第7章 ベクトル

ベクトルの内積
─ 2つのベクトルの「相性」を測る

ベクトルの和・差・スカラー倍を学びましたが、2つのベクトルの「かけ算」に相当する演算はあるのでしょうか。内積(ドット積)は、2つのベクトルから1つの実数(スカラー)を生み出す演算です。内積は、角度の計算、垂直判定、射影など、ベクトルの応用で最も重要な道具となります。

1内積の定義 ─ なぜ $\cos\theta$ をかけるのか

$\vec{0}$ でない2つのベクトル $\vec{a}$ と $\vec{b}$ のなす角を $\theta$($0^\circ \le \theta \le 180^\circ$)とします。$\vec{a}$ と $\vec{b}$ の内積を次のように定義します。

📐 内積の定義

$$\vec{a} \cdot \vec{b} = |\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta$$

※ $\vec{a}$ または $\vec{b}$ が $\vec{0}$ のときは $\vec{a} \cdot \vec{b} = 0$ と定めます。

内積の結果はベクトルではなくスカラー(実数)です。これが和や差との決定的な違いです。

💡 ここが本質:内積は「どれだけ同じ方向を向いているか」の指標

$\cos\theta$ は2つのベクトルの向きの「一致度」を表します。

同じ向き($\theta = 0^\circ$)のとき $\cos\theta = 1$ で内積は最大($|\vec{a}||\vec{b}|$)。直交($\theta = 90^\circ$)のとき $\cos\theta = 0$ で内積は $0$。反対向き($\theta = 180^\circ$)のとき $\cos\theta = -1$ で内積は負($-|\vec{a}||\vec{b}|$)。

つまり内積は、2つのベクトルが「どれだけ同じ方向を向いているか」を、大きさを考慮して数値化したものです。

内積の符号と角度の関係

$\theta$ の範囲$\cos\theta$ の符号$\vec{a} \cdot \vec{b}$ の符号幾何学的意味
$0^\circ \le \theta < 90^\circ$鋭角をなす(同じ側を向く)
$\theta = 90^\circ$$0$$0$直交する
$90^\circ < \theta \le 180^\circ$鈍角をなす(反対側を向く)
⚠️ 落とし穴:なす角は $0^\circ$ 以上 $180^\circ$ 以下

✗ 誤:2つのベクトルのなす角は $270^\circ$ になりうる

○ 正:ベクトルのなす角は常に $0^\circ \le \theta \le 180^\circ$ の範囲

始点をそろえたとき、2つのベクトルの間にできる角のうち小さい方($180^\circ$ 以下)を「なす角」とします。$240^\circ$ と考えたくなる場合も $360^\circ - 240^\circ = 120^\circ$ が正しいなす角です。

⚠️ 落とし穴:内積はベクトルではない

✗ 誤:$\vec{a} \cdot \vec{b}$ はベクトルである

○ 正:$\vec{a} \cdot \vec{b}$ はスカラー(実数)である

内積の結果には矢印を付けません。$\vec{a} \cdot \vec{b} = 3$ のように、ただの数になります。これは和 $\vec{a} + \vec{b}$(ベクトル)とは根本的に異なります。

🔬 深掘り:物理学における「仕事」と内積

物理学で力 $\vec{F}$ を加えて物体を $\vec{d}$ だけ移動させたとき、力がした「仕事」は $W = \vec{F} \cdot \vec{d} = |\vec{F}||\vec{d}|\cos\theta$ と定義されます。力の方向と移動方向が直交すれば仕事は $0$(横向きの力では物体は加速しない)、反対方向なら負の仕事(ブレーキ)です。内積の定義は物理的にも自然なのです。

2成分による内積の計算 ─ かけて足すだけ

$\vec{a} = (a_1, a_2)$、$\vec{b} = (b_1, b_2)$ のとき、内積は成分を使って次のように計算できます。

📐 成分による内積

$$\vec{a} \cdot \vec{b} = a_1 b_1 + a_2 b_2$$

※ 対応する成分どうしをかけて足す ── これだけです。$(3, 2) \cdot (1, -4) = 3 \cdot 1 + 2 \cdot (-4) = -5$

▷ 成分表示の内積公式の導出

余弦定理を使って導きます。$\vec{a} = \overrightarrow{OA}$、$\vec{b} = \overrightarrow{OB}$ とし、なす角を $\theta$ とすると、三角形 $OAB$ に余弦定理を適用して:

$$AB^2 = OA^2 + OB^2 - 2 \cdot OA \cdot OB \cdot \cos\theta$$

左辺:$AB^2 = (a_1 - b_1)^2 + (a_2 - b_2)^2 = a_1^2 - 2a_1 b_1 + b_1^2 + a_2^2 - 2a_2 b_2 + b_2^2$

