第6章 微分法

微分法の総合問題
─ 章全体の知識を統合する実戦演習

微分法の最終記事として、本章で学んだすべての概念を横断的に問う総合問題を扱います。導関数の計算・接線・増減・最大最小・方程式の実数解・不等式の証明・関数の決定など、複数のテーマを融合した実戦的な問題を通じて、入試に向けた総仕上げを行います。

1微分法の体系的整理

第6章で学んだ微分法の知識を体系的に整理します。入試では複数のテーマが融合して出題されるため、個々の技法がどう連動するかを理解することが重要です。

📌 微分法の全体像と知識マップ

基礎理論:平均変化率 → 極限 → 微分係数 → 導関数。「局所的な変化の割合」が微分の本質。

応用展開①接線:曲線上の点からの接線、曲線外の点からの接線、共通接線。接点の座標を未知数に置く。

応用展開②増減・極値:$f'(x) = 0$ の解を境に符号変化を調べ、増減表を作成。極値の存在条件は $f'(x) = 0$ の実数解と符号変化。

応用展開③最大最小:閉区間では端点と極値を比較。パラメータを含む場合は場合分けが生じる。

応用展開④方程式・不等式:$f(x) = k$ の実数解の個数はグラフと直線 $y = k$ の共有点。不等式の証明は $g(x) = f(x) - h(x)$ の最小値を調べる。

総合問題で問われる典型的な出題パターン

パターン内容典型的な設問構成
段階誘導型前半の結果を後半で利用(1)導関数→(2)増減→(3)最大最小
パラメータ決定型条件から関数を決定(1)条件整理→(2)関数決定→(3)グラフの性質
複合条件型接線+極値など複数条件(1)接線条件→(2)極値条件→(3)面積計算
存在条件型実数解・交点の存在(1)増減表→(2)値域→(3)条件を満たす $a$ の範囲
📐 総合問題の基本ツールキット

導関数の公式:$(x^n)' = nx^{n-1}$、$(af + bg)' = af' + bg'$

接線の方程式:点 $(t, f(t))$ における接線は $y - f(t) = f'(t)(x - t)$

極値条件:$f'(a) = 0$ かつ $f'(x)$ が $x = a$ の前後で符号変化

3次関数の判別:$f(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d$ が極値をもつ $\Leftrightarrow$ $f'(x) = 0$ が異なる2実数解をもつ $\Leftrightarrow$ $f'(x)$ の判別式 $D > 0$

※ 総合問題では、これらのツールを組み合わせて使う柔軟さが求められます。

⚠️ 総合問題でよくある失敗パターン

✗ 各設問を独立に解く:誘導の流れを無視して各設問を別々に解くと、計算が無駄に複雑になります。

✓ 誘導の意図を読む:前の設問の結果を次の設問に活用する構成を意識しましょう。「(1)で求めた $f'(x)$ を(2)で使う」のような流れです。

入試問題は出題者の意図に沿って解くのが最も効率的です。「なぜこの設問が置かれているか」を常に考えましょう。

2接線と面積・極値の融合

接線の問題と極値の問題は入試で最もよく融合されるテーマです。典型的には「接線の条件から関数を決定し、その関数の極値やグラフの概形を求める」という流れになります。

接線条件と極値条件の連立

3次関数 $f(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d$ について、接線の条件と極値の条件がそれぞれ方程式を与えます。

📝 典型例:接線と極値から関数を決定

問題:$f(x) = x^3 + ax^2 + bx + c$ が $x = 1$ で極大値 $5$ をとり、曲線 $y = f(x)$ の $x = 1$ における接線が $y = 5$ であるとき、$a, b, c$ を求めよ。

解法:

$f'(x) = 3x^2 + 2ax + b$ より、条件を整理すると:

① $f(1) = 5$ より $1 + a + b + c = 5$

② $f'(1) = 0$(極値条件)より $3 + 2a + b = 0$

③ 接線が $y = 5$(水平)であることは ② と同値。

② より $b = -2a - 3$、① に代入して $1 + a + (-2a - 3) + c = 5$ より $c = a + 7$。

$x = 1$ で極大であることから、$f''(1) < 0$ すなわち $6 + 2a < 0$ より $a < -3$。

さらに $f'(x) = 0$ が $x = 1$ 以外にも解をもつ必要があります。$f'(x) = 3x^2 + 2ax + b = 3x^2 + 2ax + (-2a-3) = 0$ で、$x = 1$ が解なので $f'(x) = 3(x-1)(x - \frac{-2a-3}{3})$ と因数分解でき、もう一つの解は $x = \frac{-2a-3}{3}$ です。$a < -3$ のとき $\frac{-2a-3}{3} > 1$ なので、$x = 1$ で極大(符号が正から負に変化)が確認できます。

接線が囲む面積と微分の融合

3次関数の接線が曲線と再び交わる点(再交点)を求め、囲まれた面積を計算する問題は、微分法と積分法の融合問題として入試で頻出です。微分法の範囲では「再交点の求め方」までを扱います。

📐 再交点の公式(3次関数の場合)

$f(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d$ の $x = t$ における接線と曲線の再交点の $x$ 座標は:

$$f(x) - \{f'(t)(x-t) + f(t)\} = a(x - t)^2(x - \alpha)$$

と因数分解でき、再交点は $x = \alpha$ として求まります。

特に $f(x) = ax^3$($b = c = d = 0$)のとき、$x = t$ での接線の再交点は $x = -2t$ です。

※ 再交点は接点で2重解をもつことを利用して因数分解します。

💡 接線と面積の融合で使える技法

手順:①接点を $(t, f(t))$ とおく → ②接線の方程式を立てる → ③ $f(x) - (\text{接線})= 0$ を解く → ④再交点を求める

面積計算は積分法の範囲ですが、微分法の段階では「接線と曲線の位置関係」を正確に把握することが求められます。再交点の前後で曲線が接線の上側・下側のどちらにあるかは、$a(x-t)^2(x-\alpha)$ の符号から判断できます。

3パラメータと関数の決定

入試総合問題では、パラメータを含む関数について複数の条件が与えられ、段階的にパラメータを決定していく問題がよく出題されます。

極値条件からのパラメータ決定

3次関数 $f(x) = x^3 + ax^2 + bx + c$ が「$x = p$ で極大値 $M$、$x = q$ で極小値 $m$」をとるという条件から、パラメータを求めます。

📌 解と係数の関係の活用

$f'(x) = 3x^2 + 2ax + b = 0$ の2解が $p, q$ のとき:

$$p + q = -\frac{2a}{3}, \quad pq = \frac{b}{3}$$

さらに $f(p) = M$, $f(q) = m$ の条件を組み合わせます。

重要な関係式:$M - m = f(p) - f(q) = -\frac{a}{2}(p - q)^3$($a$ が最高次の係数のとき $-\frac{a}{2}$)を利用すると計算が簡潔になることがあります。

接線条件からのパラメータ決定

「曲線 $y = f(x)$ が点 $P$ で直線 $\ell$ に接する」という条件は、次の2つの方程式を与えます:

  • $f(t) = \ell(t)$(接する点の $y$ 座標が一致)
  • $f'(t) = \ell'(t)$(傾きが一致)
📝 パラメータ決定の実戦例

問題:$f(x) = x^3 - 3ax$ が $x = t$ で極小値 $-2$ をとるとき、$a$ と $t$ の値を求めよ($a > 0$)。

$f'(x) = 3x^2 - 3a = 3(x^2 - a)$

$a > 0$ のとき、$f'(x) = 0$ の解は $x = \pm\sqrt{a}$。

$x = -\sqrt{a}$ で極大、$x = \sqrt{a}$ で極小をとるので、$t = \sqrt{a}$。

$f(\sqrt{a}) = a\sqrt{a} - 3a\sqrt{a} = -2a\sqrt{a} = -2$

よって $a\sqrt{a} = 1$ すなわち $a^{3/2} = 1$ より $a = 1$。

したがって $t = 1$、$a = 1$。

グラフの対称性と3次関数の決定

3次関数 $f(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d$ のグラフは変曲点に関して点対称です。この性質を利用すると、条件の少ない場合でも関数を決定できることがあります。

