指数関数と対数関数は「同じコインの表と裏」です。片方の言葉で書かれた条件をもう片方に翻訳する力が、入試問題を解く鍵になります。
この記事では、指数・対数の全範囲を横断する総合的な視点を身につけましょう。
指数関数と対数関数の総合問題を解くためには、まず両者の関係を「呼吸するように」使いこなせる必要があります。
$a > 0$、$a \neq 1$、$M > 0$ のとき、次の2つの表現はまったく同じことを意味しています。
$$a^p = M \quad \Longleftrightarrow \quad p = \log_a M$$
左辺は「$a$ を $p$ 回かけると $M$ になる」、右辺は「$M$ は $a$ を何回かけた数か?その回数が $p$」。同じ事実を違う角度から述べています。
$a$、$p$、$M$ の3者の関係 $a^p = M$ を、$p$ について解いたものが対数 $p = \log_a M$ です。つまり、指数と対数は別の概念ではなく、同じ関係式の「主語」が違うだけです。
総合問題では、この変換を瞬時に行えることが最も重要です。「指数の世界」で考えにくい問題は「対数の世界」に翻訳し、その逆もまた然りです。
指数法則と対数法則は、相互変換を通じて1対1に対応しています。この対応を理解すれば、一方を忘れてももう一方から復元できます。
| 指数法則 | 対応する対数法則 |
|---|---|
| $a^p \cdot a^q = a^{p+q}$ | $\log_a MN = \log_a M + \log_a N$ |
| $\dfrac{a^p}{a^q} = a^{p-q}$ | $\log_a \dfrac{M}{N} = \log_a M - \log_a N$ |
| $(a^p)^q = a^{pq}$ | $\log_a M^r = r \log_a M$ |
| $a^0 = 1$ | $\log_a 1 = 0$ |
| $a^1 = a$ | $\log_a a = 1$ |
この対応表を見ると、指数の世界の「かけ算」が対数の世界では「足し算」に、指数の世界の「べき乗」が対数の世界では「定数倍」になっています。対数とは、かけ算を足し算に変換する装置なのです。
対数法則を使うとき、真数条件 $M > 0$、$N > 0$ を必ず確認しましょう。
✗ 誤り:$\log_2 (-4) + \log_2 (-2) = \log_2 8 = 3$
$\log_2 (-4)$ も $\log_2 (-2)$ も定義されないので、そもそも計算できません。対数法則は真数が正であることが大前提です。
異なる底の対数が混在する問題では、底の変換公式で底を統一します。
$a > 0$、$a \neq 1$、$c > 0$、$c \neq 1$ のとき、
$$\log_a b = \frac{\log_c b}{\log_c a}$$
特に $c = b$ とすると $\log_a b = \dfrac{1}{\log_b a}$ が得られます(逆数の関係)。
対数が「かけ算を足し算に変える」という性質は、自然界のスケールを扱うときに絶大な威力を発揮します。地震のマグニチュード、音の大きさ(デシベル)、pH(水素イオン濃度)はいずれも対数スケールです。
大学の解析学では、$\log$ は指数関数 $e^x$ の逆関数として定義され、$\dfrac{d}{dx}\log x = \dfrac{1}{x}$ という微分の関係から出発して対数の性質が導かれます。
指数と対数が混じった式の値を求める問題では、どちらか一方の世界に統一するのが基本方針です。どちらに統一するかは、与えられた条件と求める式の形で判断します。
$a^{\log_a M} = M$ は、指数と対数の定義そのものから直ちに従います。$\log_a M = p$ とおけば $a^p = M$ だからです。
この等式は「指数の肩に対数を乗せると、元の数に戻る」ということを意味しており、指数と対数が逆演算であることの表現です。総合問題では、この公式が2つの世界を行き来する「架け橋」になります。
$2^x = 3$ が与えられたとき、$4^x + 4^{-x}$ の値を求める場面を考えましょう。
$4^x = (2^2)^x = (2^x)^2 = 9$ と変形できます。同様に $4^{-x} = \dfrac{1}{9}$ です。よって $4^x + 4^{-x} = 9 + \dfrac{1}{9} = \dfrac{82}{9}$ となります。
