「$\log_2 5 \cdot \log_5 3$ を計算せよ」── 底がバラバラの対数をどう処理すればよいでしょうか。
底の変換公式は、異なる底の対数を統一する「翻訳ツール」です。なぜこの公式が成り立つのかを理解すれば、対数計算の自由度が格段に上がります。
対数の基本性質(積・商・累乗の公式)を使えば、同じ底の対数同士はまとめたり分解したりできます。
$$\log_a MN = \log_a M + \log_a N, \quad \log_a \frac{M}{N} = \log_a M - \log_a N$$
ところが、$\log_2 5 \cdot \log_5 3$ のように底が異なる対数が混在する場面では、これらの性質だけでは手が出ません。底が $2$ と $5$ でバラバラなので、積や商の公式を直接適用できないのです。
異なる底の対数は、そのままでは「別の言語」で書かれた数のようなものです。底の変換公式は、すべての対数を同じ底(共通言語)に書き換えるためのツールです。
日本語と英語を混ぜた文章では意味が通じにくいように、底が $2$ の対数と底が $5$ の対数が混在したままでは計算が進みません。底の変換公式を使って底を統一すれば、あとは通常の対数の性質で処理できます。
$a$、$b$、$c$ が正の数で、$a \neq 1$、$c \neq 1$ のとき、次が成り立ちます。
$$\log_a b = \frac{\log_c b}{\log_c a}$$
底 $a$ の対数を、底 $c$ の対数に「変換」する公式です。$c$ は $c > 0$、$c \neq 1$ であればどんな値でもかまいません。
この公式を使えば、どんな底の対数も、好きな底 $c$ の対数に統一できます。特に底を $10$(常用対数)や底を $e$(自然対数)にそろえることがよく行われます。
底の変換公式で変換する底 $c$ は、$c > 0$ かつ $c \neq 1$ でなければなりません。この条件を忘れる人が多いので注意しましょう。
✗ 誤り:$c = 1$ として $\log_1 b$ や $\log_1 a$ を使う
✓ 正しい:$c > 0$、$c \neq 1$ を確認してから使う
$c = 1$ だと $\log_1 b$ が定義できないためです($1^x = 1$ なので、$b \neq 1$ のとき $1^x = b$ を満たす $x$ は存在しません)。
底の変換公式は「覚えるもの」ではなく、「なぜ成り立つか」を理解すれば自然に導けるものです。カギは、対数を指数に置き換えて、両辺の $c$ を底とする対数をとるという発想にあります。
$\log_a b = k$ とおきます。対数の定義から、これは $a^k = b$ を意味します。
この等式 $a^k = b$ の両辺について、底を $c$ とする対数をとります。
$$\log_c a^k = \log_c b$$
左辺に累乗の公式 $\log_c a^k = k \log_c a$ を適用すると、
$$k \log_c a = \log_c b$$
$a \neq 1$ かつ $c \neq 1$ より $\log_c a \neq 0$ なので、両辺を $\log_c a$ で割れます。
$$k = \frac{\log_c b}{\log_c a}$$
$k = \log_a b$ を代入して、
$$\log_a b = \frac{\log_c b}{\log_c a}$$
底の変換公式の導出で使った「等式の両辺の対数をとる」という操作は、対数の問題全般で最も重要なテクニックの1つです。
対数の定義 $\log_a b = k \Leftrightarrow a^k = b$ は、「対数の世界」と「指数の世界」を行き来する橋です。対数の式で行き詰まったら、いったん指数の世界に戻り、別の底の対数をとって再び対数の世界に入る。この「世界の乗り換え」が底の変換公式の本質です。
底の変換公式 $\log_a b = \dfrac{\log_c b}{\log_c a}$ の構造を見てみましょう。
つまり「真数の対数を、底の対数で割る」という構造です。分数の形に見慣れておくと、公式を間違えにくくなります。
底の変換公式で最も多いミスは、分子と分母を取り違えることです。
✗ 誤り:$\log_a b = \dfrac{\log_c a}{\log_c b}$(分子に底、分母に真数を書いてしまう)
✓ 正しい:$\log_a b = \dfrac{\log_c b}{\log_c a}$(分子が真数、分母が底)
覚え方:$\log_a b$ を分数のように見て、「$b$ が上、$a$ が下」と対応させましょう。$\log_{\underset{\text{下}}{a}} \overset{\text{上}}{b} = \dfrac{\log_c b \text{(上)}}{\log_c a \text{(下)}}$
