第3章 図形と方程式

逆像法と存在条件
─ パラメータの「存在」から領域を求める

「点 $(x, y)$ を通る直線が存在するための条件は?」── この問いに答えるのが逆像法です。
パラメータを含む方程式を「パラメータについての方程式」と読み替え、その解が存在する条件を求めることで、点の集合(領域)を決定します。

1逆像法とは

パラメータ $t$ を含む曲線の族(たとえば直線群 $y = 2tx - t^2$)が与えられたとき、「この曲線族が通過しうる点 $(x, y)$ の全体はどんな領域か」という問題を考えます。

順像と逆像

パラメータ $t$ の値を1つ定めると、1本の曲線が決まります。$t$ をすべての許される値にわたって動かしたとき、これらの曲線が覆う点の集合を求めるのが通過領域の問題です。

この問題には2つのアプローチがあります。

  • 順像法:$t$ を固定して $(x, y)$ の軌跡を求め、$t$ を動かして合併をとる
  • 逆像法:$(x, y)$ を固定して、条件を満たす $t$ が存在するかどうかを調べる

逆像法では、発想を逆転させます。点 $(x, y)$ を先に固定し、「その点を通る曲線に対応するパラメータ $t$ が存在するか」を問います。存在すればその点は領域に含まれ、存在しなければ含まれません。

💡 ここが本質:逆像法 = 「解が存在するか?」と問うこと

逆像法の核心は次の読み替えにあります。

「点 $(x, y)$ が通過領域に含まれる」 $\iff$ 「$(x, y)$ を定数と見たとき、$t$ についての方程式 $f(t; x, y) = 0$ が(許される範囲に)実数解をもつ

つまり、図形の問題を「方程式の解の存在」という代数の問題に翻訳するのです。

逆像法の基本手順

  1. パラメータ $t$ を含む方程式 $f(t; x, y) = 0$ を、$t$ についての方程式として整理する
  2. $t$ の許される範囲(実数全体、$0 \leq t \leq 1$ など)を確認する
  3. その範囲に解が存在するための $(x, y)$ の条件を求める
  4. 得られた条件が求める領域を表す

2存在条件による領域の求め方

$t$ についての方程式への書き換え

逆像法の第一歩は、与えられた方程式を「$t$ についての方程式」として見直すことです。$(x, y)$ は定数として扱います。

例:直線 $y = 2tx - t^2$ について、「この直線が点 $(x, y)$ を通る $t$ が存在するか?」を考えます。

$t$ について整理すると、

$$t^2 - 2xt + y = 0 \quad \cdots (\ast)$$

これは $t$ についての2次方程式です。この方程式が実数解をもてば、点 $(x, y)$ は通過領域に含まれます。

📐 逆像法の基本公式

パラメータ $t$ を含む方程式 $f(t; x, y) = 0$ が与えられたとき、

$$\text{通過領域} = \{(x, y) \mid \text{方程式 } f(t; x, y) = 0 \text{ を満たす実数 } t \text{ が存在する}\}$$

$t$ に範囲制約がある場合は「許される範囲に実数解が存在する」条件に読み替えます。

存在条件の場合分け

$t$ についての方程式の次数や $t$ の範囲によって、使う手法が異なります。

$t$ の方程式の形 $t$ の範囲 使う条件
$t$ の2次方程式 実数全体 判別式 $D \geq 0$
$t$ の2次方程式 制限あり(例:$0 \leq t \leq 1$) 2次関数のグラフ解析
$t$ の1次方程式 実数全体 常に解あり($t$ の係数 $\neq 0$ のとき)
$t$ の1次方程式 制限あり 解が範囲内に入る条件
⚠️ 落とし穴:$t$ の範囲制約を忘れる

逆像法で最も多いミスは、$t$ の範囲制約を見落とすことです。問題文で「$t$ は実数」なのか「$0 \leq t \leq 1$」なのかで、求める領域がまったく変わります。

✗ 誤り:$t$ に範囲制約があるのに、判別式 $D \geq 0$ だけで処理する

✓ 正しい:$t$ の範囲を確認してから、適切な存在条件を立てる

また、$t$ の方程式が2次式でない場合($t$ の2次の係数が0になりうる場合)に判別式を使うのも誤りです。2次の係数が $(x, y)$ を含むときは、その係数が0になる場合の場合分けが必要です。

