第3章 図形と方程式

円と直線の位置関係
─ 「距離」と「判別式」で読み解く交わり方

円と直線は、2点で交わる・接する・離れているの3パターンしかありません。
この判定を「中心と直線の距離」と「判別式」の2つの方法で理解しましょう。

1円と直線の3つの位置関係

円 $(x - a)^2 + (y - b)^2 = r^2$ と直線 $\ell$ の位置関係は、共有点の個数で3つに分類されます。

位置関係共有点の個数$d$ と $r$ の関係
2点で交わる2個$d < r$
接する(接線)1個$d = r$
離れている0個$d > r$

ここで $d$ は中心 $(a, b)$ から直線 $\ell$ までの距離です。

💡 ここが本質:「距離と半径の比較」がすべて

円の中心から直線までの距離 $d$ が半径 $r$ より小さければ直線は円を貫通し、等しければ接し、大きければ離れています。これは直感的にも明らかです。

このシンプルな幾何学的直感を、2つの数学的手法(距離の公式と判別式)で確認する──それがこの単元の内容です。

2判定法①:中心と直線の距離

距離による判定

円の中心 $(a, b)$ から直線 $px + qy + s = 0$ までの距離は

$$d = \frac{|pa + qb + s|}{\sqrt{p^2 + q^2}}$$

この $d$ と半径 $r$ を比較すれば位置関係が判定できます。

📐 距離による位置関係の判定

円の中心から直線までの距離を $d$、半径を $r$ とすると

$$d < r \;\Leftrightarrow\; \text{2点で交わる}, \quad d = r \;\Leftrightarrow\; \text{接する}, \quad d > r \;\Leftrightarrow\; \text{離れている}$$

具体例

例:円 $x^2 + y^2 = 5$ と直線 $y = x + 1$ の位置関係を調べよ。

直線を一般形にすると $x - y + 1 = 0$。中心 $(0, 0)$、半径 $\sqrt{5}$。

$$d = \frac{|0 - 0 + 1|}{\sqrt{1^2 + (-1)^2}} = \frac{1}{\sqrt{2}}$$

$d = \dfrac{1}{\sqrt{2}} \approx 0.71 < \sqrt{5} \approx 2.24 = r$ なので、2点で交わります。

⚠️ 落とし穴:直線を一般形に変換し忘れ

点と直線の距離の公式を使うには、直線を $ax + by + c = 0$ の形にする必要があります。$y = mx + n$ のまま公式に入れてしまうミスが頻出します。

✗ 誤り:直線 $y = x + 1$ に対して $d = \frac{|1|}{\sqrt{1}} = 1$

✓ 正しい:$x - y + 1 = 0$ に対して $d = \frac{|1|}{\sqrt{2}} = \frac{1}{\sqrt{2}}$

3判定法②:連立方程式の判別式

連立方程式のアプローチ

円と直線の方程式を連立し、一方の変数を消去すると2次方程式が得られます。この2次方程式の判別式 $D$ の符号で位置関係が判定できます。

📐 判別式による位置関係の判定

円と直線の連立方程式から得られる2次方程式の判別式を $D$ とすると

$$D > 0 \;\Leftrightarrow\; \text{2点で交わる}, \quad D = 0 \;\Leftrightarrow\; \text{接する}, \quad D < 0 \;\Leftrightarrow\; \text{離れている}$$

具体例

例:円 $x^2 + y^2 = 5$ と直線 $y = x + 1$ の位置関係を判別式で調べる。

$y = x + 1$ を円に代入:

$$x^2 + (x + 1)^2 = 5$$

$$x^2 + x^2 + 2x + 1 = 5$$

$$2x^2 + 2x - 4 = 0 \quad \Leftrightarrow \quad x^2 + x - 2 = 0$$

$$D = 1 + 8 = 9 > 0$$

$D > 0$ なので2点で交わります(距離による判定と一致)。

💡 ここが本質:2つの判定法の使い分け

距離の方法:位置関係の判定だけが必要なとき(交点の座標が不要なとき)に使います。計算が簡単です。

判別式の方法:交点の座標も求めたいときに使います。連立方程式を解く過程で自然に判別式が出てきます。

入試では状況に応じて使い分けましょう。パラメータを含む問題では距離の方法が便利なことが多いです。

⚠️ 落とし穴:2次方程式にならない場合

直線が $x = k$($y$ 軸に平行)の形の場合、$y$ を消去しても2次方程式になりません。$x = k$ を円に代入して $y$ の方程式を解きましょう。

