対数方程式とは、$\log$ の中に未知数を含む方程式のことです。
解法のカギは「対数を外して、普通の方程式に戻す」こと。しかし、外す前に確認すべき大事な条件があります。
真数条件を忘れると「存在しない解」を答えてしまう ── この落とし穴を避ける方法を身につけましょう。
対数の中に変数(未知数)$x$ を含む方程式を対数方程式といいます。たとえば、次のようなものです。
対数方程式を解くということは、「$\log$ を外して、$x$ の値を求める」ことです。しかし、$\log$ を外す前に、必ず確認しなければならないことがあります。
対数 $\log_a M$ が定義されるためには、次の条件が必要です。
$$\log_a M \text{ が定義される} \iff \begin{cases} M > 0 & \text{(真数条件)} \\ a > 0, \; a \neq 1 & \text{(底の条件)} \end{cases}$$
底が定数($\log_2$, $\log_3$ など)の場合、底の条件は自動的に満たされるので、真数条件 $M > 0$ だけを確認すればよいです。
$\log_a M$ は「$a$ を何乗したら $M$ になるか」という数です。$a > 0$, $a \neq 1$ のとき、$a^t$ は常に正の値をとります。つまり、$a^t = M$ が成り立つには $M > 0$ でなければなりません。
真数条件は「対数が存在するための前提条件」です。$\log_2(-4)$ は「$2$ を何乗したら $-4$ になるか」ですが、$2^t > 0$ なので、そんな $t$ は存在しません。だから $\log_2(-4)$ は定義されないのです。
対数方程式の解法は、種類によって細部は異なりますが、共通する大きな流れがあります。
対数方程式で最も多いミスは、真数条件を確認せず「偽の解」を答えてしまうことです。
たとえば $\log_3 x + \log_3(x-2) = 1$ を解くとき、途中で $x = -1$ と $x = 3$ が出ますが、$x = -1$ では $\log_3(-1)$ が定義されません。
✗ 誤り:$x = -1, 3$(真数条件を確認していない)
✓ 正しい:$x = 3$($x > 2$ を満たすもののみ)
対数関数 $y = \log_a x$($a > 0$, $a \neq 1$)は単射(1対1の関数)です。つまり、異なる入力には異なる出力が対応します。
これを言い換えると、次のことが成り立ちます。
$a > 0$, $a \neq 1$, $M > 0$, $N > 0$ のとき、
$$\log_a M = \log_a N \iff M = N$$
左辺と右辺の底が同じで、両方の対数が定義されている(真数が正)とき、log を外して真数同士を等号で結べます。
$\log_a M = \log_a N$ が成り立つということは、「$a$ を何乗したら $M$ になるか」と「$a$ を何乗したら $N$ になるか」が同じ、ということです。
$a^t = M$ かつ $a^t = N$ なら、当然 $M = N$ です。対数関数が単調関数(常に増加、または常に減少)であるからこそ、この変換が可能なのです。
$\log_a f(x) = \log_a g(x)$ の形の方程式は、次の手順で解きます。
具体的に見てみましょう。$\log_3 x + \log_3(x - 2) = 1$ を解きます。
Step 1(真数条件):$x > 0$ かつ $x - 2 > 0$ より、$x > 2$
Step 2(対数の性質で変形):
$$\log_3 x + \log_3(x - 2) = 1$$
$$\log_3 x(x - 2) = \log_3 3$$
Step 3($\log$ を外す):$x(x - 2) = 3$
$$x^2 - 2x - 3 = 0$$
$$(x + 1)(x - 3) = 0$$
$$x = -1, \; 3$$
Step 4(検証):$x > 2$ を満たすのは $x = 3$ のみ。よって、解は $x = 3$。
$\log_a M + \log_a N = \log_a MN$ という変形は、$M > 0$ かつ $N > 0$ のもとで成り立ちます。
