第6章 積分法の応用

積分法の応用の融合問題
─ 面積・体積・曲線の長さ・微分方程式の統合

積分法の応用で学んだテーマ ── 面積、体積、曲線の長さ、微分方程式 ── を融合した問題に挑みます。入試本番では単独テーマの出題より、複数テーマを横断する融合問題が主流です。「どのテーマの知識をいつ使うか」を見極める力と、計算を最後まで正確にやり切る力が求められます。

1面積・体積・曲線の長さの融合

面積、体積、曲線の長さは、いずれも積分で計算される量です。1つの曲線に対して「面積を求めよ」「回転体の体積を求めよ」「曲線の長さを求めよ」と複合的に問われることで、積分法の応用の総合力が試されます。

共通の出発点:曲線の把握

融合問題では、まず曲線の概形を正確に把握することが出発点です。$y = f(x)$ のグラフ、あるいは媒介変数表示 $x = x(t)$, $y = y(t)$ の概形を調べ、区間や向きを確認してから、面積・体積・長さの各計算に進みます。

📐 積分法の応用 ── 3つの基本公式

面積:$S = \displaystyle\int_a^b |f(x)|\,dx$ または $S = \displaystyle\int_{t_1}^{t_2} |y(t) \cdot x'(t)|\,dt$

体積($x$ 軸回転):$V = \pi\displaystyle\int_a^b \{f(x)\}^2\,dx$

曲線の長さ:$L = \displaystyle\int_a^b \sqrt{1 + \{f'(x)\}^2}\,dx$ または $L = \displaystyle\int_{t_1}^{t_2} \sqrt{\{x'(t)\}^2 + \{y'(t)\}^2}\,dt$

※ 媒介変数表示の面積公式では、曲線の向きと面積の符号に注意が必要です。

サイクロイドにおける融合

サイクロイド $x = a(\theta - \sin\theta)$, $y = a(1 - \cos\theta)$($0 \le \theta \le 2\pi$)は、面積・体積・長さのすべてが美しい値で求まることで知られています。

面積:サイクロイドの1アーチと $x$ 軸で囲まれる面積は:

$$S = \int_0^{2\pi} y(\theta) \cdot x'(\theta)\,d\theta = \int_0^{2\pi} a(1 - \cos\theta) \cdot a(1 - \cos\theta)\,d\theta = a^2\int_0^{2\pi} (1 - \cos\theta)^2\,d\theta$$

$(1 - \cos\theta)^2 = 1 - 2\cos\theta + \cos^2\theta = \dfrac{3}{2} - 2\cos\theta + \dfrac{1}{2}\cos 2\theta$ を積分して $S = 3\pi a^2$ です。

曲線の長さ:

$$L = \int_0^{2\pi} \sqrt{a^2(1-\cos\theta)^2 + a^2\sin^2\theta}\,d\theta = a\int_0^{2\pi}\sqrt{2(1-\cos\theta)}\,d\theta$$

$\sqrt{2(1-\cos\theta)} = 2\left|\sin\dfrac{\theta}{2}\right| = 2\sin\dfrac{\theta}{2}$($0 \le \theta \le 2\pi$ で)より:

$$L = 2a\int_0^{2\pi}\sin\frac{\theta}{2}\,d\theta = 2a\left[-2\cos\frac{\theta}{2}\right]_0^{2\pi} = 2a \cdot 4 = 8a$$

💡 融合問題における共通パターン

面積・体積・曲線の長さの融合問題には、次の共通パターンがあります。

パターン1:1つの曲線について面積 → 体積 → 長さの順に求める

パターン2:面積の結果を体積計算に利用する(例:バームクーヘン積分で面積と関連づける)

