2次曲線と直線が交わるか、接するか、離れているかは、連立方程式の判別式で判定できます。弦の中点の軌跡や極と極線といった発展的なテーマにも触れ、2次曲線の幾何学的な美しさを探ります。
2次曲線 $C$ と直線 $\ell$ の共有点を求めるには、2つの方程式を連立して解きます。直線の方程式を2次曲線の方程式に代入すると、変数が1つの2次方程式(または1次方程式)に帰着されます。
代入して得られる2次方程式の判別式を $D$ とすると:
$D > 0$:2つの共有点(直線が曲線を貫く)
$D = 0$:1つの共有点(接する)
$D < 0$:共有点なし(離れている)
ただし、代入の結果が1次方程式になる場合もあります。双曲線の漸近線に平行な直線がその典型例で、この場合は共有点が1個になります(接線ではない)。
✗ 共有点が1個だから接している
✓ 判別式 $D=0$ で共有点が1個のときが「接する」。漸近線に平行な直線のように、代入した結果が1次式になって共有点1個の場合は接線ではない
楕円 $\dfrac{x^2}{a^2} + \dfrac{y^2}{b^2} = 1$ と直線 $y = mx + n$ を連立します。
$y = mx + n$ を楕円の方程式に代入すると:
$$\frac{x^2}{a^2} + \frac{(mx+n)^2}{b^2} = 1$$
$$(b^2 + a^2 m^2)x^2 + 2a^2 mn\,x + a^2(n^2 - b^2) = 0$$
この2次方程式の判別式 $D$ で共有点の個数が決まります。
$D = 0$ となる条件を求めると、接線の条件が得られます。判別式を計算すると:
$$D/4 = a^4 m^2 n^2 - (b^2 + a^2 m^2) \cdot a^2(n^2 - b^2) = 0$$
整理すると $n^2 = a^2 m^2 + b^2$ が得られます。これは「傾き $m$ の接線の $y$ 切片が $\pm\sqrt{a^2 m^2 + b^2}$」であることを意味します。
✗ $y = mx + n$ だけで全ての接線を網羅できる
✓ $x = \pm a$(楕円の頂点を通る垂直な接線)は $y = mx + n$ の形では表せません。問題文をよく読みましょう。
楕円上の点 $(x_0, y_0)$ における接線は $\dfrac{x_0 x}{a^2} + \dfrac{y_0 y}{b^2} = 1$ です。これは元の方程式の $x^2 \to x_0 x$, $y^2 \to y_0 y$ という置き換えで得られ、双曲線・放物線にも同じ規則が適用されます。
双曲線 $\dfrac{x^2}{a^2} - \dfrac{y^2}{b^2} = 1$ と $y = mx + n$ を連立すると:
$$(b^2 - a^2 m^2)x^2 - 2a^2 mn\,x - a^2(n^2 + b^2) = 0$$
$b^2 - a^2 m^2 = 0$、すなわち $m = \pm\dfrac{b}{a}$ のとき(漸近線に平行)、2次の項が消えて1次方程式になり、共有点は1個です。このとき直線は漸近線に平行であり、接線ではありません。
$b^2 - a^2 m^2 \neq 0$ のとき、判別式 $D = 0$ から接線条件は:
$$n^2 = a^2 m^2 - b^2$$
これが実数解をもつには $|m| > \dfrac{b}{a}$(漸近線の傾きより急)が必要です。
放物線 $y^2 = 4px$ と $y = mx + n$ を連立すると $(mx+n)^2 = 4px$ より:
$$m^2 x^2 + 2(mn - 2p)x + n^2 = 0$$
$m = 0$(水平線)のときは1次方程式。$m \neq 0$ のとき判別式 $D = 0$ から接線条件は $n = \dfrac{p}{m}$ です。
✗ $y^2 = 4px$ と $x = k$ の共有点は判別式で調べる
✓ $y^2 = 4pk$ より、$k > 0$ なら $y = \pm 2\sqrt{pk}$ の2点、$k = 0$ なら原点(接点)、$k < 0$ なら共有点なし。直線が $y = mx + n$ の形で表せない場合は直接代入します。
2次曲線を直線が切り取る弦(2つの共有点を結ぶ線分)の中点がどんな軌跡を描くかは、入試の頻出テーマです。
楕円 $\dfrac{x^2}{a^2} + \dfrac{y^2}{b^2} = 1$ 上の2点 $P(x_1, y_1)$, $Q(x_2, y_2)$ について、中点を $M\!\left(\dfrac{x_1+x_2}{2},\;\dfrac{y_1+y_2}{2}\right)$ とします。
$P$, $Q$ がそれぞれ楕円上の点なので:
$$\frac{x_1^2}{a^2} + \frac{y_1^2}{b^2} = 1, \quad \frac{x_2^2}{a^2} + \frac{y_2^2}{b^2} = 1$$
辺々を引くと:
