「領域内で $x^2 + y^2$ の最大値は?」「パラメータ $t$ が動くとき、直線が通過する領域は?」──
領域の問題は「幾何学的な意味」を読み取ることが解法の鍵です。距離・傾きの図形的解釈と、通過領域の求め方を身につけましょう。
前節のリニアプログラミングでは、1次式 $ax + by + c$ の最大・最小を求めました。では、$x^2 + y^2$ や $(x - a)^2 + (y - b)^2$ のような2次式の最大・最小はどう求めればよいでしょうか。
領域 $D$ 上で式 $f(x, y)$ の最大値・最小値を求める問題では、$f(x, y) = k$ とおいたときの図形の意味を読み取ることが出発点です。
リニアプログラミングでは $ax + by = k$ が「直線群」でした。同様に、$x^2 + y^2 = k$ は「原点中心の円の群」、$\dfrac{y}{x} = k$ は「原点を通る直線群」です。
領域上の最大最小問題では、$f(x, y) = k$ とおいたとき、$k$ を変化させると図形がどう動くかを把握することが最も重要です。
$k$ を動かす = 図形のパラメータ(半径・傾き・切片)を動かす
図形が領域と「ギリギリ接する」ときの $k$ が最大値や最小値を与えます。この考え方は、リニアプログラミングの直線を動かす方法の一般化です。
| 式 $f(x, y)$ | $f(x, y) = k$ の図形 | $k$ の意味 |
|---|---|---|
| $x^2 + y^2$ | 原点中心・半径 $\sqrt{k}$ の円 | 原点からの距離の2乗 |
| $(x - a)^2 + (y - b)^2$ | 点 $(a, b)$ 中心・半径 $\sqrt{k}$ の円 | 点 $(a, b)$ からの距離の2乗 |
| $\dfrac{y}{x}$ | 原点を通る傾き $k$ の直線 | 原点と点 $(x, y)$ を結ぶ直線の傾き |
| $\dfrac{y - b}{x - a}$ | 点 $(a, b)$ を通る傾き $k$ の直線 | 点 $(a, b)$ と点 $(x, y)$ を結ぶ直線の傾き |
領域の問題では「何を最大化・最小化するか(目的関数)」と「どこで最適化するか(制約条件=領域)」を混同しやすいです。
✗ 誤り:$x^2 + y^2$ を最大化 → 円 $x^2 + y^2 = k$ 上で領域の不等式を最大化
✓ 正しい:領域 $D$ 内の点 $(x, y)$ で $x^2 + y^2$ を最大化 → 円 $x^2 + y^2 = k$ が領域 $D$ と共有点をもつ最大の $k$ を求める
あくまで領域が「制約」で、$f(x, y) = k$ の $k$ が「目的」です。
$k = x^2 + y^2$ とおくと、これは原点 $\mathrm{O}$ と点 $(x, y)$ の距離の2乗です。つまり、
$$x^2 + y^2 \text{ の最大値} = (\text{領域内で原点から最も遠い点までの距離})^2$$
$$x^2 + y^2 \text{ の最小値} = (\text{領域内で原点に最も近い点までの距離})^2$$
原点中心の円 $x^2 + y^2 = k$ の半径 $\sqrt{k}$ を徐々に大きく(小さく)していき、円が領域とギリギリ共有点をもつときの $k$ が求める値です。
領域 $D$ 上で $x^2 + y^2$ の最大値・最小値を求めるには:
Step 1. 原点中心の円 $x^2 + y^2 = k$($k \geq 0$)を考える
Step 2. この円が領域 $D$ と共有点をもつような $k$ の範囲を求める
Step 3. $k$ の最大値が $x^2 + y^2$ の最大値、$k$ の最小値が $x^2 + y^2$ の最小値
最小値の場合:原点が領域内なら最小値は $0$。原点が領域外なら、領域の境界への最短距離の2乗が最小値。
例題:連立不等式 $x \geq 0$、$y \geq 0$、$x + y \leq 3$ の表す領域 $D$ 上で、$x^2 + y^2$ の最大値と最小値を求めよ。
