第5章 指数関数と対数関数

対数不等式
─ 底が1より大きいか小さいかで、すべてが変わる

「$\log$ の不等式を解くとき、不等号の向きが変わったり変わらなかったり......」── これは対数関数の増減を理解すれば、自然に判断できるようになります。
底と1の大小関係、そして真数条件。この2つを押さえれば、対数不等式は怖くありません。

1対数不等式とは ─ 何を解いているのか

対数方程式では「$\log$ を含む等式を満たす $x$ の値」を求めました。対数不等式では、「$\log$ を含む不等式を満たす $x$ の値の範囲」を求めます。

例えば、次のような問題です。

$$\log_2 x > 3$$

これは「2を底とする $x$ の対数が3より大きい」ことを意味します。$\log_2 x = 3$ なら $x = 8$ ですから、直感的には $x > 8$ のあたりが答えになりそうです。実際、$y = \log_2 x$ は増加関数なので、$\log_2 x > 3 = \log_2 8$ から $x > 8$ が得られます。

対数方程式との違い

対数方程式では、底をそろえて真数同士を等号で結べば解けました。対数不等式でも「底をそろえて真数の大小を比較する」という方針は同じです。ただし、決定的に異なるのは底と1の大小関係によって不等号の向きが変わりうることです。

💡 ここが本質:対数不等式の核心は「底と1の大小」

対数不等式を解くときに意識すべきことは、たった2つです。

(1) 底 $a$ と $1$ の大小関係を確認する:$a > 1$ なら不等号の向きはそのまま、$0 < a < 1$ なら不等号の向きが逆転します。

(2) 真数条件を確認する:対数の中身(真数)は必ず正でなければなりません。これを忘れると、不正解になります。

対数不等式の全体像

対数不等式の解き方は、次の3ステップで整理できます。

  1. 真数条件を確認する:$\log$ の中身がすべて正であるための条件を立てる
  2. 底をそろえる:両辺を同じ底の対数に変形する
  3. 底と1の大小で場合分け:$a > 1$ なら不等号の向きはそのまま、$0 < a < 1$ なら逆転させて、真数の不等式に帰着する

最後に、ステップ1の真数条件との共通部分をとります。

2基本原理 ─ なぜ不等号の向きが変わるのか

対数関数のグラフから理解する

不等号の向きが変わる理由を、対数関数のグラフで確認しましょう。

$a > 1$ のとき、$y = \log_a x$ は増加関数です。$x$ が大きくなれば $y$ も大きくなります。したがって、

$$\log_a p < \log_a q \quad \Longleftrightarrow \quad p < q$$

真数の大小と対数の値の大小が一致します。

一方、$0 < a < 1$ のとき、$y = \log_a x$ は減少関数です。$x$ が大きくなると $y$ は小さくなります。したがって、

$$\log_a p < \log_a q \quad \Longleftrightarrow \quad p > q$$

真数の大小と対数の値の大小が逆転します。

📐 対数の大小と真数の大小の関係

$a > 0$、$a \neq 1$、$p > 0$、$q > 0$ のとき、

$a > 1$ の場合(増加関数):

$$\log_a p < \log_a q \quad \Longleftrightarrow \quad p < q \quad \text{(大小一致)}$$

$0 < a < 1$ の場合(減少関数):

$$\log_a p < \log_a q \quad \Longleftrightarrow \quad p > q \quad \text{(大小逆転)}$$

$<$ の部分は $\leq$、$>$、$\geq$ のいずれに置き換えても同様に成り立ちます。

💡 ここが本質:不等号の向きが変わる理由は「関数の増減」

増加関数は「入力の大小関係を保存」し、減少関数は「入力の大小関係を反転」します。これは対数に限らない一般原則です。

例えば、$y = -x$ は減少関数なので、$2 < 3$ の両辺に $-1$ をかけると $-2 > -3$ と不等号が逆転します。対数関数でも全く同じことが起きているのです。

