直線は「1点と方向」または「2点」で決まります。この幾何学的な事実をベクトルの言葉で表現したものが直線のベクトル方程式です。方向ベクトルによる表現、2点を通る直線、法線ベクトルによる表現という3つの形を学び、座標幾何の直線の方程式との関係を明確にしましょう。
直線は「1点を通り、ある方向に進む」と決まります。点 $\text{A}$ を通り、ベクトル $\vec{d}$($\vec{d} \neq \vec{0}$)に平行な直線上の任意の点 $\text{P}$ は、$\overrightarrow{\text{AP}}$ が $\vec{d}$ の実数倍であることから表現できます。
点 $\text{A}(\vec{a})$ を通り、方向ベクトル $\vec{d}$ に平行な直線:
$$\vec{p} = \vec{a} + t\vec{d} \quad (t \text{ は実数})$$
※ $t$ をパラメータ(媒介変数)と呼びます。$t$ が全実数を動くと、$\text{P}$ は直線上のすべての点を尽くします。
$\vec{p} = \vec{a} + t\vec{d}$ において、$t = 0$ なら $\text{P} = \text{A}$(出発点)、$t = 1$ なら $\text{P}$ は $\text{A}$ から $\vec{d}$ だけ進んだ点、$t = -1$ なら逆方向に $\vec{d}$ だけ戻った点です。
$t$ は直線上の「位置の目盛り」のような役割を果たし、任意の実数を取ることで直線全体を表します。$t$ の値を指定すれば直線上の1点が定まり、逆に直線上の点を指定すれば $t$ の値が1つ定まります。
方向ベクトル $\vec{d}$ は直線の「傾き」に対応する量です。ただし $\vec{d}$ の定数倍(例えば $2\vec{d}$ や $-\vec{d}$)も同じ直線を表します。方向ベクトルは一意ではなく、平行な零でないベクトルであれば何でもよいのです。
✗ 誤:この直線の方向ベクトルは $\vec{d} = (2, 3)$ である(唯一の答えとして書く)
○ 正:$\vec{d} = (2, 3)$ は方向ベクトルの一つ。$(4, 6)$ や $(-2, -3)$ も方向ベクトルである
方向ベクトルは「方向」だけを指定するものなので、長さも向き(正負)も自由です。答案では「方向ベクトルの一つは $\vec{d}$」のように書くとよいでしょう。
2点 $\text{A}(\vec{a})$, $\text{B}(\vec{b})$ を通る直線は、方向ベクトルとして $\overrightarrow{\text{AB}} = \vec{b} - \vec{a}$ を使えば表現できます。
2点 $\text{A}(\vec{a})$, $\text{B}(\vec{b})$ を通る直線:
$$\vec{p} = \vec{a} + t(\vec{b} - \vec{a}) = (1 - t)\vec{a} + t\vec{b}$$
※ $t = 0$ で $\text{P} = \text{A}$、$t = 1$ で $\text{P} = \text{B}$ です。$0 < t < 1$ のとき $\text{P}$ は線分 $\text{AB}$ 上にあります。
この式は前回学んだ分点公式と深い関係があります。$t = \dfrac{m}{m+n}$ とおけば $m : n$ の内分点に対応し、$t < 0$ や $t > 1$ は外分点に対応します。
| $t$ の範囲 | $\text{P}$ の位置 | 図形 |
|---|---|---|
| $t$ は全実数 | 直線 $\text{AB}$ 全体 | 直線 |
| $0 \le t \le 1$ | $\text{A}$ と $\text{B}$ の間 | 線分 $\text{AB}$ |
| $t \ge 0$ | $\text{A}$ から $\text{B}$ 方向へ | 半直線($\text{A}$ を端点) |
$\vec{p} = s\vec{a} + t\vec{b}$ で $s + t = 1$(つまり $s = 1 - t$)のとき、$\text{P}$ は直線 $\text{AB}$ 上にあります。この「係数の和 $= 1$」という条件がベクトルにおける直線の本質です。
3点 $\text{A}$, $\text{B}$, $\text{C}$ に対して $\vec{p} = s\vec{a} + t\vec{b} + u\vec{c}$($s + t + u = 1$)なら $\text{P}$ は平面 $\text{ABC}$ 上にあります。「係数の和 $= 1$」が次元を決める一般原理なのです。
✗ 誤:「線分 $\text{AB}$ 上の点」を求めるのに $t$ の範囲を指定しない