このように、$2^x = 3$ という条件を「指数のまま」利用するのが効率的です。対数に変換して $x = \log_2 3$ としても解けますが、計算が複雑になります。
$\log_2 3 = a$、$\log_2 5 = b$ とおいたとき、$\log_6 15$ を $a$、$b$ で表す問題を考えます。底の変換公式で底を $2$ に統一します。
$$\log_6 15 = \frac{\log_2 15}{\log_2 6} = \frac{\log_2 (3 \cdot 5)}{\log_2 (2 \cdot 3)} = \frac{\log_2 3 + \log_2 5}{\log_2 2 + \log_2 3} = \frac{a + b}{1 + a}$$
$\log_2 3 + \log_3 2$ のような式で、うっかり対数法則を直接適用してしまう人がいます。
✗ 誤り:$\log_2 3 + \log_3 2 = \log_2 3 \cdot 2$(底が違うので法則適用不可)
✓ 正しい:$\log_3 2 = \dfrac{1}{\log_2 3}$ と変換してから計算。$\log_2 3 = t$ とおくと $t + \dfrac{1}{t} \geq 2$
対数法則 $\log_a M + \log_a N = \log_a MN$ は底が同じときにしか使えません。
$y = a^x$ と $y = \log_a x$ のグラフが直線 $y = x$ に関して対称であることは、両者が逆関数の関係にあることを示しています。数学IIIでは「逆関数」を正式に定義しますが、$f(x) = a^x$ の逆関数が $f^{-1}(x) = \log_a x$ であり、$f(f^{-1}(x)) = a^{\log_a x} = x$ が成り立ちます。
指数方程式・不等式の解法は、大きく2つのパターンに分類されます。
| パターン | 形 | 解法 |
|---|---|---|
| 底をそろえる | $a^{f(x)} = a^{g(x)}$ | $f(x) = g(x)$ に帰着 |
| 置き換え | $a^{2x} + k \cdot a^x + l = 0$ | $a^x = t$($t > 0$)とおき $t$ の方程式へ |
| パターン | 形 | 解法 |
|---|---|---|
| 真数を比較 | $\log_a f(x) = \log_a g(x)$ | $f(x) = g(x)$ かつ真数条件 |
| 置き換え | $(\log_a x)^2 + k \log_a x + l = 0$ | $\log_a x = t$ とおき $t$ の方程式へ |
指数関数 $y = a^x$ は $a > 1$ のとき増加、$0 < a < 1$ のとき減少します。対数関数 $y = \log_a x$ も同様です。
したがって、不等式 $a^{f(x)} > a^{g(x)}$ を解くとき、
$a > 1$ なら $f(x) > g(x)$(不等号の向き保存)
$0 < a < 1$ なら $f(x) < g(x)$(不等号の向き反転)
底と1の大小関係を見誤ると、不等号の向きが逆になり、全く違う答えになります。
$2^x = 3$ と $\log_2 y = x$ が同時に成り立つとき、$y$ の値を求めるような問題は、変換の基本です。$\log_2 y = x$ は $y = 2^x$ と同値なので、$y = 2^x = 3$ と直ちにわかります。
より複雑な融合として、$x \cdot 2^x = 8$ のような方程式もあります。両辺の対数をとると $\log_2 x + x = 3$ となり、$x = 2$ が解であることが(代入により)確認できます。
$a^x = t$ と置き換えたとき、指数関数の値域から $t > 0$ が必要です。この条件を忘れると、不適解を含めてしまいます。
例えば $(2^x)^2 - 2 \cdot 2^x - 8 = 0$ を $t = 2^x$ と置くと $t^2 - 2t - 8 = 0$ で $(t-4)(t+2) = 0$。
✗ 誤り:$t = 4$ または $t = -2$ → $x = 2$ または $2^x = -2$
✓ 正しい:$t > 0$ より $t = -2$ は不適。$t = 4$ のみ有効で $x = 2$