つまり、「底が1より大きいか小さいか」を意識する理由は、それが対数関数が増加か減少かを決めるからです。

定数との比較

片辺が定数の場合も同じ考え方です。定数を「同じ底の対数」に書き換えます。

例えば $\log_2 x > 3$ なら、$3 = \log_2 8$ と書き換えて、

$$\log_2 x > \log_2 8$$

底 $2 > 1$(増加関数)なので、不等号の向きはそのまま保たれ、$x > 8$ です。

(もちろん真数条件 $x > 0$ も必要ですが、$x > 8$ はこれを自動的に満たします。)

⚠️ 落とし穴:「底が1より大きいか小さいか」の確認を忘れる

対数不等式で最も多いミスは、底と1の大小関係を確認せずに、機械的に真数同士の不等式を立ててしまうことです。

例えば $\log_{0.5} x > 2$ を解くとき:

✗ 誤り:$2 = \log_{0.5} 0.25$ なので $x > 0.25$

✓ 正しい:底 $0.5 < 1$(減少関数)なので不等号が逆転し、$x < 0.25$

(さらに真数条件 $x > 0$ と合わせて、$0 < x < 0.25$ が正解です。)

🔬 深掘りTips:対数関数の単調性と同値変形

「$f$ が単調増加のとき、$f(p) < f(q) \Leftrightarrow p < q$」は、大学数学では単射(injective)な関数の逆像が順序を保存するという性質として扱われます。

より厳密には、$f$ が狭義単調であることから $f$ は単射であり、不等式の同値変形が正当化されます。減少関数の場合は順序が反転するので「反順序保存」と呼ばれます。

3真数条件 ─ 忘れたら不正解になる「前提」

なぜ真数条件が必要なのか

対数 $\log_a M$ が定義されるためには、$M > 0$ が必要です。これが真数条件です。

対数不等式では、不等式の中に含まれるすべての対数について、真数が正であるための条件を最初に確認しなければなりません。

真数条件の確認手順

不等式に登場するすべての $\log$ について、その中身(真数)に $> 0$ の条件を立てます。

例えば $\log_3(2x - 1) > \log_3(x + 3)$ なら、

$$2x - 1 > 0 \quad \text{かつ} \quad x + 3 > 0$$

$$x > \frac{1}{2} \quad \text{かつ} \quad x > -3$$

共通部分をとって $x > \dfrac{1}{2}$ ...... これが真数条件です。

⚠️ 落とし穴:真数条件を最後に確認するのを忘れる

対数不等式を解く流れは、「真数条件を立てる → 不等式を解く → 共通部分をとる」です。最後の「共通部分をとる」を忘れると、定義されない値を含む誤った解を答えてしまいます。

例えば $\log_2(x - 2) < \log_2(6 - x)$ で、不等式だけ解くと $x < 4$ となりますが、真数条件 $x > 2$ との共通部分をとって $2 < x < 4$ が正解です。

対数の性質を使うときの注意

対数の性質 $\log_a MN = \log_a M + \log_a N$ を使って式変形するとき、この性質は $M > 0$ かつ $N > 0$ が前提です。変形の前に真数条件を確認しておく必要があります。

⚠️ 落とし穴:$\log_a x^2 = 2\log_a x$ と変形してよいか

$\log_a M^n = n \log_a M$ が成り立つのは $M > 0$ のときだけです。

✗ 誤り:$\log_2 x^2 = 2\log_2 x$($x$ の符号を確認していない)

✓ 正しい:$x > 0$ のとき $\log_2 x^2 = 2\log_2 x$。$x < 0$ のときは $\log_2 x^2 = 2\log_2(-x)$。

$\log_a x^2$ は $x \neq 0$ で定義されますが、$\log_a x$ は $x > 0$ でしか定義されません。安易に対数を外すと、定義域が変わってしまいます。

💡 ここが本質:真数条件は「対数が存在するための前提」

対数の性質を利用した式変形は、真数が正であるという前提のもとで成り立つ同値変形です。前提が満たされない範囲では式変形自体が無効になります。

だからこそ、真数条件を最初に確認し、最後に解との共通部分をとることが不可欠なのです。これは対数方程式でも同じですが、不等式では「範囲」を求めるため、真数条件が解を狭める効果がより顕著に現れます。

🔬 深掘りTips:同値変形と必要条件

方程式・不等式を解く際には「同値な関係を保ちながら変形する」ことが理想です。しかし、対数の性質を使った変形では定義域が変わることがあり、厳密には同値でなくなる場合があります。

