第2章 複素数と方程式

2つの2次方程式の共通解
─ 連立方程式としての視点

2つの2次方程式が共通の解をもつ条件を調べるには、「連立方程式として扱う」という視点が鍵になります。
辺々引いて次数を下げるテクニックを中心に、終結式による判定や入試頻出のパラメータ問題まで体系的に学びましょう。

1共通解の定義と基本アプローチ

2つの方程式 $f(x) = 0$ と $g(x) = 0$ がともに $x = \alpha$ を解にもつとき、$\alpha$ を2つの方程式の共通解といいます。

📐 共通解の定義

2つの方程式 $f(x) = 0$、$g(x) = 0$ について、

$$f(\alpha) = 0 \quad \text{かつ} \quad g(\alpha) = 0$$

を満たす $\alpha$ が存在するとき、$\alpha$ を共通解という。

共通解とは、2つの方程式を「連立方程式」とみなしたときの解のことです。

基本アプローチ:消去法

共通解 $\alpha$ の存在条件や具体的な値を求めるための基本戦略は、辺々引いて次数を下げる消去法です。

2つの2次方程式

$$f(x) = a_1 x^2 + b_1 x + c_1 = 0 \quad \cdots (1)$$

$$g(x) = a_2 x^2 + b_2 x + c_2 = 0 \quad \cdots (2)$$

が共通解 $\alpha$ をもつとき、$f(\alpha) = 0$ かつ $g(\alpha) = 0$ なので、

$$f(\alpha) - g(\alpha) = 0$$

が成り立ちます。この差をとることで $\alpha^2$ の項が消える(または係数が小さくなる)ため、1次方程式に帰着させることができます。

🌱 本質理解:なぜ「辺々引く」のか

連立1次方程式でも、2つの式を引いて変数を消去しますね。それと同じ発想です。$f(\alpha) = 0$ と $g(\alpha) = 0$ は「$\alpha$ についての連立方程式」なので、辺々引くことで未知数 $\alpha$ について次数の低い方程式を導き、解きやすくするのです。

これは多項式の世界でのユークリッドの互除法と同じ原理であり、代数学の基本的な手法です。

⚠️ 共通解と「同じ方程式」の違い

✗ 共通解があるならば、2つの方程式は同じである

✓ 共通解が1つあっても、もう1つの解は異なる場合がある

例えば $x^2 - 3x + 2 = 0$(解:$1, 2$)と $x^2 - 4x + 3 = 0$(解:$1, 3$)は共通解 $x = 1$ をもちますが、方程式としてはまったく別のものです。

2共通解の求め方(辺々引く方法)

具体的な手順を、例題を通して確認しましょう。

📐 辺々引く方法の手順

Step 1:$f(\alpha) = 0$ と $g(\alpha) = 0$ を書き下す

Step 2:辺々引いて $\alpha^2$ を消去し、$\alpha$ の1次式を得る

Step 3:得られた $\alpha$ の値をどちらかの式に代入して検証する

$x^2$ の係数が異なるときは、係数を揃えてから引きます。

具体例1:基本パターン

例題:$x^2 - 3x + 2 = 0 \cdots (1)$ と $x^2 - 5x + 6 = 0 \cdots (2)$ の共通解を求めよ。

解法:共通解を $\alpha$ とすると

$$\alpha^2 - 3\alpha + 2 = 0 \quad \cdots (1)'$$

$$\alpha^2 - 5\alpha + 6 = 0 \quad \cdots (2)'$$

$(1)' - (2)'$ より

$$2\alpha - 4 = 0 \quad \therefore \alpha = 2$$

検証:$(1)$ に $\alpha = 2$ を代入すると $4 - 6 + 2 = 0$ で成立。$(2)$ に代入すると $4 - 10 + 6 = 0$ で成立。

よって、共通解は $x = 2$。

具体例2:$x^2$ の係数が異なる場合

例題:$x^2 + x - 6 = 0 \cdots (1)$ と $2x^2 + 3x - 9 = 0 \cdots (2)$ の共通解を求めよ。

解法:共通解を $\alpha$ とする。$(1) \times 2 - (2)$ より

$$(2\alpha^2 + 2\alpha - 12) - (2\alpha^2 + 3\alpha - 9) = 0$$

$$-\alpha - 3 = 0 \quad \therefore \alpha = -3$$

検証:$(1)$ に $\alpha = -3$ を代入すると $9 - 3 - 6 = 0$ で成立。$(2)$ に代入すると $18 - 9 - 9 = 0$ で成立。

