整数の指数 $a^n$ は「$a$ を $n$ 回かける」という明快な意味を持っていました。では $a^{\frac{1}{2}}$ や $a^{\sqrt{2}}$ とは一体何を意味するのでしょうか。
この記事では、指数を有理数、さらに実数へと拡張する道筋を「なぜそう定義するのか」という原理から丁寧にたどります。
$2^3 = 8$ は「$2$ を $3$ 回かけると $8$ になる」という計算です。では逆に、「$3$ 乗して $8$ になる数は何か?」と問うと、答えは $2$ です。このように、$n$ 乗して $a$ になる数を $a$ の $n$ 乗根といいます。
正の整数 $n$($n \geq 2$)に対して、$x^n = a$ を満たす $x$ の値が $a$ の $n$ 乗根です。$2$ 乗根は平方根、$3$ 乗根は立方根と呼ばれ、おなじみのものです。これらをまとめて累乗根といいます。
$a > 0$、$n$ が正の整数($n \geq 2$)のとき、$a$ の $n$ 乗根のうち正のものを $\sqrt[n]{a}$ と書きます。
$$\left(\sqrt[n]{a}\right)^n = a \quad (a > 0)$$
・$\sqrt[2]{a}$ は $\sqrt{a}$ と書きます(数学Iで学んだ平方根の記号そのものです)。
・$\sqrt[n]{0} = 0$ と定めます。
$x^n = a$ の実数解がいくつあるかは、$n$ の偶奇と $a$ の符号によって異なります。
| $n$ が奇数 | $n$ が偶数 | |
|---|---|---|
| $a > 0$ | 正の解がただ1つ → $\sqrt[n]{a}$ | 正と負の2つ → $\pm\sqrt[n]{a}$ |
| $a = 0$ | $x = 0$ のみ | $x = 0$ のみ |
| $a < 0$ | 負の解がただ1つ → $\sqrt[n]{a}$ | 実数の範囲に解なし |
例えば、$x^3 = -8$ の実数解は $x = -2$($= \sqrt[3]{-8}$)です。一方、$x^2 = -4$ には実数の解がありません。
「$16$ の $4$ 乗根」と「$\sqrt[4]{16}$」は同じものではありません。
✗ 誤り:$16$ の $4$ 乗根は $\sqrt[4]{16} = 2$ だけ
○ 正しい:$16$ の $4$ 乗根は $2$ と $-2$ の2つ。記号 $\sqrt[4]{16}$ は正の方の $2$ だけを指す
$\sqrt[n]{a}$ は「$n$ 乗根のうち正のもの」を選ぶ記号です。平方根で $\sqrt{4} = 2$($\pm 2$ ではない)のと同じ考え方です。
$a > 0$、$b > 0$、$m$、$n$ は正の整数($n \geq 2$)のとき、次の性質が成り立ちます。
$$\text{(1)}\ \sqrt[n]{a}\,\sqrt[n]{b} = \sqrt[n]{ab} \qquad \text{(2)}\ \frac{\sqrt[n]{a}}{\sqrt[n]{b}} = \sqrt[n]{\frac{a}{b}}$$
$$\text{(3)}\ \left(\sqrt[n]{a}\right)^m = \sqrt[n]{a^m} \qquad \text{(4)}\ \sqrt[m]{\sqrt[n]{a}} = \sqrt[mn]{a}$$
性質(1)は、平方根の $\sqrt{a}\sqrt{b} = \sqrt{ab}$ を $n$ 乗根に一般化したものです。
$\sqrt[n]{a} > 0$、$\sqrt[n]{b} > 0$ より $\sqrt[n]{a}\,\sqrt[n]{b} > 0$ です。
この数を $n$ 乗すると、
$$\left(\sqrt[n]{a}\,\sqrt[n]{b}\right)^n = \left(\sqrt[n]{a}\right)^n \cdot \left(\sqrt[n]{b}\right)^n = ab$$
つまり、$\sqrt[n]{a}\,\sqrt[n]{b}$ は「$n$ 乗すると $ab$ になる正の数」です。これはまさに $\sqrt[n]{ab}$ の定義そのものです。
累乗($n$ 乗する操作)の逆を考えたのが累乗根です。足し算の逆が引き算、かけ算の逆が割り算であるように、「$n$ 乗」の逆が「$n$ 乗根をとる」操作です。
この「逆演算」を指数の言葉で表現しようとするのが、次のセクションのテーマです。
$x^4 = 16$ の実数解は $\pm 2$ の2つですが、複素数の範囲まで広げると $\pm 2$、$\pm 2i$ の4つになります。一般に、$x^n = a$($a \neq 0$)は複素数の範囲でちょうど $n$ 個の解を持ちます(「代数学の基本定理」)。高校では実数の範囲だけを扱いますが、大学の代数学ではこの美しい結果を学びます。
