第5章 指数関数と対数関数

指数・対数と最大最小
─ 「おき換え」と「相加相乗平均」で攻略する

指数関数や対数関数を含む式の最大値・最小値を求めるには、どうすればよいでしょうか。
答えは「見慣れた形に帰着させる」ことです。$2^x = t$ とおき換えて2次関数にしたり、相加相乗平均の不等式を活用したり ── 本質を理解すれば、どんな問題にも対応できます。

1指数関数の最大・最小 ─ なぜ「おき換え」が必要なのか

指数を含む関数の困難さ

$y = 4^x - 2 \cdot 2^x + 5$ のような関数の最大値・最小値を求めたいとします。$4^x$ や $2^x$ が混在していて、このままでは手の出しようがありません。

しかし、よく見ると $4^x = (2^2)^x = (2^x)^2$ です。つまり $2^x = t$ とおけば、$4^x = t^2$ となり、もとの関数は $t$ の2次関数に変わります。2次関数の最大・最小は既に学んだ道具で解けますから、「未知の問題を既知の問題に帰着させる」ことができるのです。

💡 ここが本質:おき換えで「既知の問題」に帰着させる

指数関数の最大・最小問題の核心は、$a^x = t$ とおき換えることで$t$ の2次関数の問題に帰着させることです。

$4^x$、$8^x$ などは $2^x$ のべき乗で表せるので、底をそろえてから $2^x = t$ とおくのが定石です。この「見慣れた形に変換する」という発想は、数学全体に通じる重要な考え方です。

おき換えの手順

具体的な手順を追ってみましょう。$0 \leq x \leq 3$ のとき、$y = 4^x - 2 \cdot 2^x + 5$ の最大値と最小値を求めます。

Step 1:底をそろえる

$4^x = (2^x)^2$ なので、

$$y = (2^x)^2 - 2 \cdot 2^x + 5$$

Step 2:$2^x = t$ とおく

$y = t^2 - 2t + 5$ ── これは $t$ の2次関数です。

Step 3:$t$ の変域を求める(最重要!)

$0 \leq x \leq 3$ のとき、$2^x$ は単調増加なので、

$$2^0 \leq 2^x \leq 2^3 \quad \Longleftrightarrow \quad 1 \leq t \leq 8$$

Step 4:2次関数の最大・最小を求める

$$y = t^2 - 2t + 5 = (t - 1)^2 + 4$$

$1 \leq t \leq 8$ の範囲で、$t = 1$ のとき最小値 $4$、$t = 8$ のとき最大値 $53$ です。

Step 5:$x$ の値に戻す

$t = 1$ すなわち $2^x = 1$ より $x = 0$、$t = 8$ すなわち $2^x = 8$ より $x = 3$ です。

📐 指数関数の最大・最小の基本手順

1. 底をそろえる($4^x = (2^x)^2$、$8^x = (2^x)^3$ など)

2. $a^x = t$($t > 0$)とおき、$t$ の関数に変換する

3. $x$ の変域から $t$ の変域を求める

4. $t$ の関数として最大・最小を求める

5. $t$ の値から $x$ の値に戻す

Step 3 の「$t$ の変域を求める」を忘れるミスが非常に多いので要注意です。

⚠️ 落とし穴:おき換えたら変域を忘れない

$2^x = t$ とおき換えたとき、最も多い失敗は$t$ の変域を設定し忘れることです。

✗ 誤り:$y = t^2 - 2t + 5$ の最小値は $t = 1$ で $4$ → 正しいが偶然

✓ 正しい:$0 \leq x \leq 3$ より $1 \leq t \leq 8$ を明示し、この範囲での最小値を求める

もし $x$ の範囲が $1 \leq x \leq 3$ なら $t$ の範囲は $2 \leq t \leq 8$ に変わり、最小値も変わります。変域の設定は解答の正誤を左右します。

$a^x + a^{-x}$ 型の問題

もう1つよく出るのが、$a^x + a^{-x}$ を含む問題です。$2^x = t$($t > 0$)とおくと $2^{-x} = \frac{1}{t}$ ですから、$2^x + 2^{-x} = t + \frac{1}{t}$ となります。

例えば、$y = 4^x - 3 \cdot 2^x + 3 \cdot 2^{-x} - 4^{-x}$ は、$2^x - 2^{-x} = u$ とおくと整理できる場合があります。このように、対称的な構造を見抜くことが鍵になります。