パターン3:曲線の長さが回転体の表面積に絡む

いずれの場合も、共通の曲線の式を正確に把握することが最初のステップです。

⚠️ 媒介変数表示の面積公式の符号

✗ $S = \int_{t_1}^{t_2} y(t) \cdot x'(t)\,dt$ を常にそのまま使う → 曲線の向きで負になることがある

✓ 曲線が $x$ 軸の上側にあり左から右に進むとき正。逆向きなら $-\int$ にするか絶対値をとる

サイクロイドでは $\theta$ が $0$ から $2\pi$ に増えるとき $x$ も増加するので、上の公式がそのまま使えます。

🔗 サイクロイドの歴史と物理

サイクロイドは「幾何学のヘレン」と呼ばれ、17世紀の数学者たちが競って研究した曲線です。面積 $3\pi a^2$(円の面積の3倍)はガリレオが予想し、トリチェリが証明しました。また、サイクロイドは最速降下線(ブラキストクロン問題)であり、等時曲線(タウトクロン問題)でもあるという驚くべき物理的性質をもちます。

2微分方程式と面積の融合

微分方程式の解として得られる曲線に関して面積を求める問題は、「まず微分方程式を解いて曲線を特定し、次にその曲線と他の曲線で囲まれた面積を計算する」という二段構えになります。

典型問題の構造

「曲線 $y = f(x)$ が条件 $f'(x) = g(x, f(x))$, $f(a) = b$ を満たすとき、この曲線と直線で囲まれる面積を求めよ」という形式が典型です。

例えば、「$\dfrac{dy}{dx} = 2y$, $y(0) = 1$ を満たす曲線と、直線 $x = 1$, $x$ 軸で囲まれる面積」を考えます。

微分方程式を解くと $y = e^{2x}$ です。面積は:

$$S = \int_0^1 e^{2x}\,dx = \left[\frac{e^{2x}}{2}\right]_0^1 = \frac{e^2 - 1}{2}$$

💡 微分方程式×面積の解法手順

Step 1:微分方程式を解いて $y = f(x)$ を求める(変数分離法など)

Step 2:初期条件から定数を決定する

Step 3:得られた曲線のグラフを描き、囲まれる領域を確認する

Step 4:面積を積分で計算する

Step 1 で曲線が確定しなければ Step 4 には進めません。微分方程式を確実に解くことが前提です。

面積条件から微分方程式を立てる場合

逆に「曲線 $y = f(x)$ が、ある面積条件を満たす」ことから微分方程式を導く問題もあります。例えば「曲線 $y = f(x)$($f(x) > 0$)上の点 $(t, f(t))$ における接線と座標軸で囲まれる三角形の面積が常に一定値 $k$ である」という条件から $f$ を求める問題です。

点 $(t, f(t))$ における接線は $y - f(t) = f'(t)(x - t)$ です。$x$ 切片は $t - \dfrac{f(t)}{f'(t)}$、$y$ 切片は $f(t) - tf'(t)$ です。三角形の面積が $k$ という条件を $f$ と $f'$ で表すと微分方程式が得られます。

⚠️ 面積条件の立式で符号に注意

✗ 切片の符号を確認せずに三角形の面積を計算する → 面積が負になることがある

✓ 切片が正か負かを場合分けし、三角形が存在する条件も確認する

接線の切片は $f(t)$ と $f'(t)$ に依存するため、符号の確認が不可欠です。

⚠️ 微分方程式の解の一意性

✗ 微分方程式を解いたら1つの解が出たので、それが唯一の解だと断定する

✓ 変数分離の際に「$y \neq 0$ で割った」などの操作があれば、特異解の存在を確認する

$\dfrac{dy}{dx} = y^2$ の一般解は $y = -\dfrac{1}{x+C}$ ですが、$y = 0$ も解です。このような特異解を見落とさないようにしましょう。

3媒介変数表示と体積の融合

媒介変数表示された曲線を $x$ 軸まわりに回転させた体積を求める問題は、通常の体積公式をパラメータで書き直す必要があります。

媒介変数による体積公式

曲線 $x = x(t)$, $y = y(t)$($t_1 \le t \le t_2$)を $x$ 軸まわりに回転させた体積は:

$$V = \pi\int_{x(t_1)}^{x(t_2)} y^2\,dx = \pi\int_{t_1}^{t_2} \{y(t)\}^2 \cdot x'(t)\,dt$$

