第7章 確率

反復試行の確率
─ 「$n$回中$k$回成功」の確率 ── 二項分布の入口

コインを10回投げて表が3回出る確率は? サイコロを5回振って1の目が2回出る確率は?
「同じ試行を繰り返して、特定の回数だけ成功する確率」を求める公式が、反復試行の確率です。
この公式は大学で学ぶ二項分布の出発点でもあり、統計学の基礎につながります。

1反復試行とは何か ─ 定義と公式 $_nC_k p^k(1-p)^{n-k}$

「コインを投げる」「サイコロを振る」「くじを引いて元に戻す」のように、 同じ条件のもとで同じ試行を繰り返すことを反復試行と呼びます。

反復試行のポイントは、各回の試行が独立であること。 つまり、前の回の結果が次の回の結果に影響を与えません。 コインを投げて表が出たからといって、次に裏が出やすくなったりはしないのです。

では、1回の試行で事象 $A$ が起こる確率を $p$ とします。 この試行を $n$ 回繰り返したとき、事象 $A$ がちょうど $k$ 回起こる確率を求めましょう。

📐 反復試行の確率

1回の試行で事象 $A$ が起こる確率を $p$、起こらない確率を $q = 1 - p$ とする。

この試行を $n$ 回繰り返すとき、事象 $A$ がちょうど $k$ 回起こる確率は

$${}_nC_k \, p^k \, q^{n-k} = {}_nC_k \, p^k (1-p)^{n-k}$$
・$k = 0, 1, 2, \ldots, n$
・$p^0 = 1$、$q^0 = 1$ と定める($k = 0$ や $k = n$ の場合にも使える)

この公式は3つの要素から成り立っています。

  • $p^k$:$k$ 回成功する確率(各回は独立なので、確率の積)
  • $(1-p)^{n-k}$:残りの $n - k$ 回が失敗する確率
  • ${}_nC_k$:$n$ 回のうちどの $k$ 回で成功するかの組合せの数
💡 ここが本質:反復試行の確率 = 「1つの並び方の確率」$\times$「並び方の総数」

$n$ 回中 $k$ 回成功するとき、たとえば「成功・失敗・成功・成功・失敗・$\cdots$」のような1つの特定の並び方が起こる確率は $p^k(1-p)^{n-k}$ です。

しかし、$k$ 回の成功が $n$ 回のうちのどの位置に来てもよいので、その並び方の総数 ${}_nC_k$ を掛けます。

つまり、公式の本質は「1パターンの確率」$\times$「パターンの数」です。

⚠️ 落とし穴:反復試行でない場合に公式を使ってしまう

✕ 誤:「袋から玉を1個取り出し、元に戻さずにもう1個取り出す」試行に反復試行の公式を使う

○ 正:元に戻さない場合は、2回目の確率が1回目の結果に依存するため独立ではない。反復試行の公式は使えない。

反復試行の公式を使えるのは、各回の試行が独立(=確率が毎回同じ)の場合だけです。「元に戻す(復元抽出)」なら独立、「元に戻さない(非復元抽出)」なら独立ではありません。

🔬 深掘り:二項分布 ── 反復試行の確率は確率分布の入口

大学の統計学では、$n$ 回の反復試行で成功する回数 $X$ を確率変数と呼び、$X$ が従う確率分布を二項分布 $B(n, p)$ と呼びます。

$P(X = k) = {}_nC_k \, p^k(1-p)^{n-k}$ はまさに二項分布の確率関数そのものです。

二項分布の期待値は $np$、分散は $np(1-p)$ であることが知られています。たとえばコインを100回投げたとき、表の回数の期待値は $100 \times \frac{1}{2} = 50$ 回。この直感的に当たり前の結果が、数学的に証明されるのです。