○ 正:線分なら $0 \le t \le 1$、半直線なら $t \ge 0$、直線なら $t$ は任意
ベクトル方程式で図形を表すとき、パラメータの範囲が図形の形を決めます。入試では「線分」「直線」の区別を問う出題が頻出です。
直線を表すもう一つの方法は、直線に垂直なベクトル(法線ベクトル)を使う方法です。これは座標幾何での $ax + by + c = 0$ に直結する重要な表現です。
点 $\text{A}(\vec{a})$ を通り、法線ベクトル $\vec{n}$($\vec{n} \neq \vec{0}$)に垂直な直線:
$$\vec{n} \cdot (\vec{p} - \vec{a}) = 0$$
※ $\vec{p} - \vec{a} = \overrightarrow{\text{AP}}$ であり、「$\overrightarrow{\text{AP}}$ が $\vec{n}$ と垂直」という条件を内積で表したものです。
点 $\text{A}$ を通りベクトル $\vec{n}$ に垂直な直線を考えます。直線上の任意の点 $\text{P}$ について、$\overrightarrow{\text{AP}}$ は $\vec{n}$ と垂直です。
2つのベクトルが垂直 $\Leftrightarrow$ 内積が $0$ なので:
$$\vec{n} \cdot \overrightarrow{\text{AP}} = 0 \quad \Leftrightarrow \quad \vec{n} \cdot (\vec{p} - \vec{a}) = 0$$
$\vec{n} = (a, b)$, $\vec{p} = (x, y)$, $\vec{a} = (x_0, y_0)$ とすれば:
$$a(x - x_0) + b(y - y_0) = 0$$
展開すると $ax + by = ax_0 + by_0$ となり、$c = -(ax_0 + by_0)$ とおけば $ax + by + c = 0$ です。
座標幾何で学んだ直線の方程式 $ax + by + c = 0$ の $x, y$ の係数 $(a, b)$ は、まさにその直線の法線ベクトルです。これは「ベクトル方程式 $\vec{n} \cdot (\vec{p} - \vec{a}) = 0$ を成分で書き下した」という関係から明らかです。
例えば $2x + 3y - 6 = 0$ の法線ベクトルは $(2, 3)$、方向ベクトルは法線と垂直な $(3, -2)$ や $(-3, 2)$ です。
平面上の直線において、方向ベクトル $\vec{d} = (d_1, d_2)$ と法線ベクトル $\vec{n}$ は直交します。$\vec{d}$ の成分を入れ替えて片方の符号を変えれば $\vec{n}$ が得られます:
$$\vec{d} = (d_1, d_2) \quad \Rightarrow \quad \vec{n} = (d_2, -d_1) \text{ または } (-d_2, d_1)$$
✗ 誤:直線 $3x - 2y + 1 = 0$ の方向ベクトルは $(3, -2)$
○ 正:$(3, -2)$ は法線ベクトル。方向ベクトルは $(2, 3)$
$ax + by + c = 0$ の $(a, b)$ は法線ベクトル(直線に垂直)です。方向ベクトル(直線に平行)が欲しければ、$(b, -a)$ にしましょう。
ベクトル方程式と座標幾何の方程式は、同じ直線を異なる「言語」で記述したものです。両者の対応を整理しましょう。
| 表現 | ベクトル方程式 | 座標の方程式 |
|---|---|---|
| 方向ベクトル形 | $\vec{p} = \vec{a} + t\vec{d}$ | $\dfrac{x - x_0}{d_1} = \dfrac{y - y_0}{d_2}$ |
| 2点形 | $\vec{p} = (1-t)\vec{a} + t\vec{b}$ | $\dfrac{x - x_1}{x_2 - x_1} = \dfrac{y - y_1}{y_2 - y_1}$ |
| 法線ベクトル形 | $\vec{n} \cdot (\vec{p} - \vec{a}) = 0$ | $ax + by + c = 0$ |
ベクトル方程式の利点は、座標系に依存しない座標フリーな記述ができることです。座標を設定しなくても幾何学的な議論ができるため、証明問題で特に威力を発揮します。
点 $\text{A}(1, 2)$ を通り方向ベクトル $\vec{d} = (3, -1)$ の直線を考えます。
ベクトル方程式:$\vec{p} = (1, 2) + t(3, -1)$ すなわち $(x, y) = (1 + 3t,\; 2 - t)$