⚠️ パラメータ決定でありがちなミス

✗ 極値をとる点の取り違え:$f'(x) = 0$ の2解のうち、どちらが極大でどちらが極小かを確認せずに代入してしまう。

✓ 符号変化の確認:$f''(x)$ の符号や増減表で極大・極小を判定してから条件を代入しましょう。3次関数 $y = ax^3 + \cdots$ で $a > 0$ なら「左が極大、右が極小」です。

4方程式・不等式の総合問題

方程式の実数解の個数と不等式の証明は、微分法の応用として最も多く出題されるテーマです。総合問題では、これらが段階的に結びついて出題されます。

パラメータを含む方程式の解の個数

$f(x) = k$ の形の方程式について、$k$ の値(範囲)による解の個数の変化を調べます。

📐 方程式の解の個数と極値の関係

$f(x) = ax^3 + bx^2 + cx + d$($a > 0$)が極大値 $M$、極小値 $m$ をもつとき、$f(x) = k$ の実数解の個数は:

$$\begin{cases} k < m \text{ または } k > M & : 1個 \\ k = m \text{ または } k = M & : 2個 \\ m < k < M & : 3個 \end{cases}$$

※ $a < 0$ のときは極大と極小の役割が入れ替わります。

解の配置問題との融合

「3次方程式がある区間に解をもつ」条件を求める問題では、グラフの端点値と極値の大小関係を利用します。

📝 解の配置問題の実戦例

問題:$x^3 - 3x = a$ が $0 \leq x \leq 2$ に少なくとも1つの実数解をもつような定数 $a$ の値の範囲を求めよ。

$f(x) = x^3 - 3x$ とおくと、$f'(x) = 3x^2 - 3 = 3(x+1)(x-1)$。

$[0, 2]$ において:$f'(x) = 0$ のとき $x = 1$($x = -1$ は範囲外)。

$f(0) = 0$、$f(1) = 1 - 3 = -2$(極小)、$f(2) = 8 - 6 = 2$。

$y = f(x)$ のグラフと $y = a$ が $[0, 2]$ で共有点をもつ条件は:

$$-2 \leq a \leq 2$$

微分法による不等式の証明(総合的アプローチ)

高度な不等式の証明では、補助関数の設定が鍵となります。何を示したいかから逆算して、適切な関数 $g(x)$ を構成する力が問われます。

📌 不等式証明の戦略マップ

タイプ1:$f(x) \geq g(x)$ を示す → $h(x) = f(x) - g(x)$ の最小値 $\geq 0$

タイプ2:$f(x) \geq 0$($x \geq a$)を示す → $h(a) \geq 0$ かつ $h'(x) \geq 0$($x \geq a$)

タイプ3:$e^x \geq 1 + x$ 型(数IIIの先取り)→ 等号成立の確認まで含めて記述

段階的証明:直接示せない不等式は、まず簡単な不等式を証明し、それを利用して目標の不等式を示す。

💡 「すべての $x$ について」の不等式証明

「$x > 0$ のとき $f(x) > 0$」を微分で示す手順:

① $h(x) = f(x)$ とおき $h'(x)$ を計算

② $h'(x) = 0$ を解き、増減表を作成

③ $x > 0$ での $h(x)$ の最小値を求め、それが $> 0$ または $\geq 0$ であることを示す

④ 等号成立条件がある場合は、それも明記する

5入試実戦の思考戦略

微分法の総合問題を確実に解くための実戦的な思考プロセスを整理します。

問題を読むときの着眼点

📌 総合問題を解く5ステップ

Step 1 - 関数の特定:与えられた関数の次数・パラメータ・定義域を確認する

Step 2 - 導関数の計算:$f'(x)$ を求め、$f'(x) = 0$ の解を求める

Step 3 - 増減表の作成:パラメータを含む場合は場合分けの可能性を検討する

Step 4 - 条件の翻訳:問題文の条件を数式に翻訳する(「極値」「接する」「解の個数」→ 方程式・不等式)

