第6章 積分法の応用

微分方程式(変数分離型)
─ $x$ と $y$ を引き離す技法

前の記事で微分方程式の基本を学びました。ここでは、最も重要かつ応用範囲の広い解法である変数分離法を体系的に学びます。「右辺が $x$ の関数と $y$ の関数の積」という形をした微分方程式は、$x$ と $y$ をそれぞれ片方の辺に集めて別々に積分できます。指数増殖モデル、ニュートンの冷却法則、ロジスティック方程式など、自然界の重要なモデルがこの方法で解けます。

1変数分離法とは ─ なぜ「分離」で解けるのか

変数分離型とは、$\dfrac{dy}{dx} = f(x)g(y)$ の形、すなわち右辺が「$x$ だけの関数」と「$y$ だけの関数」の積に書ける微分方程式のことです。

💡 ここが本質:変数分離の発想

$\dfrac{dy}{dx} = f(x)g(y)$ を $\dfrac{1}{g(y)}\,dy = f(x)\,dx$ と変形すると、左辺は $y$ だけ、右辺は $x$ だけの式になります。両辺を別々に積分すれば、$y$ と $x$ の関係式(解)が得られます。

この「$x$ と $y$ を等号の両側に分離して、それぞれ独立に積分する」という操作が変数分離法の核心です。

📐 変数分離型の解法

$$\frac{dy}{dx} = f(x)g(y) \quad \xrightarrow{g(y) \neq 0} \quad \frac{dy}{g(y)} = f(x)\,dx$$

両辺を積分して:

$$\int \frac{dy}{g(y)} = \int f(x)\,dx + C$$

※ $g(y) = 0$ となる $y$ の値は、定数解として別途確認します。

変数分離型かどうかの判定

与えられた微分方程式が変数分離型かどうかを判定するには、右辺を $f(x) \cdot g(y)$ の積に分解できるか確認します。

微分方程式変数分離型?分解
$y' = xy$はい$f(x) = x$、$g(y) = y$
$y' = x + y$いいえ和の形なので積に分解できない
$y' = \dfrac{x^2}{y}$はい$f(x) = x^2$、$g(y) = \dfrac{1}{y}$
$y' = e^{x+y}$はい$f(x) = e^x$、$g(y) = e^y$
$y' = x^2 + y^2$いいえ$x^2 + y^2$ は積に分解できない
⚠️ 落とし穴:和の形を積と見間違える

✗ 誤:$y' = x + y$ を変数分離型として $\dfrac{dy}{y} = \left(\dfrac{x}{y} + 1\right)dx$ と変形しようとする

○ 正:$x + y$ は $f(x) \cdot g(y)$ の形に分解できないので、変数分離型ではありません

「右辺が $x$ と $y$ の関数の」であることが条件です。和・差の場合は別の解法(定数変化法など)が必要になります。

▷ 変数分離法の数学的正当化

$\dfrac{dy}{dx} = f(x)g(y)$ で $g(y) \neq 0$ のとき、$\dfrac{1}{g(y)}\dfrac{dy}{dx} = f(x)$ と書き直します。

$\dfrac{1}{g(y)}$ の原始関数を $G(y)$(すなわち $G'(y) = \dfrac{1}{g(y)}$)とすると、合成関数の微分法により:

$$\frac{d}{dx}G(y(x)) = G'(y) \cdot \frac{dy}{dx} = \frac{1}{g(y)} \cdot \frac{dy}{dx} = f(x)$$

両辺を $x$ で積分すると $G(y) = \displaystyle\int f(x)\,dx + C$ を得ます。これは「$\dfrac{dy}{g(y)} = f(x)\,dx$ の両辺を積分する」という操作の厳密な正当化です。