$t$ を消去すると:$t = \dfrac{x - 1}{3} = \dfrac{y - 2}{-1}$ より $-(x - 1) = 3(y - 2)$、整理して $x + 3y - 7 = 0$
法線ベクトルは $(1, 3)$ であり、確かに方向ベクトル $(3, -1)$ と直交します($1 \cdot 3 + 3 \cdot (-1) = 0$)。
3次元空間では直線を $ax + by + c = 0$ のような1本の方程式では表せません(1本の方程式は平面を表す)。しかし、ベクトル方程式 $\vec{p} = \vec{a} + t\vec{d}$ は2次元でも3次元でも同じ形で直線を表せます。これがベクトル方程式の大きな強みであり、空間ベクトルの学習で本格的に活きてきます。
2直線 $\vec{p} = \vec{a}_1 + s\vec{d}_1$ と $\vec{p} = \vec{a}_2 + t\vec{d}_2$ の交点は、連立方程式 $\vec{a}_1 + s\vec{d}_1 = \vec{a}_2 + t\vec{d}_2$ を $s, t$ について解くことで求まります。
成分に分けて書くと2元連立1次方程式になり、$\vec{d}_1$ と $\vec{d}_2$ が平行でない限り(つまり1次独立であれば)、ただ1つの解が得られます。
✗ 誤:$\vec{a}_1 + t\vec{d}_1 = \vec{a}_2 + t\vec{d}_2$ と同じ $t$ を使う
○ 正:$\vec{a}_1 + s\vec{d}_1 = \vec{a}_2 + t\vec{d}_2$ と別のパラメータ $s, t$ を使う
同じ $t$ を使うと「2直線上で同じパラメータ値の点」しか比較できず、交点が見つからないことがあります。
法線ベクトル形を使うと、点と直線の距離を簡潔に表せます。点 $\text{C}(\vec{c})$ から直線 $\vec{n} \cdot (\vec{p} - \vec{a}) = 0$ への距離は:
$$d = \frac{|\vec{n} \cdot (\vec{c} - \vec{a})|}{|\vec{n}|}$$
点 $\text{C}$ から直線に下ろした垂線の足を $\text{H}$ とします。$\overrightarrow{\text{AH}}$ は直線上のベクトルなので $\vec{n} \cdot \overrightarrow{\text{AH}} = 0$ です。
$\overrightarrow{\text{AC}} = \overrightarrow{\text{AH}} + \overrightarrow{\text{HC}}$ と分解すると、$\overrightarrow{\text{HC}}$ は $\vec{n}$ 方向のベクトルです。
$$\vec{n} \cdot \overrightarrow{\text{AC}} = \vec{n} \cdot \overrightarrow{\text{AH}} + \vec{n} \cdot \overrightarrow{\text{HC}} = 0 + |\vec{n}| \cdot |\overrightarrow{\text{HC}}| \cos 0^\circ = |\vec{n}| \cdot d$$
($\overrightarrow{\text{HC}}$ が $\vec{n}$ と逆向きの場合は $\cos 180° = -1$ なので絶対値を取り)
$$d = \frac{|\vec{n} \cdot (\vec{c} - \vec{a})|}{|\vec{n}|}$$
成分表示 $\vec{n} = (a, b)$, $\vec{c} = (x_0, y_0)$ で展開すれば、座標幾何で学んだ $d = \dfrac{|ax_0 + by_0 + c|}{\sqrt{a^2 + b^2}}$ に一致します。
点と直線の距離公式 $d = \dfrac{|\vec{n} \cdot (\vec{c} - \vec{a})|}{|\vec{n}|}$ は、3次元空間における「点と平面の距離」にもそのまま拡張できます。法線ベクトルが平面の法線になるだけで、公式の形は全く同じです。ベクトルによる記述は次元を超えた普遍性を持つのです。
✗ 誤:$d = \dfrac{\vec{n} \cdot (\vec{c} - \vec{a})}{|\vec{n}|}$(絶対値なし)
○ 正:$d = \dfrac{|\vec{n} \cdot (\vec{c} - \vec{a})|}{|\vec{n}|}$(分子に絶対値が必要)
距離は必ず $0$ 以上の値です。内積は符号を持つため、分子には絶対値が必要です。
Q1. 点 $(2, 1)$ を通り方向ベクトル $(1, 3)$ の直線のベクトル方程式は?
