第9章 複素数平面

複素数平面と極形式
─ 数を「位置」と「方向」で捉える

複素数 $a + bi$ は、実数だけでは表せなかった「2次元の数」です。この数を平面上の点として視覚化し、さらに「原点からの距離」と「角度」で表現する極形式を学びます。極形式は、複素数の積・商や回転の理解に不可欠な道具であり、ド・モアブルの定理や $n$ 乗根の計算へとつながります。

1複素数平面とは何か ─ 数に「居場所」を与える

数学IIで複素数 $z = a + bi$($a, b$ は実数、$i$ は虚数単位)を学びました。このとき、複素数は「実部」と「虚部」という2つの成分を持つ数でした。では、この2つの成分を座標に対応させたらどうなるでしょうか。

横軸を実軸(実部 $a$)、縦軸を虚軸(虚部 $b$)として、複素数 $z = a + bi$ を座標平面上の点 $(a, b)$ に対応させます。この平面を複素数平面(ガウス平面)と呼びます。

💡 複素数平面の本質:数に「位置」と「方向」を与える

実数は数直線上の「1次元の点」でした。複素数平面では、数が「2次元の点」になります。

この発想の核心は、虚数単位 $i$ を「実軸から $90°$ 回転する操作」として捉えることです。$1$ に $i$ をかけると $i$($90°$ 回転)、さらに $i$ をかけると $i^2 = -1$($180°$ 回転)── 実数だけでは説明できなかった $i$ の意味が、回転として自然に理解できます。

実軸・虚軸と基本的な対応

複素数平面上での基本的な対応を確認しましょう。

複素数 $z$座標 $(a, b)$位置
$3 + 2i$$(3, 2)$第1象限
$-1 + 4i$$(-1, 4)$第2象限
$5$(実数)$(5, 0)$実軸上
$-3i$(純虚数)$(0, -3)$虚軸上
$0$$(0, 0)$原点
⚠️ 落とし穴:虚軸の目盛りに $i$ を付けるか

✗ 虚軸の目盛りを「$1, 2, 3, \ldots$」と書く → これでは実軸と区別がつかない

○ 虚軸の目盛りは「$i, 2i, 3i, \ldots$」と書く

複素数平面は通常の $xy$ 座標とは異なります。虚軸上の点 $(0, b)$ は $bi$ という純虚数に対応するので、目盛りには $i$ を付けて表記します。

🔬 深掘り:ガウスとアルガンの発見

複素数を平面上の点として表す発想は、18世紀末にノルウェーのヴェッセルやフランスのアルガンによって提案され、ガウスが体系化しました。それ以前、虚数は「想像上の数」として忌避されていましたが、平面上の点として視覚化されたことで、その実在性が確立されました。

2絶対値 ─ 原点からの距離

複素数 $z = a + bi$ に対して、原点 $O$ から点 $z$ までの距離を $z$ の絶対値と呼び、$|z|$ で表します。

📐 複素数の絶対値

$$|z| = |a + bi| = \sqrt{a^2 + b^2}$$

※ 三平方の定理そのものです。$z$ が実数のとき($b = 0$)は通常の絶対値 $|a|$ に一致します。

例えば $z = 3 + 4i$ の絶対値は $|z| = \sqrt{9 + 16} = \sqrt{25} = 5$ です。これは複素数平面上で、原点から点 $(3, 4)$ までの距離がちょうど $5$ であることを意味します。

2点間の距離

2つの複素数 $z_1, z_2$ に対して、$|z_1 - z_2|$ は $z_1$ と $z_2$ を表す2点間の距離を表します。これは実数の場合の $|a - b|$ が数直線上の2点間の距離を表すことの自然な一般化です。

💡 絶対値は「距離の道具」

$|z| = r$ は「原点を中心とする半径 $r$ の円」を表し、$|z - \alpha| = r$ は「点 $\alpha$ を中心とする半径 $r$ の円」を表します。