変形後の $\log_a MN$ だけを見ると「$MN > 0$ であればよい」と思うかもしれませんが、それは誤りです。$M < 0$ かつ $N < 0$ でも $MN > 0$ ですが、もとの $\log_a M$, $\log_a N$ は定義されません。
真数条件は、変形前の式から求める必要があります。
$\log_a f(x) = k$($k$ は定数)の形は、対数の定義を使って直接変換できます。
$$\log_a M = k \iff M = a^k$$
この変換は対数の定義そのものであり、同値変形です。真数条件は $a^k > 0$(常に成立)から自動的に満たされます。
たとえば、$\log_2(x^2 + 5x + 2) - \log_2(2x + 3) = 2$ の場合を見てみましょう。
真数条件:$x^2 + 5x + 2 > 0$ かつ $2x + 3 > 0$ ...... ①
方程式を変形すると $\log_2 \dfrac{x^2 + 5x + 2}{2x + 3} = 2$ より $\dfrac{x^2 + 5x + 2}{2x + 3} = 4$
$x^2 + 5x + 2 = 4(2x + 3)$ を整理すると $x^2 - 3x - 10 = 0$
$(x + 2)(x - 5) = 0$ より $x = -2, \; 5$
$x = -2$ のとき、$2x + 3 = -1 < 0$ なので①を満たしません。$x = 5$ のとき、$x^2 + 5x + 2 = 52 > 0$、$2x + 3 = 13 > 0$ なので①を満たします。
よって、解は $x = 5$ です。
$\log_a M = k \iff M = a^k$ という変換は同値変形です。つまり、この変換では情報が失われず、「偽の解」が紛れ込むことはありません。
一方、$\log_a M + \log_a N = \log_a MN$ は「$M > 0$ かつ $N > 0$」という前提のもとでのみ同値です。前提を忘れると同値性が崩れ、解のずれが起きます。方程式を解くとは「同値な変形を積み重ねること」であり、どの変形がどの前提のもとで同値かを意識することが大切です。
$\log_a M = \log_a N \Rightarrow M = N$ という原理は、左辺と右辺の底が同じでなければ使えません。底がバラバラのまま $\log$ を外すことはできないのです。
底が異なる対数が混ざっている場合は、まず底の変換公式を使って底を統一します。
$$\log_a b = \frac{\log_c b}{\log_c a}$$
特に $c = b$ とすると $\log_a b = \dfrac{1}{\log_b a}$(逆数関係)。この関係は対数方程式でよく使います。
底が異なる対数を含む方程式の典型的なパターンを見てみましょう。
$\log_4(x + 2) + \log_2 x = 0$ を解きます。
$\log_4$ と $\log_2$ が混在しているので、底をそろえます。$4 = 2^2$ なので、
$$\log_4(x + 2) = \frac{\log_2(x + 2)}{\log_2 4} = \frac{\log_2(x + 2)}{2}$$
よって方程式は $\dfrac{\log_2(x + 2)}{2} + \log_2 x = 0$ となります。
真数条件:$x + 2 > 0$ かつ $x > 0$ より $x > 0$
両辺を $2$ 倍して $\log_2(x + 2) + 2\log_2 x = 0$
$$\log_2(x + 2) + \log_2 x^2 = 0$$
$$\log_2 x^2(x + 2) = 0$$
$$x^2(x + 2) = 1$$
$$x^3 + 2x^2 - 1 = 0$$
ここで $x = \dfrac{-1 + \sqrt{5}}{2}$ が正の解(もう少し丁寧に:$(x + 1)(x^2 + x - 1) = 0$ と因数分解でき、$x = -1$ は $x > 0$ を満たさず、$x = \dfrac{-1 + \sqrt{5}}{2}$ が唯一の正の解)。
異なる底の対数が混在する方程式は、いわば「別々の言語」で書かれた方程式です。底の変換公式を使って1つの底にそろえることは、方程式を「共通語」に翻訳する作業にほかなりません。
底をそろえる先は、方程式に現れる底のうち、もっとも基本的なもの($2$, $3$ など)を選ぶと計算がスムーズになります。たとえば $\log_4$ と $\log_8$ が混在していれば、$\log_2$ にそろえるのが自然です。