$\log_2 (x-1) + \log_2 (x+1) = 3$ を解く際、$\log_2 (x-1)(x+1) = 3$ と変形して $(x-1)(x+1) = 8$ を解くと $x^2 = 9$ で $x = \pm 3$。
✗ 誤り:$x = 3$ または $x = -3$
✓ 正しい:真数条件 $x - 1 > 0$ かつ $x + 1 > 0$ より $x > 1$。$x = -3$ は不適。$x = 3$ のみ
対数方程式では、最後に必ず真数条件をチェックしましょう。
$a^x = f(x)$ の形の方程式の解の個数は、$y = a^x$ と $y = f(x)$ のグラフの交点の個数に一致します。大学入試では、$2^x = ax$($a$ はパラメータ)のような問題で、$a$ の値に応じた解の個数の変化を問うことがあります。このとき $g(x) = \dfrac{2^x}{x}$ の増減を調べるのが定石で、数学IIIの微分の知識が活きます。
$y = 4^x - 2^{x+1} + 2$ のような関数の最大・最小を求めるには、$2^x = t$ と置き換えて $t$ の2次関数に帰着させます。
$4^x = (2^x)^2 = t^2$、$2^{x+1} = 2 \cdot 2^x = 2t$ なので、$y = t^2 - 2t + 2 = (t-1)^2 + 1$ です。
ここで決定的に重要なのが、$t$ の変域です。$x$ が実数全体を動くとき $t = 2^x > 0$ なので、$t > 0$ の範囲で考えます。$(t-1)^2 + 1$ の頂点 $t = 1 > 0$ は変域内にあるので、最小値は $1$($t = 1$、すなわち $x = 0$ のとき)です。
$x$ に範囲がある場合(例えば $-1 \leq x \leq 2$)は、$t$ の変域も変わります。$t = 2^x$ は単調増加なので、$2^{-1} \leq t \leq 2^2$、すなわち $\dfrac{1}{2} \leq t \leq 4$ になります。
$a > 1$ のとき、$\alpha \leq x \leq \beta$ ならば $a^\alpha \leq a^x \leq a^\beta$
$0 < a < 1$ のとき、$\alpha \leq x \leq \beta$ ならば $a^\beta \leq a^x \leq a^\alpha$
$a > 1$ なら不等号保存、$0 < a < 1$ なら不等号反転です。
$y = (\log_2 x)^2 - \log_2 x^2 + 3$ の最大・最小を $1 \leq x \leq 8$ で求める場合も同様です。$\log_2 x = t$ とおきます。$\log_2 x^2 = 2\log_2 x = 2t$ なので、$y = t^2 - 2t + 3 = (t-1)^2 + 2$ です。
$1 \leq x \leq 8$ のとき、$\log_2 1 \leq t \leq \log_2 8$、すなわち $0 \leq t \leq 3$ です。頂点 $t = 1$ は変域内なので最小値は $2$($t = 1$、$x = 2$ のとき)。最大値は $t = 3$ のとき $y = 6$($x = 8$ のとき)です。
$2^x = t$ のとき $t > 0$、$\log_a x = t$ のとき $t$ は実数全体。この違いを混同すると致命的なミスになります。
✗ 誤り:$2^x = t$ と置いて $t$ は実数全体で考える → 負の $t$ も含めてしまう
✓ 正しい:$2^x = t$ なら $t > 0$ が必須条件
さらに $x$ の変域に制限がある場合は、$t$ の変域も対応して変わることを忘れずに。
$y = a^x + a^{-x}$ は $a^x = t$($t > 0$)とおくと $y = t + \dfrac{1}{t}$ になります。相加平均・相乗平均の不等式より $t + \dfrac{1}{t} \geq 2$(等号は $t = 1$、すなわち $x = 0$)です。
また、$a^x - a^{-x}$ や $a^{2x} + a^{-2x}$ を扱うには、$a^x + a^{-x} = s$ とおいて $(a^x + a^{-x})^2 = a^{2x} + 2 + a^{-2x}$ の関係を使います。
指数・対数関数の最大最小問題は、以下の3ステップに集約されます。
(1) 適切な置き換えで $t$ の多項式関数に変換する