Q2. 直線 $5x - 2y + 3 = 0$ の法線ベクトルと方向ベクトルをそれぞれ一つ挙げよ。
Q3. $\vec{p} = (1-t)\vec{a} + t\vec{b}$ で $0 \le t \le 1$ のとき、$\text{P}$ はどのような図形上にあるか?
Q4. 2直線の交点を求めるとき、パラメータについて注意すべきことは?
Q5. 点 $\text{C}(\vec{c})$ から直線 $\vec{n} \cdot (\vec{p} - \vec{a}) = 0$ への距離の公式は?
2点 $\text{A}(1, 3)$, $\text{B}(4, -1)$ を通る直線のベクトル方程式を求め、座標形式 $ax + by + c = 0$ に変換せよ。
方向ベクトル $\vec{d} = \overrightarrow{\text{AB}} = (3, -4)$
ベクトル方程式:$\vec{p} = (1, 3) + t(3, -4)$ すなわち $(x, y) = (1 + 3t,\; 3 - 4t)$
$t$ を消去:$t = \dfrac{x-1}{3} = \dfrac{y-3}{-4}$ より $-4(x-1) = 3(y-3)$
$-4x + 4 = 3y - 9$ より $4x + 3y - 13 = 0$
$\triangle\text{ABC}$ において $\text{A}(\vec{a})$, $\text{B}(\vec{b})$, $\text{C}(\vec{c})$ とする。辺 $\text{BC}$ の中点を $\text{M}$、辺 $\text{AC}$ を $1 : 2$ に内分する点を $\text{D}$ とする。
(1) 直線 $\text{AM}$ と直線 $\text{BD}$ のベクトル方程式を書け。
(2) 直線 $\text{AM}$ と直線 $\text{BD}$ の交点 $\text{P}$ の位置ベクトルを求めよ。
(1) $\vec{m} = \dfrac{\vec{b} + \vec{c}}{2}$、$\vec{d} = \dfrac{2\vec{a} + \vec{c}}{3}$
直線 $\text{AM}$:$\vec{p} = (1-s)\vec{a} + s\vec{m} = (1-s)\vec{a} + s \cdot \dfrac{\vec{b} + \vec{c}}{2}$
$= (1-s)\vec{a} + \dfrac{s}{2}\vec{b} + \dfrac{s}{2}\vec{c}$
直線 $\text{BD}$:$\vec{p} = (1-t)\vec{b} + t\vec{d} = (1-t)\vec{b} + t \cdot \dfrac{2\vec{a} + \vec{c}}{3}$
$= \dfrac{2t}{3}\vec{a} + (1-t)\vec{b} + \dfrac{t}{3}\vec{c}$
(2) $\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ の係数をそれぞれ比較します:
$\vec{a}$:$1 - s = \dfrac{2t}{3}$ … (i)
$\vec{b}$:$\dfrac{s}{2} = 1 - t$ … (ii)
$\vec{c}$:$\dfrac{s}{2} = \dfrac{t}{3}$ … (iii)
(iii) より $s = \dfrac{2t}{3}$。(ii) に代入:$\dfrac{t}{3} = 1 - t$ より $t = \dfrac{3}{4}$
$s = \dfrac{2}{3} \cdot \dfrac{3}{4} = \dfrac{1}{2}$
$$\vec{p} = \frac{1}{2}\vec{a} + \frac{1}{4}\vec{b} + \frac{1}{4}\vec{c}$$
3点 $\text{A}(1, 1)$, $\text{B}(5, 3)$, $\text{C}(2, 4)$ について、
(1) 直線 $\text{AB}$ のベクトル方程式を法線ベクトル形で表せ。
(2) 点 $\text{C}$ から直線 $\text{AB}$ への距離を求めよ。
(1) $\overrightarrow{\text{AB}} = (4, 2)$ が方向ベクトル。法線ベクトルは $(2, -4)$(または簡略化して $(1, -2)$)。
法線ベクトル形:$(1, -2) \cdot ((x, y) - (1, 1)) = 0$
$1 \cdot (x - 1) + (-2)(y - 1) = 0$ より $x - 2y + 1 = 0$
