第6章の後半テーマ ── 曲線の長さ(弧長)、速度と道のり、微分方程式 ── を融合した総合問題に取り組みます。弧長の計算は被積分関数の処理が鍵であり、微分方程式は積分法の「逆問題」として重要です。これらを組み合わせた入試問題に対応できる力を養いましょう。
曲線 $y = f(x)$ の $x = a$ から $x = b$ までの長さ(弧長)は、微小区間での線分の長さ $\sqrt{(dx)^2 + (dy)^2}$ を積み上げることで得られます。
$y = f(x)$ の弧長:
$$L = \int_a^b \sqrt{1 + \left(\frac{dy}{dx}\right)^2}\,dx$$
媒介変数表示 $x = x(t),\; y = y(t)$ の弧長:
$$L = \int_{t_1}^{t_2} \sqrt{\left(\frac{dx}{dt}\right)^2 + \left(\frac{dy}{dt}\right)^2}\,dt$$
※ $\sqrt{1 + (y')^2}$ の積分は一般に難しく、被積分関数がきれいにまとまる曲線は限られています。入試で出題されるのは、計算が実行可能な特殊な曲線です。
$y = \dfrac{x^2}{2}$($0 \le x \le 1$)の弧長を求めます。$y' = x$ より:
$$L = \int_0^1 \sqrt{1 + x^2}\,dx$$
$x = \tan\theta$ と置換すると $dx = \dfrac{d\theta}{\cos^2\theta}$、$\sqrt{1+x^2} = \dfrac{1}{\cos\theta}$ なので:
$$L = \int_0^{\pi/4} \frac{1}{\cos^3\theta}\,d\theta$$
$\int \dfrac{d\theta}{\cos^3\theta}$ の計算には部分積分を用いて漸化式を導くか、公式を使います。結果は:
$$L = \frac{1}{2}\left[\frac{\tan\theta}{\cos\theta} + \log\left|\tan\theta + \frac{1}{\cos\theta}\right|\right]_0^{\pi/4} = \frac{\sqrt{2}}{2} + \frac{1}{2}\log(1 + \sqrt{2})$$
$\sqrt{1 + (y')^2}$ の中身が完全平方式になるとき、根号が外れて弧長が簡単に求まります。具体的には:
$y' = \dfrac{t^2 - 1}{2t}$ の形のとき、$1 + (y')^2 = \left(\dfrac{t^2 + 1}{2t}\right)^2$ となります。
入試でよく出る $y = \dfrac{x^3}{3} + \dfrac{1}{4x}$ などの曲線は、この構造を利用して弧長が簡潔に計算できるよう設計されています。
$y = \dfrac{x^3}{3} + \dfrac{1}{4x}$($1 \le x \le 2$)の弧長を求めます。
$y' = x^2 - \dfrac{1}{4x^2}$ より:
$$1 + (y')^2 = 1 + x^4 - \frac{1}{2} + \frac{1}{16x^4} = x^4 + \frac{1}{2} + \frac{1}{16x^4} = \left(x^2 + \frac{1}{4x^2}\right)^2$$
$$L = \int_1^2 \left(x^2 + \frac{1}{4x^2}\right)\,dx = \left[\frac{x^3}{3} - \frac{1}{4x}\right]_1^2 = \left(\frac{8}{3} - \frac{1}{8}\right) - \left(\frac{1}{3} - \frac{1}{4}\right) = \frac{59}{24}$$
✗ $1 + \left(x^2 - \dfrac{1}{4x^2}\right)^2$ を $\left(x^2 - \dfrac{1}{4x^2}\right)^2$ のまま処理する($1$ を足し忘れ)
✓ 必ず $1 +$ を含めて $\left(x^2 + \dfrac{1}{4x^2}\right)^2$ となることを確認する
