数学Iで学んだ $a^n$($n$ は正の整数)は「$a$ を $n$ 回掛ける」という意味でした。
しかし「$a$ を $0$ 回掛ける」「$-3$ 回掛ける」「$\frac{1}{2}$ 回掛ける」とは何を意味するのでしょうか?
この記事では、指数の世界を整数から有理数、そして実数へと広げていく道筋を学びます。
$a$ を $n$ 個掛け合わせたものを $a$ の $n$ 乗($n$-th power)といい、$a^n$ と書きます。
$$a^n = \underbrace{a \times a \times \cdots \times a}_{n \text{ 個}}$$
ここで $a$ を底(てい)、$n$ を指数(しすう)と呼びます。$a^n$ 全体を $a$ の累乗(るいじょう)といいます。
数学Iで学んだように、$m$, $n$ が正の整数のとき、次の3つの法則が成り立ちます。
$$\text{(1)} \quad a^m \times a^n = a^{m+n}$$
$$\text{(2)} \quad (a^m)^n = a^{mn}$$
$$\text{(3)} \quad (ab)^n = a^n b^n$$
(1) 同じ底の累乗のかけ算 → 指数を足す
(2) 累乗の累乗 → 指数をかける
(3) 積の累乗 → それぞれ累乗する
法則(1)の確認:$a^m \times a^n = \underbrace{a \times \cdots \times a}_{m \text{ 個}} \times \underbrace{a \times \cdots \times a}_{n \text{ 個}} = \underbrace{a \times \cdots \times a}_{m + n \text{ 個}} = a^{m+n}$
法則(2)の確認:$(a^m)^n = \underbrace{a^m \times a^m \times \cdots \times a^m}_{n \text{ 個}} = a^{\underbrace{m + m + \cdots + m}_{n \text{ 個}}} = a^{mn}$
法則(3)の確認:$(ab)^n = \underbrace{(ab) \times (ab) \times \cdots \times (ab)}_{n \text{ 個}} = \underbrace{a \times \cdots \times a}_{n \text{ 個}} \times \underbrace{b \times \cdots \times b}_{n \text{ 個}} = a^n b^n$
3つの法則はすべて、「$a$ を掛ける回数」を整理しているだけです。
(1) は「$m$ 回掛けてから $n$ 回掛ける → 合計 $m + n$ 回」、(2) は「$m$ 回掛ける操作を $n$ セット → 合計 $m \times n$ 回」。とても自然な法則です。
この記事の目標は、「掛ける回数」が正の整数でなくても、この法則が保たれるように指数を拡張することです。
法則(1)から、$m > n$ のとき次の除法の法則も得られます。
$$\frac{a^m}{a^n} = a^{m-n} \quad (a \neq 0, \; m > n)$$
これは $a^m = a^n \times a^{m-n}$ から両辺を $a^n$ で割れば得られます。しかし、$m = n$ や $m < n$ のときはどうなるでしょうか。ここに「指数の拡張」の動機があります。
$0^n = 0$($n$ が正の整数)は問題ありません。しかし、$0^0$ は数学的に「定義による」もので、文脈によって扱いが異なります。
この章では、指数法則の拡張において底 $a > 0$ かつ $a \neq 0$ を前提とします。底が0や負の場合は特別な注意が必要です。
$a^n$ という「肩に小さく書く」表記を初めて体系的に用いたのは、17世紀のフランスの数学者デカルトです。それ以前は $aaa$ のように文字を繰り返し書いていました。
この簡潔な表記法のおかげで、複雑な式の計算が飛躍的に楽になりました。「良い記号は、それ自体が思考の道具になる」という好例です。
$a^0$ や $a^{-n}$ の値をどう定めるべきでしょうか。自由に決めてよいわけではありません。