正の整数 $n$ に対して $a^n = \underbrace{a \times a \times \cdots \times a}_{n \text{ 個}}$ は明快です。さらに $a^0 = 1$、$a^{-n} = \dfrac{1}{a^n}$ と定義して、指数を整数全体に拡張しました。この拡張では、指数法則が成り立つように定義を決めました。
同じ発想で、指数を有理数(分数)にまで広げましょう。鍵となるのは「指数法則を壊さないこと」です。
指数法則 $(a^r)^s = a^{rs}$ が分数の指数でも成り立つと仮定します。$a^{\frac{1}{n}}$ を $n$ 乗すると、
$$\left(a^{\frac{1}{n}}\right)^n = a^{\frac{1}{n} \times n} = a^1 = a$$
つまり、$a^{\frac{1}{n}}$ は「$n$ 乗すると $a$ になる数」── これは $\sqrt[n]{a}$ の定義そのものです。
$a^{\frac{1}{n}} = \sqrt[n]{a}$ は、天から降ってきた定義ではありません。指数法則を保つという要請から、論理的にこう定義するしかないのです。
指数の拡張のたびに同じ原理が働いています。$a^0 = 1$ も $a^{-n} = \frac{1}{a^n}$ も、すべて「指数法則を壊さない唯一の選択」です。
同じ考え方を推し進めます。$a^{\frac{p}{q}}$ は、
$$a^{\frac{p}{q}} = a^{p \cdot \frac{1}{q}} = \left(a^p\right)^{\frac{1}{q}} = \sqrt[q]{a^p}$$
あるいは、順序を入れ替えて
$$a^{\frac{p}{q}} = a^{\frac{1}{q} \cdot p} = \left(a^{\frac{1}{q}}\right)^p = \left(\sqrt[q]{a}\right)^p$$
どちらの順序でも同じ結果になります。
$a > 0$、$p$ は整数、$q$ は正の整数のとき
$$a^{\frac{p}{q}} = \sqrt[q]{a^p} = \left(\sqrt[q]{a}\right)^p$$
特に
$$a^{\frac{1}{n}} = \sqrt[n]{a}$$
この定義は $a > 0$ の場合にのみ有効です。$a \leq 0$ では、$q$ が偶数のとき $\sqrt[q]{a}$ が実数の範囲で定義できないためです。
分数の指数を使うとき、底は正の数に限定されます。
✗ 誤り:$(-8)^{\frac{1}{3}} = \sqrt[3]{-8} = -2$ とする
○ 正しい:$(-8)^{\frac{1}{3}}$ は定義しない($a > 0$ が必要)
$\sqrt[3]{-8} = -2$ 自体は正しいのですが、分数の指数の世界では底を正に制限します。理由は、$(-8)^{\frac{2}{6}} = (-8)^{\frac{1}{3}}$ が成り立つためには $\sqrt[6]{(-8)^2} = \sqrt[6]{64}$ と $\sqrt[3]{-8}$ が一致する必要がありますが、前者は正、後者は負で矛盾するからです。
$8^{\frac{2}{3}}$ を計算してみましょう。
$$8^{\frac{2}{3}} = \sqrt[3]{8^2} = \sqrt[3]{64} = 4$$
別の方法:$8^{\frac{2}{3}} = \left(\sqrt[3]{8}\right)^2 = 2^2 = 4$ でも同じ結果です。
また、$27^{-\frac{2}{3}} = \dfrac{1}{27^{\frac{2}{3}}} = \dfrac{1}{\left(\sqrt[3]{27}\right)^2} = \dfrac{1}{3^2} = \dfrac{1}{9}$ です。
指数の表記法は17世紀のデカルトに始まります。$a^2$, $a^3$ という記号を考案したのはデカルトですが、分数指数や負の指数を体系的に導入したのはニュートンです。ニュートンは二項定理を分数指数に拡張し、$(1+x)^{\frac{1}{2}}$ の無限級数展開を発見しました。「指数法則を保つように定義を拡張する」という考え方は、数学の抽象化の典型的な手法であり、大学数学の至るところに現れます。
正の整数の指数で成り立っていた指数法則は、有理数の指数に拡張してもすべてそのまま成り立ちます。これこそが、$a^{\frac{p}{q}} = \sqrt[q]{a^p}$ と定義した理由です。