コンピュータサイエンスでは $\log_2 n$ を「$n$ を表すのに必要なビット数」と解釈します。底の変換公式 $\log_a b = \frac{\log_c b}{\log_c a}$ は、「底 $c$ での情報量を単位変換して、底 $a$ での情報量に直す」操作に相当します。
これはちょうど「メートルをインチに変換する」のと同じ構造で、$\log_c a$ が変換係数の役割を果たしています。
底の変換公式をもとに、対数計算でよく使う重要な等式を導くことができます。これらは公式として使いこなせるようにしておきましょう。
$$\log_a b = \frac{1}{\log_b a}$$
$a > 0$、$a \neq 1$、$b > 0$、$b \neq 1$ のとき成立。底と真数を入れ替えると逆数になります。
底の変換公式で $c = b$ とすると、
$$\log_a b = \frac{\log_b b}{\log_b a} = \frac{1}{\log_b a}$$
$\log_b b = 1$ を使いました。
この等式は「$\log_a b$ と $\log_b a$ の積が $1$」と言い換えることもできます。
$$\log_a b \cdot \log_b a = 1$$
$$\log_a b \cdot \log_b c = \log_a c$$
底が「$a \to b \to c$」と連鎖して、中間の $b$ が消え、$\log_a c$ だけが残ります。
底の変換公式をそれぞれ底 $a$ に統一すると、
$$\log_a b \cdot \log_b c = \log_a b \cdot \frac{\log_a c}{\log_a b} = \log_a c$$
$\log_a b$ が約分されて $\log_a c$ だけが残ります。
$\log_a b \cdot \log_b c = \log_a c$ は、分数の約分と同じ構造をしています。
底の変換公式で $\log_a b = \frac{\log b}{\log a}$、$\log_b c = \frac{\log c}{\log b}$ と書けば、
$$\frac{\log b}{\log a} \cdot \frac{\log c}{\log b} = \frac{\log c}{\log a} = \log_a c$$
$\log b$ が約分されます。3つ以上でも同様に $\log_a b \cdot \log_b c \cdot \log_c d = \log_a d$ が成り立ちます。
$$a^{\log_a b} = b$$
対数の定義そのもの。$\log_a b = k$ ならば $a^k = b$ なので、$a^{\log_a b} = b$ です。
この等式の一般化として、次も覚えておくと便利です。
$$a^{\log_a b} = b \quad \Rightarrow \quad a^{m \log_a b} = b^m$$
| 等式 | 意味 | 使い道 |
|---|---|---|
| $\log_a b = \dfrac{\log_c b}{\log_c a}$ | 底 $a$ を底 $c$ に変換 | 底をそろえて計算 |
| $\log_a b = \dfrac{1}{\log_b a}$ | 底と真数を入れ替えると逆数 | 式の簡略化 |
| $\log_a b \cdot \log_b c = \log_a c$ | 連鎖して中間の底が消える | 対数の積の計算 |
$\log_a b \cdot \log_b c = \log_a c$ は異なる底の対数の積の公式です。同じ底の対数の積 $\log_a M \cdot \log_a N$ はこれとは別物であり、$\log_a MN$ にはなりません。
✗ 誤り:$\log_2 3 \cdot \log_2 5 = \log_2 15$(同じ底の対数の積は和にならない)
✓ 正しい:$\log_2 3 + \log_2 5 = \log_2 15$(足し算で積になる)
✓ 正しい:$\log_2 3 \cdot \log_3 5 = \log_2 5$(底が連鎖するときだけ使える)
大学数学では底 $e$(ネイピア数 $e \approx 2.718\ldots$)の自然対数 $\ln x = \log_e x$ がほぼ唯一の対数として使われます。底の変換公式を $c = e$ として使えば、
$$\log_a b = \frac{\ln b}{\ln a}$$
となり、あらゆる対数を自然対数に帰着できます。大学で「対数」といえば自然対数であり、底の変換公式がその橋渡しをしてくれるのです。
底の変換公式で底をそろえるとき、慣れるまでは底を同じ素数($2$、$3$、$5$ など)にそろえると計算がスムーズです。
