座標平面上の直線は、方程式によって表すことができます。
傾きと切片、2点の座標、一般形──目的に応じて使い分ける4つの表現を身につけましょう。
中学校で学んだ一次関数 $y = ax + b$ は、座標平面上の直線を表していました。ここでは、その考え方を一般化して、直線の方程式の基本的な表し方を整理します。
傾き $m$、$y$ 切片 $b$ の直線は、次の方程式で表されます。
$$y = mx + b$$
ここで、傾き $m$ は「$x$ が1増えたとき $y$ がどれだけ変化するか」を表し、$y$ 切片 $b$ は「直線が $y$ 軸と交わる点の $y$ 座標」を表します。
点 $(x_1, y_1)$ を通り、傾き $m$ の直線は、次の方程式で表されます。
$$y - y_1 = m(x - x_1)$$
なぜこの式が成り立つのでしょうか。直線上の任意の点 $(x, y)$ と通過点 $(x_1, y_1)$ について、傾きの定義から
$$m = \frac{y - y_1}{x - x_1}$$
が成り立ちます。両辺に $(x - x_1)$ をかければ、点斜式が得られます。
直線の方程式とは、「その方程式を満たすすべての点 $(x, y)$ の集合」が直線そのものであることを意味します。
例えば $y = 2x + 1$ を満たす点を座標平面上にプロットすると、それらはすべて1本の直線上に並びます。逆に、その直線上の任意の点の座標は必ずこの方程式を満たします。
つまり、方程式は幾何学的な図形(直線)を代数的に表現したものなのです。この「図形 = 方程式を満たす点の集合」という考え方が、図形と方程式の章全体を貫く核心です。
斜截式(傾きと $y$ 切片):
$$y = mx + b$$
点斜式(1点と傾き):
$$y - y_1 = m(x - x_1)$$
斜截式は点斜式で $(x_1, y_1) = (0, b)$ とした特別な場合です。
$y = mx + b$ や $y - y_1 = m(x - x_1)$ の形では、$y$ 軸に平行な直線(垂直線)を表すことができません。
垂直線は $x = k$($k$ は定数)の形で表されます。この直線は傾きが定義できない(「無限大」)ため、$m$ に値を代入できないのです。
✗ 誤り:すべての直線は $y = mx + b$ で表せる
✓ 正しい:垂直線 $x = k$ は斜截式・点斜式では表せない
直線の問題を解くときは、常に垂直線の場合を別途確認する習慣をつけましょう。
例題:点 $(3, -1)$ を通り、傾き $2$ の直線の方程式を求めよ。
解:点斜式に代入すると、
$$y - (-1) = 2(x - 3)$$
$$y + 1 = 2x - 6$$
$$y = 2x - 7$$
異なる2点 $(x_1, y_1)$、$(x_2, y_2)$ を通る直線の方程式を求めるには、まず傾きを計算し、点斜式に代入します。
$x_1 \neq x_2$ のとき、傾きは
$$m = \frac{y_2 - y_1}{x_2 - x_1}$$
これを点斜式に代入して整理すると、次の公式が得られます。
2点 $(x_1, y_1)$、$(x_2, y_2)$($x_1 \neq x_2$)を通る直線を求めます。
傾き $m = \dfrac{y_2 - y_1}{x_2 - x_1}$ を点斜式に代入すると、
$$y - y_1 = \frac{y_2 - y_1}{x_2 - x_1}(x - x_1)$$
両辺に $(x_2 - x_1)$ をかけて整理すると、
$$(y - y_1)(x_2 - x_1) = (y_2 - y_1)(x - x_1)$$
この式は、直線上の任意の点 $(x, y)$ と2つの通過点を結ぶ線分の傾きが等しいことを表しています。
なお、$x_1 = x_2$ のときは垂直線 $x = x_1$ となります。
異なる2点 $(x_1, y_1)$、$(x_2, y_2)$ を通る直線の方程式:
$x_1 \neq x_2$ のとき:
$$\frac{y - y_1}{y_2 - y_1} = \frac{x - x_1}{x_2 - x_1}$$
$x_1 = x_2$ のとき:
$$x = x_1$$
最初の式は $(y - y_1)(x_2 - x_1) = (y_2 - y_1)(x - x_1)$ と同値です。
例題1:2点 $(1, 3)$、$(4, 9)$ を通る直線の方程式を求めよ。