ただし $x(t)$ が $t_1$ から $t_2$ で単調増加である($x'(t) > 0$)場合です。$x'(t) < 0$ の場合は積分区間と符号を適切に処理する必要があります。

📐 媒介変数表示の回転体体積

曲線 $x = x(t)$, $y = y(t)$ を $x$ 軸まわりに回転させた体積:

$$V = \pi\left|\int_{t_1}^{t_2} \{y(t)\}^2 \cdot x'(t)\,dt\right|$$

曲線 $x = x(t)$, $y = y(t)$ を $y$ 軸まわりに回転させた体積:

$$V = \pi\left|\int_{t_1}^{t_2} \{x(t)\}^2 \cdot y'(t)\,dt\right|$$

※ 絶対値は、$x(t)$(または $y(t)$)の単調性により不要になる場合があります。

サイクロイドの回転体

サイクロイド $x = a(\theta - \sin\theta)$, $y = a(1 - \cos\theta)$($0 \le \theta \le 2\pi$)の1アーチと $x$ 軸で囲まれた領域を $x$ 軸まわりに回転させた体積を求めます。

$x'(\theta) = a(1 - \cos\theta)$ なので:

$$V = \pi\int_0^{2\pi} a^2(1-\cos\theta)^2 \cdot a(1-\cos\theta)\,d\theta = \pi a^3\int_0^{2\pi}(1-\cos\theta)^3\,d\theta$$

$(1-\cos\theta)^3$ を展開して積分します。$1-\cos\theta = 2\sin^2\dfrac{\theta}{2}$ を利用すると:

$$(1-\cos\theta)^3 = 8\sin^6\frac{\theta}{2}$$

$\displaystyle\int_0^{2\pi}\sin^6\frac{\theta}{2}\,d\theta = 2\int_0^{\pi}\sin^6 u\,du = 2 \cdot \frac{5}{6}\cdot\frac{3}{4}\cdot\frac{1}{2}\cdot\pi = \frac{5\pi}{8}$

$$V = \pi a^3 \cdot 8 \cdot \frac{5\pi}{8} = 5\pi^2 a^3$$

💡 媒介変数表示で積分するときの核心

$\displaystyle\int f(x)\,dx$ を媒介変数 $t$ で計算するときの基本は $dx = x'(t)\,dt$ への置換です。

面積・体積・曲線の長さのいずれにおいても、$dx$ を $x'(t)\,dt$ に置換するだけで媒介変数表示の公式が得られます。特別な公式を暗記するのではなく、この置換の原理を理解しましょう。

⚠️ ウォリスの公式を使う場面

✗ $\int_0^{\pi}\sin^n\theta\,d\theta$ を毎回部分積分で計算する → 時間がかかりすぎる

✓ ウォリスの公式 $\int_0^{\pi}\sin^n\theta\,d\theta$ の値を暗記しておく($n$ が偶数・奇数で場合分け)

サイクロイドの体積計算では $\sin^6$ の積分が現れるため、ウォリスの公式の活用が不可欠です。

▷ ウォリスの積分公式

$I_n = \displaystyle\int_0^{\pi/2}\sin^n\theta\,d\theta$ とおくと、部分積分の漸化式 $I_n = \dfrac{n-1}{n}I_{n-2}$ から:

$n$ が偶数のとき:$I_n = \dfrac{n-1}{n}\cdot\dfrac{n-3}{n-2}\cdots\dfrac{3}{4}\cdot\dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{\pi}{2}$

$n$ が奇数のとき:$I_n = \dfrac{n-1}{n}\cdot\dfrac{n-3}{n-2}\cdots\dfrac{4}{5}\cdot\dfrac{2}{3}\cdot 1$

