2}$
$f^{-1}$ の「$-1$」は指数ではなく、「逆」を表す記号です。$\sin^{-1} x$ が $\frac{1}{\sin x}$ でないのと同じです($\frac{1}{\sin x}$ は $\csc x$ と書きます)。
代数学では、$f \circ f^{-1} = f^{-1} \circ f = \mathrm{id}$(恒等関数)を満たす $f^{-1}$ を $f$ の逆元と呼びます。ここで $\circ$ は関数の合成です。これは数の掛け算で $a \times a^{-1} = 1$ となるのと同じ構造です。関数の世界での「掛け算」が合成、「$1$」が恒等関数に対応しています。
逆関数の求め方は、明確な手順が決まっています。
Step 1:$y = f(x)$ を $x$ について解く → $x = g(y)$
Step 2:$x$ と $y$ を入れ替える → $y = g(x)$
Step 3:定義域を確認する(元の関数の値域が逆関数の定義域)
$f(x) = 3x - 2$ の逆関数を求めましょう。
Step 1:$y = 3x - 2$ を $x$ について解くと $x = \frac{y + 2}{3}$
Step 2:$x$ と $y$ を入れ替えて $y = \frac{x + 2}{3}$
Step 3:$f(x)$ の定義域は全実数、値域も全実数なので、$f^{-1}(x) = \frac{x + 2}{3}$ の定義域は全実数。
よって $f^{-1}(x) = \frac{x + 2}{3}$。
$f(x) = x^2$($x \geq 0$)の逆関数を求めましょう。
Step 1:$y = x^2$($x \geq 0$)を $x$ について解くと $x = \sqrt{y}$($x \geq 0$ なので正の平方根)
Step 2:$x$ と $y$ を入れ替えて $y = \sqrt{x}$
Step 3:$f(x)$ の値域は $y \geq 0$ なので、$f^{-1}(x) = \sqrt{x}$ の定義域は $x \geq 0$。
よって $f^{-1}(x) = \sqrt{x}$($x \geq 0$)。
前回の記事で学んだ無理関数 $y = \sqrt{x}$ が登場しました。無理関数は2次関数の逆関数だったのです。
$f(x) = \frac{2x + 1}{x - 3}$($x \neq 3$)の逆関数を求めましょう。
Step 1:$y = \frac{2x + 1}{x - 3}$ より $y(x - 3) = 2x + 1$、$xy - 3y = 2x + 1$、$xy - 2x = 3y + 1$、$x(y - 2) = 3y + 1$、$x = \frac{3y + 1}{y - 2}$
Step 2:$x$ と $y$ を入れ替えて $y = \frac{3x + 1}{x - 2}$
Step 3:$f(x)$ の値域は $y \neq 2$ なので、$f^{-1}(x)$ の定義域は $x \neq 2$。
よって $f^{-1}(x) = \frac{3x + 1}{x - 2}$($x \neq 2$)。
$y = \frac{ax + b}{cx + d}$ の逆関数は $y = \frac{dx - b}{-cx + a} = \frac{-dx + b}{cx - a}$ となり、同じ形の分数関数です。元の関数の係数 $a, b, c, d$ が入れ替わった形になります。これはメビウス変換の逆変換が再びメビウス変換であるという美しい性質の反映です。
$y = \frac{2x+1}{x-3}$ を $x$ について解く過程で $x(y-2) = 3y+1$ としましたが、もし $y = 2$ なら $0 = 7$ となり矛盾します。つまり $y = 2$ は元の関数の値域に含まれません。
このように「$x$ について解けない $y$ の値」が存在する場合、それは値域から除かれる値(=水平漸近線の値)です。
$f(x) = 3x - 2$ と $f^{-1}(x) = \frac{x+2}{3}$ について確認します。
$f^{-1}(f(x)) = f^{-1}(3x - 2) = \frac{(3x - 2) + 2}{3} = \frac{3x}{3} = x$ ✓
$f(f^{-1}(x)) = f\left(\frac{x+2}{3}\right) = 3 \cdot \frac{x+2}{3} - 2 = (x+2) - 2 = x$ ✓
確かに、$f$ で変換してから $f^{-1}$ で戻すと元に戻ります。逆も同様です。
逆関数の定義域・値域は、元の関数のそれと入れ替わります。なぜでしょうか。
$f$ の定義域が $A$、値域が $B$ のとき:
$f^{-1}$ の定義域は $B$(元の関数の値域)
$f^{-1}$ の値域は $A$(元の関数の定義域)
理由は明快です。逆関数は「出力 $y$ を受け取って、それを出力した入力 $x$ を返す」関数です。元の関数で出力になりうる値(値域 $B$)が、逆関数の入力(定義域)になります。同様に、元の関数で入力になりうる値(定義域 $A$)が、逆関数の出力(値域)になります。