3判別式を使う逆像法

$t$ が実数全体を動く場合

パラメータ $t$ が実数全体を動くとき、$t$ についての2次方程式が実数解をもつ条件は判別式 $D \geq 0$ です。

例題1:放物線群の通過領域

問題:$t$ が実数全体を動くとき、直線 $y = 2tx - t^2$ が通過する領域を求めよ。

▷ 解答

点 $(x, y)$ を通る直線が存在する条件を求めます。

$y = 2tx - t^2$ を $t$ について整理すると、

$$t^2 - 2xt + y = 0 \quad \cdots (\ast)$$

これは $t$ についての2次方程式です。$t^2$ の係数は $1$($\neq 0$)なので、常に2次方程式です。

$(\ast)$ が実数解をもつ条件は、判別式 $D \geq 0$ より、

$$D/4 = x^2 - y \geq 0$$

$$\therefore \quad y \leq x^2$$

よって、求める領域は放物線 $y = x^2$ およびその下側の部分です。

例題2:直線群の通過領域

問題:$t$ が実数全体を動くとき、直線 $tx - y + t^2 + 1 = 0$ が通過する領域を求めよ。

▷ 解答

$t$ について整理すると、

$$t^2 + xt + (1 - y) = 0 \quad \cdots (\ast)$$

これは $t$ についての2次方程式です。実数解が存在する条件は $D \geq 0$ より、

$$D = x^2 - 4(1 - y) \geq 0$$

$$x^2 - 4 + 4y \geq 0$$

$$\therefore \quad y \geq -\frac{x^2}{4} + 1$$

よって、求める領域は放物線 $y = -\dfrac{x^2}{4} + 1$ およびその上側の部分です。

💡 ここが本質:判別式の幾何学的意味

判別式 $D \geq 0$ は「$t$ についての2次方程式が実数解をもつ」条件ですが、幾何学的には「点 $(x, y)$ を通る曲線族のメンバーが存在する」ことを意味します。

$D = 0$ は「ちょうど1つのメンバーが接する」境界、$D > 0$ は「2つのメンバーが通る」内部に対応します。したがって、通過領域の境界線は $D = 0$、すなわち曲線族の包絡線になっています。

例題3:2次の係数に注意が必要な場合

問題:$t$ が実数全体を動くとき、直線 $(1+t)x + (1-t)y = 1+t^2$ が通過する領域を求めよ。

▷ 解答

展開して $t$ について整理します。

$$x + tx + y - ty = 1 + t^2$$

$$t^2 - (x - y)t + (1 - x - y) = 0 \quad \cdots (\ast)$$

$t^2$ の係数は $1$($\neq 0$)なので、常に2次方程式です。

実数解が存在する条件は $D \geq 0$ より、

$$D = (x - y)^2 - 4(1 - x - y) \geq 0$$

$$x^2 - 2xy + y^2 + 4x + 4y - 4 \geq 0$$

$$(x + y)^2 - 4(x + y) + 4 + 4 \cdot 2(x + y) - 2xy - 4 \geq 0$$

整理し直すと、

$$x^2 - 2xy + y^2 + 4x + 4y - 4 \geq 0$$

$$(x - y + 2)^2 + 4y - 4 - 4y \geq 0 \text{ ではないので、別の方法で整理します。}$$

$(x-y)^2 + 4(x+y) - 4 \geq 0$ と整理できます。

よって、求める領域は $(x - y)^2 + 4(x + y) - 4 \geq 0$ を満たす部分です。

⚠️ 落とし穴:$t$ の2次の係数が0になりうる場合

$t$ について整理した方程式の最高次の係数が $(x, y)$ を含む場合、その係数が0になるケースを別途処理する必要があります。

例えば $xt^2 + yt + 1 = 0$ は、$x = 0$ のとき $yt + 1 = 0$(1次方程式)になり、判別式は使えません。

✗ 誤り:$x = 0$ のケースを無視して $D = y^2 - 4x \geq 0$ とだけ答える

✓ 正しい:(i) $x \neq 0$ のとき $D = y^2 - 4x \geq 0$、(ii) $x = 0$ のとき $yt + 1 = 0$ より $y \neq 0$ で解あり