$\log_a b$ と $\log_b a$ が同時に現れる方程式では、逆数関係を活用します。
$\log_2 x + 6\log_x 2 = 5$ を考えます。
真数条件と底の条件:$x > 0$ かつ $x \neq 1$
$\log_x 2 = \dfrac{1}{\log_2 x}$ なので、$\log_2 x = t$ とおくと方程式は $t + \dfrac{6}{t} = 5$
$t \neq 0$($x \neq 1$ より $\log_2 x \neq 0$)なので両辺に $t$ を掛けて、
$$t^2 - 5t + 6 = 0$$
$$(t - 2)(t - 3) = 0$$
$t = 2$ のとき $\log_2 x = 2$ より $x = 4$。$t = 3$ のとき $\log_2 x = 3$ より $x = 8$。
どちらも $x > 0$, $x \neq 1$ を満たすので、解は $x = 4, \; 8$ です。
$\log_x a$ のように底が変数 $x$ のとき、$x > 0$ かつ $x \neq 1$ が必要です。特に $x = 1$ は見落としやすいポイントです。
$\log_1 a$ は定義されません。なぜなら $1^t = 1$(常に $1$)なので、$1^t = a$ を満たす $t$ は $a = 1$ のときしか存在せず、しかもそのとき $t$ が一意に定まらないからです。
✗ 誤り:$x > 0$ だけ確認して $x = 1$ を見落とす
✓ 正しい:$x > 0$ かつ $x \neq 1$ を確認
底の変換公式 $\log_a b = \frac{\log_c b}{\log_c a}$ で、$c = 10$ とした $\log_{10}$ を常用対数、$c = e$(ネイピア数)とした $\log_e = \ln$ を自然対数といいます。
大学の数学や物理では、底を明示しない $\log$ は自然対数 $\ln$ を意味することが多いです。自然対数は微分積分と相性がよく、$(\ln x)' = \frac{1}{x}$ という美しい公式が成り立つため、解析学の「デフォルトの底」になっています。
$(\log_a x)^2$ や $\log_a x$ が混在する方程式は、そのままでは $\log$ を外せません。しかし、$\log_a x = t$ とおくと、$t$ についての2次方程式に帰着でき、解きやすくなります。
これは指数方程式での置換($a^x = t$ とおく)と全く同じ発想です。「複雑な式を1つの文字に置き換えて、見通しをよくする」のが置換の目的です。
$(\log_3 x)^2 - 2\log_3 x - 3 = 0$ を解いてみましょう。
Step 1(真数条件):$x > 0$
Step 2(置換):$\log_3 x = t$ とおくと、
$$t^2 - 2t - 3 = 0$$
Step 3($t$ の方程式を解く):
$$(t + 1)(t - 3) = 0$$
$$t = -1, \; 3$$
Step 4($x$ に戻す):
$t = -1$ のとき $\log_3 x = -1$ より $x = 3^{-1} = \dfrac{1}{3}$
$t = 3$ のとき $\log_3 x = 3$ より $x = 3^3 = 27$
Step 5(検証):$x = \dfrac{1}{3} > 0$, $x = 27 > 0$ で真数条件を満たします。
よって、解は $x = \dfrac{1}{3}, \; 27$ です。
$\log_a x = t$ とおくと、$t$ はすべての実数値をとります($x > 0$ のとき)。
$$\log_a x = t \iff x = a^t \quad (x > 0)$$
指数方程式の置換 $a^x = t$ では $t > 0$ という制約がありましたが、対数の置換ではこの制約がないのがポイントです。$t$ の値に制限はありません。
置換 $\log_a x = t$ において、$x > 0$ の範囲を $x$ が動くとき、$t$ は $-\infty$ から $+\infty$ までのすべての実数値をとります。