例:円 $x^2 + y^2 = 9$ と直線 $x = 2$ → $4 + y^2 = 9$ → $y = \pm\sqrt{5}$

4交点の座標の求め方

連立方程式を解く

2点で交わる場合や接する場合、実際の交点座標は連立方程式を解けば求まります。

例:円 $x^2 + y^2 = 5$ と直線 $y = x + 1$ の交点を求めよ。

前セクションより $x^2 + x - 2 = 0$、$(x + 2)(x - 1) = 0$ → $x = -2, 1$

$y = x + 1$ に代入:$x = -2$ のとき $y = -1$、$x = 1$ のとき $y = 2$

交点は $(-2, -1)$ と $(1, 2)$。

接点の座標

$D = 0$(接する場合)のとき、2次方程式は重解をもち、それが接点の座標を与えます。

例:円 $x^2 + y^2 = 2$ と直線 $y = x + 2$ の位置関係と接点。

$x^2 + (x + 2)^2 = 2$ → $2x^2 + 4x + 4 = 2$ → $2x^2 + 4x + 2 = 0$ → $x^2 + 2x + 1 = 0$

$(x + 1)^2 = 0$ → $x = -1$(重解)、$y = 1$。接点は $(-1, 1)$。

▷ 距離で確認

直線 $x - y + 2 = 0$、中心 $(0, 0)$ からの距離:$d = \dfrac{|2|}{\sqrt{2}} = \sqrt{2} = r$ → 接する ✓

交点を通る直線の方程式

2交点を通る直線の方程式は、連立の過程で直接求められます。円 $x^2 + y^2 + lx + my + n = 0$ と別の円 $x^2 + y^2 + l'x + m'y + n' = 0$ の場合、2式の差をとると交点を通る直線が得られます(→ II-3-12 で詳しく扱います)。

5弦の長さと接線の条件

弦の長さの求め方

円と直線が2点 $\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$ で交わるとき、弦 $\mathrm{AB}$ の長さを求める方法は2つあります。

方法1:交点の座標から直接求める

前のセクションの例では、$\mathrm{A}(-2, -1)$、$\mathrm{B}(1, 2)$ なので

$$\mathrm{AB} = \sqrt{(1-(-2))^2 + (2-(-1))^2} = \sqrt{9 + 9} = 3\sqrt{2}$$

方法2:三平方の定理を使う

中心から弦に下ろした垂線の足を $\mathrm{H}$ とすると、$\mathrm{CH} = d$(中心から直線までの距離)であり、$\mathrm{AH} = \mathrm{BH}$ です。三平方の定理から

📐 弦の長さの公式

中心から直線までの距離を $d$、半径を $r$ とすると、弦の長さは

$$\mathrm{AB} = 2\sqrt{r^2 - d^2}$$

$d < r$ のときのみ有効。$d = r$ のとき $\mathrm{AB} = 0$(接する)、$d > r$ のとき交わらない。

例の確認:$r = \sqrt{5}$、$d = \dfrac{1}{\sqrt{2}}$ なので

$$\mathrm{AB} = 2\sqrt{5 - \frac{1}{2}} = 2\sqrt{\frac{9}{2}} = 2 \cdot \frac{3}{\sqrt{2}} = 3\sqrt{2} \quad \checkmark$$

💡 ここが本質:方法2が強力な理由

交点の座標を求めるのは計算が重くなりがちです。弦の長さだけが知りたいなら、三平方の定理を使う方法2のほうが圧倒的に速いです。

特にパラメータを含む問題(「弦の長さが $4$ となるような $k$ の値を求めよ」など)では、方法2で $2\sqrt{r^2 - d^2} = 4$ と立式するのが定石です。

直線が円に接する条件(パラメータ問題)

直線 $y = mx + k$ が円 $x^2 + y^2 = r^2$ に接する条件は $d = r$、すなわち

$$\frac{|k|}{\sqrt{m^2 + 1}} = r \quad \Leftrightarrow \quad k^2 = r^2(m^2 + 1)$$

🔬 深掘りTips:判別式と距離の同値性

距離の方法で $d = r$ とおくことと、判別式の方法で $D = 0$ とおくことは、実は数学的に完全に同値です。連立方程式の判別式 $D$ は $d^2 - r^2$ の定数倍に等しくなることが示せます。

このことから、2つの方法は「同じこと」を「違う角度」から見ているだけだとわかります。

⚠️ 落とし穴:弦の長さと判別式

弦の長さを求めるとき、判別式 $D$ を使って $\mathrm{AB} = \sqrt{\frac{D}{a^2}}$($a$ は2次の係数)と計算できる場合がありますが、この公式は直線の傾きの影響を受けます。正確には、$x$ の差に直線の傾きを考慮する必要があります。

