第5章 指数関数と対数関数

対数方程式
─ 「log を外す」ための3つの戦略

対数方程式とは、$\log$ の中に未知数を含む方程式のことです。
解法のカギは「対数を外して、普通の方程式に戻す」こと。しかし、外す前に確認すべき大事な条件があります。
真数条件を忘れると「存在しない解」を答えてしまう ── この落とし穴を避ける方法を身につけましょう。

1対数方程式とは ─ なぜ「真数条件」が必要なのか

対数方程式の定義

対数の中に変数(未知数)$x$ を含む方程式を対数方程式といいます。たとえば、次のようなものです。

  • $\log_2 x = 3$
  • $\log_3 x + \log_3(x - 2) = 1$
  • $(\log_3 x)^2 - 2\log_3 x - 3 = 0$

対数方程式を解くということは、「$\log$ を外して、$x$ の値を求める」ことです。しかし、$\log$ を外す前に、必ず確認しなければならないことがあります。

なぜ真数条件が必要なのか

対数 $\log_a M$ が定義されるためには、次の条件が必要です。

📐 対数が定義される条件

$$\log_a M \text{ が定義される} \iff \begin{cases} M > 0 & \text{(真数条件)} \\ a > 0, \; a \neq 1 & \text{(底の条件)} \end{cases}$$

底が定数($\log_2$, $\log_3$ など)の場合、底の条件は自動的に満たされるので、真数条件 $M > 0$ だけを確認すればよいです。

💡 ここが本質:真数条件は「存在の前提」

$\log_a M$ は「$a$ を何乗したら $M$ になるか」という数です。$a > 0$, $a \neq 1$ のとき、$a^t$ は常に正の値をとります。つまり、$a^t = M$ が成り立つには $M > 0$ でなければなりません。

真数条件は「対数が存在するための前提条件」です。$\log_2(-4)$ は「$2$ を何乗したら $-4$ になるか」ですが、$2^t > 0$ なので、そんな $t$ は存在しません。だから $\log_2(-4)$ は定義されないのです。

対数方程式を解く一般的な手順

対数方程式の解法は、種類によって細部は異なりますが、共通する大きな流れがあります。

  1. 真数条件を確認する ── 対数の中身(真数)がすべて正であるための $x$ の範囲を求める
  2. 対数を外す ── 底をそろえて $\log$ を消去し、普通の方程式に帰着させる
  3. 方程式を解く ── 得られた方程式を因数分解などで解く
  4. 真数条件で検証する ── 得られた解が手順1の条件を満たすか確認する
⚠️ 落とし穴:真数条件の確認を忘れる

対数方程式で最も多いミスは、真数条件を確認せず「偽の解」を答えてしまうことです。

たとえば $\log_3 x + \log_3(x-2) = 1$ を解くとき、途中で $x = -1$ と $x = 3$ が出ますが、$x = -1$ では $\log_3(-1)$ が定義されません。

✗ 誤り:$x = -1, 3$(真数条件を確認していない)

✓ 正しい:$x = 3$($x > 2$ を満たすもののみ)

2基本型:$\log_a f(x) = \log_a g(x)$ の解法

対数を外す原理

対数関数 $y = \log_a x$($a > 0$, $a \neq 1$)は単射(1対1の関数)です。つまり、異なる入力には異なる出力が対応します。

これを言い換えると、次のことが成り立ちます。

📐 対数方程式の基本原理

$a > 0$, $a \neq 1$, $M > 0$, $N > 0$ のとき、

$$\log_a M = \log_a N \iff M = N$$

左辺と右辺の底が同じで、両方の対数が定義されている(真数が正)とき、log を外して真数同士を等号で結べます。

💡 ここが本質:なぜ log を外せるのか

$\log_a M = \log_a N$ が成り立つということは、「$a$ を何乗したら $M$ になるか」と「$a$ を何乗したら $N$ になるか」が同じ、ということです。

$a^t = M$ かつ $a^t = N$ なら、当然 $M = N$ です。対数関数が単調関数(常に増加、または常に減少)であるからこそ、この変換が可能なのです。

基本型の解法手順

$\log_a f(x) = \log_a g(x)$ の形の方程式は、次の手順で解きます。

  1. 真数条件:$f(x) > 0$ かつ $g(x) > 0$ を確認
  2. $\log$ を外す:$f(x) = g(x)$
  3. 方程式を解く
  4. 得られた解が真数条件を満たすか検証

