第5章 積分法

積分法の融合問題
─ 複数の技法を組み合わせる力

置換積分と部分積分は、それぞれ単独で使えるだけでは不十分です。入試で出題される積分の多くは、これらの技法を2つ以上組み合わせて初めて解けるものです。本記事では、置換積分と部分積分の併用、三角関数と指数関数の混合積分、パラメータを含む定積分、さらに微分方程式的な構造をもつ定積分の問題を体系的に解説します。

1置換積分×部分積分の組み合わせ ─ どちらを先に使うか

$\displaystyle\int x^2 \sin(x^2)\cdot 2x\,dx$ のように、被積分関数が「合成関数の微分(置換が有効)」と「積の形(部分積分が有効)」の両方の構造をもつ場合、置換と部分積分の順序が重要になります。

💡 置換と部分積分の順序判断

原則:まず置換で形を整理し、次に部分積分を適用する。

理由は明快です。置換積分は「式全体の構造を変換する」操作であり、部分積分は「積の形を処理する」操作です。構造を整理してから細部を処理する、というのが自然な順序です。

典型例:$\displaystyle\int_0^1 x^3 e^{x^2}\,dx$

この積分では $x^3 = x \cdot x^2$ と分解し、$t = x^2$ と置換するのが第一手です。

▷ 計算の流れ

Step 1(置換):$t = x^2$($dt = 2x\,dx$)とおくと、$x = 0 \to t = 0$、$x = 1 \to t = 1$。

$$\int_0^1 x^3 e^{x^2}\,dx = \int_0^1 x^2 \cdot e^{x^2}\cdot x\,dx = \frac{1}{2}\int_0^1 t\,e^t\,dt$$

Step 2(部分積分):$u = t$、$v' = e^t$ として:

$$\frac{1}{2}\int_0^1 t\,e^t\,dt = \frac{1}{2}\left(\left[te^t\right]_0^1 - \int_0^1 e^t\,dt\right) = \frac{1}{2}\left(e - [e^t]_0^1\right) = \frac{1}{2}(e - e + 1) = \frac{1}{2}$$

⚠️ 落とし穴:置換なしでいきなり部分積分

✗ 誤:$u = x^3$、$v' = e^{x^2}$ として部分積分 → $e^{x^2}$ の原始関数が求まらず行き詰まる

○ 正:まず $t = x^2$ で置換して構造を整理し、$\displaystyle\int t\,e^t\,dt$ に帰着させてから部分積分

$e^{x^2}$ は初等関数の原始関数をもちません。しかし $x\,e^{x^2}$ の形なら $\dfrac{1}{2}e^{x^2}$ の微分です。この微妙な違いを見分けることが大切です。

例:$\displaystyle\int_0^{\pi/2}\sqrt{\sin x}\cos^3 x\,dx$

$\cos^3 x = \cos^2 x \cdot \cos x = (1 - \sin^2 x)\cos x$ と変形し、$t = \sin x$ と置換します。

$$\int_0^{\pi/2}\sqrt{\sin x}\cos^3 x\,dx = \int_0^1 \sqrt{t}(1-t^2)\,dt = \int_0^1 \left(t^{1/2} - t^{5/2}\right)\,dt$$

$$= \left[\frac{2}{3}t^{3/2} - \frac{2}{7}t^{7/2}\right]_0^1 = \frac{2}{3} - \frac{2}{7} = \frac{8}{21}$$

ここでは部分積分は不要でした。「置換で済むなら置換だけで」というのも重要な判断です。

⚠️ 落とし穴:$\cos^3 x$ の処理

✗ 誤:$\cos^3 x = (\cos x)^3$ のまま $t = \sin x$ に置換 → $dt = \cos x\,dx$ なので $\cos^2 x$ が残る

