第7章 ベクトル

空間ベクトルと図形(四面体)
─ 3次元の三角形を攻略する

四面体は空間における最も基本的な立体です。平面上の三角形が3つの頂点で決まるように、四面体は4つの頂点で決まります。四面体の体積・重心・高さをベクトルで表す方法を学び、正四面体の美しい対称性も確認しましょう。ここで身につけるベクトルによる体積計算は、空間図形の問題で最も強力な武器の一つです。

1四面体の体積 ─ なぜ $\frac{1}{6}$ なのか

三角形の面積は「底辺 $\times$ 高さ $\times \frac{1}{2}$」で求めます。同様に、四面体の体積は「底面積 $\times$ 高さ $\times \frac{1}{3}$」で求まります。しかし、ベクトルを使うともう少し直接的な表現が可能です。

直方体との関係

辺 $\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ を3辺とする平行六面体の体積は $|\vec{a} \cdot (\vec{b} \times \vec{c})|$ で与えられます(スカラー三重積の絶対値)。四面体はこの平行六面体の $\dfrac{1}{6}$ の体積をもちます。

💡 なぜ四面体の体積は平行六面体の $\frac{1}{6}$ なのか

平行六面体は6つの合同な四面体に分割できます。正確には、対角線に沿って2つの三角柱に分割し、各三角柱はさらに3つの四面体に分かれます。$2 \times 3 = 6$ だから $\dfrac{1}{6}$ になるのです。

2次元で平行四辺形が2つの三角形に分かれて $\dfrac{1}{2}$ になるのと同じ原理の3次元版です。

📐 四面体の体積(スカラー三重積)

頂点 $O$, $A$, $B$, $C$ をもつ四面体の体積 $V$ は:

$$V = \frac{1}{6}|\overrightarrow{OA} \cdot (\overrightarrow{OB} \times \overrightarrow{OC})|$$

※ 外積の代わりに行列式を使うと、$V = \dfrac{1}{6}\left|\det\begin{pmatrix} a_1 & a_2 & a_3 \\ b_1 & b_2 & b_3 \\ c_1 & c_2 & c_3 \end{pmatrix}\right|$ とも書けます。

⚠️ 落とし穴:$\frac{1}{6}$ と $\frac{1}{3}$ の混同

✗ 四面体の体積 $= \dfrac{1}{3} |\vec{a} \cdot (\vec{b} \times \vec{c})|$ としてしまう

○ スカラー三重積は平行六面体の体積なので $\dfrac{1}{6}$ をかける

「底面積 $\times$ 高さ $\times \frac{1}{3}$」を使う場合と「スカラー三重積 $\times \frac{1}{6}$」を使う場合で係数が異なります。どちらの方法を使っているか、常に意識しましょう。

2四面体の体積をベクトルで計算する

具体的な計算方法を見ていきましょう。座標が与えられた場合、スカラー三重積を行列式として計算するのが最も効率的です。

成分計算の手順

$\overrightarrow{OA} = (a_1, a_2, a_3)$、$\overrightarrow{OB} = (b_1, b_2, b_3)$、$\overrightarrow{OC} = (c_1, c_2, c_3)$ とすると:

$$\vec{a} \cdot (\vec{b} \times \vec{c}) = a_1(b_2 c_3 - b_3 c_2) - a_2(b_1 c_3 - b_3 c_1) + a_3(b_1 c_2 - b_2 c_1)$$

これはサラスの方法で $3 \times 3$ 行列式を展開したものと同じです。

底面積と高さを使う方法

底面の三角形の面積 $S$ を求め、頂点から底面への距離(高さ)$h$ を求めて $V = \dfrac{1}{3}Sh$ と計算する方法も重要です。面積は外積の大きさの半分、高さは点と平面の距離の公式で求まります。