4実数条件を使う逆像法

$t$ に範囲制約がある場合

パラメータ $t$ が実数全体ではなく、ある範囲(例えば $0 \leq t \leq 1$、$t \geq 0$ など)に制限されている場合は、判別式だけでは不十分です。$t$ についての方程式が指定範囲内に解をもつ条件を求める必要があります。

1次方程式の場合

$t$ の方程式が1次のとき、解 $t = g(x, y)$ が直接求まるので、範囲条件 $\alpha \leq g(x, y) \leq \beta$ を課すだけです。

例題4:$0 \leq t \leq 1$ のとき、直線 $y = t(x - 1) + 1$ が通過する領域を求めよ。

▷ 解答

$t$ について解くと、$y - 1 = t(x - 1)$ です。

(i) $x \neq 1$ のとき:$t = \dfrac{y - 1}{x - 1}$ が $0 \leq t \leq 1$ を満たせばよい。

$$0 \leq \frac{y - 1}{x - 1} \leq 1$$

$x > 1$ のとき:$0 \leq y - 1 \leq x - 1$ すなわち $1 \leq y \leq x$

$x < 1$ のとき:$x - 1 \leq y - 1 \leq 0$ すなわち $x \leq y \leq 1$

(ii) $x = 1$ のとき:$y - 1 = 0$ すなわち $y = 1$ なら任意の $t$ で成立。よって $(1, 1)$ は含まれる。

以上を合わせると、求める領域は直線 $y = 1$ と直線 $y = x$ で囲まれた帯状の領域(境界を含む)です。

2次方程式の場合:グラフを利用する

$t$ の2次方程式 $at^2 + bt + c = 0$($a, b, c$ は $x, y$ の式)が $\alpha \leq t \leq \beta$ の範囲に解をもつ条件は、2次関数 $g(t) = at^2 + bt + c$ のグラフ解析で求めます。

📐 2次方程式が区間 $[\alpha, \beta]$ に解をもつ条件

$f(t) = at^2 + bt + c$($a > 0$)が $\alpha \leq t \leq \beta$ に少なくとも1つの実数解をもつ条件:

$$f(\alpha) \leq 0 \quad \text{または} \quad f(\beta) \leq 0$$

$$\text{または} \quad \left( D \geq 0 \text{ かつ } \alpha \leq -\frac{b}{2a} \leq \beta \text{ かつ } f\!\left(-\frac{b}{2a}\right) \leq 0 \right)$$

これは「$y = f(t)$ のグラフが区間 $[\alpha, \beta]$ で $t$ 軸と交わるか、$t$ 軸以下になる」という条件です。場合分けよりもグラフの概形を描いて考えるのが確実です。

例題5:区間制約付きの逆像法

問題:$0 \leq t \leq 1$ のとき、放物線 $y = -(x - t)^2 + t$ が通過する領域を求めよ。

▷ 解答

$y = -(x - t)^2 + t$ を $t$ について整理します。

$$y = -x^2 + 2xt - t^2 + t$$

$$t^2 - (2x + 1)t + (x^2 + y) = 0 \quad \cdots (\ast)$$

$f(t) = t^2 - (2x+1)t + (x^2 + y)$ とおくと、$(\ast)$ が $0 \leq t \leq 1$ に解をもつ条件を求めます。

$f(t)$ は下に凸の放物線なので、区間 $[0, 1]$ に解をもつ条件は次のいずれかです。

条件A:$f(0) \leq 0$ すなわち $x^2 + y \leq 0$、つまり $y \leq -x^2$

条件B:$f(1) \leq 0$ すなわち $1 - (2x+1) + x^2 + y \leq 0$、つまり $y \leq 2x - x^2$

条件C:頂点が区間内にあり、頂点での値が0以下。軸 $t = \dfrac{2x+1}{2}$ が $0 \leq \dfrac{2x+1}{2} \leq 1$ つまり $-\dfrac{1}{2} \leq x \leq \dfrac{1}{2}$ のとき、$D \geq 0$ すなわち $(2x+1)^2 - 4(x^2 + y) \geq 0$ より $y \leq x + \dfrac{1}{4}$

