これまでベクトルは「移動の指示」として学んできました。しかし、ベクトルには「点の位置を表す」というもう一つの重要な使い方があります。基準点(原点)からのベクトルで点を表す ── この発想が位置ベクトルです。位置ベクトルを使えば、内分点・外分点・重心の位置を統一的な公式で求められるようになります。
ベクトル $\vec{a}$ は「移動の指示」なので、始点がどこでも同じベクトルです。しかし図形問題では、「点がどこにあるか」を表したいことがよくあります。そこで、基準点を1つ固定して、そこからのベクトルで点の位置を表す方法が必要になります。
基準点 $O$ を固定したとき、点 $P$ の位置ベクトルとは $\overrightarrow{OP}$ のことです。
点 $A$ の位置ベクトルを $\vec{a} = \overrightarrow{OA}$、点 $B$ の位置ベクトルを $\vec{b} = \overrightarrow{OB}$ と書きます。
※ 基準点 $O$ は問題に応じて自由に選べます。座標平面なら原点が自然な選択です。
位置ベクトルの本質は、点の位置をベクトルの言葉で表すことにあります。基準点 $O$ を決めれば、点とベクトルが1対1に対応します。
これにより、点の位置に関する幾何学的問題を、ベクトルの演算(加法・スカラー倍)で解けるようになります。座標が使えない一般の場合でも、位置ベクトルなら扱えます。
点 $A$、$B$ の位置ベクトルをそれぞれ $\vec{a}$、$\vec{b}$ とすると、$A$ から $B$ へのベクトルは:
$$\overrightarrow{AB} = \overrightarrow{OB} - \overrightarrow{OA} = \vec{b} - \vec{a}$$
これは最初の記事で学んだ「差のベクトル」の公式です。位置ベクトルの差が2点間のベクトルになるのです。
✗ 誤:$\overrightarrow{AB} = \vec{a} - \vec{b}$($A$ が先だから $\vec{a}$ が先?)
○ 正:$\overrightarrow{AB} = \vec{b} - \vec{a}$(終点 $B$ の位置ベクトル $-$ 始点 $A$ の位置ベクトル)
「$\overrightarrow{AB}$ = 終点 $-$ 始点」です。成分表示で $(b_1 - a_1, b_2 - a_2)$ となるのと同じ原理です。
✗ 誤:点 $P$ の位置ベクトルは一つに決まる
○ 正:基準点の選び方により位置ベクトルは変わる
位置ベクトルは基準点 $O$ に依存します。基準点を $O'$ に変えると、点 $P$ の位置ベクトルは $\overrightarrow{O'P}$ に変わります。問題を解くときは、まず基準点を明確にすることが重要です。
大学数学では「点の集合」と「ベクトル空間」を区別し、前者を「アフィン空間」と呼びます。点どうしの引き算($B - A$)がベクトル $\overrightarrow{AB}$ を与え、点にベクトルを足す($A + \vec{v}$)と別の点が得られます。位置ベクトルは、基準点を固定してアフィン空間をベクトル空間と同一視する操作に対応しています。
線分 $AB$ を $m:n$ に内分する点 $P$ の位置ベクトルを求めましょう。$A$、$B$ の位置ベクトルをそれぞれ $\vec{a}$、$\vec{b}$ とします。
$P$ は $AB$ 上にあり $AP:PB = m:n$ なので:
$$\overrightarrow{AP} = \frac{m}{m+n}\overrightarrow{AB} = \frac{m}{m+n}(\vec{b} - \vec{a})$$
$P$ の位置ベクトル $\vec{p}$ は:
$$\vec{p} = \vec{a} + \overrightarrow{AP} = \vec{a} + \frac{m}{m+n}(\vec{b} - \vec{a})$$
線分 $AB$ を $m:n$ に内分する点 $P$ の位置ベクトル:
$$\vec{p} = \frac{n\vec{a} + m\vec{b}}{m + n}$$
特に中点($m = n = 1$)の場合:
$$\vec{p} = \frac{\vec{a} + \vec{b}}{2}$$
※ 分子で $\vec{a}$ にかかる係数は $n$($B$ 側の比)、$\vec{b}$ にかかる係数は $m$($A$ 側の比)です。「遠い方の比がかかる」と覚えましょう。
$\vec{p} = \dfrac{n\vec{a} + m\vec{b}}{m+n}$ は、$\vec{a}$ に重み $n$、$\vec{b}$ に重み $m$ を付けた加重平均です。
$P$ が $B$ に近いほど $\vec{b}$ の重みが大きくなります($m$ が大きい=$P$ が $B$ 寄り=$\vec{b}$ の影響が大きい)。この「重み付き平均」の考え方は、物理の重心や統計の期待値と本質的に同じ構造です。
✗ 誤:$m:n$ に内分するから $\vec{p} = \dfrac{m\vec{a} + n\vec{b}}{m+n}$
