「3つの頂点の座標がわかっているとき、三角形の面積をどう求めるか?」── 底辺と高さを使う方法から、座標だけで面積を一発で求める公式まで。
面積公式の背後にある「符号付き面積」の考え方は、共線条件や行列式とも深くつながっています。
座標平面上に3点 $\mathrm{A}(x_1, y_1)$、$\mathrm{B}(x_2, y_2)$、$\mathrm{C}(x_3, y_3)$ が与えられたとき、三角形 $\mathrm{ABC}$ の面積を求めることを考えます。
三角形の面積は $S = \dfrac{1}{2} \times \text{底辺} \times \text{高さ}$ で求まります。座標平面上では、次の手順で計算できます。
例題:3点 $\mathrm{A}(1, 4)$、$\mathrm{B}(0, 0)$、$\mathrm{C}(3, 0)$ からなる三角形の面積を求めよ。
解:辺 $\mathrm{BC}$ は $x$ 軸上にあるので、底辺の長さは $\mathrm{BC} = 3$ です。$\mathrm{A}$ から $x$ 軸への距離(高さ)は $h = |4| = 4$ です。よって
$$S = \frac{1}{2} \times 3 \times 4 = 6$$
一般の3点に対しては、底辺をどの辺に選ぶかで計算の手間が変わります。辺 $\mathrm{BC}$ を底辺に選んだ場合、直線 $\mathrm{BC}$ の方程式を求め、そこへ点 $\mathrm{A}$ からの距離を計算する必要があります。
前節で学んだ点と直線の距離の公式を使えば、どのような配置でも面積が求まります。しかし、直線の方程式を立てて距離を計算するのは手間がかかります。
そこで、3点の座標だけから直接面積を求める公式があると便利です。それが次のセクションで学ぶ「座標による面積公式」です。
座標を用いた面積公式では、符号付き面積(signed area)という概念が重要です。3頂点を $\mathrm{A} \to \mathrm{B} \to \mathrm{C}$ の順に回るとき、反時計回りなら正、時計回りなら負の値を返すように設計された式があります。
面積そのものは常に正なので最後に絶対値をとりますが、符号には「頂点の回り方(向き)」の情報が含まれています。この考え方は、大学数学の外積やベクトルの向きの議論につながります。
3点 $\mathrm{A}(x_1, y_1)$、$\mathrm{B}(x_2, y_2)$、$\mathrm{C}(x_3, y_3)$ を頂点とする三角形の面積は、次の公式で求まります。
$$S = \frac{1}{2}|x_1(y_2 - y_3) + x_2(y_3 - y_1) + x_3(y_1 - y_2)|$$
$x_1, y_1$ は頂点 $\mathrm{A}$ の座標、$x_2, y_2$ は頂点 $\mathrm{B}$ の座標、$x_3, y_3$ は頂点 $\mathrm{C}$ の座標です。絶対値の中の式は「符号付き面積の2倍」を表します。
絶対値の中身 $x_1(y_2 - y_3) + x_2(y_3 - y_1) + x_3(y_1 - y_2)$ を展開すると
$$x_1 y_2 - x_1 y_3 + x_2 y_3 - x_2 y_1 + x_3 y_1 - x_3 y_2$$
これは各項が「ある頂点の $x$ 座標と別の頂点の $y$ 座標の積」の形になっています。巡回的に並べると覚えやすくなります。
辺 $\mathrm{BC}$ を底辺とする方法で導出します。直線 $\mathrm{BC}$ の方程式は
$$(y_2 - y_3)x - (x_2 - x_3)y + x_2 y_3 - x_3 y_2 = 0$$
底辺 $\mathrm{BC}$ の長さは $\mathrm{BC} = \sqrt{(x_2 - x_3)^2 + (y_2 - y_3)^2}$ です。
点 $\mathrm{A}(x_1, y_1)$ から直線 $\mathrm{BC}$ への距離 $h$ は、点と直線の距離の公式より
$$h = \frac{|(y_2 - y_3)x_1 - (x_2 - x_3)y_1 + x_2 y_3 - x_3 y_2|}{\sqrt{(y_2 - y_3)^2 + (x_2 - x_3)^2}}$$
よって面積は
$$S = \frac{1}{2} \cdot \mathrm{BC} \cdot h = \frac{1}{2} \cdot \sqrt{(x_2 - x_3)^2 + (y_2 - y_3)^2} \cdot \frac{|\cdots|}{\sqrt{(x_2 - x_3)^2 + (y_2 - y_3)^2}}$$
分母・分子が約分されて
$$S = \frac{1}{2}|(y_2 - y_3)x_1 - (x_2 - x_3)y_1 + x_2 y_3 - x_3 y_2|$$
これを整理すると
