第1章 数列の極限

等比数列 $\{r^n\}$ の極限
─ 公比 $r$ の値で決まる振る舞い

等比数列 $\{r^n\}$ の極限は公比 $r$ の値によって大きく異なります。$r$ の範囲に応じて「収束して $0$」「収束して $1$」「正の無限大に発散」「振動して発散」の4つに場合分けされます。本記事ではこの分類を正確に理解し、$r^n$ を含む分数式の極限や応用問題を体系的に学びます。

1$r^n$ の極限の分類

等比数列 $\{r^n\}$ の挙動は公比 $r$ の値によって完全に決定されます。以下の4つの場合に分類されます。

$r^n$ の極限(公比による分類)

(i) $|r| < 1$ のとき:$\displaystyle\lim_{n \to \infty} r^n = 0$

(ii) $r = 1$ のとき:$\displaystyle\lim_{n \to \infty} r^n = 1$

(iii) $r > 1$ のとき:$\displaystyle\lim_{n \to \infty} r^n = +\infty$(正の無限大に発散)

(iv) $r \leq -1$ のとき:$\{r^n\}$ は振動し、極限は存在しない

$|r| < 1$ には $-1 < r < 1$($r = 0$ を含む)のすべての場合が含まれる。

$r$ の範囲 $r^n$ の挙動 具体例
$r = -2$ 振動・発散($|r^n| \to \infty$) $-2, 4, -8, 16, \ldots$
$r = -1$ 振動($-1, 1, -1, 1, \ldots$) $-1, 1, -1, 1, \ldots$
$r = -\frac{1}{2}$ 振動しながら $0$ に収束 $-\frac{1}{2}, \frac{1}{4}, -\frac{1}{8}, \ldots$
$r = 0$ $0$($n \geq 1$ で $r^n = 0$) $0, 0, 0, \ldots$
$r = \frac{1}{2}$ $0$ に収束 $\frac{1}{2}, \frac{1}{4}, \frac{1}{8}, \ldots$
$r = 1$ $1$(定数列) $1, 1, 1, \ldots$
$r = 2$ $+\infty$ に発散 $2, 4, 8, 16, \ldots$
場合分けの境界値に注目

$r = 1$ と $r = -1$ が境界値です。$r = 1$ のときは定数列で収束しますが、$r = -1$ のときは $-1, 1, -1, \ldots$ と振動して収束しません。この非対称性を正確に把握することが重要です。

覚え方:$|r| < 1$ なら $0$、$r = 1$ なら $1$、$r > 1$ なら $\infty$、$r \leq -1$ なら振動

2各場合の詳細と証明

$|r| < 1$ のとき:$r^n \to 0$

$r = 0$ の場合は自明なので $0 < |r| < 1$ とします。$|r| = \dfrac{1}{1+h}$($h > 0$)とおくと:

$$|r^n| = |r|^n = \frac{1}{(1+h)^n}$$

二項定理より $(1+h)^n \geq 1 + nh$ なので:

$$0 \leq |r^n| \leq \frac{1}{1 + nh} \to 0 \quad (n \to \infty)$$

はさみうちの原理より $|r^n| \to 0$、したがって $r^n \to 0$。

$r > 1$ のとき:$r^n \to +\infty$ の証明

$r = 1 + h$($h > 0$)とおく。二項定理より:

$$r^n = (1+h)^n \geq 1 + nh$$

任意の $M > 0$ に対して $N > \frac{M-1}{h}$ とすれば、$n \geq N$ のとき $r^n \geq 1 + nh > M$。

よって $\lim_{n \to \infty} r^n = +\infty$。 $\square$

$r = -1$ のとき:振動

$(-1)^n$ は $n$ が奇数のとき $-1$、偶数のとき $1$ です。部分列 $a_{2k} = 1$ と $a_{2k-1} = -1$ の極限が異なるので、数列全体としては極限が存在しません。

$r < -1$ のとき:振動かつ $|r^n| \to \infty$

$|r| > 1$ なので $|r^n| = |r|^n \to +\infty$ ですが、符号が交互に変わるため $r^n$ は正と負の間を往復しながら絶対値が無限大に向かいます。

「発散」と「振動」の区別

誤:$r = -2$ のとき $r^n \to -\infty$ と書く

正:$r = -2$ のとき $r^n$ は振動し発散する。$+\infty$ にも $-\infty$ にも発散しない(符号が交互に変わるため)。この場合は「振動」と呼ぶ。

