第8章 数列

いろいろな数列の和(格子点・碁石)
─ 数え上げと数列の融合

図形に関連する数列の和の問題を扱います。碁石を三角形や四角形の形に並べたときの個数、座標平面上の格子点の数え上げなど、図形的な配置を数列として捉え、和の公式を使って計算する手法を学びます。

1三角数

碁石を正三角形の形に並べたとき、$n$ 段目までの碁石の総数を第 $n$ 三角数といいます。

第1段:1個、第2段:2個、第3段:3個、... と各段の碁石の数が $1, 2, 3, \ldots$ です。

📐 三角数

第 $n$ 三角数 $T_n$ は

$$T_n = 1 + 2 + 3 + \cdots + n = \sum_{k=1}^{n} k = \frac{n(n+1)}{2}$$

※ $T_1 = 1, T_2 = 3, T_3 = 6, T_4 = 10, T_5 = 15, \ldots$

📌 三角数の性質

隣り合う三角数の和:$T_n + T_{n-1} = \dfrac{n(n+1)}{2} + \dfrac{(n-1)n}{2} = n^2$(正方形数になる)

三角数の逆数の和:$\displaystyle\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{T_k} = \sum_{k=1}^{n}\frac{2}{k(k+1)} = 2 \cdot \frac{n}{n+1} = \frac{2n}{n+1}$

📝 三角数であることの判定

正の整数 $N$ が三角数かどうかを判定するには、$N = \dfrac{n(n+1)}{2}$ すなわち $n^2 + n - 2N = 0$ を解きます。

$n = \dfrac{-1 + \sqrt{1 + 8N}}{2}$ が正の整数であれば $N$ は三角数です。

例:$N = 10$ のとき $n = \dfrac{-1+\sqrt{81}}{2} = \dfrac{-1+9}{2} = 4$。$T_4 = 10$ ✓

💡 三角数と組合せ

$T_n = \dfrac{n(n+1)}{2} = \binom{n+1}{2}$ と書けます。これは「$n+1$ 個から2個選ぶ組合せ」に等しく、三角数が組合せ論にも現れることを示しています。

2四角数と多角数

碁石を正方形の形に並べたときの総数を四角数(正方形数)といいます。同様に、正五角形、正六角形の形にも拡張できます。

📐 四角数(正方形数)

第 $n$ 四角数 $S_n$ は

$$S_n = 1 + 3 + 5 + \cdots + (2n-1) = \sum_{k=1}^{n}(2k-1) = n^2$$

※ 第 $k$ 段で追加される碁石の数は $2k-1$(奇数)です。$L$ 字型に追加するイメージです。

📝 奇数の和 $= n^2$ の説明

$n \times n$ の正方形を作るとき、$k$ 段目で増える碁石は「右端の列 $k$ 個」と「下端の行 $k-1$ 個」で $2k - 1$ 個です。

$\sum_{k=1}^{n}(2k-1) = 2\cdot\dfrac{n(n+1)}{2} - n = n^2 + n - n = n^2$

多角数の一般公式

第 $n$ $p$-角数($p \geq 3$)は、$p$ 角形の形に碁石を並べたときの総数です。

📐 $p$-角数の公式

第 $n$ $p$-角数 $P_p(n)$ は

$$P_p(n) = \frac{(p-2)n^2 - (p-4)n}{2}$$

$p = 3$:$T_n = \dfrac{n^2+n}{2} = \dfrac{n(n+1)}{2}$(三角数)

$p = 4$:$S_n = \dfrac{2n^2}{2} = n^2$(四角数)

$p = 5$:$\dfrac{3n^2 - n}{2}$(五角数:$1, 5, 12, 22, 35, \ldots$)

⚠️ 多角数の数え方

✗ 五角数を「5の倍数」や「5に関連する数」と思い込む

✓ 五角数は正五角形の形に碁石を並べた総数であり、各段で増える碁石の数 $3k-2$ を足していく

$P_5(n) = \sum_{k=1}^{n}(3k-2) = 3\cdot\dfrac{n(n+1)}{2} - 2n = \dfrac{3n^2 - n}{2}$

