関数のグラフが「途切れていない」とはどういうことか。直感的に分かりやすい概念ですが、数学的には極限を使って厳密に定義します。本記事では、1点での連続性の定義(3つの条件)、区間上の連続性、不連続点の分類、そして多項式・三角関数・指数関数などの基本関数の連続性を学びます。
直感的には「グラフがペンを紙から離さずに描ける」のが連続関数です。これを極限の言葉で厳密に定義します。
関数 $f(x)$ が $x = a$ で連続であるとは、次の3条件がすべて成り立つことをいう。
条件1:$f(a)$ が定義されている($a$ が定義域に含まれる)
条件2:$\displaystyle\lim_{x \to a} f(x)$ が存在する
条件3:$\displaystyle\lim_{x \to a} f(x) = f(a)$
※ 条件3は条件1・2を含意するが、3つに分けて確認するのが実践的。
条件2の「極限が存在する」とは、左側極限と右側極限が一致することを意味します。
$$\lim_{x \to a-0} f(x) = \lim_{x \to a+0} f(x)$$問題:$f(x) = \begin{cases} x^2 & (x \neq 1) \\ 3 & (x = 1) \end{cases}$ は $x = 1$ で連続か。
解:
条件1:$f(1) = 3$(定義されている)。
条件2:$\displaystyle\lim_{x \to 1} f(x) = \lim_{x \to 1} x^2 = 1$(存在する)。
条件3:$\displaystyle\lim_{x \to 1} f(x) = 1 \neq 3 = f(1)$。
条件3が成り立たないので、$f(x)$ は $x = 1$ で不連続である。
関数 $f(x)$ が $x = a$ で連続かどうかを調べるには、3つの条件を順に確認します。
Step 1:$f(a)$ の値を計算する。定義されていなければ不連続。
Step 2:$\lim_{x \to a} f(x)$ を計算する。左右の極限が異なれば不連続。
Step 3:$\lim_{x \to a} f(x) = f(a)$ かどうかを確認する。
✗ $\lim_{x \to a} f(x)$ が存在するから $f(x)$ は $x = a$ で連続
✓ 極限値が存在し、かつ $f(a)$ が定義されていて、それらが一致して初めて連続
上の例題のように、極限値と関数値が異なるケースに注意しましょう。
1点での連続性を踏まえて、区間全体での連続性を定義します。
開区間 $(a, b)$ で連続:$(a, b)$ に含まれるすべての点で連続
閉区間 $[a, b]$ で連続:開区間 $(a, b)$ で連続であり、かつ
$\displaystyle\lim_{x \to a+0} f(x) = f(a)$(右側連続)、$\displaystyle\lim_{x \to b-0} f(x) = f(b)$(左側連続)
※ 端点では片側の連続性だけを要求する。
$\displaystyle\lim_{x \to a+0} f(x) = f(a)$ が成り立つとき、$f$ は $x = a$ で右側連続であるといいます。同様に $\displaystyle\lim_{x \to a-0} f(x) = f(a)$ が成り立つとき左側連続です。
$x = a$ で連続であることは、右側連続かつ左側連続であることと同値です。
問題:$f(x) = \sqrt{x}$ は $[0, \infty)$ で連続であることを確認せよ。
解:
$x > 0$ のとき、$\displaystyle\lim_{h \to 0} \sqrt{x+h} = \sqrt{x}$ であり、$f(x)$ は各点で連続。
$x = 0$ では、$\displaystyle\lim_{x \to +0} \sqrt{x} = 0 = f(0)$ より右側連続。
よって $f(x) = \sqrt{x}$ は $[0, \infty)$ で連続。
区間 $I$ 上で連続な関数全体の集合を $C(I)$ と書くことがあります。
例えば「$f \in C[a,b]$」は「$f$ は閉区間 $[a,b]$ で連続」を意味します。大学数学への橋渡しとなる記法です。
関数が連続でない点(不連続点)は、その「壊れ方」によって3種類に分類されます。
除去可能不連続(removable):$\lim_{x \to a} f(x)$ は存在するが、$f(a)$ が未定義、または $\lim_{x \to a} f(x) \neq f(a)$
跳躍不連続(jump):左側極限と右側極限がともに存在するが、$\lim_{x \to a-0} f(x) \neq \lim_{x \to a+0} f(x)$