3$r^n$ を含む分数式の極限

入試で最も頻出なのは、$r^n$ を含む分数式の極限です。基本方針は最も大きくなる項で分子・分母を割ることです。

例題1:$\displaystyle\lim_{n \to \infty} \frac{3^n - 2^n}{3^n + 2^n}$

分子・分母を $3^n$(最大の項)で割ります。

$$\frac{3^n - 2^n}{3^n + 2^n} = \frac{1 - \left(\frac{2}{3}\right)^n}{1 + \left(\frac{2}{3}\right)^n}$$

$\left(\frac{2}{3}\right)^n \to 0$ なので、極限は $\dfrac{1 - 0}{1 + 0} = 1$。

例題2:$\displaystyle\lim_{n \to \infty} \frac{2 \cdot 3^n + 5^n}{3^{n+1} + 5^{n+1}}$

最大の項は分子で $5^n$、分母で $5^{n+1}$ です。$5^n$ で割ります。

$$\frac{2 \cdot 3^n + 5^n}{3^{n+1} + 5^{n+1}} = \frac{2 \cdot \left(\frac{3}{5}\right)^n + 1}{3 \cdot \left(\frac{3}{5}\right)^n + 5}$$

$\left(\frac{3}{5}\right)^n \to 0$ なので、極限は $\dfrac{0 + 1}{0 + 5} = \dfrac{1}{5}$。

$r^n$ を含む分数式の処理手順

Step 1:分子・分母に含まれる指数関数の底を確認する

Step 2:最も大きい底をもつ項(支配項)を特定する

Step 3:支配項で分子・分母を割る

Step 4:$|r| < 1$ の項は $0$ に、$r = 1$ の項は $1$ に置き換える

底が最大の項が「支配的」になり、他の項は $0$ に消える。

例題3:$\displaystyle\lim_{n \to \infty} \frac{2^n + (-3)^n}{2^{n+1} + (-3)^{n+1}}$

$(-3)^n$ は振動しますが、$|{-3}| = 3 > 2$ なので $(-3)^n$ で分子・分母を割ります。

$$\frac{2^n + (-3)^n}{2^{n+1} + (-3)^{n+1}} = \frac{\left(-\frac{2}{3}\right)^n + 1}{2 \cdot \left(-\frac{2}{3}\right)^n + (-3)}$$

$\left(-\frac{2}{3}\right)^n \to 0$($\left|\frac{-2}{3}\right| < 1$)なので、極限は $\dfrac{0 + 1}{0 + (-3)} = -\dfrac{1}{3}$。

負の底で割るときの注意

誤:$(-3)^n$ で割ると分母が $0$ になるかもしれない

正:$(-3)^n \neq 0$ は常に成り立つので問題なく割れる。重要なのは $\left|\frac{2}{-3}\right| = \frac{2}{3} < 1$ を確認することで、$\left(-\frac{2}{3}\right)^n \to 0$ が使える。

底の大小で割る先を決める

$a^n$ と $b^n$ が共存する式では、$|a|$ と $|b|$ を比較します。大きい方の絶対値をもつ項で割ることで、小さい方が $0$ に収束する形に変形できます。

例:$3^n$ と $5^n$ なら $5^n$ で割る。$2^n$ と $(-3)^n$ なら $(-3)^n$(または $3^n$)で割る。

4等比数列の和の極限

等比数列の初項から第 $n$ 項までの和 $S_n = \dfrac{a(1 - r^n)}{1 - r}$($r \neq 1$)の極限を考えます。

等比数列の和の極限

初項 $a$, 公比 $r$ の等比数列の和 $S_n = \dfrac{a(1 - r^n)}{1 - r}$ について:

$|r| < 1$ のとき:$r^n \to 0$ なので $S_n \to \dfrac{a}{1 - r}$(無限等比級数の和)

$r > 1$ のとき:$r^n \to \infty$ なので $S_n \to \pm\infty$($a$ の符号に依存)

$r \leq -1$ のとき:$S_n$ は振動し、極限は存在しない

$|r| < 1$ の場合の $\frac{a}{1-r}$ は無限級数 $\sum_{n=1}^{\infty} ar^{n-1}$ の和と一致する。

例題4:$\displaystyle\lim_{n \to \infty} \left(1 + \frac{1}{3} + \frac{1}{9} + \cdots + \frac{1}{3^n}\right)$

初項 $1$, 公比 $\frac{1}{3}$ の等比数列の和です。

$$S_n = \frac{1 \cdot \left(1 - \left(\frac{1}{3}\right)^{n+1}\right)}{1 - \frac{1}{3}} = \frac{3}{2}\left(1 - \frac{1}{3^{n+1}}\right)$$