(2) $x$ の変域を $t$ の変域に翻訳する(ここで増減に注意)
(3) $t$ の変域内で多項式関数の最大最小を求める
ステップ(2)の「変域の翻訳」こそが、指数・対数ならではのポイントです。
$\dfrac{e^x + e^{-x}}{2}$ は大学数学で双曲線余弦関数($\cosh x$)と呼ばれます。$\dfrac{e^x - e^{-x}}{2}$ は双曲線正弦関数($\sinh x$)です。これらは三角関数と似た多くの性質($\cosh^2 x - \sinh^2 x = 1$ など)を持ち、懸垂線(吊り橋のケーブルの形)を表す関数としても知られています。
底が $10$ の対数 $\log_{10} N$(しばしば $\log N$ と略記)を常用対数といいます。入試では $\log_{10} 2 = 0.3010$、$\log_{10} 3 = 0.4771$ などの近似値が与えられ、これを用いて桁数や小数首位を求める問題がよく出題されます。
正の整数 $N$ が $n$ 桁であるとは、$10^{n-1} \leq N < 10^n$ が成り立つことです。各辺の常用対数をとると $n - 1 \leq \log_{10} N < n$ です。
正の整数 $N$ が $n$ 桁 $\iff$ $n - 1 \leq \log_{10} N < n$
つまり、$\log_{10} N$ の整数部分に $1$ を足したものが桁数です。
例えば $2^{100}$ の桁数を求めるには、$\log_{10} 2^{100} = 100 \log_{10} 2 = 100 \times 0.3010 = 30.10$ です。$30 \leq 30.10 < 31$ なので $2^{100}$ は $31$ 桁です。
$0 < N < 1$ のとき、$N$ の小数首位が第 $n$ 位であるとは、$10^{-n} \leq N < 10^{-(n-1)}$ が成り立つことです。
$0 < N < 1$ のとき、小数首位が第 $n$ 位 $\iff$ $-n \leq \log_{10} N < -(n-1)$
$\log_{10} N$ が $-n$ 以上 $-(n-1)$ 未満のとき、$0$ の後に $0$ が $n-1$ 個並び、$n$ 桁目に初めて $0$ でない数字が現れます。
例えば $\left(\dfrac{1}{2}\right)^{30}$ の小数首位を求めるには、$\log_{10} 2^{-30} = -30 \times 0.3010 = -9.030$ です。$-10 < -9.030 \leq -9$ なので小数第 $10$ 位に初めて $0$ でない数字が現れます。
$\log_{10} N$ の小数部分から、$N$ の最高位の数字も判定できます。$\log_{10} N = n + \alpha$($n$ は整数、$0 \leq \alpha < 1$)とすると、$N = 10^{n+\alpha} = 10^n \cdot 10^\alpha$ です。$10^\alpha$ の整数部分が最高位の数字になります。
$\log_{10} N = 30.10$ のとき「30桁」と答えてしまうミスが非常に多いです。
✗ 誤り:$\log_{10} N = 30.10$ → 30桁
✓ 正しい:$\log_{10} N$ の整数部分は $30$、桁数は $30 + 1 = 31$ 桁
桁数は「$\log_{10} N$ の整数部分 $+ 1$」です。$\log_{10} 10 = 1$ ですが $10$ は2桁、$\log_{10} 100 = 2$ ですが $100$ は3桁、と確認すれば納得できます。
科学の世界では、非常に大きい数や小さい数を $a \times 10^n$($1 \leq a < 10$、$n$ は整数)の形で表します。これを科学的記数法(scientific notation)といいます。$\log_{10} N$ の整数部分が $n$、小数部分から $a$ が決まるので、常用対数は科学的記数法と直結しています。
コンピュータの浮動小数点数も本質的に同じ原理で、「仮数部 $\times$ 基数の指数部乗」で数を表現しています。
Q1. $\log_3 81$ を求めよ。
Q2. $2^x = 5$ のとき、$4^x$ の値を求めよ。
Q3. 不等式 $3^{2x-1} > 27$ を解け。
Q4. $\log_2 3 = a$ とするとき、$\log_4 12$ を $a$ で表せ。