○ 正:$\vec{p} = \dfrac{n\vec{a} + m\vec{b}}{m+n}$(係数が交差する)
$P$ が $A$ 寄り($m$ が小さい)なら $\vec{a}$ の影響が大きいはず。$m = 1, n = 9$ とすると $P$ は $A$ に近く、$\vec{p} = \dfrac{9\vec{a} + 1\vec{b}}{10} \approx \vec{a}$。確かに $\vec{a}$ の係数が大きくなっています。
$\vec{p} = \vec{a} + \dfrac{m}{m+n}(\vec{b} - \vec{a}) = \vec{a} - \dfrac{m}{m+n}\vec{a} + \dfrac{m}{m+n}\vec{b}$
$= \dfrac{m+n}{m+n}\vec{a} - \dfrac{m}{m+n}\vec{a} + \dfrac{m}{m+n}\vec{b} = \dfrac{n}{m+n}\vec{a} + \dfrac{m}{m+n}\vec{b}$
$= \dfrac{n\vec{a} + m\vec{b}}{m+n}$
線分 $AB$ を $m:n$ に外分する点 $Q$ は、$AB$ の延長線上で $AQ:QB = m:n$ を満たす点です。外分点の位置ベクトルは、内分公式の $n$ を $-n$ に置き換えることで得られます。
線分 $AB$ を $m:n$($m \neq n$)に外分する点 $Q$ の位置ベクトル:
$$\vec{q} = \frac{-n\vec{a} + m\vec{b}}{m - n}$$
※ 内分公式の $n$ を $-n$ に置き換えたものです。$m = n$ のとき外分点は存在しません(平行線の場合に対応)。
✗ 誤:$AB$ を $2:1$ に外分する点は $A$ と $B$ の間にある
○ 正:外分点は線分 $AB$ の外側にある
$2:1$ に外分する点 $Q$ は $B$ の外側にあり、$AQ:QB = 2:1$ を満たします。$\vec{q} = \dfrac{-1 \cdot \vec{a} + 2\vec{b}}{2-1} = -\vec{a} + 2\vec{b}$ です。$Q$ は $B$ を越えた先にあることを図で確認しましょう。
実は、内分と外分は同じ公式で統一できます。直線 $AB$ 上の点 $P$ を $\vec{p} = (1-t)\vec{a} + t\vec{b}$ とパラメータ $t$ で表すと:
$m:n$ の内分では $t = \dfrac{m}{m+n}$、$m:n$ の外分では $t = \dfrac{m}{m-n}$ となります。
$\vec{p} = (1-t)\vec{a} + t\vec{b}$ は直線 $AB$ のパラメータ表示です。$t$ が実数全体を動くとき、$\vec{p}$ は直線 $AB$ 上のすべての点を表します。$t$ を $[0, 1]$ に制限すると線分 $AB$ になります。この表現は、コンピュータグラフィックスで直線を描画する際の基本です。
三角形 $ABC$ の重心 $G$ は、3つの中線(頂点と対辺の中点を結ぶ線分)の交点です。重心の位置ベクトルは驚くほど簡単な形になります。
$$\vec{g} = \frac{\vec{a} + \vec{b} + \vec{c}}{3}$$
※ 3つの頂点の位置ベクトルの単純な平均です。
辺 $BC$ の中点を $M$ とすると、$\vec{m} = \dfrac{\vec{b}+\vec{c}}{2}$ です。
重心 $G$ は中線 $AM$ を $2:1$ に内分する点(頂点側から $2/3$ の位置)なので:
$$\vec{g} = \frac{1 \cdot \vec{a} + 2 \cdot \vec{m}}{2+1} = \frac{\vec{a} + 2 \cdot \frac{\vec{b}+\vec{c}}{2}}{3} = \frac{\vec{a} + \vec{b} + \vec{c}}{3}$$
他の2つの中線についても同様に計算でき、すべて同じ点を与えます。これが「3つの中線は1点で交わる」ことの証明にもなっています。
重心の公式 $\vec{g} = \dfrac{\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}}{3}$ は、3点に等しい重み $\dfrac{1}{3}$ を付けた加重平均です。
これは物理の「質量の重心」と完全に対応しています。3つの頂点に同じ質量を置いたとき、釣り合いの中心が重心です。もし質量が異なれば、加重平均の重みが変わり、重い方に寄った位置になります。
重心 $G$ について、次の重要な性質が成り立ちます。
$$\overrightarrow{GA} + \overrightarrow{GB} + \overrightarrow{GC} = \vec{0}$$
これは $(\vec{a}-\vec{g}) + (\vec{b}-\vec{g}) + (\vec{c}-\vec{g}) = (\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}) - 3\vec{g} = 3\vec{g} - 3\vec{g} = \vec{0}$ から直ちに導けます。