$[0, \pi]$ 区間では対称性から $\displaystyle\int_0^{\pi}\sin^n\theta\,d\theta = 2I_n$ です。

🔗 回転体の表面積とガルダンの定理

回転体の体積に加え、回転体の表面積を求めるには曲線の長さの公式が必要です。曲線 $y = f(x)$ を $x$ 軸まわりに回転させた側面積は $\displaystyle\int_a^b 2\pi|f(x)|\sqrt{1+\{f'(x)\}^2}\,dx$ です。これはパップス・ギュルダンの定理の「表面積版」に対応します。面積・体積・曲線の長さの3つが一体となる場面が、まさにこの表面積の公式です。

4複数の技法を要する問題 ─ 解法選択の指針

入試の融合問題では、「どのテーマの技法を使うか」を自分で判断しなければなりません。ここでは、問題文のキーワードから使うべき技法を判断する方法を整理します。

キーワードと技法の対応

問題文のキーワード 使うべき技法
「囲まれた面積」 交点を求めて $\int|f-g|\,dx$
「回転させた体積」 $\pi\int y^2\,dx$ または殻法
「曲線の長さ」 $\int\sqrt{1+(y')^2}\,dx$
「$\dfrac{dy}{dx} = \cdots$」 微分方程式(変数分離など)
「$x = x(t),\; y = y(t)$」 $dx = x'(t)\,dt$ に置換
「最大・最小」 パラメータで表して微分
「不等式を示せ」 面積の非負性・区分求積法

融合問題の解法フローチャート

融合問題に出会ったとき、次のフローで方針を立てましょう。

(1) 曲線はどのように与えられているか($y = f(x)$? 媒介変数? 微分方程式?)

(2) 微分方程式があれば、まずそれを解いて曲線を確定させる

(3) 求めるものは何か(面積? 体積? 長さ? それらの最大最小?)

(4) 媒介変数表示なら $dx = x'(t)\,dt$ で置換

(5) パラメータが含まれていれば、結果を $a$ の関数として表して微分

💡 融合問題を解く最大のコツ

融合問題で最も重要なのは、問題を複数の独立したステップに分解することです。

「微分方程式を解く」「面積を求める」「最大値を求める」── これらは独立した操作であり、1つずつ順に処理すれば確実に解けます。全体を一度に見ようとすると混乱しますが、ステップに分ければ各ステップは既知の技法で対応できるのです。

⚠️ 前半の結果を後半で使う構造を見抜く

✗ 小問(1)と(2)を独立した問題だと思って解く → (1)の結果が(2)のヒントになっていることを見落とす

✓ 入試の小問は「(1)の結果を(2)で使う」設計になっていることが多い。(1)の答えを(2)の計算に活用する

特に「(1)で曲線の長さを求めよ」「(2)でその曲線の回転体の体積を求めよ」という構成では、(1)の計算の途中結果が(2)で再利用できます。

5積分法の応用の全体像

本記事は第6章の締めくくりとして、積分法の応用で学んだすべてのテーマを融合させる位置づけです。ここでは、第6章全体を鳥の目で俯瞰します。

積分法の応用マップ

第6章で扱った内容は、次のように体系づけられます。

面積系:基本的な面積 → パラメータを含む面積 → 接線と面積 → 面積の等分 → 面積と不等式

体積系:$x$ 軸回転 → $y$ 軸回転 → 斜軸回転 → パラメータと体積 → 複雑断面 → カバリエリの原理

曲線系:曲線の長さ → 媒介変数表示の長さ → 回転体の表面積

微分方程式系:変数分離形 → 微分方程式と面積の融合

これらすべてに共通する原理は「微小量の総和 = 積分」です。面積は微小長方形の積み重ね、体積は微小断面の積み重ね、曲線の長さは微小線分の積み重ね ── いずれも同じ発想に基づいています。

▷ 積分法の応用の統一的理解

積分法の応用で求める量は、すべて次の統一的な形で表されます。

$$Q = \int_a^b q(t)\,dt$$

ここで $Q$ は求める量(面積・体積・長さ)、$q(t)$ はパラメータ $t$ に対する「密度」です。

面積:$q(t) = |f(t) - g(t)|$(高さの密度)