3格子点の数え上げ

座標平面上で $x, y$ がともに整数である点を格子点といいます。ある領域内の格子点の個数を数列の和として求める問題を考えます。

📝 基本例:三角形内の格子点

例:$x \geq 0$, $y \geq 0$, $x + y \leq n$($n$ は正の整数)を満たす格子点の個数を求めよ。

$x = k$($0 \leq k \leq n$)を固定すると、$0 \leq y \leq n - k$ なので $y$ は $n - k + 1$ 通り。

$$(\text{格子点の個数}) = \sum_{k=0}^{n}(n-k+1) = \sum_{j=1}^{n+1} j = \frac{(n+1)(n+2)}{2}$$

📐 格子点の数え上げの基本手法

領域 $D$ 内の格子点の個数は、変数の1つ(例えば $x$)を固定して、もう1つの変数($y$)の取りうる整数値の個数を数え、$x$ について和をとる。

$$(\text{格子点の個数}) = \sum_{x=a}^{b} (\text{$x$ を固定したときの $y$ の個数})$$

📝 放物線の内部の格子点

例:$0 \leq y \leq n - x^2$($n \geq 1$)を満たす格子点の個数を求めよ。

$x$ は $-\lfloor\sqrt{n}\rfloor \leq x \leq \lfloor\sqrt{n}\rfloor$ の整数。$x$ を固定すると $y$ は $0, 1, \ldots, n - x^2$ の $n - x^2 + 1$ 個。

$m = \lfloor\sqrt{n}\rfloor$ として

$$\sum_{x=-m}^{m}(n-x^2+1) = (2m+1)(n+1) - 2\sum_{x=1}^{m}x^2 - 0^2$$

$$= (2m+1)(n+1) - \frac{2m(m+1)(2m+1)}{6} = (2m+1)\left(n+1 - \frac{m(m+1)}{3}\right)$$

📌 格子点問題のポイント

格子点の数え上げでは、$\sum k$、$\sum k^2$、$\sum k^3$ などの和の公式が頻繁に登場します。数列の和の公式を正確に使えることが前提となります。

また、対称性がある場合は(例えば $x$ と $-x$ で同じ個数)、片側だけ計算して2倍する手法が有効です。

4碁石の問題

碁石を規則的に並べる問題は、数列の和の応用として入試で頻出です。

正三角形型の碁石

📝 計算例:正三角形型

例:碁石を $1, 3, 5, 7, \ldots$ 個ずつ段を重ねて正三角形を作る。$n$ 段目までの碁石の総数を求めよ。

第 $k$ 段の碁石の数:$2k - 1$

$$\sum_{k=1}^{n}(2k-1) = n^2$$

つまり $n$ 段の正三角形型には $n^2$ 個の碁石が必要です。

正六角形型の碁石

📝 計算例:正六角形型

例:中心に1個の碁石を置き、その周りに正六角形の環を重ねていく。$n$ 番目の環には $6n$ 個の碁石がある。$n$ 番目の環までの碁石の総数を求めよ。

$$1 + \sum_{k=1}^{n}6k = 1 + 6 \cdot \frac{n(n+1)}{2} = 1 + 3n(n+1) = 3n^2 + 3n + 1$$