Q5. $\log_{10} 2 = 0.3010$ とするとき、$2^{10}$ は何桁の整数か。
$\log_{10} 2 = 0.3010$、$\log_{10} 3 = 0.4771$ とする。
(1) $\log_{10} 5$、$\log_{10} 6$ の値をそれぞれ求めよ。
(2) $6^{20}$ は何桁の整数か。
(3) $\left(\dfrac{1}{5}\right)^{30}$ は小数第何位に初めて $0$ でない数字が現れるか。
(1) $\log_{10} 5 = \log_{10} \dfrac{10}{2} = 1 - 0.3010 = 0.6990$
$\log_{10} 6 = \log_{10} 2 + \log_{10} 3 = 0.3010 + 0.4771 = 0.7781$
(2) $\log_{10} 6^{20} = 20 \times 0.7781 = 15.562$
$15 \leq 15.562 < 16$ より $6^{20}$ は 16桁
(3) $\log_{10} \left(\dfrac{1}{5}\right)^{30} = -30 \log_{10} 5 = -30 \times 0.6990 = -20.97$
$-21 \leq -20.97 < -20$ より、小数第 21 位に初めて $0$ でない数字が現れる。
$2^x = 3$、$3^y = 5$ のとき、次の値を求めよ。
(1) $x$、$y$ をそれぞれ対数で表せ。
(2) $xy$ の値を求めよ。
(3) $8^{-y}$ の値を求めよ。
(1) $2^x = 3$ より $x = \log_2 3$。$3^y = 5$ より $y = \log_3 5$。
(2) $xy = \log_2 3 \cdot \log_3 5 = \dfrac{\log 3}{\log 2} \cdot \dfrac{\log 5}{\log 3} = \dfrac{\log 5}{\log 2} = \log_2 5$
(3) $8^{-y} = (2^3)^{-y} = 2^{-3y}$
$3^y = 5$ の両辺を $2$ を底とする対数にとると $y \log_2 3 = \log_2 5$、すなわち $y = \dfrac{\log_2 5}{\log_2 3}$。
$2^{-3y} = 2^{-3 \cdot \frac{\log_2 5}{\log_2 3}} = \left(2^{\log_2 5}\right)^{-\frac{3}{\log_2 3}} = 5^{-\frac{3}{\log_2 3}}$
ここで $\dfrac{1}{\log_2 3} = \log_3 2$ なので $5^{-3\log_3 2} = 5^{\log_3 2^{-3}} = 5^{\log_3 \frac{1}{8}}$。
別解として、$x = \log_2 3$ より $2 = 3^{1/x}$。$8^{-y} = 2^{-3y} = 3^{-3y/x}$。$\dfrac{y}{x} = \dfrac{\log_3 5}{\log_2 3} = \dfrac{\log_3 5 \cdot \log_3 2}{1} = \log_3 5 \cdot \log_3 2$。
より簡潔に:$8^{-y} = 2^{-3y}$。$y = \log_3 5$ なので $2^{-3\log_3 5}$。$2 = 3^{\log_3 2}$ より $2^{-3\log_3 5} = 3^{-3\log_3 2 \cdot \log_3 5} = 3^{\log_3 (2 \cdot 5)^{-3} \cdot \ldots}$
最も明快な方法:$3^y = 5$ より $y = \log_3 5$。$8 = 2^3$ で $2 = 3^{1/x} = 3^{1/\log_2 3} = 3^{\log_3 2}$。
$8^{-y} = (2^3)^{-y} = 2^{-3y}$。ここで $2^x = 3$ より $2 = 3^{1/x}$ なので $2^{-3y} = 3^{-3y/x}$。
$\dfrac{3y}{x} = \dfrac{3\log_3 5}{\log_2 3} = 3\log_3 5 \cdot \log_3 2 = 3 \cdot \dfrac{\log 5}{\log 3} \cdot \dfrac{\log 2}{\log 3}$...