$$\text{(1)}\ a^r \cdot a^s = a^{r+s}$$
$$\text{(2)}\ \frac{a^r}{a^s} = a^{r-s}$$
$$\text{(3)}\ (a^r)^s = a^{rs}$$
$$\text{(4)}\ (ab)^r = a^r \cdot b^r$$
正の整数の指数で成り立っていた法則と形は完全に同じです。指数が分数になっただけです。
指数法則の一般化で大切なのは、法則の形は変わらないということです。$a^r \cdot a^s = a^{r+s}$ は、$r$, $s$ が正の整数でも、$0$ や負の整数でも、分数でも成り立ちます。
「既存の法則を壊さないように定義を拡張する」── これが数学における拡張の黄金原則です。
指数法則を使うと、累乗根の計算が指数の計算に帰着できます。
$$\sqrt[3]{a^2} \times \sqrt[3]{a^4} = a^{\frac{2}{3}} \times a^{\frac{4}{3}} = a^{\frac{2}{3} + \frac{4}{3}} = a^2$$
累乗根のまま計算するよりも、指数に変換した方がすっきりすることが多いです。
指数の加法で通分を忘れるミスが非常に多いです。
✗ 誤り:$a^{\frac{1}{2}} \cdot a^{\frac{1}{3}} = a^{\frac{1}{2} + \frac{1}{3}} = a^{\frac{2}{5}}$
○ 正しい:$a^{\frac{1}{2}} \cdot a^{\frac{1}{3}} = a^{\frac{3}{6} + \frac{2}{6}} = a^{\frac{5}{6}}$
指数法則 $a^r \cdot a^s = a^{r+s}$ の $r + s$ は、普通の分数の足し算です。通分を丁寧に行いましょう。
累乗根の計算では、まず指数の形に変換してから指数法則を適用し、最後に必要なら累乗根に戻すという手順が基本です。
$$\sqrt[n]{a^m} = a^{\frac{m}{n}} \qquad \left(\text{累乗根} \to \text{指数}\right)$$
$$a^{\frac{m}{n}} = \sqrt[n]{a^m} \qquad \left(\text{指数} \to \text{累乗根}\right)$$
特に $\sqrt[n]{a} = a^{\frac{1}{n}}$、$\sqrt{a} = a^{\frac{1}{2}}$ です。
$r = \frac{p}{q}$, $s = \frac{m}{n}$ のとき、通分して $r = \frac{pn}{qn}$, $s = \frac{mq}{qn}$ とします。
$$a^r \cdot a^s = \sqrt[qn]{a^{pn}} \cdot \sqrt[qn]{a^{mq}} = \sqrt[qn]{a^{pn} \cdot a^{mq}} = \sqrt[qn]{a^{pn + mq}} = a^{\frac{pn + mq}{qn}}$$
一方、$r + s = \frac{pn + mq}{qn}$ なので $a^{r+s} = a^{\frac{pn + mq}{qn}}$ であり、確かに一致します。
「法則を保存する」という考え方は、大学数学の代数学の中心テーマです。正の実数の集合にかけ算の構造を入れると「群」(group)になり、指数法則 $a^{r+s} = a^r \cdot a^s$ は「指数写像が群の準同型写像である」ことを意味します。高校の指数法則は、実はとても深い代数構造を反映しているのです。
有理数の指数までは定義できました。では、$2^{\sqrt{2}}$ のような無理数の指数はどう定義すればよいのでしょうか。
$\sqrt{2} = 1.41421356\ldots$ ですから、有理数の列
$$1,\quad 1.4,\quad 1.41,\quad 1.414,\quad 1.4142,\quad \ldots$$
はどんどん $\sqrt{2}$ に近づきます。それに対応して、
$$2^1,\quad 2^{1.4},\quad 2^{1.41},\quad 2^{1.414},\quad 2^{1.4142},\quad \ldots$$
もある1つの値に限りなく近づきます。この極限値を $2^{\sqrt{2}}$ と定義するのです。
無理数の指数の定義は、有理数で近似して極限をとるという考え方に基づいています。これは「連続性」の考え方そのものです。
$a > 0$、$a \neq 1$ のとき、指数関数 $y = a^x$ は実数全体で定義された連続関数であり、有理数での値から自然に無理数での値が決まります。