「重心から3頂点へのベクトルの和が零ベクトル」── これは重心を特徴づける等式であり、重心の定義と同値です。
✗ 誤:重心は中線の中点($1:1$ に内分)にある
○ 正:重心は中線を頂点側から $2:1$ に内分する
$2:1$ の比は頂点 $A$ から対辺の中点 $M$ に向かって $\dfrac{2}{3}$ の位置です。重心は中線の「中点」ではなく、中点よりも対辺寄りにあります。
三角形の内部の任意の点 $P$ を $\vec{p} = \alpha\vec{a} + \beta\vec{b} + \gamma\vec{c}$($\alpha + \beta + \gamma = 1$、$\alpha, \beta, \gamma \ge 0$)と表す方法を「重心座標」と呼びます。$(\alpha, \beta, \gamma) = \left(\dfrac{1}{3}, \dfrac{1}{3}, \dfrac{1}{3}\right)$ が重心、$(1, 0, 0)$ が頂点 $A$ に対応します。重心座標は有限要素法やCGにおける三角形メッシュの基礎です。
位置ベクトルを使った図形問題の解法パターンを整理しましょう。
図形問題をベクトルで解く際の標準的な手順は次の通りです。
$\vec{b}$ と $\vec{c}$ が平行でないとき、$s\vec{b} + t\vec{c} = s'\vec{b} + t'\vec{c}$ ならば $s = s'$ かつ $t = t'$ です。
この「係数比較」がベクトルを使った図形問題の核心です。平面上の点をすべて $\vec{b}$ と $\vec{c}$ の1次結合で表し、条件式を立てて係数を比較すれば、連立方程式が得られます。
2直線の交点を求めるには、各直線上の点をパラメータで表し、一致する条件を求めます。
たとえば、三角形 $ABC$ の中線 $AM$($M$ は $BC$ の中点)と中線 $BN$($N$ は $AC$ の中点)の交点 $G$ を求めてみましょう。
$A$ を基準に $\overrightarrow{AB} = \vec{b}$、$\overrightarrow{AC} = \vec{c}$ とします。
直線 $AM$ 上:$\overrightarrow{AG} = s \cdot \overrightarrow{AM} = s \cdot \dfrac{\vec{b}+\vec{c}}{2} = \dfrac{s}{2}\vec{b} + \dfrac{s}{2}\vec{c}$
直線 $BN$ 上:$\overrightarrow{AG} = \overrightarrow{AB} + t \cdot \overrightarrow{BN} = \vec{b} + t\left(\dfrac{\vec{c}}{2} - \vec{b}\right) = (1-t)\vec{b} + \dfrac{t}{2}\vec{c}$
係数比較:$\dfrac{s}{2} = 1-t$ かつ $\dfrac{s}{2} = \dfrac{t}{2}$
第2式より $s = t$。第1式に代入して $\dfrac{s}{2} = 1-s$ より $s = \dfrac{2}{3}$。
$\overrightarrow{AG} = \dfrac{1}{3}\vec{b} + \dfrac{1}{3}\vec{c} = \dfrac{\vec{b}+\vec{c}}{3}$
$G$ の位置ベクトルは $\vec{a} + \dfrac{\vec{b}+\vec{c}}{3} = \dfrac{3\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}}{3}$... いや、$A$ が基準なので $\vec{a} = \vec{0}$ として $\vec{g} = \dfrac{\vec{b}+\vec{c}}{3}$。一般の基準点なら $\vec{g} = \dfrac{\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}}{3}$ となり、重心の公式が再導出されました。
✗ 誤:直線 $AB$ 上の点は常に $\overrightarrow{AP} = t\overrightarrow{AB}$($0 \le t \le 1$)
○ 正:$0 \le t \le 1$ は線分 $AB$ 上。直線 $AB$ 全体なら $t$ は任意の実数
「直線上の交点」を求めるときは $t$ の範囲を制限しませんが、「線分上の交点」を求めるときは $0 \le t \le 1$ を確認する必要があります。
メネラウスの定理やチェバの定理は、位置ベクトルの係数比較を使って統一的に証明できます。これらの定理が述べている「比の積 $= \pm 1$」という条件は、ベクトルの1次独立性から自然に導出されます。ベクトルは初等幾何の定理を再発見する強力なツールなのです。
Q1. 点 $A$、$B$ の位置ベクトルが $\vec{a}$、$\vec{b}$ のとき、線分 $AB$ の中点の位置ベクトルは?