💡 体積計算の2つの方法を使い分ける

方法1(スカラー三重積):座標が与えられ、体積だけ求めればよい場合に効率的

方法2(底面積 $\times$ 高さ):高さそのものも求める必要がある場合、あるいは底面の三角形の面積が先にわかっている場合に有用

入試では「体積を求めよ」「高さを求めよ」の両方が問われることが多いので、状況に応じて使い分けましょう。

⚠️ 落とし穴:行列式の符号

✗ 行列式の値が負だったとき、計算ミスだと思って修正する

○ 行列式の値は負になりうる。体積は絶対値をとるので問題ない

スカラー三重積の符号は3つのベクトルの向き(右手系か左手系か)に依存します。体積を求めるときは最後に絶対値をとることを忘れないでください。

🔬 深掘り:行列式と体積の関係

大学の線形代数では、$n \times n$ 行列式の絶対値が $n$ 次元の平行多面体の体積を表すことが証明されます。2次元では $2 \times 2$ 行列式が平行四辺形の面積、3次元では $3 \times 3$ 行列式が平行六面体の体積です。行列式は「線形変換がどれだけ空間を伸縮するか」を表す量であり、幾何学と代数学を深く結びつけています。

3四面体の重心 ─ 4つの頂点の平均

三角形の重心が3頂点の位置ベクトルの平均であったのと同様に、四面体の重心も4頂点の位置ベクトルの平均です。

📐 四面体の重心

頂点 $A$, $B$, $C$, $D$ の位置ベクトルをそれぞれ $\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$, $\vec{d}$ とするとき、四面体の重心 $G$ の位置ベクトルは:

$$\vec{g} = \frac{\vec{a} + \vec{b} + \vec{c} + \vec{d}}{4}$$

※ 座標では $G = \left(\dfrac{x_A + x_B + x_C + x_D}{4},\;\dfrac{y_A + y_B + y_C + y_D}{4},\;\dfrac{z_A + z_B + z_C + z_D}{4}\right)$

重心の幾何学的性質

四面体の重心には次の重要な性質があります:

  • 各頂点と対面の重心を結ぶ線分(中線)は、1点で交わる。その交点が四面体の重心
  • 重心は各中線を $3:1$ に内分する(頂点側から $\frac{3}{4}$)
  • 重心は、対辺の中点同士を結ぶ線分の中点でもある
▷ 中線が重心を $3:1$ に内分することの証明

頂点 $A$ と対面 $\triangle BCD$ の重心 $M$ を結ぶ中線を考えます。$M = \dfrac{\vec{b} + \vec{c} + \vec{d}}{3}$ なので:

中線 $AM$ を $3:1$ に内分する点は:

$$\frac{1 \cdot \vec{a} + 3 \cdot \vec{m}}{4} = \frac{\vec{a} + 3 \cdot \frac{\vec{b}+\vec{c}+\vec{d}}{3}}{4} = \frac{\vec{a} + \vec{b} + \vec{c} + \vec{d}}{4} = \vec{g}$$

他の頂点から始めても同じ点 $G$ に到達するため、4本の中線はすべて $G$ で交わります。

⚠️ 落とし穴:重心は内部にある

✗ 重心が四面体の外にある場合もあると考える

○ 四面体の重心は必ず四面体の内部にある

4頂点の座標の算術平均なので、重心は四面体の凸包の内部に必ず含まれます。三角形の重心が必ず三角形の内部にあるのと同じです。

4正四面体の性質 ─ 対称性が生む美しい関係

正四面体は、4つの面がすべて合同な正三角形である四面体です。高い対称性をもち、ベクトルの内積で簡潔に記述できます。

正四面体の辺の長さと内積

1辺の長さが $a$ の正四面体 $OABC$ において、$\overrightarrow{OA} = \vec{p}$, $\overrightarrow{OB} = \vec{q}$, $\overrightarrow{OC} = \vec{r}$ とすると:

$$|\vec{p}| = |\vec{q}| = |\vec{r}| = a, \quad \vec{p} \cdot \vec{q} = \vec{q} \cdot \vec{r} = \vec{r} \cdot \vec{p} = \frac{a^2}{2}$$

なぜなら $|\overrightarrow{AB}|^2 = |\vec{q} - \vec{p}|^2 = |\vec{q}|^2 - 2\vec{p}\cdot\vec{q} + |\vec{p}|^2 = 2a^2 - 2\vec{p}\cdot\vec{q} = a^2$ より $\vec{p}\cdot\vec{q} = \dfrac{a^2}{2}$ です。

📐 正四面体の基本量(1辺 $a$)