体積:$q(t) = A(t)$(断面積の密度)

長さ:$q(t) = \sqrt{x'(t)^2 + y'(t)^2}$(速さの密度)

この統一的な見方をもてば、新しい応用場面に出会っても「$q(t)$ は何か」を考えるだけで公式が導けます。

🔗 微分形式と線積分・面積分

大学数学では、面積・体積・曲線の長さの計算は微分形式多様体上の積分として統一されます。曲線の長さは1次元多様体上の積分、面積は2次元多様体上の積分、体積は3次元多様体上の積分です。ストークスの定理やガウスの発散定理は、これらの積分を結びつける美しい定理であり、積分法の応用の究極的な一般化といえます。

まとめ

✅ 確認テスト

Q1. サイクロイド1アーチの面積は?($a$:半径)

▶ 答えを見る
$S = 3\pi a^2$(転がる円の面積の3倍)

Q2. 媒介変数表示の曲線を $x$ 軸回転させた体積公式で、$dx$ はどう置換する?

▶ 答えを見る
$dx = x'(t)\,dt$ と置換する。$V = \pi\displaystyle\int_{t_1}^{t_2}\{y(t)\}^2 \cdot x'(t)\,dt$

Q3. $\dfrac{dy}{dx} = 2y$, $y(0) = 1$ の解は?

▶ 答えを見る
$y = e^{2x}$(変数分離法で $\dfrac{dy}{y} = 2dx$ を積分)

Q4. サイクロイド1アーチの曲線の長さは?

▶ 答えを見る
$L = 8a$($1-\cos\theta = 2\sin^2\dfrac{\theta}{2}$ を利用)

Q5. 融合問題を解く最大のコツは?

▶ 答えを見る
問題を複数の独立したステップに分解し、1つずつ順に処理すること。各ステップは既知の技法で対応できる。

入試問題演習

問題 1 LEVEL A 媒介変数×面積

曲線 $x = \cos t$, $y = \sin 2t$($0 \le t \le \dfrac{\pi}{2}$)と $x$ 軸で囲まれる面積を求めよ。

▶ 解答を表示
解答

$t$ が $0$ から $\dfrac{\pi}{2}$ に動くとき、$x = \cos t$ は $1$ から $0$ に減少する。$y = \sin 2t = 2\sin t\cos t \ge 0$。

$dx = -\sin t\,dt$ より:

$$S = \left|\int_0^{\pi/2} y(t) \cdot x'(t)\,dt\right| = \left|\int_0^{\pi/2} 2\sin t\cos t \cdot (-\sin t)\,dt\right|$$

$$= 2\int_0^{\pi/2} \sin^2 t\cos t\,dt = 2\left[\frac{\sin^3 t}{3}\right]_0^{\pi/2} = \frac{2}{3}$$

採点ポイント
  • $dx = -\sin t\,dt$ の代入 … 3点
  • 符号の処理 … 2点
  • $\sin^2 t\cos t$ の積分 … 3点
  • 答え $\dfrac{2}{3}$ … 2点
問題 2 LEVEL B 微分方程式×面積

曲線 $y = f(x)$($x > 0$, $f(x) > 0$)が微分方程式 $f'(x) = -\dfrac{f(x)}{x}$ を満たし、$f(1) = 2$ である。

(1) $f(x)$ を求めよ。

(2) 曲線 $y = f(x)$、$x$ 軸、および直線 $x = 1$, $x = 3$ で囲まれる面積を求めよ。

▶ 解答を表示
解答

(1) $\dfrac{dy}{dx} = -\dfrac{y}{x}$ を変数分離すると $\dfrac{dy}{y} = -\dfrac{dx}{x}$

両辺を積分して $\log|y| = -\log|x| + C_1$、すなわち $y = \dfrac{C}{x}$($C > 0$)

