等差数列は、隣り合う項の差が常に一定である数列です。最も基本的かつ重要な数列で、日常生活でもカレンダーの日付や階段の段数など至るところに現れます。初項 $a$ と公差 $d$ から一般項を求める公式を導き、さまざまな問題に応用します。
隣り合う2つの項の差が常に一定である数列を等差数列(arithmetic sequence)といいます。この一定の差を公差(common difference)と呼び、$d$ で表します。
数列 $\{a_n\}$ が等差数列であるとは、すべての自然数 $n$ に対して
$$a_{n+1} - a_n = d \quad (\text{$d$ は定数})$$
が成り立つことをいう。この $d$ を公差という。
例1:$3, 7, 11, 15, 19, \ldots$(初項 $3$、公差 $4$)
確認:$7-3 = 4$, $11-7 = 4$, $15-11 = 4$, $19-15 = 4$ ✓
例2:$20, 17, 14, 11, 8, \ldots$(初項 $20$、公差 $-3$)
確認:$17-20 = -3$, $14-17 = -3$, $11-14 = -3$ ✓
例3:$5, 5, 5, 5, \ldots$(初項 $5$、公差 $0$)
公差が $0$ の等差数列は定数列です。
等差数列は「一定の歩幅で進む」数列です。
$d > 0$ なら項は増加し、$d < 0$ なら減少し、$d = 0$ なら一定です。
グラフに表すと、点 $(n, a_n)$ は一直線上に並びます。これは $a_n$ が $n$ の1次式になることに対応しています。
初項 $a_1 = a$ と公差 $d$ が与えられたとき、等差数列の一般項を求めましょう。
初項 $a$、公差 $d$ の等差数列 $\{a_n\}$ の一般項は
$$a_n = a + (n-1)d$$
※ $a_n = dn + (a - d)$ と変形すると、$n$ の1次式であることがわかります。
各項を初項と公差で表します。
$a_1 = a$
$a_2 = a_1 + d = a + d$
$a_3 = a_2 + d = a + 2d$
$a_4 = a_3 + d = a + 3d$
$\vdots$
$a_n = a + (n-1)d$
第 $n$ 項に到達するまでに公差を $(n-1)$ 回加えるので、$a_n = a + (n-1)d$ です。
✗ $a_n = a + nd$(公差を $n$ 回加えている → 第 $(n+1)$ 項の値!)
✓ $a_n = a + (n-1)d$(初項から第 $n$ 項まで、公差を加える回数は $(n-1)$ 回)
$n = 1$ を代入して $a_1 = a$ になるか確認する習慣をつけましょう。
等差数列において、連続する3つの項の真ん中の項を等差中項といいます。
$a$, $b$, $c$ がこの順に等差数列をなすとき
$$b = \frac{a + c}{2}$$
すなわち、$b$ は $a$ と $c$ の平均値(相加平均)である。
$a$, $b$, $c$ が等差数列をなすので、公差を $d$ とすると
$b - a = d$ かつ $c - b = d$
$b - a = c - b$ より $2b = a + c$、すなわち $b = \frac{a+c}{2}$。
等差中項の条件は「3つの数が等差数列をなす」ための必要十分条件です。
したがって「$a$, $b$, $c$ が等差数列をなす」⟺「$2b = a + c$」として使えます。
この関係式は、連立方程式を立てるときや、3つの数の関係を調べるときに非常に便利です。
例:$3$, $x$, $15$ がこの順に等差数列をなすとき $x$ を求めよ。
等差中項の条件:$x = \frac{3 + 15}{2} = 9$
確認:$3, 9, 15$ → 公差 $6$ ✓
さまざまな条件から等差数列の一般項を求める練習をしましょう。
問:初項 $5$、公差 $3$ の等差数列の一般項を求めよ。
$a_n = 5 + (n-1) \cdot 3 = 5 + 3n - 3 = 3n + 2$
問:$a_3 = 11$, $a_8 = 31$ である等差数列の一般項を求めよ。
$a_3 = a + 2d = 11$ ... ①
$a_8 = a + 7d = 31$ ... ②
②−① より $5d = 20$、$d = 4$。①に代入:$a = 11 - 8 = 3$。
$a_n = 3 + (n-1) \cdot 4 = 4n - 1$
問:等差数列 $5, 8, 11, 14, \ldots$ で、$a_n = 71$ となる $n$ を求めよ。
初項 $a = 5$、公差 $d = 3$ より $a_n = 3n + 2$。
$3n + 2 = 71$ より $3n = 69$、$n = 23$。
第 $23$ 項が $71$ である。
等差数列の問題は、結局「初項 $a$ と公差 $d$ を求める」ことに帰着します。
2つの条件が与えられれば、$a$ と $d$ についての連立方程式が作れます。
初項と公差が定まれば、一般項 $a_n = a + (n-1)d$ から全てが計算できます。
与えられた数列が等差数列であるかどうかを判定する方法を学びます。
数列 $\{a_n\}$ が等差数列である ⟺ 次のいずれかが成り立つ
条件1:$a_{n+1} - a_n = d$(定数)がすべての $n$ で成り立つ
条件2:$a_n = pn + q$($n$ の1次式、$p, q$ は定数)で表せる
※ 条件2のとき、初項 $a_1 = p + q$、公差 $d = p$ です。
例1:$a_n = 5n - 3$ は等差数列か?