よって、共通解は $x = -3$。

⚠️ 検証を忘れない

✗ 辺々引いて $\alpha$ の値を出したら終わり

✓ 求めた $\alpha$ が元の2つの方程式をともに満たすことを必ず確認する

辺々引く操作は同値変形ではないため、得られた値が実際に共通解であるとは限りません。特にパラメータを含む問題では、検証を省略すると誤答になります。

共通解が存在しない場合

例:$x^2 - 4x + 3 = 0$(解:$1, 3$)と $x^2 - 6x + 8 = 0$(解:$2, 4$)を考えます。

辺々引くと $2x - 5 = 0$ より $x = \dfrac{5}{2}$。しかし $(1)$ に代入すると $\dfrac{25}{4} - 10 + 3 = -\dfrac{3}{4} \neq 0$。

したがって共通解は存在しません。検証が重要であることがわかります。

💡 因数分解で解ける場合は先に解く

それぞれの方程式が簡単に因数分解できる場合は、先に解の集合を求めてから共通部分をとる方法も有効です。例えば $x^2 - 3x + 2 = 0$ の解は $\{1, 2\}$、$x^2 - 5x + 6 = 0$ の解は $\{2, 3\}$ なので、共通解は $x = 2$ とすぐにわかります。

3終結式(Resultant)による判定

2つの方程式が共通解をもつかどうかを、方程式を直接解かずに判定する方法があります。それが終結式(Resultant)です。

具体的な導出($x^2$ の係数がともに1の場合)

2つの方程式

$$x^2 + bx + c = 0 \quad \cdots (1)$$

$$x^2 + px + q = 0 \quad \cdots (2)$$

が共通解 $\alpha$ をもつとします。$(1) - (2)$ より

$$(b - p)\alpha + (c - q) = 0$$

$b \neq p$ のとき、$\alpha = \dfrac{q - c}{b - p}$ です。これを $(1)$ に代入すると

$$\left(\frac{q - c}{b - p}\right)^2 + b \cdot \frac{q - c}{b - p} + c = 0$$

$(b - p)^2$ を掛けて整理すると

$$(q - c)^2 + b(q - c)(b - p) + c(b - p)^2 = 0$$

📐 共通解の存在条件($x^2$ の係数が1の場合)

$x^2 + bx + c = 0$ と $x^2 + px + q = 0$ が共通解をもつための条件は

$b = p$ のとき:$c = q$(2つの方程式が一致)

$b \neq p$ のとき:$(q - c)^2 + b(q - c)(b - p) + c(b - p)^2 = 0$

この条件式が終結式(を定数倍したもの)に相当します。

📐 シルベスター行列式による終結式(発展)

一般の $f(x) = a_1 x^2 + b_1 x + c_1$、$g(x) = a_2 x^2 + b_2 x + c_2$ に対し、終結式は次の行列式で定義されます。

$$\text{Res}(f, g) = \begin{vmatrix} a_1 & b_1 & c_1 & 0 \\ 0 & a_1 & b_1 & c_1 \\ a_2 & b_2 & c_2 & 0 \\ 0 & a_2 & b_2 & c_2 \end{vmatrix}$$

$\text{Res}(f, g) = 0 \iff f(x) = 0$ と $g(x) = 0$ が共通解をもつ

高校範囲を超えますが、「辺々引いて代入する」プロセスを行列式でまとめたものと理解しましょう。

🌱 本質理解:終結式が意味すること

終結式は「辺々引いて $\alpha$ を求め、元の式に代入し、$\alpha$ が実際に解であるための条件」を一つの式にまとめたものです。つまり、共通解の存在判定を1つの等式に帰着させるための道具です。