これは指数方程式の置換 $a^x = t$($t > 0$ の制約あり)との大きな違いです。対数の置換では $t$ の範囲制限がないため、$t$ の方程式で得られた解はすべて有効です。ただし、$x$ に戻した後の真数条件の確認は必要です。
$2(\log_2 x)^2 + 3\log_2 x = 2$ のように、$\log_2 x$ の2次式になっている場合も同様です。
真数条件:$x > 0$
$\log_2 x = t$ とおくと $2t^2 + 3t - 2 = 0$
$(2t - 1)(t + 2) = 0$ より $t = \dfrac{1}{2}, \; -2$
$t = \dfrac{1}{2}$ のとき $x = 2^{1/2} = \sqrt{2}$、$t = -2$ のとき $x = 2^{-2} = \dfrac{1}{4}$
よって、解は $x = \sqrt{2}, \; \dfrac{1}{4}$ です。
対数の性質 $\log_a M^n = n\log_a M$ は、$M > 0$ のもとで成り立ちます。
$\log_a x^2 = 2\log_a x$ は $x > 0$ のときのみ正しいです。$x < 0$ のとき、$\log_a x$ は定義されませんが、$\log_a x^2 = \log_a(x^2)$ は $x \neq 0$ なら定義されます。
正確には、$x \neq 0$ のとき $\log_a x^2 = 2\log_a |x|$ です。
✗ 誤り:$\log_3 x^2 = 2\log_3 x$ として解く($x < 0$ の解を見落とす可能性)
✓ 正しい:$\log_3 x^2 = 2\log_3 |x|$ と認識する
$(\log x)^2 + c_1 \log x + c_2 = 0$ は $\log x$ を1つの「かたまり」とみた2次方程式です。このように、「式の中の共通部分を1文字に置き換える」手法は、数学全体を通じて極めて強力です。
三角関数では $\sin^2 x + \sin x - 2 = 0$ を $\sin x = t$ とおいて解きますし、大学の微分方程式でも変数変換で方程式を簡単な形に帰着させます。「何を1つの文字と見なすか」を発見するのが、数学的なセンスの見せどころです。
$\log_x 8 = 3$ のように、底に変数 $x$ が含まれる方程式があります。このとき、真数条件だけでなく底の条件($x > 0$ かつ $x \neq 1$)も必要になります。
$\log_x 8 = 3$ を解いてみましょう。
底の条件:$x > 0$, $x \neq 1$
対数の定義より $x^3 = 8$ なので $x = 2$。これは底の条件を満たすので、解は $x = 2$ です。
$\log_x(x + 2) = \log_x(5x + 16)^{1/2}$ のような方程式では、底が $x$ なので次の条件がすべて必要です。
方程式を変形すると $\log_x(x + 2) = \dfrac{1}{2}\log_x(5x + 16)$ より $\log_x(x+2)^2 = \log_x(5x + 16)$
$(x + 2)^2 = 5x + 16$ を展開すると $x^2 + 4x + 4 = 5x + 16$
$x^2 - x - 12 = 0$ より $(x + 3)(x - 4) = 0$ なので $x = -3, \; 4$
底の条件 $x > 0$, $x \neq 1$ を満たすのは $x = 4$ のみ。よって、解は $x = 4$ です。
底に変数がある場合、$x = 1$ は条件から除外されますが、方程式を解く過程で $x = 1$ が出てくることがあります。
「方程式の計算結果は $x = 1$ だが、底の条件で不適」── このパターンは入試でも頻出です。
✗ 誤り:$x = 1$ が底の条件を満たすか確認し忘れる
✓ 正しい:底が変数のとき、最後に「$x > 0$ かつ $x \neq 1$」を必ず確認
ここまでに学んだ対数方程式の型を整理しましょう。
| 型 | 方程式の形 | 解法の方針 |
|---|---|---|
| 基本型 | $\log_a f(x) = \log_a g(x)$ $\log_a f(x) = k$ |
底をそろえて log を外す。または対数の定義で変換 |
| 底の統一型 | $\log_a f(x) + \log_b g(x) = \cdots$ | 底の変換公式で底をそろえてから、基本型に帰着 |