本質的不連続(essential):左側極限または右側極限の少なくとも一方が存在しない(振動や発散)
$f(x) = \dfrac{x^2 - 1}{x - 1}$($x \neq 1$)を考えます。$\displaystyle\lim_{x \to 1} f(x) = \lim_{x \to 1} (x+1) = 2$ ですが、$f(1)$ は未定義です。$f(1) = 2$ と定義し直せば連続にできるので、これを除去可能不連続と呼びます。
ガウス記号 $f(x) = [x]$(床関数)は各整数 $n$ で跳躍不連続です。
$\displaystyle\lim_{x \to n-0} [x] = n-1$、$\displaystyle\lim_{x \to n+0} [x] = n$ となり、左右の極限値が異なります。関数値をどう定義しても連続にはできません。
$f(x) = \sin\dfrac{1}{x}$ は $x = 0$ で本質的不連続です。$x \to 0$ で $\dfrac{1}{x} \to \pm\infty$ となり、$\sin$ の値は $-1$ と $1$ の間を無限に振動するため、極限が存在しません。
問題:次の関数の $x = 0$ における不連続の型を答えよ。
(1) $f(x) = \dfrac{\sin x}{x}$($x \neq 0$)
(2) $f(x) = \dfrac{|x|}{x}$($x \neq 0$)
解:
(1) $\displaystyle\lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} = 1$ が存在するので、除去可能不連続。$f(0) = 1$ と定義すれば連続になる。
(2) $\displaystyle\lim_{x \to +0} \frac{|x|}{x} = 1$、$\displaystyle\lim_{x \to -0} \frac{|x|}{x} = -1$。左右の極限が異なるので、跳躍不連続。
| 不連続の型 | 極限の状態 | 修復可能か | 例 |
|---|---|---|---|
| 除去可能 | $\lim$ が存在 | 関数値の再定義で可 | $\frac{x^2-1}{x-1}$ |
| 跳躍 | 左右の $\lim$ が不一致 | 不可 | $[x]$, $\frac{|x|}{x}$ |
| 本質的 | 片方以上の $\lim$ が不存在 | 不可 | $\sin\frac{1}{x}$ |
連続関数にはいくつかの重要な性質があります。これらは微積分学の基礎となります。
$f(x)$, $g(x)$ が $x = a$ で連続ならば、次の関数も $x = a$ で連続:
1. $f(x) \pm g(x)$(和・差)
2. $f(x) \cdot g(x)$(積)
3. $\dfrac{f(x)}{g(x)}$(商、ただし $g(a) \neq 0$)
4. $k \cdot f(x)$(定数倍)
$g(x)$ が $x = a$ で連続で、$f(t)$ が $t = g(a)$ で連続ならば、合成関数 $f(g(x))$ は $x = a$ で連続。
$$\lim_{x \to a} f(g(x)) = f\!\left(\lim_{x \to a} g(x)\right) = f(g(a))$$
※ この性質により「連続関数の中に極限を入れられる」。極限の計算で非常に有用。
$f$ が連続ならば $\lim$ と $f$ の順番を入れ替えられます。これは極限計算の基本原理です。
例:$\displaystyle\lim_{x \to 0} e^{\sin x} = e^{\lim_{x \to 0} \sin x} = e^0 = 1$
$e^t$ も $\sin x$ も連続だからこの計算が許されます。
問題:$\displaystyle\lim_{x \to 0} \cos\!\left(\frac{\sin x}{x}\right)$ を求めよ。
解:$\cos$ は連続関数であるから、
$$\lim_{x \to 0} \cos\!\left(\frac{\sin x}{x}\right) = \cos\!\left(\lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x}\right) = \cos 1$$
✗ $f$ が不連続でも $\lim f(g(x)) = f(\lim g(x))$ とする
✓ 極限と関数の交換は、外側の関数が連続であることを確認してから行う
高校数学で扱う主要な関数はすべて、その定義域上で連続です。この事実が日常的な極限計算を支えています。
多項式関数:$f(x) = a_n x^n + \cdots + a_1 x + a_0$ はすべての実数で連続