2変数分離法の手順と典型例

変数分離法の解法手順を整理し、典型的な例題を通じて確認します。

📐 変数分離法の手順

Step 1:$\dfrac{dy}{dx} = f(x)g(y)$ の形に整理する

Step 2:$g(y) = 0$ となる定数解を確認する

Step 3:$g(y) \neq 0$ として $\dfrac{dy}{g(y)} = f(x)\,dx$ と分離する

Step 4:両辺を積分する

Step 5:可能なら $y = \cdots$ の形に整理し、初期条件を適用する

例 1:$y' = xy$

$y = 0$ は定数解。$y \neq 0$ のとき:

$$\frac{dy}{y} = x\,dx \quad \Longrightarrow \quad \log|y| = \frac{x^2}{2} + C_0$$

$$|y| = e^{C_0}\cdot e^{x^2/2} \quad \Longrightarrow \quad y = Ae^{x^2/2} \quad (A = \pm e^{C_0})$$

$A = 0$($y = 0$)を含めて、一般解は $y = Ae^{x^2/2}$($A$ は任意定数)。

例 2:$y' = \dfrac{x}{y}$

$y \neq 0$ のとき $y\,dy = x\,dx$ と分離して積分:

$$\frac{y^2}{2} = \frac{x^2}{2} + C \quad \Longrightarrow \quad y^2 - x^2 = 2C$$

$C$ を改めて定数とすると $y^2 - x^2 = C$。これは双曲線の族を表します。

⚠️ 落とし穴:$y$ について解けないことがある

✗ 誤:一般解を必ず $y = \cdots$ の形に表そうとする

○ 正:$y^2 - x^2 = C$ のように、陰関数の形で一般解が得られる場合もあります

変数分離法で得られる解は $G(y) = F(x) + C$ の形であり、$y$ について陽に解けるとは限りません。答案では陰関数の形で書いても正解です。

例 3:$y' = e^{x+y} = e^x \cdot e^y$

$\dfrac{dy}{e^y} = e^x\,dx$、すなわち $e^{-y}\,dy = e^x\,dx$ と分離して積分:

$$-e^{-y} = e^x + C \quad \Longrightarrow \quad e^{-y} = -(e^x + C) = -e^x - C$$

$e^{-y} > 0$ より $-e^x - C > 0$、すなわち $C < -e^x$ が必要。$C = -A$($A > 0$)とおくと:

$$e^{-y} = A - e^x \quad (A > e^x) \quad \Longrightarrow \quad y = -\log(A - e^x)$$

💡 ここが本質:変数分離型はパターンが決まっている

変数分離法の計算は、どの問題でも同じ流れです:(1) 分離 → (2) 両辺積分 → (3) 整理。難しいのは「積分を実行する」部分であり、変数分離の操作自体は機械的です。したがって、不定積分の計算力がそのまま微分方程式の解法力になります。

3指数増殖モデル ─ 自然界の基本法則

変数分離型微分方程式の最も重要な応用例が、指数増殖モデル(マルサスモデル)です。

モデルの設定

ある生物の個体数 $N(t)$ が「現在の個体数に比例する速度で増える」とき:

$$\frac{dN}{dt} = rN \quad (r > 0 : \text{内的自然増加率})$$

これは前の記事で扱った $y' = ky$ と同じ形です。変数分離法で解くと:

$$\frac{dN}{N} = r\,dt \quad \Longrightarrow \quad \log N = rt + C_0 \quad \Longrightarrow \quad N(t) = N_0 e^{rt}$$

ここで $N_0 = N(0)$(初期個体数)です。

📐 マルサスの指数増殖モデル

$$\frac{dN}{dt} = rN \quad \Longrightarrow \quad N(t) = N_0 e^{rt}$$

※ $r > 0$:個体数が指数関数的に増大(倍増時間 $T_d = \dfrac{\log 2}{r}$)。$r < 0$:指数関数的に減少(半減期 $T_h = \dfrac{\log 2}{|r|}$)。

倍増時間と半減期

$N(T_d) = 2N_0$ となる時間 $T_d$ は $N_0 e^{rT_d} = 2N_0$ より $T_d = \dfrac{\log 2}{r}$ です。

例えば、$r = 0.02$(年率 2% の増加率)の場合、倍増時間は $T_d = \dfrac{\log 2}{0.02} = \dfrac{0.693}{0.02} \approx 34.7$ 年です。