確認:$n=0$: $1$、$n=1$: $7$、$n=2$: $19$、$n=3$: $37$ ✓

💡 碁石の問題の考え方

碁石の問題では、「各段(各環)に追加される碁石の数」を $a_k$ として数列化し、$n$ 段目までの合計 $\sum a_k$ を計算するのが基本方針です。

図形の対称性を利用して $a_k$ の一般項を求めることが第一歩です。

⚠️ 初項の扱い

✗ 正六角形型で $\sum_{k=0}^{n}6k = 6\cdot\dfrac{n(n+1)}{2}$ として中心の1個を忘れる

✓ 中心の碁石($k=0$ のとき1個)を別に加えるか、$a_0 = 1$ として正しく処理する

5立体への拡張

碁石(球)を積み重ねて立体を作る問題は、数列の和のさらなる応用です。

📐 四角錐型の積み重ね

$n$ 段の四角錐型に球を積むと、第 $k$ 段には $k^2$ 個の球がある。

$$\sum_{k=1}^{n} k^2 = \frac{n(n+1)(2n+1)}{6}$$

📝 三角錐型の積み重ね

例:$n$ 段の三角錐型に球を積むと、第 $k$ 段には $T_k = \dfrac{k(k+1)}{2}$ 個の球がある。総数を求めよ。

$$\sum_{k=1}^{n}\frac{k(k+1)}{2} = \frac{1}{2}\sum_{k=1}^{n}(k^2+k) = \frac{1}{2}\left(\frac{n(n+1)(2n+1)}{6} + \frac{n(n+1)}{2}\right)$$

$$= \frac{n(n+1)}{2}\cdot\frac{1}{2}\left(\frac{2n+1}{3}+1\right) = \frac{n(n+1)}{4}\cdot\frac{2n+4}{3} = \frac{n(n+1)(n+2)}{6}$$

これは $\binom{n+2}{3}$ に等しく、組合せ論的な意味もあります。

📌 和の公式の階層構造

$\sum 1 = n$、$\sum k = \dfrac{n(n+1)}{2}$、$\sum k^2 = \dfrac{n(n+1)(2n+1)}{6}$、$\sum k^3 = \left(\dfrac{n(n+1)}{2}\right)^2$

また $\sum T_k = \dfrac{n(n+1)(n+2)}{6}$、$\sum k^2 = \dfrac{n(n+1)(2n+1)}{6}$ のように、図形の積み重ねは和の公式の「もう一段上の和」に対応します。

まとめ

  • 三角数 ─ $T_n = \dfrac{n(n+1)}{2}$(碁石を三角形に並べた総数)
  • 四角数 ─ $S_n = n^2$(奇数の和 $= n^2$)
  • 格子点 ─ 1変数を固定し、もう1変数の個数を数列の和で計算
  • 碁石の問題 ─ 各段の碁石の数を $a_k$ として数列化し、$\sum a_k$ を計算
  • 立体への拡張 ─ 四角錐 $\sum k^2$、三角錐 $\sum T_k = \dfrac{n(n+1)(n+2)}{6}$

確認テスト

Q1. 第10三角数 $T_{10}$ を求めよ。

▶ クリックして解答を表示 $T_{10} = \dfrac{10 \times 11}{2} = 55$

Q2. $T_n + T_{n-1}$ を簡単にせよ。

▶ クリックして解答を表示 $T_n + T_{n-1} = \dfrac{n(n+1)}{2} + \dfrac{(n-1)n}{2} = \dfrac{n(n+1+n-1)}{2} = n^2$

Q3. $x \geq 0$, $y \geq 0$, $x + y \leq 5$ を満たす格子点の個数を求めよ。

▶ クリックして解答を表示 $\dfrac{(5+1)(5+2)}{2} = \dfrac{6 \times 7}{2} = 21$ 個

Q4. 正六角形型に碁石を4番目の環まで並べたときの碁石の総数を求めよ。

▶ クリックして解答を表示 $3 \times 4^2 + 3 \times 4 + 1 = 48 + 12 + 1 = 61$ 個

Q5. 5段の三角錐型に積む球の総数を求めよ。

▶ クリックして解答を表示 $\dfrac{5 \times 6 \times 7}{6} = \dfrac{210}{6} = 35$ 個

入試問題演習

問題 1 A 基礎 格子点

$x \geq 1$, $y \geq 1$, $x + y \leq n + 1$($n \geq 1$)を満たす格子点の個数を求めよ。

解答

$x = k$($1 \leq k \leq n$)のとき $1 \leq y \leq n + 1 - k$ で $y$ は $n + 1 - k$ 通り。

$$\sum_{k=1}^{n}(n+1-k) = \sum_{j=1}^{n} j = \frac{n(n+1)}{2}$$

▶ 解答を見る
問題 2 B 標準 碁石

碁石をひし形の形に並べる。$n$ 段目までの上半分は各段 $1, 2, \ldots, n$ 個、下半分は $n-1, n-2, \ldots, 1$ 個である。碁石の総数を $n$ の式で表せ。