具体例を見てみましょう。
| 関数 | 定義域 | 値域 |
|---|---|---|
| $f(x) = x^2$($x \geq 0$) | $x \geq 0$ | $y \geq 0$ |
| $f^{-1}(x) = \sqrt{x}$ | $x \geq 0$ | $y \geq 0$ |
| $f(x) = e^x$ | 全実数 | $y > 0$ |
| $f^{-1}(x) = \ln x$ | $x > 0$ | 全実数 |
| $f(x) = \frac{2x+1}{x-3}$($x \neq 3$) | $x \neq 3$ | $y \neq 2$ |
| $f^{-1}(x) = \frac{3x+1}{x-2}$($x \neq 2$) | $x \neq 2$ | $y \neq 3$ |
それぞれの関数で、定義域と値域が見事に入れ替わっていることがわかります。
✕ 誤:$f(x) = x^2$ の逆関数は $f^{-1}(x) = \sqrt{x}$
○ 正:$f(x) = x^2$($x \geq 0$)の逆関数が $f^{-1}(x) = \sqrt{x}$。定義域の制限 $x \geq 0$ がないと逆関数は存在しない
$y = x^2$(定義域が全実数)では、$y = 4$ に対して $x = 2$ と $x = -2$ の2つの値が対応するため、「1つの出力から1つの入力を決定する」という逆関数の条件を満たしません。定義域を $x \geq 0$ に制限して初めて1対1になります。
指数関数 $y = a^x$ の逆関数が対数関数 $y = \log_a x$ です。$a^x$ は常に正の値をとるので値域は $y > 0$ であり、したがって $\log_a x$ の定義域は $x > 0$ です。「対数の真数条件」として暗記していた $x > 0$ は、実は逆関数の定義域・値域の入れ替えから自然に導かれるのです。
逆関数のグラフには、次の美しい性質があります。
$y = f(x)$ のグラフと $y = f^{-1}(x)$ のグラフは、直線 $y = x$ に関して対称である。
$y = f(x)$ のグラフ上の点 $(a, b)$ は「$f(a) = b$」を意味します。すると $f^{-1}(b) = a$ なので、$(b, a)$ は $y = f^{-1}(x)$ のグラフ上の点です。
$(a, b)$ と $(b, a)$ は直線 $y = x$ に関して対称な点です($x$ 座標と $y$ 座標を入れ替えた点)。
これが $y = f(x)$ 上のすべての点について成り立つので、2つのグラフ全体が $y = x$ に関して対称になります。
2点 $(a, b)$, $(b, a)$ の中点は $\left(\frac{a+b}{2}, \frac{a+b}{2}\right)$ で、これは直線 $y = x$ 上の点です。
また、2点を結ぶ線分の傾きは $\frac{a - b}{b - a} = -1$ で、直線 $y = x$(傾き $1$)に垂直です。
中点が $y = x$ 上にあり、2点を結ぶ線分が $y = x$ に垂直であるから、$(a, b)$ と $(b, a)$ は $y = x$ に関して対称です。
この性質を使えば、$y = f(x)$ のグラフさえ描ければ、$y = f^{-1}(x)$ のグラフは $y = x$ で折り返すだけで得られます。
たとえば、$y = x^2$($x \geq 0$)のグラフを $y = x$ で折り返すと $y = \sqrt{x}$ のグラフになります。放物線の右半分を折り返すと、前回学んだ無理関数のグラフが現れるのです。
$y = f(x)$ と $y = f^{-1}(x)$ の交点は、必ずしも直線 $y = x$ 上にあるとは限りません。
交点は「$f(x) = f^{-1}(x)$」を満たす点ですが、$y = x$ 上の交点($f(x) = x$)以外にも、$y = x$ に関して対称な位置にある交点のペアが存在する場合があります。
$f(x) = \frac{1}{x}$ のとき、逆関数を求めると $f^{-1}(x) = \frac{1}{x}$ となり、元の関数と一致します。これは $y = \frac{1}{x}$ のグラフが直線 $y = x$ に関して対称であることに対応します。
「逆関数は必ず元の関数と異なる」と思い込まないようにしましょう。$f = f^{-1}$ となるのは、グラフが $y = x$ に関して自己対称な関数に限られます。
$f^{-1} = f$、つまり $f(f(x)) = x$ を満たす関数を対合(involution)といいます。$f(x) = \frac{1}{x}$ や $f(x) = -x$、$f(x) = \frac{a}{x}$ などが対合の例です。大学の代数学では、対合は群論において重要な役割を果たします。
すべての関数に逆関数が存在するわけではありません。逆関数が存在するための条件を明確にしましょう。