計算例:$\log_2 5 \cdot \log_5 2$ を計算します。
連鎖公式を使うなら、$\log_2 5 \cdot \log_5 2 = \log_2 2 = 1$ と一発です。
底を $2$ にそろえる方法でも確認してみましょう。
$$\log_2 5 \cdot \log_5 2 = \log_2 5 \cdot \frac{\log_2 2}{\log_2 5} = \log_2 5 \cdot \frac{1}{\log_2 5} = 1$$
真数が大きい場合は、まず素因数分解してから対数の性質で分解し、底の変換を行うとよいです。
計算例:$(\log_2 27)(\log_3 4 + \log_3 16)$ を計算します。
まず、$\log_3 4 + \log_3 16 = \log_3 (4 \cdot 16) = \log_3 64 = \log_3 2^6 = 6\log_3 2$ です。
底を $2$ にそろえると、$\log_2 27 = \log_2 3^3 = 3\log_2 3$ より、
$$3\log_2 3 \cdot 6\log_3 2 = 18 \cdot \log_2 3 \cdot \log_3 2 = 18 \cdot 1 = 18$$
大学入試では「$\log_{10} 2 = a$、$\log_{10} 3 = b$ とおくとき、次の値を $a$、$b$ で表せ」という形式がよく出題されます。
計算例:$\log_{10} 2 = a$、$\log_{10} 3 = b$ のとき、$\log_6 5$ を $a$、$b$ で表します。
底の変換公式で底を $10$ にそろえます。
$$\log_6 5 = \frac{\log_{10} 5}{\log_{10} 6}$$
ここで $\log_{10} 5 = \log_{10} \frac{10}{2} = 1 - a$、$\log_{10} 6 = \log_{10} (2 \cdot 3) = a + b$ なので、
$$\log_6 5 = \frac{1 - a}{a + b}$$
$\log_{10} 2 = a$、$\log_{10} 3 = b$ が与えられたとき、$\log_{10} 5$ を新たに文字で置く必要はありません。
✓ コツ:$5 = \frac{10}{2}$ なので $\log_{10} 5 = \log_{10} 10 - \log_{10} 2 = 1 - a$
同様に $\log_{10} 7$ のように $2$、$3$、$5$ の積・商で表せない数は、$a$、$b$ だけでは表せません。問題文をよく読んで、表せるかどうかを判断しましょう。
変換先の底 $c$ は問題に応じて使い分けます。
| 場面 | 推奨する底 $c$ | 理由 |
|---|---|---|
| 底がすべて $2, 4, 8, \ldots$ 系 | $c = 2$ | $2$ のべき乗で統一 |
| 底がすべて $3, 9, 27, \ldots$ 系 | $c = 3$ | $3$ のべき乗で統一 |
| $\log_{10} 2 = a$ 等の文字指定 | $c = 10$ | 常用対数に統一 |
| 底が混在して判断しにくい | $c = 10$ または真数に現れる素数 | 汎用的 |
多くの関数電卓には $\log$(常用対数 $\log_{10}$)と $\ln$(自然対数 $\log_e$)のボタンしかありません。$\log_3 7$ のような値を求めたいときには、底の変換公式を使って $\log_3 7 = \frac{\log 7}{\log 3} \approx \frac{0.8451}{0.4771} \approx 1.771$ と計算します。底の変換公式は理論だけでなく実用的にも不可欠な公式なのです。
底が異なる対数を含む方程式では、底の変換公式で底を統一することが第一歩です。
考え方の例:$\log_2 x + \log_x 2 = \frac{5}{2}$ を解くことを考えます。
$\log_x 2$ の底は $x$ で変数ですが、底の変換公式で底を $2$ にそろえます。
$$\log_x 2 = \frac{1}{\log_2 x}$$
$\log_2 x = t$ とおくと、方程式は $t + \frac{1}{t} = \frac{5}{2}$ となります。
両辺に $t$ をかけて整理すると $2t^2 - 5t + 2 = 0$、すなわち $(2t - 1)(t - 2) = 0$ で $t = \frac{1}{2}$ または $t = 2$ です。
$t = \log_2 x$ に戻すと、$x = 2^{1/2} = \sqrt{2}$ または $x = 2^2 = 4$ です。
真数条件 $x > 0$ と底の条件 $x > 0$、$x \neq 1$ を確認すると、どちらも適します。