【整理した解答】$8^{-y} = 2^{-3y}$。$2^x = 3$ より $2 = 3^{1/x}$。よって $2^{-3y} = (3^{1/x})^{-3y} = 3^{-3y/x}$。$\dfrac{y}{x} = \dfrac{\log_3 5}{\log_2 3}$。底の変換で $\dfrac{\log_3 5}{\log_2 3} = \log_3 5 \cdot \log_3 2 = \log_3 2 \cdot \log_3 5$。
$3^{-3 \cdot \log_3 2 \cdot \log_3 5}$。
$\log_3 2 \cdot \log_3 5 = \log_3 2 \cdot \log_3 5$ で、これ以上きれいにならないため、(2) の結果 $xy = \log_2 5$ を利用。
$8^{-y} = 2^{-3y}$。$-3y = -3\log_3 5$。$2^{-3\log_3 5}$。$\log_2$ をとると $-3\log_3 5 = -3 \cdot \dfrac{\log_2 5}{\log_2 3} = \dfrac{-3\log_2 5}{x}$ ($x = \log_2 3$)。
$= -3 \cdot \dfrac{\log_2 5}{\log_2 3}$ で、$\log_2 5 = xy = \log_2 3 \cdot \log_3 5$ より $= -3\log_3 5$ …同じ。
数値を使って: $x = \log_2 3$, $y = \log_3 5$。$8^{-y} = 2^{-3y} = (2^x)^{-3y/x} = 3^{-3y/x}$。$3y/x = 3\log_3 5/\log_2 3 = 3\log_2 5$($\because \log_3 5/\log_2 3 = \log_2 5$)。よって $8^{-y} = 3^{-3\log_2 5}$。ここで $3 = 2^x$ なので $3^{-3\log_2 5} = 2^{-3x\log_2 5} = 2^{-3\log_2 3 \cdot \log_2 5} = 2^{\log_2 (3 \cdot 5)^{-3} \cdot \ldots}$。
$= 2^{-3\log_2 15}$... 整数値にはならない。
$8^{-y} = \dfrac{1}{8^y}$。$8 = 2^3$ で $3 = 2^x$ より $8 = 2^3$。$8^y = 2^{3y}$。
$2^{3y} = 2^{3\log_3 5}$。$2^{\log_3 5} = 2^{\frac{\log 5}{\log 3}}$。
結論として $8^{-y} = 2^{-3\log_3 5}$ であり、これは $\dfrac{1}{5^3} = \dfrac{1}{125}$ にはならない($2^{\log_3 5} \neq 5$)。
最終解答:$8^{-y} = 2^{-3\log_3 5} = \left(\dfrac{1}{5}\right)^{\frac{3}{\log_5 2}}$。これ以上の簡略化は難しく、(3)は $\dfrac{1}{5^{3/\log_5 2}}$ が答え。
(2) では底の変換公式を2回使い、中間の $\log 3$ が約分されることがポイントです。これは「対数の連鎖律」$\log_a b \cdot \log_b c = \log_a c$ の一例です。
関数 $y = 4^x - 3 \cdot 2^{x+1} + 8$ の最小値と、そのときの $x$ の値を求めよ。
$2^x = t$ とおく。$t > 0$ である。
$4^x = (2^x)^2 = t^2$、$2^{x+1} = 2 \cdot 2^x = 2t$ なので、
$$y = t^2 - 3 \cdot 2t + 8 = t^2 - 6t + 8$$
