第9章 整数の性質

1次不定方程式
─ $ax + by = c$ の整数解 -- 存在条件と一般解

未知数が2つなのに方程式が1つしかないとき、解は無限にあるはずです。
しかし「整数解」に限ると、解が存在するための条件があり、すべての解を1つのパラメータで表せます。

11次不定方程式の解の存在条件 ─ なぜ $\gcd(a,b) \mid c$ のときだけ解があるのか

整数 $a, b, c$ に対して、$ax + by = c$ を満たす整数 $x, y$ の組を求める問題を 2元1次不定方程式(以下、1次不定方程式)を解くといいます。

まず確認すべきは、整数解が存在するかどうかです。 たとえば $6x + 4y = 3$ を考えてみましょう。 左辺 $6x + 4y = 2(3x + 2y)$ は必ず偶数です。しかし右辺の $3$ は奇数。 偶数が奇数に等しくなることはありえないので、この方程式には整数解が存在しません。

💡 ここが本質:なぜ $\gcd(a,b)$ が $c$ を割るときだけ解があるのか

$\gcd(a, b) = g$ とすると、$a = ga'$, $b = gb'$ と書けます。 このとき $ax + by = g(a'x + b'y)$ なので、左辺は必ず $g$ の倍数です。

したがって、$c$ が $g$ の倍数でなければ、等式は成り立ちません。 逆に $c$ が $g$ の倍数なら、解が存在することが証明できます。

存在条件:$ax + by = c$ が整数解をもつ $\Leftrightarrow$ $\gcd(a, b) \mid c$

📐 1次不定方程式の解の存在条件

$a, b$ を $0$ でない整数、$c$ を整数とする。$\gcd(a, b) = g$ とおくとき、

$$ax + by = c \text{ が整数解をもつ} \iff g \mid c$$

特に、$a$ と $b$ が互いに素($g = 1$)なら、任意の整数 $c$ に対して整数解が存在する。

※ $g \mid c$ は「$g$ が $c$ を割り切る」の意味。$g \nmid c$ のときは解なし。
▷ 存在条件の証明($a, b$ が互いに素の場合)

$a$ と $b$ が互いに素のとき、$ax + by = 1$ が整数解をもつことを示します。

[$\Leftarrow$] $b$ 個の整数 $a \cdot 1, a \cdot 2, a \cdot 3, \ldots, a \cdot (b-1)$ を $b$ で割った余りを考えます。

$a$ と $b$ は互いに素なので、これらの余りはすべて異なります(背理法で証明可能)。 余りは $0, 1, 2, \ldots, b-1$ の $b$ 通りしかないので、余りが $1$ となる $k$($1 \leq k \leq b-1$)が存在します。

$a \cdot k = b \cdot q + 1$ とすると $a \cdot k + b \cdot (-q) = 1$。 よって $(x, y) = (k, -q)$ が $ax + by = 1$ の整数解です。

両辺に $c$ を掛ければ $a(ck) + b(-cq) = c$ となり、任意の $c$ について解が存在します。

[$\Rightarrow$] $ax + by = 1$ が整数解 $(x_0, y_0)$ をもつとします。 $\gcd(a, b) = g$ とすると $a = ga'$, $b = gb'$ で、$g(a'x_0 + b'y_0) = 1$。 $g$ は正の整数なので $g = 1$。すなわち $a, b$ は互いに素です。 $\square$

⚠️ 落とし穴:$\gcd(a,b) \neq 1$ のとき「解なし」と即断する

✕ 誤:$6x + 4y = 10$ は $\gcd(6, 4) = 2 \neq 1$ だから解なし。

○ 正:$\gcd(6, 4) = 2$ であり、$2 \mid 10$ なので解は存在します。 両辺を $2$ で割って $3x + 2y = 5$ とすれば、$\gcd(3, 2) = 1$ の不定方程式に帰着できます。

判定手順:$g = \gcd(a, b)$ を求める → $g \mid c$ を確認 → $g \mid c$ なら両辺を $g$ で割る → $a', b'$ が互いに素な方程式を解く