もし $a^0$ に変な値を割り当てると、指数法則 $a^m \times a^n = a^{m+n}$ が成り立たなくなってしまいます。逆に言えば、指数法則が成り立つように値を決めるのが自然な拡張です。
数学における「拡張」の基本方針は、すでに成り立っている法則が新しい範囲でもそのまま成り立つように定義することです。
この考え方は指数に限らず、数学のあらゆる場面に登場します。正の数から負の数への拡張、実数から複素数への拡張、すべて同じ原理です。
$a \neq 0$ とします。法則(1) $a^m \times a^n = a^{m+n}$ で $n = 0$ とすると、
$$a^m \times a^0 = a^{m+0} = a^m$$
両辺を $a^m$($\neq 0$)で割ると $a^0 = 1$ が得られます。
$$a^0 = 1 \quad (a \neq 0)$$
「何を0乗しても1」── これは天下りのルールではなく、指数法則を守るための必然的な帰結です。
同様に、法則(1)で $m$ と $-m$ を考えると、
$$a^m \times a^{-m} = a^{m+(-m)} = a^0 = 1$$
よって、$a^{-m} = \dfrac{1}{a^m}$ です。
$$a^{-n} = \frac{1}{a^n} \quad (a \neq 0, \; n \text{ は正の整数})$$
例:$2^{-3} = \dfrac{1}{2^3} = \dfrac{1}{8}$、$\; 5^{-1} = \dfrac{1}{5}$
✗ 誤り:$2^{-3} = -2^3 = -8$
✓ 正しい:$2^{-3} = \dfrac{1}{2^3} = \dfrac{1}{8}$
負の指数は「符号を反転させる」のではなく、「逆数にする」ことを意味します。$a^{-n}$ は常に正の値です($a > 0$ のとき)。
10の累乗を使うと、0乗や負の指数の意味が直感的に見えてきます。
| 指数 | $\cdots$ | $-3$ | $-2$ | $-1$ | $0$ | $1$ | $2$ | $3$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $10^n$ | $\cdots$ | $0.001$ | $0.01$ | $0.1$ | $1$ | $10$ | $100$ | $1000$ | $\cdots$ |
右に1つ進むと $\times 10$、左に1つ進むと $\div 10$ です。この規則が正の整数から0や負の整数まで一貫しています。これが「指数法則を守った拡張」の威力です。
$a \neq 0$ とし、$m$, $n$ を任意の整数とします。
法則(1)の確認($n$ が負の場合の例):$a^3 \times a^{-2} = a^3 \times \dfrac{1}{a^2} = \dfrac{a^3}{a^2} = a = a^{3+(-2)} = a^1$ ✓
法則(2)の確認:$(a^{-2})^3 = \left(\dfrac{1}{a^2}\right)^3 = \dfrac{1}{a^6} = a^{-6} = a^{(-2) \times 3}$ ✓
一般の場合も同様に確認できます。0乗と負の整数の指数を上のように定義すれば、3つの指数法則はすべて、指数が任意の整数のときも成り立ちます。
$0^0$ の値は数学の中でも議論が分かれます。「$a^0 = 1$」の論理は $a \neq 0$ が前提ですし、「$0^n = 0$」の論理は $n > 0$ が前提です。$a = 0$, $n = 0$ を同時に当てはめると矛盾します。
大学数学の組み合わせ論やテイラー展開では $0^0 = 1$ と定めることが多いですが、解析学では不定形として扱うこともあります。「定義は自由だが、都合の良いものを選ぶ」のが数学の流儀です。
ここまでで、指数を整数全体に拡張できました。次のステップは「$a^{\frac{1}{2}}$ とは何か?」です。この問いに答えるために、まず累乗根(るいじょうこん)を学びます。
$n$ を2以上の正の整数とします。$n$ 乗すると $a$ になる数、すなわち $x^n = a$ を満たす $x$ を、$a$ の $n$ 乗根といいます。
