$2^{100}$ は何桁の数でしょうか? 答えは31桁ですが、これを瞬時に求める道具が常用対数です。
底を10にした対数 $\log_{10}$ は、巨大な数や極小の数の「大きさの感覚」を掴むための最強のツールです。
対数には底として任意の正の数(1を除く)を使えますが、底を10にした対数を特別に常用対数(common logarithm)と呼びます。
正の数 $N$ に対し、$10$ を底とする対数
$$\log_{10} N$$
を $N$ の常用対数という。
常用対数では底の $10$ を省略して $\log N$ と書くことがあります。入試では文脈に注意しましょう。
私たちが日常使う数は10進法で表されています。10進法では、数の「桁数」は10のべき乗と直結しています。
このように、桁数は「$10$ を何回かけたか」で決まります。底を10にした対数なら、この「10を何回かけたか」をそのまま数値として取り出せるのです。
$\log_{10} N$ の値は「$N$ が $10$ の何乗にあたるか」を表します。たとえば $\log_{10} 1000 = 3$ は「$1000 = 10^3$」を意味します。
この「ものさし」があれば、$2^{100}$ のような直接計算できない巨大な数でも、その桁数や最高位の数字を求めることができます。常用対数は、掛け算の世界を足し算の世界に変換する道具なのです。
以下の値は頻出ですので、確実に使えるようにしておきましょう。
| $N$ | $\log_{10} N$ | 意味 |
|---|---|---|
| $1$ | $0$ | $10^0 = 1$ |
| $10$ | $1$ | $10^1 = 10$ |
| $100$ | $2$ | $10^2 = 100$ |
| $2$ | $0.3010$ | $10^{0.3010} \fallingdotseq 2$ |
| $3$ | $0.4771$ | $10^{0.4771} \fallingdotseq 3$ |
| $5$ | $0.6990$ | $5 = \frac{10}{2}$ より $1 - 0.3010$ |
| $7$ | $0.8451$ | 問題で与えられることが多い |
$\log_{10} 5$ は $\log_{10} 2$ と $\log_{10} 3$ から直接は求まらないように思えますが、$5 = \frac{10}{2}$ を利用します。
✗ 誤り:$\log_{10} 5 = \log_{10} 2 + \log_{10} 3 = 0.7781$($5 = 2 + 3$ ではない!)
✓ 正しい:$\log_{10} 5 = \log_{10} \frac{10}{2} = \log_{10} 10 - \log_{10} 2 = 1 - 0.3010 = 0.6990$
対数の性質は積・商・べき乗に対して使えるもので、和・差には使えません。
対数は1614年にネイピアが発明し、のちにブリッグスが底を10に改良しました。当時、天文学者は膨大な掛け算に苦しんでいましたが、対数表を使えば掛け算を足し算に変換できるため、計算時間が劇的に短縮されました。
ラプラスは「対数は天文学者の寿命を倍にした」と評しています。電卓やコンピュータがない時代、対数表は科学計算の必需品でした。
常用対数の計算問題では、$\log_{10} 2 = 0.3010$、$\log_{10} 3 = 0.4771$ が与えられ、これらを使ってさまざまな数の常用対数を求めます。ポイントは、真数を $2$、$3$、$10$ の積・商・べき乗に分解することです。
$\log_{10} 2 = 0.3010$、$\log_{10} 3 = 0.4771$ が与えられたとき:
$$\log_{10} 4 = \log_{10} 2^2 = 2 \log_{10} 2 = 0.6020$$
$$\log_{10} 5 = \log_{10} \frac{10}{2} = 1 - \log_{10} 2 = 0.6990$$
$$\log_{10} 6 = \log_{10} (2 \cdot 3) = \log_{10} 2 + \log_{10} 3 = 0.7781$$
$$\log_{10} 8 = \log_{10} 2^3 = 3 \log_{10} 2 = 0.9030$$
$$\log_{10} 9 = \log_{10} 3^2 = 2 \log_{10} 3 = 0.9542$$
真数を $2^a \cdot 3^b \cdot 10^c$ の形に分解するのがコツです。
真数が小数や分数のときも、10のべき乗を使って $1$ から $10$ の範囲の数に帰着させます。
たとえば $\log_{10} 0.006$ を求めてみましょう。
$$\log_{10} 0.006 = \log_{10} (6 \times 10^{-3}) = \log_{10} 6 + \log_{10} 10^{-3}$$
