第8章 平面上の曲線

平面上の曲線の総合問題
─ 2次曲線・媒介変数・極座標の横断演習

第8章で学んだ2次曲線(放物線・楕円・双曲線)、媒介変数表示、極座標・極方程式の全範囲を横断する総合問題に挑戦します。入試では、これらのテーマが融合して出題されることが多く、座標系の変換や表現の使い分けが問われます。

12次曲線の基本事項の確認

まず、3つの2次曲線の基本事項を表で整理します。

曲線標準形離心率 $e$焦点と準線
楕円$\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1$$0 < e < 1$焦点 $(\pm c, 0)$, $c=\sqrt{a^2-b^2}$
放物線$y^2 = 4px$$e = 1$焦点 $(p, 0)$, 準線 $x=-p$
双曲線$\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1$$e > 1$焦点 $(\pm c, 0)$, $c=\sqrt{a^2+b^2}$
💡 2次曲線の統一的定義

焦点 $F$ と準線 $\ell$ からの距離の比が一定値 $e$(離心率)であるような点の軌跡が2次曲線です。$e < 1$ で楕円、$e = 1$ で放物線、$e > 1$ で双曲線。これが極方程式 $r = \dfrac{l}{1 + e\cos\theta}$ の原点にあります。

2媒介変数表示と2次曲線の融合

楕円は $x = a\cos t$, $y = b\sin t$、双曲線は $x = a/\cos t$, $y = b\tan t$ で媒介変数表示できます。

典型:楕円上の点と面積

楕円 $\dfrac{x^2}{a^2} + \dfrac{y^2}{b^2} = 1$ 上の点 $P(a\cos t, b\sin t)$ と原点 $O$ を結ぶ三角形 $OAP$($A$ は楕円の頂点)の面積が最大になる $t$ を求める問題などが典型です。

⚠️ 媒介変数と偏角の混同

✗ 楕円 $x = a\cos t$, $y = b\sin t$ の $t$ は $x$ 軸からの偏角

✓ $t$ は偏角ではありません($a \neq b$ のとき)。$t$ は「補助円上の点の偏角」であり、楕円上の点の偏角は $\arctan\dfrac{b\sin t}{a\cos t}$ です。

🔗 媒介変数消去のテクニック

$\sin^2 t + \cos^2 t = 1$ を利用して、$\cos t = x/a$, $\sin t = y/b$ を代入すれば楕円の方程式が得られます。双曲線では $1/\cos^2 t - \tan^2 t = 1$ を使います。

3極座標と2次曲線

焦点を極に置いた2次曲線の極方程式:

📐 2次曲線の極方程式

$$r = \frac{l}{1 + e\cos\theta}$$

$l$:半直弦の長さ、$e$:離心率

$e < 1$(楕円)、$e = 1$(放物線)、$e > 1$(双曲線)

この統一的な表現は天体力学で重要な役割を果たします。惑星の軌道は太陽を焦点とする楕円であり、太陽からの距離が $r = \dfrac{l}{1 + e\cos\theta}$ で表されます。

⚠️ 双曲線の場合の $r > 0$ 条件

✗ $r = \dfrac{l}{1+e\cos\theta}$ は全ての $\theta$ で定義される

✓ $e > 1$ のとき、$1 + e\cos\theta = 0$(つまり $\cos\theta = -1/e$)となる $\theta$ では $r \to \infty$ です。また $1 + e\cos\theta < 0$ の範囲は双曲線のもう一方の枝に対応します。

4面積・弧長との融合

2次曲線で囲まれる面積の計算や、曲線の長さの計算は、積分法との融合テーマです。

楕円の面積

媒介変数表示 $x = a\cos t$, $y = b\sin t$ を使って:

$$S = \int_0^{2\pi} y\,\frac{dx}{dt}\,dt = \int_0^{2\pi} b\sin t \cdot (-a\sin t)\,dt = ab\int_0^{2\pi}\sin^2 t\,dt = \pi ab$$

極座標での面積

極方程式 $r = f(\theta)$ で囲まれた面積は $S = \dfrac{1}{2}\int_\alpha^\beta r^2\,d\theta$ です。カージオイドの面積 $\dfrac{3\pi a^2}{2}$ やレムニスケートの面積 $a^2$ などが典型例です。

💡 座標系と積分公式の対応

直交座標:$S = \int_a^b |f(x) - g(x)|\,dx$(短冊型)

媒介変数:$S = \left|\int_\alpha^\beta y(t)\,x'(t)\,dt\right|$

極座標:$S = \dfrac{1}{2}\int_\alpha^\beta r(\theta)^2\,d\theta$(扇形型)

5入試実戦演習

問題 1LEVEL A楕円×接線

楕円 $\dfrac{x^2}{9} + \dfrac{y^2}{4} = 1$ 上の点 $(3\cos t, 2\sin t)$ における接線の方程式を $t$ を用いて表せ。