2乗根は平方根、3乗根は立方根と呼ばれ、なじみがあるでしょう。4乗根、5乗根、...... をすべてまとめて累乗根といいます。
$n$ が奇数のとき:任意の実数 $a$ に対して、実数の $n$ 乗根はただ1つ存在します。これを $\sqrt[n]{a}$ と書きます。
$n$ が偶数のとき:
$a > 0$ なら、正と負の2つ存在します。正の方を $\sqrt[n]{a}$ と書き、負の方は $-\sqrt[n]{a}$ です。
$a = 0$ なら、$\sqrt[n]{a} = 0$ です。
$a < 0$ なら、実数の範囲には存在しません。
注意:$\sqrt[2]{a}$ は $\sqrt{a}$ と書くのが慣例です。
累乗 $a^n$ は「$a$ を $n$ 回掛ける」操作です。$n$ 乗根はその逆操作であり、「$n$ 回掛けたら $a$ になる数を見つける」ことです。
たし算の逆がひき算、かけ算の逆がわり算であるように、累乗の逆が累乗根です。この「逆操作を定義する」という考え方が、次の分数の指数につながります。
$a > 0$, $b > 0$ とし、$m$, $n$ を2以上の正の整数とすると、次が成り立ちます。
$$\text{(1)} \quad (\sqrt[n]{a})^n = a$$
$$\text{(2)} \quad \sqrt[n]{ab} = \sqrt[n]{a} \cdot \sqrt[n]{b}$$
$$\text{(3)} \quad \sqrt[n]{a^m} = (\sqrt[n]{a})^m$$
$$\text{(4)} \quad \sqrt[m]{\sqrt[n]{a}} = \sqrt[mn]{a}$$
(1)は定義そのもの、(2)〜(4)は定義と正の整数の指数法則から導けます。
$\sqrt[n]{a} \cdot \sqrt[n]{b}$ を $n$ 乗してみます。
$$(\sqrt[n]{a} \cdot \sqrt[n]{b})^n = (\sqrt[n]{a})^n \cdot (\sqrt[n]{b})^n = a \cdot b = ab$$
つまり、$\sqrt[n]{a} \cdot \sqrt[n]{b}$ は「$n$ 乗すると $ab$ になる正の数」です。これは $\sqrt[n]{ab}$ の定義そのものです。よって $\sqrt[n]{ab} = \sqrt[n]{a} \cdot \sqrt[n]{b}$ が成り立ちます。
$n$ が偶数のとき、$\sqrt[n]{a^n} = |a|$ であることに注意してください。
✗ 誤り:$\sqrt{(-3)^2} = -3$
✓ 正しい:$\sqrt{(-3)^2} = \sqrt{9} = 3 = |-3|$
$\sqrt[n]{\phantom{a}}$ の記号は「正の $n$ 乗根」を表すので、結果は常に0以上です。ただし、この章では $a > 0$ を前提とするため、この問題は起こりにくくなります。
計算のコツは、中身を累乗の形に直すことです。
$$\sqrt[3]{8} = \sqrt[3]{2^3} = 2, \qquad \sqrt[4]{81} = \sqrt[4]{3^4} = 3, \qquad \sqrt[3]{-27} = \sqrt[3]{(-3)^3} = -3$$
$\sqrt[3]{-27} = -3$ となるのは、$n = 3$(奇数)のとき負の数にも $n$ 乗根が存在するためです。
指数法則(2) $(a^m)^n = a^{mn}$ が分数の指数でも成り立つなら、$a^{\frac{1}{n}}$ はどうなるべきでしょうか。
$$(a^{\frac{1}{n}})^n = a^{\frac{1}{n} \times n} = a^1 = a$$
つまり、「$n$ 乗すると $a$ になる数」── これは $\sqrt[n]{a}$ そのものです。
$a > 0$, $m$ は整数, $n$ は正の整数($n \geq 2$)のとき、
$$a^{\frac{1}{n}} = \sqrt[n]{a}$$
$$a^{\frac{m}{n}} = \sqrt[n]{a^m} = (\sqrt[n]{a})^m$$