⚠️ 落とし穴:指数増殖の非現実性

✗ 誤:生物の個体数は常に $N = N_0 e^{rt}$ に従う

○ 正:現実には食料・空間の制約があり、指数増殖は初期段階の近似に過ぎません

マルサスモデルは短期間では良い近似ですが、長期的には「環境収容力」の影響を考慮する必要があります。次のセクションで学ぶロジスティック方程式がその修正モデルです。

ニュートンの冷却法則

物体の温度 $T(t)$ と周囲の温度 $T_e$(定数)の差を $u(t) = T(t) - T_e$ とすると、冷却速度は温度差に比例します:

$$\frac{du}{dt} = -ku \quad (k > 0)$$

これも変数分離型であり、解は $u(t) = u_0 e^{-kt}$、すなわち:

$$T(t) = T_e + (T_0 - T_e)e^{-kt}$$

温度は周囲の温度 $T_e$ に指数関数的に近づきます。

🔬 深掘り:放射性崩壊と年代測定

放射性物質の崩壊は $\dfrac{dN}{dt} = -\lambda N$ に従います($\lambda$ は崩壊定数)。炭素14の半減期は約 5730 年であり、$\lambda = \dfrac{\log 2}{5730}$ です。遺跡から出土した有機物中の炭素14の残存比率を測定すれば、$N(t) = N_0 e^{-\lambda t}$ を逆に解いて年代を推定できます。これが放射性炭素年代測定法であり、変数分離型微分方程式の最も有名な応用例の一つです。

4ロジスティック方程式への入口 ─ 増殖に限界があるとき

指数増殖モデルでは個体数が際限なく増え続けますが、現実には環境収容力(carrying capacity)$K$ という上限があります。個体数が $K$ に近づくと増殖率が鈍るモデルが、ロジスティック方程式です。

📐 ロジスティック方程式

$$\frac{dN}{dt} = rN\left(1 - \frac{N}{K}\right)$$

※ $N \ll K$ のとき $1 - \frac{N}{K} \approx 1$ なので指数増殖 $\frac{dN}{dt} \approx rN$ に近似されます。$N \to K$ のとき $\frac{dN}{dt} \to 0$ となり、増殖が止まります。

💡 ここが本質:指数増殖に「ブレーキ」をかける

ロジスティック方程式の右辺 $rN\left(1 - \dfrac{N}{K}\right)$ は、マルサスモデルの $rN$ に自己抑制項 $\left(1 - \dfrac{N}{K}\right)$ を掛けたものです。$N$ が小さいうちはブレーキが弱く指数的に増えますが、$N$ が $K$ に近づくとブレーキが強まり、最終的に $N = K$ で釣り合います。

変数分離法による解法

$N \neq 0$、$N \neq K$ のとき:

$$\frac{dN}{N\left(1 - \frac{N}{K}\right)} = r\,dt$$

左辺を部分分数分解します。$\dfrac{1}{N\left(1 - \frac{N}{K}\right)} = \dfrac{1}{N} + \dfrac{1/K}{1 - N/K} = \dfrac{1}{N} + \dfrac{1}{K - N}$ より:

$$\int\left(\frac{1}{N} + \frac{1}{K - N}\right)dN = \int r\,dt$$

$$\log N - \log(K - N) = rt + C_0 \quad \Longrightarrow \quad \log\frac{N}{K - N} = rt + C_0$$

$$\frac{N}{K - N} = Ae^{rt} \quad (A = e^{C_0} > 0)$$

$N$ について解くと:

$$N(t) = \frac{KAe^{rt}}{1 + Ae^{rt}} = \frac{K}{1 + \frac{1}{A}e^{-rt}}$$

初期条件 $N(0) = N_0$ より $A = \dfrac{N_0}{K - N_0}$ なので:

📐 ロジスティック方程式の解

$$N(t) = \frac{K}{1 + \left(\frac{K - N_0}{N_0}\right)e^{-rt}}$$

※ $t \to \infty$ で $e^{-rt} \to 0$ なので $N(t) \to K$(環境収容力に漸近)。グラフは S 字型(シグモイド曲線)になります。