入試では終結式を直接使うことは稀ですが、辺々引いて代入するプロセスそのものは頻出です。終結式はその計算を体系化したものと考えましょう。

終結式の計算例

$f(x) = x^2 - 3x + 2$、$g(x) = x^2 - 5x + 6$ について終結式を計算してみましょう。

$b = -3,\; c = 2,\; p = -5,\; q = 6$ として

$$(q-c)^2 + b(q-c)(b-p) + c(b-p)^2$$

$$= 4^2 + (-3)(4)(2) + 2 \cdot 2^2 = 16 - 24 + 8 = 0$$

終結式 $= 0$ なので共通解が存在します(実際、$x = 2$ が共通解です)。

🔭 大学数学への橋渡し

終結式は代数幾何学や計算機代数で重要な概念です。2つの多項式の最大公約多項式(GCD)が定数でないことと、終結式が $0$ になることは同値です。これは多項式の世界での「互いに素」の判定に対応します。

4共通解が2つある場合

2つの2次方程式がともに同じ2つの解をもつ場合を考えます。

📐 2つの共通解をもつ条件

2つの2次方程式 $a_1 x^2 + b_1 x + c_1 = 0$ と $a_2 x^2 + b_2 x + c_2 = 0$($a_1, a_2 \neq 0$)が同じ2つの解をもつための必要十分条件は

$$\frac{a_1}{a_2} = \frac{b_1}{b_2} = \frac{c_1}{c_2}$$

すなわち、一方が他方の定数倍であること。

なぜ定数倍でなければならないか

2次方程式の解は(重解を含めて)ちょうど2つです。$a_1 x^2 + b_1 x + c_1 = 0$ の2つの解 $\alpha, \beta$ がともに $a_2 x^2 + b_2 x + c_2 = 0$ の解でもあるとします。

このとき

$$a_1 x^2 + b_1 x + c_1 = a_1(x - \alpha)(x - \beta)$$

$$a_2 x^2 + b_2 x + c_2 = a_2(x - \alpha)(x - \beta)$$

よって

$$a_1 x^2 + b_1 x + c_1 = \frac{a_1}{a_2}(a_2 x^2 + b_2 x + c_2)$$

すなわち一方は他方の定数倍です。逆に定数倍の関係にあれば明らかに同じ解をもちます。

⚠️ 「共通解が2つ」と「同じ方程式」

✗ $x^2 - 3x + 2 = 0$ と $2x^2 - 6x + 4 = 0$ は係数が違うから、共通解は1つだけ

✓ $2x^2 - 6x + 4 = 2(x^2 - 3x + 2)$ なので定数倍の関係にあり、解 $x = 1, 2$ はすべて共通

見た目の係数が異なっていても、定数倍の関係にある方程式は本質的に同じです。

辺々引くと $0 = 0$ になる場合

2つの2次方程式が同じ2つの解をもつとき、$x^2$ の係数を揃えてから辺々引くと $0 = 0$(恒等的に成立)となります。この場合は辺々引く方法では情報が得られないため、別の方法(解と係数の関係など)を用いる必要があります。

💡 判定の実際

入試では「2つの方程式が少なくとも1つの共通解をもつ条件」を求める問題が圧倒的に多く、「2つの共通解をもつ条件」は比率条件 $\dfrac{a_1}{a_2} = \dfrac{b_1}{b_2} = \dfrac{c_1}{c_2}$ を使えば即座に処理できます。

5応用:パラメータを含む共通解問題

入試で最も頻出なのは、パラメータ(定数 $a$ や $k$ など)を含む2つの方程式が共通解をもつ条件を求める問題です。

📐 パラメータ問題の解法手順

Step 1:共通解を $\alpha$ とおき、$f(\alpha) = 0$、$g(\alpha) = 0$ を書く

Step 2:辺々引いて $\alpha$ について解く($\alpha$ をパラメータで表す)

Step 3:得られた $\alpha$ を元の式に代入してパラメータの条件を求める

Step 4:求めた条件下で実際に共通解が存在するか検証する

典型例題

例題:2つの方程式 $x^2 + ax + 2 = 0 \cdots (1)$ と $x^2 + 2x + a = 0 \cdots (2)$ が共通解をもつとき、定数 $a$ の値と共通解を求めよ。