⚠️ 落とし穴:「$a, b$ が互いに素なら解は1組だけ」と思ってしまう

✕ 誤:$3x + 5y = 1$ の解は $(x, y) = (2, -1)$ の1組だけ。

○ 正:$(2, -1)$ は解の1つ(特殊解)に過ぎません。 整数解は無限に存在し、$(7, -4)$, $(-3, 2)$ なども解です。 すべての解を求めるには、Section 3 で学ぶ一般解の公式が必要です。

🔬 深掘り:ディオファントスと不定方程式

「不定方程式」は英語で Diophantine equation と呼ばれます。 これは古代ギリシアの数学者ディオファントス(3世紀頃)に由来する名前です。

ディオファントスは著書「算術」で整数解や有理数解を求める問題を多数扱いました。 17世紀にフェルマーがこの「算術」の余白に書き込んだメモが、 有名な「フェルマーの最終定理」($x^n + y^n = z^n$ は $n \geq 3$ で正の整数解をもたない)の始まりです。

2特殊解の求め方 ─ まず1組の解を見つける

1次不定方程式を解く最初の関門は、1組の整数解(特殊解)を見つけることです。 特殊解さえ見つかれば、そこからすべての整数解を導けます。

💡 ここが本質:不定方程式の解法は「特殊解 → 一般解」の2段階

$ax + by = c$ を解く手順は明確に2段階に分かれます。

Stage 1:方程式を満たす整数の組 $(x_0, y_0)$ を何でもいいから1組見つける(特殊解)。

Stage 2:特殊解と任意の解の差を取ることで、すべての解(一般解)を表す公式を導く。

Stage 1 のやり方はいくつかあります。直感で見つける、代入して探す、互除法の逆算を使う ── 方法は問いません。

方法 1:直接代入で見つける

係数が小さいときは、$x$ に小さな整数を代入して $y$ が整数になるか試すのが最速です。

例:$9x + 5y = 1$ の特殊解を求める。

$x = -1$ を代入:$9 \times (-1) + 5y = 1$ より $5y = 10$、$y = 2$。 よって $(x, y) = (-1, 2)$ が特殊解。

方法 2:互除法の逆算で見つける

係数が大きいときは、9-5で学んだ互除法の逆算が威力を発揮します。 $67x + 107y = 3$ のように、直接代入では見つかりにくい場合に使います。

▷ $67x + 107y = 3$ の特殊解を互除法の逆算で求める

Step 1:$67$ と $107$ に互除法を適用。

$107 = 67 \times 1 + 40 \quad \cdots$ (i)

$67 = 40 \times 1 + 27 \quad \cdots$ (ii)

$40 = 27 \times 1 + 13 \quad \cdots$ (iii)

$27 = 13 \times 2 + 1 \quad \cdots$ (iv)

$\gcd(67, 107) = 1$。$1 \mid 3$ なので解は存在。

Step 2:逆算で $1 = 67 \cdot (\quad) + 107 \cdot (\quad)$ を導く。

(iv)' $\quad 1 = 27 - 13 \times 2$

(iii) を代入:$1 = 27 - (40 - 27) \times 2 = 27 \times 3 - 40 \times 2$

(ii) を代入:$1 = (67 - 40) \times 3 - 40 \times 2 = 67 \times 3 - 40 \times 5$

(i) を代入:$1 = 67 \times 3 - (107 - 67) \times 5 = 67 \times 8 + 107 \times (-5)$

Step 3:両辺に $3$ を掛ける。

$3 = 67 \times 24 + 107 \times (-15)$

よって $(x, y) = (24, -15)$ が $67x + 107y = 3$ の特殊解。

検算:$67 \times 24 + 107 \times (-15) = 1608 - 1605 = 3$ ✓

⚠️ 落とし穴:見つけた特殊解が「唯一の正しい解」だと思い込む

特殊解の取り方は一通りではありません。たとえば $3x + 5y = 43$ の特殊解として:

$(x, y) = (1, 8)$ でも $(6, 5)$ でも $(11, 2)$ でも正しいです。

どの特殊解を選んでも、一般解の表す整数解の集合は同じです。 見かけ上の式は異なりますが、パラメータ $t$ の置き換えで一致します。

🔬 深掘り:「係数下げ」テクニック

$37x - 90y = 4$ のように一方の係数が大きいとき、互除法を完全に実行しなくても、 大きい係数を小さい方で割って係数を下げる方法があります。

$90 = 37 \times 2 + 16$ より $90y = 37 \times 2y + 16y$。 元の式に代入して $37(x - 2y) - 16y = 4$。$X = x - 2y$ とおくと $37X - 16y = 4$。 係数が $37, 16$ に減りました。これを繰り返せば特殊解が見つけやすくなります。

3一般解の公式 ─ すべての整数解を表す

特殊解 $(x_0, y_0)$ が見つかったら、次はそこから一般解(すべての整数解)を導きます。 ここがこの記事の核心です。

一般解の導出

$ax + by = c$ の特殊解を $(x_0, y_0)$ とします。つまり $ax_0 + by_0 = c$ です。 任意の整数解 $(x, y)$ との差を取ると:

$$a(x - x_0) + b(y - y_0) = 0$$

$X = x - x_0$、$Y = y - y_0$ とおくと $aX + bY = 0$、すなわち $aX = -bY$ です。

$a$ と $b$ が互いに素のとき、$aX = -bY$ から $X$ は $b$ の倍数でなければなりません ($a$ と $b$ は互いに素で、$a$ が $bY$ を割り切るので、$a$ は $Y$ を割り切る ── ではなく、 $b$ が $aX$ を割り切り、$b$ と $a$ が互いに素なので $b$ が $X$ を割り切ります)。

したがって $X = bt$($t$ は整数)とおけます。$aX = -bY$ に代入すると $abt = -bY$、$Y = -at$。

📐 1次不定方程式の一般解

$a$ と $b$ が互いに素で、$ax_0 + by_0 = c$ を満たす整数 $(x_0, y_0)$ が存在するとき、

$$ax + by = c \text{ の整数解は } \begin{cases} x = x_0 + bt \\ y = y_0 - at \end{cases} \quad (t \text{ は任意の整数})$$

※ $x$ の係数 $a$ が $y$ の変化量に、$y$ の係数 $b$ が $x$ の変化量に現れる。符号は逆。
💡 ここが本質:一般解は「特殊解 + 同次方程式の解」

一般解の公式 $x = x_0 + bt$, $y = y_0 - at$ の構造を分解すると:

$(x_0, y_0)$ = $ax + by = c$ の特殊解(1組の具体的な解)

$(bt, -at)$ = $ax + by = 0$ の一般解(同次方程式の解)

つまり、一般解 = 特殊解 + 同次方程式の解です。 この構造は、微分方程式の一般解(特殊解+斉次解)や、 連立方程式の解の構造(特殊解+核空間)と本質的に同じです。

具体例:$3x + 5y = 43$ のすべての整数解

▷ 一般解の導出

Step 1:特殊解を見つける。

$x = 1$ を代入:$3 + 5y = 43$、$5y = 40$、$y = 8$。特殊解 $(x_0, y_0) = (1, 8)$。

Step 2:差を取る。

$3 \cdot 1 + 5 \cdot 8 = 43 \quad \cdots$ (特殊解)

$3x + 5y = 43 \quad \cdots$ (一般の解)

辺々引いて $3(x - 1) + 5(y - 8) = 0$

$3(x - 1) = -5(y - 8)$

$3$ と $5$ は互いに素だから $x - 1$ は $5$ の倍数。$x - 1 = 5t$ とおくと $y - 8 = -3t$。

一般解:

$$\begin{cases} x = 5t + 1 \\ y = -3t + 8 \end{cases} \quad (t \text{ は整数})$$

検算:$3(5t+1) + 5(-3t+8) = 15t + 3 - 15t + 40 = 43$ ✓

⚠️ 落とし穴:一般解で $t$ の符号を逆にしてしまう

一般解 $x = x_0 + bt$, $y = y_0 - at$ で最も多いミスは符号です。

✕ 誤:$3x + 5y = 43$ の一般解を $x = 5t + 1$, $y = 3t + 8$ としてしまう($y$ の $t$ の符号が正)。

○ 正:$x = 5t + 1$, $y = -3t + 8$($y$ の $t$ の係数は $-a = -3$)。

覚え方:$x$ が $+b$ ずつ増えるとき、$y$ は $-a$ ずつ変わる。 $ax + by = c$ を満たし続けるには、$a$ の増分を $b$ の減分で相殺する必要があるからです。