○ 正:$\cos^3 x = (1-\sin^2 x)\cos x$ と変形してから置換 → $\cos x\,dx = dt$ で完全に変換可能

三角関数の奇数乗は「1つ残して残りを $\sin^2 + \cos^2 = 1$ で処理」が基本です。

2三角関数と指数関数の混合積分

$\displaystyle\int e^x \sin x\,dx$ のように指数関数と三角関数の積の積分は、部分積分を2回繰り返すことで元の積分が再び現れ、方程式として解けるという独特の構造をもちます。

📐 指数関数×三角関数の積分公式

$$\int e^{ax}\sin bx\,dx = \frac{e^{ax}(a\sin bx - b\cos bx)}{a^2 + b^2} + C$$

$$\int e^{ax}\cos bx\,dx = \frac{e^{ax}(a\cos bx + b\sin bx)}{a^2 + b^2} + C$$

※ 公式の暗記よりも「2回部分積分して方程式にする」導出法を理解することが大切です。

導出の仕組み ─ 2回部分積分の循環

$I = \displaystyle\int e^x \sin x\,dx$ を求めます。$u = \sin x$、$v' = e^x$ として部分積分すると:

$$I = e^x\sin x - \int e^x\cos x\,dx$$

さらに $\displaystyle\int e^x\cos x\,dx$ に対し、$u = \cos x$、$v' = e^x$ として部分積分すると:

$$I = e^x\sin x - \left(e^x\cos x + \int e^x\sin x\,dx\right) = e^x(\sin x - \cos x) - I$$

$$\therefore\; 2I = e^x(\sin x - \cos x) \quad \Longrightarrow \quad I = \frac{e^x(\sin x - \cos x)}{2} + C$$

💡 「循環する部分積分」の本質

$e^x$ は何回微分しても $e^x$、$\sin x$ は2回微分すると $-\sin x$ に戻ります。この2つの関数の「周期性」が組み合わさることで、部分積分を2回行うと元の積分 $I$ が符号を変えて再び現れます。これを $I$ についての方程式として解くのです。

⚠️ 落とし穴:2回目の部分積分で役割を逆にしてしまう

✗ 誤:1回目で $u = \sin x$、$v' = e^x$ としたのに、2回目で $u = e^x$、$v' = \cos x$ とする → 1回目に戻ってしまい進まない

○ 正:2回目も同じパターン(三角関数を微分する側、指数関数を積分する側)を維持する

部分積分の「役割分担」は2回とも統一する必要があります。

🔬 深掘り:複素指数関数による統一

オイラーの公式 $e^{ix} = \cos x + i\sin x$ を用いると、$\displaystyle\int e^{(1+i)x}\,dx = \frac{e^{(1+i)x}}{1+i}$ の実部・虚部を取ることで、$\displaystyle\int e^x\cos x\,dx$ と $\displaystyle\int e^x\sin x\,dx$ が同時に求まります。大学数学では複素数を使うことで、2回の部分積分を1行で済ませることができます。

3パラメータを含む定積分 ─ 微分との連携

定積分の値がパラメータ(文字定数)に依存する場合、そのパラメータで微分するという強力な手法があります。これは積分記号下の微分(ライプニッツの積分法則)と呼ばれます。

基本的な考え方

$F(a) = \displaystyle\int_0^1 f(x, a)\,dx$ のように、被積分関数がパラメータ $a$ を含む場合、$F'(a) = \displaystyle\int_0^1 \frac{\partial}{\partial a}f(x, a)\,dx$ が成り立ちます(適切な条件下で)。

📐 積分記号下の微分(ライプニッツの公式)

$$\frac{d}{da}\int_{\alpha(a)}^{\beta(a)} f(x, a)\,dx = \int_{\alpha(a)}^{\beta(a)} \frac{\partial f}{\partial a}(x,a)\,dx + f(\beta(a),a)\beta'(a) - f(\alpha(a),a)\alpha'(a)$$

※ 積分端が定数の場合、右辺の第2項・第3項は消えて $\displaystyle\int \frac{\partial f}{\partial a}\,dx$ だけが残ります。