解:領域 $D$ は3点 $\mathrm{O}(0, 0)$、$\mathrm{A}(3, 0)$、$\mathrm{B}(0, 3)$ を頂点とする三角形(内部を含む)です。
原点は領域内にあるので、$x^2 + y^2$ の最小値は $0$(原点で達成)。
原点から最も遠い点は頂点 $\mathrm{A}(3, 0)$ または $\mathrm{B}(0, 3)$ で、距離は $3$ です。よって $x^2 + y^2$ の最大値は $9$。
$(x - a)^2 + (y - b)^2$ は点 $(a, b)$ からの距離の2乗です。原点を点 $(a, b)$ に置き換えて同様に考えます。
例題:上と同じ領域 $D$ 上で、$(x - 4)^2 + (y - 4)^2$ の最小値を求めよ。
解:点 $\mathrm{C}(4, 4)$ から領域 $D$ の各点への距離の2乗の最小値を求めます。$\mathrm{C}$ は領域外にあるので、最小値は $\mathrm{C}$ から領域の境界への最短距離の2乗です。
境界のうち $\mathrm{C}$ に最も近いのは辺 $x + y = 3$ です。点と直線の距離の公式より、
$$d = \frac{|4 + 4 - 3|}{\sqrt{1^2 + 1^2}} = \frac{5}{\sqrt{2}} = \frac{5\sqrt{2}}{2}$$
よって $(x - 4)^2 + (y - 4)^2$ の最小値は $d^2 = \dfrac{25}{2}$。
$f(x, y) = (x - a)^2 + (y - b)^2$ の最大最小を求めることと、距離 $\sqrt{(x - a)^2 + (y - b)^2}$ の最大最小を求めることは同じです。距離は非負なので、距離の2乗が最大(最小)のとき距離も最大(最小)になります。
問題文が「$x^2 + y^2$ の最大値」と問うていても、頭の中では「原点からの距離が最大」と読み替えて図形的に考えるのが得策です。
$k = \dfrac{y}{x}$ とおくと、$y = kx$ すなわち原点を通る傾き $k$ の直線です。言い換えると、$k$ は原点と点 $(x, y)$ を結ぶ直線の傾きです。
領域 $D$ 上で $\dfrac{y}{x}$ の最大値・最小値を求めるには、原点を通る直線 $y = kx$ を回転させ、領域とギリギリ共有点をもつときの傾き $k$ を求めます。
領域 $D$ 上で $\dfrac{y - b}{x - a}$ の最大値・最小値を求めるには:
Step 1. 点 $\mathrm{P}(a, b)$ を通る傾き $k$ の直線 $y - b = k(x - a)$ を考える
Step 2. この直線が領域 $D$ と共有点をもつような $k$ の範囲を求める
Step 3. $k$ の最大値・最小値がそのまま答え
直線を点 $\mathrm{P}$ を中心に回転させるイメージで考えます。領域の端に接するときの傾きが答えです。
例題:領域 $D : (x - 3)^2 + (y - 2)^2 \leq 1$ 上で $\dfrac{y}{x}$ の最大値と最小値を求めよ。
解:$k = \dfrac{y}{x}$ とおくと $y = kx$、つまり原点を通る傾き $k$ の直線です。
この直線が円 $(x - 3)^2 + (y - 2)^2 \leq 1$ と共有点をもつ条件を求めます。
円の中心 $(3, 2)$ と直線 $y = kx$、すなわち $kx - y = 0$ の距離が半径 $1$ 以下であればよいので、
$$\frac{|3k - 2|}{\sqrt{k^2 + 1}} \leq 1$$
両辺を2乗して整理すると、
$$(3k - 2)^2 \leq k^2 + 1$$
$$9k^2 - 12k + 4 \leq k^2 + 1$$
$$8k^2 - 12k + 3 \leq 0$$
解の公式より $k = \dfrac{12 \pm \sqrt{144 - 96}}{16} = \dfrac{12 \pm 4\sqrt{3}}{16} = \dfrac{3 \pm \sqrt{3}}{4}$