⚠️ 落とし穴:部分分数分解を忘れる

✗ 誤:$\dfrac{1}{N(1 - N/K)}$ をそのまま積分しようとする

○ 正:$\dfrac{1}{N(K-N)} = \dfrac{1}{K}\left(\dfrac{1}{N} + \dfrac{1}{K-N}\right)$ と部分分数分解してから積分する

ロジスティック方程式に限らず、変数分離後の積分で分母が因数分解できる場合は、部分分数分解が必須テクニックです。

⚠️ 落とし穴:定数解 $N = 0$ と $N = K$ を見落とす

✗ 誤:変数分離で得た解だけが全ての解

○ 正:$N = 0$ と $N = K$ は右辺を $0$ にする定数解(平衡解)です

$N(1 - N/K) = 0$ の解である $N = 0$ と $N = K$ は、分離の際に分母に来て割り算で排除されています。別途確認が必要です。

🔬 深掘り:ロジスティック方程式の応用

ロジスティック方程式は生態学だけでなく、感染症の拡大(SIR モデルの簡略版)、技術の普及曲線、化学反応速度論など、極めて広い分野で登場します。大学では安定性解析(平衡点の安定性)や、競争モデル(ロトカ-ヴォルテラ方程式)への拡張を学びます。高校で変数分離法と部分分数分解をマスターしておくことが、これらの理論への準備になります。

5初期値問題の実践 ─ 具体的に解を求める

変数分離型微分方程式の初期値問題を解く際のポイントを整理します。

定積分を使う方法

初期条件 $y(x_0) = y_0$ が与えられている場合、不定積分 + 定数決定の代わりに、最初から定積分を使う方法があります。

$$\int_{y_0}^{y} \frac{d\eta}{g(\eta)} = \int_{x_0}^{x} f(\xi)\,d\xi$$

この書き方では積分定数が不要で、初期条件が自動的に組み込まれます。

💡 ここが本質:2つの解法スタイル

方法 A(不定積分):一般解を求めてから初期条件で $C$ を決定する。解の全体像が見える。

方法 B(定積分):最初から特殊解を求める。積分定数の取り扱いが不要で計算ミスが減る。

入試ではどちらも使えますが、「一般解を求めよ」と問われた場合は方法 A、「初期条件を満たす解を求めよ」の場合は方法 B が効率的です。

具体例:冷却問題

80°C のコーヒーが室温 20°C の部屋に置かれ、10 分後に 60°C になった。このコーヒーが 40°C になるのは何分後か。

$T(t) - 20 = u(t)$ とおくと $\dfrac{du}{dt} = -ku$、$u(0) = 60$。

$$u(t) = 60e^{-kt} \quad \Longrightarrow \quad T(t) = 20 + 60e^{-kt}$$

$T(10) = 60$ より $20 + 60e^{-10k} = 60$。$e^{-10k} = \dfrac{2}{3}$ → $k = \dfrac{1}{10}\log\dfrac{3}{2}$。

$T(t_1) = 40$ のとき $60e^{-kt_1} = 20$、$e^{-kt_1} = \dfrac{1}{3}$。

$$-kt_1 = \log\frac{1}{3} = -\log 3 \quad \Longrightarrow \quad t_1 = \frac{\log 3}{k} = \frac{10\log 3}{\log\frac{3}{2}} = \frac{10\log 3}{\log 3 - \log 2}$$

$\log 2 \approx 0.693$、$\log 3 \approx 1.099$ より $t_1 \approx \dfrac{10 \times 1.099}{1.099 - 0.693} = \dfrac{10.99}{0.406} \approx 27.1$ 分。

⚠️ 落とし穴:温度差ではなく温度そのものを使う

✗ 誤:$\dfrac{dT}{dt} = -kT$ として $T(t) = 80e^{-kt}$ と解く

○ 正:ニュートンの冷却法則は温度差 $u = T - T_e$ に関する方程式。$\dfrac{du}{dt} = -ku$ を解く

温度そのものではなく、周囲温度との差が指数関数的に減衰するのがニュートンの冷却法則です。$T_e = 0$ でない限り、$T(t)$ 自体は指数関数になりません。

🔬 深掘り:微分方程式と数値解法

変数分離法で解ける微分方程式は全体のごく一部です。多くの実用的な微分方程式は解析的に解けず、コンピュータによる数値解法(オイラー法、ルンゲ-クッタ法など)で近似解を求めます。大学の数値解析の授業で詳しく学びますが、その基本的な発想は「$y(t + \Delta t) \approx y(t) + y'(t) \cdot \Delta t$」という、微分の定義に立ち返った素朴なものです。

まとめ

✅ 確認テスト

Q1. $y' = x^2 y$ は変数分離型ですか? もしそうなら、$f(x)$ と $g(y)$ は何ですか?

