第5章 積分法

いろいろな定積分
─ ガウス積分から特殊関数の入口へ

これまでに学んだ置換積分や部分積分だけでは計算できない、しかし数学や物理学で極めて重要な定積分が存在します。ガウス積分 $\displaystyle\int_0^{\infty} e^{-x^2}\,dx = \frac{\sqrt{\pi}}{2}$ はその代表例であり、確率論・統計学の土台です。本記事では、広義積分の概念を確認した上で、ガウス積分の導出、ベータ関数・ガンマ関数の導入、そして特殊な置換を要する積分のテクニック集を解説します。

1広義積分の復習 ─ 無限区間への拡張

通常の定積分 $\displaystyle\int_a^b f(x)\,dx$ は有限区間 $[a,b]$ 上で定義されますが、積分区間を $[0,\infty)$ や $(-\infty,\infty)$ まで広げたものを広義積分と呼びます。この節では、以降の議論の土台となる広義積分の収束条件を復習します。

📐 広義積分の定義

$$\int_a^{\infty} f(x)\,dx = \lim_{R \to \infty} \int_a^R f(x)\,dx$$

この極限が有限確定値をもつとき、広義積分は収束するといいます。

※ 下端が $-\infty$ の場合や、被積分関数が区間内で発散する場合も同様に極限で定義します。

収束の基本例

$\displaystyle\int_1^{\infty} \frac{1}{x^p}\,dx$ は $p > 1$ のとき収束し、$p \le 1$ のとき発散します。これは後に続く様々な広義積分の収束判定の基準となります。

▷ $p > 1$ の場合の計算

$$\int_1^R \frac{1}{x^p}\,dx = \left[\frac{x^{-p+1}}{-p+1}\right]_1^R = \frac{1}{p-1}\left(1 - R^{1-p}\right)$$

$p > 1$ のとき $1 - p < 0$ なので $R^{1-p} \to 0$($R \to \infty$)。

よって $\displaystyle\int_1^{\infty} \frac{1}{x^p}\,dx = \frac{1}{p-1}$

💡 広義積分の収束の本質

広義積分が収束するかどうかは、被積分関数が十分に速く $0$ に近づくかにかかっています。$e^{-x^2}$ は $x \to \infty$ で $1/x^p$(任意の $p$)よりもはるかに速く $0$ に近づくため、$\displaystyle\int_0^{\infty} e^{-x^2}\,dx$ は問題なく収束します。

⚠️ 落とし穴:広義積分の存在と不定積分の存在は別

✗ 誤:不定積分が初等関数で求まらないなら、定積分の値も求まらない

○ 正:$e^{-x^2}$ の不定積分は初等関数では表せないが、$\displaystyle\int_0^{\infty} e^{-x^2}\,dx = \frac{\sqrt{\pi}}{2}$ という確定値をもつ

不定積分が計算できない関数でも、対称性や次元変換を利用すれば定積分の値を求められることがあります。

2ガウス積分 ─ なぜ $\sqrt{\pi}$ が現れるのか

ガウス積分は数学で最も美しい結果の一つです。$e^{-x^2}$ という「指数関数と二次関数の合成」を $0$ から $\infty$ まで積分すると、なぜか円周率 $\pi$ が現れます。この不思議な結果の背後には、積分を2次元に拡張するという巧みなアイデアがあります。

📐 ガウス積分

$$\int_0^{\infty} e^{-x^2}\,dx = \frac{\sqrt{\pi}}{2}$$

同値な形として $\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty} e^{-x^2}\,dx = \sqrt{\pi}$ もよく使われます。

証明の概略 ─ 2重積分と極座標変換

求める値を $I = \displaystyle\int_0^{\infty} e^{-x^2}\,dx$ とおきます。直接計算できないので、$I^2$ を考えるのが鍵です。

▷ ガウス積分の導出(概略)

Step 1:$I^2$ を2重積分に変換する

$$I^2 = \left(\int_0^{\infty} e^{-x^2}\,dx\right)\left(\int_0^{\infty} e^{-y^2}\,dy\right) = \int_0^{\infty}\!\!\int_0^{\infty} e^{-(x^2+y^2)}\,dx\,dy$$