関数 $y = f(x)$ が逆関数を持つための必要十分条件は、$f$ が1対1の関数(単射)であることです。
$$x_1 \neq x_2 \implies f(x_1) \neq f(x_2)$$
なぜ1対1であることが必要なのでしょうか。逆関数は「出力 $y$ から入力 $x$ を一意に決める」関数です。もし $f(a) = f(b) = c$($a \neq b$)だとすると、$y = c$ に対して $x = a$ と $x = b$ の2つの候補が出てしまい、1つに決められません。これでは関数になりません。
$y = x^2$ は全実数上では1対1ではありません($f(2) = f(-2) = 4$)。しかし、定義域を $x \geq 0$ に制限すれば1対1になり、逆関数 $f^{-1}(x) = \sqrt{x}$ が得られます。
同様に、$y = \sin x$ は全実数上では1対1ではありませんが、$-\frac{\pi}{2} \leq x \leq \frac{\pi}{2}$ に制限すれば1対1になり、逆関数 $y = \arcsin x$ が定義できます。
1対1かどうかの判定に便利なのが単調性です。
関数 $f$ が定義域全体で単調増加($x_1 < x_2 \implies f(x_1) < f(x_2)$)または単調減少($x_1 < x_2 \implies f(x_1) > f(x_2)$)であれば、$f$ は1対1です。したがって逆関数が存在します。
しかし、1対1であっても単調とは限りません(例:不連続な関数)。高校数学で扱う連続関数の範囲では、「1対1 ⟺ 単調」と考えてほぼ問題ありません。
| 関数 | 1対1? | 逆関数 |
|---|---|---|
| $y = 2x + 3$(全実数) | ○(単調増加) | $y = \frac{x-3}{2}$ |
| $y = x^2$(全実数) | ✕ | 存在しない |
| $y = x^2$($x \geq 0$) | ○(単調増加) | $y = \sqrt{x}$ |
| $y = e^x$(全実数) | ○(単調増加) | $y = \ln x$ |
| $y = x^3$(全実数) | ○(単調増加) | $y = \sqrt[3]{x}$ |
✕ 誤:$f(x)$ が広義単調増加($x_1 < x_2 \implies f(x_1) \leq f(x_2)$)なら逆関数が存在する
○ 正:狭義単調増加($x_1 < x_2 \implies f(x_1) < f(x_2)$)でなければ逆関数は存在しない
たとえば、ある区間で $f(x)$ が一定($f(x_1) = f(x_2)$ で $x_1 \neq x_2$)なら1対1ではないので、逆関数は作れません。
$f$ が微分可能で $f'(x) \neq 0$ のとき、逆関数 $f^{-1}$ も微分可能で、$(f^{-1})'(y) = \frac{1}{f'(x)}$(ただし $y = f(x)$)が成り立ちます。たとえば $f(x) = x^2$($x > 0$)に対して $f'(x) = 2x$ なので、$(f^{-1})'(y) = \frac{1}{2\sqrt{y}}$。実際に $(\sqrt{y})' = \frac{1}{2\sqrt{y}}$ と一致します。この公式は数学IIIの微分法で詳しく学びます。
Q1. $f(x) = 5x - 7$ の逆関数を求めなさい。
Q2. $f(x) = x^3 + 1$ の逆関数を求めなさい。
Q3. $f(x) = \frac{x + 4}{x - 1}$($x \neq 1$)の逆関数を求めなさい。
Q4. $f(x) = x^2 - 2x + 3$($x \geq 1$)の逆関数を求めなさい。
Q5. $f(x) = |x|$ は逆関数を持つか。理由を答えなさい。
次の関数の逆関数を求め、そのグラフの概形を描け。
(1) $f(x) = 2x + 5$
(2) $f(x) = \sqrt{x + 1}$($x \geq -1$)
(1) $y = 2x + 5$ より $x = \frac{y - 5}{2}$。$x$ と $y$ を入れ替えて $f^{-1}(x) = \frac{x - 5}{2}$。
グラフは傾き $\frac{1}{2}$、$y$ 切片 $-\frac{5}{2}$ の直線。$y = 2x + 5$ と直線 $y = x$ に関して対称。
(2) $y = \sqrt{x + 1}$($y \geq 0$)より $y^2 = x + 1$、$x = y^2 - 1$。$x$ と $y$ を入れ替えて $f^{-1}(x) = x^2 - 1$($x \geq 0$)。
グラフは放物線 $y = x^2 - 1$ の $x \geq 0$ の部分。$y = \sqrt{x+1}$ と $y = x$ に関して対称。
3ステップ($x$ について解く → $x, y$ 入れ替え → 定義域確認)を機械的に適用する。(2)では逆関数の定義域($x \geq 0$)を忘れずに。