右辺:$(a_1^2 + a_2^2) + (b_1^2 + b_2^2) - 2|\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta$

両辺を比較すると $-2a_1 b_1 - 2a_2 b_2 = -2|\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta$ より:

$$\vec{a} \cdot \vec{b} = |\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta = a_1 b_1 + a_2 b_2$$

💡 ここが本質:2つの内積公式は同じものの別表現

内積には「幾何学的定義」と「成分計算」の2つの顔があります。

$$\underbrace{|\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta}_{\text{角度から計算}} = \underbrace{a_1 b_1 + a_2 b_2}_{\text{成分から計算}}$$

角度がわかっているときは左辺を、成分がわかっているときは右辺を使います。両方が使えることで、「成分から角度を求める」ことが可能になります。

内積と大きさの関係

ベクトル自身との内積 $\vec{a} \cdot \vec{a}$ を計算すると($\theta = 0^\circ$ なので $\cos 0^\circ = 1$):

$$\vec{a} \cdot \vec{a} = |\vec{a}|^2 = a_1^2 + a_2^2$$

つまり、大きさの二乗は自分自身との内積です。この関係は頻繁に使います。$|\vec{a}|^2$ を計算したいときに、わざわざルートを取って二乗し直すよりも、$\vec{a} \cdot \vec{a}$ として成分計算する方が圧倒的に効率的です。

⚠️ 落とし穴:$|\vec{a} + \vec{b}|^2$ の展開

✗ 誤:$|\vec{a} + \vec{b}|^2 = |\vec{a}|^2 + |\vec{b}|^2$

○ 正:$|\vec{a} + \vec{b}|^2 = |\vec{a}|^2 + 2\vec{a} \cdot \vec{b} + |\vec{b}|^2$

$|\vec{a} + \vec{b}|^2 = (\vec{a}+\vec{b}) \cdot (\vec{a}+\vec{b})$ を展開するときは内積の「交差項」$2\vec{a} \cdot \vec{b}$ を忘れないこと。これは実数の $(a+b)^2 = a^2 + 2ab + b^2$ と全く同じ構造です。

3内積の性質 ─ 数の計算と似ているが違う点

内積は次の性質を満たします。これらを使うことで、内積を含む式を自由に変形できます。

📐 内積の演算法則

$$\vec{a} \cdot \vec{b} = \vec{b} \cdot \vec{a} \quad \text{(交換法則)}$$

$$\vec{a} \cdot (\vec{b} + \vec{c}) = \vec{a} \cdot \vec{b} + \vec{a} \cdot \vec{c} \quad \text{(分配法則)}$$

$$(k\vec{a}) \cdot \vec{b} = k(\vec{a} \cdot \vec{b}) = \vec{a} \cdot (k\vec{b})$$

$$\vec{a} \cdot \vec{a} = |\vec{a}|^2 \ge 0$$

これらの法則は、成分で内積を計算すれば直接確かめられます。たとえば交換法則は $a_1 b_1 + a_2 b_2 = b_1 a_1 + b_2 a_2$ から明らかです。

⚠️ 落とし穴:結合法則は成り立たない

✗ 誤:$(\vec{a} \cdot \vec{b}) \cdot \vec{c} = \vec{a} \cdot (\vec{b} \cdot \vec{c})$ が成り立つ

○ 正:$(\vec{a} \cdot \vec{b}) \cdot \vec{c}$ はスカラー倍、$\vec{a} \cdot (\vec{b} \cdot \vec{c})$ もスカラー倍で、一般に異なる

$\vec{a} \cdot \vec{b}$ はスカラーなので、$(\vec{a} \cdot \vec{b}) \cdot \vec{c}$ は「数 × ベクトル」つまりスカラー倍です。同様に $\vec{a} \cdot (\vec{b} \cdot \vec{c})$ も「ベクトル × 数」です。これらはベクトルになるため、内積ではなくスカラー倍の演算です。内積の「結合法則」は意味をなしません。

大きさの二乗の展開公式

内積の分配法則を使うと、大きさの二乗を次のように展開できます。

$$|\vec{a} + \vec{b}|^2 = (\vec{a} + \vec{b}) \cdot (\vec{a} + \vec{b}) = |\vec{a}|^2 + 2\vec{a} \cdot \vec{b} + |\vec{b}|^2$$

$$|\vec{a} - \vec{b}|^2 = |\vec{a}|^2 - 2\vec{a} \cdot \vec{b} + |\vec{b}|^2$$

この2式の差を取ると、内積を「大きさの情報だけ」から求める公式が得られます。

$$\vec{a} \cdot \vec{b} = \frac{|\vec{a} + \vec{b}|^2 - |\vec{a} - \vec{b}|^2}{4}$$