具体的に見てみましょう。$\log_3 x + \log_3(x - 2) = 1$ を解きます。

Step 1(真数条件):$x > 0$ かつ $x - 2 > 0$ より、$x > 2$

Step 2(対数の性質で変形):

$$\log_3 x + \log_3(x - 2) = 1$$

$$\log_3 x(x - 2) = \log_3 3$$

Step 3($\log$ を外す):$x(x - 2) = 3$

$$x^2 - 2x - 3 = 0$$

$$(x + 1)(x - 3) = 0$$

$$x = -1, \; 3$$

Step 4(検証):$x > 2$ を満たすのは $x = 3$ のみ。よって、解は $x = 3$。

⚠️ 落とし穴:対数の性質を使った後の真数条件

$\log_a M + \log_a N = \log_a MN$ という変形は、$M > 0$ かつ $N > 0$ のもとで成り立ちます。

変形後の $\log_a MN$ だけを見ると「$MN > 0$ であればよい」と思うかもしれませんが、それは誤りです。$M < 0$ かつ $N < 0$ でも $MN > 0$ ですが、もとの $\log_a M$, $\log_a N$ は定義されません。

真数条件は、変形前の式から求める必要があります。

右辺が定数の場合

$\log_a f(x) = k$($k$ は定数)の形は、対数の定義を使って直接変換できます。

📐 対数の定義による変換

$$\log_a M = k \iff M = a^k$$

この変換は対数の定義そのものであり、同値変形です。真数条件は $a^k > 0$(常に成立)から自動的に満たされます。

たとえば、$\log_2(x^2 + 5x + 2) - \log_2(2x + 3) = 2$ の場合を見てみましょう。

真数条件:$x^2 + 5x + 2 > 0$ かつ $2x + 3 > 0$ ...... ①

方程式を変形すると $\log_2 \dfrac{x^2 + 5x + 2}{2x + 3} = 2$ より $\dfrac{x^2 + 5x + 2}{2x + 3} = 4$

$x^2 + 5x + 2 = 4(2x + 3)$ を整理すると $x^2 - 3x - 10 = 0$

$(x + 2)(x - 5) = 0$ より $x = -2, \; 5$

$x = -2$ のとき、$2x + 3 = -1 < 0$ なので①を満たしません。$x = 5$ のとき、$x^2 + 5x + 2 = 52 > 0$、$2x + 3 = 13 > 0$ なので①を満たします。

よって、解は $x = 5$ です。

🔬 深掘りTips:対数の定義は「同値変形」

$\log_a M = k \iff M = a^k$ という変換は同値変形です。つまり、この変換では情報が失われず、「偽の解」が紛れ込むことはありません。

一方、$\log_a M + \log_a N = \log_a MN$ は「$M > 0$ かつ $N > 0$」という前提のもとでのみ同値です。前提を忘れると同値性が崩れ、解のずれが起きます。方程式を解くとは「同値な変形を積み重ねること」であり、どの変形がどの前提のもとで同値かを意識することが大切です。

3底の統一 ─ 異なる底をそろえる技術

なぜ底をそろえる必要があるのか

$\log_a M = \log_a N \Rightarrow M = N$ という原理は、左辺と右辺の底が同じでなければ使えません。底がバラバラのまま $\log$ を外すことはできないのです。