$x$ と $y$ は独立な変数なので、積を2重積分に書き換えられます。

Step 2:極座標に変換する

$x = r\cos\theta$、$y = r\sin\theta$ とおくと、$x^2 + y^2 = r^2$ であり、面積要素は $dx\,dy = r\,dr\,d\theta$ に変わります。第1象限は $0 \le r < \infty$、$0 \le \theta \le \dfrac{\pi}{2}$ に対応します。

$$I^2 = \int_0^{\pi/2}\!\!\int_0^{\infty} e^{-r^2}\,r\,dr\,d\theta$$

Step 3:$r$ の積分を実行する

$e^{-r^2} \cdot r$ は $-\dfrac{1}{2}\dfrac{d}{dr}e^{-r^2}$ に等しいので:

$$\int_0^{\infty} r\,e^{-r^2}\,dr = \left[-\frac{1}{2}e^{-r^2}\right]_0^{\infty} = \frac{1}{2}$$

Step 4:$\theta$ の積分と結論

$$I^2 = \int_0^{\pi/2} \frac{1}{2}\,d\theta = \frac{\pi}{4}$$

$I > 0$ より $I = \dfrac{\sqrt{\pi}}{2}$

💡 なぜ「2乗してから極座標」が有効なのか

$e^{-x^2}$ の不定積分は初等関数で表せませんが、$r\,e^{-r^2}$ ならば $-\dfrac{1}{2}e^{-r^2}$ の微分です。つまり、次元を1つ上げることで、余分な $r$ の因子が自然に現れ、計算が可能になるのです。これは「直交座標では見えない構造が、極座標で見える」という美しい例です。

ガウス積分の一般化

パラメータ $a > 0$ を含む形も重要です:

$$\int_0^{\infty} e^{-ax^2}\,dx = \frac{1}{2}\sqrt{\frac{\pi}{a}}$$

これは $t = \sqrt{a}\,x$ と置換すれば直ちに得られます。確率論における正規分布の規格化定数は、まさにこの公式から導かれます。

⚠️ 落とし穴:$I^2$ から $I$ を求めるときの符号

✗ 誤:$I^2 = \dfrac{\pi}{4}$ だから $I = \pm\dfrac{\sqrt{\pi}}{2}$

○ 正:$e^{-x^2} > 0$ なので $I > 0$。よって $I = \dfrac{\sqrt{\pi}}{2}$(正の値のみ)

被積分関数が正であるから積分値も正、という当然の事実を見落とさないようにしましょう。

🔬 深掘り:正規分布とガウス積分

確率密度関数 $f(x) = \dfrac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma}e^{-\frac{(x-\mu)^2}{2\sigma^2}}$ が全区間で積分して $1$ になることは、ガウス積分から直ちに従います。19世紀にガウスが測定誤差の理論でこの積分を用いたことから「ガウス積分」「ガウス分布」の名がついています。

3ガンマ関数 ─ 階乗の一般化

自然数 $n$ に対する階乗 $n! = 1 \cdot 2 \cdot 3 \cdots n$ を、正の実数全体に拡張したものがガンマ関数です。この関数は、物理学の量子力学から数論まで幅広く登場する「特殊関数の王」です。

📐 ガンマ関数の定義

$$\Gamma(s) = \int_0^{\infty} t^{s-1}e^{-t}\,dt \quad (s > 0)$$

※ $s$ が正の実数(さらには複素数にも拡張可能)のとき、この広義積分は収束します。

ガンマ関数の基本性質

ガンマ関数の最も重要な性質は、部分積分から得られる漸化式です。

▷ 漸化式 $\Gamma(s+1) = s\,\Gamma(s)$ の導出

$$\Gamma(s+1) = \int_0^{\infty} t^s e^{-t}\,dt$$

$u = t^s$、$v' = e^{-t}$ として部分積分を行うと:

$$= \left[-t^s e^{-t}\right]_0^{\infty} + \int_0^{\infty} s\,t^{s-1}e^{-t}\,dt$$

$s > 0$ のとき $\displaystyle\lim_{t \to \infty} t^s e^{-t} = 0$(指数関数の減衰が支配的)、$t = 0$ でも $0$。

$$\therefore\; \Gamma(s+1) = s\,\Gamma(s)$$

$\Gamma(1) = \displaystyle\int_0^{\infty} e^{-t}\,dt = 1$ と漸化式を繰り返し用いると:

$$\Gamma(n+1) = n \cdot (n-1) \cdot (n-2) \cdots 2 \cdot 1 \cdot \Gamma(1) = n!$$