例:$8^{\frac{1}{3}} = \sqrt[3]{8} = 2$、$\; 4^{\frac{3}{2}} = (\sqrt{4})^3 = 2^3 = 8$、$\; 27^{-\frac{2}{3}} = \dfrac{1}{(\sqrt[3]{27})^2} = \dfrac{1}{9}$
$a^{\frac{m}{n}}$ の意味は次のように読み解けます。
・分母の $n$ → $n$ 乗根を取る($\sqrt[n]{\phantom{a}}$)
・分子の $m$ → $m$ 乗する
つまり、$a^{\frac{m}{n}} = (\sqrt[n]{a})^m$ です。$\sqrt[n]{\phantom{a}}$ という記号と $a^{\frac{1}{n}}$ という記号は、同じものを表す2つの書き方にすぎません。指数表記の方が、指数法則がそのまま使えるため計算が格段に楽になります。
分数の指数を定義できるのは、$a > 0$ のときに限ります。
✗ 誤り:$(-8)^{\frac{1}{3}} = \sqrt[3]{-8} = -2$(指数表記では定義しない)
$\sqrt[3]{-8} = -2$ は正しいのですが、分数の指数 $(-8)^{\frac{1}{3}}$ は定義しません。なぜなら、$\dfrac{1}{3} = \dfrac{2}{6}$ と書き直すと $(-8)^{\frac{2}{6}} = \sqrt[6]{(-8)^2} = \sqrt[6]{64}$ となり、結果が変わってしまうからです。
このような矛盾を避けるため、分数の指数では $a > 0$ を前提とします。
$a > 0$, $b > 0$ とし、$r$, $s$ が有理数のとき、次の指数法則がそのまま成り立ちます。
$$\text{(1)} \quad a^r \times a^s = a^{r+s}$$
$$\text{(2)} \quad (a^r)^s = a^{rs}$$
$$\text{(3)} \quad (ab)^r = a^r b^r$$
正の整数のときと全く同じ形の法則が、有理数の範囲でも保たれています。これが「法則を守るように拡張する」ことの成果です。
累乗根の記号 $\sqrt[n]{\phantom{a}}$ のまま計算するより、指数の形 $a^{\frac{m}{n}}$ に書き直して指数法則を使う方が、はるかに効率的です。
計算例1:$\sqrt[3]{4} \times \sqrt[3]{2}$ を簡単にせよ。
$$\sqrt[3]{4} \times \sqrt[3]{2} = 4^{\frac{1}{3}} \times 2^{\frac{1}{3}} = (4 \times 2)^{\frac{1}{3}} = 8^{\frac{1}{3}} = 2$$
計算例2:$\dfrac{a^{\frac{2}{3}} \times a^{\frac{1}{6}}}{a^{\frac{1}{2}}}$ を簡単にせよ($a > 0$)。
$$\frac{a^{\frac{2}{3}} \times a^{\frac{1}{6}}}{a^{\frac{1}{2}}} = a^{\frac{2}{3} + \frac{1}{6} - \frac{1}{2}} = a^{\frac{4}{6} + \frac{1}{6} - \frac{3}{6}} = a^{\frac{2}{6}} = a^{\frac{1}{3}}$$
指数が分数のとき、加減では通分が必要です。ここで計算ミスが頻発します。
✗ 誤り:$a^{\frac{2}{3}} \times a^{\frac{1}{6}} = a^{\frac{3}{9}}$(分子同士・分母同士を足してしまう)
✓ 正しい:$a^{\frac{2}{3}} \times a^{\frac{1}{6}} = a^{\frac{2}{3}+\frac{1}{6}} = a^{\frac{4}{6}+\frac{1}{6}} = a^{\frac{5}{6}}$
指数法則(1) $a^r \times a^s = a^{r+s}$ の「$+$」は指数の足し算であり、分数の足し算のルール(通分)に従います。
累乗根には独自の計算法則がありますが、指数表記に直せば、すべて指数法則の3つの式に帰着します。
$\sqrt[m]{\sqrt[n]{a}} = a^{\frac{1}{mn}}$、$\sqrt[n]{a^m} = a^{\frac{m}{n}}$、$\sqrt[n]{a} \cdot \sqrt[n]{b} = (ab)^{\frac{1}{n}}$ ── すべて指数法則(1)(2)(3)の言い換えです。