複素数平面における図形は、絶対値を使った等式・不等式で表現できるのです。この視点は後の軌跡の問題で重要になります。

⚠️ 落とし穴:$|z|^2$ と $z\bar{z}$ の関係

✗ $|z|^2 = z^2$ と考える → 一般には $z^2 \neq a^2 + b^2$

○ $|z|^2 = z\bar{z} = (a+bi)(a-bi) = a^2 + b^2$

$|z|^2$ を計算するときは、$z$ に共役複素数 $\bar{z}$ をかけます。これは絶対値の計算で非常によく使う変形です。

3偏角 ─ 実軸からの角度

複素数を「どこにあるか」を指定するには、原点からの距離だけでなく「どの方向にあるか」も必要です。実軸の正の方向から測った角度を偏角と呼び、$\arg z$ で表します。

📐 偏角の定義

$z = a + bi \neq 0$ に対して、実軸の正の方向から反時計回りに測った角度 $\theta$ を $z$ の偏角といい、$\theta = \arg z$ と書く。

$$\cos\theta = \frac{a}{|z|}, \quad \sin\theta = \frac{b}{|z|}$$

※ 偏角は $2\pi$ の整数倍の不定性があります。$0 \le \theta < 2\pi$ または $-\pi < \theta \le \pi$ に制限したものを主値と呼びます。

象限と偏角の関係

偏角を求めるとき、$\tan\theta = \dfrac{b}{a}$ を使いたくなりますが、$\tan$ だけでは象限を判定できません。$\cos\theta$ と $\sin\theta$ の符号を確認して、正しい象限の角度を選ぶ必要があります。

象限$a$ の符号$b$ の符号偏角の範囲
第1象限$+$$+$$0 < \theta < \dfrac{\pi}{2}$
第2象限$-$$+$$\dfrac{\pi}{2} < \theta < \pi$
第3象限$-$$-$$\pi < \theta < \dfrac{3\pi}{2}$
第4象限$+$$-$$\dfrac{3\pi}{2} < \theta < 2\pi$
⚠️ 落とし穴:$\tan^{-1}$ だけで偏角を求めない

✗ $z = -1 + i$ の偏角を $\tan^{-1}\!\left(\dfrac{1}{-1}\right) = \tan^{-1}(-1) = -\dfrac{\pi}{4}$ とする

○ $a = -1 < 0, b = 1 > 0$ だから第2象限。$\theta = \pi - \dfrac{\pi}{4} = \dfrac{3\pi}{4}$

$\tan^{-1}$ の値域は $\left(-\dfrac{\pi}{2}, \dfrac{\pi}{2}\right)$ なので、第2・第3象限の角度は直接得られません。必ず象限を確認しましょう。

特別な複素数の偏角

よく出てくる複素数の偏角を整理しておきます。$\arg 1 = 0$、$\arg i = \dfrac{\pi}{2}$、$\arg(-1) = \pi$、$\arg(-i) = \dfrac{3\pi}{2}$。また、$\arg(1+i) = \dfrac{\pi}{4}$、$\arg(1+\sqrt{3}\,i) = \dfrac{\pi}{3}$ などは頻出です。

4極形式 ─ 距離と角度で複素数を表す

絶対値 $r = |z|$ と偏角 $\theta = \arg z$ を使えば、複素数 $z = a + bi$ は次のように書き換えられます。$a = r\cos\theta$、$b = r\sin\theta$ だから:

📐 複素数の極形式

$$z = r(\cos\theta + i\sin\theta)$$

ここで $r = |z| \ge 0$、$\theta = \arg z$

※ この表現を複素数の極形式(polar form)と呼びます。直交形式 $a + bi$ が「横・縦」で位置を指定するのに対し、極形式は「距離・角度」で指定します。

💡 なぜ極形式が重要なのか

直交形式 $a + bi$ は足し算・引き算に便利ですが、かけ算・わり算では煩雑になります。

極形式を使うと、複素数のかけ算が「絶対値の積」と「偏角の和」に分解されるため、積・商・べき乗の計算が劇的に簡単になります。これが次節以降のテーマです。

直交形式から極形式への変換

$z = 1 + \sqrt{3}\,i$ を極形式に変換してみましょう。

▷ 変換の手順

Step 1(絶対値): $r = |z| = \sqrt{1^2 + (\sqrt{3})^2} = \sqrt{1 + 3} = 2$

Step 2(偏角): $\cos\theta = \dfrac{1}{2}$, $\sin\theta = \dfrac{\sqrt{3}}{2}$ より $\theta = \dfrac{\pi}{3}$