これらの和集合(条件Aまたは条件Bまたは条件C)が求める領域です。

🔬 深掘りTips:逆像(ファイバーと前像)の考え方

大学の位相幾何学(トポロジー)では、写像 $f : X \to Y$ に対して、$y \in Y$ の逆像(preimage)を $f^{-1}(y) = \{x \in X \mid f(x) = y\}$ と定義します。各 $y$ に対する逆像 $f^{-1}(y)$ をファイバー(fiber)と呼びます。

逆像法はまさにこの考え方です。写像 $f: t \mapsto (x(t), y(t))$ を考え、各点 $(x, y)$ に対する「ファイバー」(その点に写される $t$ の集合)が空でないかを調べています。ファイバーが空でない点の全体が通過領域です。

この視点は、大学数学の解析学・幾何学で繰り返し登場する基本的な考え方です。

5逆像法と通過領域の関係

通過領域の3つの解法

パラメータ $t$ を含む曲線の通過領域を求める方法は、大きく3つあります。

  • 順像法:各 $x$ を固定し、$t$ が動くときの $y$ の値域を求める。$y = f(t; x)$ の最大・最小問題に帰着。
  • 逆像法(本節の方法):$(x, y)$ を固定し、$t$ についての方程式の実数解の存在条件を求める。判別式や2次関数のグラフ解析に帰着。
  • 包絡線法:曲線族の包絡線を求め、それが領域の境界を与える。$F(x, y, t) = 0$ と $F_t(x, y, t) = 0$ を連立して $t$ を消去。

どの方法を使うべきか

状況 推奨される方法
$t$ について整理すると2次方程式になる 逆像法(判別式)
$y = f(t)$ の形で $t$ の値域が限定 順像法($f(t)$ の最大最小)
$t$ に範囲制約があり、2次方程式になる 逆像法(グラフ解析)
境界だけ知りたい 包絡線法

逆像法と順像法の等価性

逆像法と順像法は、同じ問題を違う角度から解いているだけで、結果は一致します。

たとえば $y = 2tx - t^2$ について:

  • 順像法:$x$ を固定し、$y = -t^2 + 2xt = -(t - x)^2 + x^2$ の最大値は $y = x^2$。よって $y \leq x^2$。
  • 逆像法:$t^2 - 2xt + y = 0$ の判別式 $D/4 = x^2 - y \geq 0$ より $y \leq x^2$。

同じ結果 $y \leq x^2$ が得られます。問題の構造に応じて計算しやすい方を選びましょう。

💡 ここが本質:「どの $(x,y)$ に対して有効な $t$ が存在するか」

順像法も逆像法も、問い自体は同じです:「点 $(x, y)$ が通過領域に含まれるのは、その点を実現するパラメータ $t$ が存在するとき、そしてそのときに限る。」

逆像法はこの問いを直接的に定式化する方法であり、特に $t$ について整理すると2次方程式になる場合に威力を発揮します。判別式という強力な判定条件がそのまま使えるからです。

📋まとめ

  • 逆像法の考え方:点 $(x, y)$ を固定し、パラメータ $t$ についての方程式を立てて、実数解が存在する条件を求める。「解の存在」が「通過領域に含まれること」と同値。
  • 判別式による逆像法:$t$ が実数全体を動き、$t$ について2次方程式になる場合は、判別式 $D \geq 0$ が存在条件。境界は包絡線に一致する。
  • 範囲制約がある場合:$t$ に範囲制約があるときは、判別式だけでは不十分。2次関数のグラフ解析や不等式の処理で、解が指定区間に入る条件を求める。
  • 2次の係数の場合分け:$t$ の方程式の最高次の係数が $(x, y)$ を含むときは、その係数が0になる場合を別に処理する。判別式は2次方程式にしか使えない。
  • 3つの解法の使い分け:逆像法・順像法・包絡線法は同じ問題の異なるアプローチ。$t$ について2次になるなら逆像法、$y$ が $t$ の関数として簡潔なら順像法が有利。