高さ:$h = a\sqrt{\dfrac{2}{3}}$

体積:$V = \dfrac{a^3\sqrt{2}}{12}$

重心から各頂点までの距離:$\dfrac{a\sqrt{6}}{4}$

重心から各面までの距離:$\dfrac{a\sqrt{6}}{12}$(= 高さの $\frac{1}{4}$)

※ 外接球の半径は $\dfrac{a\sqrt{6}}{4}$、内接球の半径は $\dfrac{a\sqrt{6}}{12}$。外接球の半径は内接球の半径の $3$ 倍です。

▷ 正四面体の高さの導出

底面を正三角形 $ABC$(1辺 $a$)とし、頂点 $O$ から底面への垂線の足を $H$ とします。$H$ は底面の重心です。

正三角形の重心から各頂点への距離は $\dfrac{a}{\sqrt{3}}$(外接円の半径)なので:

$$h = \sqrt{OA^2 - AH^2} = \sqrt{a^2 - \frac{a^2}{3}} = a\sqrt{\frac{2}{3}}$$

💡 正四面体の対称性とベクトルの内積

正四面体では、任意の2辺ベクトルの内積が $\dfrac{a^2}{2}$ で等しいという事実が計算の鍵です。この等しさは正四面体の高い対称性(すべての頂点が等価)の反映です。

内積条件 $\vec{p} \cdot \vec{q} = \vec{q} \cdot \vec{r} = \vec{r} \cdot \vec{p} = \dfrac{a^2}{2}$ さえ覚えておけば、正四面体に関するあらゆる計量はベクトル計算で導けます。

⚠️ 落とし穴:正四面体の垂線の足 = 重心

✗ すべての四面体で、頂点からの垂線の足が底面の重心になる

○ これは正四面体(またはもっと一般に等面四面体)に限った性質

一般の四面体では、垂線の足は底面の重心とは一致しません。「垂線の足 = 重心 = 外心」が成り立つのは正四面体の美しい特殊性です。

5四面体の高さとベクトルの活用

四面体の高さは、入試で最も頻繁に問われる量の一つです。体積と底面積が先にわかっていれば、$V = \dfrac{1}{3}Sh$ から $h = \dfrac{3V}{S}$ で求まります。しかし、直接計算する方法も知っておくと便利です。

点と平面の距離として求める方法

頂点 $D$ から底面 $ABC$ への高さは、$D$ から平面 $ABC$ への距離に他なりません。前の記事で学んだ距離の公式を使えば直接求まります。

体積から逆算する方法

スカラー三重積で体積 $V$ を求め、外積で底面積 $S$ を求め、$h = \dfrac{3V}{S}$ とする方法は、平面の方程式を立てる手間が省けることがあります。

📐 高さの逆算公式

四面体 $OABC$ の頂点 $O$ から底面 $\triangle ABC$ への高さ $h$ は:

$$h = \frac{3V}{S_{\triangle ABC}} = \frac{3 \cdot \frac{1}{6}|\overrightarrow{OA} \cdot (\overrightarrow{OB} \times \overrightarrow{OC})|}{\frac{1}{2}|\overrightarrow{AB} \times \overrightarrow{AC}|}= \frac{|\overrightarrow{OA} \cdot (\overrightarrow{OB} \times \overrightarrow{OC})|}{|\overrightarrow{AB} \times \overrightarrow{AC}|}$$

⚠️ 落とし穴:どの面を底面にするか

✗ 常に同じ面を底面にして計算する

○ 問題で求められている高さに応じて、底面を選ぶ

「頂点 $D$ から底面 $ABC$ への高さ」と「頂点 $A$ から底面 $BCD$ への高さ」は一般に異なります。体積は不変なので、「$V = \dfrac{1}{3} S h$」の $S$ を変えることで、それぞれの高さが求まります。

🔬 深掘り:四面体と外積の幾何学

大学数学では、四面体の各面の面積ベクトル(法線方向に面積の大きさを持つベクトル)の総和が零ベクトルになるという性質が知られています。これは四面体が閉じた立体であることの帰結であり、ガウスの発散定理(ベクトル解析)の離散版と見なすことができます。高校の空間ベクトルは、このような大学数学の豊かな世界への入口なのです。

まとめ

✅ 確認テスト

Q1. 四面体の体積は平行六面体の体積の何分の一か?