解法:共通解を $\alpha$ とおくと

$$\alpha^2 + a\alpha + 2 = 0 \quad \cdots (1)'$$

$$\alpha^2 + 2\alpha + a = 0 \quad \cdots (2)'$$

$(1)' - (2)'$ より

$$(a - 2)\alpha + (2 - a) = 0$$

$$(a - 2)(\alpha - 1) = 0$$

よって $a = 2$ または $\alpha = 1$。

場合1:$a = 2$ のとき

$(1), (2)$ はともに $x^2 + 2x + 2 = 0$ となり、解は $x = -1 \pm i$。

2つの方程式は一致するので、共通解は $x = -1 + i,\; -1 - i$。

場合2:$\alpha = 1$ のとき

$(1)'$ に $\alpha = 1$ を代入:$1 + a + 2 = 0$ より $a = -3$。

検証:$a = -3$ のとき $(1)$ は $x^2 - 3x + 2 = 0$ で解は $x = 1, 2$。$(2)$ は $x^2 + 2x - 3 = 0$ で解は $x = 1, -3$。確かに $x = 1$ が共通解。

よって、$a = 2$(共通解 $x = -1 \pm i$)または $a = -3$(共通解 $x = 1$)

🌱 本質理解:$\alpha$ とパラメータの「連立方程式」

共通解問題の本質は、$f(\alpha) = 0$ と $g(\alpha) = 0$ を$\alpha$ とパラメータ $a$ の連立方程式として捉えることです。未知数が $\alpha$ と $a$ の2つ、方程式が2つなので、原理的に解くことができます。

「辺々引く」とは、この連立方程式から $\alpha^2$ を消去する操作に他なりません。

⚠️ 場合分けの見落とし

✗ $(a - 2)(\alpha - 1) = 0$ から $\alpha = 1$ だけを採用する

✓ $a = 2$ の場合と $\alpha = 1$ の場合の両方を検討する

$(a - 2)(\alpha - 1) = 0$ は「$a = 2$ または $\alpha = 1$」を意味します。$a = 2$ のケースを見落とすと減点されます。

💡 複素数の範囲での共通解

問題文に「実数の範囲で」と指定がなければ、複素数の範囲での共通解も含みます。上の例で $a = 2$ の場合、共通解は虚数 $-1 \pm i$ ですが、これも立派な共通解です。問題の指定をよく読みましょう。

📋まとめ

  • 共通解とは2つの方程式をともに満たす値 $\alpha$ のこと。$f(\alpha) = 0$ かつ $g(\alpha) = 0$ という連立方程式として扱う。
  • 基本手法は辺々引いて次数を下げること。$x^2$ を消去して1次式を得ることで共通解の候補が求まる。求めた値は必ず検証する。
  • 終結式 $= 0$ は共通解存在の必要十分条件。辺々引いて代入するプロセスを1つの式にまとめたものであり、シルベスター行列式で表現できる(発展)。
  • 2つの2次方程式が2つの共通解をもつ条件は、一方が他方の定数倍であること、すなわち $\dfrac{a_1}{a_2} = \dfrac{b_1}{b_2} = \dfrac{c_1}{c_2}$。
  • パラメータを含む問題では、$\alpha$ とパラメータの連立方程式を解く。辺々引いたときに出てくる因数分解から場合分けが生じることが多く、すべての場合を検討する。

確認テスト

Q1. $x^2 - 5x + 6 = 0$ と $x^2 - 7x + 12 = 0$ の共通解を求めよ。

▶ クリックして解答を表示 辺々引くと $2x - 6 = 0$ より $x = 3$。検証:$9 - 15 + 6 = 0$、$9 - 21 + 12 = 0$ ともに成立。共通解は $x = 3$。

Q2. $x^2 + 3x + 1 = 0$ と $2x^2 + 5x + 1 = 0$ について共通解が存在するか調べよ。

▶ クリックして解答を表示 $(1) \times 2 - (2)$:$x + 1 = 0$ より $x = -1$。検証:$(1)$ に $x = -1$:$1 - 3 + 1 = -1 \neq 0$。よって共通解は存在しない

Q3. $x^2 + bx + c = 0$ と $x^2 + px + q = 0$ が共通解をもつとき($b \neq p$)、その共通解を $b, c, p, q$ で表せ。