大学数学では、さらに $a^z$($z$ は複素数)への拡張もなされます。$e^{i\pi} = -1$(オイラーの公式)はその最も美しい帰結の一つです。
有理数の指数は、累乗根と整数の指数で定義できました。では、$2^{\sqrt{2}}$ のような無理数の指数はどう定義するのでしょうか。
$\sqrt{2} = 1.41421356\ldots$ なので、有理数の列
$$2^1, \; 2^{1.4}, \; 2^{1.41}, \; 2^{1.414}, \; 2^{1.4142}, \; \ldots$$
を考えると、これらの値は一つの実数値に限りなく近づいていきます。この極限値を $2^{\sqrt{2}}$ と定義します。
$$\text{(1)} \quad a^r \times a^s = a^{r+s}$$
$$\text{(2)} \quad (a^r)^s = a^{rs}$$
$$\text{(3)} \quad (ab)^r = a^r b^r$$
3つの指数法則は、$a > 0$, $b > 0$ のもとで、指数が任意の実数のときに成り立ちます。
ここまでの道のりを整理しましょう。指数の定義は次のように段階的に拡張されてきました。
| 指数の範囲 | 定義 | 前提条件 |
|---|---|---|
| 正の整数 $n$ | $a^n = \underbrace{a \times \cdots \times a}_{n}$ | $a$ は任意の実数 |
| $0$ | $a^0 = 1$ | $a \neq 0$ |
| 負の整数 $-n$ | $a^{-n} = \dfrac{1}{a^n}$ | $a \neq 0$ |
| 有理数 $\dfrac{m}{n}$ | $a^{\frac{m}{n}} = \sqrt[n]{a^m}$ | $a > 0$ |
| 実数 $r$ | 有理数列の極限 | $a > 0$ |
各段階で、指数法則が成り立つように定義を決めたのがポイントです。だからこそ、指数が正の整数のときの法則が、実数全体でもそのまま使えるのです。
通常、「定義を決めてから法則を導く」のが数学の流れです。しかし指数の拡張では逆に、「法則(指数法則)を守ることを先に決めて、定義を逆算する」という発想が使われています。
$a^0 = 1$、$a^{-n} = \dfrac{1}{a^n}$、$a^{\frac{1}{n}} = \sqrt[n]{a}$ ── すべて「指数法則が壊れない」ことから導かれた定義です。
指数法則を活用した計算では、以下の変形がよく登場します。
$$\frac{a^r}{a^s} = a^{r-s}, \qquad \frac{1}{a^r} = a^{-r}, \qquad \sqrt[n]{a^m} = a^{\frac{m}{n}}$$
$$a^r \times b^r = (ab)^r, \qquad \frac{a^r}{b^r} = \left(\frac{a}{b}\right)^r$$
これらはすべて指数法則(1)(2)(3)から導かれるものです。新しい公式として暗記する必要はありません。
指数を実数全体に拡張できたおかげで、$a > 0$, $a \neq 1$ のとき、$y = a^x$($x$ は実数)という指数関数が定義できます。
$x$ が連続的に変化すると $y = a^x$ も連続的に変化し、なめらかなグラフを描きます。$a > 1$ なら右上がり(急激な増加)、$0 < a < 1$ なら右下がり(急激な減少)です。
この「指数的増加」は、人口増加、放射性崩壊、複利計算など、自然現象や社会現象を記述する根幹となる関数です。次の記事で詳しく学びます。
指数が有理数・実数の場合は、底 $a > 0$ が必須です。
✗ 誤り:$(-2)^{\frac{1}{2}} = \sqrt{-2}$(実数の範囲では定義されない)
✓ 正しい:$a^r$($r$ が有理数・実数)を考えるとき、$a > 0$ を確認する
問題を解くとき、指数が分数や小数になった瞬間に「底は正か?」をチェックする習慣をつけましょう。
Q1. $3^{-2}$ の値を求めよ。
