第8章 図形の性質

三角形の辺と角の性質
─ 三角形の基本性質 -- 辺と角が決める図形の世界

三角形は最もシンプルな多角形でありながら、驚くほど豊かな性質を持ちます。
この記事では、三角形がそもそも「存在する条件」から始めて、角の二等分線の性質、中線定理、辺と角の大小関係を学びます。 すべての性質は「なぜそうなるのか」を原理から理解しましょう。

1三角形の成立条件 ─ 3本の棒で三角形は作れるか?

3つの辺の長さが与えられたとき、必ず三角形が作れるとは限りません。 たとえば、長さ $1$, $2$, $10$ の3本の棒では三角形は作れません。 短い2本を合わせても長い1本に届かないからです。

では、どんな条件を満たせば三角形が作れるのでしょうか。 直感的には「どの1辺も、残りの2辺の和より短い」ことが必要です。 これが三角形の成立条件です。

📐 三角形の成立条件

3辺の長さを $a$, $b$, $c$ とするとき、三角形が存在する条件は:

$$|b - c| < a < b + c$$

すなわち、どの1辺も、他の2辺の差より大きく、他の2辺の和より小さい

※ 3つの辺について同時に成り立つ必要がありますが、最も長い辺 $a$ について $a < b + c$ を確認すれば十分です。なぜなら、$a$ が最大辺のとき $b < a + c$ と $c < a + b$ は自動的に成り立つからです。
💡 ここが本質:最大辺だけチェックすればよい理由

3辺の長さが $a \geq b \geq c > 0$ のとき、$a < b + c$ が成り立てば、 $b < a + c$ と $c < a + b$ は自動的に満たされます。

なぜなら、$a \geq b$ より $a + c \geq b + c > b$。同様に $a + b \geq c + b > c$。

つまり、最大辺について「他の2辺の和より小さい」を確認するだけで、三角形の成立条件は完全にチェックできます。

⚠️ 落とし穴:等号のときは三角形にならない

✕ 誤:$a = 3$, $b = 2$, $c = 5$ のとき、$a + b = c$ だから三角形が成り立つ

○ 正:$a + b = c$ のとき、3点は一直線上に並んでしまい、三角形にはなりません。 成立条件は不等号($<$)であって等号を含まないことに注意してください。

🔬 深掘り:三角不等式とメトリック空間

三角形の成立条件 $a < b + c$ は、大学数学では三角不等式(triangle inequality)と呼ばれます。 これは「2点間の距離」が満たすべき最も基本的な性質の1つです。

大学の解析学では、距離の公理を満たす空間を距離空間(メトリック空間)と定義します。 三角不等式は「遠回りは近道より長い」という直感的な事実の数学的表現であり、 ユークリッド空間だけでなく、あらゆる「距離」の概念の土台となっています。

2角の二等分線の性質 ─ 対辺を「辺の比」で分ける原理

$\triangle ABC$ において、$\angle A$ の二等分線が対辺 $BC$ と交わる点を $D$ としましょう。 このとき、点 $D$ は辺 $BC$ を特別な比で分けます。 その比は $AB : AC$、つまり角 $A$ を挟む2辺の比です。

内角の二等分線の定理

📐 内角の二等分線と比

$\triangle ABC$ で、$\angle A$ の二等分線と辺 $BC$ の交点を $D$ とすると:

$$BD : DC = AB : AC$$

すなわち、内角の二等分線は、対辺を隣り合う2辺の比に内分する

💡 ここが本質:面積比で理解する角の二等分線

なぜ $BD : DC = AB : AC$ が成り立つのでしょうか。 最も直感的な理解は面積比を使う方法です。

$AD$ は $\angle A$ の二等分線なので、$\angle BAD = \angle CAD$ です。 頂点 $A$ から辺 $BD$, $DC$ に下ろした垂線の長さは、三角形の高さとして考えると、 $\triangle ABD$ と $\triangle ACD$ はそれぞれ底辺を $BD$, $DC$ として共通の高さ($A$ から $BC$ への垂線)を持ちます。