解:傾き $m = \dfrac{9 - 3}{4 - 1} = \dfrac{6}{3} = 2$ なので、点斜式より
$$y - 3 = 2(x - 1) \quad \Longrightarrow \quad y = 2x + 1$$
例題2:2点 $(3, -2)$、$(3, 5)$ を通る直線の方程式を求めよ。
解:$x_1 = x_2 = 3$ なので、これは垂直線であり $x = 3$ です。
座標平面上のすべての直線は、次の形の方程式で表すことができます。
$$ax + by + c = 0 \quad (a, b \text{ は同時に } 0 \text{ でない})$$
この形を直線の方程式の一般形といいます。
斜截式 $y = mx + b$ は垂直線を表せませんでした。しかし一般形なら、
このように、一般形は垂直線を含むすべての直線を統一的に表現できます。
$$ax + by + c = 0 \quad (a \neq 0 \text{ または } b \neq 0)$$
$a$、$b$、$c$ に0でない定数 $k$ をかけた $kax + kby + kc = 0$ も同じ直線を表します。つまり、一般形の係数は定数倍の自由度があります。
直線の方程式を目的に応じて変換できることが重要です。
| 変換元 | 変換先 | 方法 |
|---|---|---|
| 斜截式 $y = mx + b$ | 一般形 | $mx - y + b = 0$ |
| 一般形 $ax + by + c = 0$($b \neq 0$) | 斜截式 | $y = -\dfrac{a}{b}x - \dfrac{c}{b}$ |
| 点斜式 $y - y_1 = m(x - x_1)$ | 一般形 | 展開して $mx - y + (y_1 - mx_1) = 0$ |
例題:直線 $3x - 2y + 6 = 0$ を斜截式に変換せよ。
解:$y$ について解くと、
$$-2y = -3x - 6 \quad \Longrightarrow \quad y = \frac{3}{2}x + 3$$
したがって、傾き $\dfrac{3}{2}$、$y$ 切片 $3$ の直線です。
直線が $x$ 軸と交わる点の $x$ 座標を$x$ 切片、$y$ 軸と交わる点の $y$ 座標を$y$ 切片といいます。
$x$ 切片が $a$($a \neq 0$)、$y$ 切片が $b$($b \neq 0$)の直線は、点 $(a, 0)$ と点 $(0, b)$ を通ります。2点を通る直線の公式を使って整理すると、次の簡潔な形が得られます。
$x$ 切片 $a \neq 0$、$y$ 切片 $b \neq 0$ の直線の方程式:
$$\frac{x}{a} + \frac{y}{b} = 1$$
「$x$ を $x$ 切片で割り、$y$ を $y$ 切片で割り、足すと $1$」と覚えましょう。$x = a, y = 0$ と $x = 0, y = b$ を代入すると確かに $1$ になります。
2点 $(a, 0)$ と $(0, b)$ を通る直線の方程式を求めます。傾きは $m = \dfrac{b - 0}{0 - a} = -\dfrac{b}{a}$ なので、
$$y - 0 = -\frac{b}{a}(x - a) = -\frac{b}{a}x + b$$
$$y = -\frac{b}{a}x + b$$
両辺を $b$ で割ると、
$$\frac{y}{b} = -\frac{x}{a} + 1 \quad \Longrightarrow \quad \frac{x}{a} + \frac{y}{b} = 1$$
切片形には重要な制限があります。
したがって、切片形は「原点を通らず、座標軸に平行でない直線」に使える表現です。
例題:$x$ 切片が $4$、$y$ 切片が $-3$ の直線の方程式を求めよ。
解:切片形に代入すると、
$$\frac{x}{4} + \frac{y}{-3} = 1 \quad \Longrightarrow \quad \frac{x}{4} - \frac{y}{3} = 1$$
一般形に直すと、両辺に $12$ をかけて
$$3x - 4y = 12 \quad \Longrightarrow \quad 3x - 4y - 12 = 0$$
座標平面上の1本の直線は、次のいずれかの条件で一意に決まります。
どの条件が与えられているかを見極め、適切な形の方程式を選ぶことが重要です。
