微分法は単独で出題されるだけでなく、図形と方程式・三角関数・指数対数など他の分野と融合して出題されます。本記事では、入試頻出の融合パターンを整理し、分野横断的な思考力を養います。
「図形の中で面積や長さが最大・最小になる条件」を求める問題は、変数を1つ設定してその量を関数で表し、微分で最大最小を求めます。
放物線と直線の交点:$x^2 = 2x + 3$、$x^2 - 2x - 3 = 0$、$(x-3)(x+1) = 0$ → $x = -1, 3$
長方形の底辺の位置を $x = t$ としてパラメータを設定し、面積を $t$ の関数として微分します。このような問題では、変数の設定と定義域の確認がポイントです。
図形の問題では、どの量を変数にするかで計算の複雑さが大きく変わります。「対称性を利用できる変数」を選ぶと計算が簡単になることが多いです。
$f(x) \geq g(x)$ がすべての $x$ で成り立つ条件は、$h(x) = f(x) - g(x)$ の最小値 $\geq 0$。最小値がパラメータを含む場合、パラメータの範囲が求まります。
$f(x) = k$ が実数解をもつ条件は、$k$ が $f(x)$ の値域に含まれること。値域は最大値・最小値で決まり、これを微分で求めます。
関数 $y = f(x)$($x \in D$)の値域は:
方程式 $f(x) = k$ が $D$ 内に少なくとも1つの解をもつような $k$ の範囲
これは $y = f(x)$ のグラフと $y = k$ の交点の存在条件です。
数学IIの範囲では三角関数の微分($(\sin x)' = \cos x$)は直接扱いませんが、$t = \sin x$ などの置換で多項式に帰着させるパターンは頻出です。
$t = \cos \theta$ とおくと $-1 \leq t \leq 1$ の範囲での最大最小問題になります。三角関数の置換により定義域が制限された多項式の問題になるのがポイントです。
数IIIでは $(\sin x)' = \cos x$, $(\cos x)' = -\sin x$ を直接使って三角関数のグラフの概形を描き、最大最小を求めます。数IIの段階では置換による帰着が主な手法です。
$y = x^n \cdot a^x$ のような関数の最大最小は数IIIの範囲ですが、$t = a^x$ の置換で多項式関数に帰着できる場合は数IIで扱えます。
$t = 2^x$ より $t \in [1/2, 4]$。$f'(t) = 3t^2 - 3 = 3(t+1)(t-1)$。$t > 0$ で $f'(t) = 0$ のとき $t = 1$。
$f(1/2) = 1/8 - 3/2 = -11/8$、$f(1) = -2$、$f(4) = 52$
最大値 $52$($t = 4$, $x = 2$)、最小値 $-2$($t = 1$, $x = 0$)
指数・対数・三角関数を含む問題でも、適切な置換で多項式関数の最大最小に帰着できれば、微分法がそのまま使えます。置換後の変数の定義域を正確に求めることが重要です。
Step 1: 問題を「何を求めるか」で分類する(最大最小?解の個数?不等式?)