| 置換型 | $(\log_a x)^2 + c\log_a x + d = 0$ | $\log_a x = t$ とおいて $t$ の方程式を解く |
| 底が変数 | $\log_x f(x) = k$ など | 定義に戻すか、底の変換公式で既知の底に変換 |
対数は指数の「逆演算」です。$\log_a M = k \iff a^k = M$ ですから、対数方程式はいつでも指数方程式に書き換えることができます。
「$\log$ を外す」という操作の正体は、実は「指数の世界に戻す」ことです。対数は指数で表しにくい量(桁数、音のデシベル、地震のマグニチュードなど)を扱いやすくするための「翻訳装置」であり、方程式を解くときには「原語(指数)に戻す」のが基本方針になるのです。
Q1. $\log_2 x = 5$ を解け。
Q2. $\log_3(x - 1) + \log_3(x + 1) = \log_3 8$ を解け。
Q3. $\log_9(2x + 1) = \log_3 x$ を解け。(ヒント:底を $3$ にそろえる)
Q4. $(\log_2 x)^2 - 3\log_2 x + 2 = 0$ を解け。
Q5. $\log_x 27 = 3$ を解け。
次の方程式を解け。
(1) $\log_5 x + \log_5(x - 4) = 1$
(2) $\log_2(x^2 - x - 2) = \log_2(x + 1) + 1$
(1) 真数条件:$x > 0$ かつ $x - 4 > 0$ より $x > 4$ ...... ①
$\log_5 x(x - 4) = \log_5 5$ より $x(x - 4) = 5$
$x^2 - 4x - 5 = 0$ より $(x + 1)(x - 5) = 0$ なので $x = -1, \; 5$
①を満たすのは $x = 5$
(2) 真数条件:$x^2 - x - 2 > 0$ かつ $x + 1 > 0$
$x^2 - x - 2 = (x - 2)(x + 1)$ なので、$(x - 2)(x + 1) > 0$ かつ $x > -1$ より $x > 2$ ...... ①
方程式:$\log_2(x^2 - x - 2) = \log_2(x + 1) + \log_2 2 = \log_2 2(x + 1)$
$x^2 - x - 2 = 2(x + 1)$ より $x^2 - 3x - 4 = 0$
$(x + 1)(x - 4) = 0$ より $x = -1, \; 4$
①を満たすのは $x = 4$
次の方程式を解け。
(1) $2(\log_3 x)^2 + 3\log_3 x = 2$
(2) $\log_3 x - \log_x 81 = 3$
(1) 真数条件:$x > 0$ ...... ①
$\log_3 x = t$ とおくと $2t^2 + 3t - 2 = 0$
$(2t - 1)(t + 2) = 0$ より $t = \dfrac{1}{2}, \; -2$
$t = \dfrac{1}{2}$ のとき $x = 3^{1/2} = \sqrt{3}$
$t = -2$ のとき $x = 3^{-2} = \dfrac{1}{9}$
いずれも①を満たす。解は $x = \sqrt{3}, \; \dfrac{1}{9}$
(2) 真数条件と底の条件:$x > 0$, $x \neq 1$ ...... ①
$\log_x 81 = \log_x 3^4 = \dfrac{4}{\log_3 x}$(底の変換公式)
$\log_3 x = t$($t \neq 0$)とおくと $t - \dfrac{4}{t} = 3$
$t^2 - 3t - 4 = 0$ より $(t + 1)(t - 4) = 0$ なので $t = -1, \; 4$
$t = -1$ のとき $x = 3^{-1} = \dfrac{1}{3}$
$t = 4$ のとき $x = 3^4 = 81$
いずれも①を満たす。解は $x = \dfrac{1}{3}, \; 81$
(1) は $\log_3 x$ の2次式なので、置換型の典型です。$t$ はすべての実数値をとるので、$t$ の方程式で得られた解はすべて $x > 0$ を満たします($x = 3^t > 0$ は常に成立)。