$$S = \frac{1}{2}|x_1(y_2 - y_3) + x_2(y_3 - y_1) + x_3(y_1 - y_2)|$$
が得られます。■
面積公式の絶対値を忘れると、符号付き面積(正または負の値)になります。面積は常に正なので、最後に絶対値をとることを忘れないようにしましょう。
✗ 誤り:$S = \frac{1}{2}\{x_1(y_2 - y_3) + x_2(y_3 - y_1) + x_3(y_1 - y_2)\}$(絶対値なし)
✓ 正しい:$S = \frac{1}{2}|x_1(y_2 - y_3) + x_2(y_3 - y_1) + x_3(y_1 - y_2)|$
なお、どの辺を底辺に選んでも同じ結果が得られます。底辺の選び方による違いは途中計算だけで、最終的な面積は一致します。
頂点 $\mathrm{A}$ を基準とすると、$\vec{\mathrm{AB}} = (x_2 - x_1,\; y_2 - y_1)$、$\vec{\mathrm{AC}} = (x_3 - x_1,\; y_3 - y_1)$ です。三角形 $\mathrm{ABC}$ の面積は、この2つのベクトルが張る平行四辺形の面積の半分です。
$$S = \frac{1}{2}\left|\det\begin{pmatrix}x_2 - x_1 & x_3 - x_1 \\ y_2 - y_1 & y_3 - y_1\end{pmatrix}\right|$$
すなわち
$$S = \frac{1}{2}|(x_2 - x_1)(y_3 - y_1) - (x_3 - x_1)(y_2 - y_1)|$$
この行列式は、$\vec{\mathrm{AB}}$ と $\vec{\mathrm{AC}}$ が張る平行四辺形の「符号付き面積」を表しています。三角形はその半分です。
行列式を展開すると
$$(x_2 - x_1)(y_3 - y_1) - (x_3 - x_1)(y_2 - y_1)$$
$$= x_2 y_3 - x_2 y_1 - x_1 y_3 + x_1 y_1 - x_3 y_2 + x_3 y_1 + x_1 y_2 - x_1 y_1$$
$$= x_1(y_2 - y_3) + x_2(y_3 - y_1) + x_3(y_1 - y_2)$$
となり、セクション2の公式の絶対値の中身と完全に一致します。すなわち、2つの公式は本質的に同じものです。
形1(展開形):
$$S = \frac{1}{2}|x_1(y_2 - y_3) + x_2(y_3 - y_1) + x_3(y_1 - y_2)|$$
形2(行列式形):
$$S = \frac{1}{2}\left|\det\begin{pmatrix}x_2 - x_1 & x_3 - x_1 \\ y_2 - y_1 & y_3 - y_1\end{pmatrix}\right|$$
形3(たすきがけ形):
$$S = \frac{1}{2}|x_1 y_2 - x_2 y_1 + x_2 y_3 - x_3 y_2 + x_3 y_1 - x_1 y_3|$$
形3は「たすきがけ」の要領で覚えます。$(x_1, y_1) \to (x_2, y_2) \to (x_3, y_3) \to (x_1, y_1)$ と巡回的に、右下がりの積から左下がりの積を引きます。
大学の線形代数では、2次元ベクトル $\vec{a} = (a_1, a_2)$、$\vec{b} = (b_1, b_2)$ に対して $a_1 b_2 - a_2 b_1$ を外積(cross product)の $z$ 成分と呼びます。これは $\vec{a}$ と $\vec{b}$ が張る平行四辺形の符号付き面積です。
3次元空間では $\vec{a} \times \vec{b}$ はベクトルになりますが、2次元ではスカラー値になります。この値の絶対値が平行四辺形の面積、その半分が三角形の面積です。
符号の意味:$\vec{a}$ から $\vec{b}$ への回転が反時計回りなら正、時計回りなら負になります。これは行列式 $\det(\vec{a}, \vec{b})$ の符号と一致します。
例題1:3点 $\mathrm{A}(1, 2)$、$\mathrm{B}(4, 1)$、$\mathrm{C}(2, 5)$ を頂点とする三角形の面積を求めよ。
解:面積公式に代入します。
$$S = \frac{1}{2}|x_1(y_2 - y_3) + x_2(y_3 - y_1) + x_3(y_1 - y_2)|$$
$$= \frac{1}{2}|1 \cdot (1 - 5) + 4 \cdot (5 - 2) + 2 \cdot (2 - 1)|$$
$$= \frac{1}{2}|1 \cdot (-4) + 4 \cdot 3 + 2 \cdot 1|$$
$$= \frac{1}{2}|-4 + 12 + 2| = \frac{1}{2}|10| = 5$$