一方、$\triangle ABD$ と $\triangle ACD$ を、辺 $AB$, $AC$ を底辺と見ると、 $\angle BAD = \angle CAD$ であり、頂点 $D$ からの高さはそれぞれ $AB \sin(\angle BAD)$, $AC \sin(\angle CAD)$ に比例します。 よって面積比は $AB : AC$ です。

底辺 $BD : DC$ での面積比と辺 $AB : AC$ での面積比が等しいので、$BD : DC = AB : AC$ が成り立ちます。

▷ 内角の二等分線の定理の証明(平行線を利用)

点 $C$ を通り、直線 $AD$ に平行な直線を引き、辺 $BA$ の延長との交点を $E$ とします。

Step 1:$AD \parallel EC$ より、同位角と錯角の関係から:

$\angle BAD = \angle AEC$(同位角)、$\angle DAC = \angle ACE$(錯角)

Step 2:$AD$ は $\angle A$ の二等分線なので $\angle BAD = \angle DAC$。 よって $\angle AEC = \angle ACE$ となり、$\triangle ACE$ は二等辺三角形。 したがって $AE = AC$。

Step 3:$\triangle BDA$ と $\triangle BEC$ において、$AD \parallel EC$ より:

$$BD : DC = BA : AE = BA : AC = AB : AC$$

外角の二等分線の定理

次に、$\angle A$ の外角の二等分線を考えましょう。 外角の二等分線は、辺 $BC$ の延長と交わります($AB \neq AC$ の場合)。

📐 外角の二等分線と比

$AB \neq AC$ である $\triangle ABC$ で、$\angle A$ の外角の二等分線と辺 $BC$ の延長との交点を $E$ とすると:

$$BE : EC = AB : AC$$

すなわち、外角の二等分線は、対辺を隣り合う2辺の比に外分する

※ $AB = AC$ の場合、外角の二等分線は辺 $BC$ と平行になるため、交点は存在しません。
⚠️ 落とし穴:外角の二等分線は「外分」── 内分と混同しない

✕ 誤:$\angle A$ の外角の二等分線は辺 $BC$ を $AB : AC$ に内分する

○ 正:外角の二等分線が分けるのは外分です。 交点は辺 $BC$ の上ではなく、辺 $BC$ の延長上にあります。

内角の二等分線は「内分」、外角の二等分線は「外分」── このペアをセットで覚えましょう。 どちらも比は同じ $AB : AC$ ですが、分け方が異なります。

⚠️ 落とし穴:外分点の位置を間違える

$AB = 7$, $AC = 3$ のとき、外角の二等分線は辺 $BC$ を $7 : 3$ に外分します。

✕ 誤:「外分」だから $B$ の外側にも $C$ の外側にも点が取れる

○ 正:$AB > AC$ のとき、外分点は $C$ の外側($B$ から見て $C$ を越えた先)にあります。 外分点の位置は $AB$ と $AC$ の大小関係で決まります。 $AB > AC$ なら大きい方の辺 $AB$ に対応する $B$ 側が長くなるように配置されます。

角の二等分線の定理の逆

逆も成り立ちます。辺 $BC$ を $AB : AC$ に内分する点 $P$ をとると、$AP$ は $\angle A$ の二等分線です。 同様に、$BC$ を $AB : AC$ に外分する点 $Q$ をとると、$AQ$ は $\angle A$ の外角の二等分線です。

🔬 深掘り:アポロニウスの円と角の二等分線

内分点 $D$ と外分点 $E$ を結ぶ線分 $DE$ は、実は重要な幾何学的意味を持ちます。 $D$ と $E$ は辺 $BC$ を同じ比 $AB : AC$ で内分・外分する点なので、 点 $A$ から見た $B$, $C$ への距離の比が一定($AB : AC$)であるような点の集合は、 $DE$ を直径とする円になります。

この円をアポロニウスの円と呼びます。 古代ギリシャの数学者アポロニウスが発見したこの円は、 「2定点からの距離の比が一定な点の軌跡」として、座標幾何学でも重要な役割を果たします。