Q2. $\vec{a}$、$\vec{b}$ を用いて、$AB$ を $3:2$ に内分する点の位置ベクトルを表せ。
Q3. 三角形の重心 $G$ で成り立つ等式 $\overrightarrow{GA} + \overrightarrow{GB} + \overrightarrow{GC}$ の値は?
Q4. $AB$ を $3:1$ に外分する点の位置ベクトルを $\vec{a}$、$\vec{b}$ で表せ。
Q5. 直線 $AB$ 上の点 $P$ を $\overrightarrow{AP} = t\overrightarrow{AB}$ で表すとき、$P$ が線分 $AB$ 上にある条件は?
三角形 $ABC$ で $A(2, 1)$、$B(8, 3)$、$C(4, 9)$ とする。
(1) 辺 $BC$ を $1:2$ に内分する点 $D$ の座標を求めよ。
(2) 三角形 $ABC$ の重心 $G$ の座標を求めよ。
(1) $\vec{d} = \dfrac{2\vec{b} + 1\vec{c}}{1+2} = \dfrac{2(8,3) + 1(4,9)}{3} = \dfrac{(20, 15)}{3} = \left(\dfrac{20}{3}, 5\right)$
(2) $\vec{g} = \dfrac{\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}}{3} = \dfrac{(2,1)+(8,3)+(4,9)}{3} = \dfrac{(14, 13)}{3} = \left(\dfrac{14}{3}, \dfrac{13}{3}\right)$
三角形 $OAB$ で $\overrightarrow{OA} = \vec{a}$、$\overrightarrow{OB} = \vec{b}$ とする。辺 $OA$ の中点を $M$、辺 $AB$ を $2:1$ に内分する点を $N$ とする。線分 $BM$ と線分 $ON$ の交点を $P$ とするとき、$\overrightarrow{OP}$ を $\vec{a}$、$\vec{b}$ で表せ。
$\overrightarrow{OM} = \dfrac{1}{2}\vec{a}$、$\overrightarrow{ON} = \dfrac{1 \cdot \vec{a} + 2\vec{b}}{3} = \dfrac{\vec{a} + 2\vec{b}}{3}$
直線 $BM$ 上:$\overrightarrow{OP} = (1-s)\vec{b} + s \cdot \dfrac{1}{2}\vec{a} = \dfrac{s}{2}\vec{a} + (1-s)\vec{b}$
直線 $ON$ 上:$\overrightarrow{OP} = t \cdot \dfrac{\vec{a}+2\vec{b}}{3} = \dfrac{t}{3}\vec{a} + \dfrac{2t}{3}\vec{b}$
係数比較:$\dfrac{s}{2} = \dfrac{t}{3}$ かつ $1-s = \dfrac{2t}{3}$
第1式より $t = \dfrac{3s}{2}$。第2式に代入:$1 - s = \dfrac{2}{3} \cdot \dfrac{3s}{2} = s$
$1 = 2s$ より $s = \dfrac{1}{2}$、$t = \dfrac{3}{4}$
$$\overrightarrow{OP} = \frac{1}{4}\vec{a} + \frac{1}{2}\vec{b}$$
三角形 $ABC$ の重心を $G$ とする。$\overrightarrow{AB} = \vec{b}$、$\overrightarrow{AC} = \vec{c}$ とするとき、
(1) $\overrightarrow{AG}$ を $\vec{b}$、$\vec{c}$ で表せ。
(2) 三角形 $ABG$ の面積は三角形 $ABC$ の面積の何倍か。
(1) $G$ は $A$ を基準にして $\vec{g} = \dfrac{\vec{0} + \vec{b} + \vec{c}}{3}$ なので:
$$\overrightarrow{AG} = \frac{\vec{b} + \vec{c}}{3}$$
(2) $BC$ の中点を $M$ とすると $\overrightarrow{AM} = \dfrac{\vec{b}+\vec{c}}{2}$
$G$ は $AM$ を $2:1$ に内分するので $AG:GM = 2:1$、すなわち $AG = \dfrac{2}{3}AM$
三角形 $ABG$ と三角形 $ABM$ は底辺 $AB$ が共通で、高さの比は $AG:AM = \dfrac{2}{3}$ ではない...