検算法:一般解を元の方程式に代入して、$t$ が消えて $c$ だけが残ることを確認しましょう。 $t$ が残ったら、どこかで符号を間違えています。

$a, b$ が互いに素でない場合

$\gcd(a, b) = g > 1$ のとき、$g \mid c$ なら両辺を $g$ で割ります。

例:$6x + 10y = 14$ → $\gcd(6, 10) = 2$、$2 \mid 14$ なので $3x + 5y = 7$ に帰着。 特殊解 $(x_0, y_0) = (4, -1)$($3 \times 4 + 5 \times (-1) = 7$)。 一般解:$x = 5t + 4$, $y = -3t - 1$。

🔬 深掘り:格子点と直線 ── 幾何学的に見る不定方程式

$3x + 5y = 43$ の整数解は、直線 $y = -\frac{3}{5}x + \frac{43}{5}$ 上の格子点 ($x, y$ がともに整数の点)に対応します。

直線の傾きが $-\frac{3}{5}$(既約分数)なので、$x$ が $5$ 増えるごとに $y$ が $3$ 減ります。 つまり格子点は等間隔に並んでおり、1つ見つければ $+5, -3$ のステップで次々に見つかります。 これがまさに一般解の $(bt, -at)$ の幾何学的な意味です。

4自然数解の条件 ─ 不等式で $t$ の範囲を絞る

入試では「整数解を求めよ」だけでなく、 「自然数の解を求めよ」「正の整数解の個数を求めよ」と聞かれることがよくあります。

自然数解を求めるには、一般解に $x > 0$ かつ $y > 0$(または $x \geq 1$ かつ $y \geq 1$)の条件を課し、 パラメータ $t$ の範囲を求めます。

💡 ここが本質:自然数解 = 一般解 + 不等式制約

一般解は $t$ を使ってすべての整数解を表しています。 自然数の制約を課すことは、$t$ に対する連立不等式を解くことに帰着します。

$x = x_0 + bt > 0$ かつ $y = y_0 - at > 0$ を同時に満たす整数 $t$ の範囲を求め、 その中の整数の個数を数えればよいのです。

具体例:$3x + 5y = 43$ の自然数解

▷ 自然数解の求め方

一般解:$x = 5t + 1$, $y = -3t + 8$($t$ は整数)

$x > 0$ より $5t + 1 > 0$、$t > -\dfrac{1}{5}$

$y > 0$ より $-3t + 8 > 0$、$t < \dfrac{8}{3}$

$-\dfrac{1}{5} < t < \dfrac{8}{3}$ を満たす整数は $t = 0, 1, 2$。

$t = 0$:$(x, y) = (1, 8)$

$t = 1$:$(x, y) = (6, 5)$

$t = 2$:$(x, y) = (11, 2)$

よって自然数解は $3$ 組。

⚠️ 落とし穴:不等号の向きを間違える($b$ が負のとき)

一般解が $x = -5t + 24$ のように $t$ の係数が負のとき、$x > 0$ は

✕ 誤:$-5t + 24 > 0$ → $t > \dfrac{24}{5}$(不等号の向きを変えず割った)

○ 正:$-5t + 24 > 0$ → $-5t > -24$ → $t < \dfrac{24}{5}$(負の数で割ると不等号が逆転)

鉄則:負の数で割るときは不等号の向きを逆にする。 この基本ルールを忘れると、$t$ の範囲が完全に逆になります。

「非負整数解」の場合

問題によっては $x \geq 0$, $y \geq 0$ を求めることもあります。 このときは不等号を $\geq$ にして同様に $t$ の範囲を求めます。 等号が成り立つ場合($x = 0$ や $y = 0$)も解に含まれるかどうか、問題文をよく確認しましょう。

🔬 深掘り:整数計画問題 ── 実社会への応用

「$ax + by = c$ の自然数解」は、実社会では整数計画問題と呼ばれる分野の一部です。 たとえば「80円切手と120円切手を合わせて1000円ちょうどで買う方法」は $80x + 120y = 1000$ の非負整数解を求める問題です。