▶ クリックして解答を表示 辺々引くと $(b - p)x + (c - q) = 0$。$b \neq p$ より $x = \dfrac{q - c}{b - p}$。

Q4. $3x^2 - 6x + 3 = 0$ と $x^2 - 2x + 1 = 0$ の共通解の個数を答えよ。

▶ クリックして解答を表示 $3x^2 - 6x + 3 = 3(x^2 - 2x + 1)$ より定数倍の関係。両方程式の解はともに $x = 1$(重解)なので、共通解は $x = 1$ の1個(重解として2個と数えることもある)。

Q5. $x^2 + ax + 2 = 0$ と $x^2 + 2x + a = 0$ が共通解をもつための $a$ の値をすべて求めよ。

▶ クリックして解答を表示 辺々引くと $(a-2)(\alpha - 1) = 0$。$a = 2$ のとき方程式は一致し共通解あり。$\alpha = 1$ のとき $1 + a + 2 = 0$ より $a = -3$。検証も成立。よって $a = 2$ または $a = -3$。

📝入試問題演習

問題 1 A 基礎

次の2組の2次方程式について、共通解があればそれを求めよ。なければ「なし」と答えよ。

(1) $x^2 + x - 6 = 0$ と $x^2 - x - 2 = 0$

(2) $x^2 - 4x + 3 = 0$ と $x^2 - 6x + 8 = 0$

▶ クリックして解答を表示
解答

(1) 辺々引くと $2x - 4 = 0$ より $x = 2$。

検証:$(1)$ に $x = 2$:$4 + 2 - 6 = 0$ で成立。$(2)$ に $x = 2$:$4 - 2 - 2 = 0$ で成立。

よって、共通解は $x = 2$。

(2) 辺々引くと $2x - 5 = 0$ より $x = \dfrac{5}{2}$。

検証:$(1)$ に $x = \dfrac{5}{2}$:$\dfrac{25}{4} - 10 + 3 = -\dfrac{3}{4} \neq 0$。

よって、共通解はなし

問題 2 B 標準

2つの方程式 $x^2 + ax + b = 0 \cdots (1)$ と $x^2 + bx + a = 0 \cdots (2)$ が共通解をもつとき、次の問いに答えよ。ただし $a, b$ は実数とする。

(1) $a \neq b$ のとき、共通解と $a + b$ の値を求めよ。

(2) $a, b$ が満たすべき条件をすべて求めよ。

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解答

(1) 共通解を $\alpha$ とおく。$(1) - (2)$ より

$(a - b)\alpha + (b - a) = 0$ すなわち $(a - b)(\alpha - 1) = 0$

$a \neq b$ より $\alpha - 1 = 0$ ゆえに $\alpha = 1$。よって共通解は $x = 1$。

$\alpha = 1$ を $(1)$ に代入して $1 + a + b = 0$ より $a + b = -1$。

(2)

$a \neq b$ のとき:上より $a + b = -1$ かつ $a \neq b$。

$a = b$ のとき:$(1)$ と $(2)$ は同じ方程式 $x^2 + ax + a = 0$ となる。実数解をもつには判別式 $\geq 0$ が必要なので

$a^2 - 4a \geq 0$ すなわち $a(a - 4) \geq 0$ より $a \leq 0$ または $a \geq 4$。

(複素数の範囲の共通解も認めるなら、$a = b$ であれば常に共通解が存在する。)

よって、$a + b = -1$($a \neq b$)、または $a = b \leq 0$、または $a = b \geq 4$。

採点のポイント
  • 辺々引いて $\alpha = 1$ を導出(3点)
  • $a + b = -1$ の導出(2点)
  • $a = b$ の場合の判別式条件(3点)
  • 条件の完全な記述(2点)
問題 3 B 標準