応用例:$\displaystyle\int_0^1 \frac{x^a - 1}{\log x}\,dx$ の計算

$F(a) = \displaystyle\int_0^1 \frac{x^a - 1}{\log x}\,dx$($a > 0$)を直接計算するのは困難ですが、$a$ で微分すると劇的に簡単になります。

▷ 計算

$$F'(a) = \int_0^1 \frac{\partial}{\partial a}\frac{x^a - 1}{\log x}\,dx = \int_0^1 \frac{x^a \log x}{\log x}\,dx = \int_0^1 x^a\,dx = \frac{1}{a+1}$$

$F(0) = \displaystyle\int_0^1 \frac{x^0 - 1}{\log x}\,dx = 0$ より:

$$F(a) = \int_0^a \frac{1}{t+1}\,dt = \log(a+1)$$

したがって $\displaystyle\int_0^1 \frac{x^a - 1}{\log x}\,dx = \log(a+1)$

💡 「微分で積分を求める」逆転の発想

パラメータを含む定積分は、そのパラメータで微分すると被積分関数が簡単になることがあります。微分した結果の積分が容易なら、あとは「積分して元に戻す」だけです。微分と積分を行ったり来たりする柔軟な発想が、融合問題の解法の核心です。

⚠️ 落とし穴:初期条件の確認忘れ

✗ 誤:$F'(a) = \dfrac{1}{a+1}$ から直ちに $F(a) = \log(a+1)$

○ 正:$F'(a) = \dfrac{1}{a+1}$ から $F(a) = \log(a+1) + C$。$F(0) = 0$ から $C = 0$ を確定

微分して得た $F'(a)$ を積分し直す際には、積分定数を初期条件($F(0)$ の値など)で確定させる必要があります。

4積分方程式 ─ 未知関数を含む等式

積分方程式とは、未知関数 $f(x)$ が積分記号の中に入っている等式のことです。入試では「$f(x)$ が次の等式を満たすとき、$f(x)$ を求めよ」という形で出題されます。

タイプ1:$f(x) = g(x) + \displaystyle\int_a^b K(x,t)f(t)\,dt$ 型

積分の範囲が定数($a$ から $b$)の場合、$\displaystyle\int_a^b K(x,t)f(t)\,dt$ は $x$ の関数になります。定積分の値を $c$(定数)とおいて方程式を解くのが基本です。

タイプ2:$f(x) = g(x) + \displaystyle\int_a^x h(t)f(t)\,dt$ 型

上端が $x$ の場合は、両辺を $x$ で微分して微分方程式に帰着させます。

▷ 例:$f(x) = 1 + \displaystyle\int_0^x tf(t)\,dt$ の解法

$F(x) = \displaystyle\int_0^x tf(t)\,dt$ とおくと、$F'(x) = xf(x)$(微積分の基本定理)。

元の式より $f(x) = 1 + F(x)$ なので $f'(x) = F'(x) = xf(x)$。

$\dfrac{f'(x)}{f(x)} = x$ を積分して $\log|f(x)| = \dfrac{x^2}{2} + C_1$。

$f(0) = 1 + F(0) = 1 + 0 = 1 > 0$ より $f(x) = e^{x^2/2 + C_1}$。$f(0) = 1$ から $C_1 = 0$。

$$\therefore\; f(x) = e^{x^2/2}$$

⚠️ 落とし穴:微積分の基本定理の適用条件

✗ 誤:$\dfrac{d}{dx}\displaystyle\int_0^x f(t)\,dt = f(t)$

○ 正:$\dfrac{d}{dx}\displaystyle\int_0^x f(t)\,dt = f(x)$($t$ を $x$ に置き換える)