2なぜ $_nC_k$ が付くのか ─ 公式の意味と導出

反復試行の公式を「暗記する」のではなく、なぜこの形になるのかを理解しましょう。 具体例を使って導出します。

具体例で考える:コインを5回投げて表が3回出る確率

コインを5回投げます。表が出る確率は毎回 $\dfrac{1}{2}$、裏が出る確率も $\dfrac{1}{2}$ です。

表を $\bigcirc$、裏を $\times$ で表すと、「5回中3回表」の出方は、たとえば次のようなものがあります。

$\bigcirc \bigcirc \bigcirc \times \times$(1,2,3回目が表)
$\bigcirc \times \bigcirc \bigcirc \times$(1,3,4回目が表)
$\times \times \bigcirc \bigcirc \bigcirc$(3,4,5回目が表)
$\cdots$

どの並び方でも、$\bigcirc$ が3個、$\times$ が2個なので、それぞれの確率は

$$\left(\frac{1}{2}\right)^3 \times \left(\frac{1}{2}\right)^2 = \left(\frac{1}{2}\right)^5 = \frac{1}{32}$$

そして、5つの位置から $\bigcirc$ を置く3つの位置を選ぶ組合せの数は ${}_5C_3 = 10$ 通り。 これらの並び方は互いに排反(同時には起こらない)なので、確率を足し合わせて

$$P = {}_5C_3 \times \left(\frac{1}{2}\right)^3 \times \left(\frac{1}{2}\right)^2 = 10 \times \frac{1}{32} = \frac{10}{32} = \frac{5}{16}$$
▷ 反復試行の確率の公式の導出

1回の試行で事象 $A$ が起こる確率を $p$、起こらない確率を $q = 1 - p$ とする。

Step 1:$n$ 回の試行で、事象 $A$ が起こることを $\bigcirc$、起こらないことを $\times$ で表す。

Step 2:「$\bigcirc$ が $k$ 個、$\times$ が $n - k$ 個」の特定の1つの並び方の確率を考える。各回の試行は独立なので、確率の積が取れて $p^k \cdot q^{n-k}$。

Step 3:$\bigcirc$ が $k$ 個入る位置の選び方は、$n$ 個の位置から $k$ 個を選ぶ組合せ ${}_nC_k$ 通り。

Step 4:これらの並び方は互いに排反なので、加法定理により

$$P = {}_nC_k \cdot p^k \cdot q^{n-k} = {}_nC_k \cdot p^k(1-p)^{n-k}$$

💡 ここが本質:$_nC_k$ は「成功の位置を選ぶ」組合せ

${}_nC_k$ が付く理由は、$n$ 回のうちどの $k$ 回で成功するかを選ぶためです。

第1回、第2回、$\ldots$、第 $n$ 回のうち、成功する $k$ 回を選ぶ。これは $n$ 個の中から $k$ 個を選ぶ組合せであり、まさに ${}_nC_k$ です。

もし「最初の $k$ 回が全部成功」のような特定の並びだけを考えるなら ${}_nC_k$ は不要ですが、「どの $k$ 回でもよい」ので ${}_nC_k$ を掛けるのです。

⚠️ 落とし穴:「少なくとも1回」で余事象を使わず直接計算してしまう

「サイコロを5回振って、少なくとも1回は1の目が出る確率」を求めるとき:

✕ 誤:$k = 1, 2, 3, 4, 5$ のすべてについて ${}_5C_k \left(\frac{1}{6}\right)^k \left(\frac{5}{6}\right)^{5-k}$ を計算して足す(計算量が多い)

○ 正:余事象「1回も1の目が出ない」を使う。

$$P = 1 - P(\text{0回}) = 1 - \left(\frac{5}{6}\right)^5 = 1 - \frac{3125}{7776} = \frac{4651}{7776}$$

「少なくとも1回」「$k$ 回以上」は、直接計算すると場合が多くなるので、余事象を使う方がはるかに楽です。

⚠️ 落とし穴:$_nC_k$ を付け忘れる

✕ 誤:サイコロを3回振って6の目が2回出る確率を $\left(\frac{1}{6}\right)^2 \left(\frac{5}{6}\right)^1 = \frac{5}{216}$ と答える