✅ 確認テスト

Q1. 逆像法において、点 $(x, y)$ が通過領域に含まれる条件を一言で述べよ。

▶ クリックして解答を表示 $(x, y)$ を定数と見たとき、パラメータ $t$ についての方程式が許される範囲に実数解をもつこと。

Q2. $t$ が実数全体を動くとき、直線 $y = tx - t^2$ の通過領域を求めよ。

▶ クリックして解答を表示 $t^2 - xt + y = 0$ の判別式 $D = x^2 - 4y \geq 0$ より、$y \leq \dfrac{x^2}{4}$。

Q3. $t$ についての方程式 $xt^2 + t - 1 = 0$ が実数解をもつ条件を求める際、$x = 0$ の場合を別に処理すべき理由を説明せよ。

▶ クリックして解答を表示 $x = 0$ のとき方程式は $t - 1 = 0$ となり1次方程式になる。判別式は2次方程式に対してのみ定義されるため、$x = 0$ の場合は別途、1次方程式として解く必要がある($t = 1$ で解あり)。

Q4. $0 \leq t \leq 1$ のとき、$y = tx$ が通過する領域を求めよ(ただし $x \geq 0$ とする)。

▶ クリックして解答を表示 $x > 0$ のとき $t = y/x$ が $0 \leq t \leq 1$ を満たす条件は $0 \leq y \leq x$。$x = 0$ のとき $y = 0$ のみ。よって求める領域は $0 \leq y \leq x$($x \geq 0$)。

Q5. 逆像法と順像法の共通点を簡潔に述べよ。

▶ クリックして解答を表示 どちらも「点 $(x, y)$ を実現するパラメータ $t$ が存在するか」を問う方法であり、結果は一致する。逆像法は $t$ の方程式の解の存在条件から、順像法は $t$ を動かしたときの $y$ の値域から求める。

📝入試問題演習

問題 1 A 基礎

$t$ が実数全体を動くとき、直線 $y = t(x - 2) + t^2$ が通過する領域を求めよ。

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解答

$y = xt - 2t + t^2$ を $t$ について整理すると、

$$t^2 + (x - 2)t - y = 0$$

$t$ についての2次方程式が実数解をもつ条件は $D \geq 0$ より、

$$D = (x-2)^2 + 4y \geq 0$$

$$\therefore \quad y \geq -\frac{(x-2)^2}{4}$$

よって、求める領域は放物線 $y = -\dfrac{(x-2)^2}{4}$ およびその上側の部分(境界を含む)。

解説

$t^2$ の係数が1(定数)なので、場合分けなく判別式が使えます。$D = 0$ の境界は頂点 $(2, 0)$、下に凸の放物線を上下反転した形です。

問題 2 B 標準

$t$ が実数全体を動くとき、円 $(x - t)^2 + (y - t^2)^2 = 1$ の中心の軌跡を求め、さらにこの円が通過する領域を求めよ。

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解答

中心の軌跡:中心 $(t, t^2)$ は $y = x^2$ 上を動くので、軌跡は放物線 $y = x^2$。

通過領域:点 $(x, y)$ が円上にあるためには、

$$(x - t)^2 + (y - t^2)^2 = 1$$

を満たす実数 $t$ が存在すればよい。すなわち、

$$(x - t)^2 + (y - t^2)^2 \leq 1 \text{ ではなく}$$

正確には、点 $(x, y)$ からの距離が1以下である放物線 $y = x^2$ 上の点が存在すること、すなわち

$$\min_t \{(x-t)^2 + (y-t^2)^2\} \leq 1$$

が条件です。これは放物線 $y = x^2$ からの距離が1以下の領域を意味します。

したがって、求める領域は放物線 $y = x^2$ から距離1以内の領域です。

解説

この問題では逆像法の方程式が $t$ の4次になるため、直接判別式を使うのは困難です。代わりに幾何学的な解釈(曲線からの距離)を活用しています。逆像法は万能ではなく、問題に応じた工夫が必要です。