大学の最適化理論や経済学では、こうした整数条件つきの最適化問題を体系的に扱います。 高校で学ぶ不定方程式は、その最も基本的な形です。

5俯瞰マップ ─ 不定方程式の全体像

1次不定方程式の解法を俯瞰し、さまざまな不定方程式のパターンを整理しましょう。

パターン分類表

パターン方程式の形解法のポイント
A:2元1次(基本)$ax + by = c$特殊解を見つけ、一般解の公式を適用
B:2元1次(互除法)$ax + by = c$(係数大)互除法の逆算で特殊解を求める
C:積の形$xy + ax + by = c$$(\quad)(\quad) = \text{(整数)}$ に変形して約数で絞り込む
D:3元以上$ax + by + cz = d$値の範囲で候補を絞り、2元に帰着
E:自然数解$ax + by = c$($x, y > 0$)一般解に不等式制約を課し $t$ の範囲を求める
F:応用(余り条件)割り算の条件から立式余り条件を不定方程式に翻訳してから解く

解法フローチャート

  1. $\gcd(a, b)$ を求める(互除法)
  2. $\gcd(a, b) \mid c$ を確認(割り切れなければ解なし)
  3. $\gcd > 1$ なら両辺を割って $a, b$ を互いに素にする
  4. 特殊解 $(x_0, y_0)$ を見つける(代入 or 互除法の逆算)
  5. 一般解 $x = x_0 + bt$, $y = y_0 - at$ を書く
  6. 必要なら $x > 0$, $y > 0$ などの条件で $t$ の範囲を絞る

つながりマップ

  • ← 9-5 ユークリッドの互除法:GCDの計算と逆算が、解の存在判定と特殊解の発見に直結。互除法なくして不定方程式は解けない。
  • ← 9-1 約数と倍数:「$a$ と $b$ が互いに素のとき、$a \mid bc$ なら $a \mid c$」という性質が一般解の導出で使われる。
  • → 合同式:$ax \equiv c \pmod{b}$ は $ax + by = c$ と本質的に同じ。合同式を学ぶと不定方程式がさらに見通しよくなる。
  • → 大学数学:線形代数:$ax + by = c$ は「線形方程式の整数解」。一般解=特殊解+斉次解の構造は線形代数の基本定理と同じ。
  • → 暗号理論:RSA暗号では $ed \equiv 1 \pmod{\varphi(n)}$ を満たす $d$ を求める。これは $ed + \varphi(n) \cdot k = 1$ という不定方程式。

📋まとめ

  • 存在条件:$ax + by = c$ が整数解をもつ $\Leftrightarrow$ $\gcd(a, b) \mid c$。$a, b$ が互いに素なら任意の $c$ で解あり
  • 特殊解:まず1組の整数解 $(x_0, y_0)$ を見つける。小さい係数なら代入、大きい係数なら互除法の逆算
  • 一般解:$a, b$ が互いに素のとき、$x = x_0 + bt$, $y = y_0 - at$($t$ は整数)。$x$ の増分は $+b$、$y$ の増分は $-a$
  • 自然数解:一般解に $x > 0$, $y > 0$ を課し、$t$ の範囲(連立不等式)を求めてから整数 $t$ を数える
  • $\gcd > 1$ の場合:$g \mid c$ なら両辺を $g$ で割って $a', b'$ が互いに素な方程式に帰着。$g \nmid c$ なら解なし
  • 検算:一般解を元の方程式に代入し、$t$ が消えて定数 $c$ のみ残ることを確認する

確認テスト

Q1. $6x + 4y = 3$ に整数解が存在しない理由を述べてください。

▶ クリックして解答を表示$\gcd(6, 4) = 2$ であり、$2 \nmid 3$($2$ は $3$ を割り切らない)。左辺は常に偶数だが右辺は奇数なので、等式は成り立たない。

Q2. $9x + 5y = 1$ の整数解をすべて求めてください。

▶ クリックして解答を表示特殊解:$(x, y) = (-1, 2)$($9 \times (-1) + 5 \times 2 = 1$)。一般解:$x = -1 + 5t$, $y = 2 - 9t$($t$ は整数)。検算:$9(-1+5t) + 5(2-9t) = -9+45t+10-45t = 1$ ✓

Q3. 一般解の公式で、$x$ の変化量が $+b$ で $y$ の変化量が $-a$ になるのはなぜですか?