Step 3(極形式): $z = 2\!\left(\cos\dfrac{\pi}{3} + i\sin\dfrac{\pi}{3}\right)$

極形式から直交形式への変換

逆に、$z = 4\!\left(\cos\dfrac{5\pi}{6} + i\sin\dfrac{5\pi}{6}\right)$ を直交形式にするには、三角関数の値を代入します。

$\cos\dfrac{5\pi}{6} = -\dfrac{\sqrt{3}}{2}$, $\sin\dfrac{5\pi}{6} = \dfrac{1}{2}$ だから $z = 4\!\left(-\dfrac{\sqrt{3}}{2} + \dfrac{1}{2}i\right) = -2\sqrt{3} + 2i$ です。

⚠️ 落とし穴:$r$ は非負

✗ $z = -2$ を $r = -2, \theta = 0$ として $z = -2(\cos 0 + i\sin 0)$ と書く

○ $r = |{-2}| = 2, \theta = \pi$ として $z = 2(\cos\pi + i\sin\pi)$ と書く

極形式では $r \ge 0$ です。負の実数は $r$ を正にとって偏角を $\pi$ にします。

🔬 深掘り:オイラーの公式

大学数学では、$e^{i\theta} = \cos\theta + i\sin\theta$(オイラーの公式)を用いて極形式を $z = re^{i\theta}$ と書きます。この表記を使うと、積・商・べき乗の公式がさらに自然に理解できます。$\theta = \pi$ を代入すると $e^{i\pi} + 1 = 0$、数学で最も美しいとされるオイラーの等式が得られます。

5複素数の共役と絶対値の性質

複素数 $z = a + bi$ の共役複素数 $\bar{z} = a - bi$ は、複素数平面上では実軸に関する対称点を表します。この幾何学的意味を踏まえて、絶対値に関する重要な性質を整理しましょう。

📐 共役複素数と絶対値の基本性質

(1) $z\bar{z} = |z|^2 = a^2 + b^2$

(2) $|\bar{z}| = |z|$

(3) $\overline{z_1 + z_2} = \bar{z}_1 + \bar{z}_2$、$\overline{z_1 z_2} = \bar{z}_1 \bar{z}_2$

(4) $z + \bar{z} = 2a$(実部の2倍)、$z - \bar{z} = 2bi$(虚部の $2i$ 倍)

※ (1) は「複素数を消す」最も基本的な手法。(3) は「共役をとる操作は四則演算と交換可能」であることを示します。

▷ 性質 (3) の証明

$z_1 = a_1 + b_1 i$, $z_2 = a_2 + b_2 i$ とする。

$\overline{z_1 z_2} = \overline{(a_1 a_2 - b_1 b_2) + (a_1 b_2 + a_2 b_1)i} = (a_1 a_2 - b_1 b_2) - (a_1 b_2 + a_2 b_1)i$

$\bar{z}_1 \bar{z}_2 = (a_1 - b_1 i)(a_2 - b_2 i) = (a_1 a_2 - b_1 b_2) - (a_1 b_2 + a_2 b_1)i$

よって $\overline{z_1 z_2} = \bar{z}_1 \bar{z}_2$。□

三角不等式

実数の場合に成り立つ三角不等式 $|a + b| \le |a| + |b|$ は、複素数でも成り立ちます。

📐 複素数の三角不等式

$$|z_1 + z_2| \le |z_1| + |z_2|$$

等号成立条件:$z_1$ と $z_2$ の偏角が等しい($z_1, z_2$ が同じ方向を向く)、または一方が $0$。

※ 幾何学的には「三角形の一辺は他の二辺の和より短い」ことに対応します。

⚠️ 落とし穴:$z$ が実数であるための条件

✗ $z$ が実数 $\Leftrightarrow$ $z > 0$ または $z < 0$ → $z = 0$ を忘れている

○ $z$ が実数 $\Leftrightarrow$ $z = \bar{z}$

同様に、$z$ が純虚数 $\Leftrightarrow$ $z = -\bar{z}$ かつ $z \neq 0$ です。共役複素数を使った条件表現は、入試で頻出です。