$(a - b)^2 + 1 = (a + b)^2$ が成り立つのは $2ab = 1$ のとき(つまり $ab = \dfrac{1}{2}$)に限ります。$x^2 \cdot \dfrac{1}{4x^2} = \dfrac{1}{4}$ なので $2ab = \dfrac{1}{2} \neq 1$ ですが、定数項 $1$ と $-\dfrac{1}{2}$ を合わせて $+\dfrac{1}{2}$ になることに注意してください。
媒介変数 $t$ による表示 $x = x(t),\; y = y(t)$ のとき、弧長公式に $\sqrt{\dot{x}^2 + \dot{y}^2}$ が現れるのは、ピタゴラスの定理の微小版です。微小時間 $dt$ の間に点は $x$ 方向に $\dot{x}\,dt$、$y$ 方向に $\dot{y}\,dt$ だけ移動するので、その移動距離は $\sqrt{(\dot{x}\,dt)^2 + (\dot{y}\,dt)^2} = \sqrt{\dot{x}^2 + \dot{y}^2}\,dt$ です。
サイクロイド $x = a(\theta - \sin\theta),\; y = a(1 - \cos\theta)$($0 \le \theta \le 2\pi$)の1アーチの長さを求めます。
$\dot{x} = a(1 - \cos\theta),\; \dot{y} = a\sin\theta$ より:
$$\dot{x}^2 + \dot{y}^2 = a^2\{(1-\cos\theta)^2 + \sin^2\theta\} = a^2(2 - 2\cos\theta) = 4a^2\sin^2\frac{\theta}{2}$$
ここで半角の公式 $1 - \cos\theta = 2\sin^2\dfrac{\theta}{2}$ を使いました。
$$L = \int_0^{2\pi} 2a\left|\sin\frac{\theta}{2}\right|\,d\theta = \int_0^{2\pi} 2a\sin\frac{\theta}{2}\,d\theta = 2a\left[-2\cos\frac{\theta}{2}\right]_0^{2\pi} = 2a(2 + 2) = 8a$$
$1 - \cos\theta = 2\sin^2\dfrac{\theta}{2}$ という半角の公式は、三角関数を含む弧長計算で根号を外すための最重要テクニックです。
$\sqrt{2 - 2\cos\theta} = 2\left|\sin\dfrac{\theta}{2}\right|$ という変形パターンを覚えておくと、サイクロイドに限らず多くの媒介変数曲線の弧長計算で活用できます。
極座標で $r = a(1 + \cos\theta)$($a > 0$)と表されるカージオイドの全長を求めます。極座標の弧長公式は:
$$L = \int_0^{2\pi}\sqrt{r^2 + \left(\frac{dr}{d\theta}\right)^2}\,d\theta$$
$\dfrac{dr}{d\theta} = -a\sin\theta$ より:
$$r^2 + \left(\frac{dr}{d\theta}\right)^2 = a^2(1+\cos\theta)^2 + a^2\sin^2\theta = a^2(2 + 2\cos\theta) = 4a^2\cos^2\frac{\theta}{2}$$
$$L = \int_0^{2\pi} 2a\left|\cos\frac{\theta}{2}\right|\,d\theta = 4a\int_0^{\pi}\cos\frac{\theta}{2}\,d\theta = 4a\left[2\sin\frac{\theta}{2}\right]_0^{\pi} = 8a$$
✗ 極座標曲線に $L = \int\sqrt{1 + (dy/dx)^2}\,dx$ を直接適用しようとする
✓ 極座標では $L = \int\sqrt{r^2 + (dr/d\theta)^2}\,d\theta$ を使う
極座標から $x = r\cos\theta,\; y = r\sin\theta$ と変換して媒介変数の公式を使っても同じ結果が得られます。
平面上を運動する点 $P(x(t), y(t))$ の速度ベクトルは $\boldsymbol{v} = (\dot{x}, \dot{y})$、速さ(速度の大きさ)は $|\boldsymbol{v}| = \sqrt{\dot{x}^2 + \dot{y}^2}$ です。道のりは速さの時間積分であり、弧長と本質的に同じ量です。