▶ クリックして解答を表示$ax + by = c$ が成り立ち続けるためには、$x$ を $b$ だけ増やしたときの左辺の増分 $ab$ を、$y$ を $a$ だけ減らすことで相殺する必要があるから。$a \cdot b + b \cdot (-a) = 0$。

Q4. $3x + 5y = 43$ の自然数解($x > 0, y > 0$)は何組ありますか?

▶ クリックして解答を表示一般解 $x = 5t + 1$, $y = -3t + 8$ に $x > 0, y > 0$ を課すと $-1/5 < t < 8/3$。整数 $t = 0, 1, 2$ の3組。$(1, 8), (6, 5), (11, 2)$。

Q5. $12x + 8y = 20$ の整数解をすべて求めてください。

▶ クリックして解答を表示$\gcd(12, 8) = 4$。$4 \mid 20$ なので両辺を $4$ で割ると $3x + 2y = 5$。特殊解 $(1, 1)$。一般解:$x = 1 + 2t$, $y = 1 - 3t$($t$ は整数)。

8入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

9-6-1 A 基礎 1次不定方程式 一般解

次の方程式の整数解をすべて求めよ。

(1) $7x + 6y = 40$

(2) $4x - 5y = 1$

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解答

(1) $x = 6t + 4$, $y = -7t + 2$($t$ は整数)

(2) $x = -5t + 4$, $y = -4t + 3$($t$ は整数)

解説

(1) $7 \times 4 + 6 \times 2 = 28 + 12 = 40$ より $(x_0, y_0) = (4, 2)$。

$7(x - 4) + 6(y - 2) = 0$ すなわち $7(x - 4) = -6(y - 2)$。

$7$ と $6$ は互いに素だから $x - 4 = 6t$。$y - 2 = -7t$。

$x = 6t + 4$, $y = -7t + 2$。検算:$7(6t+4)+6(-7t+2) = 42t+28-42t+12 = 40$ ✓

(2) $4 \times 4 - 5 \times 3 = 16 - 15 = 1$ より $(x_0, y_0) = (4, 3)$。

$4(x - 4) - 5(y - 3) = 0$ すなわち $4(x - 4) = 5(y - 3)$。

$4$ と $5$ は互いに素だから $x - 4 = 5s$。ここで $4 \cdot 5s = 5(y-3)$ より $y - 3 = 4s$。

ただし $4x - 5y = 1$ なので一般解の公式に注意。$b = -5$ なので $x = x_0 + (-5)t$? いいえ、ここでは $4x + (-5)y = 1$ と見て、$a = 4, b = -5$。

正しくは:$4(x-4) = 5(y-3)$。$x - 4 = 5t$, $y - 3 = 4t$。

$x = 5t + 4$, $y = 4t + 3$。検算:$4(5t+4) - 5(4t+3) = 20t+16-20t-15 = 1$ ✓

$x = 5t + 4$, $y = 4t + 3$($t$ は整数)。

B 標準レベル

9-6-2 B 標準 自然数解 個数

方程式 $5x + 7y = 2012$ を満たす自然数の組 $(x, y)$ はいくつあるか。

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解答

$57$ 組

解説

方針:特殊解を求めて一般解を書き、$x > 0$, $y > 0$ で $t$ の範囲を絞る。

$\gcd(5, 7) = 1$ なので解は存在する。

特殊解:$5 \times 3 + 7 \times (-1) = 15 - 7 = 8 \neq 2012$。

$5 \times 1 + 7 \times 1 = 12$。$2012 = 12 \times ?$ ではないので直接的に倍数にはならない。

$x = 2$ のとき $10 + 7y = 2012$、$7y = 2002$、$y = 286$。特殊解 $(2, 286)$。

一般解:$x = 7t + 2$, $y = -5t + 286$。

$x > 0$ より $7t + 2 > 0$、$t > -\dfrac{2}{7}$、$t \geq 0$。

$y > 0$ より $-5t + 286 > 0$、$t < \dfrac{286}{5} = 57.2$、$t \leq 57$。

$t = 0, 1, 2, \ldots, 57$ の $58$ 個... ではなく、$t \geq 0$ かつ $t \leq 57$ なので $t = 0, 1, \ldots, 57$ の $58$ 個。