重要なことは、指数法則がさらに実数の指数にまで拡張されることです。
$$\text{(1)}\ a^r \cdot a^s = a^{r+s} \qquad \text{(2)}\ \frac{a^r}{a^s} = a^{r-s}$$
$$\text{(3)}\ (a^r)^s = a^{rs} \qquad \text{(4)}\ (ab)^r = a^r \cdot b^r$$
正の整数 → 整数 → 有理数 → 実数と拡張しても、指数法則の形は一切変わりません。
| 段階 | 指数の範囲 | 定義 | 拡張の根拠 |
|---|---|---|---|
| 1 | 正の整数 $n$ | $a^n = \underbrace{a \times \cdots \times a}_{n}$ | 繰り返しのかけ算 |
| 2 | $0$ | $a^0 = 1$ | $a^n \cdot a^0 = a^n$ より |
| 3 | 負の整数 $-n$ | $a^{-n} = \dfrac{1}{a^n}$ | $a^n \cdot a^{-n} = a^0 = 1$ より |
| 4 | 有理数 $\dfrac{p}{q}$ | $a^{\frac{p}{q}} = \sqrt[q]{a^p}$ | $(a^{\frac{1}{q}})^q = a$ より |
| 5 | 実数 $r$ | 有理数で近似し極限をとる | 連続性 |
指数を実数に拡張する際、底 $a > 0$ という条件が必須です。
✗ 誤り:$(-2)^{\frac{1}{2}} = \sqrt{-2}$ は虚数だから $i\sqrt{2}$
○ 正しい:実数の指数では底は正に限る。$(-2)^{\frac{1}{2}}$ は実数の範囲では定義されない
高校数学では常に $a > 0$ として扱います。この条件を問題文で確認する習慣をつけましょう。
「有理数で近似して極限をとる」という操作が意味を持つのは、実数が完備(隙間がない)だからです。有理数だけの世界では $\sqrt{2}$ は存在しないため、$2^{\sqrt{2}}$ も定義できません。実数の完備性は、大学の解析学(微積分の基礎理論)で厳密に定式化されます。指数関数 $a^x$ の連続性も、大学ではイプシロン-デルタ論法で証明します。
累乗根を含む計算は、指数の形に変換してから指数法則を適用するのが基本戦略です。具体的な手順を見ていきましょう。
$\sqrt[3]{4} \times \sqrt[3]{2}$ を計算します。
$$\sqrt[3]{4} \times \sqrt[3]{2} = \sqrt[3]{4 \times 2} = \sqrt[3]{8} = 2$$
あるいは指数の形で、$4^{\frac{1}{3}} \times 2^{\frac{1}{3}} = (4 \times 2)^{\frac{1}{3}} = 8^{\frac{1}{3}} = 2$ としてもよいです。
$\sqrt{2} \times \sqrt[3]{4} \times \sqrt[6]{8}$ を計算します。底を $2$ にそろえましょう。
$$\sqrt{2} = 2^{\frac{1}{2}},\quad \sqrt[3]{4} = (2^2)^{\frac{1}{3}} = 2^{\frac{2}{3}},\quad \sqrt[6]{8} = (2^3)^{\frac{1}{6}} = 2^{\frac{3}{6}} = 2^{\frac{1}{2}}$$
$$\therefore\ 2^{\frac{1}{2}} \times 2^{\frac{2}{3}} \times 2^{\frac{1}{2}} = 2^{\frac{1}{2} + \frac{2}{3} + \frac{1}{2}} = 2^{\frac{3}{6} + \frac{4}{6} + \frac{3}{6}} = 2^{\frac{10}{6}} = 2^{\frac{5}{3}}$$
これは $\sqrt[3]{2^5} = \sqrt[3]{32}$ と等しいです。
$a > 0$ のとき、$a^{\frac{1}{2}} + a^{-\frac{1}{2}} = 3$ ならば $a + a^{-1}$ の値を求めましょう。
$a^{\frac{1}{2}} + a^{-\frac{1}{2}} = 3$ の両辺を2乗すると、
$$\left(a^{\frac{1}{2}} + a^{-\frac{1}{2}}\right)^2 = 9$$
$$a + 2 \cdot a^{\frac{1}{2}} \cdot a^{-\frac{1}{2}} + a^{-1} = 9$$
$$a + 2 + a^{-1} = 9$$
$$\therefore\ a + a^{-1} = 7$$