正しくは:三角形 $ABG$ と三角形 $ABC$ の面積比を考えます。
$G$ は中線 $AM$ 上で $AG = \dfrac{2}{3}AM$ の位置。三角形 $ABG$ と三角形 $ABM$ は底辺 $AB$ が共通で、$M$ からの高さが同じ方向なので面積比は $AG:AM = 2:3$...
別アプローチ:$\triangle ABC$ は中線 $AM$ で $\triangle ABM$ と $\triangle ACM$ に等分($BM = MC$ より面積等分)。
$\triangle ABM$ は $G$ で $\triangle ABG$ と $\triangle BGM$ に分かれ、$AG:GM = 2:1$ で底辺 $BG$ が共通... ではなく $A$、$G$、$M$ が同一直線上なので $AB$ を底辺と見て高さが共通。面積比は $AG:AM = 2:3$。
$S(\triangle ABG) = \dfrac{2}{3} S(\triangle ABM) = \dfrac{2}{3} \cdot \dfrac{1}{2} S(\triangle ABC) = \dfrac{1}{3} S(\triangle ABC)$
よって $\dfrac{1}{3}$ 倍。
重心は三角形を6つの小三角形に等分します。3本の中線によって分割される6つの三角形の面積はすべて等しく、元の面積の $\dfrac{1}{6}$ です。$\triangle ABG$ は隣接する2つの小三角形からなるので、面積は $\dfrac{2}{6} = \dfrac{1}{3}$ です。この性質は覚えておくと便利です。
三角形 $ABC$ の辺 $BC$、$CA$、$AB$ をそれぞれ $1:2$ に内分する点を $D$、$E$、$F$ とする。三角形 $DEF$ の重心と三角形 $ABC$ の重心が一致することを証明せよ。
$A$、$B$、$C$ の位置ベクトルをそれぞれ $\vec{a}$、$\vec{b}$、$\vec{c}$ とする。
$D$ は $BC$ を $1:2$ に内分:$\vec{d} = \dfrac{2\vec{b}+1\vec{c}}{3} = \dfrac{2\vec{b}+\vec{c}}{3}$
$E$ は $CA$ を $1:2$ に内分:$\vec{e} = \dfrac{2\vec{c}+1\vec{a}}{3} = \dfrac{\vec{a}+2\vec{c}}{3}$
$F$ は $AB$ を $1:2$ に内分:$\vec{f} = \dfrac{2\vec{a}+1\vec{b}}{3} = \dfrac{2\vec{a}+\vec{b}}{3}$
三角形 $DEF$ の重心:
$$\frac{\vec{d}+\vec{e}+\vec{f}}{3} = \frac{1}{3} \cdot \frac{(2\vec{b}+\vec{c})+(\vec{a}+2\vec{c})+(2\vec{a}+\vec{b})}{3}$$
$$= \frac{3\vec{a}+3\vec{b}+3\vec{c}}{9} = \frac{\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}}{3}$$
これは三角形 $ABC$ の重心と一致する。 $\square$
実は、$1:2$ に限らず任意の比 $t:(1-t)$ で各辺を分けた場合でも、3点の重心は元の三角形の重心と一致します。なぜなら、$\vec{d}+\vec{e}+\vec{f}$ を計算するとき、$\vec{a}$、$\vec{b}$、$\vec{c}$ の係数がそれぞれ $t + (1-t) = 1$ ずつになるからです。この対称性が位置ベクトルの美しさを象徴しています。