底が異なる対数が混ざっている場合は、まず底の変換公式を使って底を統一します。

📐 底の変換公式

$$\log_a b = \frac{\log_c b}{\log_c a}$$

特に $c = b$ とすると $\log_a b = \dfrac{1}{\log_b a}$(逆数関係)。この関係は対数方程式でよく使います。

底の統一が必要な場合

底が異なる対数を含む方程式の典型的なパターンを見てみましょう。

$\log_4(x + 2) + \log_2 x = 0$ を解きます。

$\log_4$ と $\log_2$ が混在しているので、底をそろえます。$4 = 2^2$ なので、

$$\log_4(x + 2) = \frac{\log_2(x + 2)}{\log_2 4} = \frac{\log_2(x + 2)}{2}$$

よって方程式は $\dfrac{\log_2(x + 2)}{2} + \log_2 x = 0$ となります。

真数条件:$x + 2 > 0$ かつ $x > 0$ より $x > 0$

両辺を $2$ 倍して $\log_2(x + 2) + 2\log_2 x = 0$

$$\log_2(x + 2) + \log_2 x^2 = 0$$

$$\log_2 x^2(x + 2) = 0$$

$$x^2(x + 2) = 1$$

$$x^3 + 2x^2 - 1 = 0$$

ここで $x = \dfrac{-1 + \sqrt{5}}{2}$ が正の解(もう少し丁寧に:$(x + 1)(x^2 + x - 1) = 0$ と因数分解でき、$x = -1$ は $x > 0$ を満たさず、$x = \dfrac{-1 + \sqrt{5}}{2}$ が唯一の正の解)。

💡 ここが本質:底の統一は「共通語に翻訳する」こと

異なる底の対数が混在する方程式は、いわば「別々の言語」で書かれた方程式です。底の変換公式を使って1つの底にそろえることは、方程式を「共通語」に翻訳する作業にほかなりません。

底をそろえる先は、方程式に現れる底のうち、もっとも基本的なもの($2$, $3$ など)を選ぶと計算がスムーズになります。たとえば $\log_4$ と $\log_8$ が混在していれば、$\log_2$ にそろえるのが自然です。

逆数関係 $\log_a b \cdot \log_b a = 1$ の活用

$\log_a b$ と $\log_b a$ が同時に現れる方程式では、逆数関係を活用します。

$\log_2 x + 6\log_x 2 = 5$ を考えます。

真数条件と底の条件:$x > 0$ かつ $x \neq 1$

$\log_x 2 = \dfrac{1}{\log_2 x}$ なので、$\log_2 x = t$ とおくと方程式は $t + \dfrac{6}{t} = 5$

$t \neq 0$($x \neq 1$ より $\log_2 x \neq 0$)なので両辺に $t$ を掛けて、

$$t^2 - 5t + 6 = 0$$

$$(t - 2)(t - 3) = 0$$

$t = 2$ のとき $\log_2 x = 2$ より $x = 4$。$t = 3$ のとき $\log_2 x = 3$ より $x = 8$。

どちらも $x > 0$, $x \neq 1$ を満たすので、解は $x = 4, \; 8$ です。

⚠️ 落とし穴:$\log_x a$ の底の条件

$\log_x a$ のように底が変数 $x$ のとき、$x > 0$ かつ $x \neq 1$ が必要です。特に $x = 1$ は見落としやすいポイントです。

$\log_1 a$ は定義されません。なぜなら $1^t = 1$(常に $1$)なので、$1^t = a$ を満たす $t$ は $a = 1$ のときしか存在せず、しかもそのとき $t$ が一意に定まらないからです。

✗ 誤り:$x > 0$ だけ確認して $x = 1$ を見落とす

✓ 正しい:$x > 0$ かつ $x \neq 1$ を確認

🔬 深掘りTips:常用対数と自然対数

底の変換公式 $\log_a b = \frac{\log_c b}{\log_c a}$ で、$c = 10$ とした $\log_{10}$ を常用対数、$c = e$(ネイピア数)とした $\log_e = \ln$ を自然対数といいます。

大学の数学や物理では、底を明示しない $\log$ は自然対数 $\ln$ を意味することが多いです。自然対数は微分積分と相性がよく、$(\ln x)' = \frac{1}{x}$ という美しい公式が成り立つため、解析学の「デフォルトの底」になっています。

4置換型 ─ $\log_a x = t$ とおく方程式

なぜ置換が有効なのか

$(\log_a x)^2$ や $\log_a x$ が混在する方程式は、そのままでは $\log$ を外せません。しかし、$\log_a x = t$ とおくと、$t$ についての2次方程式に帰着でき、解きやすくなります。

これは指数方程式での置換($a^x = t$ とおく)と全く同じ発想です。「複雑な式を1つの文字に置き換えて、見通しをよくする」のが置換の目的です。

置換型の解法手順

$(\log_3 x)^2 - 2\log_3 x - 3 = 0$ を解いてみましょう。

Step 1(真数条件):$x > 0$

Step 2(置換):$\log_3 x = t$ とおくと、

$$t^2 - 2t - 3 = 0$$

Step 3($t$ の方程式を解く):

$$(t + 1)(t - 3) = 0$$

$$t = -1, \; 3$$

Step 4($x$ に戻す):