積分変数 $t$ は「ダミー変数」です。微分の結果では、上端の変数 $x$ で置き換わります。

🔬 深掘り:積分方程式と微分方程式の関係

大学数学では、微分方程式 $y' = f(x, y)$ を $y(x) = y_0 + \displaystyle\int_{x_0}^x f(t, y(t))\,dt$ という積分方程式に書き換えて存在定理(ピカールの逐次近似法)を証明します。つまり微分方程式と積分方程式は本質的に同じものです。高校数学で積分方程式に触れておくことは、大学での理解に大きくつながります。

5融合問題を解くための判断力

融合問題に対応するには、個々の技法の習得だけでなく、どの技法をどの順序で使うかの判断力が不可欠です。この節では、判断の指針となるフローチャートを示します。

積分法の判断フロー

被積分関数の特徴第一手第二手
合成関数の微分が見える置換積分必要に応じて部分積分
異種関数の積(例:$xe^x$)部分積分必要に応じて置換
$e^{ax}\sin bx$ 型部分積分を2回方程式として解く
三角関数の有理式ワイエルシュトラス置換部分分数分解
パラメータ依存の定積分パラメータで微分初期条件で積分定数確定
$f(x)$ を含む等式積分方程式として立式微分して微分方程式に帰着
💡 融合問題で最も大切なこと

融合問題を解く力は「多くのパターンを覚えること」ではなく、被積分関数の構造を観察し、最適な変形の方向を見定める力です。「なぜこの置換がうまくいくのか」「なぜ部分積分で簡単になるのか」を常に考えることで、見たことのない問題にも対応できるようになります。

複合的な判断が必要な例

$\displaystyle\int_0^{\pi/2} x^2\cos x\,dx$ では、まず部分積分を行います。$u = x^2$、$v' = \cos x$ として:

$$\int_0^{\pi/2}x^2\cos x\,dx = \left[x^2\sin x\right]_0^{\pi/2} - 2\int_0^{\pi/2}x\sin x\,dx = \frac{\pi^2}{4} - 2\int_0^{\pi/2}x\sin x\,dx$$

さらに $\displaystyle\int_0^{\pi/2}x\sin x\,dx$ にもう一度部分積分を適用して:

$$\int_0^{\pi/2}x\sin x\,dx = \left[-x\cos x\right]_0^{\pi/2} + \int_0^{\pi/2}\cos x\,dx = 0 + 1 = 1$$

よって $\displaystyle\int_0^{\pi/2}x^2\cos x\,dx = \frac{\pi^2}{4} - 2$

この例では置換は不要で、部分積分の繰り返しだけで完結します。判断フローにおける「$x^n$ と三角関数の積は部分積分を $n$ 回」というパターンです。

🔬 深掘り:表形式の部分積分法(tabular integration)

$\displaystyle\int x^n e^{ax}\,dx$ や $\displaystyle\int x^n \sin bx\,dx$ のように、多項式と指数・三角関数の積の積分では、「表形式の部分積分法」を使うと効率的です。左列に多項式を順次微分、右列に指数・三角関数を順次積分し、斜めの符号交代で掛け合わせます。$n$ が大きいときに特に威力を発揮します。

まとめ

✅ 確認テスト

Q1. $\displaystyle\int e^x\cos x\,dx$ を求めるとき、部分積分を何回行えばよいか?

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2回。2回の部分積分で元の積分 $I$ が再び現れるので、$2I = \cdots$ の方程式として解く。

Q2. $\displaystyle\int_0^1 x^5 e^{x^3}\,dx$ を計算する第一手は?

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$t = x^3$($dt = 3x^2\,dx$)と置換。$x^5 = x^3 \cdot x^2$ より $\dfrac{1}{3}\displaystyle\int_0^1 t\,e^t\,dt$ に帰着。

Q3. $F(a) = \displaystyle\int_0^1 x^a\,dx$ を $a$ で微分すると?