$n \to \infty$ のとき $\frac{1}{3^{n+1}} \to 0$ なので $S_n \to \dfrac{3}{2}$。

例題5:$\displaystyle\lim_{n \to \infty} \frac{1 + 2 + 2^2 + \cdots + 2^n}{1 + 3 + 3^2 + \cdots + 3^n}$

分子 $= \dfrac{2^{n+1} - 1}{2 - 1} = 2^{n+1} - 1$, 分母 $= \dfrac{3^{n+1} - 1}{3 - 1} = \dfrac{3^{n+1} - 1}{2}$

$$\frac{2^{n+1} - 1}{\frac{3^{n+1} - 1}{2}} = \frac{2(2^{n+1} - 1)}{3^{n+1} - 1}$$

$3^{n+1}$ で分子・分母を割ると:

$$\frac{2 \cdot \frac{2^{n+1}}{3^{n+1}} - \frac{2}{3^{n+1}}}{1 - \frac{1}{3^{n+1}}} = \frac{2 \cdot \left(\frac{2}{3}\right)^{n+1} - \frac{2}{3^{n+1}}}{1 - \frac{1}{3^{n+1}}} \to \frac{0 - 0}{1 - 0} = 0$$

等比数列の和で「底の大きい方が勝つ」

$\sum 2^k$ と $\sum 3^k$ の比は $0$ に収束します。これは底の大きい $3^k$ の和が圧倒的に大きくなるためです。一般に $0 < a < b$ のとき:

$$\lim_{n \to \infty} \frac{\sum_{k=0}^{n} a^k}{\sum_{k=0}^{n} b^k} = 0$$

5グラフによる理解と応用

$y = r^x$ のグラフと数列の関係

関数 $y = r^x$ のグラフを描くと、$r^n$ は $x = n$ における $y$ 座標に対応します。

  • $r > 1$:右上がりの指数関数。$x$ が増えるほど急激に増加。
  • $r = 1$:$y = 1$ の水平線。
  • $0 < r < 1$:右下がりの曲線。$x$ 軸に漸近的に近づく。
  • $r = 0$:$x > 0$ で $y = 0$($x$ 軸上)。
  • $-1 < r < 0$:$x$ 軸を交互にまたぎながら $0$ に近づく。

応用:$r$ を含むパラメータ問題

$r$ の値によって数列の極限が変わるため、場合分けが必要な問題が頻出します。

例題6:$\displaystyle\lim_{n \to \infty} \frac{r^n + 1}{r^n - 1}$ を $r$ の値で場合分けして求めよ

$|r| < 1$ のとき:$r^n \to 0$ なので $\dfrac{0 + 1}{0 - 1} = -1$

$r = 1$ のとき:$\dfrac{1 + 1}{1 - 1} = \dfrac{2}{0}$ で分母が $0$ なので極限は存在しない(各項が定義されない)。

$r > 1$ のとき:$r^n$ で分子・分母を割ると $\dfrac{1 + \frac{1}{r^n}}{1 - \frac{1}{r^n}} \to \dfrac{1+0}{1-0} = 1$

$r = -1$ のとき:$r^n = (-1)^n$ なので振動し、極限は存在しない。

$r < -1$ のとき:$r^n$ で割ると $\dfrac{1 + \frac{1}{r^n}}{1 - \frac{1}{r^n}}$ だが、$r^n$ が正負に振動するため $\frac{1}{r^n} \to 0$ には変わりなく、極限は $1$。

$r$ による場合分けの総まとめ

$\displaystyle\lim_{n \to \infty} \frac{r^n + 1}{r^n - 1}$ の値:

$|r| < 1$:$-1$

$|r| > 1$:$1$

$r = 1, -1$:極限なし

入試での記述のコツ

$r$ の場合分け問題では、最初に場合分けの基準を明示しましょう。「$r$ の絶対値が $1$ より小さいか、等しいか、大きいかで場合分けする」と宣言してから各場合を論じると、答案が整理されて読みやすくなります。

$r = 1$ と $r = -1$ を忘れずに別扱いすることが減点を防ぐポイントです。

$r = -1$ の見落とし

誤:$|r| \leq 1$ のとき $r^n \to 0$ としてまとめてしまう

正:$r = 1$ のとき $r^n = 1$、$r = -1$ のとき $r^n$ は振動。$r^n \to 0$ が成り立つのは $|r| < 1$(等号なし)の場合のみ。