問題 3 B 標準

$0 \leq t \leq 2$ のとき、直線 $y = tx - t^2 + 1$ が通過する領域を求めよ。

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解答

$t$ について整理すると、

$$t^2 - xt + (y - 1) = 0 \quad \cdots (\ast)$$

$f(t) = t^2 - xt + (y - 1)$ とおく。$(\ast)$ が $0 \leq t \leq 2$ に解をもつ条件を求める。

(i) $f(0) \leq 0$ のとき:$y - 1 \leq 0$ すなわち $y \leq 1$

(ii) $f(2) \leq 0$ のとき:$4 - 2x + y - 1 \leq 0$ すなわち $y \leq 2x - 3$

(iii) 軸が区間内にあり $D \geq 0$、最小値 $\leq 0$ のとき:

軸 $t = x/2$ が $0 \leq x/2 \leq 2$ つまり $0 \leq x \leq 4$ で、

$$D = x^2 - 4(y - 1) \geq 0 \implies y \leq \frac{x^2}{4} + 1$$

(i), (ii), (iii) の和集合が求める領域です。

整理すると、

$t = 0$ の直線 $y = 1$ と $t = 2$ の直線 $y = 2x - 3$ と放物線 $y = \dfrac{x^2}{4} + 1$ で囲まれた領域(境界を含む)になります。

解説

$t$ に範囲制約があるため、$f(t) = 0$ が $[0, 2]$ に解をもつ条件をグラフで考えます。$t = 0$ と $t = 2$ での符号判定と、軸が区間内に入る場合の判別式条件を組み合わせます。

採点のポイント
  • $t$ について正しく2次方程式に整理できている
  • $t$ の範囲制約を考慮し、$f(0)$, $f(2)$ の符号条件と判別式条件を正しく立てている
  • 3つの条件の和集合を正しく求めている
問題 4 C 発展

$a$ を実数の定数とする。$t$ が $0 \leq t \leq 1$ を動くとき、放物線 $y = x^2 - 2tx + t^2 + at$ が通過しうる領域を $a$ の値によって場合分けして求めよ。

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解答

$y = x^2 - 2tx + t^2 + at = (x - t)^2 + at$ を $t$ について整理します。

$$y - x^2 = -2xt + t^2 + at$$

$$t^2 + (a - 2x)t + (x^2 - y) = 0 \quad \cdots (\ast)$$

$g(t) = t^2 + (a - 2x)t + (x^2 - y)$ とおき、$(\ast)$ が $0 \leq t \leq 1$ に解をもつ条件を求めます。

(A) $g(0) \leq 0$ の条件:$x^2 - y \leq 0$、すなわち $y \geq x^2$

(B) $g(1) \leq 0$ の条件:$1 + a - 2x + x^2 - y \leq 0$、すなわち $y \geq (x-1)^2 + a$

(C) 軸が $[0,1]$ 内で最小値 $\leq 0$:軸 $t = x - a/2$ が $0 \leq x - a/2 \leq 1$ のとき、

$$D = (a - 2x)^2 - 4(x^2 - y) = a^2 - 4ax + 4y \geq 0$$

$$\therefore \quad y \geq ax - \frac{a^2}{4}$$

かつ $a/2 \leq x \leq a/2 + 1$

領域は (A), (B), (C) の和集合であり、$a$ の値に応じて各領域の重なり方が変わります。

$a \geq 0$ のとき:$t = 0$ の放物線 $y = x^2$ と $t = 1$ の放物線 $y = (x-1)^2 + a$ と直線 $y = ax - a^2/4$ で境界が構成されます。

$a < 0$ のとき:同様に3つの境界で構成されますが、直線の位置が変わります。

解説

$t$ の区間が固定 $[0, 1]$ であるため、端点での値と区間内の最小値の3条件を組み合わせます。パラメータ $a$ が加わることで場合分けが増えますが、基本的な手法は例題5と同じです。$g(0) \leq 0$ は $t = 0$ の曲線より「上」、$g(1) \leq 0$ は $t = 1$ の曲線より「上」、(C) は包絡線の「上」に対応します。

採点のポイント
  • $t$ について正しく2次方程式に整理し、$g(t)$ を定義できている
  • $g(0) \leq 0$、$g(1) \leq 0$、判別式条件の3条件を正しく立てている
  • 軸の位置条件 $0 \leq x - a/2 \leq 1$ を正しく考慮している
  • $a$ の値による場合分けが正しい