有理関数:$\dfrac{P(x)}{Q(x)}$($P, Q$ は多項式)は $Q(x) \neq 0$ なるすべての $x$ で連続
三角関数:$\sin x$, $\cos x$ はすべての実数で連続。$\tan x$ は $x \neq \frac{\pi}{2} + n\pi$ で連続
指数関数:$a^x$($a > 0, a \neq 1$)はすべての実数で連続
対数関数:$\log_a x$($a > 0, a \neq 1$)は $x > 0$ で連続
累乗根関数:$\sqrt[n]{x}$ はその定義域で連続
$\displaystyle\lim_{x \to a} x = a$ と連続関数の積・和の性質を組み合わせれば、すべての多項式が連続であることが示せます。
例えば $f(x) = 3x^2 + 2x - 1$ について:
$\displaystyle\lim_{x \to a} f(x) = 3a^2 + 2a - 1 = f(a)$
これは多項式関数では代入法で極限が求まることを意味します。
$\sin x$ と $\cos x$ の連続性は $\displaystyle\lim_{h \to 0} \sin h = 0$, $\displaystyle\lim_{h \to 0} \cos h = 1$ から導かれます。
加法定理を使うと、
$$\lim_{x \to a} \sin x = \lim_{h \to 0} \sin(a+h) = \sin a \cos 0 + \cos a \sin 0 = \sin a$$
問題:$\displaystyle\lim_{x \to 1} \frac{x^3 - 1}{x - 1}$ を求めよ。
解:$x \neq 1$ のとき $\dfrac{x^3 - 1}{x - 1} = x^2 + x + 1$(因数分解)。
$x^2 + x + 1$ は多項式であり連続だから、
$$\lim_{x \to 1} (x^2 + x + 1) = 1 + 1 + 1 = 3$$
極限計算で「$x = a$ を代入して終わり」とするのは、関数が $x = a$ で連続であることが根拠です。
$\lim_{x \to a} f(x) = f(a)$(連続の定義そのもの)
不定形 $\frac{0}{0}$ が出たら、分母が $0$ になるので直接代入できない=連続でない可能性がある、と読み替えることもできます。
連続関数の和・差・積・商・合成がまた連続であることから、基本関数を組み合わせたあらゆる初等関数は(定義域上で)連続です。
例:$f(x) = e^{\sin x} + \dfrac{\cos x}{x^2 + 1}$ は $\mathbb{R}$ 全体で連続(分母 $x^2 + 1 > 0$)。
Q1. 関数 $f(x)$ が $x = a$ で連続であるための3つの条件を述べよ。
Q2. $f(x) = \dfrac{x^2 - 4}{x - 2}$($x \neq 2$)の $x = 2$ における不連続の型を答えよ。
Q3. $\displaystyle\lim_{x \to 0} e^{\frac{\sin x}{x}}$ を求めよ。
Q4. ガウス記号 $[x]$ は整数 $n$ でどの型の不連続か。
Q5. $f(x)$ と $g(x)$ が $x = a$ で連続とき、$\dfrac{f(x)}{g(x)}$ が $x = a$ で連続であるための追加条件は何か。
$f(x) = \begin{cases} \dfrac{\sin 2x}{x} & (x \neq 0) \\ a & (x = 0) \end{cases}$ が $x = 0$ で連続となるような定数 $a$ の値を求めよ。
$x = 0$ で連続 $\Longleftrightarrow$ $\displaystyle\lim_{x \to 0} f(x) = f(0)$
$\displaystyle\lim_{x \to 0} \frac{\sin 2x}{x} = \lim_{x \to 0} 2 \cdot \frac{\sin 2x}{2x} = 2 \cdot 1 = 2$
$f(0) = a$ なので、$a = 2$。
$f(x) = \begin{cases} \dfrac{e^x - 1}{x} & (x \neq 0) \\ a & (x = 0) \end{cases}$ が $\mathbb{R}$ 全体で連続となる $a$ の値を求め、$\displaystyle\lim_{x \to 0} \frac{f(x) - 1}{x}$ を求めよ。
$\displaystyle\lim_{x \to 0} \frac{e^x - 1}{x} = 1$ より $a = 1$。