⚠️ 落とし穴:$t > 0$ を忘れない

$a^x = t$ とおいたとき、指数関数は常に正の値をとるので $t > 0$ です。

✗ 誤り:$2^x = t$ とおくと $y = t^2 - 6t + 5 = (t-3)^2 - 4$ だから $t = 3$ で最小値 $-4$ → $t > 0$ の確認なしに答えている

✓ 正しい:$2^x = t > 0$ とおく。$x$ の範囲に制限がなければ $t > 0$ 全体で考える。$t = 3 > 0$ なので最小値 $-4$ は確かに実現する

$t > 0$ の範囲に2次関数の頂点が含まれるかどうか、必ず確認しましょう。

🔬 深掘りTips:なぜ $4^x = (2^x)^2$ が使えるのか ── 指数法則の威力

$(a^m)^n = a^{mn}$ という指数法則が、おき換えを可能にしています。$4^x = (2^2)^x = 2^{2x} = (2^x)^2$ は、$4 = 2^2$ と「底の統一」ができるから成り立ちます。

大学数学では、指数関数 $e^x$(ネイピア数 $e \approx 2.718$ を底とする指数関数)にすべての指数関数を統一します。$a^x = e^{x \ln a}$ と表せるので、$e^x$ だけを扱えば十分なのです。これが「自然対数」が「自然」と呼ばれる理由の1つです。

2対数関数の最大・最小 ─ 底の大小と変域の変換

対数関数でも「おき換え」が基本

対数関数の最大・最小問題でも、基本的な戦略は指数のときと同じです。$\log_a x = t$ とおき換えて、$t$ の2次関数の問題に帰着させます。

例えば、$1 \leq x \leq 8$ のとき、$y = (\log_2 x)^2 + 8\log_4 x + \log_2 32$ の最大値と最小値を求めてみましょう。

底の統一が先

まず、対数の底をそろえます。$\log_4 x = \frac{\log_2 x}{\log_2 4} = \frac{\log_2 x}{2}$ なので、

$$y = (\log_2 x)^2 + 8 \cdot \frac{\log_2 x}{2} + 5 = (\log_2 x)^2 + 4\log_2 x + 5$$

$\log_2 x = t$ とおくと、$y = t^2 + 4t + 5 = (t + 2)^2 + 1$ です。

$t$ の変域を求める ── 底の大小に注意

$1 \leq x \leq 8$ で、底 $2 > 1$ なので $\log_2$ は単調増加です。よって、

$$\log_2 1 \leq t \leq \log_2 8 \quad \Longleftrightarrow \quad 0 \leq t \leq 3$$

$y = (t + 2)^2 + 1$ は頂点 $t = -2$ の上に凸の放物線(下に凸)で、$0 \leq t \leq 3$ の範囲では $t = 0$ で最小値 $5$、$t = 3$ で最大値 $26$ です。

$t = 0$ のとき $x = 2^0 = 1$、$t = 3$ のとき $x = 2^3 = 8$。

💡 ここが本質:底が1より大きいか小さいかで不等号の向きが変わる

$\log_a x = t$ とおき換えるとき、$x$ の変域から $t$ の変域を求める際に、底 $a$ と $1$ の大小関係が決定的に重要です。

$a > 1$ のとき $\log_a$ は単調増加:$x$ の大小と $t$ の大小が一致します。

$0 < a < 1$ のとき $\log_a$ は単調減少:$x$ の大小と $t$ の大小が逆転します。

この違いを意識しないと、$t$ の変域を間違えて全く違う答えになります。

⚠️ 落とし穴:底が $0 < a < 1$ のとき、不等号が逆転する

例えば $\frac{1}{2} \leq x \leq 4$ で $\log_{1/2} x = t$ とおくとき、底 $\frac{1}{2} < 1$ なので不等号が逆転します。

✗ 誤り:$\log_{1/2} \frac{1}{2} \leq t \leq \log_{1/2} 4$ つまり $1 \leq t \leq -2$(矛盾!)