○ 正:${}_3C_2 \times \left(\frac{1}{6}\right)^2 \times \left(\frac{5}{6}\right)^1 = 3 \times \frac{5}{216} = \frac{15}{216} = \frac{5}{72}$

$\left(\frac{1}{6}\right)^2 \left(\frac{5}{6}\right)^1$ は「1回目と2回目が6、3回目が6以外」という特定の1パターンだけの確率です。「2回目と3回目が6」「1回目と3回目が6」のパターンも含めるために ${}_3C_2 = 3$ を掛ける必要があります。

3基本計算問題 ─ 「ちょうど$k$回」「$k$回以上」の求め方

反復試行の確率の計算では、問題文の聞き方によってアプローチが変わります。 主なパターンを整理しましょう。

パターン1:「ちょうど $k$ 回」── 公式にそのまま代入

サイコロを5回投げて、3の倍数の目がちょうど3回出る確率を求めます。 3の倍数の目は3, 6の2つなので、1回の試行で3の倍数が出る確率は $p = \dfrac{2}{6} = \dfrac{1}{3}$ です。

$$P = {}_5C_3 \left(\frac{1}{3}\right)^3 \left(\frac{2}{3}\right)^2 = 10 \times \frac{1}{27} \times \frac{4}{9} = \frac{40}{243}$$

パターン2:「$k$ 回以上」── 余事象が有利なことが多い

サイコロを5回投げて、3の倍数の目が4回以上出る確率を求めます。 「4回以上」とは「4回または5回」なので

$$P = {}_5C_4 \left(\frac{1}{3}\right)^4 \left(\frac{2}{3}\right)^1 + {}_5C_5 \left(\frac{1}{3}\right)^5 \left(\frac{2}{3}\right)^0$$ $$= 5 \times \frac{1}{81} \times \frac{2}{3} + 1 \times \frac{1}{243} \times 1 = \frac{10}{243} + \frac{1}{243} = \frac{11}{243}$$

この場合は足す項が2つなのでまだ楽ですが、「少なくとも1回」のように足す項が多い場合は余事象を使いましょう。

パターン3:「少なくとも1回」── 余事象で一発

サイコロを5回投げて、3の倍数の目が少なくとも1回出る確率を求めます。 余事象は「0回」つまり「1回も出ない」ことです。

$$P = 1 - {}_5C_0 \left(\frac{1}{3}\right)^0 \left(\frac{2}{3}\right)^5 = 1 - \left(\frac{2}{3}\right)^5 = 1 - \frac{32}{243} = \frac{211}{243}$$
💡 ここが本質:「少なくとも1回」は余事象の定番

「少なくとも1回」=「1回以上」の確率を直接求めると、$k = 1, 2, 3, \ldots, n$ のすべてを足す必要があり計算量が膨大です。

余事象「0回(1回も起こらない)」は $(1-p)^n$ の1通りだけなので、

$$P(\text{少なくとも1回}) = 1 - (1-p)^n$$

一瞬で求まります。「少なくとも」が出たら余事象を考える。これは確率の鉄則です。

パターン4:点の移動 ── 連立方程式で回数を求める

数直線上の原点に点 $P$ があり、コインを投げて表なら $+2$、裏なら $-1$ 移動するとします。 コインを7回投げた後、$P$ が座標5にいる確率を求めましょう。

表が $a$ 回、裏が $b$ 回出るとすると

  • $a + b = 7$(試行は合計7回)
  • $2a - b = 5$($+2$ が $a$ 回、$-1$ が $b$ 回で座標5)

これを解くと $a = 4, \, b = 3$。よって求める確率は

$$P = {}_7C_4 \left(\frac{1}{2}\right)^4 \left(\frac{1}{2}\right)^3 = 35 \times \frac{1}{128} = \frac{35}{128}$$
⚠️ 落とし穴:点の移動で連立方程式を立てずに試行錯誤する

