三角形の3辺(またはその延長)を1本の直線が貫くとき、辺の比の間に美しい関係が成り立ちます。
これがメネラウスの定理です。チェバの定理と双子のように似ていますが、使い方は異なります。原理から理解して、使い分けを身につけましょう。
8-4で学んだチェバの定理は「三角形の頂点からの3本の直線が1点で交わる」ための条件でした。 ここで学ぶメネラウスの定理は、視点が異なります。 1本の直線が三角形の3辺(またはその延長)を横切るとき、切り取られる辺の比の間にどんな関係が成り立つかを述べる定理です。
三角形の外部から1本の直線がスパッと三角形を貫く場面を想像してください。 このとき、直線は3辺のうち1辺または3辺を「延長上で」切ります。 切り口の比の間に成り立つ関係が、メネラウスの定理です。
直線 $\ell$ が $\triangle \mathrm{ABC}$ の3辺 $\mathrm{BC}$, $\mathrm{CA}$, $\mathrm{AB}$ またはその延長と、それぞれ点 $\mathrm{P}$, $\mathrm{Q}$, $\mathrm{R}$ で交わるとき、
$$\frac{\mathrm{BP}}{\mathrm{PC}} \cdot \frac{\mathrm{CQ}}{\mathrm{QA}} \cdot \frac{\mathrm{AR}}{\mathrm{RB}} = 1$$
メネラウスの定理の等式は、チェバの定理と同じ形をしています。覚え方も同じで、 「頂点 → 分点 → 頂点」の順に三角形をひとまわりします。
具体的には、頂点Bから出発して:
この3つの比をかけると $1$ になる。これがメネラウスの定理です。
メネラウスの定理が成り立つ根拠は、平行線が線分を比例的に分けるという基本的な性質です。
証明の核心は、各頂点から直線 $\ell$ に垂線を下ろし、相似な三角形を作ることにあります。 垂線の長さの比が辺の分点の比に等しくなり、それらをかけ合わせると見事に $1$ になります。
つまり、メネラウスの定理は「平行線と比の関係」の巧妙な応用であり、 新しい原理ではなく、既知の定理の組み合わせです。
直線 $\ell$ が $\triangle \mathrm{ABC}$ の辺 $\mathrm{BC}$, $\mathrm{CA}$, $\mathrm{AB}$ またはその延長と点 $\mathrm{P}$, $\mathrm{Q}$, $\mathrm{R}$ で交わるとします。
Step 1:頂点 $\mathrm{A}$, $\mathrm{B}$, $\mathrm{C}$ から直線 $\ell$ に垂線を下ろし、その足をそれぞれ $\mathrm{A'}$, $\mathrm{B'}$, $\mathrm{C'}$ とします。垂線の長さをそれぞれ $a$, $b$, $c$ とおきます。
Step 2:$\triangle \mathrm{BPB'}$ と $\triangle \mathrm{CPC'}$ は相似(共通角 + 直角)なので、 $$\frac{\mathrm{BP}}{\mathrm{PC}} = \frac{b}{c}$$
同様に、$\triangle \mathrm{CQC'}$ と $\triangle \mathrm{AQA'}$ の相似から、 $$\frac{\mathrm{CQ}}{\mathrm{QA}} = \frac{c}{a}$$
$\triangle \mathrm{ARA'}$ と $\triangle \mathrm{BRB'}$ の相似から、 $$\frac{\mathrm{AR}}{\mathrm{RB}} = \frac{a}{b}$$
Step 3:3つの比をかけ合わせると、 $$\frac{\mathrm{BP}}{\mathrm{PC}} \cdot \frac{\mathrm{CQ}}{\mathrm{QA}} \cdot \frac{\mathrm{AR}}{\mathrm{RB}} = \frac{b}{c} \cdot \frac{c}{a} \cdot \frac{a}{b} = 1$$ 分子と分母がすべて消え合って $1$ になります。$\square$
チェバの定理とメネラウスの定理は、結論の等式がまったく同じ形(積 $= 1$)です。
✕ 誤:「直線が三角形を貫いているのに、チェバの定理を適用してしまう」
○ 正:3直線が1点で交わる → チェバ、三角形と1直線 → メネラウス。状況を見て定理を選びます。
判断基準は「登場する図形の種類」です。 1点で束ねられた3直線ならチェバ、三角形を横切る1直線ならメネラウスです。
メネラウスの定理では、直線 $\ell$ と辺との交点のうち、辺の延長上にある点が奇数個(1個または3個)になります。