パターン1:2点が与えられた場合
例題:2点 $(-1, 4)$、$(2, -2)$ を通る直線の方程式を求めよ。
解:傾き $m = \dfrac{-2 - 4}{2 - (-1)} = \dfrac{-6}{3} = -2$
点斜式より $y - 4 = -2(x - (-1)) = -2(x + 1)$
$$y - 4 = -2x - 2 \quad \Longrightarrow \quad y = -2x + 2$$
パターン2:1点と傾きが与えられた場合
例題:点 $(2, 5)$ を通り、傾き $3$ の直線の方程式を求めよ。
解:点斜式に直接代入すると、
$$y - 5 = 3(x - 2) \quad \Longrightarrow \quad y = 3x - 1$$
パターン3:傾きと $y$ 切片が与えられた場合
例題:傾き $-\dfrac{1}{2}$、$y$ 切片 $4$ の直線の方程式を求めよ。
解:斜截式に直接代入すると、
$$y = -\frac{1}{2}x + 4$$
一般形に直すと $x + 2y - 8 = 0$ です。
直線の方程式 $y = mx + b$ は「$y$ が $x$ の一次関数である」ことを表しています。中学で学んだ一次関数のグラフは、まさに直線でした。
一方、大学の線形代数では直線をパラメータ表示(媒介変数表示)で表すことが多くなります。通過点 $(x_1, y_1)$ と方向ベクトル $(d_1, d_2)$ を使って
$$\begin{cases} x = x_1 + d_1 t \\ y = y_1 + d_2 t \end{cases} \quad (t \text{ は実数})$$
と表現します。パラメータ $t$ を動かすと直線上のすべての点が得られます。この表現は垂直線も含め、すべての直線を統一的に扱えるという利点があります。
入試問題では、直線の条件が直接的に与えられるとは限りません。例えば「ある点で接する」「ある直線に平行」「ある直線に垂直」といった条件から、傾きや通過点を読み取る力が必要です。
このような幾何学的条件を代数的条件に翻訳することが、直線の方程式の決定問題の本質です。
Q1. 点 $(2, -3)$ を通り、傾き $4$ の直線の方程式を求めよ。
Q2. 2点 $(0, 5)$、$(3, -1)$ を通る直線の方程式を求めよ。
Q3. 直線 $2x - 3y + 12 = 0$ の傾きと $y$ 切片を求めよ。
Q4. $x$ 切片が $6$、$y$ 切片が $-2$ の直線の方程式を切片形と一般形で表せ。
Q5. 2点 $(-4, 3)$、$(-4, -7)$ を通る直線の方程式を求めよ。
次の条件を満たす直線の方程式を求めよ。
(1) 点 $(1, 2)$ を通り、傾き $-3$ の直線
(2) 2点 $(2, 1)$、$(5, 7)$ を通る直線
(3) 傾き $\dfrac{1}{2}$、$y$ 切片 $-3$ の直線
(1) $y - 2 = -3(x - 1)$ より $y = -3x + 5$
(2) 傾き $m = \dfrac{7 - 1}{5 - 2} = 2$。$y - 1 = 2(x - 2)$ より $y = 2x - 3$
(3) $y = \dfrac{1}{2}x - 3$
3点 $\mathrm{A}(1, 3)$、$\mathrm{B}(4, -3)$、$\mathrm{C}(-2, 1)$ について、次の問いに答えよ。
(1) 直線 $\mathrm{AB}$ の方程式を一般形で求めよ。
(2) 直線 $\mathrm{AB}$ の $x$ 切片と $y$ 切片を求めよ。
(3) 点 $\mathrm{C}$ は直線 $\mathrm{AB}$ 上にあるかどうか判定せよ。
(1) 傾き $m = \dfrac{-3 - 3}{4 - 1} = -2$。$y - 3 = -2(x - 1)$ より $y = -2x + 5$。一般形は $2x + y - 5 = 0$。
(2) $x$ 切片:$y = 0$ を代入して $2x - 5 = 0$、$x = \dfrac{5}{2}$。$y$ 切片:$x = 0$ を代入して $y - 5 = 0$、$y = 5$。
(3) 点 $\mathrm{C}(-2, 1)$ を $2x + y - 5 = 0$ に代入すると $2(-2) + 1 - 5 = -4 + 1 - 5 = -8 \neq 0$。よって点 $\mathrm{C}$ は直線 $\mathrm{AB}$ 上にない。