よって $\dfrac{3 - \sqrt{3}}{4} \leq k \leq \dfrac{3 + \sqrt{3}}{4}$
最小値 $\dfrac{3 - \sqrt{3}}{4}$、最大値 $\dfrac{3 + \sqrt{3}}{4}$。
$\dfrac{y}{x}$ を考える際、$x = 0$ となる点が領域に含まれていると、傾きが定義されません。このような場合は、$x = 0$ を除外して考える必要があります。また、領域が $y$ 軸をまたぐ場合は、$k$ の範囲が全実数になることもあります。
パラメータ $t$ を含む曲線(多くは直線)の方程式 $y = f(x, t)$ が与えられ、$t$ がある範囲を動くとき、曲線全体が覆う領域を通過領域といいます。
たとえば、直線 $y = tx - t^2$ で $t$ が全実数を動くとき、この直線群が通過する点 $(x, y)$ 全体の集合はどのような領域になるか、という問題です。
通過領域を求める基本的な方法は逆像法(パラメータの存在条件を求める方法)です。
曲線 $F(x, y, t) = 0$ がパラメータ $t$ の範囲 $\alpha \leq t \leq \beta$ で動くとき、通過領域は次の手順で求める:
Step 1. 方程式 $F(x, y, t) = 0$ を $t$ についての方程式と見る
Step 2. この方程式が $\alpha \leq t \leq \beta$ の範囲に実数解をもつ条件を、$x, y$ について求める
Step 3. その条件を満たす点 $(x, y)$ の集合が通過領域
「点 $(x, y)$ が通過領域にある」⟺「$F(x, y, t) = 0$ を満たす $t$ が指定範囲に存在する」という同値変換がポイントです。
例題:$t$ が全実数を動くとき、直線 $y = tx - t^2$ の通過領域を求めよ。
点 $(x, y)$ が通過領域にあるための条件は、方程式 $y = tx - t^2$ を満たす実数 $t$ が存在することです。
これを $t$ について整理すると、
$$t^2 - xt + y = 0$$
$t$ についての2次方程式が実数解をもつ条件は判別式 $D \geq 0$ より、
$$D = x^2 - 4y \geq 0$$
$$y \leq \frac{x^2}{4}$$
よって通過領域は $y \leq \dfrac{x^2}{4}$、すなわち放物線 $y = \dfrac{x^2}{4}$ およびその下側です。
$t$ の範囲が限定されているときは、単に判別式だけでなく、$t$ の方程式の解が指定範囲に入る条件を考える必要があります。
例題:$0 \leq t \leq 1$ のとき、直線 $y = 2tx - t^2$ の通過領域を求めよ。
$t^2 - 2xt + y = 0$ を $t$ の方程式と見て、$g(t) = t^2 - 2xt + y$ とおきます。
$g(t) = 0$ が $0 \leq t \leq 1$ に少なくとも1つの解をもつ条件を求めます。
$g(t)$ は下に凸の放物線なので、軸 $t = x$ の位置と $g(0)$、$g(1)$ の符号で場合分けします。
$g(0) = y$、$g(1) = 1 - 2x + y$ です。
$0 \leq t \leq 1$ に解をもつ条件は、
$$g(0) \cdot g(1) \leq 0 \quad \text{または} \quad \left( 0 \leq x \leq 1 \text{ かつ } D \geq 0 \text{ かつ } g(0) \geq 0 \text{ かつ } g(1) \geq 0 \right) \text{の否定の一部}$$
より正確には、次の3条件のいずれかが成立すればよい:
(i) $g(0) \leq 0$、すなわち $y \leq 0$
(ii) $g(1) \leq 0$、すなわち $y \leq 2x - 1$
(iii) $0 \leq x \leq 1$ かつ $D = 4x^2 - 4y \geq 0$ かつ $g(0) \geq 0$ かつ $g(1) \geq 0$