$f(1) = 2$ より $C = 2$。よって $f(x) = \dfrac{2}{x}$

(2) $$S = \int_1^3 \frac{2}{x}\,dx = 2[\log x]_1^3 = 2\log 3$$

採点ポイント
  • 変数分離法の実行 … 3点
  • $C = 2$ の決定と $f(x) = \dfrac{2}{x}$ … 2点
  • 面積の積分と計算 … 3点
  • 答え $2\log 3$ … 2点
問題 3 LEVEL B 曲線の長さ×体積

曲線 $y = \dfrac{x^2}{4} - \dfrac{\log x}{2}$($1 \le x \le 2$)について、

(1) この曲線の長さ $L$ を求めよ。

(2) この曲線を $x$ 軸のまわりに回転させた曲面の面積 $A$ を求めよ。

▶ 解答を表示
解答

(1) $y' = \dfrac{x}{2} - \dfrac{1}{2x}$ より:

$$1 + (y')^2 = 1 + \left(\frac{x}{2} - \frac{1}{2x}\right)^2 = 1 + \frac{x^2}{4} - \frac{1}{2} + \frac{1}{4x^2} = \frac{x^2}{4} + \frac{1}{2} + \frac{1}{4x^2} = \left(\frac{x}{2} + \frac{1}{2x}\right)^2$$

$$L = \int_1^2 \left(\frac{x}{2} + \frac{1}{2x}\right)dx = \left[\frac{x^2}{4} + \frac{\log x}{2}\right]_1^2 = \left(1 + \frac{\log 2}{2}\right) - \frac{1}{4} = \frac{3}{4} + \frac{\log 2}{2}$$

(2) 回転曲面の面積は:

$$A = \int_1^2 2\pi y\sqrt{1+(y')^2}\,dx = 2\pi\int_1^2 \left(\frac{x^2}{4} - \frac{\log x}{2}\right)\left(\frac{x}{2} + \frac{1}{2x}\right)dx$$

$$= 2\pi\int_1^2 \left(\frac{x^3}{8} + \frac{x}{8} - \frac{x\log x}{4} - \frac{\log x}{4x}\right)dx$$

各項を積分します。$\displaystyle\int x\log x\,dx = \frac{x^2\log x}{2} - \frac{x^2}{4}$、$\displaystyle\int \frac{\log x}{x}\,dx = \frac{(\log x)^2}{2}$ を利用して:

$$A = 2\pi\left[\frac{x^4}{32} + \frac{x^2}{16} - \frac{1}{4}\left(\frac{x^2\log x}{2} - \frac{x^2}{4}\right) - \frac{(\log x)^2}{8}\right]_1^2$$

$x = 2$:$\dfrac{16}{32} + \dfrac{4}{16} - \dfrac{1}{4}\left(2\log 2 - 1\right) - \dfrac{(\log 2)^2}{8} = \dfrac{1}{2} + \dfrac{1}{4} - \dfrac{\log 2}{2} + \dfrac{1}{4} - \dfrac{(\log 2)^2}{8}$

$= 1 - \dfrac{\log 2}{2} - \dfrac{(\log 2)^2}{8}$

$x = 1$:$\dfrac{1}{32} + \dfrac{1}{16} - \dfrac{1}{4}\left(0 - \dfrac{1}{4}\right) - 0 = \dfrac{1}{32} + \dfrac{1}{16} + \dfrac{1}{16} = \dfrac{5}{32}$

$$A = 2\pi\left(1 - \frac{\log 2}{2} - \frac{(\log 2)^2}{8} - \frac{5}{32}\right) = 2\pi\left(\frac{27}{32} - \frac{\log 2}{2} - \frac{(\log 2)^2}{8}\right)$$

採点ポイント
  • $1+(y')^2$ の完全平方化 … 3点
  • 曲線の長さ $L$ の計算 … 3点
  • 回転曲面積の公式の適用 … 2点
  • $\int x\log x\,dx$ 等の計算 … 2点
問題 4 LEVEL C サイクロイド×体積×長さ