Step 2: 求めたい量を1変数の関数で表す(変数の設定)
Step 3: 定義域を確認する(置換による制約)
Step 4: 微分して増減表を書く
Step 5: 結論を元の問題の文脈に翻訳する
置換によって変数の範囲が制限されることを忘れがちです。例えば $t = \sin x$ なら $-1 \leq t \leq 1$、$t = 2^x$ なら $t > 0$。この制約のもとで最大最小を求めないと誤答になります。
Q1. $t = \cos\theta$($0 \leq \theta \leq \pi$)のとき $t$ の範囲を述べよ。
$-1 \leq t \leq 1$
Q2. $f(t) = t^3 - 3t$($0 \leq t \leq 2$)の最大値を求めよ。
$f'(t) = 3(t+1)(t-1)$。$t = 1$ で極小値 $-2$。$f(0) = 0$, $f(2) = 2$。最大値 $2$。
Q3. 融合問題の解法で最も重要な最初のステップは何か。
求めたい量を1変数の関数で表す(変数の設定)。
Q4. $t = 3^x$($-1 \leq x \leq 2$)のとき $t$ の範囲を求めよ。
$t = 3^x$ は単調増加。$3^{-1} = 1/3$, $3^2 = 9$。$\therefore 1/3 \leq t \leq 9$
Q5. 「すべての $x$ で $f(x) \geq k$」を示すには何を求めればよいか。
$f(x)$ の最小値を求め、最小値 $\geq k$ を示す。
$f(t) = 2t^3 - 3t^2 - 12t + 5$($-1 \leq t \leq 3$)の最大値と最小値を求めよ。ただし $t = \sin x + 1$ である必要はなく、$t$ を独立変数とせよ。
$f'(t) = 6t^2 - 6t - 12 = 6(t-2)(t+1)$
$f(-1) = -2 - 3 + 12 + 5 = 12$、$f(2) = 16 - 12 - 24 + 5 = -15$、$f(3) = 54 - 27 - 36 + 5 = -4$
最大値 $12$($t = -1$)、最小値 $-15$($t = 2$)
方程式 $x^3 - 3x = k$ が $-1 \leq x \leq 2$ の範囲に少なくとも1つの実数解をもつような $k$ の範囲を求めよ。
$f(x) = x^3 - 3x$($-1 \leq x \leq 2$)の値域を求めればよい。
$f'(x) = 3(x+1)(x-1)$。区間 $[-1, 2]$ 内で $f'(x) = 0$ のとき $x = -1, 1$
$f(-1) = 2$、$f(1) = -2$、$f(2) = 2$
値域は $[-2, 2]$。$\therefore -2 \leq k \leq 2$
$0 \leq \theta \leq \pi$ のとき、$f(\theta) = 2\cos^3\theta - 3\cos^2\theta + 1$ の最大値と最小値を求めよ。
$t = \cos\theta$($-1 \leq t \leq 1$)とおく。$g(t) = 2t^3 - 3t^2 + 1$
$g'(t) = 6t^2 - 6t = 6t(t-1) = 0$ のとき $t = 0, 1$
$g(-1) = -2 - 3 + 1 = -4$、$g(0) = 1$、$g(1) = 0$
最大値 $1$($t = 0$, $\theta = \pi/2$)、最小値 $-4$($t = -1$, $\theta = \pi$)
点 $P(t, 0)$($0 < t < 3$)から曲線 $C: y = x^3 - 3x$ に引いた接線のうち、接点の $x$ 座標が正であるものの接点を $Q$ とする。三角形 $OPQ$($O$ は原点)の面積 $S(t)$ を求め、$S(t)$ の最大値を求めよ。
接点 $(s, s^3 - 3s)$($s > 0$)での接線:$y = (3s^2 - 3)(x - s) + s^3 - 3s$
$(t, 0)$ を通る条件:$0 = (3s^2 - 3)(t - s) + s^3 - 3s$
$= 3s^2t - 3s^3 - 3t + 3s + s^3 - 3s = 3s^2t - 2s^3 - 3t$
$t(3s^2 - 3) = 2s^3$、$t = \dfrac{2s^3}{3(s^2 - 1)}$($s \neq 1$)
$Q = (s, s^3 - 3s)$。$S(t) = \dfrac{1}{2}|t| \cdot |s^3 - 3s| = \dfrac{t}{2}|s^3 - 3s|$
$s$ を $t$ の関数として表す必要があり、具体的な最大値の計算は $s$ についての関数として処理します。
$S$ を $s$ の関数として:$S = \dfrac{1}{2} \cdot \dfrac{2s^3}{3(s^2-1)} \cdot |s^3 - 3s| = \dfrac{s^3 \cdot s|s^2 - 3|}{3(s^2 - 1)}$($s > 0$, $s \neq 1$)
$0 < s < \sqrt{3}$, $s \neq 1$ で $s^2 - 3 < 0$:$S = \dfrac{s^4(3 - s^2)}{3(s^2 - 1)}$
この関数の最大値を微分で求める(計算が複雑なため、数値的に $s \approx 1.5$ 付近を調べる)。