第7章 ベクトル

空間ベクトルの1次独立
─ 3つのベクトルで空間を「張る」とはどういうことか

平面上では、平行でない2つのベクトルがあれば任意のベクトルを表現できました。では空間ではどうでしょうか。答えは「適切に選んだ3つのベクトルがあれば十分」です。ここで鍵になるのが「1次独立」という概念です。1次独立の理解は、空間ベクトルの分解の一意性を保証し、係数比較という強力なテクニックの正当性を支えます。

11次独立とは何か ─ 「余分なベクトルがない」こと

まず平面の場合を復習しましょう。2つのベクトル $\vec{a}$, $\vec{b}$ が1次独立であるとは、一方が他方の定数倍でないこと、すなわち平行でないことを意味しました。

空間では3つのベクトルの1次独立性を考えます。直感的には、3つのベクトルが「同一平面上にない」こと、言い換えると「3つのベクトルが空間の3方向を指している」ことを意味します。

💡 1次独立の本質 ── 「どれも他の組み合わせでは作れない」

3つのベクトル $\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ が1次独立であるとは:

$$s\vec{a} + t\vec{b} + u\vec{c} = \vec{0} \implies s = t = u = 0$$

が成り立つことです。「$\vec{0}$ を作れるのは自明な組み合わせ(全係数 $0$)だけ」── これが1次独立の定義です。

逆に、$s\vec{a} + t\vec{b} + u\vec{c} = \vec{0}$ を満たす $(s, t, u) \neq (0, 0, 0)$ が存在するとき、$\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ は1次従属といいます。

1次独立と次元の関係

平面(2次元)では最大2つのベクトルが1次独立になれます。3つ以上のベクトルは必ず1次従属です。空間(3次元)では最大3つのベクトルが1次独立になれます。4つ以上は必ず1次従属です。

この「最大いくつまで1次独立にできるか」が空間の次元を決めています。平面が2次元、空間が3次元なのは、まさに1次独立なベクトルの最大個数が $2$, $3$ だからです。

⚠️ 落とし穴:「平行でない」と「1次独立」の混同

✗ 3つのベクトルが互いに平行でなければ1次独立

○ 互いに平行でなくても同一平面上にあれば1次従属

たとえば $\vec{a} = (1, 0, 0)$, $\vec{b} = (0, 1, 0)$, $\vec{c} = (1, 1, 0)$ はどの2つも平行ではありませんが、$\vec{c} = \vec{a} + \vec{b}$ なので1次従属です。「互いに平行でない」は1次独立の必要条件ですが十分条件ではありません。

2空間における1次独立の条件

3つのベクトル $\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ が1次独立であるための具体的な条件を整理しましょう。

幾何学的条件

$\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ が1次独立 $\iff$ $\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ が同一平面上にない(どれも零ベクトルでなく、3つの矢印が立体的に広がっている)。

代数的条件(成分表示)

$\vec{a} = (a_1, a_2, a_3)$, $\vec{b} = (b_1, b_2, b_3)$, $\vec{c} = (c_1, c_2, c_3)$ のとき:

📐 1次独立の判定条件

3つのベクトルが1次独立 $\iff$ 行列式が $0$ でない:

$$\det\begin{pmatrix} a_1 & b_1 & c_1 \\ a_2 & b_2 & c_2 \\ a_3 & b_3 & c_3 \end{pmatrix} \neq 0$$

※ この行列式は3つのベクトルを辺とする平行六面体の(符号付き)体積に等しい。体積が $0$ でない $\iff$ 3つのベクトルが潰れていない $\iff$ 1次独立。

💡 行列式 $= 0$ の幾何学的意味

行列式が $0$ になるとは、3つのベクトルを辺とする平行六面体の体積が $0$ ということです。体積が $0$ の平行六面体とは「つぶれた」もの、すなわち3つのベクトルが同一平面上にあることを意味します。

「1次独立 ⇔ 行列式 $\neq 0$ ⇔ 体積 $\neq 0$ ⇔ 同一平面上にない」── すべて同じことの言い換えです。

⚠️ 落とし穴:零ベクトルを含む場合

✗ $\vec{a} = \vec{0}$ でも $\vec{b}$, $\vec{c}$ が独立なら3つで1次独立

○ 零ベクトルを含む場合は必ず1次従属($1 \cdot \vec{0} + 0 \cdot \vec{b} + 0 \cdot \vec{c} = \vec{0}$)