速さ:$v(t) = \sqrt{\left(\frac{dx}{dt}\right)^2 + \left(\frac{dy}{dt}\right)^2}$
道のり:$L = \int_{t_1}^{t_2} v(t)\,dt = \int_{t_1}^{t_2}\sqrt{\dot{x}^2 + \dot{y}^2}\,dt$
※ 道のりと弧長は同じ量です。物理的な「道のり」は幾何学的な「弧長」に対応します。
$x = R\cos\omega t,\; y = R\sin\omega t$($R > 0,\; \omega > 0$)の場合、速さは:
$$v = \sqrt{R^2\omega^2\sin^2\omega t + R^2\omega^2\cos^2\omega t} = R\omega$$
1周期 $T = \dfrac{2\pi}{\omega}$ の道のりは $L = R\omega \cdot \dfrac{2\pi}{\omega} = 2\pi R$(円周の長さ)です。
$x = e^{-t}\cos t,\; y = e^{-t}\sin t$($t \ge 0$)は、原点に向かって螺旋的に近づく減衰螺旋運動です。
$\dot{x} = e^{-t}(-\cos t - \sin t),\; \dot{y} = e^{-t}(-\sin t + \cos t)$ より:
$$\dot{x}^2 + \dot{y}^2 = e^{-2t}\{(\cos t + \sin t)^2 + (\sin t - \cos t)^2\} = 2e^{-2t}$$
$t = 0$ から $t = \infty$ までの道のり(全道のり)は:
$$L = \int_0^{\infty}\sqrt{2}\,e^{-t}\,dt = \sqrt{2}\left[-e^{-t}\right]_0^{\infty} = \sqrt{2}$$
✗ 道のりを「始点から終点への距離」として $\sqrt{(x(t_2)-x(t_1))^2 + (y(t_2)-y(t_1))^2}$ で計算
✓ 道のりは経路に沿った長さ $\int v\,dt$ であり、一般に変位の大きさとは異なる
曲がった経路を通る場合、道のりは直線距離よりも長くなります。等号は直線運動の場合のみです。
大学の微分幾何学では、弧長 $s$ 自体をパラメータとして曲線を記述します(弧長パラメータ表示)。このとき $\left|\dfrac{d\boldsymbol{r}}{ds}\right| = 1$ が常に成り立ち、曲率の定義が自然に導かれます。高校で学ぶ弧長計算は、この理論の出発点です。
微分方程式とは、未知関数とその導関数を含む方程式のことです。高校数学IIIで扱う最も基本的な型が変数分離型です。
$$\frac{dy}{dx} = f(x)\,g(y)$$
の形の方程式を変数分離型と呼びます。解法は:
$$\frac{dy}{g(y)} = f(x)\,dx \quad \Longrightarrow \quad \int\frac{dy}{g(y)} = \int f(x)\,dx + C$$
※ $g(y) \neq 0$ を仮定しています。$g(y) = 0$ となる $y$ は特異解の候補です。
$\dfrac{dy}{dx} = ky$($k$ は定数)を解きます。$y \neq 0$ のとき:
$$\frac{dy}{y} = k\,dx \quad \Longrightarrow \quad \log|y| = kx + C_1 \quad \Longrightarrow \quad y = Ae^{kx} \quad (A = \pm e^{C_1})$$
$y = 0$ も解です($A = 0$ に対応)。よって一般解は $y = Ae^{kx}$($A$ は任意定数)です。
1階の微分方程式の一般解には1つの任意定数が含まれます。これは積分によって不定積分の定数 $C$ が1つ生じるためです。
初期条件 $y(x_0) = y_0$ を与えると任意定数が決まり、特殊解(初期値問題の解)が得られます。微分方程式を解くとは、導関数の情報から元の関数を復元すること ── つまり積分の本質そのものです。
$\dfrac{dy}{dx} = y(1 - y)$ は個体群の増殖モデルです。変数分離して:
$$\frac{dy}{y(1-y)} = dx$$
左辺を部分分数分解すると $\dfrac{1}{y(1-y)} = \dfrac{1}{y} + \dfrac{1}{1-y}$ なので:
$$\log|y| - \log|1-y| = x + C \quad \Longrightarrow \quad \log\left|\frac{y}{1-y}\right| = x + C$$
$$\frac{y}{1-y} = Ke^x \quad \Longrightarrow \quad y = \frac{Ke^x}{1 + Ke^x} = \frac{1}{1 + K^{-1}e^{-x}}$$
これはシグモイド関数(ロジスティック関数)であり、$x \to \infty$ で $y \to 1$、$x \to -\infty$ で $y \to 0$ です。
✗ $\dfrac{dy}{dx} = y(1-y)$ で $y = 0$ と $y = 1$ を見落とす
✓ $g(y) = y(1-y) = 0$ つまり $y = 0$ と $y = 1$ は定数解(特異解)。これらも解に含める
変数分離では $g(y)$ で割るので、$g(y) = 0$ となる値は別途確認する必要があります。
微分方程式は、物理・化学・生物学などの自然現象を数学的にモデル化する強力な道具です。入試では「具体的な現象を微分方程式で立式し、解く」形式の出題がよく見られます。
温度 $T(t)$ の物体が室温 $T_0$ の部屋に置かれたとき、温度変化は次の微分方程式に従います:
$$\frac{dT}{dt} = -k(T - T_0) \quad (k > 0)$$
$u = T - T_0$ とおくと $\dfrac{du}{dt} = -ku$ なので $u = Ae^{-kt}$、つまり $T(t) = T_0 + Ae^{-kt}$ です。
初期条件 $T(0) = T_1$ より $A = T_1 - T_0$ で、$T(t) = T_0 + (T_1 - T_0)e^{-kt}$ と求まります。$t \to \infty$ で $T(t) \to T_0$ であり、物体は室温に近づきます。
微分方程式を立てるとき、核心は「何が何に比例するか」を見抜くことです。
ニュートンの冷却法則:温度の変化速度が温度差に比例 → $\dfrac{dT}{dt} = -k(T - T_0)$
放射性崩壊:崩壊速度が現在の量に比例 → $\dfrac{dN}{dt} = -\lambda N$
「変化率が現在の状態に比例する」というパターンは、変数分離型で解ける典型的な構造です。
曲線群 $y = Cx^2$($C$ はパラメータ)と直交する曲線群(直交軌線)を求めます。
$y = Cx^2$ を微分すると $y' = 2Cx = \dfrac{2y}{x}$($C = \dfrac{y}{x^2}$ を代入)。直交条件から、直交軌線の傾きは $-\dfrac{x}{2y}$ です:
$$\frac{dy}{dx} = -\frac{x}{2y} \quad \Longrightarrow \quad 2y\,dy = -x\,dx$$
$$y^2 = -\frac{x^2}{2} + C' \quad \Longrightarrow \quad \frac{x^2}{2} + y^2 = C' \quad (C' > 0)$$
これは楕円群です。放物線群 $y = Cx^2$ と楕円群 $\dfrac{x^2}{2} + y^2 = C'$ は互いに直交します。
✗ $y' = 2Cx$ の段階で直交条件を適用し、$C$ が残ったまま
✓ まず $C = \dfrac{y}{x^2}$ を代入して $y' = \dfrac{2y}{x}$($C$ を消去)してから直交条件を適用する
微分方程式で曲線群を扱うときは、パラメータを消去して $x, y, y'$ のみの関係式にすることが第一歩です。
大学では変数分離型のほか、同次型、1階線形、完全微分型、ベルヌーイ型など多様な微分方程式を学びます。さらに2階以上の微分方程式、偏微分方程式へと発展し、物理学(波動方程式、熱伝導方程式など)の基礎となります。高校で変数分離型をマスターしておくことが、その入り口です。
Q1. 曲線 $y = f(x)$ の弧長公式に現れる被積分関数は?
Q2. サイクロイド1アーチの弧長が $8a$ であるとき、半径 $a = 3$ のサイクロイドの弧長は?
Q3. $\dfrac{dy}{dx} = 2y$ の一般解は?
Q4. ニュートンの冷却法則 $\dfrac{dT}{dt} = -k(T - T_0)$ で、$T(0) = 100$、$T_0 = 20$ のとき $T(t)$ は?
Q5. 1階微分方程式の一般解に含まれる任意定数の個数は?