✓ 正しい:底が $1$ より小さいので $\log_{1/2} 4 \leq t \leq \log_{1/2} \frac{1}{2}$ つまり $-2 \leq t \leq 1$

底が $1$ 未満のときは、$x$ が大きいほど $\log_a x$ は小さくなることを思い出しましょう。

真数に式が入る場合

$y = \log_2(x - 2) + 2\log_4(3 - x)$ のように、真数部分に $x$ の1次式が入る場合もあります。このときは次の2点に注意します。

  • 真数条件:$x - 2 > 0$ かつ $3 - x > 0$ より $2 < x < 3$
  • 底の統一:$\log_4(3 - x) = \frac{\log_2(3 - x)}{2}$ で底をそろえる

こうして得られた式に、さらに $\log_2(x - 2) = t$ などとおき換えを行います。真数条件から $x$ の定義域が決まり、それが $t$ の変域に反映されます。

🔬 深掘りTips:対数の底の変換公式と「自然対数」

底の変換公式 $\log_a b = \frac{\log_c b}{\log_c a}$ は、底を自由に変えられるという対数の柔軟性を示しています。

大学数学や科学の世界では、底をネイピア数 $e$ にそろえた $\ln x = \log_e x$(自然対数)が標準です。微分すると $(\ln x)' = \frac{1}{x}$ という美しい関係が成り立つからです。高校で学ぶ底の変換は、大学でのこの統一の予行演習とも言えます。

3相加相乗平均の活用 ─ 指数・対数での威力

相加相乗平均の不等式とは

まず、核心となる不等式を確認しましょう。

📐 相加平均・相乗平均の関係(AM-GM不等式)

$a > 0$、$b > 0$ のとき、

$$\frac{a + b}{2} \geq \sqrt{ab} \quad \Longleftrightarrow \quad a + b \geq 2\sqrt{ab}$$

等号成立条件は $a = b$ のとき。

左辺(相加平均)は常に右辺(相乗平均)以上である、という不等式です。

▷ なぜ成り立つのか

$a > 0$、$b > 0$ のとき、

$$a + b - 2\sqrt{ab} = (\sqrt{a})^2 - 2\sqrt{a}\sqrt{b} + (\sqrt{b})^2 = (\sqrt{a} - \sqrt{b})^2 \geq 0$$

$(\sqrt{a} - \sqrt{b})^2 \geq 0$ は常に成り立ち、等号は $\sqrt{a} = \sqrt{b}$、すなわち $a = b$ のときです。

指数関数での活用:$a^x + a^{-x}$ の最小値

相加相乗平均が指数関数で威力を発揮する典型例が、$a^x + a^{-x}$ の最小値です。

$a^x > 0$、$a^{-x} > 0$ なので、相加相乗平均を適用できます。

$$a^x + a^{-x} \geq 2\sqrt{a^x \cdot a^{-x}} = 2\sqrt{a^0} = 2\sqrt{1} = 2$$

等号成立は $a^x = a^{-x}$ つまり $x = 0$ のときです。

したがって、$a^x + a^{-x}$ は $x = 0$ のとき最小値 $2$ をとります。

💡 ここが本質:「積が定数」なら相加相乗平均

相加相乗平均が使えるのは、2つの正の数の積が定数のときです。$a^x \cdot a^{-x} = a^0 = 1$(定数)だから使えるのです。

「和の最小値を求めたいとき、積が定数なら相加相乗平均」── これが判断基準です。逆に「積の最大値を求めたいとき、和が定数なら相加相乗平均」も成り立ちます。

対数関数での活用

$x > 0$、$y > 0$、$x + y = 8$ のとき、$\log_2 x + \log_2 y$ の最大値を求めてみましょう。

$$\log_2 x + \log_2 y = \log_2 (xy)$$

底 $2 > 1$ なので、$xy$ が最大のとき $\log_2(xy)$ も最大です。

ここで、$x + y = 8$(和が定数)で $xy$ の最大値を求めたいので、相加相乗平均を使います。

$$\frac{x + y}{2} \geq \sqrt{xy} \quad \Longrightarrow \quad 4 \geq \sqrt{xy} \quad \Longrightarrow \quad xy \leq 16$$

等号は $x = y = 4$ のときです。よって $\log_2 x + \log_2 y$ の最大値は $\log_2 16 = 4$ です。

⚠️ 落とし穴:等号成立条件を確認すること

相加相乗平均を使うときは、等号が成立する条件が実際に満たされるかを必ず確認しましょう。

例えば $x > 0$、$y > 0$、$2x + y = 6$ のとき $xy$ の最大値を求める際、$x = y$ とすると $3x = 6$ で $x = y = 2$ ですが、これは直接 AM-GM を適用した場合の等号条件ではありません。