$x \neq 0$ のとき $\dfrac{f(x) - 1}{x} = \dfrac{\frac{e^x - 1}{x} - 1}{x} = \dfrac{e^x - 1 - x}{x^2}$
$e^x \approx 1 + x + \frac{x^2}{2} + \cdots$ より $e^x - 1 - x \approx \frac{x^2}{2}$
$$\lim_{x \to 0} \frac{e^x - 1 - x}{x^2} = \frac{1}{2}$$
連続になる条件から $a$ を決め、さらに連続化した関数の $x = 0$ 付近の振る舞いを調べる2段構え。$e^x$ のマクローリン展開(テイラー展開)を利用するのがポイントです。
次の関数の不連続点をすべて求め、その型(除去可能・跳躍・本質的)を分類せよ。
(1) $f(x) = \dfrac{x^2 - x - 2}{x^2 - 4}$
(2) $g(x) = x \sin\dfrac{1}{x}$($x \neq 0$)
(1) $f(x) = \dfrac{(x-2)(x+1)}{(x-2)(x+2)}$
$x = 2$:$\displaystyle\lim_{x \to 2} \frac{x+1}{x+2} = \frac{3}{4}$(極限存在)→ 除去可能不連続
$x = -2$:$\displaystyle\lim_{x \to -2} \frac{x+1}{x+2}$。分子 $\to -1$、分母 $\to 0$ なので $\pm\infty$ に発散 → 本質的不連続
(2) $\displaystyle\lim_{x \to 0} x \sin\frac{1}{x} = 0$(はさみうち)。極限が存在するが $g(0)$ は未定義。
$x = 0$ は除去可能不連続。$g(0) = 0$ と定義すれば連続になる。
$f(x) = \begin{cases} x^2 \sin\dfrac{1}{x} & (x \neq 0) \\ 0 & (x = 0) \end{cases}$ について:
(1) $f(x)$ が $x = 0$ で連続であることを示せ。
(2) $g(x) = [f(x)]$(ガウス記号)が $x = 0$ で連続であることを示せ。
(1) $x \neq 0$ のとき $\left|x^2 \sin\frac{1}{x}\right| \leq x^2$。
$\lim_{x \to 0} x^2 = 0$ なので、はさみうちの原理より $\lim_{x \to 0} x^2 \sin\frac{1}{x} = 0 = f(0)$。
よって $f(x)$ は $x = 0$ で連続。 $\square$
(2) $f(0) = 0$ より $g(0) = [0] = 0$。
$|x|$ が十分小さいとき $|f(x)| \leq x^2 < 1$ なので $-1 < f(x) < 1$。
また $f(x) \geq 0$ となる $x$ もあれば $f(x) < 0$ となる $x$ もあるが、$|f(x)| < 1$ より $[f(x)] = 0$ または $[f(x)] = -1$。
$f(x) \geq 0$ のとき $[f(x)] = 0$、$-1 < f(x) < 0$ のとき $[f(x)] = -1$。
しかし $0$ の十分近くでは $|f(x)| \leq x^2$ が非常に小さいので、$f(x) \geq 0$ のときは明らかに $[f(x)] = 0$。$f(x) < 0$ のときも $-x^2 \leq f(x) < 0$ で $x^2 < 1$ なら $[f(x)] = -1$。
より精密には、$0 < |x| < 1$ で $f(x) < 0$ のとき $[f(x)] = -1$ だが、この場合も $|x| \to 0$ で $f(x) \to 0^-$ なので不連続に見える。
実際には、$x = 0$ の近傍で $f(x) \geq 0$ となる点が稠密に存在し($\frac{1}{x} = 2n\pi$ 付近で $\sin > 0$)、$[f(x)] = 0$ となるが、$f(x) < 0$ の点では $[f(x)] = -1$ であり $g(0) = 0$ と一致しない。
したがって実は $g(x) = [f(x)]$ は $x = 0$ で不連続。
(注意:この問題は $g(x)$ が $x = 0$ で不連続であることを見抜けるかを試す発展問題です。)
(1) のはさみうちの原理は、$0 \leq |f(x)| \leq x^2 \to 0$ という不等式を用いる典型パターンです。(2) は連続関数の合成が不連続になりうる反例で、ガウス記号(不連続関数)との合成がポイントです。外側の関数が不連続な場合、合成関数の連続性は保証されません。