まとめ

  • 基本分類:$|r| < 1 \Rightarrow r^n \to 0$、$r = 1 \Rightarrow r^n = 1$、$r > 1 \Rightarrow r^n \to +\infty$、$r \leq -1 \Rightarrow$ 振動。
  • 分数式の処理:分子・分母を「底の絶対値が最大の項」で割り、$|r| < 1$ の部分を $0$ に飛ばす。
  • 等比数列の和:$|r| < 1$ ならば $\sum_{k=0}^{\infty} ar^k = \frac{a}{1-r}$ に収束。$|r| \geq 1$ では発散または振動。
  • 場合分けの注意:$r = 1$ と $r = -1$ は特別な場合として必ず個別に扱う。$|r| < 1$ の等号なしに注意。
  • 次のステップ:漸化式で定義された数列の極限(次記事)では、$r^n \to 0$ の結果が一般項から極限を求める際に活用される。

確認テスト

Q1. $\displaystyle\lim_{n \to \infty} \left(-\frac{2}{3}\right)^n$ の値を求めよ。

▶ クリックして解答を表示 $\left|-\frac{2}{3}\right| = \frac{2}{3} < 1$ なので $\lim_{n \to \infty} \left(-\frac{2}{3}\right)^n = 0$。

Q2. $r^n$ の極限が存在しない $r$ の範囲を述べよ。

▶ クリックして解答を表示 $r \leq -1$ のとき。$r = -1$ では $(-1)^n$ が振動、$r < -1$ では符号が交互に変わりながら $|r^n| \to \infty$ となる。

Q3. $\displaystyle\lim_{n \to \infty} \frac{4^n}{3^n + 4^n}$ を求めよ。

▶ クリックして解答を表示 $4^n$ で割ると $\frac{1}{\left(\frac{3}{4}\right)^n + 1} \to \frac{1}{0 + 1} = 1$。

Q4. 初項 $2$, 公比 $\frac{1}{4}$ の無限等比級数の和を求めよ。

▶ クリックして解答を表示 $\frac{a}{1-r} = \frac{2}{1 - \frac{1}{4}} = \frac{2}{\frac{3}{4}} = \frac{8}{3}$。

Q5. $\displaystyle\lim_{n \to \infty} \frac{3 \cdot 2^n - 5^n}{2^{n+1} + 5^{n+1}}$ を求めよ。

▶ クリックして解答を表示 $5^n$ で割ると $\frac{3 \cdot \left(\frac{2}{5}\right)^n - 1}{2 \cdot \left(\frac{2}{5}\right)^n + 5} \to \frac{0 - 1}{0 + 5} = -\frac{1}{5}$。

入試問題演習

問題 1 A 基礎 $r^n$ の分類

次の極限を求めよ。

(1) $\displaystyle\lim_{n \to \infty} \frac{2^n - 3 \cdot 4^n}{5 \cdot 2^n + 4^n}$

(2) $\displaystyle\lim_{n \to \infty} \frac{5^n + (-3)^n}{5^n - (-3)^n}$

解答

(1) $4^n = (2^2)^n = 2^{2n}$ なので $4^n$ が支配的。$4^n$ で割ると:

$$\frac{\frac{2^n}{4^n} - 3}{\frac{5 \cdot 2^n}{4^n} + 1} = \frac{\left(\frac{1}{2}\right)^n - 3}{5 \cdot \left(\frac{1}{2}\right)^n + 1} \to \frac{0 - 3}{0 + 1} = -3$$

(2) $|{-3}| = 3 < 5$ なので $5^n$ で割ると:

$$\frac{1 + \left(-\frac{3}{5}\right)^n}{1 - \left(-\frac{3}{5}\right)^n} \to \frac{1 + 0}{1 - 0} = 1$$

▶ 解答を見る
問題 2 B 標準 場合分け

実数 $r$ に対して $\displaystyle\lim_{n \to \infty} \frac{r^{n+1} - 1}{r^n + 1}$ を求めよ($r$ の値で場合分けせよ)。

解答

$|r| < 1$ のとき:$r^n \to 0$, $r^{n+1} \to 0$ なので $\frac{0-1}{0+1} = -1$

$r = 1$ のとき:$\frac{1-1}{1+1} = \frac{0}{2} = 0$

$r > 1$ のとき:$r^n$ で割ると $\frac{r - \frac{1}{r^n}}{1 + \frac{1}{r^n}} \to \frac{r - 0}{1 + 0} = r$