✕ 誤:外分点が0個や2個なのにメネラウスの定理を適用。それはチェバの定理の状況です。
○ 正:メネラウスでは外分点が奇数個、チェバでは外分点が偶数個(0個または2個)です。 図をかいて、交点が辺上にあるか延長上にあるかを必ず確認しましょう。
メネラウス(Menelaus、紀元100年頃)は、ギリシアの数学者・天文学者です。 彼は球面上の三角形(球面三角形)の研究で知られ、この定理は球面上でも成り立つことを示しました。
高校で学ぶメネラウスの定理は平面版ですが、球面三角法は天文学や地理学で不可欠な道具であり、 GPSの測位計算にもその考え方が生きています。
メネラウスの定理には重要な逆があります。 チェバの定理の逆が「3直線が1点で交わること」を示すのに使えたのと同様に、 メネラウスの定理の逆は「3点が1つの直線上にあること」を証明するための強力な道具です。
$\triangle \mathrm{ABC}$ の3辺 $\mathrm{BC}$, $\mathrm{CA}$, $\mathrm{AB}$ またはその延長上に、それぞれ点 $\mathrm{P}$, $\mathrm{Q}$, $\mathrm{R}$ があり、 この3点のうち辺の延長上にある点の個数が1個または3個のとき、
$$\frac{\mathrm{BP}}{\mathrm{PC}} \cdot \frac{\mathrm{CQ}}{\mathrm{QA}} \cdot \frac{\mathrm{AR}}{\mathrm{RB}} = 1$$
が成り立てば、3点 P, Q, R は1つの直線上にある。
幾何の証明問題で「3点が一直線上にある(共線である)」ことを示すのは、意外と難しいテーマです。 メネラウスの定理の逆は、この証明のための最も実用的なツールです。
手順はシンプルです:
1. 3点が、ある三角形の各辺(またはその延長)上にあることを確認する
2. メネラウスの定理の逆の左辺(比の積)を計算する
3. 積が $1$ になれば、3点は一直線上にあると結論できる
2点 $\mathrm{Q}$, $\mathrm{R}$ を通る直線と辺 $\mathrm{BC}$(またはその延長)の交点を $\mathrm{P'}$ とします。
$\mathrm{P'}$, $\mathrm{Q}$, $\mathrm{R}$ は一直線上にあるので、メネラウスの定理により $$\frac{\mathrm{BP'}}{\mathrm{P'C}} \cdot \frac{\mathrm{CQ}}{\mathrm{QA}} \cdot \frac{\mathrm{AR}}{\mathrm{RB}} = 1$$
仮定から $\dfrac{\mathrm{BP}}{\mathrm{PC}} \cdot \dfrac{\mathrm{CQ}}{\mathrm{QA}} \cdot \dfrac{\mathrm{AR}}{\mathrm{RB}} = 1$ なので、
$$\frac{\mathrm{BP'}}{\mathrm{P'C}} = \frac{\mathrm{BP}}{\mathrm{PC}}$$
よって $\mathrm{P}$ と $\mathrm{P'}$ は一致し、3点 $\mathrm{P}$, $\mathrm{Q}$, $\mathrm{R}$ は1つの直線上にあります。$\square$
メネラウスの定理の逆を使うには、「外分点の個数が奇数(1個または3個)」という前提条件が必要です。
✕ 誤:比の積が $1$ になったので3点は一直線上にある、と短絡的に結論する
○ 正:比の積が $1$ であることに加え、外分点が奇数個であることを確認してから結論します。 外分点が偶数個なのに積が $1$ ならば、それはチェバの定理の状況です。
メネラウスの定理の逆は、「3点が一直線上にある」(共線性、collinearity)を示す道具ですが、 大学で学ぶ射影幾何学では、共線性はさらに一般的な枠組みで扱われます。
射影幾何では「点と直線は双対(dual)である」という美しい原理が成り立ち、 「3直線が1点で交わる」と「3点が1直線上にある」は双対の関係にあります。 チェバの定理とメネラウスの定理が双子のように似ているのは、この双対性の反映です。
チェバの定理とメネラウスの定理は、等式の形がまったく同じなので混乱しがちです。 しかし、適用する場面がまったく異なるので、図形の状況を見て正しく選ぶ必要があります。
| チェバの定理 | メネラウスの定理 | |
|---|---|---|
| 状況 | 3頂点からの直線が1点で交わる | 三角形の3辺を1直線が貫く |
| キーワード | 3直線、1点 | 三角形と1直線 |
| 外分点の個数 | 偶数(0個または2個) | 奇数(1個または3個) |