すなわち $0 \leq x \leq 1$ かつ $y \leq x^2$ かつ $y \geq 0$ かつ $y \geq 2x - 1$
これらの和集合が通過領域です。
通常は「$t$ を決めると曲線が1本決まる」と考えますが、逆像法では「点 $(x, y)$ を固定し、それを通る曲線が存在するか」と視点を逆転させます。
「$t$ を動かして曲線を描く」のではなく「点 $(x, y)$ から $t$ を逆算する」── この発想の転換が逆像法の核心です。
曲線群 $F(x, y, t) = 0$ が $t$ を動かすと無限に多くの曲線をなすとき、これらの曲線に共通に接する曲線を包絡線(envelope)といいます。包絡線は通過領域の境界の一部を構成します。
包絡線を求めるには、次の連立方程式を解きます。
曲線群 $F(x, y, t) = 0$ の包絡線は、連立方程式
$$\begin{cases} F(x, y, t) = 0 \\ \dfrac{\partial F}{\partial t}(x, y, t) = 0 \end{cases}$$
から $t$ を消去して得られる $x, y$ の関係式として求まる。
$\dfrac{\partial F}{\partial t}$ は $x, y$ を定数とみなして $t$ で偏微分した式です。高校範囲では「$t$ で微分」と理解すれば十分です。
例題:直線群 $y = tx - t^2$ の包絡線を求めよ。
解:$F(x, y, t) = y - tx + t^2 = 0$ とおきます。
$t$ で偏微分すると $\dfrac{\partial F}{\partial t} = -x + 2t = 0$、よって $t = \dfrac{x}{2}$。
元の式に代入して $y = \dfrac{x}{2} \cdot x - \left(\dfrac{x}{2}\right)^2 = \dfrac{x^2}{2} - \dfrac{x^2}{4} = \dfrac{x^2}{4}$。
よって包絡線は放物線 $y = \dfrac{x^2}{4}$ です。
これはセクション4で逆像法を用いて得た通過領域の境界と一致しています。
逆像法で求めた通過領域の境界と包絡線は密接に関連しています。
例題:放物線 $y = (x - t)^2 + t$ が $0 \leq t \leq 2$ で動くときの通過領域を求めよ。
$(x - t)^2 + t = y$ を $t$ について整理すると、
$$t^2 - (2x - 1)t + (x^2 - y) = 0$$
$h(t) = t^2 - (2x - 1)t + (x^2 - y)$ とおき、$h(t) = 0$ が $0 \leq t \leq 2$ に少なくとも1つの実数解をもつ条件を求めます。
$h(t)$ は下に凸の放物線で軸は $t = \dfrac{2x - 1}{2}$。
端点の値は $h(0) = x^2 - y$、$h(2) = 4 - 2(2x - 1) + x^2 - y = x^2 - 4x + 6 - y = (x - 2)^2 + 2 - y$ です。
$0 \leq t \leq 2$ に解をもつ条件は、$h(0) \leq 0$ または $h(2) \leq 0$ または($0 \leq \dfrac{2x-1}{2} \leq 2$ かつ軸での最小値 $\leq 0$ かつ $h(0) \geq 0$ かつ $h(2) \geq 0$)です。
これらを整理すると通過領域が求まります。
大学数学では、領域上の最大最小問題を系統的に解く方法としてラグランジュの未定乗数法を学びます。
制約条件 $g(x, y) = 0$ のもとで $f(x, y)$ を最大化・最小化するには、定数 $\lambda$(ラグランジュ乗数)を用いて
$$\nabla f = \lambda \nabla g$$