頂点の1つが原点 $\mathrm{O}(0, 0)$ にあるとき、公式は大幅に簡略化されます。$\mathrm{A}(0, 0)$、$\mathrm{B}(x_2, y_2)$、$\mathrm{C}(x_3, y_3)$ とすると
$$S = \frac{1}{2}|0 \cdot (y_2 - y_3) + x_2(y_3 - 0) + x_3(0 - y_2)|$$
$$= \frac{1}{2}|x_2 y_3 - x_3 y_2|$$
$\mathrm{O}(0, 0)$、$\mathrm{B}(x_2, y_2)$、$\mathrm{C}(x_3, y_3)$ を頂点とする三角形の面積は
$$S = \frac{1}{2}|x_2 y_3 - x_3 y_2|$$
これは行列式 $\det\begin{pmatrix}x_2 & x_3 \\ y_2 & y_3\end{pmatrix}$ の絶対値の半分です。
例題2:3点 $\mathrm{O}(0, 0)$、$\mathrm{B}(3, 1)$、$\mathrm{C}(1, 4)$ を頂点とする三角形の面積を求めよ。
解:
$$S = \frac{1}{2}|3 \cdot 4 - 1 \cdot 1| = \frac{1}{2}|12 - 1| = \frac{11}{2}$$
例題3:3点 $\mathrm{A}(-3, 1)$、$\mathrm{B}(5, -1)$、$\mathrm{C}(2, 4)$ を頂点とする三角形の面積を求めよ。
解:
$$S = \frac{1}{2}|(-3)(-1 - 4) + 5(4 - 1) + 2(1 - (-1))|$$
$$= \frac{1}{2}|(-3)(-5) + 5 \cdot 3 + 2 \cdot 2|$$
$$= \frac{1}{2}|15 + 15 + 4| = \frac{1}{2} \times 34 = 17$$
鈍角三角形であっても、公式はまったく同じように使えます。底辺・高さの方法と違い、角の種類を気にする必要がないのが座標公式の強みです。
座標の面積公式では符号のミスが起きやすいです。特に座標に負の値がある場合は注意しましょう。
コツ1:「$y$ の差」を先に計算してメモする。$y_2 - y_3$、$y_3 - y_1$、$y_1 - y_2$ の3つを先に求めておくと整理しやすい。
コツ2:検算として、3つの $y$ の差の合計が $(y_2 - y_3) + (y_3 - y_1) + (y_1 - y_2) = 0$ になることを確認する。
3点 $\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$、$\mathrm{C}$ が一直線上にあるとき、三角形 $\mathrm{ABC}$ は「つぶれて」面積が $0$ になります。逆に面積が $0$ なら3点は一直線上にあります。
すなわち、3点が共線(一直線上にある)であるための必要十分条件は
$$x_1(y_2 - y_3) + x_2(y_3 - y_1) + x_3(y_1 - y_2) = 0$$
です。面積公式の絶対値の中身が $0$ になるということです。
例題4:3点 $\mathrm{A}(1, 2)$、$\mathrm{B}(3, 6)$、$\mathrm{C}(-1, -2)$ が一直線上にあることを示せ。
解:
$$1(6 - (-2)) + 3((-2) - 2) + (-1)(2 - 6)$$
$$= 1 \cdot 8 + 3 \cdot (-4) + (-1)(-4) = 8 - 12 + 4 = 0$$
面積が $0$ なので、3点は一直線上にあります。■
座標平面上の四角形の面積は、対角線で2つの三角形に分割して求めます。
例題5:4点 $\mathrm{A}(0, 0)$、$\mathrm{B}(4, 0)$、$\mathrm{C}(5, 3)$、$\mathrm{D}(1, 3)$ を頂点とする四角形 $\mathrm{ABCD}$ の面積を求めよ。
解:対角線 $\mathrm{AC}$ で2つの三角形に分割します。
三角形 $\mathrm{ABC}$:
$$S_1 = \frac{1}{2}|0(0 - 3) + 4(3 - 0) + 5(0 - 0)| = \frac{1}{2}|0 + 12 + 0| = 6$$
三角形 $\mathrm{ACD}$:
$$S_2 = \frac{1}{2}|0(3 - 3) + 5(3 - 0) + 1(0 - 3)| = \frac{1}{2}|0 + 15 - 3| = 6$$
よって、四角形 $\mathrm{ABCD}$ の面積は $S = S_1 + S_2 = 6 + 6 = 12$
例題6:直線 $y = x + 1$ 上に点 $\mathrm{P}$ をとる。$\mathrm{A}(0, 0)$、$\mathrm{B}(4, 2)$ に対し、三角形 $\mathrm{ABP}$ の面積の最小値を求めよ。