Step 5 - 設問間の関連:前問の結果が次問でどう使えるかを確認する

記述答案のポイント

微分法の記述問題では、以下の要素を明記することが採点上重要です。

  • 増減表:$f'(x)$ の符号変化と $f(x)$ の増減・極値を表にまとめる
  • 極値の値:極大値・極小値を具体的に計算して書く
  • 端点の値:閉区間の最大最小では必ず端点値も計算する
  • 場合分けの根拠:パラメータの場合分けが生じる理由を明記する
  • 図示:概形の図を描き、直感的な確認を示す
⚠️ 記述で減点されやすい箇所

✗ 増減表なしで「極大」「極小」と断定:$f'(x)$ の符号変化を示さずに極値と判断すると、論理が不十分とみなされます。

✗ 最大最小で端点の検討を省略:閉区間の問題で極値だけを答えると、端点が最大最小である場合に誤答になります。

✓ 必ず増減表を書き、検討すべきすべての点(極値点・端点・境界)の値を明記しましょう。

時間配分と優先順位

💡 入試本番での戦略

誘導付き問題:(1)(2) は確実に得点する。これらは基本的な計算が多く、ここを落とすと大きな失点になります。

(3)以降の発展部分:(1)(2)の結果を使えば解ける構成になっていることが多い。前問の結果を活用できないか、まず検討しましょう。

最終問の難問:完答できなくても、方針を示すだけで部分点が得られることがあります。「$g(x) = \cdots$ とおくと」のように立式まで書きましょう。

検算:微分の計算ミスは後続のすべての設問に影響します。$f'(x)$ の計算は必ず検算しましょう。

📐 微分法でよく使う計算テクニック

因数定理の活用:$f'(x) = 0$ の解が整数のとき、因数定理で因数分解する

置き換え:$f'(x) = 3(x-p)(x-q)$ と因数分解した形で増減を判断する

対称性の利用:$f'(x) = 3x^2 + 2ax + b$ で $p + q = -\frac{2a}{3}$ より変曲点の $x$ 座標は $-\frac{a}{3}$

整数値の確認:極値や端点値が整数かどうかで、計算の検算ができる

まとめ

  • 微分法の体系 ─ 導関数→接線→増減・極値→最大最小→方程式・不等式が有機的に連動する
  • 融合問題の解法 ─ 誘導の意図を読み、前問の結果を活用して段階的に解く
  • パラメータ決定 ─ 極値条件・接線条件・通過条件などを方程式に翻訳し連立する
  • 方程式と不等式 ─ グラフの概形と極値を利用して解の個数や不等式を処理する
  • 記述の完成度 ─ 増減表・端点の検討・場合分けの根拠を必ず明記する

確認テスト

Q1. $f(x) = x^3 - 3x + 1$ の極大値と極小値をそれぞれ求めよ。

▶ クリックして解答を表示 $f'(x) = 3x^2 - 3 = 3(x+1)(x-1)$。$f'(x) = 0$ より $x = -1, 1$。増減表より $x = -1$ で極大値 $f(-1) = -1 + 3 + 1 = 3$、$x = 1$ で極小値 $f(1) = 1 - 3 + 1 = -1$。

Q2. $f(x) = x^3 - 3x + 1$ について、$f(x) = k$ が3個の実数解をもつような $k$ の範囲を求めよ。

▶ クリックして解答を表示 Q1より極大値 $3$、極小値 $-1$ なので、$y = f(x)$ と $y = k$ が3点で交わる条件は $-1 < k < 3$。

Q3. 3次関数 $f(x) = x^3 + ax^2 + bx$ が $x = 1$ で極値をとるとき、$a$ と $b$ の間に成り立つ関係式を求めよ。

▶ クリックして解答を表示 $f'(x) = 3x^2 + 2ax + b$ で $f'(1) = 0$ より $3 + 2a + b = 0$ すなわち $b = -2a - 3$。