つまり、自然数 $n$ に対して $\Gamma(n+1) = n!$ が成り立ちます。

💡 ガンマ関数の本質:「階乗の補間」

ガンマ関数は、自然数でしか定義されなかった階乗を連続的に補間する関数です。例えば $\Gamma\!\left(\dfrac{1}{2}\right) = \sqrt{\pi}$ は「$\left(-\dfrac{1}{2}\right)!$ に相当する値」を与えます。離散的な概念を連続に拡張するというアイデアは、数学の至るところに現れる普遍的な手法です。

$\Gamma\!\left(\dfrac{1}{2}\right) = \sqrt{\pi}$ の導出

$\Gamma\!\left(\dfrac{1}{2}\right) = \displaystyle\int_0^{\infty} t^{-1/2}e^{-t}\,dt$ において $t = u^2$($dt = 2u\,du$)と置換すると:

$$\Gamma\!\left(\frac{1}{2}\right) = \int_0^{\infty} \frac{1}{u}e^{-u^2} \cdot 2u\,du = 2\int_0^{\infty} e^{-u^2}\,du = 2 \cdot \frac{\sqrt{\pi}}{2} = \sqrt{\pi}$$

ガウス積分とガンマ関数が見事につながることがわかります。

⚠️ 落とし穴:$\Gamma(n) = n!$ ではなく $\Gamma(n+1) = n!$

✗ 誤:$\Gamma(5) = 5! = 120$

○ 正:$\Gamma(5) = 4! = 24$、$\Gamma(6) = 5! = 120$

「引数が1ずれる」のは歴史的な事情ですが、間違えると計算が大きく狂います。$\Gamma(n+1) = n!$ を常に確認しましょう。

🔬 深掘り:ガウス積分のモーメント

$\displaystyle\int_0^{\infty} x^{2n}e^{-x^2}\,dx = \frac{(2n)!}{n!\,2^{2n+1}}\sqrt{\pi}$ という公式は、ガンマ関数を用いて $\dfrac{1}{2}\Gamma\!\left(n+\dfrac{1}{2}\right)$ とも書けます。量子力学の調和振動子の期待値計算など、物理学で頻繁に現れます。

4ベータ関数 ─ 三角関数積分との橋渡し

ベータ関数は、ガンマ関数と密接に関連するもう一つの特殊関数です。$\displaystyle\int_0^{\pi/2}\sin^m\theta\cos^n\theta\,d\theta$ の形の積分(ウォリスの公式の一般化)を統一的に扱える強力な道具です。

📐 ベータ関数の定義と基本公式

$$B(p,q) = \int_0^1 t^{p-1}(1-t)^{q-1}\,dt \quad (p > 0,\; q > 0)$$

ガンマ関数との関係:

$$B(p,q) = \frac{\Gamma(p)\,\Gamma(q)}{\Gamma(p+q)}$$

※ この関係式により、ベータ関数の値はガンマ関数を通じて具体的に計算できます。

三角関数積分との関係

ベータ関数で $t = \sin^2\theta$ と置換すると、三角関数の積分に変換できます。

$$\int_0^{\pi/2} \sin^{2p-1}\theta\,\cos^{2q-1}\theta\,d\theta = \frac{1}{2}B(p,q)$$

例えば $\displaystyle\int_0^{\pi/2}\sin^4\theta\cos^2\theta\,d\theta$ を求めるには、$2p-1=4$、$2q-1=2$ より $p = \dfrac{5}{2}$、$q = \dfrac{3}{2}$ として:

$$\frac{1}{2}B\!\left(\frac{5}{2},\frac{3}{2}\right) = \frac{1}{2}\cdot\frac{\Gamma\!\left(\frac{5}{2}\right)\Gamma\!\left(\frac{3}{2}\right)}{\Gamma(4)} = \frac{1}{2}\cdot\frac{\frac{3}{4}\sqrt{\pi}\cdot\frac{1}{2}\sqrt{\pi}}{6} = \frac{\pi}{32}$$

⚠️ 落とし穴:ベータ関数の変数対応ミス

✗ 誤:$\displaystyle\int_0^{\pi/2}\sin^4\theta\cos^2\theta\,d\theta = \dfrac{1}{2}B(4,2)$