✕ 誤:「表が何回、裏が何回なら座標5になるか」をいろいろ試して探す

○ 正:表を $a$ 回、裏を $b$ 回として、$a + b = n$(回数条件)と $(\text{移動量の和}) = (\text{目標座標})$ の連立方程式を立てる

連立方程式なら機械的に解けます。特に整数解が存在しない場合は「確率0」と即答できるため、試行錯誤するよりも確実です。

🔬 深掘り:ランダムウォーク ── 確率過程の出発点

「コインを投げて右か左に進む」点の移動問題は、大学数学ではランダムウォーク(酔歩)と呼ばれます。酔っぱらいが千鳥足でどこへ行くか、というイメージです。

ランダムウォークは物理学(ブラウン運動)、金融工学(株価モデル)、情報科学(探索アルゴリズム)など多くの分野の基礎となっています。高校で学ぶ「点の移動と反復試行」は、これらの理論への第一歩です。

4「最大確率」の求め方 ─ 何回成功が最もありそうか

反復試行の公式を使うと、$k = 0, 1, 2, \ldots, n$ のそれぞれについて確率 $P(k)$ が求まります。 では、確率が最大になるのは $k$ がいくつのときでしょうか。

これを求めるには、隣り合う確率のを調べます。

確率の比 $\dfrac{P(k+1)}{P(k)}$ を計算する

$P(k) = {}_nC_k \, p^k (1-p)^{n-k}$ とおくと

$$\frac{P(k+1)}{P(k)} = \frac{{}_nC_{k+1}}{{}_nC_k} \cdot \frac{p}{1-p}$$

${}_nC_{k+1} / {}_nC_k = (n-k)/(k+1)$ なので

$$\frac{P(k+1)}{P(k)} = \frac{(n-k) \, p}{(k+1)(1-p)}$$

この比が $1$ より大きいとき $P(k+1) > P(k)$(確率は増加中)、$1$ より小さいとき $P(k+1) < P(k)$(確率は減少に転じた)です。

💡 ここが本質:$P(k)$ が最大になる $k$ の条件

$\dfrac{P(k+1)}{P(k)} \geq 1$ を解くと

$$(n-k)p \geq (k+1)(1-p)$$

$$k \leq (n+1)p - 1$$

つまり、$k$ が $(n+1)p - 1$ 以下のうちは確率は増加し、これを超えると減少します。

$P(k)$ が最大になるのは $k = \lfloor (n+1)p \rfloor$ 付近です($\lfloor \cdot \rfloor$ は切り捨て)。

なお $(n+1)p$ が整数のときは、$k = (n+1)p - 1$ と $k = (n+1)p$ の2つで $P(k)$ が最大値をとります。

具体例:サイコロを13回振って6の目が出る回数

サイコロを13回振るとき、6の目が $k$ 回出る確率を $P(k)$ とします。 $n = 13$, $p = \frac{1}{6}$ なので

$$\frac{P(k+1)}{P(k)} = \frac{(13 - k) \cdot \frac{1}{6}}{(k+1) \cdot \frac{5}{6}} = \frac{13 - k}{5(k+1)}$$

$\dfrac{P(k+1)}{P(k)} \geq 1$ のとき $13 - k \geq 5(k + 1)$、つまり $k \leq \dfrac{4}{3} = 1.33\ldots$

よって $k = 0 \to 1$ のとき確率は増加し、$k = 1 \to 2$ から減少に転じます。 $P(k)$ が最大になるのは $k = 2$(6の目が2回出るとき)です。

検証:$(n+1)p = 14 \times \frac{1}{6} = \frac{7}{3} \approx 2.33$。 $\lfloor 2.33 \rfloor = 2$ なので、確かに $k = 2$ で最大です。