| 逆の用途 | 3直線の共点(1点で交わること)を証明 | 3点の共線(一直線上にあること)を証明 |
| 等式 | $\dfrac{\mathrm{BP}}{\mathrm{PC}} \cdot \dfrac{\mathrm{CQ}}{\mathrm{QA}} \cdot \dfrac{\mathrm{AR}}{\mathrm{RB}} = 1$ | $\dfrac{\mathrm{BP}}{\mathrm{PC}} \cdot \dfrac{\mathrm{CQ}}{\mathrm{QA}} \cdot \dfrac{\mathrm{AR}}{\mathrm{RB}} = 1$ |
問題を解くとき、次のように判断します:
(1) 3頂点からの直線が1点で交わっている → チェバの定理
(2) 三角形と1本の直線が交わっている → メネラウスの定理
迷ったときは図をかきましょう。図の中に「3直線が交わる1点」が見えればチェバ、 「三角形を貫く1本の直線」が見えればメネラウスです。
メネラウスの定理を使うとき、最も大切なのは「対象となる三角形」と「対象となる直線」を明確にすることです。 複雑な図形の問題では、どの三角形とどの直線にメネラウスの定理を適用するかを、解答に明記する習慣をつけましょう。
具体的な手順は次の通りです:
複雑な図形では、メネラウスの定理を適用できる三角形と直線の組み合わせが複数あります。
✕ 誤:「メネラウスの定理より $\dfrac{\mathrm{BP}}{\mathrm{PC}} \cdot \cdots = 1$」と、三角形と直線を示さずに式だけ書く
○ 正:「$\triangle \mathrm{ABC}$ と直線 $\mathrm{EF}$ について、メネラウスの定理により $\cdots$」と必ず三角形と直線を明示します。 採点でも減点対象になりやすいポイントです。
$\triangle \mathrm{ABC}$ で、$\mathrm{AE} : \mathrm{EB} = 1 : 2$、$\mathrm{AF} : \mathrm{FC} = 3 : 1$ とします。 直線 $\mathrm{EF}$ と直線 $\mathrm{BC}$ の交点を $\mathrm{D}$ とするとき、$\mathrm{BD} : \mathrm{DC}$ を求めましょう。
Step 1:対象を明示。$\triangle \mathrm{ABC}$ と直線 $\mathrm{EF}$ にメネラウスの定理を適用。
交点は:辺 $\mathrm{BC}$ 上(延長)→ $\mathrm{D}$、辺 $\mathrm{CA}$ 上 → $\mathrm{F}$、辺 $\mathrm{AB}$ 上 → $\mathrm{E}$
Step 2:「頂→分→頂」で等式を立てる。
$$\frac{\mathrm{BD}}{\mathrm{DC}} \cdot \frac{\mathrm{CF}}{\mathrm{FA}} \cdot \frac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EB}} = 1$$
Step 3:既知の比を代入。
$$\frac{\mathrm{BD}}{\mathrm{DC}} \cdot \frac{1}{3} \cdot \frac{1}{2} = 1$$
$$\frac{\mathrm{BD}}{\mathrm{DC}} = 6$$
結論:$\mathrm{BD} : \mathrm{DC} = 6 : 1$
メネラウスの定理は、辺の比を求めるだけでなく、三角形の面積比を求める問題でも威力を発揮します。 また、メネラウスの定理を繰り返し使うことで、有名なデザルグの定理のような高度な結果も導けます。
辺の比がわかれば、等高の三角形の面積比は底辺の比に等しいという基本を使って面積比が求まります。 メネラウスの定理は「辺の比を求める」ツールなので、面積比の問題の第一段階として活躍します。
よくある問題パターンは次の通りです:
比が既知の線分や求めたい比の線分に着目し、図の中でそれらの線分に丸印を付けます。
すると、丸印で囲まれた三角形と、その3辺の分点を結ぶ直線が見えてきます。 これがメネラウスの定理を適用すべき「三角形」と「直線」です。
複雑な問題ほど、「どの三角形に適用するか」の選択が解法の鍵を握ります。
メネラウスの定理の応用として、射影幾何学の基本定理の1つであるデザルグの定理を紹介しましょう。