$$= \log_{10} 2 + \log_{10} 3 - 3 = 0.3010 + 0.4771 - 3 = -2.2219$$
任意の正の数 $N$ は $N = z \times 10^n$($1 \leq z < 10$、$n$ は整数)と表せます。このとき
$$\log_{10} N = n + \log_{10} z$$
ここで $0 \leq \log_{10} z < 1$ です。つまり、常用対数の整数部分が $10^n$ の指数を、小数部分が $1$ から $10$ の間のどこにあるかを示しています。この分解が、桁数や最高位の判定の基礎になります。
入試で最も多い計算パターンは、$\log_{10} a^n = n \log_{10} a$ を使って大きなべき乗の常用対数を求めるものです。
たとえば $\log_{10} 6^{50}$ なら、
$$\log_{10} 6^{50} = 50 \log_{10} 6 = 50(\log_{10} 2 + \log_{10} 3) = 50(0.3010 + 0.4771) = 38.905$$
この値から「$6^{50}$ は39桁の数」と判定できます(詳しくは次のセクション)。
対数の性質は積・商・べき乗に使えますが、和・差には使えません。
✗ 誤り:$\log_{10}(2 + 3) = \log_{10} 2 + \log_{10} 3$
✓ 正しい:$\log_{10}(2 \cdot 3) = \log_{10} 2 + \log_{10} 3$
$\log_{10}(2 + 3) = \log_{10} 5 = 0.6990$ であり、$\log_{10} 2 + \log_{10} 3 = 0.7781$ とは異なります。真数を分解するときは、必ず掛け算・割り算の形にしましょう。
かつての教科書の巻末には「常用対数表」が載っていました。$1.00$ から $9.99$ までの数の常用対数を小数第4位まで示した表です。たとえば $\log_{10} 7.31 = 0.8639$ がわかれば、$\log_{10} 7310 = 0.8639 + 3 = 3.8639$ のように活用できます。
現在は電卓やコンピュータで瞬時に計算できますが、「対数で掛け算を足し算に変換する」という原理は、情報理論や信号処理など現代の科学技術でも中核的な役割を果たしています。
正の整数 $N$ が $n$ 桁であるとはどういうことでしょうか。$n$ 桁の数は $10^{n-1}$ 以上 $10^n$ 未満です。たとえば3桁なら $100 \leq N < 1000$、すなわち $10^2 \leq N < 10^3$ です。
この不等式の各辺の常用対数をとると、$10$ は底と同じなので計算が非常に簡単になります。
正の整数 $N$ が $n$ 桁であるとする。
$$10^{n-1} \leq N < 10^n$$
各辺の常用対数をとると($\log_{10}$ は単調増加関数なので不等号の向きは変わらない)、
$$n - 1 \leq \log_{10} N < n$$
つまり、$\log_{10} N$ の整数部分が $n - 1$ であれば、$N$ は $n$ 桁です。
正の整数 $N$ について
$$n - 1 \leq \log_{10} N < n \quad \Longleftrightarrow \quad N \text{ は } n \text{ 桁の整数}$$
言い換えれば、$\log_{10} N$ の整数部分に $1$ を足したものが桁数です。
$2^{100}$ が何桁の数かを求めてみましょう。$\log_{10} 2 = 0.3010$ を使います。
$$\log_{10} 2^{100} = 100 \log_{10} 2 = 100 \times 0.3010 = 30.10$$
$30 \leq 30.10 < 31$ ですから、$2^{100}$ は31桁の数です。
電卓なしで、$2^{100}$ という途方もない数の桁数がわかってしまうのが常用対数の威力です。
$\log_{10} N$ の値がちょうど整数のとき、桁数の判定を間違えやすいです。
たとえば $\log_{10} N = 3$ のとき、$N = 10^3 = 1000$ で4桁です。$3 \leq 3 < 4$ ですから、整数部分は $3$ で、桁数は $3 + 1 = 4$ です。
✗ 誤り:$\log_{10} N = 3$ だから3桁
✓ 正しい:$\log_{10} N = 3$ なので $N = 1000$ で4桁
「$3^n$ が10桁の数となる最小の自然数 $n$ を求めよ」のように、桁数の条件から $n$ の範囲を決定する問題もよく出ます。
$3^n$ が10桁の数 $\Leftrightarrow$ $9 \leq \log_{10} 3^n < 10$ $\Leftrightarrow$ $9 \leq 0.4771n < 10$