正しくは $2x$ と $y$ に AM-GM を適用し、$2x = y$ つまり $y = 2x$ が等号条件です。$2x + 2x = 6$ より $x = \frac{3}{2}$、$y = 3$。このとき $xy = \frac{9}{2}$ が最大値です。

指数と相加相乗平均の組み合わせ

$y = 2^x + 2^{2-x}$ の最小値を求めてみましょう。$2^x > 0$ かつ $2^{2-x} > 0$ なので、相加相乗平均が使えます。

$$2^x + 2^{2-x} \geq 2\sqrt{2^x \cdot 2^{2-x}} = 2\sqrt{2^{x + 2 - x}} = 2\sqrt{2^2} = 2 \cdot 2 = 4$$

等号は $2^x = 2^{2-x}$ つまり $x = 2 - x$ より $x = 1$ のときです。よって最小値は $4$($x = 1$ のとき)です。

🔬 深掘りTips:AM-GM不等式の一般化 ── $n$ 変数版と重み付き版

2変数の相加相乗平均 $\frac{a+b}{2} \geq \sqrt{ab}$ は、$n$ 変数に一般化できます。

$$\frac{a_1 + a_2 + \cdots + a_n}{n} \geq \sqrt[n]{a_1 a_2 \cdots a_n} \quad (a_i > 0)$$

さらに、重み付きの不等式(重み付き AM-GM)も存在し、大学の数学や情報科学で広く使われています。高校で学ぶ2変数版は、この豊かな理論のほんの入口です。

42変数問題への拡張 ─ 条件式の扱い方

条件式がある2変数問題

入試では「$x > 0$、$y > 0$、$xy = 8$ のとき $(\log_2 x)(\log_2 y)$ の最大値と最小値を求めよ」のような2変数問題が頻出します。こうした問題の基本方針は条件式を使って対数の世界に翻訳し、1変数化することです。

対数でのおき換えによる1変数化

$xy = 8$ の両辺の $\log_2$ をとると、

$$\log_2 x + \log_2 y = \log_2 8 = 3$$

$\log_2 x = s$、$\log_2 y = t$ とおくと、$s + t = 3$ です。求めるものは $st$ の最大値・最小値です。

$t = 3 - s$ を代入すると、

$$st = s(3 - s) = -s^2 + 3s = -\left(s - \frac{3}{2}\right)^2 + \frac{9}{4}$$

ここで $x \geq 1$、$y \geq 1$ などの条件があれば $s$、$t$ の変域が定まり、この2次関数の最大・最小が求まります。

💡 ここが本質:対数をとって「形を統一する」

$xy = 8$ という積の条件は、対数をとると $\log_2 x + \log_2 y = 3$ という和の条件に変わります。求めるものが $(\log_2 x)(\log_2 y)$ なら、条件も求める式も対数で統一されるので、$s = \log_2 x$、$t = \log_2 y$ とおけば「和が定数のとき積の最大・最小」という見慣れた問題に帰着します。

このように条件式と目的式の「形をそろえる」ことが、2変数問題攻略の鍵です。

$x + y = 8$(和の条件)の場合

$x > 0$、$y > 0$、$x + y = 8$ のとき $\log_2 x + \log_2 y$ の最大値を求める場合は、先ほどセクション3で見たように、$\log_2 x + \log_2 y = \log_2(xy)$ と変形し、$xy$ の最大値を相加相乗平均で求める方法が有効です。

定数を含む2次式型

定数 $a$ を含む $y = 4^x - a \cdot 2^x - 1$($1 \leq x \leq 2$)のような問題では、$2^x = t$ とおくと $y = t^2 - at - 1$($2 \leq t \leq 4$)となり、$a$ の値による場合分けが必要になります。軸 $t = \frac{a}{2}$ と区間 $[2, 4]$ の位置関係で場合分けするのです。

⚠️ 落とし穴:定数パラメータを含む場合の場合分け

$y = t^2 - at - 1$($2 \leq t \leq 4$)の最小値を求めるとき、軸 $t = \frac{a}{2}$ の位置で3通りに場合分けが必要です。