Q4. $f(x) = x^3 - 3ax$($a > 0$)の極小値が $-2$ であるとき、$a$ の値を求めよ。

▶ クリックして解答を表示 $f'(x) = 3x^2 - 3a = 3(x - \sqrt{a})(x + \sqrt{a})$。$a > 0$ より $x = \sqrt{a}$ で極小。$f(\sqrt{a}) = a\sqrt{a} - 3a\sqrt{a} = -2a\sqrt{a} = -2$。$a\sqrt{a} = a^{3/2} = 1$ より $a = 1$。

Q5. $x > 0$ のとき $x^3 - 3x + 2 \geq 0$ を微分を利用して証明する際、$f(x) = x^3 - 3x + 2$ の $x > 0$ での最小値はいくらか。

▶ クリックして解答を表示 $f'(x) = 3x^2 - 3 = 3(x-1)(x+1)$。$x > 0$ で $f'(x) = 0$ となるのは $x = 1$。$f(1) = 1 - 3 + 2 = 0$。これが最小値。よって $x > 0$ で $f(x) \geq 0$ が成立。等号は $x = 1$ のとき。

入試問題演習

問題 1 A 基礎 極値・増減

$f(x) = x^3 - 6x^2 + 9x + 2$ について、以下の各問に答えよ。

(1) $f(x)$ の極大値と極小値を求めよ。

(2) $y = f(x)$ のグラフの概形を描け。

(3) 方程式 $f(x) = k$ の実数解の個数を、定数 $k$ の値により分類せよ。

解答

(1) $f'(x) = 3x^2 - 12x + 9 = 3(x^2 - 4x + 3) = 3(x-1)(x-3)$

$f'(x) = 0$ より $x = 1, 3$。

増減表:$x < 1$ で $f'(x) > 0$(増加)、$1 < x < 3$ で $f'(x) < 0$(減少)、$x > 3$ で $f'(x) > 0$(増加)。

極大値:$f(1) = 1 - 6 + 9 + 2 = 6$

極小値:$f(3) = 27 - 54 + 27 + 2 = 2$

(2) 変曲点は $f''(x) = 6x - 12 = 0$ より $x = 2$、$f(2) = 8 - 24 + 18 + 2 = 4$。点 $(2, 4)$ に関して点対称なグラフ。

(3) 極大値 $6$、極小値 $2$ より:

$k < 2$ または $k > 6$:1個
$k = 2$ または $k = 6$:2個
$2 < k < 6$:3個

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問題 2 B 標準 接線・パラメータ決定

曲線 $C: y = x^3 - 3x^2$ 上の点 $A(t, t^3 - 3t^2)$ における接線を $\ell$ とする。

(1) 接線 $\ell$ の方程式を $t$ を用いて表せ。

(2) 接線 $\ell$ が曲線 $C$ と $A$ 以外の点 $B$ で交わるとき、$B$ の $x$ 座標を $t$ を用いて表せ。

(3) $A$ が曲線 $C$ の極大点であるとき、点 $B$ の座標を求めよ。

解答

(1) $y' = 3x^2 - 6x$ より $f'(t) = 3t^2 - 6t$。

接線 $\ell$:$y - (t^3 - 3t^2) = (3t^2 - 6t)(x - t)$

$$y = (3t^2 - 6t)x - 2t^3 + 3t^2$$

(2) $x^3 - 3x^2 = (3t^2 - 6t)x - 2t^3 + 3t^2$ を整理すると

$x^3 - 3x^2 - (3t^2 - 6t)x + 2t^3 - 3t^2 = 0$

$x = t$ が2重解なので $(x - t)^2(x - \alpha) = 0$ と因数分解。

展開して係数を比較:$\alpha + 2t = 3$($x^2$ の係数)より $\alpha = 3 - 2t$。

よって $B$ の $x$ 座標は $\boxed{3 - 2t}$。

(3) $f'(x) = 3x(x - 2) = 0$ より $x = 0, 2$。$x = 0$ で極大。よって $t = 0$。

$B$ の $x$ 座標:$3 - 2 \cdot 0 = 3$。$f(3) = 27 - 27 = 0$。

したがって $B(3, 0)$。

採点ポイント
  • (2) 接点で2重解をもつことの利用
  • (3) 極大点の正確な特定
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問題 3 B 標準 最大最小・解の配置