大学数学では、$\log_a M + \log_a N = \log_a MN$ の成立条件を「$M > 0$ かつ $N > 0$」と明示し、この前提条件のもとでの同値変形であることを意識します。受験数学でも、この意識があれば真数条件のミスは激減します。

4対数不等式の解法パターン

パターン1:$\log_a f(x) > \log_a g(x)$ 型(底が定数)

最も基本的な形です。両辺の底が同じ定数になっている場合、底と1の大小で場合分けして真数の不等式に帰着させます。

📐 基本型の解法

$\log_a f(x) > \log_a g(x)$ を解くとき:

Step 1(真数条件):$f(x) > 0$ かつ $g(x) > 0$

Step 2(本体の不等式):

$$a > 1 \text{ のとき:} f(x) > g(x)$$

$$0 < a < 1 \text{ のとき:} f(x) < g(x)$$

Step 3:Step 1 と Step 2 の共通部分を求める

具体的に見てみましょう。

例:$\log_3(2x - 1) > \log_3(x + 3)$ を解く。

Step 1:真数条件より $2x - 1 > 0$ かつ $x + 3 > 0$、すなわち $x > \dfrac{1}{2}$ ...... (*)。

Step 2:底 $3 > 1$ なので、不等号の向きはそのまま。$2x - 1 > x + 3$、すなわち $x > 4$。

Step 3:(*) と $x > 4$ の共通部分は $x > 4$。

パターン2:$\log_a f(x) > k$(定数との比較)

片辺が定数のとき、定数を同じ底の対数に変換します。

$$\log_a f(x) > k \quad \Longleftrightarrow \quad \log_a f(x) > \log_a a^k$$

これでパターン1に帰着できます。

例:$\log_{0.5}(3x + 1) \leq -2$ を解く。

Step 1:真数条件より $3x + 1 > 0$、すなわち $x > -\dfrac{1}{3}$ ...... (*)。

Step 2:$-2 = \log_{0.5}(0.5)^{-2} = \log_{0.5} 4$ と変換すると、

$$\log_{0.5}(3x + 1) \leq \log_{0.5} 4$$

底 $0.5 < 1$(減少関数)なので、不等号が逆転して $3x + 1 \geq 4$、すなわち $x \geq 1$。

Step 3:(*) と $x \geq 1$ の共通部分は $x \geq 1$。

パターン3:底に文字を含む場合

底に変数を含む場合は、底が1より大きいか小さいかで場合分けが必要です。

📐 底が文字のときの場合分け

$\log_x A > \log_x B$ を解くとき($x > 0$、$x \neq 1$):

場合1($x > 1$ のとき):不等号の向きはそのまま → $A > B$

場合2($0 < x < 1$ のとき):不等号が逆転 → $A < B$

それぞれの場合で真数条件も確認し、最後に場合1と場合2の解を合併します。

⚠️ 落とし穴:底が文字のとき場合分けを忘れる

底が $a$(定数)のときは $a > 1$ か $0 < a < 1$ か明らかですが、底が $x$ のような変数の場合、場合分けが必須です。

✗ 誤り:底の大小を確認せずに一方の場合だけ解く

✓ 正しい:$x > 1$ と $0 < x < 1$ の2つの場合に分け、それぞれの解を求めて合併する

パターンの整理表

パターン 解法の要点
1. 両辺が対数 $\log_a f(x) > \log_a g(x)$ 底と1の大小で真数の不等式に帰着
2. 定数との比較 $\log_a f(x) > k$ $k = \log_a a^k$ と変換してパターン1へ
3. 底が文字 $\log_x f(x) > \log_x g(x)$ $x > 1$ と $0 < x < 1$ で場合分け
4. 置き換え型 $(\log_a x)^2$ を含む $t = \log_a x$ とおいて2次不等式へ
🔬 深掘りTips:底の変換と不等式

底が異なる対数を比較する場合は、底の変換公式 $\log_a b = \dfrac{\log_c b}{\log_c a}$ を使って底をそろえます。このとき、$\log_c a$ の符号に注意が必要です。$c > 1$ のとき、$0 < a < 1$ なら $\log_c a < 0$ となり、両辺を $\log_c a$ で割ると不等号が逆転します。