(i) $\frac{a}{2} < 2$ つまり $a < 4$ のとき:$t = 2$ で最小

(ii) $2 \leq \frac{a}{2} \leq 4$ つまり $4 \leq a \leq 8$ のとき:$t = \frac{a}{2}$ で最小

(iii) $\frac{a}{2} > 4$ つまり $a > 8$ のとき:$t = 4$ で最小

場合分けの境界値($a = 4$ や $a = 8$)で答えが一致することを確認するのも大切です。

🔬 深掘りTips:ラグランジュの未定乗数法 ── 条件付き最適化の一般論

「$g(x, y) = 0$ のもとで $f(x, y)$ の最大・最小を求める」問題を条件付き最適化といいます。高校では代入や相加相乗平均で解きますが、大学数学ではラグランジュの未定乗数法という強力な手法が使えます。

$\nabla f = \lambda \nabla g$(勾配ベクトルが平行になる点を探す)という条件を立てることで、機械的に極値を求められます。物理学や経済学でも必須のツールです。

5解法パターンの整理 ─ 問題を見たときの判断基準

問題を見たらまず何をするか

指数・対数の最大最小問題は、いくつかのパターンに分類できます。問題を見たとき、どの方針を選ぶか迷わないように整理しておきましょう。

パターン 見分け方 解法
指数の2次式型 $4^x$ と $2^x$ が混在 $2^x = t$ とおき、$t$ の2次関数に帰着
対数の2次式型 $(\log x)^2$ と $\log x$ が混在 $\log x = t$ とおき、$t$ の2次関数に帰着
$a^x + a^{-x}$ 型 $a^x$ と $a^{-x}$ の和・差 相加相乗平均、または $a^x + a^{-x} = u$ とおき換え
2変数・積の条件 $xy = k$ の条件がある 対数をとって和の条件に変換
2変数・和の条件 $x + y = k$ で $\log$ の和を最大化 $\log(xy)$ に変形し、相加相乗平均で $xy$ の最大値
定数パラメータ型 定数 $a$ を含む式 おき換え後、軸と区間の位置関係で場合分け

おき換えのコツ:底の統一が最優先

どのパターンでも、最初にやるべきことは底の統一です。$4^x$、$8^x$ は $2^x$ のべき乗に、$\log_4 x$、$\log_8 x$ は底の変換公式で $\log_2 x$ に統一します。底がバラバラのままおき換えても、きれいな式になりません。

おき換え後の変域確認チェックリスト

おき換えを行ったら、以下を毎回確認しましょう。

  • $a^x = t$ のとき:$t > 0$(指数関数は常に正)
  • $x$ の変域があるとき:$a > 1$ なら不等号の向きは同じ、$0 < a < 1$ なら逆転
  • $\log_a x = t$ のとき:真数条件 $x > 0$ と $x$ の変域から $t$ の変域を求める
  • 等号成立条件が元の条件を満たすか確認
📐 おき換え時の変域変換のまとめ

指数のおき換え($a^x = t$、$p \leq x \leq q$)

$a > 1$ のとき:$a^p \leq t \leq a^q$

$0 < a < 1$ のとき:$a^q \leq t \leq a^p$

対数のおき換え($\log_a x = t$、$p \leq x \leq q$、$p > 0$)

$a > 1$ のとき:$\log_a p \leq t \leq \log_a q$

$0 < a < 1$ のとき:$\log_a q \leq t \leq \log_a p$

いずれも $a$ と $1$ の大小関係で不等号の向きが決まります。

⚠️ 落とし穴:$x$ の値に戻し忘れる

おき換えて $t$ の値で最大・最小を求めた後、$x$ の値に戻すのを忘れる答案がよくあります。

✗ 誤り:$t = 4$ のとき最小値 $-3$($t$ の値だけ書いて終わり)

✓ 正しい:$t = 4$ すなわち $2^x = 4$ より $x = 2$ のとき最小値 $-3$

「おき換えで解いた答えは仮の姿。元の文字に翻訳するまでが解答」と心得ましょう。

俯瞰マップ ─ この記事で学んだことのつながり

  • 指数法則($4^x = (2^x)^2$ など)が、おき換えを可能にする土台。指数法則を理解しているかがすべての出発点。
  • 2次関数の最大・最小(数学I)が、おき換え後の処理を担当する。平方完成・軸と区間の位置関係はここで再登場する。
  • 相加相乗平均(数学II 式と証明)が、おき換えでは処理しにくい問題を解決する。「積が定数 → 和の最小」「和が定数 → 積の最大」が使い分けのポイント。
  • 底の変換公式が、対数の底の統一を可能にする。底がバラバラな問題は、まず底を統一してからおき換えに入る。
  • 対数の性質($\log(xy) = \log x + \log y$)が、積の条件を和の条件に変換する武器。2変数問題では対数をとることで見通しが良くなる。