(2) $\vec{n} = (1, -2)$, $\vec{c} - \vec{a} = (2 - 1, 4 - 1) = (1, 3)$
$$d = \frac{|\vec{n} \cdot (\vec{c} - \vec{a})|}{|\vec{n}|} = \frac{|1 \cdot 1 + (-2) \cdot 3|}{\sqrt{1^2 + (-2)^2}} = \frac{|-5|}{\sqrt{5}} = \frac{5}{\sqrt{5}} = \sqrt{5}$$
$\triangle\text{ABC}$ において $\text{A}(\vec{a})$, $\text{B}(\vec{b})$, $\text{C}(\vec{c})$ とする。平面上の点 $\text{P}(\vec{p})$ が $\vec{p} = s\vec{a} + t\vec{b} + u\vec{c}$($s + t + u = 1$)と表されるとき、
(1) $\text{P}$ が直線 $\text{BC}$ 上にある条件を $s, t, u$ で表せ。
(2) $\text{P}$ が $\triangle\text{ABC}$ の内部にある条件を $s, t, u$ で表せ。
(3) $\text{P}$ が $\triangle\text{ABC}$ の内部にあるとき、$\triangle\text{PBC} : \triangle\text{PCA} : \triangle\text{PAB} = s : t : u$ が成り立つことを示せ。
(1) $\text{P}$ が直線 $\text{BC}$ 上 $\Leftrightarrow$ $\vec{p} = (1-t')\vec{b} + t'\vec{c}$($\vec{a}$ の項なし)
$s + t + u = 1$ の下で $\vec{a}$ の係数が $0$ であればよいので:$s = 0$
すなわち $\text{P}$ が直線 $\text{BC}$ 上にある条件は $s = 0$($t + u = 1$)です。
(2) $\text{P}$ が $\triangle\text{ABC}$ の内部にある条件は:
$$s > 0, \quad t > 0, \quad u > 0 \quad (s + t + u = 1)$$
いずれかが $0$ なら対応する辺上、いずれかが負なら三角形の外部にあります。
(3) $\text{P}$ が内部にあるとき、$\triangle\text{PBC}$, $\triangle\text{PCA}$, $\triangle\text{PAB}$ の面積の和は $\triangle\text{ABC}$ に等しいです。
$\text{P} = s\text{A} + t\text{B} + u\text{C}$ のとき、$\text{A}$ を基準に考えます。
$\overrightarrow{\text{AP}} = t\overrightarrow{\text{AB}} + u\overrightarrow{\text{AC}}$($\because s = 1 - t - u$)
$\triangle\text{PAB}$ は $\text{A}$, $\text{P}$, $\text{B}$ を頂点とし、$\overrightarrow{\text{AP}} = t\overrightarrow{\text{AB}} + u\overrightarrow{\text{AC}}$ と $\overrightarrow{\text{AB}}$ で張られます。
面積比は $\dfrac{\triangle\text{PAB}}{\triangle\text{ABC}} = u$($\overrightarrow{\text{AC}}$ 方向の成分 $u$ が寄与)
同様に $\dfrac{\triangle\text{PBC}}{\triangle\text{ABC}} = s$、$\dfrac{\triangle\text{PCA}}{\triangle\text{ABC}} = t$
よって $\triangle\text{PBC} : \triangle\text{PCA} : \triangle\text{PAB} = s : t : u$ □
この結果は $s, t, u$ が $\text{P}$ の重心座標(面積座標)であることを示しています。重心座標は点の位置を三角形の面積比で表す座標系であり、三角形に関する問題で極めて有用です。重心 $\text{G}$ では $s = t = u = \frac{1}{3}$ であり、名前の由来がわかります。