$f(x) = x^2 + 2x$($x \geq -1$)について、$y = f(x)$ のグラフと $y = f^{-1}(x)$ のグラフの交点をすべて求めよ。
$f(x) = (x+1)^2 - 1$($x \geq -1$)なので、値域は $y \geq -1$。
逆関数:$y = (x+1)^2 - 1$($x \geq -1$)より $x + 1 = \sqrt{y+1}$、$x = -1 + \sqrt{y+1}$。
$f^{-1}(x) = -1 + \sqrt{x+1}$($x \geq -1$)。
$y = f(x)$ と $y = f^{-1}(x)$ のグラフは $y = x$ に関して対称なので、交点は $y = x$ 上にあるか、$y = x$ に関して対称な点のペアとして現れる。
$y = x$ 上の交点:$f(x) = x$ を解く。$x^2 + 2x = x$、$x^2 + x = 0$、$x(x+1) = 0$。$x \geq -1$ より $x = 0$ または $x = -1$。交点は $(0, 0)$ と $(-1, -1)$。
$(-1, -1)$ は $f(-1) = 1 - 2 = -1$ で確かに $y = x$ 上にある。
$y = x$ に関して対称な交点ペアの確認:$f(x) = f^{-1}(x)$ かつ $f(x) \neq x$ を満たす $x$ が存在するか調べるが、この場合は $y = x$ 上の2点が交点のすべて。
よって交点は $(0, 0)$ と $(-1, -1)$ の2点。
$y = f(x)$ と $y = f^{-1}(x)$ の交点を求めるとき、まず $f(x) = x$ を解いて $y = x$ 上の交点を見つける。それ以外の交点は $y = x$ に関して対称なペアとして現れる。
分数関数 $f(x) = \frac{ax + 1}{x + a}$($a$ は実数、$a^2 \neq 1$)が逆関数をもつとき、$f(x) = f^{-1}(x)$ が成り立つための $a$ の条件を求めよ。
$y = \frac{ax + 1}{x + a}$ を $x$ について解く。$y(x + a) = ax + 1$、$xy + ay = ax + 1$、$x(y - a) = 1 - ay$、$x = \frac{1 - ay}{y - a} = \frac{-(ay - 1)}{y - a}$。
$x$ と $y$ を入れ替えて $f^{-1}(x) = \frac{1 - ax}{x - a} = \frac{-(ax - 1)}{x - a}$。
$f(x) = f^{-1}(x)$ が恒等的に成り立つ条件は:
$\frac{ax + 1}{x + a} = \frac{-(ax - 1)}{x - a} = \frac{1 - ax}{x - a}$
$(ax + 1)(x - a) = (1 - ax)(x + a)$
左辺 $= ax^2 - a^2x + x - a$
右辺 $= x + a - ax^2 - a^2x$
$ax^2 - a^2x + x - a = -ax^2 - a^2x + x + a$
$2ax^2 - 2a = 0$、$2a(x^2 - 1) = 0$
これがすべての $x$(定義域内)で成り立つには $a = 0$。
$a = 0$ のとき $f(x) = \frac{1}{x}$、$f^{-1}(x) = \frac{1}{x}$ で確かに一致。
よって $a = 0$。
$f = f^{-1}$ の条件は、$f(f(x)) = x$ が恒等的に成り立つことと同値。逆関数を求めて元の関数と比較し、恒等式の条件から $a$ を決定する。
無理関数 $f(x) = \sqrt{ax + b} + c$ の逆関数が $f^{-1}(x) = x^2 + 2x + 3$($x \geq -1$)であるとき、$a$, $b$, $c$ の値を求めよ。
逆関数の逆関数は元の関数なので、$g(x) = x^2 + 2x + 3$($x \geq -1$)の逆関数が $f(x)$。
$y = x^2 + 2x + 3 = (x + 1)^2 + 2$($x \geq -1$)より $y \geq 2$。
$x + 1 = \sqrt{y - 2}$($x \geq -1$ より非負)、$x = -1 + \sqrt{y - 2}$。
$x$ と $y$ を入れ替えて $f(x) = -1 + \sqrt{x - 2}$($x \geq 2$)。
$f(x) = \sqrt{x - 2} - 1$ と $\sqrt{ax + b} + c$ を比較して、
$a = 1$, $b = -2$, $c = -1$。
検証:$f(x) = \sqrt{x - 2} - 1$ の定義域は $x \geq 2$、値域は $y \geq -1$。$f^{-1}(x)$ の定義域は $x \geq -1$、値域は $y \geq 2$。定義域と値域が正しく入れ替わっている。
「$f^{-1}$ が与えられているから、その逆関数を求めれば $f$ が得られる」という発想が核心。逆関数の逆関数はもとの関数($(f^{-1})^{-1} = f$)であることを利用する。