Q2. $8^{\frac{2}{3}}$ の値を求めよ。
Q3. $\sqrt[4]{16}$ を指数表記で表し、値を求めよ。
Q4. $a^{\frac{3}{4}} \times a^{\frac{1}{4}}$ を簡単にせよ($a > 0$)。
Q5. $\left(\dfrac{1}{27}\right)^{-\frac{2}{3}}$ の値を求めよ。
次の計算をせよ。
(1) $\left(2^3\right)^2 \times 2^{-4}$
(2) $\dfrac{3^5 \times 3^{-2}}{3^4}$
(3) $\sqrt[3]{27} \times \sqrt[3]{9}$
(4) $\left(\dfrac{8}{27}\right)^{\frac{2}{3}}$
方針:すべて指数法則(1)(2)(3)を適用して整理する。
(1) $(2^3)^2 \times 2^{-4} = 2^6 \times 2^{-4} = 2^{6+(-4)} = 2^2 = 4$
(2) $\dfrac{3^5 \times 3^{-2}}{3^4} = \dfrac{3^{5+(-2)}}{3^4} = \dfrac{3^3}{3^4} = 3^{3-4} = 3^{-1} = \dfrac{1}{3}$
(3) $\sqrt[3]{27} \times \sqrt[3]{9} = 27^{\frac{1}{3}} \times 9^{\frac{1}{3}} = (27 \times 9)^{\frac{1}{3}} = 243^{\frac{1}{3}} = (3^5)^{\frac{1}{3}} = 3^{\frac{5}{3}}$
(4) $\left(\dfrac{8}{27}\right)^{\frac{2}{3}} = \dfrac{8^{\frac{2}{3}}}{27^{\frac{2}{3}}} = \dfrac{(\sqrt[3]{8})^2}{(\sqrt[3]{27})^2} = \dfrac{2^2}{3^2} = \dfrac{4}{9}$
$a > 0$ とする。$a + a^{-1} = 3$ のとき、次の値を求めよ。
(1) $a^2 + a^{-2}$
(2) $a^{\frac{1}{2}} + a^{-\frac{1}{2}}$($a^{\frac{1}{2}} + a^{-\frac{1}{2}} > 0$ とする)
方針:$a + a^{-1} = 3$ を利用して、$a^2 + a^{-2}$ や $a^{\frac{1}{2}} + a^{-\frac{1}{2}}$ を対称式の変形で求める。
(1) $(a + a^{-1})^2 = a^2 + 2 \cdot a \cdot a^{-1} + a^{-2} = a^2 + 2 + a^{-2}$
よって $a^2 + a^{-2} = (a + a^{-1})^2 - 2 = 3^2 - 2 = 7$
(2) $(a^{\frac{1}{2}} + a^{-\frac{1}{2}})^2 = a + 2 \cdot a^{\frac{1}{2}} \cdot a^{-\frac{1}{2}} + a^{-1} = (a + a^{-1}) + 2 = 3 + 2 = 5$
$a^{\frac{1}{2}} + a^{-\frac{1}{2}} > 0$ より $a^{\frac{1}{2}} + a^{-\frac{1}{2}} = \sqrt{5}$
$a + a^{-1}$ のような「対称式」の値が与えられたとき、2乗して展開することで $a^2 + a^{-2}$ が求まります。このテクニックは指数の問題で非常に頻出です。(2)では逆に「ルートを取る」方向に進みます。指数法則 $a^{\frac{1}{2}} \cdot a^{-\frac{1}{2}} = a^0 = 1$ を使うのがポイントです。
$x > 0$ のとき、次の式を $x^p$ の形($p$ は有理数)で表せ。
(1) $\dfrac{\sqrt{x} \cdot \sqrt[3]{x^2}}{x^2}$
(2) $\left(x^{\frac{3}{2}}\right)^4 \div \left(\sqrt[3]{x}\right)^5$
方針:累乗根を指数表記に直し、指数法則で整理する。