🔬 深掘り:内積空間とヒルベルト空間

上の演算法則を公理として採用し、内積が定義されたベクトル空間を「内積空間」と呼びます。さらに完備性という条件を加えたものが「ヒルベルト空間」で、量子力学の数学的基礎を成しています。高校で学ぶ内積の性質は、現代物理学の土台なのです。

4余弦定理と内積の関係 ─ 2つの公式は同じもの

内積の定義と余弦定理は、実は同じことを別の形で表現しています。この対応関係を理解すると、内積の公式を「覚える」必要がなくなります。

余弦定理から内積へ

三角形 $OAB$ で $\overrightarrow{OA} = \vec{a}$、$\overrightarrow{OB} = \vec{b}$、$\angle AOB = \theta$ とすると:

$$AB^2 = OA^2 + OB^2 - 2 \cdot OA \cdot OB \cdot \cos\theta$$

ベクトルで書き直すと $\overrightarrow{AB} = \vec{b} - \vec{a}$ なので:

$$|\vec{b} - \vec{a}|^2 = |\vec{a}|^2 + |\vec{b}|^2 - 2|\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta$$

一方、内積で展開すると:

$$|\vec{b} - \vec{a}|^2 = |\vec{a}|^2 - 2\vec{a} \cdot \vec{b} + |\vec{b}|^2$$

比較すると $\vec{a} \cdot \vec{b} = |\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta$ が得られます。

💡 ここが本質:余弦定理を「ベクトルの言葉」に翻訳したものが内積

余弦定理は三角形の辺と角の関係を述べています。これをベクトルで書き直すと、自然に内積の定義式が現れます。つまり内積は、余弦定理のベクトル版なのです。

内積を「新しい概念」として暗記する必要はありません。余弦定理を知っていれば、内積は自然に理解できます。

内積から余弦定理へ

逆に、内積の性質から余弦定理を導くこともできます。三角形の3辺 $\vec{a}$、$\vec{b}$、$\vec{c} = \vec{b} - \vec{a}$ に対して $|\vec{c}|^2$ を展開すれば、直ちに余弦定理が出てきます。

このように、内積と余弦定理は相互に導出できる同値な関係にあります。

⚠️ 落とし穴:なす角の始点をそろえ忘れる

✗ 誤:$\overrightarrow{AB}$ と $\overrightarrow{BC}$ のなす角に余弦定理を直接適用

○ 正:始点をそろえて $\overrightarrow{BA}$ と $\overrightarrow{BC}$ のなす角($= \angle B$)を考える

内積の定義では2つのベクトルの始点を一致させます。$\overrightarrow{AB}$ と $\overrightarrow{BC}$ は始点が異なるので、$\overrightarrow{BA}$ と $\overrightarrow{BC}$(始点が $B$)に変換してからなす角を考えます。

5内積の幾何学的意味 ─ 射影として理解する

内積にはもう一つ重要な幾何学的解釈があります。それが射影(projection)です。

正射影の長さ

$\vec{b}$ を $\vec{a}$ の方向に「影」を落とすことを考えます。$\vec{b}$ の始点から $\vec{a}$ の方向に垂線を下ろしたとき、$\vec{a}$ 方向の影の長さ(符号付き)は:

$$|\vec{b}|\cos\theta$$

この値に $|\vec{a}|$ をかけたものが内積です。つまり:

📐 内積の射影解釈

$$\vec{a} \cdot \vec{b} = |\vec{a}| \times (|\vec{b}|\cos\theta) = |\vec{a}| \times (\vec{b} \text{ の } \vec{a} \text{ 方向への射影の長さ})$$

※ $\vec{b}$ の $\vec{a}$ 方向への正射影ベクトルは $\dfrac{\vec{a} \cdot \vec{b}}{|\vec{a}|^2}\vec{a}$ と表せます。

💡 ここが本質:内積 = 「一方のベクトルが他方に沿ってどれだけ働くか」

$\vec{b}$ のうち $\vec{a}$ と同じ方向の成分だけを取り出し、$|\vec{a}|$ を重みとしてかけたものが内積です。直交する成分は内積に寄与しません。

物理で「力の仕事」が $W = |\vec{F}||\vec{d}|\cos\theta$ となるのは、力のうち移動方向に沿った成分だけが仕事をするからです。内積は本質的に「射影の量」なのです。