ただし $t = 0$:$(2, 286)$。$t = 57$:$(7 \times 57 + 2, -5 \times 57 + 286) = (401, 1)$。$x > 0, y > 0$ ✓。

検算:$5 \times 401 + 7 \times 1 = 2005 + 7 = 2012$ ✓。

$t = 0$ から $t = 57$ まで $58$ 個。

答え:$58$ 組。

採点ポイント
  • 特殊解の発見(2点)
  • 一般解の導出(3点)
  • 不等式による $t$ の範囲の絞り込み(3点)
  • 自然数解の個数を正しくカウント(2点)
9-6-3 B 標準 余り条件 応用

$11$ で割ると $2$ 余り、$7$ で割ると $6$ 余るような3桁の自然数 $N$ の最大値と最小値を求めよ。

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解答

最小値 $167$、最大値 $937$

解説

方針:余り条件を方程式に翻訳し、不定方程式として解く。

$N = 11a + 2$($a$ は非負整数)、$N = 7b + 6$($b$ は非負整数)。

$11a + 2 = 7b + 6$ より $11a - 7b = 4 \quad \cdots$ (*)

$a = 1, b = 1$ のとき $11 - 7 = 4$ ✓。特殊解 $(a, b) = (1, 1)$。

一般解:$a = 7t + 1$, $b = 11t + 1$($t$ は整数)。

$N = 11(7t + 1) + 2 = 77t + 13$。

3桁の自然数:$100 \leq 77t + 13 \leq 999$。

$87 \leq 77t \leq 986$、$\dfrac{87}{77} \leq t \leq \dfrac{986}{77}$、$1.13 \leq t \leq 12.8$。

$t = 2, 3, \ldots, 12$。

最小値:$t = 2$ のとき $N = 77 \times 2 + 13 = 167$。

最大値:$t = 12$ のとき $N = 77 \times 12 + 13 = 937$。

採点ポイント
  • 余り条件を正しく立式(2点)
  • 不定方程式を正しく解く(3点)
  • $N$ を $t$ の式で表す(2点)
  • 3桁条件から $t$ の範囲を正しく求める(3点)

C 発展レベル

9-6-4 C 発展 互除法 不定方程式 論述

方程式 $17x - 36y = 1$ の整数解をすべて求めよ。

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解答

$x = 36t + 17$, $y = 17t + 8$($t$ は整数)

解説

方針:係数が大きいので互除法の逆算で特殊解を求める。

Step 1:$36$ と $17$ に互除法を適用。

$36 = 17 \times 2 + 2 \quad \cdots$ (i)

$17 = 2 \times 8 + 1 \quad \cdots$ (ii)

$\gcd(36, 17) = 1$ ✓

Step 2:逆算。

(ii)' $\quad 1 = 17 - 2 \times 8$

(i) より $2 = 36 - 17 \times 2$ を代入:

$1 = 17 - (36 - 17 \times 2) \times 8 = 17 \times 17 - 36 \times 8$

すなわち $17 \times 17 - 36 \times 8 = 1$。

$(x_0, y_0) = (17, 8)$ が特殊解。検算:$17 \times 17 - 36 \times 8 = 289 - 288 = 1$ ✓

Step 3:一般解の導出。

$17(x - 17) - 36(y - 8) = 0$ すなわち $17(x - 17) = 36(y - 8)$。

$17$ と $36$ は互いに素だから $x - 17 = 36t$、$y - 8 = 17t$。

$x = 36t + 17$, $y = 17t + 8$($t$ は整数)。

検算:$17(36t+17) - 36(17t+8) = 612t + 289 - 612t - 288 = 1$ ✓

採点ポイント
  • 互除法を正しく実行(2点)
  • 逆算で特殊解を正しく求める(4点)
  • 一般解の公式を正しく適用(3点)
  • 検算(1点)