解:$\mathrm{P}(t,\; t + 1)$ とおきます。
$$S = \frac{1}{2}|0(2 - (t + 1)) + 4((t + 1) - 0) + t(0 - 2)|$$
$$= \frac{1}{2}|4t + 4 - 2t| = \frac{1}{2}|2t + 4| = |t + 2|$$
$|t + 2|$ は $t = -2$ のとき最小値 $0$ をとりますが、$S = 0$ は三角形が退化する(3点が一直線上になる)場合です。
実際、$\mathrm{P}(-2, -1)$ のとき $\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$、$\mathrm{P}$ は一直線上にあります。三角形として存在するためには $S > 0$ が必要なので、$S$ の最小値は存在しません($0$ に限りなく近づけるが $0$ にはならない)。
もし問題が「面積が最小となる $\mathrm{P}$ の座標」を聞いている場合は、直線上の $\mathrm{P}$ が $\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$ と共線にならない条件下での最小値を考える必要があります。
面積公式は「3点で三角形を作れるか」の判定にも使えます。$S = 0$ ⟺ 3点が一直線上(共線)。これは直線の方程式を使った判定と同値であり、面積の視点から共線条件を理解できる点が重要です。
Q1. 3点 $\mathrm{A}(0, 0)$、$\mathrm{B}(3, 0)$、$\mathrm{C}(0, 4)$ を頂点とする三角形の面積を求めよ。
Q2. 3点 $\mathrm{A}(1, 1)$、$\mathrm{B}(4, 2)$、$\mathrm{C}(2, 5)$ を頂点とする三角形の面積を求めよ。
Q3. 3点 $\mathrm{O}(0, 0)$、$\mathrm{P}(5, 2)$、$\mathrm{Q}(1, 3)$ を頂点とする三角形の面積を、簡略化した公式を用いて求めよ。
Q4. 3点 $\mathrm{A}(2, 3)$、$\mathrm{B}(6, 9)$、$\mathrm{C}(-2, -3)$ が一直線上にあることを面積公式を用いて示せ。
Q5. 3点 $\mathrm{A}(-1, 2)$、$\mathrm{B}(3, -2)$、$\mathrm{C}(5, 6)$ を頂点とする三角形の面積を、行列式の形で表し計算せよ。
3点 $\mathrm{A}(2, 1)$、$\mathrm{B}(-1, 3)$、$\mathrm{C}(4, 5)$ を頂点とする三角形 $\mathrm{ABC}$ について、次の問いに答えよ。
(1) 三角形 $\mathrm{ABC}$ の面積を求めよ。
(2) 頂点 $\mathrm{A}$ から辺 $\mathrm{BC}$ に下ろした垂線の長さ $h$ を求めよ。
(1) $S = \dfrac{1}{2}|2(3 - 5) + (-1)(5 - 1) + 4(1 - 3)|$
$= \dfrac{1}{2}|2(-2) + (-1)(4) + 4(-2)|$
$= \dfrac{1}{2}|-4 - 4 - 8| = \dfrac{1}{2} \times 16 = 8$
(2) $\mathrm{BC} = \sqrt{(4 - (-1))^2 + (5 - 3)^2} = \sqrt{25 + 4} = \sqrt{29}$
$S = \dfrac{1}{2} \cdot \mathrm{BC} \cdot h$ より $8 = \dfrac{1}{2} \cdot \sqrt{29} \cdot h$
$h = \dfrac{16}{\sqrt{29}} = \dfrac{16\sqrt{29}}{29}$
3点 $\mathrm{A}(1, 0)$、$\mathrm{B}(0, 2)$、$\mathrm{P}(t,\; t^2)$($t$ は実数)について、次の問いに答えよ。
(1) 三角形 $\mathrm{ABP}$ の面積 $S$ を $t$ の式で表せ。
(2) 3点 $\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$、$\mathrm{P}$ が一直線上にあるときの $t$ の値を求めよ。
(3) $S$ の最小値を求めよ(ただし $S > 0$)。
(1) $S = \dfrac{1}{2}|1(2 - t^2) + 0(t^2 - 0) + t(0 - 2)|$
$= \dfrac{1}{2}|2 - t^2 - 2t| = \dfrac{1}{2}|t^2 + 2t - 2|$
(2) $S = 0$ のとき $t^2 + 2t - 2 = 0$ より $t = \dfrac{-2 \pm \sqrt{4 + 8}}{2} = -1 \pm \sqrt{3}$