1次独立性には零ベクトルが含まれていないことが暗黙の前提です。

🔬 深掘り:基底と座標系

1次独立な3つのベクトルの組を空間の基底といいます。大学の線形代数では、基底を取り替えることで座標系を自由に変えられることを学びます。標準基底 $\vec{e}_1 = (1,0,0)$, $\vec{e}_2 = (0,1,0)$, $\vec{e}_3 = (0,0,1)$ はその最も基本的な例であり、任意の1次独立な3ベクトルも基底になりえます。

3空間ベクトルの分解の一意性 ─ なぜ係数比較が使えるのか

空間ベクトルを扱う問題で、最もよく使うテクニックの一つが係数比較です。しかし、なぜ係数を比較してよいのでしょうか。その根拠こそが「分解の一意性」です。

📐 空間ベクトルの分解の一意性

$\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ が1次独立ならば、任意のベクトル $\vec{p}$ に対して:

$$\vec{p} = s\vec{a} + t\vec{b} + u\vec{c}$$

を満たす実数 $s, t, u$ はただ一組に限る。

※ 存在性:任意のベクトルがこの形に表せる。一意性:その表し方はただ一通り。

▷ 分解の一意性の証明

$\vec{p} = s_1\vec{a} + t_1\vec{b} + u_1\vec{c} = s_2\vec{a} + t_2\vec{b} + u_2\vec{c}$ とすると:

$$(s_1 - s_2)\vec{a} + (t_1 - t_2)\vec{b} + (u_1 - u_2)\vec{c} = \vec{0}$$

$\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ は1次独立なので、$s_1 - s_2 = 0$, $t_1 - t_2 = 0$, $u_1 - u_2 = 0$。

よって $s_1 = s_2$, $t_1 = t_2$, $u_1 = u_2$。分解は一意。 □

💡 係数比較が正当化される理由

「$s\vec{a} + t\vec{b} + u\vec{c} = s'\vec{a} + t'\vec{b} + u'\vec{c}$ ならば $s = s'$, $t = t'$, $u = u'$」── この一意性のおかげで、両辺の $\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ の係数をそれぞれ比較できるのです。

1次独立でない(1次従属な)ベクトルの組では、分解が一意でないため係数比較は使えません。

係数比較の実践

$\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ が1次独立なとき、等式 $x\vec{a} + y\vec{b} + z\vec{c} = 2\vec{a} - 3\vec{b} + \vec{c}$ から直ちに $x = 2$, $y = -3$, $z = 1$ と結論できます。これが「係数比較」です。

⚠️ 落とし穴:1次独立の確認なしに係数比較しない

✗ ベクトル方程式をいきなり係数比較する

○ まず使っているベクトルが1次独立であることを確認する

答案では「$\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ は1次独立なので、係数を比較して…」と明記しましょう。特に、問題で「$\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ は同一平面上にない」と与えられている場合、それが1次独立性の保証です。

4共面条件 ─ 4点が同一平面上にある条件

空間の4点 $A$, $B$, $C$, $D$ が同一平面上にある条件を、1次独立の概念を使って表しましょう。これは入試で非常によく出題される重要テーマです。

📐 4点が同一平面上にある条件(共面条件)

4点 $A$, $B$, $C$, $D$ が同一平面上にある

$\iff$ $\overrightarrow{AD} = s\overrightarrow{AB} + t\overrightarrow{AC}$ を満たす実数 $s$, $t$ が存在する

$\iff$ $\overrightarrow{AB}$, $\overrightarrow{AC}$, $\overrightarrow{AD}$ が1次従属

※ 位置ベクトルで書くと:$\vec{d} = (1-s-t)\vec{a} + s\vec{b} + t\vec{c}$(係数の和が $1$)

共面条件の同値な表現

4点 $A$, $B$, $C$, $D$ の位置ベクトルを $\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$, $\vec{d}$ とするとき、次はすべて同値です:

  1. 4点が同一平面上にある
  2. $\overrightarrow{AB}$, $\overrightarrow{AC}$, $\overrightarrow{AD}$ が1次従属(行列式 $= 0$)
  3. $\vec{d} = \alpha\vec{a} + \beta\vec{b} + \gamma\vec{c}$($\alpha + \beta + \gamma = 1$)となる実数が存在する
💡 係数の和が $1$ になる理由