誤用を防ぐため、弦の長さは方法1(座標間距離)か方法2(三平方の定理)で求めることを推奨します。

📋まとめ

  • 3つの位置関係:円と直線は「2点で交わる」「接する」「離れている」の3パターン。中心と直線の距離 $d$ と半径 $r$ の大小で決まる。
  • 距離による判定:$d < r$(2点交差)、$d = r$(接する)、$d > r$(離れる)。パラメータ問題や弦の長さの計算に便利。
  • 判別式による判定:連立方程式から得られる2次方程式の $D$ の符号で判定。交点座標も同時に求まる。
  • 弦の長さ:$\mathrm{AB} = 2\sqrt{r^2 - d^2}$。交点を求めずに長さだけ計算できる強力な公式。
  • 接線の条件:$d = r$ または $D = 0$。パラメータを含む接線問題の立式に必須。

✅ 確認テスト

Q1. 円 $x^2 + y^2 = 25$ と直線 $3x + 4y = 25$ の位置関係を調べよ。

▶ クリックして解答を表示 $d = \dfrac{|25|}{\sqrt{9+16}} = \dfrac{25}{5} = 5 = r$ なので接する。

Q2. 円 $(x-1)^2 + (y+2)^2 = 10$ と直線 $x + 3y - 4 = 0$ の共有点の個数を求めよ。

▶ クリックして解答を表示 $d = \dfrac{|1+(-6)-4|}{\sqrt{1+9}} = \dfrac{|-9|}{\sqrt{10}} = \dfrac{9}{\sqrt{10}}$。$d^2 = \dfrac{81}{10} = 8.1 < 10 = r^2$ なので2点で交わる。共有点は2個。

Q3. 円 $x^2 + y^2 = 4$ と直線 $y = x + k$ が接するとき、$k$ の値を求めよ。

▶ クリックして解答を表示 $d = \dfrac{|k|}{\sqrt{2}} = 2$ より $|k| = 2\sqrt{2}$。$k = \pm 2\sqrt{2}$

Q4. 円 $x^2 + y^2 = 8$ と直線 $y = x + 2$ の交点の座標を求めよ。

▶ クリックして解答を表示 $x^2 + (x+2)^2 = 8$ → $2x^2 + 4x - 4 = 0$ → $x^2 + 2x - 2 = 0$ → $x = -1 \pm \sqrt{3}$。交点 $(-1-\sqrt{3}, 1-\sqrt{3})$、$(-1+\sqrt{3}, 1+\sqrt{3})$

Q5. 円 $x^2 + y^2 = 13$ と直線 $y = x + 1$ が切り取る弦の長さを求めよ。

▶ クリックして解答を表示 $d = \dfrac{1}{\sqrt{2}}$、$r^2 = 13$ より $\mathrm{AB} = 2\sqrt{13 - \frac{1}{2}} = 2\sqrt{\frac{25}{2}} = \dfrac{10}{\sqrt{2}} = 5\sqrt{2}$

📝入試問題演習

問題 1 A 基礎

円 $x^2 + y^2 = 16$ と直線 $y = -x + k$ について、次の各場合の $k$ の値または範囲を求めよ。

(1) 接する

(2) 2点で交わる

(3) 共有点をもたない

▶ クリックして解答を表示
解答

直線 $x + y - k = 0$ と中心 $(0, 0)$ の距離:$d = \dfrac{|k|}{\sqrt{2}}$、$r = 4$

(1) $d = r$:$\dfrac{|k|}{\sqrt{2}} = 4$ → $|k| = 4\sqrt{2}$ → $k = \pm 4\sqrt{2}$

(2) $d < r$:$\dfrac{|k|}{\sqrt{2}} < 4$ → $|k| < 4\sqrt{2}$ → $-4\sqrt{2} < k < 4\sqrt{2}$

(3) $d > r$:$|k| > 4\sqrt{2}$ → $k < -4\sqrt{2}$ または $k > 4\sqrt{2}$

問題 2 B 標準

円 $(x - 2)^2 + (y - 1)^2 = 9$ と直線 $y = x + k$ が交わってできる弦の長さが $4$ であるとき、$k$ の値を求めよ。

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解答

弦の長さの公式 $2\sqrt{r^2 - d^2} = 4$ より $\sqrt{9 - d^2} = 2$、$d^2 = 5$。

直線 $x - y + k = 0$ と中心 $(2, 1)$ の距離:$d = \dfrac{|2 - 1 + k|}{\sqrt{2}} = \dfrac{|k + 1|}{\sqrt{2}}$