$\triangle \mathrm{ABC}$ と $\triangle \mathrm{A'B'C'}$ において、直線 $\mathrm{AA'}$, $\mathrm{BB'}$, $\mathrm{CC'}$ が1点 $\mathrm{O}$ で交わるならば、 直線 $\mathrm{BC}$ と $\mathrm{B'C'}$ の交点を $\mathrm{P}$、直線 $\mathrm{CA}$ と $\mathrm{C'A'}$ の交点を $\mathrm{Q}$、 直線 $\mathrm{AB}$ と $\mathrm{A'B'}$ の交点を $\mathrm{R}$ とすると、3点 P, Q, R は1つの直線上にある。
証明のアイデアは、メネラウスの定理を3回適用して比の積を求め、それらをかけ合わせることで メネラウスの定理の逆の条件を導く、というものです。射影幾何の入口を覗くことができる美しい定理です。
$\triangle \mathrm{OAB}$ と直線 $\mathrm{A'B'}$ にメネラウスの定理を適用: $\dfrac{\mathrm{AR}}{\mathrm{RB}} \cdot \dfrac{\mathrm{BB'}}{\mathrm{B'O}} \cdot \dfrac{\mathrm{OA'}}{\mathrm{A'A}} = 1$ ... (1)
$\triangle \mathrm{OBC}$ と直線 $\mathrm{B'C'}$ にメネラウスの定理を適用: $\dfrac{\mathrm{BP}}{\mathrm{PC}} \cdot \dfrac{\mathrm{CC'}}{\mathrm{C'O}} \cdot \dfrac{\mathrm{OB'}}{\mathrm{B'B}} = 1$ ... (2)
$\triangle \mathrm{OCA}$ と直線 $\mathrm{C'A'}$ にメネラウスの定理を適用: $\dfrac{\mathrm{CQ}}{\mathrm{QA}} \cdot \dfrac{\mathrm{AA'}}{\mathrm{A'O}} \cdot \dfrac{\mathrm{OC'}}{\mathrm{C'C}} = 1$ ... (3)
(1)(2)(3) の辺々をかけると、 $$\frac{\mathrm{BP}}{\mathrm{PC}} \cdot \frac{\mathrm{CQ}}{\mathrm{QA}} \cdot \frac{\mathrm{AR}}{\mathrm{RB}} = 1$$ メネラウスの定理の逆により、3点 P, Q, R は1つの直線上にあります。$\square$
実は、チェバの定理はメネラウスの定理を2回使うことで証明できます。
$\triangle \mathrm{ABP}$ と直線 $\mathrm{RC}$ にメネラウスの定理を適用し、 次に $\triangle \mathrm{ACP}$ と直線 $\mathrm{BQ}$ にメネラウスの定理を適用して、 2つの結果をかけ合わせるとチェバの定理の等式が導かれます。
つまり、メネラウスの定理はチェバの定理よりも「基本的な」定理と言えます。 これは射影幾何学では自然な見方で、メネラウスの定理は射影幾何の基盤となる定理の1つです。
ここまで、メネラウスの定理とその応用を学んできました。 最後に、チェバの定理と合わせて「三角形の辺の比」に関する定理の全体像を整理しましょう。
| 使う定理 | 状況 | 判断基準 |
|---|---|---|
| チェバの定理 | 3頂点からの直線が1点で交わる | 外分点が偶数個(0個または2個) |
| チェバの逆 | 3直線が1点で交わることを証明したい | 比の積 $= 1$ + 外分点偶数個 |
| メネラウスの定理 | 三角形を1直線が貫く | 外分点が奇数個(1個または3個) |
| メネラウスの逆 | 3点が一直線上にあることを証明したい | 比の積 $= 1$ + 外分点奇数個 |
| 角の二等分線 + メネラウス | 二等分線と辺の比が絡む問題 | 二等分線の性質で比を求め、メネラウスに代入 |
Q1. メネラウスの定理は、どのような場面で使う定理ですか? チェバの定理との違いも述べてください。
Q2. メネラウスの定理で、辺の延長上にある交点(外分点)の個数は何個ですか?
Q3. メネラウスの定理の逆は、何を証明するために使いますか?
Q4. $\triangle \mathrm{ABC}$ で、辺 $\mathrm{AB}$ を $2:3$ に内分する点を $\mathrm{E}$、辺 $\mathrm{AC}$ を $4:1$ に内分する点を $\mathrm{F}$ とします。直線 $\mathrm{EF}$ と辺 $\mathrm{BC}$ の延長の交点を $\mathrm{D}$ とするとき、$\mathrm{BD} : \mathrm{DC}$ を求めてください。
Q5. メネラウスの定理の証明の核心は何ですか? どのような補助線を引きますか?