$a_{n+1} - a_n = 5(n+1) - 3 - (5n - 3) = 5$(定数)→ 等差数列(公差 $5$)✓
例2:$a_n = n^2 + 1$ は等差数列か?
$a_{n+1} - a_n = (n+1)^2 + 1 - (n^2+1) = 2n + 1$($n$ に依存)→ 等差数列ではない ✗
一般項が $n$ の1次式 $a_n = pn + q$ であることと、等差数列であることは同値です。
逆に、一般項が $n$ の2次以上の式なら等差数列ではありません。この判定は即座に行えるので覚えておきましょう。
Q1. 初項 $-2$、公差 $5$ の等差数列の一般項を求めよ。
Q2. 等差数列 $100, 93, 86, 79, \ldots$ の第 $15$ 項を求めよ。
Q3. $5$, $x$, $17$ がこの順に等差数列をなすとき $x$ を求めよ。
Q4. $a_5 = 16$, $a_{12} = 37$ の等差数列の初項と公差を求めよ。
Q5. $a_n = 3n^2 + 1$ は等差数列か?理由も答えよ。
次の等差数列の一般項を求めよ。
(1) 初項 $7$、公差 $-2$
(2) 初項 $\frac{1}{3}$、公差 $\frac{2}{3}$
(1) $a_n = 7 + (n-1)(-2) = -2n + 9$
(2) $a_n = \frac{1}{3} + (n-1) \cdot \frac{2}{3} = \frac{1 + 2(n-1)}{3} = \frac{2n-1}{3}$
等差数列 $\{a_n\}$ において $a_4 = 14$, $a_{10} = 38$ である。
(1) 初項 $a$ と公差 $d$ を求めよ。
(2) 初めて $100$ を超える項は第何項か。
(1) $a + 3d = 14$ ... ①、$a + 9d = 38$ ... ②。②−① より $6d = 24$、$d = 4$。$a = 14 - 12 = 2$。
よって初項 $a = 2$、公差 $d = 4$。一般項は $a_n = 4n - 2$。
(2) $4n - 2 > 100$ より $4n > 102$、$n > 25.5$。$n$ は自然数なので $n = 26$。第 $26$ 項。
$a$, $b$, $c$ がこの順に等差数列をなし、$a + b + c = 21$, $abc = 280$ を満たすとき、$a$, $b$, $c$ の値を求めよ。ただし $a < c$ とする。
等差中項より $b = \frac{a+c}{2}$。$a + b + c = 21$ に代入すると $3b = 21$、$b = 7$。
$a + c = 14$ なので $c = 14 - a$。$abc = 280$ より $a \cdot 7 \cdot (14-a) = 280$。
$7a(14-a) = 280$、$a(14-a) = 40$、$a^2 - 14a + 40 = 0$、$(a-4)(a-10) = 0$。
$a < c$ より $a = 4$, $c = 10$。よって $(a, b, c) = (4, 7, 10)$。
2つの等差数列 $A: 3, 7, 11, 15, \ldots$ と $B: 5, 9, 13, 17, \ldots$ がある。
(1) $A$ と $B$ に共通に含まれる数を小さい順に並べた数列 $\{c_n\}$ の一般項を求めよ。
(2) $c_n$ のうち $500$ 以下のものは何個あるか。
(1) $A$ の一般項:$a_n = 4n - 1$。$B$ の一般項:$b_n = 4n + 1$。
$4m - 1 = 4k + 1$ より $4m - 4k = 2$、$2(m-k) = 1$。これは整数解を持たない。
再考:$A$ は $4$ で割って $3$ 余る数、$B$ は $4$ で割って $1$ 余る数。共通部分を求める。
$A: 3, 7, 11, 15, 19, 23, 27, 31, \ldots$、$B: 5, 9, 13, 17, 21, 25, 29, 33, \ldots$
$A$ の公差は $4$、$B$ の公差は $4$。共通する数を探すと、$A$ の $m$ 番目 $= B$ の $k$ 番目のとき $4m-1 = 4k+1$ で $m-k = \frac{1}{2}$ は整数にならないので、共通する数は存在しない。
(注意:これは「共通項がない」という結論も正解になりうる。問題の意図が「$A \cup B$ を小さい順に並べた数列」であれば、$c_n$ は $3, 5, 7, 9, 11, \ldots$ すなわち $c_n = 2n+1$ となります。)
$A$ と $B$ を合わせて小さい順に並べると $3, 5, 7, 9, 11, 13, \ldots$ で、$3$ 以上の奇数すべてが現れます。
$c_n = 2n + 1$ $(n = 1, 2, 3, \ldots)$。$c_n \leq 500$ より $2n+1 \leq 500$、$n \leq 249.5$。よって $249$ 個。