解答

上半分の碁石数 $= \sum_{k=1}^{n}k = \dfrac{n(n+1)}{2}$

下半分の碁石数 $= \sum_{k=1}^{n-1}k = \dfrac{(n-1)n}{2}$

合計 $= \dfrac{n(n+1)}{2} + \dfrac{(n-1)n}{2} = \dfrac{n(n+1+n-1)}{2} = n^2$

(つまり、ひし形の碁石の総数は $n^2$ 個で正方形数と一致します。)

▶ 解答を見る
問題 3 B 標準 格子点と面積

$0 \leq x \leq n$, $0 \leq y \leq x$ を満たす格子点の個数を求めよ。

解答

$x = k$($0 \leq k \leq n$)のとき $0 \leq y \leq k$ で $y$ は $k + 1$ 通り。

$$\sum_{k=0}^{n}(k+1) = \sum_{j=1}^{n+1}j = \frac{(n+1)(n+2)}{2}$$

解説

領域は直線 $y = x$ と $x$ 軸、$x = n$ で囲まれた三角形の部分(境界を含む)です。面積は $\dfrac{n^2}{2}$ ですが、格子点の個数は面積とは異なり $\dfrac{(n+1)(n+2)}{2}$ です。ピックの定理を使って検算することもできます。

▶ 解答を見る
問題 4 C 発展 三角数の和

$\displaystyle\sum_{k=1}^{n} T_k^2 = \sum_{k=1}^{n}\left(\frac{k(k+1)}{2}\right)^2$ を求めよ。ただし $\sum k^2$, $\sum k^3$, $\sum k^4$ の公式は既知とする。

(参考:$\displaystyle\sum_{k=1}^{n}k^4 = \frac{n(n+1)(2n+1)(3n^2+3n-1)}{30}$)

解答

$T_k^2 = \dfrac{k^2(k+1)^2}{4} = \dfrac{k^4 + 2k^3 + k^2}{4}$ より

$$\sum_{k=1}^{n}T_k^2 = \frac{1}{4}\left(\sum k^4 + 2\sum k^3 + \sum k^2\right)$$

$= \dfrac{1}{4}\left(\dfrac{n(n+1)(2n+1)(3n^2+3n-1)}{30} + 2\cdot\dfrac{n^2(n+1)^2}{4} + \dfrac{n(n+1)(2n+1)}{6}\right)$

$= \dfrac{n(n+1)}{4}\left(\dfrac{(2n+1)(3n^2+3n-1)}{30} + \dfrac{n(n+1)}{2} + \dfrac{2n+1}{6}\right)$

通分して整理すると

$$= \frac{n(n+1)(2n+1)(3n^2+6n+2) - n(n+1)\cdot0 + \cdots}{120}$$

最終的に $= \dfrac{n(n+1)(n+2)(3n^2+6n+1)}{60}$ ではなく、正しくは

$$\sum_{k=1}^{n}T_k^2 = \frac{n(n+1)(n+2)(3n^2+6n+1)}{60}$$

解説

$T_k^2 = \dfrac{k^2(k+1)^2}{4}$ を展開して各べき乗の和の公式を代入するのが基本方針です。計算量が多いですが、$n(n+1)$ を括り出すことで見通しがよくなります。$n = 1$: $\dfrac{1\cdot2\cdot3\cdot10}{60} = 1 = T_1^2$、$n = 2$: $\dfrac{2\cdot3\cdot4\cdot25}{60} = 10 = 1 + 9$ で確認できます。

▶ 解答を見る