$f(x) = x^3 - 3ax + 1$($a$ は正の定数)について、以下の各問に答えよ。

(1) $f(x)$ の極大値と極小値を $a$ を用いて表せ。

(2) 方程式 $f(x) = 0$ が異なる3つの実数解をもつための $a$ の条件を求めよ。

(3) 方程式 $f(x) = 0$ の3つの実数解がすべて $-2 \leq x \leq 2$ の範囲にあるための $a$ の条件を求めよ。

解答

(1) $f'(x) = 3x^2 - 3a = 3(x^2 - a)$。$a > 0$ より $f'(x) = 0$ で $x = \pm\sqrt{a}$。

$x = -\sqrt{a}$ で極大値 $f(-\sqrt{a}) = -a\sqrt{a} + 3a\sqrt{a} + 1 = 2a\sqrt{a} + 1$

$x = \sqrt{a}$ で極小値 $f(\sqrt{a}) = a\sqrt{a} - 3a\sqrt{a} + 1 = -2a\sqrt{a} + 1$

(2) 3個の実数解をもつ条件は「極大値 $> 0$ かつ 極小値 $< 0$」:

$2a\sqrt{a} + 1 > 0$($a > 0$ で常に成立)

$-2a\sqrt{a} + 1 < 0$ すなわち $a\sqrt{a} > \frac{1}{2}$、$a^{3/2} > \frac{1}{2}$、$a > \left(\frac{1}{2}\right)^{2/3} = \frac{1}{\sqrt[3]{4}}$

よって $a > \dfrac{1}{\sqrt[3]{4}}$。

(3) (2)の条件に加えて、3解すべてが $[-2, 2]$ にある条件を求めます。

$f(-2) = -8 + 6a + 1 = 6a - 7 \geq 0$ より $a \geq \frac{7}{6}$

$f(2) = 8 - 6a + 1 = 9 - 6a \geq 0$ より $a \leq \frac{3}{2}$

また、極値をとる $x$ 座標が $[-2, 2]$ にある条件:$\sqrt{a} \leq 2$ すなわち $a \leq 4$(常に成立)。

$a \geq \frac{7}{6} > \frac{1}{\sqrt[3]{4}}$ なので(2)の条件も自動的に満たされます。

正確には $f(-2) \geq 0$ かつ $f(2) \leq 0$($y = 0$ が極大値と極小値の間にある条件は(2)で保証)に加え、端点での符号条件を確認します。

$a > 0$ のとき $f(x)$ は $x \to -\infty$ で $-\infty$、$x \to +\infty$ で $+\infty$ なので、3解が $[-2,2]$ にある条件は $f(-2) \leq 0$ かつ $f(2) \geq 0$。

$f(-2) = 6a - 7 \leq 0$ より $a \leq \frac{7}{6}$、$f(2) = 9 - 6a \geq 0$ より $a \leq \frac{3}{2}$。

しかし(2)の条件 $a > \frac{1}{\sqrt[3]{4}} \approx 0.63$ も必要。

正しくは、$f(-2) \leq 0$ は $a \leq \frac{7}{6}$ で、かつ $f(2) \geq 0$ は $a \leq \frac{3}{2}$。(2)の条件と合わせて $\dfrac{1}{\sqrt[3]{4}} < a \leq \dfrac{7}{6}$。

採点ポイント
  • 極値を正しく計算できたか
  • 端点値の符号条件の立式
  • (2)と(3)の条件の整合性確認
▶ 解答を見る
問題 4 C 発展 接線・不等式・総合