$\log_x 2$ のように「底に変数がある対数」は、そのままでは扱いにくいです。底の変換公式で $\log_x 2 = \frac{1}{\log_2 x}$ と書き換えれば、底が定数 $2$ になり、$\log_2 x = t$ という置換で通常の方程式に帰着できます。
「底に変数があったら、底の変換公式で追い出す」── これが鉄則です。
底が異なる対数を含む不等式でも、まず底を統一します。
考え方の例:$\log_4 x > \log_2 3$ を解くことを考えます。
底の変換公式で $\log_4 x$ の底を $2$ に変えると、$\log_4 x = \frac{\log_2 x}{\log_2 4} = \frac{\log_2 x}{2}$ です。
不等式は $\frac{\log_2 x}{2} > \log_2 3$、すなわち $\log_2 x > 2\log_2 3 = \log_2 9$ となります。
底 $2 > 1$ なので大小関係は保存され、$x > 9$ です(真数条件 $x > 0$ も満たす)。
底の変換公式を使って方程式・不等式を解く際、最後に必ず真数条件(真数 $> 0$)と底の条件(底 $> 0$、底 $\neq 1$)を確認しましょう。
特に底に変数が含まれる場合、$\log_x 2$ が定義されるためには $x > 0$ かつ $x \neq 1$ が必要です。解を求めた後に $x = 1$ が含まれていないかチェックを忘れないでください。
底が異なる対数の大小を比較するとき、底の変換公式で底を統一すると比較しやすくなります。
考え方の例:$\log_2 3$、$\log_4 7$、$\log_8 20$ の大小を比較します。
すべて底を $2$ にそろえます。
$$\log_2 3, \quad \log_4 7 = \frac{\log_2 7}{2}, \quad \log_8 20 = \frac{\log_2 20}{3}$$
分子をさらに評価すると、$\log_2 7 \approx 2.807$、$\log_2 20 \approx 4.322$ なので、
$$\log_4 7 \approx 1.404, \quad \log_8 20 \approx 1.441, \quad \log_2 3 \approx 1.585$$
よって $\log_4 7 < \log_8 20 < \log_2 3$ です。
$\log_2 3$ は無理数であることが知られています。実はもっと強い性質が成り立ちます。異なる素数 $p$、$q$ に対して $\log_p q$ は必ず無理数です。もし $\log_p q = \frac{m}{n}$(整数比)なら $p^m = q^n$ となりますが、素因数分解の一意性に反します。
このことは、$\log_{10} 2$、$\log_{10} 3$、$\log_{10} 5$ が「独立な無理数」であることを意味しており、だからこそ $\log_{10} 2 = a$、$\log_{10} 3 = b$ という文字置換が有効なのです。
Q1. 底の変換公式を用いて、$\log_4 8$ の値を求めよ。
Q2. $\log_3 5 \cdot \log_5 9$ の値を求めよ。
Q3. $\log_9 4$ を $\log_3 2$ を用いて表せ。
Q4. $\log_{10} 2 = 0.3010$ のとき、$\log_5 8$ の値を小数第3位まで求めよ。
Q5. $\log_2 3 \cdot \log_3 7 \cdot \log_7 4$ の値を求めよ。
次の計算をせよ。
(1) $\log_2 5 \cdot \log_5 2$
(2) $4\log_5 3 - \frac{1}{2}\log_5 9 + \log_5 \frac{1}{3}$
(3) $\log_2 9 \cdot \log_3 5 \cdot \log_5 4$
(1) 底と真数の入れ替えの関係より、$\log_2 5 \cdot \log_5 2 = 1$
(2) $4\log_5 3 - \frac{1}{2}\log_5 9 + \log_5 \frac{1}{3}$
$= 4\log_5 3 - \frac{1}{2} \cdot 2\log_5 3 + (-\log_5 3)$
$= 4\log_5 3 - \log_5 3 - \log_5 3 = 2\log_5 3 = \log_5 9$
(3) 連鎖公式より、$\log_2 9 \cdot \log_3 5 \cdot \log_5 4$
$= \log_2 9 \cdot \log_9 4 \cdot \log_3 9 \cdot \frac{\log_3 5}{\log_3 9} \cdot \log_5 4$
底を $2$ にそろえて計算する方が見通しがよいです。