$r = -1$ のとき:$n$ が偶数なら $\frac{-1-1}{1+1} = -1$、奇数なら $\frac{1-1}{-1+1} = \frac{0}{0}$ で不定。極限なし。

$r < -1$ のとき:$r^n$ で割ると $\frac{r - \frac{1}{r^n}}{1 + \frac{1}{r^n}}$ だが、$r^n$ が正負に振動するため $\frac{1}{r^n} \to 0$ は成立し、極限は $r$。

解説

$r = -1$ のときだけ特殊で、偶数番目と奇数番目で式自体の値が変わります。$r < -1$ の場合は $|r^n| \to \infty$ なので $1/r^n \to 0$ が使え、極限値は $r$ になります。場合分けを丁寧に行うことがポイントです。

▶ 解答を見る
問題 3 B 標準 等比数列の和

$\displaystyle a_n = \frac{1 + r + r^2 + \cdots + r^n}{1 + r^2 + r^4 + \cdots + r^{2n}}$($r \neq 1$, $r \neq -1$)とする。$|r| < 1$ のとき $\displaystyle\lim_{n \to \infty} a_n$ を求めよ。

解答

分子は初項 $1$, 公比 $r$ の等比数列の和:$\dfrac{1 - r^{n+1}}{1 - r}$

分母は初項 $1$, 公比 $r^2$ の等比数列の和:$\dfrac{1 - r^{2(n+1)}}{1 - r^2} = \dfrac{1 - r^{2n+2}}{(1-r)(1+r)}$

$$a_n = \frac{\frac{1 - r^{n+1}}{1-r}}{\frac{1 - r^{2n+2}}{(1-r)(1+r)}} = \frac{(1+r)(1-r^{n+1})}{1 - r^{2n+2}}$$

$|r| < 1$ のとき $r^{n+1} \to 0$, $r^{2n+2} \to 0$ なので:

$$\lim_{n \to \infty} a_n = \frac{(1+r) \cdot 1}{1} = 1 + r$$

▶ 解答を見る
問題 4 C 発展 $r^n$ と漸化式

数列 $\{a_n\}$ が $a_1 = 0$, $a_{n+1} = \dfrac{3a_n + 4}{a_n + 3}$ で定義されるとき:

(1) $b_n = \dfrac{a_n - 2}{a_n + 2}$ とおくとき、$\{b_n\}$ は等比数列であることを示せ。

(2) $\displaystyle\lim_{n \to \infty} a_n$ を求めよ。

解答

(1) $b_{n+1} = \dfrac{a_{n+1} - 2}{a_{n+1} + 2} = \dfrac{\frac{3a_n+4}{a_n+3} - 2}{\frac{3a_n+4}{a_n+3} + 2}$

分子 $= \dfrac{3a_n + 4 - 2(a_n + 3)}{a_n + 3} = \dfrac{a_n - 2}{a_n + 3}$

分母 $= \dfrac{3a_n + 4 + 2(a_n + 3)}{a_n + 3} = \dfrac{5a_n + 10}{a_n + 3} = \dfrac{5(a_n + 2)}{a_n + 3}$

$b_{n+1} = \dfrac{a_n - 2}{5(a_n + 2)} = \dfrac{1}{5} \cdot b_n$

$b_1 = \dfrac{0 - 2}{0 + 2} = -1$ で $b_{n+1} = \dfrac{1}{5} b_n$ なので公比 $\dfrac{1}{5}$ の等比数列。

(2) $b_n = -\left(\dfrac{1}{5}\right)^{n-1}$ なので $\dfrac{a_n - 2}{a_n + 2} = -\left(\dfrac{1}{5}\right)^{n-1}$

$n \to \infty$ のとき $b_n \to 0$ なので $\dfrac{a_n - 2}{a_n + 2} \to 0$、すなわち $a_n - 2 \to 0$。

よって $\displaystyle\lim_{n \to \infty} a_n = 2$。

解説

分数型漸化式 $a_{n+1} = \frac{pa_n + q}{ra_n + s}$ では、不動点($\alpha = \frac{p\alpha + q}{r\alpha + s}$ の解)を用いて $b_n = \frac{a_n - \alpha}{a_n - \beta}$ の形に変換すると等比数列が現れます。この問題では不動点が $\alpha = 2$, $\beta = -2$ で、$b_n = \frac{a_n - 2}{a_n + 2}$ が公比 $\frac{1}{5}$ の等比数列になります。$|r| < 1$ の等比数列は $0$ に収束するという今回の知識が極限の計算に直結しています。

▶ 解答を見る