📋まとめ

  • おき換えによる帰着:$a^x = t$ や $\log_a x = t$ とおいて、$t$ の2次関数の最大・最小問題に帰着させる。底をそろえてからおき換えるのが鉄則。
  • 変域の変換:おき換えたら必ず $t$ の変域を求める。底が $1$ より大きいか小さいかで不等号の向きが変わることに注意。$a^x = t$ のとき $t > 0$ も忘れずに。
  • 相加相乗平均の利用:$a > 0$、$b > 0$ のとき $a + b \geq 2\sqrt{ab}$。「積が定数なら和の最小値」「和が定数なら積の最大値」が判断基準。等号成立条件の確認を忘れない。
  • 2変数問題の対数化:積の条件 $xy = k$ は対数をとると和の条件 $\log x + \log y = \log k$ に変わる。条件と目的式の形をそろえて1変数化する。
  • 場合分けの発生:定数パラメータを含む問題では、おき換え後に軸と区間の位置関係による場合分けが必要。場合分けの境界で答えが一致するか確認する。

✅ 確認テスト

Q1. $2^x = t$ とおくとき、$4^x + 3 \cdot 2^x$ を $t$ の式で表せ。また $t$ の取りうる値の範囲を述べよ。

▶ クリックして解答を表示 $4^x = (2^x)^2 = t^2$ なので、$4^x + 3 \cdot 2^x = t^2 + 3t$。$t = 2^x > 0$ なので $t > 0$。

Q2. $0 \leq x \leq 2$ のとき、$y = 4^x - 6 \cdot 2^x + 5$ の最小値を求めよ。

▶ クリックして解答を表示 $2^x = t$ とおくと $1 \leq t \leq 4$。$y = t^2 - 6t + 5 = (t-3)^2 - 4$。$1 \leq t \leq 4$ で $t = 3$(すなわち $x = \log_2 3$)のとき最小値 $-4$。

Q3. $1 \leq x \leq 4$ のとき $\log_2 x = t$ とおくと、$t$ の変域を求めよ。底を $\frac{1}{2}$ に変えた場合はどうなるか。

▶ クリックして解答を表示 底 $2 > 1$(単調増加)なので $\log_2 1 \leq t \leq \log_2 4$、つまり $0 \leq t \leq 2$。底 $\frac{1}{2} < 1$(単調減少)なら $\log_{1/2} 4 \leq t \leq \log_{1/2} 1$、つまり $-2 \leq t \leq 0$。

Q4. $a > 0$、$b > 0$、$ab = 9$ のとき、$a + b$ の最小値を相加相乗平均を用いて求めよ。

▶ クリックして解答を表示 $a + b \geq 2\sqrt{ab} = 2\sqrt{9} = 6$。等号は $a = b = 3$ のとき。よって最小値は $6$。

Q5. $3^x + 3^{1-x}$ の最小値を求めよ。

▶ クリックして解答を表示 $3^x > 0$、$3^{1-x} > 0$ で積は $3^x \cdot 3^{1-x} = 3^1 = 3$(定数)。相加相乗平均より $3^x + 3^{1-x} \geq 2\sqrt{3}$。等号は $3^x = 3^{1-x}$、つまり $x = 1 - x$ すなわち $x = \frac{1}{2}$ のとき。最小値 $2\sqrt{3}$。

📝入試問題演習

問題 1 A 基礎 おき換え

$-1 \leq x \leq 2$ のとき、関数 $y = 4^x - 4 \cdot 2^x + 3$ の最大値と最小値、およびそのときの $x$ の値を求めよ。

▶ クリックして解答を表示
方針

$4^x = (2^x)^2$ なので $2^x = t$ とおけば $t$ の2次関数になります。$x$ の変域から $t$ の変域を定め、平方完成して最大・最小を求めます。

解答

$2^x = t$ とおくと、$-1 \leq x \leq 2$ より $2^{-1} \leq t \leq 2^2$ すなわち $\frac{1}{2} \leq t \leq 4$。

$$y = t^2 - 4t + 3 = (t - 2)^2 - 1$$

$\frac{1}{2} \leq t \leq 4$ において、

$t = 2$($2^x = 2$ より $x = 1$)のとき 最小値 $-1$

$t = 4$($2^x = 4$ より $x = 2$)のとき 最大値 $3$

($t = \frac{1}{2}$ のとき $y = \frac{1}{4} - 2 + 3 = \frac{5}{4}$ なので $t = 4$ のときが最大)