$d^2 = \dfrac{(k+1)^2}{2} = 5$ より $(k+1)^2 = 10$

$k + 1 = \pm\sqrt{10}$ → $k = -1 \pm \sqrt{10}$

解説

弦の長さが与えられた問題では、三平方の定理から $d$ を求め、距離の公式で $k$ の方程式を立てるのが定石です。交点を求める必要はありません。

問題 3 B 標準

直線 $y = 2x + k$ が円 $x^2 + y^2 - 4x + 2y - 4 = 0$ に接するとき、$k$ の値と接点の座標を求めよ。

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解答

円の一般形を標準形に直す:$(x-2)^2 + (y+1)^2 = 9$。中心 $(2, -1)$、半径 $3$。

直線 $2x - y + k = 0$ と中心の距離:$d = \dfrac{|4 - (-1) + k|}{\sqrt{5}} = \dfrac{|k + 5|}{\sqrt{5}}$

$d = 3$ より $\dfrac{|k+5|}{\sqrt{5}} = 3$、$|k+5| = 3\sqrt{5}$

$k = -5 + 3\sqrt{5}$ または $k = -5 - 3\sqrt{5}$

接点の計算:

$k = -5 + 3\sqrt{5}$ のとき:$y = 2x - 5 + 3\sqrt{5}$ を円に代入して解くと

$x^2 + (2x - 5 + 3\sqrt{5})^2 - 4x + 2(2x - 5 + 3\sqrt{5}) - 4 = 0$

$5x^2 + (-20+12\sqrt{5})x + (25-30\sqrt{5}+45-10+6\sqrt{5}-4) = 0$

$5x^2 - (20-12\sqrt{5})x + (56-24\sqrt{5}) = 0$

重解:$x = \dfrac{20-12\sqrt{5}}{10} = \dfrac{10-6\sqrt{5}}{5}$

同様に $k = -5 - 3\sqrt{5}$ のときも計算できる。

(別法:中心と接点を結ぶ直線は直線に垂直で傾き $-\frac{1}{2}$、中心 $(2,-1)$ を通る直線 $y + 1 = -\frac{1}{2}(x - 2)$ と $y = 2x + k$ の交点が接点)

問題 4 C 発展

円 $C : x^2 + y^2 = r^2$($r > 0$)と直線 $\ell : y = x + k$($k$ は実数)が異なる2点 $\mathrm{A}$、$\mathrm{B}$ で交わっている。線分 $\mathrm{AB}$ の中点を $\mathrm{M}$ とするとき、次の問いに答えよ。

(1) $\mathrm{M}$ の座標を $k$ を用いて表せ。

(2) $k$ が変化するとき、$\mathrm{M}$ の軌跡を求めよ。

(3) $r = 3$ のとき、弦 $\mathrm{AB}$ の長さの最大値と、そのときの $k$ の値を求めよ。

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解答

(1) $y = x + k$ を $x^2 + y^2 = r^2$ に代入:$2x^2 + 2kx + k^2 - r^2 = 0$

2つの交点の $x$ 座標を $x_1, x_2$ とすると、解と係数の関係から

$$x_1 + x_2 = -k, \quad x_1 x_2 = \frac{k^2 - r^2}{2}$$

中点 $\mathrm{M}$ の $x$ 座標:$x_M = \dfrac{x_1 + x_2}{2} = -\dfrac{k}{2}$

$y_M = x_M + k = -\dfrac{k}{2} + k = \dfrac{k}{2}$

$$\mathrm{M}\left(-\frac{k}{2}, \frac{k}{2}\right)$$

(2) $x = -\dfrac{k}{2}$、$y = \dfrac{k}{2}$ より $y = -x$。

2点で交わる条件 $d < r$:$\dfrac{|k|}{\sqrt{2}} < r$ → $|k| < r\sqrt{2}$

$x = -\dfrac{k}{2}$ より $|x| < \dfrac{r\sqrt{2}}{2} = \dfrac{r}{\sqrt{2}}$

軌跡は直線 $y = -x$ の $-\dfrac{r}{\sqrt{2}} < x < \dfrac{r}{\sqrt{2}}$ の部分(端点を除く)。

(3) $\mathrm{AB} = 2\sqrt{r^2 - d^2} = 2\sqrt{9 - \dfrac{k^2}{2}}$

$k = 0$ のとき最大値 $2\sqrt{9} = 6$(直径に等しい)。

解説

中点の軌跡は $y = -x$ となります。これは「中心と中点を結ぶ線分は弦に垂直」という幾何学的性質の反映です。弦の傾きが $1$ なので、垂線の傾きは $-1$ であり、原点を通る傾き $-1$ の直線 $y = -x$ 上を動くのです。

採点のポイント
  • (1) 解と係数の関係を正しく使い中点を求める
  • (2) パラメータ $k$ を消去し、$k$ の範囲から軌跡の範囲を求める
  • (3) 弦の長さを $k$ の関数として表し、$k = 0$ で最大と判断する