点 $D$ が平面 $ABC$ 上にあるとき、$\vec{d}$ を $\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ で表す係数の和は必ず $1$ になります。これは「平面上の点は、3頂点の重み付き平均で表される」ということです。

$\vec{d} = \alpha\vec{a} + \beta\vec{b} + \gamma\vec{c}$, $\alpha+\beta+\gamma = 1$ のとき、$(\alpha, \beta, \gamma)$ を点 $D$ の重心座標と呼びます。

⚠️ 落とし穴:係数の和が $1$ の条件を忘れる

✗ $\vec{d} = \alpha\vec{a} + \beta\vec{b} + \gamma\vec{c}$ が成り立てば共面

○ $\alpha + \beta + \gamma = 1$ の条件が必要

始点を固定した場合の $\overrightarrow{AD} = s\overrightarrow{AB} + t\overrightarrow{AC}$ には和の条件は不要ですが、位置ベクトルで $\vec{d} = \alpha\vec{a} + \beta\vec{b} + \gamma\vec{c}$ と書くときは $\alpha+\beta+\gamma = 1$ が共面条件の本質です。

🔬 深掘り:重心座標とアフィン空間

$\alpha + \beta + \gamma = 1$ という条件は、大学数学ではアフィン結合と呼ばれます。ベクトル空間(原点が特別な役割をもつ)とアフィン空間(原点に特別な役割がない)の違いを反映しており、重心座標はアフィン空間における自然な座標系です。コンピュータグラフィックスでは三角形内の点を重心座標で表すことが日常的に行われています。

51次独立の判定法と応用

1次独立かどうかを実際に判定する方法と、典型的な応用場面を整理しましょう。

判定法のまとめ

方法 手順 適する場面
行列式 3つのベクトルを並べた行列式を計算。$\neq 0$ なら1次独立 成分が具体的に与えられた場合
連立方程式 $s\vec{a} + t\vec{b} + u\vec{c} = \vec{0}$ を解く。自明解のみなら1次独立 一般的な証明問題
幾何学的判断 3つのベクトルが同一平面上にないことを確認 図形的な状況把握

応用:内分点・外分点の一意表示

$\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ が1次独立なとき、空間内の任意の点の位置ベクトルは $\vec{p} = x\vec{a} + y\vec{b} + z\vec{c}$ と一意に表せます。特に内分点・外分点を表すとき、この一意性が保証されていることで安心して計算できます。

応用:ベクトル方程式の解の一意性

空間ベクトルの方程式を解くとき、1次独立な3ベクトルへの分解と係数比較を繰り返すことで、未知数の値を確定していきます。平面上の問題で2つのベクトルに対して行っていた係数比較が、空間では3つに拡張されるだけです。

⚠️ 落とし穴:4つ以上のベクトルで係数比較しない

✗ $x\vec{a} + y\vec{b} + z\vec{c} + w\vec{d} = x'\vec{a} + y'\vec{b} + z'\vec{c} + w'\vec{d}$ から $x = x'$, $y = y'$, $z = z'$, $w = w'$ と結論する

○ 空間では4つ以上のベクトルは必ず1次従属なので、分解は一意でない

係数比較が使えるのは、1次独立なベクトルの組(空間では最大3つ)に対してのみです。4つ以上のベクトルを使う場合は、そのうち3つに絞って整理する必要があります。

🔬 深掘り:$n$ 次元空間と一般の1次独立

大学の線形代数では、$n$ 個のベクトル $\vec{v}_1, \ldots, \vec{v}_n$ の1次独立性を扱います。$n$ 次元空間 $\mathbb{R}^n$ では最大 $n$ 個のベクトルが1次独立になれ、$n$ 個の1次独立なベクトルの組が基底になります。ここで学んだ空間($n = 3$)の理論は、そのまま $n$ 次元に一般化できるのです。

まとめ

✅ 確認テスト

Q1. $\vec{a} = (1, 0, 0)$, $\vec{b} = (0, 1, 0)$, $\vec{c} = (1, 1, 0)$ は1次独立か?

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1次従属。$\vec{c} = \vec{a} + \vec{b}$($1 \cdot \vec{a} + 1 \cdot \vec{b} + (-1) \cdot \vec{c} = \vec{0}$)。3つとも $xy$ 平面上にある。

Q2. 3つのベクトルの1次独立性を行列式で判定するとき、行列式がどうなれば1次独立か?