3中線定理 ─ 中線の長さと辺の関係

三角形の頂点と対辺の中点を結ぶ線分を中線といいます。 中線の長さと三角形の辺の長さの間には、美しい関係式が成り立ちます。 これが中線定理(パップスの定理)です。

📐 中線定理(パップスの定理)

$\triangle ABC$ の辺 $BC$ の中点を $M$ とすると:

$$AB^2 + AC^2 = 2(AM^2 + BM^2)$$

※ $BM = \dfrac{BC}{2}$ なので、$AB^2 + AC^2 = 2AM^2 + \dfrac{BC^2}{2}$ とも書けます。
💡 ここが本質:中線定理は三平方の定理の拡張

中線定理の証明には三平方の定理を使います。 点 $A$ から辺 $BC$ に下ろした垂線の足を $H$ とすると、$\triangle ABH$ と $\triangle ACH$ にそれぞれ三平方の定理を適用できます。

直角三角形では $AB^2 = AM^2 + BM^2$($\angle M = 90°$ のとき)ですが、 一般の三角形では頂点 $A$ から $BC$ への垂線の足 $H$ が中点 $M$ と一致しません。 中線定理は、$H$ と $M$ のずれを「$+$」と「$-$」で打ち消して、きれいな式にまとめたものです。

▷ 中線定理の証明

点 $A$ から辺 $BC$ またはその延長に下ろした垂線の足を $H$ とします。

三平方の定理より:

$AB^2 = AH^2 + BH^2$ ......①

$AC^2 = AH^2 + CH^2$ ......②

$M$ は $BC$ の中点なので $BM = CM$。$MH$ を用いて $BH$, $CH$ を表すと:

$BH = BM + MH$, $CH = CM - MH = BM - MH$($H$ が $M$ と $C$ の間にある場合)

①+②より:

$AB^2 + AC^2 = 2AH^2 + (BM + MH)^2 + (BM - MH)^2$

$= 2AH^2 + 2BM^2 + 2MH^2$

$= 2(AH^2 + MH^2) + 2BM^2$

$\triangle AMH$ に三平方の定理を適用すると $AH^2 + MH^2 = AM^2$ なので:

$$AB^2 + AC^2 = 2(AM^2 + BM^2)$$

中線定理の使い方

中線定理は、中線の長さを求める問題でよく使います。 $AB = 10$, $AC = 8$, $BC = 12$ のとき、中線 $AM$ の長さを求めてみましょう。

中線定理より、$AB^2 + AC^2 = 2(AM^2 + BM^2)$。 $BM = \dfrac{BC}{2} = 6$ なので:

$10^2 + 8^2 = 2(AM^2 + 6^2)$、すなわち $164 = 2(AM^2 + 36)$。 $AM^2 = 46$ より $AM = \sqrt{46}$。

⚠️ 落とし穴:中線定理で $BM$ に $BC$ を代入してしまう

✕ 誤:$AB^2 + AC^2 = 2(AM^2 + BC^2)$

○ 正:$AB^2 + AC^2 = 2(AM^2 + BM^2)$ ただし $BM = \dfrac{BC}{2}$

$BM$ は $BC$ の半分であることを忘れないでください。 $BC$ をそのまま代入すると、答えが4倍ずれてしまいます。

🔬 深掘り:スチュワートの定理 ── 中線定理の一般化

中線定理は $M$ が辺 $BC$ の中点のときの公式ですが、$M$ が中点でない一般の分点の場合にも拡張できます。 点 $D$ が辺 $BC$ を $BD : DC = m : n$ に内分するとき:

$$n \cdot AB^2 + m \cdot AC^2 = (m + n)(AD^2 + mn \cdot \frac{BC^2}{(m+n)^2})$$

これをスチュワートの定理といいます。$m = n = 1$(中点)のとき、中線定理に一致します。 角の二等分線の長さを求める際にも、この定理が活躍します。

4角の大小と辺の大小 ─ 長い辺の向かいには大きな角

三角形には「辺が長いほど、その向かいの角が大きい」という直感的にわかりやすい性質があります。 この性質は、三角形の形を特定するときに非常に重要です。

📐 三角形の辺と角の大小関係

$\triangle ABC$ で $AB = c$, $BC = a$, $CA = b$ とすると:

$$a > b \iff \angle A > \angle B$$

$$a = b \iff \angle A = \angle B$$

$$a < b \iff \angle A < \angle B$$

すなわち、長い辺の対角は大きく、短い辺の対角は小さい

💡 ここが本質:なぜ長い辺の対角が大きいのか

$AB < AC$ のとき $\angle C < \angle B$ を示すには、次のように考えます。

長い辺 $AC$ 上に $AD = AB$ となる点 $D$ をとると、$\triangle ABD$ は二等辺三角形です。 よって $\angle ABD = \angle ADB$ です。

外角の性質から $\angle ADB > \angle C$($\triangle BDC$ の外角)。 また $\angle B = \angle ABD + \angle DBC > \angle ABD = \angle ADB > \angle C$。

つまり、$\angle B > \angle C$ が示されます。 この証明のポイントは、二等辺三角形を作って比較の足がかりを得ることです。

角の大小と三角形の形状

余弦定理 $a^2 = b^2 + c^2 - 2bc\cos A$ と辺と角の大小関係を組み合わせると、 三角形の形状(鋭角・直角・鈍角)を辺の長さだけで判定できます。

$\angle A$ の種類条件余弦定理との関係
鋭角$a^2 < b^2 + c^2$$\cos A > 0$
直角$a^2 = b^2 + c^2$$\cos A = 0$
鈍角$a^2 > b^2 + c^2$$\cos A < 0$
⚠️ 落とし穴:鈍角三角形の判定で最大辺を確認し忘れる

「三角形が鈍角三角形かどうか」を判定するとき、$a^2 > b^2 + c^2$ をチェックしますが、 $a$ は最大辺でなければ正しく判定できません。

✕ 誤:3辺が $3, 5, 6$ のとき、$3^2 = 9$、$5^2 + 6^2 = 61$。$9 < 61$ だから鋭角三角形

○ 正:最大辺 $6$ について確認する。$6^2 = 36$、$3^2 + 5^2 = 34$。$36 > 34$ なので鈍角三角形

鈍角は最大辺の対角にしか現れないので、必ず最大辺を選んで判定しましょう。

5俯瞰マップ ─ 三角形の性質の全体像

この記事で学んだ三角形の基本性質を鳥の目で俯瞰しましょう。 すべての性質は「三角形の辺と角の関係」を異なる角度から表現したものです。

性質の体系

性質内容使う場面
成立条件$|b-c| < a < b+c$辺の長さにパラメータが含まれるとき
角の二等分線(内分)$BD:DC = AB:AC$内分点の位置、線分の長さ
角の二等分線(外分)$BE:EC = AB:AC$外分点の位置、アポロニウスの円
中線定理$AB^2+AC^2=2(AM^2+BM^2)$中線の長さ、辺の2乗の和
辺と角の大小$a > b \iff \angle A > \angle B$三角形の形状判定、不等式の証明

つながりマップ

  • ← 4-2 正弦定理と余弦定理:辺と角の関係は余弦定理で定量的に表される。鈍角の判定条件は余弦定理の直接的な帰結。
  • → 8-2 三角形の五心:角の二等分線の交点が「内心」、垂直二等分線の交点が「外心」。この記事の性質が五心の理解の基盤。
  • → 8-2 メネラウスの定理・チェバの定理:角の二等分線の性質はチェバの定理の特殊例。線分比の扱いが発展する。
  • → 数学II ベクトル:中線定理はベクトルを使うと簡潔に証明できる。$\vec{AM} = \frac{1}{2}(\vec{AB} + \vec{AC})$ から直接導ける。