🔬 深掘り:共役と極形式の関係

$z = r(\cos\theta + i\sin\theta)$ ならば $\bar{z} = r(\cos(-\theta) + i\sin(-\theta)) = r(\cos\theta - i\sin\theta)$。つまり、共役をとることは偏角の符号を反転させること、すなわち実軸に関する折り返しに対応します。大学のフーリエ解析では、この対称性が信号の実数性を保証する条件として使われます。

まとめ

✅ 確認テスト

Q1. 複素数 $z = -3 + 4i$ の絶対値 $|z|$ は?

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$|z| = \sqrt{(-3)^2 + 4^2} = \sqrt{9 + 16} = \sqrt{25} = 5$

Q2. $z = 1 + i$ の偏角 $\arg z$ は?($0 \le \theta < 2\pi$)

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$\cos\theta = \dfrac{1}{\sqrt{2}}$, $\sin\theta = \dfrac{1}{\sqrt{2}}$ より $\arg z = \dfrac{\pi}{4}$

Q3. $z = -1 - \sqrt{3}\,i$ を極形式で表せ。

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$|z| = \sqrt{1 + 3} = 2$。$\cos\theta = -\dfrac{1}{2}$, $\sin\theta = -\dfrac{\sqrt{3}}{2}$ より $\theta = \dfrac{4\pi}{3}$。よって $z = 2\!\left(\cos\dfrac{4\pi}{3} + i\sin\dfrac{4\pi}{3}\right)$

Q4. $|z|^2$ を $z$ と $\bar{z}$ で表すと?

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$|z|^2 = z\bar{z}$。$(a+bi)(a-bi) = a^2 + b^2 = |z|^2$

Q5. $z$ が純虚数であるための必要十分条件を、$\bar{z}$ を使って表せ。

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$z = -\bar{z}$ かつ $z \neq 0$。($z = bi$ のとき $\bar{z} = -bi = -z$)

入試問題演習

問題 1 LEVEL A 極形式

次の複素数を極形式で表せ($0 \le \theta < 2\pi$)。

(1) $z = \sqrt{3} + i$

(2) $z = -2i$

(3) $z = -3$

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解答

(1) $|z| = \sqrt{3+1} = 2$。$\cos\theta = \dfrac{\sqrt{3}}{2}, \sin\theta = \dfrac{1}{2}$ より $\theta = \dfrac{\pi}{6}$。

$z = 2\!\left(\cos\dfrac{\pi}{6} + i\sin\dfrac{\pi}{6}\right)$

(2) $|z| = 2$。$\cos\theta = 0, \sin\theta = -1$ より $\theta = \dfrac{3\pi}{2}$。

$z = 2\!\left(\cos\dfrac{3\pi}{2} + i\sin\dfrac{3\pi}{2}\right)$

(3) $|z| = 3$。$\cos\theta = -1, \sin\theta = 0$ より $\theta = \pi$。

$z = 3(\cos\pi + i\sin\pi)$

採点ポイント
  • 各問で絶対値の計算 … 各1点
  • 偏角の正確な決定 … 各2点
問題 2 LEVEL B 絶対値×図形

複素数 $z$ が $|z - (1+i)| = 2$ を満たすとき、$|z|$ の最大値と最小値を求めよ。

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解答

$|z - (1+i)| = 2$ は、中心 $1+i$、半径 $2$ の円を表す。

原点と中心 $1+i$ の距離は $|1+i| = \sqrt{2}$。

三角不等式より $|z| = |z - (1+i) + (1+i)| \le |z - (1+i)| + |1+i| = 2 + \sqrt{2}$

また $|z| \ge |1+i| - |z - (1+i)| = \sqrt{2} - 2$

$\sqrt{2} - 2 < 0$ なので、原点は円の内部にあり $|z|$ の最小値は $|z| \ge 0$ から考える。

円上の点で原点に最も近い点は、中心と原点を結ぶ線分上にあるから:

$|z|$ の最小値 $= 2 - \sqrt{2}$、最大値 $= 2 + \sqrt{2}$

採点ポイント
  • 円の中心と半径の把握 … 2点
  • 原点と中心の距離 $\sqrt{2}$ の計算 … 2点
  • 最大値 $2 + \sqrt{2}$ の導出 … 3点
  • 最小値 $2 - \sqrt{2}$ の導出 … 3点
問題 3 LEVEL B 共役×実数条件

$z = a + bi$($a, b$ は実数)とする。$\dfrac{z - 1}{z + i}$ が実数となる条件を求め、点 $z$ の軌跡を図示せよ。ただし $z \neq -i$ とする。

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解答

$w = \dfrac{z-1}{z+i}$ が実数 $\Leftrightarrow$ $w = \bar{w}$ $\Leftrightarrow$ $\dfrac{z-1}{z+i} = \dfrac{\bar{z}-1}{\bar{z}-i}$

$(z-1)(\bar{z}-i) = (\bar{z}-1)(z+i)$ を展開して整理する。

$z\bar{z} - iz - \bar{z} + i = z\bar{z} + i\bar{z} - z - i$

$-iz - \bar{z} + i = i\bar{z} - z - i$

$(z - \bar{z}) - i(z + \bar{z}) + 2i = 0$

$z - \bar{z} = 2bi$, $z + \bar{z} = 2a$ を代入すると:

$2bi - 2ai + 2i = 0$、すなわち $2i(b - a + 1) = 0$

よって $b = a - 1$。これは直線 $y = x - 1$ を表す。

ただし $z \neq -i$ すなわち $(a, b) \neq (0, -1)$ を除く。$(0, -1)$ は $y = x - 1$ 上にあるので、求める軌跡は直線 $y = x - 1$ から点 $(0, -1)$ を除いたものである。

採点ポイント
  • 実数条件 $w = \bar{w}$ の設定 … 2点
  • 展開と整理 … 3点
  • $b = a - 1$(直線 $y = x - 1$)の導出 … 3点
  • $z = -i$ の除外 … 2点
問題 4 LEVEL C 三角不等式×最大最小

$|z| = 1$ を満たす複素数 $z$ に対して、$w = z^2 + 2\bar{z}$ とする。

(1) $z = \cos\theta + i\sin\theta$ として $w$ を $\theta$ で表せ。

(2) $|w|$ の最大値と最小値を求めよ。

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解答

(1) $z = \cos\theta + i\sin\theta$ とする。

$z^2 = \cos 2\theta + i\sin 2\theta$

$\bar{z} = \cos\theta - i\sin\theta$ より $2\bar{z} = 2\cos\theta - 2i\sin\theta$

$w = (\cos 2\theta + 2\cos\theta) + i(\sin 2\theta - 2\sin\theta)$

(2) $|w|^2 = (\cos 2\theta + 2\cos\theta)^2 + (\sin 2\theta - 2\sin\theta)^2$

$= \cos^2 2\theta + 4\cos 2\theta\cos\theta + 4\cos^2\theta + \sin^2 2\theta - 4\sin 2\theta\sin\theta + 4\sin^2\theta$

$= 1 + 4(\cos 2\theta\cos\theta - \sin 2\theta\sin\theta) + 4$

$= 5 + 4\cos 3\theta$

$-1 \le \cos 3\theta \le 1$ より $1 \le |w|^2 \le 9$

よって $|w|$ の最小値は $1$($\cos 3\theta = -1$、$\theta = \dfrac{\pi}{3}$ など)、

最大値は $3$($\cos 3\theta = 1$、$\theta = 0$ など)。

解説

加法定理 $\cos 2\theta\cos\theta - \sin 2\theta\sin\theta = \cos 3\theta$ を使うのがポイントです。$|w|^2$ を計算してから $|w|$ を求める方が、直接 $|w|$ を扱うより簡単です。

採点ポイント
  • $z^2, \bar{z}$ の極形式 … 2点
  • $|w|^2$ の計算 … 3点
  • $\cos 3\theta$ への整理 … 3点
  • 最大値 $3$、最小値 $1$ … 2点