すなわち $\dfrac{\partial f}{\partial x} = \lambda \dfrac{\partial g}{\partial x}$、$\dfrac{\partial f}{\partial y} = \lambda \dfrac{\partial g}{\partial y}$ を連立して解きます。
高校の方法では「図形的意味を読み取る」というセンスが必要でしたが、ラグランジュ乗数法を使えば機械的に解くことができます。今学んでいる方法は、その背景にある幾何学的な直観を養うものです。
Q1. 領域 $x^2 + y^2 \leq 4$ 上で $x + y$ の最大値を求めよ。
Q2. 領域 $x \geq 0$、$y \geq 0$、$x + 2y \leq 4$ 上で $x^2 + y^2$ の最大値を求めよ。
Q3. 領域 $(x - 2)^2 + (y - 1)^2 \leq 1$ 上で $\dfrac{y}{x}$ の最大値を求めよ。
Q4. $t$ が全実数を動くとき、直線 $y = 2tx - t^2$ の通過領域を求めよ。
Q5. 直線群 $y = 2tx - t^2$ の包絡線を求めよ。
連立不等式 $x \geq 0$、$y \geq 0$、$2x + y \leq 6$、$x + 2y \leq 6$ の表す領域 $D$ について、次の値を求めよ。
(1) $x^2 + y^2$ の最大値と最小値
(2) $(x - 5)^2 + (y - 5)^2$ の最小値
(1) 頂点は $\mathrm{O}(0,0)$、$\mathrm{A}(3,0)$、$\mathrm{B}(2,2)$、$\mathrm{C}(0,3)$ です。
原点は領域内にあるので最小値は $0$(原点で達成)。
各頂点での $x^2 + y^2$ の値:$\mathrm{O}$→$0$、$\mathrm{A}$→$9$、$\mathrm{B}$→$8$、$\mathrm{C}$→$9$。
最大値は $9$(頂点 $\mathrm{A}$ または $\mathrm{C}$ で達成)。
(2) 点 $(5, 5)$ から領域の各境界への距離を比較します。
$2x + y = 6$ への距離:$\dfrac{|10 + 5 - 6|}{\sqrt{5}} = \dfrac{9}{\sqrt{5}} = \dfrac{9\sqrt{5}}{5}$
$x + 2y = 6$ への距離:$\dfrac{|5 + 10 - 6|}{\sqrt{5}} = \dfrac{9}{\sqrt{5}} = \dfrac{9\sqrt{5}}{5}$
最短距離は $\dfrac{9\sqrt{5}}{5}$ なので、最小値は $\left(\dfrac{9\sqrt{5}}{5}\right)^2 = \dfrac{81}{5}$。
領域 $(x - 3)^2 + (y - 4)^2 \leq 4$ において、$\dfrac{y}{x}$ の最大値と最小値を求めよ。
$k = \dfrac{y}{x}$ とおくと、直線 $kx - y = 0$ が円 $(x - 3)^2 + (y - 4)^2 \leq 4$ と共有点をもつ条件は、中心 $(3, 4)$ と直線の距離 $\leq 2$ より、
$$\frac{|3k - 4|}{\sqrt{k^2 + 1}} \leq 2$$
2乗して整理すると $(3k - 4)^2 \leq 4(k^2 + 1)$
$$9k^2 - 24k + 16 \leq 4k^2 + 4$$
$$5k^2 - 24k + 12 \leq 0$$
判別式 $\dfrac{24 \pm \sqrt{576 - 240}}{10} = \dfrac{24 \pm \sqrt{336}}{10} = \dfrac{24 \pm 4\sqrt{21}}{10} = \dfrac{12 \pm 2\sqrt{21}}{5}$
最小値 $\dfrac{12 - 2\sqrt{21}}{5}$、最大値 $\dfrac{12 + 2\sqrt{21}}{5}$
原点が円の外部にあることを確認します。$3^2 + 4^2 = 25 > 4$ なので原点は円外にあり、原点を通る直線は円と共有点をもたない角度もあります。そのため傾きの最大・最小が有限の値で存在します。