この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。
$\triangle \mathrm{ABC}$ において、$\mathrm{AB} : \mathrm{AC} = 2 : 3$ である。辺 $\mathrm{AB}$, $\mathrm{BC}$ の中点をそれぞれ $\mathrm{M}$, $\mathrm{N}$ とし、$\angle \mathrm{A}$ の二等分線が $\mathrm{MN}$, $\mathrm{BC}$ と交わる点をそれぞれ $\mathrm{P}$, $\mathrm{D}$ とする。$\mathrm{MP} : \mathrm{PN}$ を求めよ。
$\mathrm{MP} : \mathrm{PN} = 3 : 2$
方針:角の二等分線の性質で $\mathrm{BD} : \mathrm{DC}$ を求め、$\triangle \mathrm{ABD}$ と直線 $\mathrm{MN}$ にメネラウスの定理を適用する。
$\mathrm{AD}$ は $\angle \mathrm{A}$ の二等分線だから、$\mathrm{BD} : \mathrm{DC} = \mathrm{AB} : \mathrm{AC} = 2 : 3$。
$\mathrm{BN} : \mathrm{NC} = 1 : 1$ より、$\mathrm{BD} : \mathrm{DN} : \mathrm{NC} = 4 : 1 : 5$($\mathrm{BC} = 10$ とおくと $\mathrm{BD} = 4$, $\mathrm{BN} = 5$, $\mathrm{DN} = 1$)。
$\triangle \mathrm{ABD}$ と直線 $\mathrm{MN}$ について、メネラウスの定理により
$$\frac{\mathrm{BN}}{\mathrm{ND}} \cdot \frac{\mathrm{DP}}{\mathrm{PA}} \cdot \frac{\mathrm{AM}}{\mathrm{MB}} = 1$$
$$\frac{5}{1} \cdot \frac{\mathrm{DP}}{\mathrm{PA}} \cdot \frac{1}{1} = 1 \quad \Rightarrow \quad \frac{\mathrm{DP}}{\mathrm{PA}} = \frac{1}{5}$$
よって $\mathrm{AP} : \mathrm{PD} = 5 : 1$。
次に $\triangle \mathrm{MBN}$ と直線 $\mathrm{AD}$ について、メネラウスの定理を適用すると、$\mathrm{MP} : \mathrm{PN} = 3 : 2$ が得られます。
$\triangle \mathrm{ABC}$ の内部に点 $\mathrm{O}$ があり、直線 $\mathrm{AO}$, $\mathrm{BO}$, $\mathrm{CO}$ が対辺 $\mathrm{BC}$, $\mathrm{CA}$, $\mathrm{AB}$ とそれぞれ点 $\mathrm{P}$, $\mathrm{Q}$, $\mathrm{R}$ で交わる。$\mathrm{BP} : \mathrm{PC} = 2 : 3$, $\mathrm{AQ} : \mathrm{QC} = 3 : 1$ のとき、次の比を求めよ。
(1) $\mathrm{AR} : \mathrm{RB}$
(2) $\mathrm{BO} : \mathrm{OQ}$
(1) $\mathrm{AR} : \mathrm{RB} = 4 : 9$
(2) $\mathrm{BO} : \mathrm{OQ} = 4 : 9$
方針:(1) はチェバの定理、(2) はメネラウスの定理を使う。
(1) $\triangle \mathrm{ABC}$ において、チェバの定理により
$$\frac{\mathrm{BP}}{\mathrm{PC}} \cdot \frac{\mathrm{CQ}}{\mathrm{QA}} \cdot \frac{\mathrm{AR}}{\mathrm{RB}} = 1$$
$$\frac{2}{3} \cdot \frac{1}{3} \cdot \frac{\mathrm{AR}}{\mathrm{RB}} = 1 \quad \Rightarrow \quad \frac{\mathrm{AR}}{\mathrm{RB}} = \frac{9}{2}$$
よって $\mathrm{AR} : \mathrm{RB} = 9 : 2$。
(2) $\triangle \mathrm{ABQ}$ と直線 $\mathrm{RC}$ について、メネラウスの定理を適用します(ここで三角形と直線を明示するのがポイント)。
$$\frac{\mathrm{BO}}{\mathrm{OQ}} \cdot \frac{\mathrm{QC}}{\mathrm{CA}} \cdot \frac{\mathrm{AR}}{\mathrm{RB}} = 1$$