$k$ を実数の定数とする。2つの方程式

$$x^2 - kx + k + 1 = 0 \quad \cdots (1)$$

$$x^2 + (k-4)x + (5-k) = 0 \quad \cdots (2)$$

が共通の実数解をもつように、$k$ の値を定めよ。また、そのときの共通解を求めよ。

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解答

共通解を $\alpha$ とおく。$(1) - (2)$ より

$(-k - k + 4)\alpha + (k + 1 - 5 + k) = 0$

$(-2k + 4)\alpha + (2k - 4) = 0$

$-2(k - 2)\alpha + 2(k - 2) = 0$

$(k - 2)(1 - \alpha) = 0 \quad \cdots (*)$

ゆえに $k = 2$ または $\alpha = 1$。

場合1:$k = 2$ のとき

$(1)$:$x^2 - 2x + 3 = 0$。判別式 $= 4 - 12 = -8 < 0$ より実数解なし。不適。

場合2:$\alpha = 1$ のとき

$(1)$ に $\alpha = 1$ を代入:$1 - k + k + 1 = 2 \neq 0$。

$\alpha = 1$ は $(1)$ を満たさないので不適。

以上より、共通の実数解をもつような $k$ の値は存在しない

補足

この問題のように「共通解が存在しない」という結論になる場合もあります。辺々引いた結果を鵜呑みにせず、必ず検証することの重要性がわかります。$\alpha = 1$ が$(1)$を満たさないことを確認するのが決定的です。

採点のポイント
  • 辺々引いて $(k-2)(1-\alpha) = 0$ を導出(3点)
  • $k = 2$ の場合の検証(判別式)(3点)
  • $\alpha = 1$ の場合の検証(代入)(3点)
  • 「存在しない」の結論(1点)
問題 4 C 発展

$a$ を実数の定数とする。2つの方程式

$$x^2 + 2x + a = 0 \quad \cdots (1)$$

$$x^2 + ax + 2 = 0 \quad \cdots (2)$$

について、次の問いに答えよ。

(1) 2つの方程式が共通解をもつとき、$a$ の値と共通解をすべて求めよ。

(2) 2つの方程式がともに実数解をもち、かつ共通の実数解をもつとき、$a$ の値を求めよ。

(3) (2) のとき、4つの解(重複を含む)をすべて求めよ。

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解答

(1) 共通解を $\alpha$ とおく。$(1) - (2)$ より

$(2 - a)\alpha + (a - 2) = 0$ すなわち $(2 - a)(\alpha - 1) = 0$

ゆえに $a = 2$ または $\alpha = 1$。

[ i ] $a = 2$ のとき:$(1), (2)$ はともに $x^2 + 2x + 2 = 0$。解は $x = -1 \pm i$。

共通解は $x = -1 + i,\; -1 - i$。

[ ii ] $\alpha = 1$ のとき:$(1)$ に代入して $1 + 2 + a = 0$ より $a = -3$。

検証:$a = -3$ のとき $(1)$:$x^2 + 2x - 3 = (x+3)(x-1) = 0$ で解 $x = -3, 1$。$(2)$:$x^2 - 3x + 2 = (x-1)(x-2) = 0$ で解 $x = 1, 2$。共通解は $x = 1$。

よって $a = 2$(共通解 $-1 \pm i$)、$a = -3$(共通解 $1$)。

(2) (1) の結果から

$a = 2$ のとき:$(1)$ の判別式 $= 4 - 8 = -4 < 0$ より実数解をもたない。不適。

$a = -3$ のとき:$(1)$ の解 $x = 1, -3$(実数)、$(2)$ の解 $x = 1, 2$(実数)。ともに実数解をもつ。

よって $a = -3$。

(3) $a = -3$ のとき

$(1)$ の解:$x = 1,\; -3$

$(2)$ の解:$x = 1,\; 2$

4つの解は $x = -3,\; 1,\; 1,\; 2$($x = 1$ が共通解として重複)。

解法の整理

この問題は Section 5 の典型例題と同じ方程式ですが、小問に分かれていることで段階的に考えやすくなっています。(1) で場合分けの全体像を把握し、(2) で実数条件による絞り込み、(3) で具体的な解の列挙という流れは、入試でも頻出の構成です。

採点のポイント
  • (1) 辺々引いて場合分けの導出(3点)
  • (1) $a = 2$ の場合の共通解(2点)
  • (1) $a = -3$ の場合の共通解と検証(3点)
  • (2) 実数解条件の吟味(3点)
  • (3) 4つの解の列挙(2点)