曲線 $y = \dfrac{x^2}{4} - \dfrac{\log x}{2}$($1 \le x \le e$)の長さ $L$ を求めよ。
$y' = \dfrac{x}{2} - \dfrac{1}{2x}$ より:
$$1 + (y')^2 = 1 + \frac{x^2}{4} - \frac{1}{2} + \frac{1}{4x^2} = \frac{x^2}{4} + \frac{1}{2} + \frac{1}{4x^2} = \left(\frac{x}{2} + \frac{1}{2x}\right)^2$$
$1 \le x \le e$ で $\dfrac{x}{2} + \dfrac{1}{2x} > 0$ なので:
$$L = \int_1^{e}\left(\frac{x}{2} + \frac{1}{2x}\right)\,dx = \left[\frac{x^2}{4} + \frac{\log x}{2}\right]_1^{e} = \left(\frac{e^2}{4} + \frac{1}{2}\right) - \frac{1}{4} = \frac{e^2 + 1}{4}$$
点 $P$ が $x = \cos^3 t,\; y = \sin^3 t$($0 \le t \le \dfrac{\pi}{2}$)に従って運動する。
(1) 時刻 $t$ における $P$ の速さ $v(t)$ を求めよ。
(2) $P$ の道のりを求めよ。
(1) $\dot{x} = -3\cos^2 t\sin t,\; \dot{y} = 3\sin^2 t\cos t$ より:
$$\dot{x}^2 + \dot{y}^2 = 9\cos^4 t\sin^2 t + 9\sin^4 t\cos^2 t = 9\sin^2 t\cos^2 t(\cos^2 t + \sin^2 t) = 9\sin^2 t\cos^2 t$$
$0 \le t \le \dfrac{\pi}{2}$ で $\sin t \ge 0,\;\cos t \ge 0$ なので:
$$v(t) = 3\sin t\cos t = \frac{3}{2}\sin 2t$$
(2)
$$L = \int_0^{\pi/2}\frac{3}{2}\sin 2t\,dt = \frac{3}{2}\left[-\frac{\cos 2t}{2}\right]_0^{\pi/2} = \frac{3}{2} \cdot \frac{1+1}{2} = \frac{3}{2}$$
$x = \cos^3 t,\; y = \sin^3 t$ はアステロイド $x^{2/3} + y^{2/3} = 1$ の第1象限部分です。全周の長さは $4 \times \dfrac{3}{2} = 6$ となります。
微分方程式 $\dfrac{dy}{dx} = \dfrac{y}{x}$($x > 0$)を初期条件 $y(1) = 2$ のもとで解け。また、この解が表す曲線を述べよ。
変数分離して:
$$\frac{dy}{y} = \frac{dx}{x} \quad \Longrightarrow \quad \log|y| = \log|x| + C$$
$$|y| = e^C |x| \quad \Longrightarrow \quad y = Ax \quad (A = \pm e^C)$$
$y = 0$ も解($A = 0$)。一般解は $y = Ax$。
初期条件 $y(1) = 2$ より $A = 2$。よって $y = 2x$。
これは原点を通り傾き $2$ の直線です。
曲線 $y = f(x)$($x \ge 0$)が次の条件を満たす:原点を始点とし、点 $(x, f(x))$ までの弧長が $e^x - 1$ に等しい。すなわち:
$$\int_0^x \sqrt{1 + \{f'(t)\}^2}\,dt = e^x - 1$$
$f(0) = 0,\; f'(x) > 0$ のとき、$f(x)$ を求めよ。
両辺を $x$ で微分すると:
$$\sqrt{1 + \{f'(x)\}^2} = e^x$$
両辺を2乗して:
$$1 + \{f'(x)\}^2 = e^{2x} \quad \Longrightarrow \quad \{f'(x)\}^2 = e^{2x} - 1$$
$f'(x) > 0$ より $f'(x) = \sqrt{e^{2x} - 1}$。
$e^x = \sec\theta$($0 \le \theta < \dfrac{\pi}{2}$)と置換すると、$e^x\,dx = \sec\theta\tan\theta\,d\theta$ で $dx = \tan\theta\,d\theta$。
$\sqrt{e^{2x} - 1} = \sqrt{\sec^2\theta - 1} = \tan\theta$ なので:
$$f(x) = \int\tan\theta \cdot \tan\theta\,d\theta = \int\tan^2\theta\,d\theta = \int(\sec^2\theta - 1)\,d\theta = \tan\theta - \theta + C$$
$\tan\theta = \sqrt{e^{2x}-1}$、$\theta = \arccos(e^{-x})$ より:
$$f(x) = \sqrt{e^{2x} - 1} - \arccos(e^{-x}) + C$$
$f(0) = 0$ より $\sqrt{1-1} - \arccos(1) + C = 0 - 0 + C = 0$ なので $C = 0$。
$$f(x) = \sqrt{e^{2x} - 1} - \arccos(e^{-x})$$
この問題は「弧長の条件から曲線を決定する」逆問題であり、微分方程式の問題に帰着します。積分等式を微分して微分方程式を得る手法は入試頻出です。置換積分の選択($e^x = \sec\theta$)がポイントですが、$\sqrt{a^2 - 1}$ 型の根号処理では $a = \sec\theta$ が定石です。