▶ 答えを見る
行列式 $\neq 0$ ならば1次独立。$= 0$ ならば1次従属。

Q3. $\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ が1次独立なとき、$\vec{p} = 2\vec{a} - 3\vec{b} + \vec{c}$ の表し方は一通りか?

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はい。1次独立なベクトルへの分解は一意なので、$(s, t, u) = (2, -3, 1)$ のただ一通りです。

Q4. 4点 $A$, $B$, $C$, $D$ の位置ベクトルで $\vec{d} = \alpha\vec{a} + \beta\vec{b} + \gamma\vec{c}$ と表すとき、共面条件に必要な $\alpha, \beta, \gamma$ の関係は?

▶ 答えを見る
$\alpha + \beta + \gamma = 1$

Q5. 空間で最大何個のベクトルが1次独立になれるか?

▶ 答えを見る
3個。4個以上のベクトルは必ず1次従属です。

入試問題演習

問題 1 LEVEL A 1次独立の判定

次の3組のベクトルについて、1次独立であるかどうか判定せよ。

(1) $\vec{a} = (1, 2, 3)$, $\vec{b} = (4, 5, 6)$, $\vec{c} = (7, 8, 9)$

(2) $\vec{a} = (1, 0, 1)$, $\vec{b} = (0, 1, 1)$, $\vec{c} = (1, 1, 0)$

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解答

(1)

$$\det\begin{pmatrix} 1 & 4 & 7 \\ 2 & 5 & 8 \\ 3 & 6 & 9 \end{pmatrix} = 1(45-48) - 4(18-24) + 7(12-15)$$

$$= -3 + 24 - 21 = 0$$

行列式 $= 0$ なので1次従属。(実際 $\vec{c} = 2\vec{b} - \vec{a}$)

(2)

$$\det\begin{pmatrix} 1 & 0 & 1 \\ 0 & 1 & 1 \\ 1 & 1 & 0 \end{pmatrix} = 1(0-1) - 0 + 1(0-1) = -2 \neq 0$$

行列式 $\neq 0$ なので1次独立

採点ポイント
  • 行列式の正しい計算 (1) … 4点
  • 行列式の正しい計算 (2) … 4点
  • 結論の正しい記述 … 2点
問題 2 LEVEL B 共面条件

4点 $A(1, 0, 0)$, $B(0, 2, 0)$, $C(0, 0, 3)$, $D(a, b, c)$ が同一平面上にあるための $a, b, c$ の条件を求めよ。

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解答

$\overrightarrow{AB} = (-1, 2, 0)$, $\overrightarrow{AC} = (-1, 0, 3)$, $\overrightarrow{AD} = (a-1, b, c)$

4点が共面 $\iff$ $\overrightarrow{AB}$, $\overrightarrow{AC}$, $\overrightarrow{AD}$ が1次従属 $\iff$ 行列式 $= 0$

$$\det\begin{pmatrix} -1 & -1 & a-1 \\ 2 & 0 & b \\ 0 & 3 & c \end{pmatrix} = -1(0-3b) + 1(2c-0) + (a-1)(6-0)$$

$$= 3b + 2c + 6(a-1) = 6a + 3b + 2c - 6 = 0$$

よって $6a + 3b + 2c = 6$、すなわち $\dfrac{a}{1} + \dfrac{b}{2} + \dfrac{c}{3} = 1$。

(これは平面 $ABC$ の切片形と一致する。)

採点ポイント
  • 方向ベクトルの計算 … 2点
  • 行列式の設定と展開 … 4点
  • 共面条件の導出 … 2点
  • 結果の解釈(平面の方程式との対応) … 2点
問題 3 LEVEL B 係数比較

$\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ は同一平面上にない空間ベクトルとする。$\vec{p} = 2\vec{a} + 3\vec{b} - \vec{c}$、$\vec{q} = \vec{a} - \vec{b} + 2\vec{c}$ のとき、$\vec{p} + t\vec{q}$ が $\vec{b}$ と $\vec{c}$ の1次結合($\vec{a}$ の係数が $0$)で表されるような $t$ の値を求めよ。

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解答

$$\vec{p} + t\vec{q} = (2+t)\vec{a} + (3-t)\vec{b} + (-1+2t)\vec{c}$$

$\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ は1次独立なので、分解は一意。$\vec{a}$ の係数が $0$ であるためには:

$$2 + t = 0 \implies t = -2$$

このとき $\vec{p} + t\vec{q} = 5\vec{b} - 5\vec{c} = 5(\vec{b} - \vec{c})$。

採点ポイント
  • $\vec{p} + t\vec{q}$ の $\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ への整理 … 4点
  • 1次独立性を根拠とした係数比較 … 3点
  • $t = -2$ の導出 … 3点
問題 4 LEVEL C 1次独立と共面