▶ 答えを見る
$\dfrac{1}{6}$。平行六面体は6つの合同な四面体に分割されるため。

Q2. 四面体 $ABCD$ の重心は、頂点 $A$ と $\triangle BCD$ の重心 $M$ を結ぶ線分をどのように内分するか?

▶ 答えを見る
$A$ 側から $3:1$ に内分する。つまり $AG:GM = 3:1$。

Q3. 1辺の長さ $a$ の正四面体の体積は?

▶ 答えを見る
$V = \dfrac{a^3\sqrt{2}}{12}$

Q4. 正四面体の外接球の半径と内接球の半径の比は?

▶ 答えを見る
$3:1$。重心は高さを $3:1$ に内分し、外接球の中心 = 内接球の中心 = 重心であるため。

Q5. 四面体の体積 $V$ と底面積 $S$ がわかっているとき、高さ $h$ の公式は?

▶ 答えを見る
$h = \dfrac{3V}{S}$($V = \dfrac{1}{3}Sh$ より)

入試問題演習

問題 1 LEVEL A 体積計算

四面体 $OABC$ の頂点が $O(0,0,0)$、$A(2,0,0)$、$B(0,3,0)$、$C(0,0,4)$ であるとき、この四面体の体積を求めよ。

▶ 解答を表示
解答

$\overrightarrow{OA} = (2,0,0)$、$\overrightarrow{OB} = (0,3,0)$、$\overrightarrow{OC} = (0,0,4)$

スカラー三重積:

$$\overrightarrow{OA} \cdot (\overrightarrow{OB} \times \overrightarrow{OC}) = \det\begin{pmatrix} 2 & 0 & 0 \\ 0 & 3 & 0 \\ 0 & 0 & 4 \end{pmatrix} = 2 \cdot 3 \cdot 4 = 24$$

$$V = \frac{1}{6} \cdot |24| = 4$$

採点ポイント
  • ベクトルの設定 … 2点
  • スカラー三重積の計算 … 5点
  • $\frac{1}{6}$ の適用と最終答 … 3点
問題 2 LEVEL B 正四面体

1辺の長さ $2$ の正四面体 $OABC$ について、$\overrightarrow{OA} = \vec{a}$, $\overrightarrow{OB} = \vec{b}$, $\overrightarrow{OC} = \vec{c}$ とする。

(1) $\vec{a} \cdot \vec{b}$, $\vec{b} \cdot \vec{c}$, $\vec{c} \cdot \vec{a}$ の値を求めよ。

(2) 四面体の重心 $G$ の位置ベクトルを $\vec{a}$, $\vec{b}$, $\vec{c}$ で表せ。

(3) $|OG|^2$ を求めよ。

▶ 解答を表示
解答

(1) $|\vec{a}| = |\vec{b}| = |\vec{c}| = 2$, $|\overrightarrow{AB}| = 2$ より:

$|\vec{b} - \vec{a}|^2 = |\vec{b}|^2 - 2\vec{a}\cdot\vec{b} + |\vec{a}|^2 = 8 - 2\vec{a}\cdot\vec{b} = 4$

よって $\vec{a} \cdot \vec{b} = 2$。対称性から $\vec{b} \cdot \vec{c} = \vec{c} \cdot \vec{a} = 2$。

(2) $\overrightarrow{OG} = \dfrac{\vec{0} + \vec{a} + \vec{b} + \vec{c}}{4} = \dfrac{\vec{a} + \vec{b} + \vec{c}}{4}$

(3)

$$|OG|^2 = \left|\frac{\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}}{4}\right|^2 = \frac{|\vec{a}|^2 + |\vec{b}|^2 + |\vec{c}|^2 + 2\vec{a}\cdot\vec{b} + 2\vec{b}\cdot\vec{c} + 2\vec{c}\cdot\vec{a}}{16}$$

$$= \frac{4 + 4 + 4 + 4 + 4 + 4}{16} = \frac{24}{16} = \frac{3}{2}$$

採点ポイント
  • 内積の値の導出 … 3点
  • 重心の位置ベクトル … 3点
  • $|OG|^2$ の展開と計算 … 4点
問題 3 LEVEL B 体積と高さ