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はい。$f(x) = x^2$、$g(y) = y$。右辺が $x$ の関数と $y$ の関数の積です。

Q2. $y' = 3y$ の一般解を変数分離法で求めてください。

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$\dfrac{dy}{y} = 3\,dx$ → $\log|y| = 3x + C_0$ → $y = Ae^{3x}$($A$ は任意定数、$A = 0$ を含む)。

Q3. ロジスティック方程式 $N' = rN(1 - N/K)$ の定数解は何ですか?

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$N = 0$ と $N = K$。いずれも $N' = 0$ を満たします。

Q4. 倍増時間の公式 $T_d = \dfrac{\log 2}{r}$ を導出する際、どのような等式を解きますか?

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$N_0 e^{rT_d} = 2N_0$ → $e^{rT_d} = 2$ → $rT_d = \log 2$ → $T_d = \dfrac{\log 2}{r}$。

Q5. $y' = x + y$ は変数分離型ですか?

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いいえ。$x + y$ は $f(x) \cdot g(y)$ の積に分解できません(和の形)。これは1階線形微分方程式であり、別の解法(積分因子法)が必要です。

入試問題演習

問題 1 LEVEL A 変数分離(基本)

微分方程式 $\dfrac{dy}{dx} = \dfrac{x}{y}$ を $y(0) = 2$ のもとで解け。

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解答

$y\,dy = x\,dx$ と分離して積分:

$$\frac{y^2}{2} = \frac{x^2}{2} + C$$

$y(0) = 2$ より $\dfrac{4}{2} = 0 + C$、$C = 2$。

$$y^2 = x^2 + 4 \quad \Longrightarrow \quad y = \sqrt{x^2 + 4} \quad (\text{∵}\; y(0) = 2 > 0)$$

採点ポイント
  • 変数分離 … 2点
  • 積分の実行 … 2点
  • 初期条件の適用と $y > 0$ の判断 … 4点
問題 2 LEVEL B 指数モデル

放射性物質の量 $N(t)$ は $\dfrac{dN}{dt} = -\lambda N$($\lambda > 0$)を満たす。$N(0) = N_0$ のとき、

(1) $N(t)$ を求めよ。

(2) 半減期 $T_h$($N(T_h) = \dfrac{N_0}{2}$ となる時刻)を $\lambda$ で表せ。

(3) 物質の量が初期値の $\dfrac{1}{8}$ になる時刻を半減期 $T_h$ で表せ。

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解答

(1) 変数分離して $\dfrac{dN}{N} = -\lambda\,dt$。積分して $\log N = -\lambda t + C_0$。

$N(0) = N_0$ より $C_0 = \log N_0$。$N(t) = N_0 e^{-\lambda t}$

(2) $N_0 e^{-\lambda T_h} = \dfrac{N_0}{2}$ → $e^{-\lambda T_h} = \dfrac{1}{2}$ → $T_h = \dfrac{\log 2}{\lambda}$

(3) $N_0 e^{-\lambda t_1} = \dfrac{N_0}{8}$ → $e^{-\lambda t_1} = \dfrac{1}{8} = \left(\dfrac{1}{2}\right)^3$ → $-\lambda t_1 = -3\log 2$

$t_1 = \dfrac{3\log 2}{\lambda} = 3T_h$

採点ポイント
  • $N(t) = N_0 e^{-\lambda t}$ の導出 … 3点
  • $T_h = \dfrac{\log 2}{\lambda}$ … 3点
  • $\dfrac{1}{8} = \left(\dfrac{1}{2}\right)^3$ の認識と $3T_h$ の導出 … 2点
問題 3 LEVEL B 曲線の決定