正射影ベクトル

$\vec{b}$ を $\vec{a}$ の方向に射影したベクトル(正射影ベクトル)は:

$$\text{proj}_{\vec{a}}\vec{b} = \frac{\vec{a} \cdot \vec{b}}{|\vec{a}|^2}\vec{a}$$

$\vec{a}$ 方向の単位ベクトルが $\dfrac{\vec{a}}{|\vec{a}|}$ であり、射影の長さが $\dfrac{\vec{a} \cdot \vec{b}}{|\vec{a}|}$ なので、射影ベクトル $= $ 長さ $\times$ 単位ベクトルとして上の式が得られます。

🔬 深掘り:射影と最小二乗法

データ分析でよく使われる「最小二乗法」は、データベクトルをモデル空間に射影する操作です。正射影の公式 $\text{proj}_{\vec{a}}\vec{b} = \dfrac{\vec{a} \cdot \vec{b}}{|\vec{a}|^2}\vec{a}$ を行列に拡張したものが、回帰分析の公式 $\hat{\boldsymbol{\beta}} = (X^T X)^{-1} X^T \boldsymbol{y}$ です。内積と射影の概念は、統計学・機械学習の基礎を支えています。

まとめ

✅ 確認テスト

Q1. $\vec{a} = (3, 1)$、$\vec{b} = (2, -4)$ のとき、$\vec{a} \cdot \vec{b}$ を求めよ。

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$\vec{a} \cdot \vec{b} = 3 \cdot 2 + 1 \cdot (-4) = 6 - 4 = 2$

Q2. $|\vec{a}| = 3$、$|\vec{b}| = 4$、なす角 $\theta = 60^\circ$ のとき、$\vec{a} \cdot \vec{b}$ は?

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$\vec{a} \cdot \vec{b} = 3 \cdot 4 \cdot \cos 60^\circ = 12 \cdot \dfrac{1}{2} = 6$

Q3. $\vec{a} \cdot \vec{a} = 25$ のとき、$|\vec{a}|$ は?

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$|\vec{a}|^2 = 25$ より $|\vec{a}| = 5$

Q4. $|\vec{a} + \vec{b}|^2$ を内積を使って展開せよ。

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$|\vec{a} + \vec{b}|^2 = |\vec{a}|^2 + 2\vec{a} \cdot \vec{b} + |\vec{b}|^2$

Q5. 内積の結合法則 $(\vec{a} \cdot \vec{b}) \cdot \vec{c} = \vec{a} \cdot (\vec{b} \cdot \vec{c})$ は成り立つか?

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成り立たない。$\vec{a} \cdot \vec{b}$ はスカラーなので、$(\vec{a} \cdot \vec{b}) \cdot \vec{c}$ はスカラー倍(ベクトル)であり、内積の式として意味をなさない。

6入試問題演習

問題 1 LEVEL A 内積の基本計算

$|\vec{a}| = 2$、$|\vec{b}| = 3$、$\vec{a} \cdot \vec{b} = -3$ のとき、次を求めよ。

(1) $\vec{a}$ と $\vec{b}$ のなす角 $\theta$

(2) $|\vec{a} + \vec{b}|$

(3) $|2\vec{a} - \vec{b}|$

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解答

(1) $\cos\theta = \dfrac{\vec{a} \cdot \vec{b}}{|\vec{a}||\vec{b}|} = \dfrac{-3}{2 \cdot 3} = -\dfrac{1}{2}$

$0^\circ \le \theta \le 180^\circ$ より $\theta = 120^\circ$

(2) $|\vec{a}+\vec{b}|^2 = |\vec{a}|^2 + 2\vec{a}\cdot\vec{b} + |\vec{b}|^2 = 4 + 2(-3) + 9 = 7$

$|\vec{a}+\vec{b}| = \sqrt{7}$

(3) $|2\vec{a}-\vec{b}|^2 = 4|\vec{a}|^2 - 4\vec{a}\cdot\vec{b} + |\vec{b}|^2 = 16 - 4(-3) + 9 = 37$

$|2\vec{a}-\vec{b}| = \sqrt{37}$

採点ポイント
  • $\cos\theta$ の計算と角度の特定 … 3点
  • $|\vec{a}+\vec{b}|^2$ の正しい展開 … 3点
  • $|2\vec{a}-\vec{b}|^2$ の展開(係数に注意) … 4点
問題 2 LEVEL B 内積と大きさ

$|\vec{a}| = 1$、$|\vec{b}| = 2$、$|\vec{a} - \vec{b}| = \sqrt{7}$ のとき、$\vec{a} \cdot \vec{b}$ と $\vec{a}$、$\vec{b}$ のなす角 $\theta$ を求めよ。