点が直線上にあるかの判定は、直線の方程式に点の座標を代入して $0$ になるかどうかで行います。これは「方程式を満たす点の集合 = 直線」という考え方の直接的な応用です。
直線 $\ell$ が点 $(2, -1)$ を通り、$x$ 切片と $y$ 切片の絶対値が等しいとき、直線 $\ell$ の方程式をすべて求めよ。
場合1:$x$ 切片 $= y$ 切片 $= a$($a \neq 0$)のとき
切片形 $\dfrac{x}{a} + \dfrac{y}{a} = 1$ より $x + y = a$。点 $(2, -1)$ を代入すると $2 + (-1) = a$ より $a = 1$。
よって $x + y = 1$、すなわち $x + y - 1 = 0$。
場合2:$x$ 切片 $= -($y$ 切片$)$、すなわち $x$ 切片 $a$、$y$ 切片 $-a$($a \neq 0$)のとき
切片形 $\dfrac{x}{a} + \dfrac{y}{-a} = 1$ より $x - y = a$。点 $(2, -1)$ を代入すると $2 - (-1) = a$ より $a = 3$。
よって $x - y = 3$、すなわち $x - y - 3 = 0$。
場合3:原点を通る場合
$x$ 切片も $y$ 切片も $0$ なら直線は原点を通ります。原点と $(2, -1)$ を通る直線は $y = -\dfrac{1}{2}x$、すなわち $x + 2y = 0$。
よって、求める直線は $x + y - 1 = 0$、$x - y - 3 = 0$、$x + 2y = 0$ の3本。
「$x$ 切片と $y$ 切片の絶対値が等しい」という条件を $|a| = |b|$ と解釈し、$a = b$ と $a = -b$ の2つの場合に分けます。さらに原点を通る場合(両方の切片が $0$)を忘れないことが重要です。
$a$ を実数の定数とする。直線 $\ell : (2a - 1)x + (a + 1)y - 3a = 0$ について、次の問いに答えよ。
(1) $a$ の値にかかわらず、直線 $\ell$ が通る定点を求めよ。
(2) $a$ が実数全体を動くとき、直線 $\ell$ が通りえない点が存在するかどうか調べよ。
(1) $(2a - 1)x + (a + 1)y - 3a = 0$ を $a$ について整理すると、
$$a(2x + y - 3) + (-x + y) = 0$$
これがすべての $a$ で成り立つには、
$$\begin{cases} 2x + y - 3 = 0 \\ -x + y = 0 \end{cases}$$
第2式より $y = x$。これを第1式に代入して $2x + x - 3 = 0$、$x = 1$。よって $y = 1$。
したがって、$a$ の値にかかわらず直線 $\ell$ は定点 $(1, 1)$ を通る。
(2) 点 $(p, q)$ を直線 $\ell$ が通るとすると、
$$a(2p + q - 3) + (-p + q) = 0$$
が何らかの実数 $a$ で成り立てばよい。
$2p + q - 3 \neq 0$ のとき、$a = \dfrac{p - q}{2p + q - 3}$ と一意に定まるので通れる。
$2p + q - 3 = 0$ のとき、$-p + q = 0$ が必要。すなわち $q = p$ かつ $2p + p - 3 = 0$ より $p = 1$、$q = 1$。これは定点 $(1, 1)$ そのもの。
$2p + q - 3 = 0$ かつ $-p + q \neq 0$ のとき、$0 \cdot a + (-p + q) = 0$ は $a$ によらず成り立たない。
つまり、直線 $2x + y - 3 = 0$ 上の点で $(1, 1)$ 以外の点(例えば $(0, 3)$)には $\ell$ は通れない。
よって、直線 $2x + y - 3 = 0$ 上の $(1, 1)$ 以外の点を、直線 $\ell$ は通ることができない。
パラメータ $a$ を含む直線の方程式を $a$ について整理するテクニックは、入試頻出です。「$a$ の恒等式」として扱い、$a$ の係数と定数項をそれぞれ $0$ とおくことで定点が求まります。(2)では、$a$ についての方程式が解を持つ条件を考えます。