2乗展開の中間項で $a^{\frac{1}{2}} \cdot a^{-\frac{1}{2}} = a^0 = 1$ を見落とすミスがよくあります。
✗ 誤り:$(a^{\frac{1}{2}} + a^{-\frac{1}{2}})^2 = a + a^{-1}$(中間項 $2$ を忘れている)
○ 正しい:$(a^{\frac{1}{2}} + a^{-\frac{1}{2}})^2 = a + 2 + a^{-1}$
$(X + Y)^2 = X^2 + 2XY + Y^2$ の $2XY$ の項を丁寧に計算しましょう。
$\sqrt[3]{5}$ と $\sqrt[4]{7}$ の大小を比較するにはどうすればよいでしょうか。直接比較は難しいですが、指数に変換すれば見通しが良くなります。
$\sqrt[3]{5} = 5^{\frac{1}{3}} = 5^{\frac{4}{12}}$、$\sqrt[4]{7} = 7^{\frac{1}{4}} = 7^{\frac{3}{12}}$ です。
指数を $\frac{1}{12}$ にそろえると、$5^{\frac{4}{12}} = (5^4)^{\frac{1}{12}} = 625^{\frac{1}{12}}$、$7^{\frac{3}{12}} = (7^3)^{\frac{1}{12}} = 343^{\frac{1}{12}}$ です。
$625 > 343$ であり、$f(x) = x^{\frac{1}{12}}$ は増加関数なので、$625^{\frac{1}{12}} > 343^{\frac{1}{12}}$。
$$\therefore\ \sqrt[3]{5} > \sqrt[4]{7}$$
$x^n$ の微分公式 $(x^n)' = nx^{n-1}$ は、$n$ が正の整数のときに導かれますが、実は $n$ が有理数や実数の場合にもそのまま成り立ちます。例えば $(\sqrt{x})' = (x^{\frac{1}{2}})' = \frac{1}{2}x^{-\frac{1}{2}} = \frac{1}{2\sqrt{x}}$ です。この美しい統一性は、分数の指数を「指数法則を保つように」定義したからこそ成り立つのです。
Q1. $\sqrt[3]{-27}$ の値を求めよ。
Q2. $8^{\frac{2}{3}}$ の値を求めよ。
Q3. $a^{\frac{1}{2}} \times a^{\frac{1}{3}}$ を1つの指数にまとめよ($a > 0$)。
Q4. $16^{-\frac{3}{4}}$ の値を求めよ。
Q5. 指数法則により $(a^r)^s = a^{rs}$ が成り立つことを利用して、$a^{\frac{1}{2}}$ を定義する理由を説明せよ。
次の値を求めよ。
(1) $\sqrt[4]{81}$
(2) $27^{\frac{4}{3}}$
(3) $\left(\dfrac{1}{4}\right)^{-\frac{3}{2}}$
(4) $\sqrt[3]{54} + \sqrt[3]{-250} - \sqrt[3]{-16}$
(1) $\sqrt[4]{81} = \sqrt[4]{3^4} = 3$
(2) $27^{\frac{4}{3}} = (\sqrt[3]{27})^4 = 3^4 = 81$
(3) $\left(\dfrac{1}{4}\right)^{-\frac{3}{2}} = 4^{\frac{3}{2}} = (\sqrt{4})^3 = 2^3 = 8$
(4) $\sqrt[3]{54} = \sqrt[3]{27 \cdot 2} = 3\sqrt[3]{2}$
$\sqrt[3]{-250} = -\sqrt[3]{250} = -\sqrt[3]{125 \cdot 2} = -5\sqrt[3]{2}$
$\sqrt[3]{-16} = -\sqrt[3]{16} = -\sqrt[3]{8 \cdot 2} = -2\sqrt[3]{2}$
$\therefore\ 3\sqrt[3]{2} - 5\sqrt[3]{2} - (-2\sqrt[3]{2}) = 3\sqrt[3]{2} - 5\sqrt[3]{2} + 2\sqrt[3]{2} = 0$
$a > 0$ とする。$a^{\frac{1}{2}} - a^{-\frac{1}{2}} = 2$ のとき、次の値を求めよ。
(1) $a + a^{-1}$
(2) $a^{\frac{3}{2}} - a^{-\frac{3}{2}}$
(1) $a^{\frac{1}{2}} - a^{-\frac{1}{2}} = 2$ の両辺を2乗すると、