5置き換えによる対数不等式 ─ 2次不等式への帰着

$\log$ の2次式を含む不等式

$(\log_a x)^2$ のような項を含む不等式は、$t = \log_a x$ と置き換えることで、$t$ の2次不等式に帰着できます。

例:$(\log_2 x)^2 - 3\log_2 x + 2 < 0$ を解く。

Step 1:真数条件より $x > 0$ ...... (*)。

Step 2:$t = \log_2 x$ とおくと、不等式は

$$t^2 - 3t + 2 < 0$$

$$(t - 1)(t - 2) < 0$$

$$1 < t < 2$$

Step 3:$t$ を $x$ に戻します。$\log_2 x = t$ で底 $2 > 1$ なので、

$$1 < \log_2 x < 2 \quad \Longleftrightarrow \quad 2^1 < x < 2^2 \quad \Longleftrightarrow \quad 2 < x < 4$$

Step 4:(*) と $2 < x < 4$ の共通部分は $2 < x < 4$。

💡 ここが本質:置き換えで「見慣れた形」に帰着する

$t = \log_a x$ という置き換えの本質は、対数不等式を代数的な不等式に変換することです。2次不等式は因数分解で解けるし、数直線上で解を可視化できます。

ただし、置き換えた後に必ず$t$ の範囲を $x$ の範囲に戻すことを忘れないでください。$\log_a x$ は $x > 0$ のとき全実数の値をとるので、$t$ 自体の範囲に制約はありませんが、$x$ に戻す際に底と1の大小関係が効いてきます。

置き換えの注意点

$t = \log_a x$ とおいたとき、$x = a^t$ です。$a > 1$ なら $t$ が増えれば $x$ も増え(大小関係が保存)、$0 < a < 1$ なら $t$ が増えると $x$ は減ります(大小関係が逆転)。

$a > 1$ の場合:$t_1 < t < t_2$ → $a^{t_1} < x < a^{t_2}$

$0 < a < 1$ の場合:$t_1 < t < t_2$ → $a^{t_2} < x < a^{t_1}$(逆転)

⚠️ 落とし穴:$t$ の範囲を $x$ に戻すときの不等号

$0 < a < 1$ のとき、$t$ を $x$ に戻す際に不等号が逆転します。

例えば $\log_{1/3} x = t$ で $t > 2$ のとき:

✗ 誤り:$x > (1/3)^2 = 1/9$

✓ 正しい:底 $1/3 < 1$ なので $x < (1/3)^2 = 1/9$。真数条件 $x > 0$ と合わせて $0 < x < 1/9$。

連立的に処理する例

$\log_a f(x) + \log_a g(x) > k$ のような形では、左辺を $\log_a f(x) \cdot g(x)$ にまとめることもできます。ただし、まとめる前に $f(x) > 0$ かつ $g(x) > 0$ の確認が必要です。まとめた後の $f(x) \cdot g(x) > 0$ では、もとの真数条件より条件が弱くなってしまう可能性があるからです。

🔬 深掘りTips:対数のスケーリングと情報理論

$\log$ を使った不等式は、情報理論やエントロピーの文脈で頻繁に現れます。例えば、$n$ 桁の2進数で表せる情報量は $\log_2 2^n = n$ ビットです。「$N$ 個の状態を区別するのに何ビット必要か」は $\log_2 N$ で計算でき、$\log_2 N > k$ という不等式は「$k$ ビットでは足りない」ことを意味します。

また、常用対数を使った「$n$ 桁の整数」の条件 $10^{n-1} \leq N < 10^n$ は $n - 1 \leq \log_{10} N < n$ と書け、これも対数不等式の応用です。