$t = -1$ のとき $\log_3 x = -1$ より $x = 3^{-1} = \dfrac{1}{3}$

$t = 3$ のとき $\log_3 x = 3$ より $x = 3^3 = 27$

Step 5(検証):$x = \dfrac{1}{3} > 0$, $x = 27 > 0$ で真数条件を満たします。

よって、解は $x = \dfrac{1}{3}, \; 27$ です。

📐 置換型の解法パターン

$\log_a x = t$ とおくと、$t$ はすべての実数値をとります($x > 0$ のとき)。

$$\log_a x = t \iff x = a^t \quad (x > 0)$$

指数方程式の置換 $a^x = t$ では $t > 0$ という制約がありましたが、対数の置換ではこの制約がないのがポイントです。$t$ の値に制限はありません。

💡 ここが本質:置換の範囲に注意

置換 $\log_a x = t$ において、$x > 0$ の範囲を $x$ が動くとき、$t$ は $-\infty$ から $+\infty$ までのすべての実数値をとります。

これは指数方程式の置換 $a^x = t$($t > 0$ の制約あり)との大きな違いです。対数の置換では $t$ の範囲制限がないため、$t$ の方程式で得られた解はすべて有効です。ただし、$x$ に戻した後の真数条件の確認は必要です。

$\log$ の中に式が入っている場合

$2(\log_2 x)^2 + 3\log_2 x = 2$ のように、$\log_2 x$ の2次式になっている場合も同様です。

真数条件:$x > 0$

$\log_2 x = t$ とおくと $2t^2 + 3t - 2 = 0$

$(2t - 1)(t + 2) = 0$ より $t = \dfrac{1}{2}, \; -2$

$t = \dfrac{1}{2}$ のとき $x = 2^{1/2} = \sqrt{2}$、$t = -2$ のとき $x = 2^{-2} = \dfrac{1}{4}$

よって、解は $x = \sqrt{2}, \; \dfrac{1}{4}$ です。

⚠️ 落とし穴:$\log_a x^2 \neq 2\log_a x$ の場合がある

対数の性質 $\log_a M^n = n\log_a M$ は、$M > 0$ のもとで成り立ちます。

$\log_a x^2 = 2\log_a x$ は $x > 0$ のときのみ正しいです。$x < 0$ のとき、$\log_a x$ は定義されませんが、$\log_a x^2 = \log_a(x^2)$ は $x \neq 0$ なら定義されます。

正確には、$x \neq 0$ のとき $\log_a x^2 = 2\log_a |x|$ です。

✗ 誤り:$\log_3 x^2 = 2\log_3 x$ として解く($x < 0$ の解を見落とす可能性)

✓ 正しい:$\log_3 x^2 = 2\log_3 |x|$ と認識する

🔬 深掘りTips:方程式の「型」を見抜く力

$(\log x)^2 + c_1 \log x + c_2 = 0$ は $\log x$ を1つの「かたまり」とみた2次方程式です。このように、「式の中の共通部分を1文字に置き換える」手法は、数学全体を通じて極めて強力です。

三角関数では $\sin^2 x + \sin x - 2 = 0$ を $\sin x = t$ とおいて解きますし、大学の微分方程式でも変数変換で方程式を簡単な形に帰着させます。「何を1つの文字と見なすか」を発見するのが、数学的なセンスの見せどころです。

5底に変数がある方程式 ─ 底の条件も忘れずに

底が変数のとき何が変わるか

$\log_x 8 = 3$ のように、底に変数 $x$ が含まれる方程式があります。このとき、真数条件だけでなく底の条件($x > 0$ かつ $x \neq 1$)も必要になります。

$\log_x 8 = 3$ を解いてみましょう。

底の条件:$x > 0$, $x \neq 1$

対数の定義より $x^3 = 8$ なので $x = 2$。これは底の条件を満たすので、解は $x = 2$ です。

底の統一と底の条件が絡む場合

$\log_x(x + 2) = \log_x(5x + 16)^{1/2}$ のような方程式では、底が $x$ なので次の条件がすべて必要です。

  • 底の条件:$x > 0$, $x \neq 1$
  • 真数条件:$x + 2 > 0$, $5x + 16 > 0$

方程式を変形すると $\log_x(x + 2) = \dfrac{1}{2}\log_x(5x + 16)$ より $\log_x(x+2)^2 = \log_x(5x + 16)$