⚠️ 落とし穴:最大確率を求めるのに全部の $P(k)$ を計算してしまう

✕ 誤:$P(0), P(1), P(2), \ldots, P(13)$ をすべて計算して最大を探す

○ 正:隣り合う確率の比 $P(k+1)/P(k)$ と $1$ の大小を調べて、増減の切り替わりを見つける

$n$ が大きくなると全部計算するのは非現実的です。比を使えば不等式1つで答えが出ます。

🔬 深掘り:最頻値と期待値の関係

$P(k)$ を最大にする $k$ は、統計学では最頻値(モード)と呼ばれます。 二項分布 $B(n, p)$ の場合、最頻値は $(n+1)p - 1$ 以上 $(n+1)p$ 以下の整数です。

一方、期待値は $np$ です。最頻値と期待値はつねに近い値になりますが、一般には一致するとは限りません。たとえば $n = 13, p = 1/6$ のとき、期待値は $13/6 \approx 2.17$、最頻値は $2$ です。

5俯瞰マップ ─ 反復試行と確率の全体像

反復試行の確率に関する問題パターンを整理しましょう。

パターン分類表

パターン問題の特徴解法のポイント
A:ちょうど $k$ 回「ちょうど3回」など公式 ${}_nC_k p^k(1-p)^{n-k}$ にそのまま代入
B:$k$ 回以上 / 以下「4回以上」「3回以下」場合が少なければ直接加算。多ければ余事象
C:少なくとも1回「少なくとも1回」余事象 $1 - (1-p)^n$ で一発
D:先に $m$ 勝「先に4勝した方が優勝」最後の試行で $m$ 勝目になる条件を付ける
E:点の移動「座標5に到達する確率」連立方程式で成功・失敗の回数を求める
F:最大確率「何回成功が最も確率大か」$P(k+1)/P(k)$ の大小比較

つながりマップ

  • ← 7-2 いろいろな確率:確率の加法定理・余事象の確率が反復試行の計算の基礎。特に「少なくとも1回」で余事象を使う。
  • ← 6-3 組合せ:${}_nC_k$ は「$n$ 個から $k$ 個を選ぶ」組合せの数。反復試行の公式で「成功する位置を選ぶ」ために使われる。
  • → 7-5 条件付き確率:「反復試行の結果がわかったうえでの確率」を求める融合問題が頻出。
  • → 数学B 確率分布:反復試行の確率はそのまま二項分布の確率関数になる。期待値・分散の計算も二項分布の公式で行う。
  • → 仮説検定:「偶然でこの結果が起きる確率は?」を判断する仮説検定の計算に、反復試行の確率を直接使う。

📋まとめ

  • 反復試行とは、同じ条件のもとで同じ試行を独立に繰り返すこと。各回の結果が互いに影響しない
  • 反復試行の確率:$n$ 回中 $k$ 回成功する確率は ${}_nC_k \, p^k(1-p)^{n-k}$
  • 公式の意味:「1つの並び方の確率 $p^k(1-p)^{n-k}$」$\times$「並び方の総数 ${}_nC_k$」
  • 「少なくとも1回」は余事象 $1 - (1-p)^n$ で求める。直接計算より遥かに楽
  • 点の移動は連立方程式で成功・失敗の回数を求めてから、反復試行の公式に代入
  • 最大確率は $P(k+1)/P(k)$ と $1$ の大小比較で判定。$(n+1)p - 1$ 以下で増加、超えると減少

確認テスト

Q1. 反復試行の確率の公式で ${}_nC_k$ を掛ける理由を説明してください。

▶ クリックして解答を表示$n$ 回の試行のうち、成功する $k$ 回が「どの位置に来るか」の場合の数が ${}_nC_k$ 通りあるため。$p^k(1-p)^{n-k}$ は1つの特定の並び方の確率であり、すべての並び方を足すために ${}_nC_k$ を掛ける。