📋まとめ

  • 底と1の大小がすべて:$a > 1$ なら増加関数で不等号の向きはそのまま、$0 < a < 1$ なら減少関数で不等号が逆転する。これが対数不等式の最重要ポイント。
  • 真数条件は必須:$\log$ の中身(真数)はすべて正。不等式を解く前に真数条件を立て、最後に解との共通部分をとる。忘れると不正解。
  • 基本の解き方:(1) 真数条件を確認 → (2) 底をそろえる → (3) 底と1の大小で場合分けし、真数の不等式に帰着 → (4) 真数条件との共通部分。
  • 定数との比較:$\log_a f(x) > k$ は $k = \log_a a^k$ と書き換えて、両辺が対数の形に帰着させる。
  • 置き換え型:$(\log_a x)^2$ を含む不等式は $t = \log_a x$ とおいて2次不等式に帰着。$t$ を $x$ に戻すときも底と1の大小に注意。

✅ 確認テスト

Q1. $\log_2 x > 5$ を解け。

▶ クリックして解答を表示 真数条件:$x > 0$。$5 = \log_2 32$ なので $\log_2 x > \log_2 32$。底 $2 > 1$ より $x > 32$。

Q2. $\log_{1/2} x \geq -3$ を解け。

▶ クリックして解答を表示 真数条件:$x > 0$。$-3 = \log_{1/2} 8$ なので $\log_{1/2} x \geq \log_{1/2} 8$。底 $1/2 < 1$(減少関数)より不等号逆転して $x \leq 8$。真数条件と合わせて $0 < x \leq 8$。

Q3. $\log_3(x + 1) < \log_3(5 - x)$ を解け。

▶ クリックして解答を表示 真数条件:$x + 1 > 0$ かつ $5 - x > 0$ より $-1 < x < 5$ ...... (*)。底 $3 > 1$ より $x + 1 < 5 - x$、すなわち $x < 2$。(*) と合わせて $-1 < x < 2$。

Q4. $\log_{0.1}(2x - 3) > \log_{0.1}(x + 1)$ を解け。

▶ クリックして解答を表示 真数条件:$2x - 3 > 0$ かつ $x + 1 > 0$ より $x > \dfrac{3}{2}$ ...... (*)。底 $0.1 < 1$(減少関数)より不等号逆転して $2x - 3 < x + 1$、すなわち $x < 4$。(*) と合わせて $\dfrac{3}{2} < x < 4$。

Q5. $(\log_3 x)^2 - 4\log_3 x + 3 \leq 0$ を解け。

▶ クリックして解答を表示 真数条件:$x > 0$。$t = \log_3 x$ とおくと $t^2 - 4t + 3 \leq 0$、$(t - 1)(t - 3) \leq 0$ より $1 \leq t \leq 3$。底 $3 > 1$ なので $3^1 \leq x \leq 3^3$、すなわち $3 \leq x \leq 27$。

📝入試問題演習

問題 1 A 基礎

次の不等式を解け。

(1) $\log_2(3x - 2) \leq \log_2(x + 6)$

(2) $\log_{1/3}(x - 1) > -2$

▶ クリックして解答を表示
解答

(1) 真数条件:$3x - 2 > 0$ かつ $x + 6 > 0$ より $x > \dfrac{2}{3}$ ...... (*)

底 $2 > 1$ より不等号の向きはそのまま:$3x - 2 \leq x + 6$

$2x \leq 8$ すなわち $x \leq 4$

(*) と合わせて $\dfrac{2}{3} < x \leq 4$

(2) 真数条件:$x - 1 > 0$ より $x > 1$ ...... (*)

$-2 = \log_{1/3}\left(\dfrac{1}{3}\right)^{-2} = \log_{1/3} 9$ と変換

$\log_{1/3}(x - 1) > \log_{1/3} 9$

底 $\dfrac{1}{3} < 1$(減少関数)より不等号逆転:$x - 1 < 9$、すなわち $x < 10$

(*) と合わせて $1 < x < 10$

問題 2 B 標準

不等式 $\log_4(x + 3) + \log_4(x - 1) > 1$ を解け。

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解答

真数条件:$x + 3 > 0$ かつ $x - 1 > 0$ より $x > 1$ ...... (*)