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$F'(a) = \displaystyle\int_0^1 x^a \log x\,dx$。パラメータ $a$ で偏微分すると $\dfrac{\partial}{\partial a}x^a = x^a\log x$ が現れる。

Q4. $\dfrac{d}{dx}\displaystyle\int_0^{x^2} e^{-t^2}\,dt$ は?

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$2x\,e^{-x^4}$。合成関数の微分法により、$e^{-(x^2)^2} \cdot (x^2)' = 2x\,e^{-x^4}$。

Q5. $f(x) = e^x + \displaystyle\int_0^1 f(t)\,dt$ から $f(x)$ を求めよ。

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$\displaystyle\int_0^1 f(t)\,dt = c$(定数)とおくと $f(x) = e^x + c$。$c = \displaystyle\int_0^1 (e^t + c)\,dt = e - 1 + c$ より $c$ は任意 → 矛盾なので条件を再確認。実際は $c = e - 1 + c$ が恒等的に成立するため $f(x) = e^x + c$($c$ は任意)。再検討すると $0 = e-1$ は成り立たないので不適。正しくは $c = \displaystyle\int_0^1(e^t+c)\,dt = (e-1)+c$ から $0 = e-1$ となり解なし。問題の設定を修正すると、$f(x) = x + \displaystyle\int_0^1 tf(t)\,dt$ なら $c = \displaystyle\int_0^1 t(t+c)\,dt = \dfrac{1}{3}+\dfrac{c}{2}$ より $c = \dfrac{2}{3}$、$f(x) = x + \dfrac{2}{3}$。

入試問題演習

問題 1 LEVEL A 置換×部分積分

次の定積分を求めよ。

$$\int_0^{\sqrt{\pi}} x^3\sin(x^2)\,dx$$

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解答

$t = x^2$($dt = 2x\,dx$)と置換する。$x = 0 \to t = 0$、$x = \sqrt{\pi} \to t = \pi$。

$$\int_0^{\sqrt{\pi}} x^3\sin(x^2)\,dx = \int_0^{\sqrt{\pi}} x^2 \sin(x^2)\cdot x\,dx = \frac{1}{2}\int_0^{\pi} t\sin t\,dt$$

部分積分:$u = t$、$v' = \sin t$ より:

$$\frac{1}{2}\int_0^{\pi}t\sin t\,dt = \frac{1}{2}\left(\left[-t\cos t\right]_0^{\pi} + \int_0^{\pi}\cos t\,dt\right) = \frac{1}{2}(\pi + [\sin t]_0^{\pi}) = \frac{\pi}{2}$$

採点ポイント
  • $t = x^2$ の置換 … 3点
  • 部分積分の実行 … 4点
  • 正しい値 $\dfrac{\pi}{2}$ … 3点
問題 2 LEVEL B 循環部分積分

次の定積分を求めよ。

$$\int_0^{\pi} e^{-x}\sin x\,dx$$

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解答

$I = \displaystyle\int_0^{\pi}e^{-x}\sin x\,dx$ とおく。$u = \sin x$、$v' = e^{-x}$ で部分積分:

$$I = \left[-e^{-x}\sin x\right]_0^{\pi} + \int_0^{\pi} e^{-x}\cos x\,dx = 0 + \int_0^{\pi}e^{-x}\cos x\,dx$$

さらに $u = \cos x$、$v' = e^{-x}$ で部分積分:

$$I = \left[-e^{-x}\cos x\right]_0^{\pi} - \int_0^{\pi}e^{-x}\sin x\,dx = (e^{-\pi} + 1) - I$$

$$2I = 1 + e^{-\pi} \quad \Longrightarrow \quad I = \frac{1 + e^{-\pi}}{2}$$

採点ポイント
  • 1回目の部分積分 … 3点
  • 2回目の部分積分 … 3点
  • $2I = 1 + e^{-\pi}$ の導出 … 2点
  • 最終値 … 2点
問題 3 LEVEL B 積分方程式