$\mathrm{AQ} : \mathrm{QC} = 3 : 1$ より $\mathrm{QC} : \mathrm{CA} = 1 : 4$。
$$\frac{\mathrm{BO}}{\mathrm{OQ}} \cdot \frac{1}{4} \cdot \frac{9}{2} = 1 \quad \Rightarrow \quad \frac{\mathrm{BO}}{\mathrm{OQ}} = \frac{8}{9}$$
よって $\mathrm{BO} : \mathrm{OQ} = 8 : 9$。
$\triangle \mathrm{ABC}$ において、辺 $\mathrm{AB}$ を $5 : 2$ に内分する点を $\mathrm{P}$、辺 $\mathrm{AC}$ を $7 : 2$ に外分する点を $\mathrm{Q}$ とし、直線 $\mathrm{PQ}$ と辺 $\mathrm{BC}$ の交点を $\mathrm{R}$ とする。$\mathrm{BR} : \mathrm{CR}$ を求めよ。
$\mathrm{BR} : \mathrm{CR} = 10 : 7$
方針:$\triangle \mathrm{ABC}$ と直線 $\mathrm{PQ}$ にメネラウスの定理を適用する。
$\mathrm{AP} : \mathrm{PB} = 5 : 2$、$\mathrm{AQ} : \mathrm{QC} = 7 : 2$(外分)より $\mathrm{CQ} : \mathrm{QA} = 2 : 7$($\mathrm{Q}$ は辺 $\mathrm{CA}$ の延長上)。
$\triangle \mathrm{ABC}$ と直線 $\mathrm{PQ}$ にメネラウスの定理を適用すると、
$$\frac{\mathrm{BR}}{\mathrm{RC}} \cdot \frac{\mathrm{CQ}}{\mathrm{QA}} \cdot \frac{\mathrm{AP}}{\mathrm{PB}} = 1$$
$$\frac{\mathrm{BR}}{\mathrm{RC}} \cdot \frac{2}{7} \cdot \frac{5}{2} = 1 \quad \Rightarrow \quad \frac{\mathrm{BR}}{\mathrm{RC}} = \frac{7}{5}$$
よって $\mathrm{BR} : \mathrm{CR} = 7 : 5$。
※ 外分点の向きに注意が必要です。$\mathrm{Q}$ は辺 $\mathrm{AC}$ を $7 : 2$ に外分する点なので、$\mathrm{C}$ から見て $\mathrm{A}$ の反対側にあります。
$\triangle \mathrm{ABC}$ の辺 $\mathrm{BC}$ 上に点 $\mathrm{D}$ をとり、$\angle \mathrm{ADB}$ の二等分線と辺 $\mathrm{AB}$ の交点を $\mathrm{E}$、$\angle \mathrm{ADC}$ の二等分線と辺 $\mathrm{AC}$ の交点を $\mathrm{F}$ とする。このとき、$\mathrm{AD}$, $\mathrm{BF}$, $\mathrm{CE}$ は1点で交わることを証明せよ。
下記の解説を参照。
方針:角の二等分線の性質で辺の比を求め、チェバの定理の逆を適用する。
$\mathrm{DE}$ は $\angle \mathrm{ADB}$ の二等分線だから、$\triangle \mathrm{ABD}$ における内角の二等分線の定理より
$$\frac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EB}} = \frac{\mathrm{DA}}{\mathrm{DB}}$$
$\mathrm{DF}$ は $\angle \mathrm{ADC}$ の二等分線だから、$\triangle \mathrm{ACD}$ における内角の二等分線の定理より
$$\frac{\mathrm{AF}}{\mathrm{FC}} = \frac{\mathrm{DA}}{\mathrm{DC}}$$
チェバの定理の逆を使うため、比の積を計算します:
$$\frac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EB}} \cdot \frac{\mathrm{BD}}{\mathrm{DC}} \cdot \frac{\mathrm{CF}}{\mathrm{FA}} = \frac{\mathrm{DA}}{\mathrm{DB}} \cdot \frac{\mathrm{BD}}{\mathrm{DC}} \cdot \frac{\mathrm{DC}}{\mathrm{DA}} = 1$$
よって、チェバの定理の逆により、$\mathrm{AD}$, $\mathrm{BF}$, $\mathrm{CE}$ は1点で交わります。$\square$