四面体 $ABCD$ の頂点が $A(1, 0, 0)$、$B(0, 2, 0)$、$C(0, 0, 3)$、$D(1, 1, 1)$ であるとき、

(1) 四面体の体積 $V$ を求めよ。

(2) 頂点 $D$ から平面 $ABC$ への距離 $h$ を求めよ。

▶ 解答を表示
解答

(1) $\overrightarrow{AB} = (-1,2,0)$, $\overrightarrow{AC} = (-1,0,3)$, $\overrightarrow{AD} = (0,1,1)$

$$\overrightarrow{AB} \cdot (\overrightarrow{AC} \times \overrightarrow{AD}) = \det\begin{pmatrix} -1 & 2 & 0 \\ -1 & 0 & 3 \\ 0 & 1 & 1 \end{pmatrix}$$

$$= -1(0 \cdot 1 - 3 \cdot 1) - 2((-1) \cdot 1 - 3 \cdot 0) + 0$$

$$= -1(-3) - 2(-1) = 3 + 2 = 5$$

$$V = \frac{1}{6}|5| = \frac{5}{6}$$

(2) 底面 $\triangle ABC$ の面積を求める。$\overrightarrow{AB} \times \overrightarrow{AC} = (6, 3, 2)$

($\overrightarrow{AB} \times \overrightarrow{AC} = (2 \cdot 3 - 0 \cdot 0,\; 0 \cdot (-1) - (-1) \cdot 3,\; (-1) \cdot 0 - 2 \cdot (-1)) = (6, 3, 2)$)

$$S = \frac{1}{2}|(6, 3, 2)| = \frac{1}{2}\sqrt{36+9+4} = \frac{7}{2}$$

$$h = \frac{3V}{S} = \frac{3 \cdot \frac{5}{6}}{\frac{7}{2}} = \frac{\frac{5}{2}}{\frac{7}{2}} = \frac{5}{7}$$

採点ポイント
  • 行列式の計算 … 4点
  • 体積の導出 … 2点
  • 底面積の計算 … 2点
  • 高さの逆算 … 2点
問題 4 LEVEL C 正四面体の内接球

1辺の長さ $a$ の正四面体 $OABC$ について、

(1) 正四面体の高さ $h$ を求めよ。

(2) 正四面体の体積 $V$ を求めよ。

(3) 正四面体の内接球の半径 $r$ を、全表面積 $S$ と体積 $V$ の関係から求めよ。

▶ 解答を表示
解答

(1) 底面の正三角形の重心から各頂点までの距離は $\dfrac{a}{\sqrt{3}}$。

$$h = \sqrt{a^2 - \frac{a^2}{3}} = \sqrt{\frac{2a^2}{3}} = a\sqrt{\frac{2}{3}} = \frac{a\sqrt{6}}{3}$$

(2) 底面積 $S_0 = \dfrac{\sqrt{3}}{4}a^2$ より:

$$V = \frac{1}{3} \cdot \frac{\sqrt{3}}{4}a^2 \cdot \frac{a\sqrt{6}}{3} = \frac{a^3\sqrt{18}}{36} = \frac{a^3 \cdot 3\sqrt{2}}{36} = \frac{a^3\sqrt{2}}{12}$$

(3) 内接球は4つの面すべてに接します。四面体を内接球の中心 $I$ と各面で4つの小四面体に分割すると、各小四面体の高さが $r$ です。

$$V = \frac{1}{3} \cdot S_{\text{全}} \cdot r$$

$S_{\text{全}} = 4 \cdot \dfrac{\sqrt{3}}{4}a^2 = \sqrt{3}a^2$ なので:

$$r = \frac{3V}{S_{\text{全}}} = \frac{3 \cdot \frac{a^3\sqrt{2}}{12}}{\sqrt{3}a^2} = \frac{a\sqrt{2}}{4\sqrt{3}} = \frac{a\sqrt{6}}{12}$$

解説

$V = \dfrac{1}{3}Sr$ という関係は、正四面体に限らず任意の四面体で内接球の半径を求める基本公式です($S$ は全表面積)。この公式は、内接球の中心と各面で四面体を4つの錐に分割するという幾何学的アイデアに基づいており、内接球が各面に等距離 $r$ で接していることを使っています。

採点ポイント
  • 正四面体の高さ … 3点
  • 体積の計算 … 2点
  • $V = \frac{1}{3}Sr$ の導出・適用 … 3点
  • 内接球の半径の最終答 … 2点