(*) のもとで、左辺をまとめると

$$\log_4(x + 3)(x - 1) > 1$$

$1 = \log_4 4$ なので

$$\log_4(x + 3)(x - 1) > \log_4 4$$

底 $4 > 1$ より $(x + 3)(x - 1) > 4$

$$x^2 + 2x - 3 > 4$$

$$x^2 + 2x - 7 > 0$$

$$x < -1 - 2\sqrt{2} \quad \text{または} \quad x > -1 + 2\sqrt{2}$$

(*) の $x > 1$ と合わせると、$-1 + 2\sqrt{2} \approx 1.83$ なので

$$x > -1 + 2\sqrt{2}$$

解説

対数の和を積の対数にまとめるとき、真数条件を先に確認しておくことが重要です。(*) が確認済みなので、$\log_4(x+3) + \log_4(x-1) = \log_4(x+3)(x-1)$ は正当な同値変形です。

採点のポイント
  • 真数条件を正しく求めている($x > 1$)
  • 対数の和を積の対数に変換し、$\log_4 4 = 1$ を用いて整理している
  • 2次不等式を正しく解き、真数条件との共通部分を求めている
問題 3 B 標準

不等式 $(\log_2 x)^2 - \log_2 x - 2 > 0$ を解け。

▶ クリックして解答を表示
解答

真数条件:$x > 0$ ...... (*)

$t = \log_2 x$ とおくと

$$t^2 - t - 2 > 0$$

$$(t - 2)(t + 1) > 0$$

$$t < -1 \quad \text{または} \quad t > 2$$

$t$ を $x$ に戻す。底 $2 > 1$(増加関数)なので:

$t < -1$ のとき:$\log_2 x < -1$ より $x < 2^{-1} = \dfrac{1}{2}$

$t > 2$ のとき:$\log_2 x > 2$ より $x > 2^2 = 4$

(*) と合わせて $0 < x < \dfrac{1}{2}$ または $x > 4$

解説

$t = \log_2 x$ の置き換えにより、2次不等式に帰着させる典型的な問題です。$t$ の不等式の解が2つの範囲に分かれるため、$x$ に戻した解も2つの範囲の合併になります。

採点のポイント
  • $t = \log_2 x$ の置き換えを正しく行っている
  • 2次不等式を因数分解で正しく解いている
  • $t$ の範囲を $x$ の範囲に正しく戻し、真数条件と合わせている
問題 4 C 発展

$a > 0$、$a \neq 1$ とする。不等式 $\log_a(2x - 3) < \log_a(x^2 - 4)$ を解け。

▶ クリックして解答を表示
解答

真数条件:$2x - 3 > 0$ かつ $x^2 - 4 > 0$ より

$$x > \frac{3}{2} \quad \text{かつ} \quad (x < -2 \text{ または } x > 2)$$

共通部分をとると $x > 2$ ...... (*)

【場合1】$a > 1$ のとき:

不等号の向きはそのまま:$2x - 3 < x^2 - 4$

$$x^2 - 2x - 1 > 0$$

$$(x - 1)^2 > 2$$

$$x < 1 - \sqrt{2} \quad \text{または} \quad x > 1 + \sqrt{2}$$

(*) と合わせると、$1 + \sqrt{2} \approx 2.41$ なので $x > 1 + \sqrt{2}$ ...... ただし $x > 2$ の制約から $x > 2$ の範囲で $x > 1 + \sqrt{2}$ を満たす部分。

$1 + \sqrt{2} > 2$ なので、$a > 1$ のとき解は $x > 1 + \sqrt{2}$

【場合2】$0 < a < 1$ のとき:

不等号が逆転:$2x - 3 > x^2 - 4$

$$x^2 - 2x - 1 < 0$$

$$1 - \sqrt{2} < x < 1 + \sqrt{2}$$

(*) と合わせると $2 < x < 1 + \sqrt{2}$

解説

底 $a$ が文字なので、$a > 1$ と $0 < a < 1$ の場合分けが必要です。真数条件は両方の場合で共通ですが、本体の不等式から得られる範囲が場合によって異なります。真数条件の共通部分を正確に求めることがポイントです。

採点のポイント
  • 真数条件を正しく処理し、共通部分 $x > 2$ を求めている
  • $a > 1$ と $0 < a < 1$ の場合分けを正しく行っている
  • 各場合の2次不等式を正しく解いている
  • 最終的に真数条件との共通部分を正しく求めている