📋まとめ

  • 三角形の成立条件:$|b-c| < a < b+c$。最大辺について他の2辺の和より小さいことを確認すれば十分
  • 内角の二等分線は対辺を隣り合う2辺の比 $AB:AC$ に内分する。面積比で理解するのが本質的
  • 外角の二等分線は対辺を隣り合う2辺の比 $AB:AC$ に外分する。内分と混同しないこと
  • 中線定理:$AB^2 + AC^2 = 2(AM^2 + BM^2)$。中線の長さを求める基本公式。$BM$ は $BC$ の半分
  • 辺と角の大小:長い辺の対角は大きい。鈍角の判定は最大辺について確認する

確認テスト

Q1. 3辺の長さが $4$, $7$, $x$ のとき、三角形が成り立つための $x$ の範囲を求めてください。

▶ クリックして解答を表示三角形の成立条件より $|7-4| < x < 7+4$、すなわち $3 < x < 11$。

Q2. $\triangle ABC$ で $AB = 6$, $AC = 4$ のとき、$\angle A$ の二等分線は辺 $BC$ をどのような比に内分しますか?

▶ クリックして解答を表示$BD : DC = AB : AC = 6 : 4 = 3 : 2$ に内分する。

Q3. 中線定理 $AB^2 + AC^2 = 2(AM^2 + BM^2)$ で、$BM$ は何の長さですか?

▶ クリックして解答を表示$BM$ は辺 $BC$ の中点 $M$ までの長さ、すなわち $BM = \dfrac{BC}{2}$。

Q4. $\triangle ABC$ で $AB = 5$, $BC = 7$, $CA = 8$ のとき、最大の角はどれですか?

▶ クリックして解答を表示最大辺は $CA = 8$。辺と角の大小関係より、最大辺の対角 $\angle B$ が最大の角。

Q5. 3辺が $5, 6, 9$ の三角形は鋭角三角形、直角三角形、鈍角三角形のどれですか?

▶ クリックして解答を表示最大辺 $9$ について、$9^2 = 81$、$5^2 + 6^2 = 61$。$81 > 61$ なので鈍角三角形。

8入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

8-1-1 A 基礎 角の二等分線 内分

$\triangle ABC$ において、$AB = 7$, $BC = 5$, $CA = 3$ とする。$\angle A$ の二等分線と辺 $BC$ の交点を $D$、$\angle A$ の外角の二等分線と辺 $BC$ の延長との交点を $E$ とするとき、線分 $DE$ の長さを求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

$DE = \dfrac{45}{8}$

解説

方針:内角・外角の二等分線の定理を使い、$D$, $E$ の位置を求める。

内角の二等分線の定理より $BD : DC = AB : AC = 7 : 3$

$BD + DC = BC = 5$ と合わせて $DC = \dfrac{3}{10} \times 5 = \dfrac{3}{2}$

外角の二等分線の定理より $BE : EC = AB : AC = 7 : 3$(外分)

$BE - EC = BC = 5$ と $\dfrac{BE}{EC} = \dfrac{7}{3}$ より、$EC = \dfrac{3}{4} \times 5 = \dfrac{15}{4}$

$DE = DC + CE = \dfrac{3}{2} + \dfrac{15}{4} = \dfrac{6}{4} + \dfrac{15}{4} = \dfrac{21}{4}$

(注:$E$ が $C$ の外側にある場合。実際に $AB > AC$ なので $E$ は $C$ 側の延長上にあり、$DE = DC + CE = \dfrac{3}{2} + \dfrac{15}{4} = \dfrac{21}{4}$)

8-1-2 A 基礎 中線定理 計算

$\triangle ABC$ において、$AB = 5$, $AC = 7$, $BC = 8$ とする。辺 $BC$ の中点を $M$ とするとき、中線 $AM$ の長さを求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

$AM = \sqrt{21}$

解説

方針:中線定理 $AB^2 + AC^2 = 2(AM^2 + BM^2)$ を使う。

$BM = \dfrac{BC}{2} = 4$ なので:

$5^2 + 7^2 = 2(AM^2 + 4^2)$

$25 + 49 = 2(AM^2 + 16)$

$74 = 2AM^2 + 32$

$AM^2 = 21$

$AM = \sqrt{21}$

B 標準レベル

8-1-3 B 標準 成立条件 鈍角三角形

3辺の長さが $a$, $a+1$, $a+2$ の三角形について、次の問いに答えよ。

(1) 三角形が成り立つための $a$ の条件を求めよ。

(2) この三角形が鈍角三角形となるための $a$ の条件を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $a > 1$