$(x + 2)^2 = 5x + 16$ を展開すると $x^2 + 4x + 4 = 5x + 16$

$x^2 - x - 12 = 0$ より $(x + 3)(x - 4) = 0$ なので $x = -3, \; 4$

底の条件 $x > 0$, $x \neq 1$ を満たすのは $x = 4$ のみ。よって、解は $x = 4$ です。

⚠️ 落とし穴:底が変数のとき、$x = 1$ を見逃す

底に変数がある場合、$x = 1$ は条件から除外されますが、方程式を解く過程で $x = 1$ が出てくることがあります。

「方程式の計算結果は $x = 1$ だが、底の条件で不適」── このパターンは入試でも頻出です。

✗ 誤り:$x = 1$ が底の条件を満たすか確認し忘れる

✓ 正しい:底が変数のとき、最後に「$x > 0$ かつ $x \neq 1$」を必ず確認

対数方程式の3つの型 ── 解法マップ

ここまでに学んだ対数方程式の型を整理しましょう。

方程式の形 解法の方針
基本型 $\log_a f(x) = \log_a g(x)$
$\log_a f(x) = k$
底をそろえて log を外す。または対数の定義で変換
底の統一型 $\log_a f(x) + \log_b g(x) = \cdots$ 底の変換公式で底をそろえてから、基本型に帰着
置換型 $(\log_a x)^2 + c\log_a x + d = 0$ $\log_a x = t$ とおいて $t$ の方程式を解く
底が変数 $\log_x f(x) = k$ など 定義に戻すか、底の変換公式で既知の底に変換
🔬 深掘りTips:対数方程式と指数方程式の関係

対数は指数の「逆演算」です。$\log_a M = k \iff a^k = M$ ですから、対数方程式はいつでも指数方程式に書き換えることができます。

「$\log$ を外す」という操作の正体は、実は「指数の世界に戻す」ことです。対数は指数で表しにくい量(桁数、音のデシベル、地震のマグニチュードなど)を扱いやすくするための「翻訳装置」であり、方程式を解くときには「原語(指数)に戻す」のが基本方針になるのです。

📋まとめ

  • 真数条件:対数方程式を解く前に、すべての対数の真数が正($> 0$)であることを確認する。底が変数のときは、底の条件($> 0$, $\neq 1$)も必要。
  • 基本原理:$\log_a M = \log_a N \iff M = N$($M > 0$, $N > 0$)。底が同じなら $\log$ を外して真数同士の等式に帰着できる。
  • 底の統一:底が異なる場合は、底の変換公式 $\log_a b = \frac{\log_c b}{\log_c a}$ で底をそろえる。逆数関係 $\log_a b = \frac{1}{\log_b a}$ も有用。
  • 置換型:$\log_a x = t$ とおくと、$t$ についての2次方程式に帰着できる。$t$ はすべての実数値をとる(指数の置換 $a^x = t > 0$ との違いに注意)。
  • 検証の重要性:得られた解が真数条件・底の条件を満たすか、最後に必ず確認する。対数の性質を使った変形は「前提条件つきの同値変形」であり、検証を怠ると偽の解を含めてしまう。

確認テスト

Q1. $\log_2 x = 5$ を解け。

▶ クリックして解答を表示 対数の定義より $x = 2^5 = 32$

Q2. $\log_3(x - 1) + \log_3(x + 1) = \log_3 8$ を解け。

▶ クリックして解答を表示 真数条件:$x > 1$。$\log_3(x-1)(x+1) = \log_3 8$ より $(x-1)(x+1) = 8$。$x^2 = 9$ より $x = \pm 3$。$x > 1$ を満たすのは $x = 3$。

Q3. $\log_9(2x + 1) = \log_3 x$ を解け。(ヒント:底を $3$ にそろえる)

▶ クリックして解答を表示 真数条件:$2x+1 > 0$ かつ $x > 0$ より $x > 0$。$\log_9(2x+1) = \frac{\log_3(2x+1)}{2}$ なので $\frac{\log_3(2x+1)}{2} = \log_3 x$。$\log_3(2x+1) = \log_3 x^2$ より $2x + 1 = x^2$。$x^2 - 2x - 1 = 0$ より $x = 1 \pm \sqrt{2}$。$x > 0$ より $x = 1 + \sqrt{2}$。