○ 正:指数を $2p-1$、$2q-1$ と対応させるので $p = \dfrac{5}{2}$、$q = \dfrac{3}{2}$

「指数がそのままベータ関数の引数になる」のではありません。$\sin^{2p-1}$ の形に合わせる必要があります。

ベータ関数の対称性

定義から直ちに $B(p,q) = B(q,p)$ がわかります。$t \to 1-t$ の置換で被積分関数の $t^{p-1}$ と $(1-t)^{q-1}$ が入れ替わるためです。これは $\displaystyle\int_0^{\pi/2}\sin^m\theta\cos^n\theta\,d\theta = \int_0^{\pi/2}\sin^n\theta\cos^m\theta\,d\theta$ に対応しています。

🔬 深掘り:ベータ関数とウォリスの公式

ウォリスの公式 $\displaystyle\int_0^{\pi/2}\sin^n\theta\,d\theta$ の結果は $\dfrac{1}{2}B\!\left(\dfrac{n+1}{2},\dfrac{1}{2}\right)$ と表せます。さらにウォリスの無限乗積 $\dfrac{\pi}{2} = \displaystyle\prod_{n=1}^{\infty}\frac{4n^2}{4n^2-1}$ もベータ関数の漸近的性質から導くことができます。

5特殊な置換を要する積分テクニック

通常の置換積分では対処しにくい積分に対して、巧みな置換や工夫を用いる手法をまとめます。入試では「見たことのない形」として出題されることが多いですが、背後にある原理を理解していれば対応可能です。

テクニック1:$\displaystyle\int_0^{\pi/2} f(\sin x, \cos x)\,dx$ の対称性

$x \to \dfrac{\pi}{2} - x$ の置換により $\sin x \leftrightarrow \cos x$ が入れ替わります。この対称性を活用すると:

$$\int_0^{\pi/2} \frac{\sin^n x}{\sin^n x + \cos^n x}\,dx = \frac{\pi}{4}$$

▷ 証明

$I = \displaystyle\int_0^{\pi/2} \frac{\sin^n x}{\sin^n x + \cos^n x}\,dx$ とおく。$x = \dfrac{\pi}{2} - t$ と置換すると:

$$I = \int_0^{\pi/2} \frac{\cos^n t}{\cos^n t + \sin^n t}\,dt$$

2つの式を辺々加えると:

$$2I = \int_0^{\pi/2} \frac{\sin^n x + \cos^n x}{\sin^n x + \cos^n x}\,dx = \int_0^{\pi/2} 1\,dx = \frac{\pi}{2}$$

よって $I = \dfrac{\pi}{4}$

テクニック2:ワイエルシュトラス置換

$t = \tan\dfrac{x}{2}$ とおくと、三角関数の有理式の積分を有理関数の積分に帰着できます。

📐 ワイエルシュトラス置換

$t = \tan\dfrac{x}{2}$ のとき:

$$\sin x = \frac{2t}{1+t^2}, \quad \cos x = \frac{1-t^2}{1+t^2}, \quad dx = \frac{2}{1+t^2}\,dt$$

※ $\dfrac{1}{a+b\cos x}$ や $\dfrac{1}{a\sin x + b\cos x + c}$ の形の積分に特に有効です。

テクニック3:$\displaystyle\int_0^a f(x)\,dx = \int_0^a f(a-x)\,dx$ の活用

$x \to a - x$ の置換で得られるこの等式は、見た目の複雑な定積分を劇的に簡単にすることがあります。

例として $\displaystyle\int_0^{\pi} x\sin x\,dx$ を考えます。$x \to \pi - x$ とすると:

$$I = \int_0^{\pi} (\pi - x)\sin x\,dx = \pi\int_0^{\pi}\sin x\,dx - I$$

よって $2I = \pi \cdot 2 = 2\pi$ であり $I = \pi$ です。部分積分でも求まりますが、この対称性を使えば一瞬で解決します。

⚠️ 落とし穴:対称性の適用範囲

✗ 誤:$\displaystyle\int_0^{2\pi} \frac{\sin^n x}{\sin^n x + \cos^n x}\,dx = \frac{2\pi}{4} = \frac{\pi}{2}$

○ 正:$[0, 2\pi]$ 全体では $\sin^n x + \cos^n x$ が $0$ になる点が存在し得るため、$[0, \pi/2]$ での議論をそのまま延長できない