$= \dfrac{\log_2 9 \cdot \log_2 5 \cdot \log_2 4}{\log_2 3 \cdot \log_2 5} = \dfrac{2\log_2 3 \cdot \log_2 5 \cdot 2}{\log_2 3 \cdot \log_2 5} = 4$
$\log_{10} 2 = a$、$\log_{10} 3 = b$ とするとき、次の値を $a$、$b$ で表せ。
(1) $\log_5 16$
(2) $\log_6 24$
(1) 底の変換公式で底を $10$ にそろえます。
$$\log_5 16 = \frac{\log_{10} 16}{\log_{10} 5} = \frac{4\log_{10} 2}{\log_{10} \frac{10}{2}} = \frac{4a}{1 - a}$$
(2) $\log_6 24 = \dfrac{\log_{10} 24}{\log_{10} 6}$
$\log_{10} 24 = \log_{10}(2^3 \cdot 3) = 3a + b$
$\log_{10} 6 = \log_{10}(2 \cdot 3) = a + b$
$$\log_6 24 = \frac{3a + b}{a + b}$$
$\log_{10} 5$ は直接 $a$、$b$ に含まれていませんが、$5 = \frac{10}{2}$ と変形すれば $\log_{10} 5 = 1 - a$ と表せます。真数を $2$、$3$、$5$、$10$ の積・商に分解する力が問われます。
$(\log_2 27)(\log_3 4 + \log_3 16)$ の値を求めよ。
まず括弧内を計算します。
$$\log_3 4 + \log_3 16 = \log_3 (4 \cdot 16) = \log_3 64 = \log_3 2^6 = 6\log_3 2$$
次に $\log_2 27 = \log_2 3^3 = 3\log_2 3$ より、
$$(\log_2 27)(\log_3 4 + \log_3 16) = 3\log_2 3 \cdot 6\log_3 2$$
$$= 18 \cdot \underbrace{\log_2 3 \cdot \log_3 2}_{= 1} = 18$$
真数をべき乗の形に直して $\log_2 3$ と $\log_3 2$ のペアを作り出すのがポイントです。$\log_a b \cdot \log_b a = 1$ という関係が現れる形に変形できれば、きれいに計算が完了します。
$a > b > 1$ とし、$\log_a b + \log_b a = \dfrac{10}{3}$ とする。
(1) $\log_a b$ の値を求めよ。
(2) $\log_a b - \log_b a$ の値を求めよ。
(3) $\log_{ab} \dfrac{a}{b}$ の値を求めよ。
(1) $\log_a b = t$ とおくと、$\log_b a = \dfrac{1}{t}$(底と真数の入れ替え)より、
$$t + \frac{1}{t} = \frac{10}{3}$$
両辺に $3t$ をかけて $3t^2 + 3 = 10t$、すなわち $3t^2 - 10t + 3 = 0$ です。
$$(3t - 1)(t - 3) = 0 \quad \Rightarrow \quad t = \frac{1}{3} \text{ または } t = 3$$
$a > b > 1$ より $\log_a b < \log_a a = 1$ なので $0 < t < 1$。よって $\log_a b = \dfrac{1}{3}$。
(2) $\log_a b = \dfrac{1}{3}$、$\log_b a = 3$ より、
$$\log_a b - \log_b a = \frac{1}{3} - 3 = -\frac{8}{3}$$
(3) 底の変換公式で底を $a$ にそろえます。
$$\log_{ab} \frac{a}{b} = \frac{\log_a \frac{a}{b}}{\log_a (ab)} = \frac{\log_a a - \log_a b}{\log_a a + \log_a b} = \frac{1 - \frac{1}{3}}{1 + \frac{1}{3}} = \frac{\frac{2}{3}}{\frac{4}{3}} = \frac{1}{2}$$
(1)では $\log_b a = \frac{1}{\log_a b}$ により $t + \frac{1}{t}$ の2次方程式に帰着させます。$a > b > 1$ から $\log_a b < 1$ という条件で解を絞る点が重要です。(3)では真数・底の両方を $\log_a$ で表す技法がポイントです。