(1) $\dfrac{\sqrt{x} \cdot \sqrt[3]{x^2}}{x^2} = \dfrac{x^{\frac{1}{2}} \cdot x^{\frac{2}{3}}}{x^2} = \dfrac{x^{\frac{1}{2}+\frac{2}{3}}}{x^2} = \dfrac{x^{\frac{3}{6}+\frac{4}{6}}}{x^2} = \dfrac{x^{\frac{7}{6}}}{x^2} = x^{\frac{7}{6}-2} = x^{-\frac{5}{6}}$
(2) $\left(x^{\frac{3}{2}}\right)^4 \div \left(\sqrt[3]{x}\right)^5 = x^{\frac{3}{2} \times 4} \div x^{\frac{1}{3} \times 5} = x^6 \div x^{\frac{5}{3}} = x^{6-\frac{5}{3}} = x^{\frac{18}{3}-\frac{5}{3}} = x^{\frac{13}{3}}$
累乗根が混在する計算は、まず $\sqrt[n]{x^m} = x^{\frac{m}{n}}$ に統一するのが鉄則です。そうすれば、あとは分数の指数の加減だけの問題になります。通分を正確に行うことが成功の鍵です。
$a > 0$ とする。$a^{\frac{1}{3}} + a^{-\frac{1}{3}} = 3$ のとき、次の値を求めよ。
(1) $a + a^{-1}$
(2) $a^{\frac{2}{3}} - a^{-\frac{2}{3}}$($a > 1$ とする)
方針:$t = a^{\frac{1}{3}} + a^{-\frac{1}{3}} = 3$ とおく。$a + a^{-1}$ は $t^3$ の展開、$a^{\frac{2}{3}} - a^{-\frac{2}{3}}$ は $t^2$ との関係を利用して求める。
(1) $t = a^{\frac{1}{3}} + a^{-\frac{1}{3}}$ とおく。
$$t^3 = \left(a^{\frac{1}{3}} + a^{-\frac{1}{3}}\right)^3 = a + 3a^{\frac{1}{3}} + 3a^{-\frac{1}{3}} + a^{-1}$$
$$= (a + a^{-1}) + 3\left(a^{\frac{1}{3}} + a^{-\frac{1}{3}}\right) = (a + a^{-1}) + 3t$$
よって $a + a^{-1} = t^3 - 3t = 27 - 9 = 18$
(2) まず $a^{\frac{2}{3}} + a^{-\frac{2}{3}}$ を求める。
$$t^2 = \left(a^{\frac{1}{3}} + a^{-\frac{1}{3}}\right)^2 = a^{\frac{2}{3}} + 2 + a^{-\frac{2}{3}}$$
よって $a^{\frac{2}{3}} + a^{-\frac{2}{3}} = t^2 - 2 = 9 - 2 = 7$
次に $(a^{\frac{2}{3}} - a^{-\frac{2}{3}})^2 = (a^{\frac{2}{3}} + a^{-\frac{2}{3}})^2 - 4 = 49 - 4 = 45$
$a > 1$ のとき $a^{\frac{2}{3}} > 1 > a^{-\frac{2}{3}}$ なので $a^{\frac{2}{3}} - a^{-\frac{2}{3}} > 0$
よって $a^{\frac{2}{3}} - a^{-\frac{2}{3}} = \sqrt{45} = 3\sqrt{5}$
$a^{\frac{1}{3}} + a^{-\frac{1}{3}}$ の3乗を展開するとき、$(p + q)^3 = p^3 + q^3 + 3pq(p + q)$ という公式を使います。ここで $p \cdot q = a^{\frac{1}{3}} \cdot a^{-\frac{1}{3}} = a^0 = 1$ なので、$p^3 + q^3 = t^3 - 3t$ と求まります。(2)では「和と差」の関係 $(p-q)^2 = (p+q)^2 - 4pq$ を利用しています。