$$\frac{x_1^2 - x_2^2}{a^2} + \frac{y_1^2 - y_2^2}{b^2} = 0$$
$$\frac{(x_1+x_2)(x_1-x_2)}{a^2} + \frac{(y_1+y_2)(y_1-y_2)}{b^2} = 0$$
弦の傾き $m = \dfrac{y_1 - y_2}{x_1 - x_2}$ を使うと、中点 $(X, Y)$ について:
$$\frac{2X}{a^2} + \frac{2Y \cdot m}{b^2} = 0 \quad \Longrightarrow \quad m = -\frac{b^2 X}{a^2 Y}$$
楕円の弦の中点 $(X, Y)$ と弦の傾き $m$ の関係:$m = -\dfrac{b^2 X}{a^2 Y}$
この式は「弦の傾き」と「中点の位置」を直接結びつけるもので、軌跡を求めるのに非常に便利です。
双曲線 $\dfrac{x^2}{a^2} - \dfrac{y^2}{b^2} = 1$:$m = \dfrac{b^2 X}{a^2 Y}$(符号が楕円と逆)
放物線 $y^2 = 4px$:$m = \dfrac{2p}{Y}$
点 $P(x_0, y_0)$ に対して、直線 $\dfrac{x_0 x}{a^2} + \dfrac{y_0 y}{b^2} = 1$ を楕円 $\dfrac{x^2}{a^2} + \dfrac{y^2}{b^2} = 1$ に関する $P$ の極線、$P$ を極といいます。
$P$ が楕円上の点であれば極線は接線そのものです。$P$ が楕円の外部にあれば、$P$ から楕円に引いた2本の接線の接点を結ぶ直線が極線です。$P$ が楕円の内部にあっても極線は定義されます。
点 $A$ の極線が点 $B$ を通るならば、点 $B$ の極線は点 $A$ を通る。
この美しい対称性は射影幾何学の基礎であり、大学数学で詳しく学びます。
✗ $\dfrac{x_0 x}{a^2} + \dfrac{y_0 y}{b^2} = 1$ は常に接線の方程式
✓ $(x_0, y_0)$ が曲線上の点のときのみ接線。曲線上にない点に対しては「極線」と呼ばれる別の概念です。
Q1. 楕円 $\frac{x^2}{4} + y^2 = 1$ と直線 $y = x + n$ が接する条件は?
Q2. 双曲線 $\frac{x^2}{9} - \frac{y^2}{4} = 1$ の漸近線の傾きは?
Q3. 放物線 $y^2 = 8x$ に傾き $2$ の接線を引くとき、$y$ 切片は?
Q4. 共有点が1個でも接線でないのはどんな場合?
Q5. 楕円 $\frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} = 1$ の弦の中点が $(X,Y)$ のとき、弦の傾きは?
楕円 $\dfrac{x^2}{9} + \dfrac{y^2}{4} = 1$ に傾き $-1$ の接線を引け。
$n^2 = 9 \cdot 1 + 4 = 13$ より $n = \pm\sqrt{13}$
接線:$y = -x \pm \sqrt{13}$
双曲線 $x^2 - \dfrac{y^2}{3} = 1$ と直線 $y = 2x + k$ の共有点の個数を $k$ の値で場合分けせよ。
$y = 2x + k$ を代入:$x^2 - \dfrac{(2x+k)^2}{3} = 1$
$3x^2 - (4x^2 + 4kx + k^2) = 3$、$-x^2 - 4kx - k^2 - 3 = 0$
$x^2 + 4kx + k^2 + 3 = 0$
$D/4 = 4k^2 - k^2 - 3 = 3k^2 - 3 = 3(k^2 - 1)$
$|k| > 1$:2個、$|k| = 1$:1個(接する)、$|k| < 1$:0個
楕円 $\dfrac{x^2}{4} + y^2 = 1$ の弦で、中点が直線 $y = x$ 上にあるものの傾きを求めよ。
中点 $(X, Y)$ が $y = x$ 上にあるので $Y = X$。
弦の傾き $m = -\dfrac{b^2 X}{a^2 Y} = -\dfrac{1 \cdot X}{4 \cdot X} = -\dfrac{1}{4}$
楕円 $\dfrac{x^2}{4} + \dfrac{y^2}{3} = 1$ の外部の点 $P(4, 0)$ から引いた2本の接線の接点を $A$, $B$ とする。直線 $AB$ の方程式を求めよ。
$P(4, 0)$ の楕円に関する極線は:
$$\frac{4x}{4} + \frac{0 \cdot y}{3} = 1 \quad \Longrightarrow \quad x = 1$$
よって直線 $AB$ の方程式は $x = 1$。
極線の公式 $\dfrac{x_0 x}{a^2} + \dfrac{y_0 y}{b^2} = 1$ に $(x_0, y_0) = (4, 0)$ を代入するだけです。$P$ が楕円の外部にある($\dfrac{16}{4} + 0 = 4 > 1$)ことを確認できます。