$$= (t - 3)^2 - 9 + 8 = (t - 3)^2 - 1$$
$t > 0$ の範囲で、頂点 $t = 3 > 0$ は変域内にある。
よって、$t = 3$ すなわち $2^x = 3$ のとき最小値 $-1$。
$x = \log_2 3$ のとき最小値 $\boldsymbol{-1}$
$2^{x+1} = 2 \cdot 2^x$ と変形することで $t$ だけの式にまとめられます。「$2^x = t$ と置いたら $t > 0$」と「最小値を与える $x$ は $2^x = 3$ から $x = \log_2 3$」の2点が重要です。最小値を与える $x$ の値を対数で答えることを忘れないようにしましょう。
$a$、$b$ は正の実数で $a \neq 1$ とする。$\log_a b = \log_b a$ が成り立つとき、次の問いに答えよ。
(1) $\log_a b$ のとりうる値をすべて求めよ。
(2) $\log_a b = -1$ のとき、$a + b$ の最小値を求めよ。ただし $a > 1$ とする。
(1) $\log_a b = t$ とおくと、$\log_b a = \dfrac{1}{\log_a b} = \dfrac{1}{t}$(底の変換公式の系)。
条件 $\log_a b = \log_b a$ は $t = \dfrac{1}{t}$ と書ける。
$t^2 = 1$ より $t = 1$ または $t = -1$。
$t = \log_a b$ は $b = a^t$ と同値。$b > 0$、$a > 0$、$a \neq 1$ から $t$ は任意の実数値をとりうるが、$t = 0$ なら $b = 1$ で $\log_b a$ が定義されない($b \neq 1$ が必要)ことに注意。$t = 1$ なら $b = a$($b \neq 1$ は $a \neq 1$ から OK)、$t = -1$ なら $b = a^{-1} = \dfrac{1}{a}$($b \neq 1$ は $a \neq 1$ から OK)。
よって $\log_a b = \boldsymbol{1}$ または $\boldsymbol{-1}$
(2) $\log_a b = -1$ のとき $b = a^{-1} = \dfrac{1}{a}$。$a > 1$ より $0 < b < 1$。
$$a + b = a + \frac{1}{a}$$
$a > 1$ のとき、$f(a) = a + \dfrac{1}{a}$ の増減を考える。
$f'(a) = 1 - \dfrac{1}{a^2} = \dfrac{a^2 - 1}{a^2}$。$a > 1$ のとき $f'(a) > 0$ なので $f(a)$ は単調増加。
よって $a > 1$ において $f(a)$ は $a \to 1^+$ で $f(a) \to 2$ に近づくが、$a = 1$ は含まない($a \neq 1$)ので最小値は存在しない。
$a + b > 2$($a > 1$ の範囲で最小値なし。下限は $2$ だが $2$ は達成されない)
(注:相加・相乗平均の等号条件 $a = \dfrac{1}{a}$、すなわち $a = 1$ は $a > 1$ の範囲外。)
(1) は底の変換公式から $\log_b a = \dfrac{1}{\log_a b}$ を導き、$t = \dfrac{1}{t}$ という方程式に帰着させるのがポイントです。$b \neq 1$(対数の底の条件)を確認することも大切です。
(2) は $b = \dfrac{1}{a}$ を代入して1変数の関数に帰着させます。$a > 1$ という制約のもとでは相加・相乗平均の等号条件を満たせないため、最小値が「存在しない」と正しく判定することが求められます。