実数 $t$ が $0 \leq t \leq 2$ の範囲を動くとき、直線 $y = tx - t^2 + 1$ が通過する領域を求めよ。
$y = tx - t^2 + 1$ を $t$ について整理すると $t^2 - xt + (y - 1) = 0$。
$g(t) = t^2 - xt + (y - 1)$ とおき、$g(t) = 0$ が $0 \leq t \leq 2$ に実数解をもつ条件を求めます。
$g(t)$ は下に凸の放物線で軸は $t = \dfrac{x}{2}$ です。
$g(0) = y - 1$、$g(2) = 4 - 2x + y - 1 = y - 2x + 3$ です。
$0 \leq t \leq 2$ に解が存在する条件は以下のいずれか:
(i) $g(0) \leq 0$:$y \leq 1$
(ii) $g(2) \leq 0$:$y \leq 2x - 3$
(iii) $0 \leq \dfrac{x}{2} \leq 2$(つまり $0 \leq x \leq 4$)かつ $g(0) \geq 0$ かつ $g(2) \geq 0$ かつ判別式 $D = x^2 - 4(y - 1) \geq 0$
すなわち $0 \leq x \leq 4$ かつ $y \geq 1$ かつ $y \geq 2x - 3$ かつ $y \leq \dfrac{x^2}{4} + 1$
通過領域はこれらの和集合:$y \leq 1$ または $y \leq 2x - 3$ または($0 \leq x \leq 4$ かつ $1 \leq y \leq \dfrac{x^2}{4} + 1$ かつ $y \geq 2x - 3$)
$t$ が有限区間を動く場合の通過領域は、$t$ が全実数を動く場合よりも複雑になります。$g(t) = 0$ の解が指定区間に入る条件を、$g(t)$ のグラフを用いて場合分けする方法が確実です。端点 $t = 0, 2$ での直線はそれぞれ $y = 1$、$y = 2x - 3$ であり、包絡線は $y = \dfrac{x^2}{4} + 1$ の一部です。
$a$ を正の実数とする。$t$ が全実数を動くとき、放物線 $y = (x - t)^2 + at$ の通過領域を求め、その包絡線の方程式を $a$ を用いて表せ。
$y = (x - t)^2 + at = x^2 - 2xt + t^2 + at$ を $t$ について整理すると、
$$t^2 - (2x - a)t + (x^2 - y) = 0$$
$t$ が全実数で、この $t$ の2次方程式が実数解をもつ条件は $D \geq 0$:
$$D = (2x - a)^2 - 4(x^2 - y) \geq 0$$
$$4x^2 - 4ax + a^2 - 4x^2 + 4y \geq 0$$
$$4y \geq 4ax - a^2$$
$$y \geq ax - \frac{a^2}{4}$$
通過領域は $y \geq ax - \dfrac{a^2}{4}$(直線 $y = ax - \dfrac{a^2}{4}$ およびその上側)。
包絡線は $F = t^2 - (2x - a)t + (x^2 - y) = 0$ と $\dfrac{\partial F}{\partial t} = 2t - (2x - a) = 0$ より $t = \dfrac{2x - a}{2}$。
代入すると $y = ax - \dfrac{a^2}{4}$。
よって包絡線は直線 $y = ax - \dfrac{a^2}{4}$。
放物線群の包絡線が直線になるという結果は一見意外ですが、各放物線は頂点が直線 $y = ax - \dfrac{a^2}{4}$ 上を移動していると解釈できます。頂点 $(t, at)$ は直線 $y = ax$ 上にありますが、放物線の下端の軌跡としての包絡線は $y = ax - \dfrac{a^2}{4}$ となります。$a = 0$ のとき包絡線は $y = 0$($x$ 軸)で、$a$ が大きくなると傾きが急になります。