(2) は $\log_3 x$ と $\log_x 81$ が混在しており、逆数関係を使って底を統一します。$\log_x 81 = \frac{4}{\log_3 x}$ と変換することで、置換型に帰着できます。底が変数 $x$ なので、$x \neq 1$($t \neq 0$)の確認も忘れずに行います。
方程式 $\log_4(x + 2) + \log_2 x = 0$ を解け。
真数条件:$x + 2 > 0$ かつ $x > 0$ より $x > 0$ ...... ①
$\log_4(x + 2) = \dfrac{\log_2(x + 2)}{\log_2 4} = \dfrac{\log_2(x + 2)}{2}$ なので、方程式は
$$\frac{\log_2(x + 2)}{2} + \log_2 x = 0$$
両辺を $2$ 倍して $\log_2(x + 2) + 2\log_2 x = 0$
$$\log_2(x + 2) + \log_2 x^2 = 0$$
$$\log_2 x^2(x + 2) = 0$$
$$x^2(x + 2) = 1$$
$$x^3 + 2x^2 - 1 = 0$$
$x = -1$ を代入すると $-1 + 2 - 1 = 0$ より $x = -1$ は解。$(x + 1)$ で割ると
$$x^3 + 2x^2 - 1 = (x + 1)(x^2 + x - 1) = 0$$
$x^2 + x - 1 = 0$ より $x = \dfrac{-1 \pm \sqrt{5}}{2}$
①($x > 0$)を満たすのは $x = \dfrac{-1 + \sqrt{5}}{2}$ のみ。
$\log_4$ と $\log_2$ の底が異なるので、底の変換公式で $\log_2$ にそろえます。$4 = 2^2$ なので $\log_4 = \frac{\log_2}{\log_2 4} = \frac{\log_2}{2}$ と変換できます。
結果として3次方程式が現れますが、$x = -1$ が解であることを見つけて因数分解します。3つの解のうち、真数条件 $x > 0$ を満たすものを選びます。
$k$ は定数とする。$x$ の方程式
$$(\log_2 x)^2 - 2k\log_2 x + k + 2 = 0$$
について、次の問いに答えよ。
(1) この方程式が異なる2つの正の実数解をもつための $k$ の条件を求めよ。
(2) この方程式が異なる2つの正の実数解 $\alpha$, $\beta$ をもつとき、$\alpha\beta$ を $k$ で表せ。
(1) $\log_2 x = t$ とおくと、$x > 0$ のとき $t$ はすべての実数値をとる。
方程式は $t^2 - 2kt + k + 2 = 0$ ...... (*)
$x$ が異なる2つの正の実数解をもつ $\iff$ $t$ が異なる2つの実数解をもつ
($t$ と $x$ は $x = 2^t$ で1対1に対応し、$t$ の値に制限はないため)
(*) の判別式 $D > 0$ より
$$D = 4k^2 - 4(k + 2) > 0$$
$$k^2 - k - 2 > 0$$
$$(k + 1)(k - 2) > 0$$
$$k < -1 \text{ または } k > 2$$
(2) (*) の2つの解を $t_1$, $t_2$ とすると、解と係数の関係より
$t_1 + t_2 = 2k$, $\quad t_1 t_2 = k + 2$
$\alpha = 2^{t_1}$, $\beta = 2^{t_2}$ なので
$$\alpha\beta = 2^{t_1} \cdot 2^{t_2} = 2^{t_1 + t_2} = 2^{2k}= 4^k$$
(1) のポイントは、$\log_2 x = t$ と置換したとき、$t$ の範囲に制限がないことです。$x > 0$ ならば $t = \log_2 x$ はすべての実数値をとるので、「$x$ が異なる2つの正の解をもつ」は「$t$ の2次方程式が異なる2つの実数解をもつ」と完全に同値です。
(2) では $\alpha\beta = 2^{t_1 + t_2}$ と変形するのがポイントです。解と係数の関係から $t_1 + t_2$ は簡単に求まります。$t_1 t_2 = k + 2$ を使う必要はありません。