円と直線は、2点で交わる・接する・離れているの3パターンしかありません。
この判定を「中心と直線の距離」と「判別式」の2つの方法で理解しましょう。
円 $(x - a)^2 + (y - b)^2 = r^2$ と直線 $\ell$ の位置関係は、共有点の個数で3つに分類されます。
| 位置関係 | 共有点の個数 | $d$ と $r$ の関係 |
|---|---|---|
| 2点で交わる | 2個 | $d < r$ |
| 接する(接線) | 1個 | $d = r$ |
| 離れている | 0個 | $d > r$ |
ここで $d$ は中心 $(a, b)$ から直線 $\ell$ までの距離です。
円の中心から直線までの距離 $d$ が半径 $r$ より小さければ直線は円を貫通し、等しければ接し、大きければ離れています。これは直感的にも明らかです。
このシンプルな幾何学的直感を、2つの数学的手法(距離の公式と判別式)で確認する──それがこの単元の内容です。
円の中心 $(a, b)$ から直線 $px + qy + s = 0$ までの距離は
$$d = \frac{|pa + qb + s|}{\sqrt{p^2 + q^2}}$$
この $d$ と半径 $r$ を比較すれば位置関係が判定できます。
円の中心から直線までの距離を $d$、半径を $r$ とすると
$$d < r \;\Leftrightarrow\; \text{2点で交わる}, \quad d = r \;\Leftrightarrow\; \text{接する}, \quad d > r \;\Leftrightarrow\; \text{離れている}$$
例:円 $x^2 + y^2 = 5$ と直線 $y = x + 1$ の位置関係を調べよ。
直線を一般形にすると $x - y + 1 = 0$。中心 $(0, 0)$、半径 $\sqrt{5}$。
$$d = \frac{|0 - 0 + 1|}{\sqrt{1^2 + (-1)^2}} = \frac{1}{\sqrt{2}}$$
$d = \dfrac{1}{\sqrt{2}} \approx 0.71 < \sqrt{5} \approx 2.24 = r$ なので、2点で交わります。
点と直線の距離の公式を使うには、直線を $ax + by + c = 0$ の形にする必要があります。$y = mx + n$ のまま公式に入れてしまうミスが頻出します。
✗ 誤り:直線 $y = x + 1$ に対して $d = \frac{|1|}{\sqrt{1}} = 1$
✓ 正しい:$x - y + 1 = 0$ に対して $d = \frac{|1|}{\sqrt{2}} = \frac{1}{\sqrt{2}}$
円と直線の方程式を連立し、一方の変数を消去すると2次方程式が得られます。この2次方程式の判別式 $D$ の符号で位置関係が判定できます。
円と直線の連立方程式から得られる2次方程式の判別式を $D$ とすると
$$D > 0 \;\Leftrightarrow\; \text{2点で交わる}, \quad D = 0 \;\Leftrightarrow\; \text{接する}, \quad D < 0 \;\Leftrightarrow\; \text{離れている}$$
例:円 $x^2 + y^2 = 5$ と直線 $y = x + 1$ の位置関係を判別式で調べる。
$y = x + 1$ を円に代入:
$$x^2 + (x + 1)^2 = 5$$
$$x^2 + x^2 + 2x + 1 = 5$$
$$2x^2 + 2x - 4 = 0 \quad \Leftrightarrow \quad x^2 + x - 2 = 0$$
$$D = 1 + 8 = 9 > 0$$
$D > 0$ なので2点で交わります(距離による判定と一致)。
距離の方法:位置関係の判定だけが必要なとき(交点の座標が不要なとき)に使います。計算が簡単です。
判別式の方法:交点の座標も求めたいときに使います。連立方程式を解く過程で自然に判別式が出てきます。
入試では状況に応じて使い分けましょう。パラメータを含む問題では距離の方法が便利なことが多いです。
直線が $x = k$($y$ 軸に平行)の形の場合、$y$ を消去しても2次方程式になりません。$x = k$ を円に代入して $y$ の方程式を解きましょう。
例:円 $x^2 + y^2 = 9$ と直線 $x = 2$ → $4 + y^2 = 9$ → $y = \pm\sqrt{5}$
2点で交わる場合や接する場合、実際の交点座標は連立方程式を解けば求まります。
例:円 $x^2 + y^2 = 5$ と直線 $y = x + 1$ の交点を求めよ。
前セクションより $x^2 + x - 2 = 0$、$(x + 2)(x - 1) = 0$ → $x = -2, 1$
$y = x + 1$ に代入:$x = -2$ のとき $y = -1$、$x = 1$ のとき $y = 2$
交点は $(-2, -1)$ と $(1, 2)$。
$D = 0$(接する場合)のとき、2次方程式は重解をもち、それが接点の座標を与えます。
例:円 $x^2 + y^2 = 2$ と直線 $y = x + 2$ の位置関係と接点。