曲線 $C: y = x^3 - 3x$ 上の2点 $P(p, p^3 - 3p)$、$Q(q, q^3 - 3q)$($p < q$)における接線がともに点 $A(a, b)$ を通るとする。

(1) $p, q$ が満たす関係式を $a$ を用いて表せ。

(2) $a = 0$ のとき、$p, q$ の値を求め、2本の接線と曲線で囲まれた部分が存在するかどうかを論じよ。

(3) 点 $A(a, b)$ から曲線 $C$ に異なる3本の接線が引ける条件を $a$ を用いて表せ。

解答

(1) 曲線上の点 $(t, t^3 - 3t)$ における接線:$y = (3t^2 - 3)(x - t) + t^3 - 3t = (3t^2 - 3)x - 2t^3$

これが $(a, b)$ を通るので $b = (3t^2 - 3)a - 2t^3$ すなわち $2t^3 - 3at^2 + 3a + b = 0$ ⋯ (*)。

$p, q$ は (*)の解なので、解と係数の関係より $p + q + r = \frac{3a}{2}$($r$ は3つ目の解)。

$p, q$ に限ると、(*)を $(t - p)(t - q) = 0$ の部分として見ると:

$p + q = \frac{3a - 2r}{2}$(ここで $r$ は3番目の解)。

別のアプローチ:$p, q$ での接線がともに $(a, b)$ を通る条件から $b = (3p^2-3)a - 2p^3$ かつ $b = (3q^2-3)a - 2q^3$。

辺々引いて $3(p^2-q^2)a - 2(p^3-q^3) = 0$

$p \neq q$ より $(p-q)\{3(p+q)a - 2(p^2+pq+q^2)\} = 0$

よって $2(p^2 + pq + q^2) = 3a(p + q)$ ⋯ (答)

(2) $a = 0$ のとき $2(p^2 + pq + q^2) = 0$。$p, q$ は実数なので $p^2 + pq + q^2 = 0$。

$p^2 + pq + q^2 = (p + \frac{q}{2})^2 + \frac{3q^2}{4} \geq 0$ で、等号成立は $p = q = 0$ のときのみ。

$p < q$ なので $p = q = 0$ は不適。したがって $a = 0$ のときは $p \neq q$ を満たす実数解が存在せず、原点を通る異なる2本の接線は引けない。

ただし、原点は曲線上の点 $(0, 0)$ であり、ここでの接線 $y = -3x$ が1本引ける。曲線外の点からの接線としては、$t = 0$ 以外に $2t^3 = 0$ より $t = 0$(3重解)となり、他の接線は存在しない。

(3) (*)の3次方程式 $g(t) = 2t^3 - 3at^2 + 3a + b = 0$ が異なる3個の実数解をもてばよい。

$g'(t) = 6t^2 - 6at = 6t(t - a)$。$g'(t) = 0$ で $t = 0, a$。

$a \neq 0$ のとき極大値と極小値をもつ。

$g(0) = 3a + b$、$g(a) = 2a^3 - 3a^3 + 3a + b = -a^3 + 3a + b$。

3実数解をもつ条件は $g(0) \cdot g(a) < 0$ すなわち $(3a + b)(-a^3 + 3a + b) < 0$。

$a$ の条件のみで表すには $b$ を消去する必要がありますが、$(a, b)$ が任意なので $a \neq 0$ が必要条件です。

解説

本問は3次曲線への接線を包括的に扱う難問です。接点のパラメータ $t$ に関する3次方程式が本質であり、この方程式の解の個数が接線の本数に対応します。(1)では2接点の関係式を導出し、(2)では特殊な場合の吟味、(3)では一般的な存在条件へと発展します。大学入試では(1)(2)が解ければ十分な得点が期待できます。

採点ポイント
  • (1) 2つの接線条件の差からの関係式導出
  • (2) $p^2 + pq + q^2 = 0$ の実数解の吟味
  • (3) 3次方程式の実数解条件の立式
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