Q2. コインを6回投げて、表がちょうど4回出る確率を求めてください。

▶ クリックして解答を表示${}_6C_4 \left(\frac{1}{2}\right)^4 \left(\frac{1}{2}\right)^2 = 15 \times \frac{1}{64} = \frac{15}{64}$

Q3. サイコロを4回振って、少なくとも1回は6の目が出る確率を求めてください。

▶ クリックして解答を表示余事象「1回も6が出ない」を使う。$P = 1 - \left(\frac{5}{6}\right)^4 = 1 - \frac{625}{1296} = \frac{671}{1296}$

Q4. 「袋から玉を取り出して元に戻す」試行は反復試行ですか? 「元に戻さない」場合はどうですか?

▶ クリックして解答を表示元に戻す場合(復元抽出)は、毎回同じ条件で独立な試行なので反復試行。元に戻さない場合(非復元抽出)は、前の結果により確率が変わるため独立ではなく、反復試行ではない。

Q5. 反復試行で確率 $P(k)$ が最大になる $k$ を求める方法を述べてください。

▶ クリックして解答を表示$\frac{P(k+1)}{P(k)} = \frac{(n-k)p}{(k+1)(1-p)}$ と $1$ の大小を比較する。この比が $1$ 以上のとき確率は増加、$1$ 未満になると減少。切り替わりの $k$ が確率最大の位置で、$(n+1)p - 1$ 以下のうちは増加する。

8入試問題演習

反復試行の確率に関する入試形式の問題で実力を確認しましょう。

A 基礎レベル

7-4-1 A 基礎 反復試行 基本計算

1枚の硬貨を7回投げるとき、次の確率を求めよ。

(1) 表がちょうど5回出る確率

(2) 表が少なくとも1回出る確率

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $\dfrac{21}{128}$  (2) $\dfrac{127}{128}$

解説

方針:(1) 反復試行の公式に代入。(2) 余事象を使う。

(1) $p = \frac{1}{2}$, $n = 7$, $k = 5$ として

${}_7C_5 \left(\frac{1}{2}\right)^5 \left(\frac{1}{2}\right)^2 = 21 \times \frac{1}{128} = \frac{21}{128}$

(2) 余事象は「表が0回」。

$P = 1 - \left(\frac{1}{2}\right)^7 = 1 - \frac{1}{128} = \frac{127}{128}$

B 標準レベル

7-4-2 B 標準 先にm勝 論述

A, B の2チームが野球の試合をして、先に4勝したチームが優勝とする。各試合でAが勝つ確率は $\dfrac{2}{3}$ で、引き分けはないものとする。

(1) ちょうど6試合目でAが優勝する確率を求めよ。

(2) Aが優勝する確率を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $\dfrac{80}{729}$  (2) $\dfrac{1808}{2187}$

解説

方針:「先に $m$ 勝」の問題では、最後の試行で $m$ 勝目を決めることに注意する。

(1) 6試合目でAが優勝する条件:

・最初の5試合でAが3勝2敗(5試合目まではAがまだ3勝)

・6試合目でAが勝つ(4勝目を決める)

最初の5試合で3勝2敗の確率:${}_5C_3 \left(\frac{2}{3}\right)^3 \left(\frac{1}{3}\right)^2 = 10 \times \frac{8}{27} \times \frac{1}{9} = \frac{80}{243}$

6試合目で勝つ確率:$\frac{2}{3}$

よって $\frac{80}{243} \times \frac{2}{3} = \frac{160}{729}$

修正:${}_5C_3 = 10$, $\left(\frac{2}{3}\right)^3 = \frac{8}{27}$, $\left(\frac{1}{3}\right)^2 = \frac{1}{9}$ より $10 \times \frac{8}{243} = \frac{80}{243}$。 これに $\frac{2}{3}$ を掛けて $\frac{160}{729}$。