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解答

$|\vec{a}-\vec{b}|^2 = |\vec{a}|^2 - 2\vec{a}\cdot\vec{b} + |\vec{b}|^2$ より:

$7 = 1 - 2\vec{a}\cdot\vec{b} + 4 = 5 - 2\vec{a}\cdot\vec{b}$

$\vec{a}\cdot\vec{b} = -1$

$\cos\theta = \dfrac{-1}{1 \cdot 2} = -\dfrac{1}{2}$ より $\theta = 120^\circ$

採点ポイント
  • $|\vec{a}-\vec{b}|^2$ の展開 … 3点
  • $\vec{a}\cdot\vec{b} = -1$ の導出 … 4点
  • $\theta = 120^\circ$ の結論 … 3点
問題 3 LEVEL B 内積の最大最小

$\vec{a} = (1, 2)$ とする。$|\vec{b}| = 1$ を満たすベクトル $\vec{b}$ に対して、内積 $\vec{a} \cdot \vec{b}$ の最大値と最小値を求めよ。

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解答

$\vec{a} \cdot \vec{b} = |\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta = \sqrt{5} \cdot 1 \cdot \cos\theta = \sqrt{5}\cos\theta$

$0^\circ \le \theta \le 180^\circ$ で $\cos\theta$ は $-1 \le \cos\theta \le 1$ の範囲を動くので:

最大値:$\sqrt{5}$($\theta = 0^\circ$ のとき、$\vec{b}$ が $\vec{a}$ と同じ向き)

最小値:$-\sqrt{5}$($\theta = 180^\circ$ のとき、$\vec{b}$ が $\vec{a}$ と逆向き)

解説

別解として成分で $\vec{b} = (\cos\alpha, \sin\alpha)$ とおき、$\vec{a}\cdot\vec{b} = \cos\alpha + 2\sin\alpha = \sqrt{5}\sin(\alpha + \phi)$(合成)から $-\sqrt{5} \le \vec{a}\cdot\vec{b} \le \sqrt{5}$ と求めることもできます。内積の定義式を使う方が直截的です。

採点ポイント
  • $\vec{a}\cdot\vec{b} = \sqrt{5}\cos\theta$ の導出 … 3点
  • $\cos\theta$ の範囲の正しい認識 … 3点
  • 最大値 $\sqrt{5}$、最小値 $-\sqrt{5}$ … 4点
問題 4 LEVEL C 内積と式変形

$|\vec{a}| = 3$、$|\vec{b}| = 2$ とする。$\vec{c} = t\vec{a} + (1-t)\vec{b}$($t$ は実数)の大きさ $|\vec{c}|$ が最小となる $t$ の値を、$\vec{a} \cdot \vec{b}$ を用いて表せ。

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解答

$|\vec{c}|^2 = |t\vec{a} + (1-t)\vec{b}|^2$

$= t^2|\vec{a}|^2 + 2t(1-t)\vec{a}\cdot\vec{b} + (1-t)^2|\vec{b}|^2$

$= 9t^2 + 2t(1-t)\vec{a}\cdot\vec{b} + 4(1-t)^2$

$\vec{a}\cdot\vec{b} = d$ とおくと:

$= 9t^2 + 2(t - t^2)d + 4(1 - 2t + t^2)$

$= 9t^2 + 2td - 2t^2 d + 4 - 8t + 4t^2$

$= (13 - 2d)t^2 + (2d - 8)t + 4$

これは $t$ の2次関数($13 - 2d > 0$ であることは $|d| \le |\vec{a}||\vec{b}| = 6$ より保証される)。

最小となる $t$ は $t = -\dfrac{2d - 8}{2(13 - 2d)} = \dfrac{8 - 2d}{2(13 - 2d)} = \dfrac{4 - \vec{a}\cdot\vec{b}}{13 - 2\vec{a}\cdot\vec{b}}$

解説

$|\vec{c}|^2$ を $t$ の2次関数とみて頂点の $t$ 座標を求める問題です。$\vec{a}\cdot\vec{b}$ が未知のまま文字で処理する必要があるため、展開と整理を丁寧に行うことが重要です。2次の係数が正であることの確認(コーシー・シュワルツの不等式 $|d| \le 6$ を利用)も採点対象です。

採点ポイント
  • $|\vec{c}|^2$ の展開 … 3点
  • $t$ の2次関数への整理 … 3点
  • 2次の係数の正値性確認 … 1点
  • 最小値を与える $t$ の正しい表現 … 3点