$$\frac{9}{0.4771} \leq n < \frac{10}{0.4771}$$
$$18.86\ldots \leq n < 20.96\ldots$$
したがって、最小の自然数は $n = 19$ です。
地震のマグニチュード、音の大きさ(デシベル)、酸性度(pH)など、日常で使われる多くの指標が対数スケール(常用対数)に基づいています。たとえばマグニチュードが1増えるとエネルギーは約31.6倍($10^{1.5}$ 倍)になります。
これらはすべて、人間の感覚が「桁数」に比例する(ウェーバー・フェヒナーの法則)ことに関係しています。
正の数 $N$ が $0 < N < 1$ のとき、小数で表すと $0.00\ldots0\_$ のように0が並びます。小数首位とは、「小数第何位に初めて0でない数字が現れるか」を表します。
たとえば $N = 0.00372$ なら、小数第3位に初めて0でない数字(3)が現れるので、小数首位は3です。
桁数の考え方と同様に、不等式で定式化しましょう。
$N$ の小数第 $k$ 位に初めて0でない数字が現れるとは、
$$10^{-k} \leq N < 10^{-(k-1)}$$
を意味します。各辺の常用対数をとると、
$$-k \leq \log_{10} N < -(k-1) = -k + 1$$
$0 < N < 1$ のとき
$$-k \leq \log_{10} N < -k + 1 \quad \Longleftrightarrow \quad N \text{ は小数第 } k \text{ 位に初めて0でない数字が現れる}$$
$\log_{10} N$ が負の数になったとき、整数部分の絶対値が小数首位です(ただし $\log_{10} N$ がちょうど整数のときは注意)。
$$\log_{10} \left(\frac{2}{3}\right)^{100} = 100(\log_{10} 2 - \log_{10} 3) = 100(0.3010 - 0.4771) = -17.61$$
$-18 \leq -17.61 < -17$ ですから、$-18 < -17.61$ なので $-18 \leq -17.61 < -17$ は正確には $-18 < -17.61 < -17$ です。
整理すると $-18 < \log_{10} N < -17$ ですから、$k = 18$ の条件 $-18 \leq \log_{10} N < -17$ を満たします。
したがって、$\left(\frac{2}{3}\right)^{100}$ は小数第18位に初めて0でない数字が現れます。
桁数の判定と小数首位の判定は、どちらも$\log_{10} N$ の整数部分を読み取るという同じ原理に基づいています。
$\log_{10} N \geq 0$($N \geq 1$)のとき → 整数部分 $+1$ が桁数
$\log_{10} N < 0$($0 < N < 1$)のとき → 整数部分の絶対値が小数首位
対数が正なら桁数、負なら小数首位。対数の「符号」で場合分けすれば統一的に理解できます。
$\log_{10} N = -17.61$ のとき、整数部分は $-17$ ではなく $-18$ です。
整数部分とは「その数を超えない最大の整数」(ガウス記号 $\lfloor x \rfloor$)のことです。$-18 \leq -17.61 < -17$ なので、整数部分は $-18$ です。
✗ 誤り:$-17.61$ の整数部分は $-17$(小数点以下を切り捨て)
✓ 正しい:$-17.61$ の整数部分は $-18$($\lfloor -17.61 \rfloor = -18$)
負の数の整数部分は「切り下げ」になることに注意しましょう。
桁数の判定だけでなく、常用対数を使えば最高位の数字(一番上の桁の数字)まで特定できます。たとえば $2^{100}$ が31桁であることはわかりましたが、その最高位の数字は何でしょうか。
$n$ 桁の正の整数 $N$ の最高位の数字が $d$($1 \leq d \leq 9$)であるとは、
$$d \times 10^{n-1} \leq N < (d+1) \times 10^{n-1}$$
を意味します。各辺の常用対数をとると、
$$\log_{10} d + (n-1) \leq \log_{10} N < \log_{10}(d+1) + (n-1)$$
ここで $\log_{10} N$ の整数部分は $n - 1$ ですから、小数部分を $\alpha$ とおくと $\log_{10} N = (n-1) + \alpha$ で、
$$\log_{10} d \leq \alpha < \log_{10}(d+1)$$
$\log_{10} N$ の小数部分を $\alpha$ とする。