$$a - 2 \cdot a^{\frac{1}{2}} \cdot a^{-\frac{1}{2}} + a^{-1} = 4$$
$$a - 2 + a^{-1} = 4$$
$$\therefore\ a + a^{-1} = 6$$
(2) $a^{\frac{3}{2}} - a^{-\frac{3}{2}} = \left(a^{\frac{1}{2}}\right)^3 - \left(a^{-\frac{1}{2}}\right)^3$ です。
$X = a^{\frac{1}{2}}$, $Y = a^{-\frac{1}{2}}$ とおくと $X - Y = 2$, $XY = 1$ であり、
$$X^3 - Y^3 = (X - Y)(X^2 + XY + Y^2) = (X - Y)\{(X-Y)^2 + 3XY\}$$
$$= 2 \times (4 + 3) = 14$$
$$\therefore\ a^{\frac{3}{2}} - a^{-\frac{3}{2}} = 14$$
$a^{\frac{1}{2}} = t$ とおく方法もありますが、$t - \frac{1}{t} = 2$ から $t$ を具体的に求めるよりも、対称式の性質を活用する方が効率的です。$X^3 - Y^3 = (X-Y)(X^2 + XY + Y^2)$ の因数分解がポイントです。
次の3つの数を小さい順に並べよ。
$$\sqrt[3]{3},\quad \sqrt[4]{5},\quad \sqrt[6]{11}$$
指数を統一します。$\frac{1}{3}$, $\frac{1}{4}$, $\frac{1}{6}$ の最小公分母は $12$ なので、
$$\sqrt[3]{3} = 3^{\frac{1}{3}} = 3^{\frac{4}{12}} = (3^4)^{\frac{1}{12}} = 81^{\frac{1}{12}}$$
$$\sqrt[4]{5} = 5^{\frac{1}{4}} = 5^{\frac{3}{12}} = (5^3)^{\frac{1}{12}} = 125^{\frac{1}{12}}$$
$$\sqrt[6]{11} = 11^{\frac{1}{6}} = 11^{\frac{2}{12}} = (11^2)^{\frac{1}{12}} = 121^{\frac{1}{12}}$$
$81 < 121 < 125$ であり、$x^{\frac{1}{12}}$($x > 0$)は増加関数なので
$$81^{\frac{1}{12}} < 121^{\frac{1}{12}} < 125^{\frac{1}{12}}$$
$$\therefore\ \sqrt[3]{3} < \sqrt[6]{11} < \sqrt[4]{5}$$
累乗根の大小比較では、指数の分母(根号の指数)をそろえることが定石です。分母の最小公倍数を求め、$\frac{1}{12}$ 乗の形に統一すれば、真数(底の累乗)の大小比較に帰着できます。
$a > 0$、$b > 0$ とする。次の等式を満たす $a$ と $b$ の関係式を求めよ。
$$a^{\frac{2}{3}} b^{\frac{1}{2}} = \left(a^{\frac{1}{3}} b^{\frac{3}{4}}\right)^2 \div (ab)^{\frac{1}{2}}$$
右辺を整理します。
$$\left(a^{\frac{1}{3}} b^{\frac{3}{4}}\right)^2 = a^{\frac{2}{3}} b^{\frac{3}{2}}$$
$$(ab)^{\frac{1}{2}} = a^{\frac{1}{2}} b^{\frac{1}{2}}$$
よって右辺は、
$$\frac{a^{\frac{2}{3}} b^{\frac{3}{2}}}{a^{\frac{1}{2}} b^{\frac{1}{2}}} = a^{\frac{2}{3} - \frac{1}{2}} \cdot b^{\frac{3}{2} - \frac{1}{2}} = a^{\frac{1}{6}} \cdot b^1$$
等式 $a^{\frac{2}{3}} b^{\frac{1}{2}} = a^{\frac{1}{6}} b$ より、
$$a^{\frac{2}{3} - \frac{1}{6}} = b^{1 - \frac{1}{2}}$$
$$a^{\frac{1}{2}} = b^{\frac{1}{2}}$$
両辺を2乗して $a = b$。
$$\therefore\ a = b$$
方針:右辺をすべて指数法則で整理し、左辺と比較します。$a$ と $b$ の指数をそれぞれ比較することで関係式を導きます。指数の計算は分数の四則演算を正確に行うことが重要です。