曲線 $y = f(x)$ 上の任意の点 $(x, y)$ における接線の傾きが $\dfrac{y}{x}$ に等しいとする。曲線が点 $(1, 3)$ を通るとき、$f(x)$ を求めよ。

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解答

$y' = \dfrac{y}{x}$ は変数分離型。$\dfrac{dy}{y} = \dfrac{dx}{x}$。

$$\log|y| = \log|x| + C_0 \quad \Longrightarrow \quad |y| = e^{C_0}|x|$$

$y = Ax$($A$ は任意定数)。$(1, 3)$ を通るので $3 = A \cdot 1$、$A = 3$。

$$f(x) = 3x$$

解説

「接線の傾きが $\dfrac{y}{x}$ に等しい」という条件は、原点を通る直線 $y = Ax$ を表します。どの点 $(x, Ax)$ でも傾きは $A = \dfrac{Ax}{x} = \dfrac{y}{x}$ なので、この条件を満たす曲線は原点を通る直線全体です。初期条件で $A = 3$ が決まります。

採点ポイント
  • 微分方程式 $y' = y/x$ の立式 … 2点
  • 変数分離と積分 … 3点
  • 初期条件の適用と $f(x) = 3x$ … 3点
問題 4 LEVEL C ロジスティック

個体数 $N(t)$ が $\dfrac{dN}{dt} = 2N\left(1 - \dfrac{N}{100}\right)$、$N(0) = 10$ を満たすとする。

(1) $N(t)$ を求めよ。

(2) $N(t) = 50$ となる時刻 $t_1$ を求めよ。

(3) $\dfrac{dN}{dt}$ が最大になる $N$ の値を求め、その意味を述べよ。

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解答

(1) $r = 2$、$K = 100$ のロジスティック方程式。変数分離して:

$$\frac{dN}{N(1 - N/100)} = 2\,dt$$

部分分数分解:$\dfrac{1}{N(1 - N/100)} = \dfrac{1}{N} + \dfrac{1/100}{1 - N/100} = \dfrac{1}{N} + \dfrac{1}{100 - N}$

$$\log N - \log(100 - N) = 2t + C_0$$

$N(0) = 10$:$\log 10 - \log 90 = C_0$ → $C_0 = \log\dfrac{1}{9}$

$$\log\frac{N}{100 - N} = 2t + \log\frac{1}{9} \quad \Longrightarrow \quad \frac{N}{100 - N} = \frac{1}{9}e^{2t}$$

$N$ について解くと:

$$N(t) = \frac{100}{1 + 9e^{-2t}}$$

(2) $\dfrac{100}{1 + 9e^{-2t_1}} = 50$ → $1 + 9e^{-2t_1} = 2$ → $e^{-2t_1} = \dfrac{1}{9}$

$t_1 = \dfrac{\log 9}{2} = \log 3$

(3) $f(N) = 2N\left(1 - \dfrac{N}{100}\right) = 2N - \dfrac{N^2}{50}$

$f'(N) = 2 - \dfrac{N}{25} = 0$ → $N = 50$

$f''(N) = -\dfrac{1}{25} < 0$ より $N = 50 = \dfrac{K}{2}$ で増殖速度は最大。

これは個体数が環境収容力のちょうど半分のとき、増殖が最も速いことを意味します。S字曲線の変曲点に対応します。

解説

ロジスティック方程式の解が S 字型になる理由は、$N < K/2$ では加速($N'' > 0$)、$N > K/2$ では減速($N'' < 0$)するからです。$N = K/2$ が変曲点であり、増殖速度が最大になる点です。この結果は、漁業資源の最大持続可能収穫量(MSY)の理論的根拠にもなっています。

採点ポイント
  • 部分分数分解の正確な実行 … 3点
  • 初期条件の適用と $N(t)$ の導出 … 3点
  • $t_1 = \log 3$ の計算 … 2点
  • $N = K/2 = 50$ で増殖速度最大の説明 … 2点