$$\log_{10} d \leq \alpha < \log_{10}(d+1) \quad \Longleftrightarrow \quad N \text{ の最高位の数字は } d$$
桁数は整数部分で、最高位の数字は小数部分でわかります。常用対数の値ひとつで「桁数」と「最高位」の両方が読み取れるのです。
$\log_{10} 2 = 0.3010$、$\log_{10} 3 = 0.4771$ を使って求めてみましょう。
$$\log_{10} 12^{60} = 60 \log_{10} 12 = 60 \log_{10}(2^2 \cdot 3) = 60(2 \times 0.3010 + 0.4771) = 60 \times 1.0791 = 64.746$$
整数部分は $64$ なので $12^{60}$ は $65$ 桁の数です。
小数部分は $0.746$ です。これが $\log_{10} d$ と $\log_{10}(d+1)$ の間にある $d$ を探します。
$\log_{10} 5 = 0.6990$、$\log_{10} 6 = 0.7781$ なので、$0.6990 \leq 0.746 < 0.7781$ が成り立ちます。
したがって、$12^{60}$ の最高位の数字は $5$ です。
正の数 $N$ の常用対数 $\log_{10} N$ は、2つの情報を同時に持っています。
整数部分 → 数の「スケール」(桁数や小数首位)を決定
小数部分 → 数の「先頭の数字」(最高位の数字)を決定
これは $N = d.\ldots \times 10^{n-1}$ と科学的記数法で表したとき、$\log_{10} N = (n-1) + \log_{10} d.\ldots$ という分解に対応しています。
$\log_{10} N$ が負の値のときの小数部分の扱いに注意が必要です。
$\log_{10} N = -17.61$ のとき、整数部分は $-18$、小数部分は $-17.61 - (-18) = 0.39$ です。
✗ 誤り:小数部分は $-0.61$
✓ 正しい:小数部分は $0.39$(小数部分は常に $0$ 以上 $1$ 未満)
小数部分 $= $ 元の値 $-$ 整数部分 $= -17.61 - (-18) = 0.39$ です。
自然界のデータ(人口、株価、物理定数など)の最高位の数字は均等に分布するわけではなく、$1$ が約30%、$2$ が約18%、...と偏っています。これをベンフォードの法則といいます。
最高位が $d$ になる確率は $\log_{10}\frac{d+1}{d} = \log_{10}(d+1) - \log_{10} d$ で与えられ、まさに常用対数が関係しています。この法則は会計の不正検出にも応用されています。
Q1. $\log_{10} 2 = 0.3010$、$\log_{10} 3 = 0.4771$ とするとき、$\log_{10} 45$ の値を求めよ。
Q2. $\log_{10} 2 = 0.3010$ とするとき、$2^{10}$ は何桁の整数か。
Q3. $\log_{10} 2 = 0.3010$、$\log_{10} 3 = 0.4771$ とするとき、$\left(\frac{1}{2}\right)^{10}$ を小数で表すと、小数第何位に初めて0でない数字が現れるか。
Q4. $\log_{10} 2 = 0.3010$ とするとき、$2^{10}$ の最高位の数字を求めよ。
Q5. $\log_{10} 2 = 0.3010$、$\log_{10} 3 = 0.4771$ とするとき、$\log_{10} 0.008$ の値を求めよ。
$\log_{10} 2 = 0.3010$、$\log_{10} 3 = 0.4771$ とする。
(1) $\log_{10} 5$、$\log_{10} 72$ の値をそれぞれ求めよ。
(2) $6^{50}$ は何桁の整数か。
(3) $\left(\frac{2}{3}\right)^{100}$ を小数で表すと、小数第何位に初めて0でない数字が現れるか。
(1) $\log_{10} 5 = \log_{10} \dfrac{10}{2} = 1 - 0.3010 = 0.6990$
$\log_{10} 72 = \log_{10}(2^3 \cdot 3^2) = 3 \times 0.3010 + 2 \times 0.4771 = 0.9030 + 0.9542 = 1.8572$
(2) $\log_{10} 6^{50} = 50(\log_{10} 2 + \log_{10} 3) = 50(0.3010 + 0.4771) = 50 \times 0.7781 = 38.905$
$38 \leq 38.905 < 39$ より、$6^{50}$ は39桁の整数。
(3) $\log_{10}\left(\dfrac{2}{3}\right)^{100} = 100(\log_{10} 2 - \log_{10} 3) = 100(0.3010 - 0.4771) = -17.61$