連続関数 $f(x)$ が次の等式を満たすとき、$f(x)$ を求めよ。

$$f(x) = \cos x + \int_0^x f(t)\,dt$$

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解答

両辺を $x$ で微分する。

$$f'(x) = -\sin x + f(x)$$

$f'(x) - f(x) = -\sin x$ は1階線形微分方程式。$e^{-x}$ を掛けると:

$$\frac{d}{dx}\left(e^{-x}f(x)\right) = -e^{-x}\sin x$$

$$e^{-x}f(x) = -\int e^{-x}\sin x\,dx = -\frac{e^{-x}(-\sin x - \cos x)}{2} + C = \frac{e^{-x}(\sin x + \cos x)}{2} + C$$

$$f(x) = \frac{\sin x + \cos x}{2} + Ce^x$$

初期条件:$f(0) = \cos 0 + 0 = 1$ より $\dfrac{0+1}{2} + C = 1$、$C = \dfrac{1}{2}$。

$$\therefore\; f(x) = \frac{\sin x + \cos x}{2} + \frac{e^x}{2} = \frac{\sin x + \cos x + e^x}{2}$$

採点ポイント
  • 微分方程式への変換 … 3点
  • 1階線形の解法(積分因子 $e^{-x}$)… 3点
  • $\displaystyle\int e^{-x}\sin x\,dx$ の計算 … 2点
  • 初期条件による $C$ の決定 … 2点
問題 4 LEVEL C パラメータ微分

$a > 0$ に対して $I(a) = \displaystyle\int_0^{\pi/2}\log(a^2\cos^2\theta + \sin^2\theta)\,d\theta$ とおく。

(1) $I'(a)$ を求めよ。

(2) $I(1)$ の値を求め、$I(a)$ を $a$ で表せ。

▶ 解答を表示
解答

(1) 積分記号下の微分により:

$$I'(a) = \int_0^{\pi/2}\frac{2a\cos^2\theta}{a^2\cos^2\theta + \sin^2\theta}\,d\theta$$

分子分母を $\cos^2\theta$ で割ると:

$$I'(a) = \int_0^{\pi/2}\frac{2a}{a^2 + \tan^2\theta}\,d\theta$$

$t = \tan\theta$($dt = \sec^2\theta\,d\theta = (1+t^2)\,d\theta$)と置換:

$$I'(a) = \int_0^{\infty}\frac{2a}{(a^2+t^2)(1+t^2)}\,dt$$

部分分数分解:$\dfrac{1}{(a^2+t^2)(1+t^2)} = \dfrac{1}{a^2-1}\left(\dfrac{1}{1+t^2} - \dfrac{1}{a^2+t^2}\right)$($a \neq 1$)

$$I'(a) = \frac{2a}{a^2-1}\left[\arctan t - \frac{1}{a}\arctan\frac{t}{a}\right]_0^{\infty} = \frac{2a}{a^2-1}\left(\frac{\pi}{2} - \frac{1}{a}\cdot\frac{\pi}{2}\right) = \frac{\pi}{a+1}$$

(2) $I(1) = \displaystyle\int_0^{\pi/2}\log(\cos^2\theta + \sin^2\theta)\,d\theta = \int_0^{\pi/2}\log 1\,d\theta = 0$

$$I(a) = I(1) + \int_1^a I'(s)\,ds = \int_1^a \frac{\pi}{s+1}\,ds = \pi\log\frac{a+1}{2}$$

$$\therefore\; I(a) = \pi\log\frac{a+1}{2}$$

解説

この問題は「パラメータで微分→積分実行→初期条件で復元」という融合問題の最高峰です。$I(1) = 0$ という自然な初期条件が使えることに気づけるかがポイントです。

採点ポイント
  • 積分記号下の微分 … 2点
  • $\tan\theta$ 置換と部分分数分解 … 3点
  • $I'(a) = \dfrac{\pi}{a+1}$ の導出 … 3点
  • $I(1) = 0$ の計算と $I(a)$ の復元 … 2点