(3) $f(t) = t^2 + 2t - 2 = (t + 1)^2 - 3$ とおくと、$f(t)$ は $t = -1$ で最小値 $-3$ をとります。
$S = \dfrac{1}{2}|f(t)|$ で $S > 0$ を求めるので、$f(t) \neq 0$ の範囲で $|f(t)|$ の最小値を考えます。
$f(-1) = -3 < 0$ なので $t = -1$ で $|f(t)| = 3$。
$|f(t)|$ は $f(t) = 0$ の解 $t = -1 \pm \sqrt{3}$ で $0$ になり、その近くでは $0$ に近い値をとりますが、$S > 0$ を課しているので最小値は存在しません。
ただし、$t = -1$ のとき $|f(t)| = 3$ は $|f(t)|$ の極小値(負の領域での最大の深さ)であり、$S = \dfrac{3}{2}$ は $S$ の極小値です。
面積を $t$ の関数として表すと $|f(t)|$ の形になります。2次関数のグラフの絶対値をとると、$x$ 軸の下に出た部分が折り返されます。$S > 0$ という条件のもとでの「最小値」は、$f(t) = 0$ の根の近くで $0$ に近づきますが $0$ にはなりません。極小値としては $t = -1$ のとき $S = \dfrac{3}{2}$ です。
4点 $\mathrm{A}(1, 1)$、$\mathrm{B}(5, 2)$、$\mathrm{C}(4, 6)$、$\mathrm{D}(0, 4)$ を頂点とする四角形 $\mathrm{ABCD}$ の面積を求めよ。
対角線 $\mathrm{AC}$ で2つの三角形に分割します。
三角形 $\mathrm{ABC}$:
$S_1 = \dfrac{1}{2}|1(2 - 6) + 5(6 - 1) + 4(1 - 2)|$
$= \dfrac{1}{2}|-4 + 25 - 4| = \dfrac{17}{2}$
三角形 $\mathrm{ACD}$:
$S_2 = \dfrac{1}{2}|1(6 - 4) + 4(4 - 1) + 0(1 - 6)|$
$= \dfrac{1}{2}|2 + 12 + 0| = 7$
よって、四角形 $\mathrm{ABCD}$ の面積は $S = S_1 + S_2 = \dfrac{17}{2} + 7 = \dfrac{31}{2}$
四角形の面積を求めるには、対角線で三角形に分割するのが定石です。凸四角形の場合、どちらの対角線で分割しても同じ結果になります。凹四角形の場合は、頂点の並び順に注意が必要です。
座標平面上に2点 $\mathrm{A}(1, 0)$、$\mathrm{B}(0, 1)$ がある。点 $\mathrm{P}$ が円 $x^2 + y^2 = 4$ 上を動くとき、三角形 $\mathrm{ABP}$ の面積の最大値を求めよ。
$\mathrm{P}(2\cos\theta,\; 2\sin\theta)$ とおきます。
$S = \dfrac{1}{2}|1(1 - 2\sin\theta) + 0(2\sin\theta - 0) + 2\cos\theta(0 - 1)|$
$= \dfrac{1}{2}|1 - 2\sin\theta - 2\cos\theta|$
$= \dfrac{1}{2}|1 - 2(\sin\theta + \cos\theta)|$
$\sin\theta + \cos\theta = \sqrt{2}\sin\left(\theta + \dfrac{\pi}{4}\right)$ と変形すると、$-\sqrt{2} \leq \sin\theta + \cos\theta \leq \sqrt{2}$ です。
$S$ が最大になるのは $|1 - 2(\sin\theta + \cos\theta)|$ が最大のときです。
$g = 1 - 2(\sin\theta + \cos\theta)$ とおくと
$\sin\theta + \cos\theta = \sqrt{2}$ のとき $g = 1 - 2\sqrt{2}$、$|g| = 2\sqrt{2} - 1$
$\sin\theta + \cos\theta = -\sqrt{2}$ のとき $g = 1 + 2\sqrt{2}$、$|g| = 1 + 2\sqrt{2}$
$1 + 2\sqrt{2} > 2\sqrt{2} - 1$ なので
$$S_{\max} = \frac{1}{2}(1 + 2\sqrt{2}) = \frac{1 + 2\sqrt{2}}{2}$$
面積の最大・最小問題では、動点をパラメータで表し、面積をそのパラメータの関数として表します。三角関数の合成を用いると、$\sin\theta + \cos\theta$ の最大・最小が求まり、面積の最大値が計算できます。直線 $\mathrm{AB}$ からの距離が最大になる点 $\mathrm{P}$ を求めることと同値です。