サイクロイド $x = a(\theta - \sin\theta)$, $y = a(1 - \cos\theta)$($0 \le \theta \le 2\pi$, $a > 0$)の1アーチと $x$ 軸で囲まれた領域について、

(1) この領域の面積 $S$ を求めよ。

(2) この領域を $x$ 軸のまわりに回転させてできる回転体の体積 $V$ を求めよ。

(3) このサイクロイドの1アーチの長さ $L$ を求めよ。

▶ 解答を表示
解答

(1) $dx = a(1-\cos\theta)\,d\theta$ より:

$$S = \int_0^{2\pi} a(1-\cos\theta) \cdot a(1-\cos\theta)\,d\theta = a^2\int_0^{2\pi}(1-\cos\theta)^2\,d\theta$$

$(1-\cos\theta)^2 = 1 - 2\cos\theta + \cos^2\theta = \dfrac{3}{2} - 2\cos\theta + \dfrac{\cos 2\theta}{2}$

$$S = a^2\left[\frac{3\theta}{2} - 2\sin\theta + \frac{\sin 2\theta}{4}\right]_0^{2\pi} = a^2 \cdot 3\pi = 3\pi a^2$$

(2) $V = \pi\displaystyle\int_0^{2\pi} a^2(1-\cos\theta)^2 \cdot a(1-\cos\theta)\,d\theta = \pi a^3\int_0^{2\pi}(1-\cos\theta)^3\,d\theta$

$1-\cos\theta = 2\sin^2\dfrac{\theta}{2}$ を利用して $(1-\cos\theta)^3 = 8\sin^6\dfrac{\theta}{2}$

$\displaystyle\int_0^{2\pi}\sin^6\frac{\theta}{2}\,d\theta$:$u = \dfrac{\theta}{2}$ とおくと $= 2\int_0^{\pi}\sin^6 u\,du$

ウォリスの公式より $\displaystyle\int_0^{\pi}\sin^6 u\,du = \frac{5}{6}\cdot\frac{3}{4}\cdot\frac{1}{2}\cdot\pi = \frac{5\pi}{16}$

$$V = \pi a^3 \cdot 8 \cdot 2 \cdot \frac{5\pi}{16} = 5\pi^2 a^3$$

(3) $x'(\theta) = a(1-\cos\theta)$, $y'(\theta) = a\sin\theta$ より:

$$\{x'(\theta)\}^2 + \{y'(\theta)\}^2 = a^2\{(1-\cos\theta)^2 + \sin^2\theta\} = a^2 \cdot 2(1-\cos\theta) = 4a^2\sin^2\frac{\theta}{2}$$

$$L = \int_0^{2\pi} 2a\sin\frac{\theta}{2}\,d\theta = 2a\left[-2\cos\frac{\theta}{2}\right]_0^{2\pi} = 2a\{-2(-1) + 2(1)\} = 8a$$

解説

サイクロイドは面積 $3\pi a^2$(転がる円の面積 $\pi a^2$ の3倍)、体積 $5\pi^2 a^3$、長さ $8a$(直径 $2a$ の4倍)という美しい値をもちます。(1)(2)(3)で共通して $1-\cos\theta = 2\sin^2\dfrac{\theta}{2}$ の変形が鍵であり、(1)の計算過程が(2)(3)の見通しを与える構成になっています。入試では(1)をきちんと解けることが(2)(3)へのステップです。

採点ポイント
  • (1) $dx$ の置換と $(1-\cos\theta)^2$ の展開 … 3点
  • (1) 面積 $3\pi a^2$ … 2点
  • (2) $(1-\cos\theta)^3 = 8\sin^6\dfrac{\theta}{2}$ の変形 … 2点
  • (2) ウォリスの公式による積分と答え $5\pi^2 a^3$ … 3点
  • (3) $\sqrt{2(1-\cos\theta)} = 2\sin\dfrac{\theta}{2}$ と長さ $8a$ … 2点