対称性を使うときは、積分区間と被積分関数の性質を慎重に確認しましょう。

テクニック4:キングの法則(King's property)

$\displaystyle\int_a^b f(x)\,dx = \int_a^b f(a+b-x)\,dx$ は上のテクニック3の一般化です。$a = 0$ のときが最もよく使われますが、$a \neq 0$ の場合も入試で出題されることがあります。

💡 特殊な置換の本質:対称性の発見

一見すると高度なテクニックに見えるこれらの手法は、すべて積分区間や被積分関数に隠された対称性を見つけ出すことに帰着します。対称性を発見できれば、計算量は劇的に減少します。問題を見たとき「何か対称性はないか」と自問する習慣をつけましょう。

🔬 深掘り:留数定理と定積分

大学の複素解析では、$\displaystyle\int_0^{2\pi}\frac{d\theta}{a+b\cos\theta}$ のような積分を留数定理(Cauchy の積分公式の一般化)で求められます。ワイエルシュトラス置換は実数の範囲での「代替手段」であり、複素解析の立場からは単位円上の積分に帰着していると解釈できます。

まとめ

✅ 確認テスト

Q1. 広義積分 $\displaystyle\int_1^{\infty}\frac{1}{x^3}\,dx$ の値を求めよ。

▶ 答えを見る
$\displaystyle\int_1^{\infty}\frac{1}{x^3}\,dx = \frac{1}{3-1} = \frac{1}{2}$

Q2. ガウス積分 $\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}e^{-x^2}\,dx$ の値は?

▶ 答えを見る
$\sqrt{\pi}$。$e^{-x^2}$ は偶関数なので $\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}e^{-x^2}\,dx = 2\int_0^{\infty}e^{-x^2}\,dx = 2 \cdot \frac{\sqrt{\pi}}{2} = \sqrt{\pi}$

Q3. $\Gamma(4)$ の値を求めよ。

▶ 答えを見る
$\Gamma(4) = 3! = 6$($\Gamma(n+1) = n!$ より $\Gamma(4) = \Gamma(3+1) = 3!$)

Q4. $\Gamma\!\left(\dfrac{1}{2}\right)$ の値は?

▶ 答えを見る
$\sqrt{\pi}$。置換 $t = u^2$ によりガウス積分に帰着する。

Q5. $\displaystyle\int_0^{\pi/2}\frac{\sin^3 x}{\sin^3 x + \cos^3 x}\,dx$ の値を求めよ。

▶ 答えを見る
$\dfrac{\pi}{4}$。$x \to \dfrac{\pi}{2}-x$ の置換で $I + I = \dfrac{\pi}{2}$ となるため。

入試問題演習

問題 1 LEVEL A 広義積分

次の広義積分の値を求めよ。

$$\int_0^{\infty} xe^{-2x}\,dx$$

▶ 解答を表示
解答

部分積分を用いる。$u = x$、$v' = e^{-2x}$ とおくと $u' = 1$、$v = -\dfrac{1}{2}e^{-2x}$。

$$\int_0^R xe^{-2x}\,dx = \left[-\frac{x}{2}e^{-2x}\right]_0^R + \frac{1}{2}\int_0^R e^{-2x}\,dx$$

$$= -\frac{R}{2}e^{-2R} + \frac{1}{2}\left[-\frac{1}{2}e^{-2x}\right]_0^R = -\frac{R}{2}e^{-2R} - \frac{1}{4}e^{-2R} + \frac{1}{4}$$

$R \to \infty$ のとき $Re^{-2R} \to 0$、$e^{-2R} \to 0$ より:

$$\int_0^{\infty} xe^{-2x}\,dx = \frac{1}{4}$$

採点ポイント
  • 部分積分の適用 … 3点
  • $Re^{-2R} \to 0$ の処理 … 3点
  • 正しい値 $\dfrac{1}{4}$ … 2点
問題 2 LEVEL B 対称性×定積分