(2) Aが優勝するのは、4試合目、5試合目、6試合目、7試合目で4勝目を決める場合。

・4試合で優勝:$\left(\frac{2}{3}\right)^4 = \frac{16}{81}$

・5試合で優勝:${}_4C_3 \left(\frac{2}{3}\right)^3 \left(\frac{1}{3}\right)^1 \times \frac{2}{3} = 4 \times \frac{8}{27} \times \frac{1}{3} \times \frac{2}{3} = \frac{64}{243}$

・6試合で優勝:$\frac{160}{729}$((1)で求めた)

・7試合で優勝:${}_6C_3 \left(\frac{2}{3}\right)^3 \left(\frac{1}{3}\right)^3 \times \frac{2}{3} = 20 \times \frac{8}{729} \times \frac{2}{3} = \frac{320}{2187}$

合計:$\frac{16}{81} + \frac{64}{243} + \frac{160}{729} + \frac{320}{2187}$

$= \frac{432 + 576 + 480 + 320}{2187} = \frac{1808}{2187}$

採点ポイント
  • 「最後の試行で $m$ 勝目」の条件を正しく設定(3点)
  • 各場合の確率を正確に計算(4点)
  • すべての場合を漏れなく加算(3点)
7-4-3 B 標準 点の移動 反復試行

数直線上の原点に点Pがある。硬貨を1回投げて、表が出れば $+2$、裏が出れば $-1$ だけPを移動させる。硬貨を7回投げたとき、点Pが座標 $8$ にある確率を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

$\dfrac{21}{128}$

解説

方針:表の回数と裏の回数について連立方程式を立てる。

表が $a$ 回、裏が $b$ 回出るとすると

$a + b = 7$ かつ $2a - b = 8$

これを解くと $3a = 15$ より $a = 5$, $b = 2$。

よって、求める確率は

${}_7C_5 \left(\frac{1}{2}\right)^5 \left(\frac{1}{2}\right)^2 = 21 \times \frac{1}{128} = \frac{21}{128}$

採点ポイント
  • 連立方程式を正しく立てる(3点)
  • $a, b$ を正しく求める(3点)
  • 反復試行の公式で正しく計算(4点)

C 発展レベル

7-4-4 C 発展 最大確率 論述

1個のサイコロを13回投げるとき、6の目がちょうど $k$ 回出る確率を $P_k$ とする。ただし $0 \leq k \leq 13$ とする。

(1) $P_k$ を $k$ の式で表せ。

(2) $P_k$ が最大となる $k$ の値を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $P_k = {}_{13}C_k \left(\dfrac{1}{6}\right)^k \left(\dfrac{5}{6}\right)^{13-k}$

(2) $k = 2$

解説

方針:$P_{k+1}/P_k$ と $1$ の大小を調べる。

(1) 反復試行の公式より $P_k = {}_{13}C_k \left(\frac{1}{6}\right)^k \left(\frac{5}{6}\right)^{13-k}$

(2) $\dfrac{P_{k+1}}{P_k} = \dfrac{{}_{13}C_{k+1}}{{}_{13}C_k} \cdot \dfrac{\frac{1}{6}}{\frac{5}{6}} = \dfrac{13 - k}{k+1} \cdot \dfrac{1}{5} = \dfrac{13-k}{5(k+1)}$

$\dfrac{P_{k+1}}{P_k} \geq 1$ のとき $13 - k \geq 5(k+1)$、つまり $13 - k \geq 5k + 5$、$8 \geq 6k$、$k \leq \frac{4}{3}$

$k$ は整数なので $k \leq 1$。

よって $P_0 < P_1 < P_2 > P_3 > \cdots > P_{13}$

したがって $P_k$ が最大となるのは $k = 2$。

採点ポイント
  • $P_k$ の式を正確に記述(2点)
  • $P_{k+1}/P_k$ を正しく導出(3点)
  • 不等式を解いて $k$ の範囲を求める(3点)
  • $P_k$ の増減を判断し $k = 2$ を結論する(2点)