問題 2 B 標準 対数のおき換え

$1 \leq x \leq 9$ のとき、関数 $y = (\log_3 x)^2 - 4\log_3 x + 1$ の最大値と最小値を求めよ。また、そのときの $x$ の値を求めよ。

▶ クリックして解答を表示
方針

$\log_3 x = t$ とおくと $y$ は $t$ の2次関数になります。底 $3 > 1$ なので、$1 \leq x \leq 9$ から $t$ の変域を求めます。

解答

$\log_3 x = t$ とおくと、底 $3 > 1$(単調増加)より $1 \leq x \leq 9$ のとき $\log_3 1 \leq t \leq \log_3 9$、すなわち $0 \leq t \leq 2$。

$$y = t^2 - 4t + 1 = (t - 2)^2 - 3$$

$0 \leq t \leq 2$ において、

$t = 2$($\log_3 x = 2$ より $x = 9$)のとき 最小値 $-3$

$t = 0$($\log_3 x = 0$ より $x = 1$)のとき 最大値 $1$

採点のポイント
  • $t$ の変域 $0 \leq t \leq 2$ を正しく求めていること
  • 平方完成を正しく行い、定義域での最大・最小を求めていること
  • $t$ の値から $x$ の値に戻していること
問題 3 B 標準 相加相乗平均

$x > 0$、$y > 0$、$x + y = 6$ のとき、次の値を求めよ。

(1) $xy$ の最大値とそのときの $x$、$y$ の値

(2) $\log_2 x + \log_2 y$ の最大値とそのときの $x$、$y$ の値

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方針

(1) は「和が定数のとき、積の最大値」なので相加相乗平均を使います。(2) は $\log_2 x + \log_2 y = \log_2(xy)$ と変形し、(1) の結果を利用します。

解答

(1) 相加相乗平均より $\frac{x + y}{2} \geq \sqrt{xy}$ なので $3 \geq \sqrt{xy}$、よって $xy \leq 9$。

等号は $x = y$ すなわち $x = y = 3$ のとき。よって $xy$ の最大値は $9$。

(2) $\log_2 x + \log_2 y = \log_2(xy)$

底 $2 > 1$ なので、$xy$ が最大のとき $\log_2(xy)$ も最大。

(1) より $xy$ の最大値は $9$($x = y = 3$ のとき)。

よって $\log_2 x + \log_2 y$ の最大値は $\log_2 9 = 2\log_2 3$($x = y = 3$ のとき)。

採点のポイント
  • 相加相乗平均を正しく適用し等号条件を明示していること
  • (2) で対数の性質を使って $\log_2(xy)$ に変形していること
  • 底が $1$ より大きいことから単調増加を利用していること
問題 4 C 発展 2変数・対数

$x \geq 2$、$y \geq 2$、$xy = 16$ のとき、$(\log_2 x)(\log_2 y)$ の最大値と最小値を求めよ。また、そのときの $x$、$y$ の値を求めよ。

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方針

条件 $xy = 16$ を対数の世界に翻訳し、$\log_2 x = s$、$\log_2 y = t$ とおいて1変数化します。$s + t$ が定数となるので、$st$ は $s$ の2次関数として扱えます。

解答

$\log_2 x = s$、$\log_2 y = t$ とおく。

$xy = 16$ の両辺の $\log_2$ をとると $s + t = 4$。

$x \geq 2$ より $s \geq 1$、$y \geq 2$ より $t \geq 1$。$s + t = 4$ と合わせて $1 \leq s \leq 3$。

$$(\log_2 x)(\log_2 y) = st = s(4 - s) = -s^2 + 4s = -(s - 2)^2 + 4$$

$1 \leq s \leq 3$ において、

$s = 2$($x = 4$、$y = 4$)のとき 最大値 $4$

$s = 1$($x = 2$、$y = 8$)または $s = 3$($x = 8$、$y = 2$)のとき 最小値 $3$

採点のポイント
  • $xy = 16$ を対数で $s + t = 4$ に変換していること
  • $x \geq 2$、$y \geq 2$ から $s$、$t$ の変域を正しく求めていること
  • $st$ を $s$ の2次関数として平方完成し、最大・最小を正しく求めていること
  • $s$、$t$ の値から $x$、$y$ の値に戻していること