四面体 $OABC$ において、辺 $OA$ を $1:2$ に内分する点を $P$、辺 $OB$ を $1:1$ に内分する点を $Q$、辺 $OC$ を $2:1$ に内分する点を $R$ とする。$\overrightarrow{OA} = \vec{a}$, $\overrightarrow{OB} = \vec{b}$, $\overrightarrow{OC} = \vec{c}$ とするとき、

(1) 平面 $PQR$ と辺 $AB$ の交点 $S$ の位置ベクトルを $\vec{a}$, $\vec{b}$ で表せ。

(2) 平面 $PQR$ と辺 $BC$ の交点 $T$ の位置ベクトルを $\vec{b}$, $\vec{c}$ で表せ。

▶ 解答を表示
解答

$\overrightarrow{OP} = \dfrac{1}{3}\vec{a}$, $\overrightarrow{OQ} = \dfrac{1}{2}\vec{b}$, $\overrightarrow{OR} = \dfrac{2}{3}\vec{c}$

平面 $PQR$ 上の点 $X$ は $\overrightarrow{OX} = (1-s-t)\overrightarrow{OP} + s\overrightarrow{OQ} + t\overrightarrow{OR}$、すなわち

$$\overrightarrow{OX} = \frac{1-s-t}{3}\vec{a} + \frac{s}{2}\vec{b} + \frac{2t}{3}\vec{c}$$

(1) $S$ は辺 $AB$ 上にあるので、$\overrightarrow{OS} = (1-\lambda)\vec{a} + \lambda\vec{b}$($0 \le \lambda \le 1$)。

$\vec{c}$ の係数が $0$:$\dfrac{2t}{3} = 0$ より $t = 0$。

$\vec{a}$ の係数:$\dfrac{1-s}{3} = 1-\lambda$

$\vec{b}$ の係数:$\dfrac{s}{2} = \lambda$

$\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ は1次独立なので係数比較が可能。

2式から $\lambda = \dfrac{s}{2}$ を第1式に代入:$\dfrac{1-s}{3} = 1 - \dfrac{s}{2}$

$2(1-s) = 6 - 3s$ より $2 - 2s = 6 - 3s$、$s = 4$。$\lambda = 2$。

しかし $\lambda = 2 > 1$ なので $S$ は辺 $AB$ の延長上にあります。

$$\overrightarrow{OS} = -\vec{a} + 2\vec{b}$$

(2) $T$ は辺 $BC$ 上:$\overrightarrow{OT} = (1-\mu)\vec{b} + \mu\vec{c}$。$\vec{a}$ の係数が $0$:$\dfrac{1-s-t}{3} = 0$ より $s + t = 1$。

$\vec{b}$ の係数:$\dfrac{s}{2} = 1-\mu$、$\vec{c}$ の係数:$\dfrac{2t}{3} = \mu$

$s = 1-t$ を $\vec{b}$ の式に代入:$\dfrac{1-t}{2} = 1-\mu$、$\mu = 1 - \dfrac{1-t}{2} = \dfrac{1+t}{2}$

$\vec{c}$ の式:$\dfrac{2t}{3} = \dfrac{1+t}{2}$ より $4t = 3+3t$、$t = 3$。$\mu = 2$。

$\mu > 1$ なので $T$ も辺 $BC$ の延長上にあります。

$$\overrightarrow{OT} = -\vec{b} + 2\vec{c}$$

解説

この問題では「平面 $PQR$ 上の点を、$\vec{a}, \vec{b}, \vec{c}$ の1次結合で表し、直線上にある条件(特定のベクトルの係数が $0$)と組み合わせる」というパターンを使っています。1次独立性に基づく係数比較が本質的な役割を果たしています。$\lambda > 1$ や $\mu > 1$ となった場合は辺上ではなく延長上の点であることに注意しましょう。

採点ポイント
  • 平面 $PQR$ 上の点のパラメータ表示 … 3点
  • 辺上の条件($\vec{c}$ の係数 $= 0$ 等)の設定 … 2点
  • 係数比較と連立方程式の処理 … 3点
  • 最終的な位置ベクトルの導出 … 2点