次の定積分の値を求めよ。

$$\int_0^{\pi} \frac{x\sin x}{1 + \cos^2 x}\,dx$$

▶ 解答を表示
解答

$I = \displaystyle\int_0^{\pi} \frac{x\sin x}{1+\cos^2 x}\,dx$ とおく。$x = \pi - t$ と置換すると:

$$I = \int_0^{\pi} \frac{(\pi - t)\sin t}{1+\cos^2 t}\,dt = \pi\int_0^{\pi}\frac{\sin t}{1+\cos^2 t}\,dt - I$$

$$2I = \pi\int_0^{\pi}\frac{\sin x}{1+\cos^2 x}\,dx$$

$u = \cos x$($du = -\sin x\,dx$)と置換すると:

$$\int_0^{\pi}\frac{\sin x}{1+\cos^2 x}\,dx = \int_1^{-1}\frac{-du}{1+u^2} = \int_{-1}^{1}\frac{du}{1+u^2} = \left[\arctan u\right]_{-1}^{1} = \frac{\pi}{4} - \left(-\frac{\pi}{4}\right) = \frac{\pi}{2}$$

$$\therefore\; I = \frac{\pi}{2}\cdot\frac{\pi}{2}\cdot\frac{1}{2} = \frac{\pi^2}{4}$$

採点ポイント
  • $x \to \pi - x$ の置換と $2I$ の導出 … 3点
  • $u = \cos x$ の置換積分 … 3点
  • $\arctan$ を用いた計算と最終値 … 4点
問題 3 LEVEL B ガンマ関数

$\Gamma(s+1) = s\,\Gamma(s)$($s > 0$)を用いて、$\Gamma\!\left(\dfrac{5}{2}\right)$ の値を求めよ。

▶ 解答を表示
解答

漸化式を繰り返し用いる。

$$\Gamma\!\left(\frac{5}{2}\right) = \frac{3}{2}\,\Gamma\!\left(\frac{3}{2}\right) = \frac{3}{2}\cdot\frac{1}{2}\,\Gamma\!\left(\frac{1}{2}\right) = \frac{3}{4}\sqrt{\pi}$$

ここで $\Gamma\!\left(\dfrac{3}{2}\right) = \dfrac{1}{2}\Gamma\!\left(\dfrac{1}{2}\right) = \dfrac{\sqrt{\pi}}{2}$、$\Gamma\!\left(\dfrac{1}{2}\right) = \sqrt{\pi}$ を用いた。

採点ポイント
  • 漸化式の正しい適用 … 4点
  • $\Gamma\!\left(\frac{1}{2}\right) = \sqrt{\pi}$ の使用 … 3点
  • 最終値 $\dfrac{3}{4}\sqrt{\pi}$ … 3点
問題 4 LEVEL C ガウス積分×置換

次の等式を示せ。

$$\int_0^{\infty} x^2 e^{-x^2}\,dx = \frac{\sqrt{\pi}}{4}$$

▶ 解答を表示
解答

方法1:部分積分

$I = \displaystyle\int_0^{\infty} x^2 e^{-x^2}\,dx$ とおく。$u = x$、$v' = xe^{-x^2}$ として部分積分する。$v = -\dfrac{1}{2}e^{-x^2}$ より:

$$I = \left[-\frac{x}{2}e^{-x^2}\right]_0^{\infty} + \frac{1}{2}\int_0^{\infty} e^{-x^2}\,dx = 0 + \frac{1}{2}\cdot\frac{\sqrt{\pi}}{2} = \frac{\sqrt{\pi}}{4}$$

方法2:ガンマ関数

$x^2 = t$($x = \sqrt{t}$、$dx = \dfrac{1}{2\sqrt{t}}\,dt$)と置換すると:

$$I = \int_0^{\infty} t \cdot e^{-t}\cdot\frac{1}{2\sqrt{t}}\,dt = \frac{1}{2}\int_0^{\infty} t^{1/2}e^{-t}\,dt = \frac{1}{2}\Gamma\!\left(\frac{3}{2}\right) = \frac{1}{2}\cdot\frac{\sqrt{\pi}}{2} = \frac{\sqrt{\pi}}{4}$$

解説

方法1は高校数学の範囲(部分積分+ガウス積分の結果の利用)で完結しています。方法2はガンマ関数を使う洗練された解法で、$\displaystyle\int_0^{\infty} x^{2n}e^{-x^2}\,dx$ の一般公式への道を開きます。

採点ポイント
  • 部分積分の設定($u = x$, $v' = xe^{-x^2}$)… 3点
  • $\left[-\dfrac{x}{2}e^{-x^2}\right]_0^{\infty} = 0$ の確認 … 2点
  • ガウス積分の値の利用 … 3点
  • 最終結果 $\dfrac{\sqrt{\pi}}{4}$ … 2点