Q4. $(\log_2 x)^2 - 3\log_2 x + 2 = 0$ を解け。

▶ クリックして解答を表示 $\log_2 x = t$ とおくと $t^2 - 3t + 2 = 0$、$(t-1)(t-2) = 0$ より $t = 1, 2$。$t = 1$ のとき $x = 2$、$t = 2$ のとき $x = 4$。いずれも $x > 0$ を満たす。解は $x = 2, 4$。

Q5. $\log_x 27 = 3$ を解け。

▶ クリックして解答を表示 底の条件:$x > 0$, $x \neq 1$。対数の定義より $x^3 = 27$ なので $x = 3$。$x = 3 > 0$ かつ $x \neq 1$ を満たす。解は $x = 3$。

📝入試問題演習

問題 1 A 基礎

次の方程式を解け。

(1) $\log_5 x + \log_5(x - 4) = 1$

(2) $\log_2(x^2 - x - 2) = \log_2(x + 1) + 1$

▶ クリックして解答を表示
解答

(1) 真数条件:$x > 0$ かつ $x - 4 > 0$ より $x > 4$ ...... ①

$\log_5 x(x - 4) = \log_5 5$ より $x(x - 4) = 5$

$x^2 - 4x - 5 = 0$ より $(x + 1)(x - 5) = 0$ なので $x = -1, \; 5$

①を満たすのは $x = 5$

(2) 真数条件:$x^2 - x - 2 > 0$ かつ $x + 1 > 0$

$x^2 - x - 2 = (x - 2)(x + 1)$ なので、$(x - 2)(x + 1) > 0$ かつ $x > -1$ より $x > 2$ ...... ①

方程式:$\log_2(x^2 - x - 2) = \log_2(x + 1) + \log_2 2 = \log_2 2(x + 1)$

$x^2 - x - 2 = 2(x + 1)$ より $x^2 - 3x - 4 = 0$

$(x + 1)(x - 4) = 0$ より $x = -1, \; 4$

①を満たすのは $x = 4$

問題 2 B 標準

次の方程式を解け。

(1) $2(\log_3 x)^2 + 3\log_3 x = 2$

(2) $\log_3 x - \log_x 81 = 3$

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解答

(1) 真数条件:$x > 0$ ...... ①

$\log_3 x = t$ とおくと $2t^2 + 3t - 2 = 0$

$(2t - 1)(t + 2) = 0$ より $t = \dfrac{1}{2}, \; -2$

$t = \dfrac{1}{2}$ のとき $x = 3^{1/2} = \sqrt{3}$

$t = -2$ のとき $x = 3^{-2} = \dfrac{1}{9}$

いずれも①を満たす。解は $x = \sqrt{3}, \; \dfrac{1}{9}$

(2) 真数条件と底の条件:$x > 0$, $x \neq 1$ ...... ①

$\log_x 81 = \log_x 3^4 = \dfrac{4}{\log_3 x}$(底の変換公式)

$\log_3 x = t$($t \neq 0$)とおくと $t - \dfrac{4}{t} = 3$

$t^2 - 3t - 4 = 0$ より $(t + 1)(t - 4) = 0$ なので $t = -1, \; 4$

$t = -1$ のとき $x = 3^{-1} = \dfrac{1}{3}$

$t = 4$ のとき $x = 3^4 = 81$

いずれも①を満たす。解は $x = \dfrac{1}{3}, \; 81$

解説

(1) は $\log_3 x$ の2次式なので、置換型の典型です。$t$ はすべての実数値をとるので、$t$ の方程式で得られた解はすべて $x > 0$ を満たします($x = 3^t > 0$ は常に成立)。

(2) は $\log_3 x$ と $\log_x 81$ が混在しており、逆数関係を使って底を統一します。$\log_x 81 = \frac{4}{\log_3 x}$ と変換することで、置換型に帰着できます。底が変数 $x$ なので、$x \neq 1$($t \neq 0$)の確認も忘れずに行います。

採点のポイント
  • 真数条件・底の条件を正しく設定しているか
  • 底の変換公式を正しく適用し、置換に帰着できているか
  • 最後に条件を満たすか検証しているか
問題 3 B 標準