$x^2 + (x + 2)^2 = 2$ → $2x^2 + 4x + 4 = 2$ → $2x^2 + 4x + 2 = 0$ → $x^2 + 2x + 1 = 0$
$(x + 1)^2 = 0$ → $x = -1$(重解)、$y = 1$。接点は $(-1, 1)$。
直線 $x - y + 2 = 0$、中心 $(0, 0)$ からの距離:$d = \dfrac{|2|}{\sqrt{2}} = \sqrt{2} = r$ → 接する ✓
2交点を通る直線の方程式は、連立の過程で直接求められます。円 $x^2 + y^2 + lx + my + n = 0$ と別の円 $x^2 + y^2 + l'x + m'y + n' = 0$ の場合、2式の差をとると交点を通る直線が得られます(→ II-3-12 で詳しく扱います)。
円と直線が2点 $\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$ で交わるとき、弦 $\mathrm{AB}$ の長さを求める方法は2つあります。
前のセクションの例では、$\mathrm{A}(-2, -1)$、$\mathrm{B}(1, 2)$ なので
$$\mathrm{AB} = \sqrt{(1-(-2))^2 + (2-(-1))^2} = \sqrt{9 + 9} = 3\sqrt{2}$$
中心から弦に下ろした垂線の足を $\mathrm{H}$ とすると、$\mathrm{CH} = d$(中心から直線までの距離)であり、$\mathrm{AH} = \mathrm{BH}$ です。三平方の定理から
中心から直線までの距離を $d$、半径を $r$ とすると、弦の長さは
$$\mathrm{AB} = 2\sqrt{r^2 - d^2}$$
$d < r$ のときのみ有効。$d = r$ のとき $\mathrm{AB} = 0$(接する)、$d > r$ のとき交わらない。
例の確認:$r = \sqrt{5}$、$d = \dfrac{1}{\sqrt{2}}$ なので
$$\mathrm{AB} = 2\sqrt{5 - \frac{1}{2}} = 2\sqrt{\frac{9}{2}} = 2 \cdot \frac{3}{\sqrt{2}} = 3\sqrt{2} \quad \checkmark$$
交点の座標を求めるのは計算が重くなりがちです。弦の長さだけが知りたいなら、三平方の定理を使う方法2のほうが圧倒的に速いです。
特にパラメータを含む問題(「弦の長さが $4$ となるような $k$ の値を求めよ」など)では、方法2で $2\sqrt{r^2 - d^2} = 4$ と立式するのが定石です。
直線 $y = mx + k$ が円 $x^2 + y^2 = r^2$ に接する条件は $d = r$、すなわち
$$\frac{|k|}{\sqrt{m^2 + 1}} = r \quad \Leftrightarrow \quad k^2 = r^2(m^2 + 1)$$
距離の方法で $d = r$ とおくことと、判別式の方法で $D = 0$ とおくことは、実は数学的に完全に同値です。連立方程式の判別式 $D$ は $d^2 - r^2$ の定数倍に等しくなることが示せます。
このことから、2つの方法は「同じこと」を「違う角度」から見ているだけだとわかります。
弦の長さを求めるとき、判別式 $D$ を使って $\mathrm{AB} = \sqrt{\frac{D}{a^2}}$($a$ は2次の係数)と計算できる場合がありますが、この公式は直線の傾きの影響を受けます。正確には、$x$ の差に直線の傾きを考慮する必要があります。
誤用を防ぐため、弦の長さは方法1(座標間距離)か方法2(三平方の定理)で求めることを推奨します。
Q1. 円 $x^2 + y^2 = 25$ と直線 $3x + 4y = 25$ の位置関係を調べよ。
Q2. 円 $(x-1)^2 + (y+2)^2 = 10$ と直線 $x + 3y - 4 = 0$ の共有点の個数を求めよ。
Q3. 円 $x^2 + y^2 = 4$ と直線 $y = x + k$ が接するとき、$k$ の値を求めよ。
Q4. 円 $x^2 + y^2 = 8$ と直線 $y = x + 2$ の交点の座標を求めよ。
Q5. 円 $x^2 + y^2 = 13$ と直線 $y = x + 1$ が切り取る弦の長さを求めよ。
円 $x^2 + y^2 = 16$ と直線 $y = -x + k$ について、次の各場合の $k$ の値または範囲を求めよ。
(1) 接する
(2) 2点で交わる
(3) 共有点をもたない
直線 $x + y - k = 0$ と中心 $(0, 0)$ の距離:$d = \dfrac{|k|}{\sqrt{2}}$、$r = 4$
(1) $d = r$:$\dfrac{|k|}{\sqrt{2}} = 4$ → $|k| = 4\sqrt{2}$ → $k = \pm 4\sqrt{2}$
(2) $d < r$:$\dfrac{|k|}{\sqrt{2}} < 4$ → $|k| < 4\sqrt{2}$ → $-4\sqrt{2} < k < 4\sqrt{2}$
(3) $d > r$:$|k| > 4\sqrt{2}$ → $k < -4\sqrt{2}$ または $k > 4\sqrt{2}$