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解答

接線公式 $\dfrac{x_0 x}{a^2} + \dfrac{y_0 y}{b^2} = 1$ に $(x_0, y_0) = (3\cos t, 2\sin t)$ を代入:

$$\frac{3\cos t \cdot x}{9} + \frac{2\sin t \cdot y}{4} = 1$$

$$\frac{x\cos t}{3} + \frac{y\sin t}{2} = 1$$

採点ポイント
  • 接線公式の適用 … 5点
  • 計算の整理 … 3点
  • 最終式 … 2点
問題 2LEVEL B極方程式×面積

カージオイド $r = 2(1 + \cos\theta)$ で囲まれた面積を求めよ。

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解答

$$S = \frac{1}{2}\int_0^{2\pi} r^2\,d\theta = \frac{1}{2}\int_0^{2\pi} 4(1+\cos\theta)^2\,d\theta$$

$(1+\cos\theta)^2 = 1 + 2\cos\theta + \cos^2\theta = 1 + 2\cos\theta + \dfrac{1+\cos 2\theta}{2} = \dfrac{3}{2} + 2\cos\theta + \dfrac{\cos 2\theta}{2}$

$$S = 2\int_0^{2\pi}\left(\frac{3}{2} + 2\cos\theta + \frac{\cos 2\theta}{2}\right)d\theta = 2\left[\frac{3}{2}\theta + 2\sin\theta + \frac{\sin 2\theta}{4}\right]_0^{2\pi} = 2 \cdot 3\pi = 6\pi$$

採点ポイント
  • 面積公式の適用 … 3点
  • $(1+\cos\theta)^2$ の展開 … 3点
  • 積分の計算 … 4点
問題 3LEVEL B双曲線×漸近線

双曲線 $\dfrac{x^2}{4} - \dfrac{y^2}{9} = 1$ の漸近線と直線 $x = 2$ で囲まれた三角形の面積を求めよ。

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解答

漸近線は $y = \pm\dfrac{3}{2}x$。$x = 2$ との交点は $(2, 3)$ と $(2, -3)$。

漸近線の交点は原点 $(0, 0)$。

底辺の長さ $= 3 - (-3) = 6$、高さ $= 2$($x = 0$ から $x = 2$ まで)

面積 $= \dfrac{1}{2} \times 6 \times 2 = 6$

採点ポイント
  • 漸近線の方程式 … 3点
  • 交点の計算 … 3点
  • 面積の計算 … 4点
問題 4LEVEL C極方程式×離心率

極方程式 $r = \dfrac{3}{2 + \cos\theta}$ について、この曲線の離心率と曲線の種類を求め、直交座標の方程式に変換せよ。

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解答

$r = \dfrac{3}{2 + \cos\theta} = \dfrac{3/2}{1 + \frac{1}{2}\cos\theta}$

$r = \dfrac{l}{1 + e\cos\theta}$ と比較して $e = \dfrac{1}{2}$、$l = \dfrac{3}{2}$

$e = \dfrac{1}{2} < 1$ なので楕円

直交座標への変換:$r(2 + \cos\theta) = 3$ より $2r + r\cos\theta = 3$

$2\sqrt{x^2 + y^2} + x = 3$、$2\sqrt{x^2+y^2} = 3 - x$

$4(x^2+y^2) = 9 - 6x + x^2$、$3x^2 + 6x + 4y^2 = 9$

$3(x+1)^2 + 4y^2 = 12$、$\dfrac{(x+1)^2}{4} + \dfrac{y^2}{3} = 1$

中心 $(-1, 0)$、$a = 2$, $b = \sqrt{3}$ の楕円

解説

極方程式を標準形 $r = \dfrac{l}{1+e\cos\theta}$ に変形することで、離心率 $e$ を読み取れます。直交座標への変換では $r\cos\theta = x$, $r = \sqrt{x^2+y^2}$ の関係を使い、平方完成で楕円の標準形に直します。

採点ポイント
  • 離心率の読み取り … 2点
  • 曲線の種類の判定 … 2点
  • 直交座標への変換 … 3点
  • 標準形への整理 … 3点

まとめ

✅ 確認テスト

Q1. 楕円の離心率 $e$ の範囲は?

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$0 < e < 1$

Q2. 放物線 $y^2 = 4px$ の焦点を極とした極方程式は?

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$r = \dfrac{2p}{1 + \cos\theta}$($e = 1$, $l = 2p$)

Q3. 楕円 $\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1$ の面積は?

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$\pi ab$

Q4. 極座標での面積公式は?

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$S = \dfrac{1}{2}\int_\alpha^\beta r(\theta)^2\,d\theta$

Q5. $r = \dfrac{6}{1+2\cos\theta}$ はどんな曲線?

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$e = 2 > 1$ なので双曲線