方程式 $\log_4(x + 2) + \log_2 x = 0$ を解け。

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解答

真数条件:$x + 2 > 0$ かつ $x > 0$ より $x > 0$ ...... ①

$\log_4(x + 2) = \dfrac{\log_2(x + 2)}{\log_2 4} = \dfrac{\log_2(x + 2)}{2}$ なので、方程式は

$$\frac{\log_2(x + 2)}{2} + \log_2 x = 0$$

両辺を $2$ 倍して $\log_2(x + 2) + 2\log_2 x = 0$

$$\log_2(x + 2) + \log_2 x^2 = 0$$

$$\log_2 x^2(x + 2) = 0$$

$$x^2(x + 2) = 1$$

$$x^3 + 2x^2 - 1 = 0$$

$x = -1$ を代入すると $-1 + 2 - 1 = 0$ より $x = -1$ は解。$(x + 1)$ で割ると

$$x^3 + 2x^2 - 1 = (x + 1)(x^2 + x - 1) = 0$$

$x^2 + x - 1 = 0$ より $x = \dfrac{-1 \pm \sqrt{5}}{2}$

①($x > 0$)を満たすのは $x = \dfrac{-1 + \sqrt{5}}{2}$ のみ。

解説

$\log_4$ と $\log_2$ の底が異なるので、底の変換公式で $\log_2$ にそろえます。$4 = 2^2$ なので $\log_4 = \frac{\log_2}{\log_2 4} = \frac{\log_2}{2}$ と変換できます。

結果として3次方程式が現れますが、$x = -1$ が解であることを見つけて因数分解します。3つの解のうち、真数条件 $x > 0$ を満たすものを選びます。

採点のポイント
  • 底の変換公式を正しく使って底を統一しているか
  • 3次方程式を正しく因数分解しているか
  • 真数条件による検証で正しい解を選んでいるか
問題 4 C 発展

$k$ は定数とする。$x$ の方程式

$$(\log_2 x)^2 - 2k\log_2 x + k + 2 = 0$$

について、次の問いに答えよ。

(1) この方程式が異なる2つの正の実数解をもつための $k$ の条件を求めよ。

(2) この方程式が異なる2つの正の実数解 $\alpha$, $\beta$ をもつとき、$\alpha\beta$ を $k$ で表せ。

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解答

(1) $\log_2 x = t$ とおくと、$x > 0$ のとき $t$ はすべての実数値をとる。

方程式は $t^2 - 2kt + k + 2 = 0$ ...... (*)

$x$ が異なる2つの正の実数解をもつ $\iff$ $t$ が異なる2つの実数解をもつ

($t$ と $x$ は $x = 2^t$ で1対1に対応し、$t$ の値に制限はないため)

(*) の判別式 $D > 0$ より

$$D = 4k^2 - 4(k + 2) > 0$$

$$k^2 - k - 2 > 0$$

$$(k + 1)(k - 2) > 0$$

$$k < -1 \text{ または } k > 2$$

(2) (*) の2つの解を $t_1$, $t_2$ とすると、解と係数の関係より

$t_1 + t_2 = 2k$, $\quad t_1 t_2 = k + 2$

$\alpha = 2^{t_1}$, $\beta = 2^{t_2}$ なので

$$\alpha\beta = 2^{t_1} \cdot 2^{t_2} = 2^{t_1 + t_2} = 2^{2k}= 4^k$$

解説

(1) のポイントは、$\log_2 x = t$ と置換したとき、$t$ の範囲に制限がないことです。$x > 0$ ならば $t = \log_2 x$ はすべての実数値をとるので、「$x$ が異なる2つの正の解をもつ」は「$t$ の2次方程式が異なる2つの実数解をもつ」と完全に同値です。

(2) では $\alpha\beta = 2^{t_1 + t_2}$ と変形するのがポイントです。解と係数の関係から $t_1 + t_2$ は簡単に求まります。$t_1 t_2 = k + 2$ を使う必要はありません。

採点のポイント
  • (1) $\log_2 x = t$ の置換で $t$ の範囲制限がないことを正しく認識しているか
  • (1) 判別式 $D > 0$ を正しく立式し、$k$ の範囲を求めているか
  • (2) $\alpha\beta = 2^{t_1 + t_2}$ の変形と、解と係数の関係の適用が正しいか