$-18 < -17.61 < -17$ より $\lfloor -17.61 \rfloor = -18$ なので、$-18 \leq -17.61 < -17$ が成り立ち、小数第18位に初めて0でない数字が現れる。
$\log_{10} 2 = 0.3010$、$\log_{10} 3 = 0.4771$ とする。$3^n$ が10桁の数となる最小の自然数 $n$ の値を求めよ。
$3^n$ が10桁の数であるから、$10^9 \leq 3^n < 10^{10}$
各辺の常用対数をとると、$9 \leq n \log_{10} 3 < 10$
$9 \leq 0.4771n < 10$
$$\frac{9}{0.4771} \leq n < \frac{10}{0.4771}$$
$$18.86\ldots \leq n < 20.96\ldots$$
よって、この不等式を満たす最小の自然数は $n = 19$
「$n$ 桁の整数」を不等式 $10^{n-1} \leq N < 10^n$ に翻訳し、常用対数をとるのが定石です。出てきた不等式を $n$ について解くことで、条件を満たす $n$ の範囲が求まります。
$\log_{10} 2 = 0.3010$、$\log_{10} 3 = 0.4771$ とする。$12^{60}$ は何桁の整数であるか。また、その最高位の数字を求めよ。
$\log_{10} 12^{60} = 60 \log_{10}(2^2 \cdot 3) = 60(2 \log_{10} 2 + \log_{10} 3)$
$= 60(2 \times 0.3010 + 0.4771) = 60 \times 1.0791 = 64.746$
桁数:$64 \leq 64.746 < 65$ より、$12^{60}$ は65桁の整数。
最高位の数字:小数部分は $0.746$。
$\log_{10} 5 = 0.6990$、$\log_{10} 6 = 0.7781$ であるから、
$0.6990 \leq 0.746 < 0.7781$ すなわち $\log_{10} 5 \leq 0.746 < \log_{10} 6$
よって、$12^{60}$ の最高位の数字は$5$。
常用対数の整数部分から桁数を、小数部分から最高位の数字を求めます。小数部分がどの$\log_{10} d$ と $\log_{10}(d+1)$ の間にあるかを、$\log_{10} 5 = 0.6990$, $\log_{10} 6 = 0.7781$ の値を使って判定しましょう。
A町の人口は近年減少傾向にある。現在のこの町の人口は前年同時期の人口と比べて $4\%$ 減少したという。毎年この比率と同じ比率で減少すると仮定した場合、初めて人口が現在の半分以下になるのは何年後か。答えは整数で求めよ。ただし、$\log_{10} 2 = 0.3010$、$\log_{10} 3 = 0.4771$ とする。
現在の人口を $a$ とする。毎年 $4\%$ 減少するので、$x$ 年後の人口は $a \cdot (0.96)^x$ である。
人口が半分以下になる条件は
$$a \cdot (0.96)^x \leq \frac{a}{2}$$
$$(0.96)^x \leq \frac{1}{2}$$
両辺の常用対数をとると($\log_{10}$ は単調増加なので不等号の向きは変わらない)、
$$x \log_{10} 0.96 \leq \log_{10} \frac{1}{2} = -\log_{10} 2$$
ここで $\log_{10} 0.96 = \log_{10} \dfrac{96}{100} = \log_{10} 96 - 2$
$\log_{10} 96 = \log_{10}(2^5 \cdot 3) = 5 \log_{10} 2 + \log_{10} 3 = 5 \times 0.3010 + 0.4771 = 1.9821$
よって $\log_{10} 0.96 = 1.9821 - 2 = -0.0179$
$\log_{10} 0.96 < 0$ であるから、両辺を $\log_{10} 0.96$ で割ると不等号が反転して、
$$x \geq \frac{-\log_{10} 2}{\log_{10} 0.96} = \frac{-0.3010}{-0.0179} = \frac{0.3010}{0.0179} = 16.8\ldots$$
したがって、初めて人口が現在の半分以下になるのは17年後。
文章題を数式に翻訳し、累乗の不等式を常用対数で解くパターンです。ポイントは (1) 毎年の変化率 $0.96$ を正しく立式すること、(2) $\log_{10} 0.96$ が負の値であることに注意して不等号を反転させること、(3) $x$ が自然数であることを考慮して整数で答えることです。