円 $(x - 2)^2 + (y - 1)^2 = 9$ と直線 $y = x + k$ が交わってできる弦の長さが $4$ であるとき、$k$ の値を求めよ。
弦の長さの公式 $2\sqrt{r^2 - d^2} = 4$ より $\sqrt{9 - d^2} = 2$、$d^2 = 5$。
直線 $x - y + k = 0$ と中心 $(2, 1)$ の距離:$d = \dfrac{|2 - 1 + k|}{\sqrt{2}} = \dfrac{|k + 1|}{\sqrt{2}}$
$d^2 = \dfrac{(k+1)^2}{2} = 5$ より $(k+1)^2 = 10$
$k + 1 = \pm\sqrt{10}$ → $k = -1 \pm \sqrt{10}$
弦の長さが与えられた問題では、三平方の定理から $d$ を求め、距離の公式で $k$ の方程式を立てるのが定石です。交点を求める必要はありません。
直線 $y = 2x + k$ が円 $x^2 + y^2 - 4x + 2y - 4 = 0$ に接するとき、$k$ の値と接点の座標を求めよ。
円の一般形を標準形に直す:$(x-2)^2 + (y+1)^2 = 9$。中心 $(2, -1)$、半径 $3$。
直線 $2x - y + k = 0$ と中心の距離:$d = \dfrac{|4 - (-1) + k|}{\sqrt{5}} = \dfrac{|k + 5|}{\sqrt{5}}$
$d = 3$ より $\dfrac{|k+5|}{\sqrt{5}} = 3$、$|k+5| = 3\sqrt{5}$
$k = -5 + 3\sqrt{5}$ または $k = -5 - 3\sqrt{5}$
接点の計算:
$k = -5 + 3\sqrt{5}$ のとき:$y = 2x - 5 + 3\sqrt{5}$ を円に代入して解くと
$x^2 + (2x - 5 + 3\sqrt{5})^2 - 4x + 2(2x - 5 + 3\sqrt{5}) - 4 = 0$
$5x^2 + (-20+12\sqrt{5})x + (25-30\sqrt{5}+45-10+6\sqrt{5}-4) = 0$
$5x^2 - (20-12\sqrt{5})x + (56-24\sqrt{5}) = 0$
重解:$x = \dfrac{20-12\sqrt{5}}{10} = \dfrac{10-6\sqrt{5}}{5}$
同様に $k = -5 - 3\sqrt{5}$ のときも計算できる。
(別法:中心と接点を結ぶ直線は直線に垂直で傾き $-\frac{1}{2}$、中心 $(2,-1)$ を通る直線 $y + 1 = -\frac{1}{2}(x - 2)$ と $y = 2x + k$ の交点が接点)
円 $C : x^2 + y^2 = r^2$($r > 0$)と直線 $\ell : y = x + k$($k$ は実数)が異なる2点 $\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$ で交わっている。線分 $\mathrm{AB}$ の中点を $\mathrm{M}$ とするとき、次の問いに答えよ。
(1) $\mathrm{M}$ の座標を $k$ を用いて表せ。
(2) $k$ が変化するとき、$\mathrm{M}$ の軌跡を求めよ。
(3) $r = 3$ のとき、弦 $\mathrm{AB}$ の長さの最大値と、そのときの $k$ の値を求めよ。
(1) $y = x + k$ を $x^2 + y^2 = r^2$ に代入:$2x^2 + 2kx + k^2 - r^2 = 0$
2つの交点の $x$ 座標を $x_1, x_2$ とすると、解と係数の関係から
$$x_1 + x_2 = -k, \quad x_1 x_2 = \frac{k^2 - r^2}{2}$$
中点 $\mathrm{M}$ の $x$ 座標:$x_M = \dfrac{x_1 + x_2}{2} = -\dfrac{k}{2}$
$y_M = x_M + k = -\dfrac{k}{2} + k = \dfrac{k}{2}$
$$\mathrm{M}\left(-\frac{k}{2}, \frac{k}{2}\right)$$
(2) $x = -\dfrac{k}{2}$、$y = \dfrac{k}{2}$ より $y = -x$。
2点で交わる条件 $d < r$:$\dfrac{|k|}{\sqrt{2}} < r$ → $|k| < r\sqrt{2}$
$x = -\dfrac{k}{2}$ より $|x| < \dfrac{r\sqrt{2}}{2} = \dfrac{r}{\sqrt{2}}$
軌跡は直線 $y = -x$ の $-\dfrac{r}{\sqrt{2}} < x < \dfrac{r}{\sqrt{2}}$ の部分(端点を除く)。
(3) $\mathrm{AB} = 2\sqrt{r^2 - d^2} = 2\sqrt{9 - \dfrac{k^2}{2}}$
$k = 0$ のとき最大値 $2\sqrt{9} = 6$(直径に等しい)。
中点の軌跡は $y = -x$ となります。これは「中心と中点を結ぶ線分は弦に垂直」という幾何学的性質の反映です。弦の傾きが $1$ なので、垂線の傾きは $-1$ であり、原点を通る傾き $-1$ の直線 $y = -x$ 上を動くのです。