(2) $1 < a < 3$

解説

(1) の方針:三角形の成立条件を最大辺について確認する。

すべての辺が正であるから $a > 0$。最大辺は $a + 2$。

成立条件:$a + 2 < a + (a + 1)$ すなわち $a + 2 < 2a + 1$。$a > 1$。

$a > 0$ と合わせて、$a > 1$。

(2) の方針:鈍角は最大辺 $a+2$ の対角に現れる。鈍角条件は最大辺の2乗 $>$ 他の2辺の2乗の和。

$(a+2)^2 > a^2 + (a+1)^2$

$a^2 + 4a + 4 > a^2 + a^2 + 2a + 1$

$a^2 + 4a + 4 > 2a^2 + 2a + 1$

$0 > a^2 - 2a - 3 = (a-3)(a+1)$

$-1 < a < 3$

(1) の条件 $a > 1$ と合わせて、$1 < a < 3$。

採点ポイント
  • (1) 最大辺を正しく特定し、成立条件を導く(3点)
  • (2) 鈍角条件の不等式を正しく立式(3点)
  • (2) 2次不等式を正しく解く(2点)
  • (1) と (2) の条件を正しく組み合わせる(2点)

C 発展レベル

8-1-4 C 発展 角の二等分線 中線定理 論述

$\triangle ABC$ において、$AB = 8$, $BC = 5$, $CA = 7$ とする。

(1) $\angle A$ の二等分線と辺 $BC$ の交点を $D$ とするとき、$AD$ の長さを求めよ。

(2) 辺 $BC$ の中点を $M$ とするとき、中線 $AM$ の長さを求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $AD = \dfrac{8\sqrt{7}}{3}$

(2) $AM = \dfrac{\sqrt{201}}{2}$

解説

(1) の方針:角の二等分線の定理で $BD$, $DC$ を求め、余弦定理で $\cos B$ を求めてから $\triangle ABD$ で余弦定理を適用する。

$BD : DC = AB : AC = 8 : 7$ より $BD = \dfrac{8}{15} \times 5 = \dfrac{8}{3}$, $DC = \dfrac{7}{15} \times 5 = \dfrac{7}{3}$

$\triangle ABC$ で余弦定理($\angle B$ について):

$AC^2 = AB^2 + BC^2 - 2 \cdot AB \cdot BC \cdot \cos B$

$49 = 64 + 25 - 80\cos B$ より $\cos B = \dfrac{40}{80} = \dfrac{1}{2}$

$\triangle ABD$ で余弦定理:

$AD^2 = AB^2 + BD^2 - 2 \cdot AB \cdot BD \cdot \cos B = 64 + \dfrac{64}{9} - 2 \cdot 8 \cdot \dfrac{8}{3} \cdot \dfrac{1}{2}$

$= 64 + \dfrac{64}{9} - \dfrac{64}{3} = \dfrac{576 + 64 - 192}{9} = \dfrac{448}{9}$

$AD = \dfrac{\sqrt{448}}{3} = \dfrac{8\sqrt{7}}{3}$

(2) の方針:中線定理を適用する。

$BM = \dfrac{5}{2}$。中線定理 $AB^2 + AC^2 = 2(AM^2 + BM^2)$ より:

$64 + 49 = 2\left(AM^2 + \dfrac{25}{4}\right)$

$113 = 2AM^2 + \dfrac{25}{2}$

$2AM^2 = \dfrac{201}{2}$, $AM^2 = \dfrac{201}{4}$, $AM = \dfrac{\sqrt{201}}{2}$

採点ポイント
  • (1) 角の二等分線の定理で $BD$, $DC$ を正しく求める(3点)
  • (1) 余弦定理を正しく適用して $AD$ を求める(4点)
  • (2) 中線定理を正しく適用(3点)