第6章 場合の数

組合せ(応用)
─ 図形の個数から $_nC_r$ の深い性質まで

組合せ $_nC_r$ は「ものを選ぶ」だけの道具ではありません。
多角形の対角線や三角形の個数を数え、パスカルの三角形の美しい規則を読み解く。
$_nC_r$ の性質を深く理解すれば、場合の数の世界が一気に広がります。

1図形の個数と組合せ ─ 「選ぶ」と「図形を作る」は同じこと

6-3で学んだ組合せの基本を、ここから「図形の個数を数える」問題に応用します。 一見すると幾何(図形)の問題に見えますが、実は組合せの問題そのものです。

考えてみましょう。平面上に異なる点がいくつかあるとき、 2点を選べば線分が1本3点を選べば三角形が1つできます。 つまり、「図形を作る」=「頂点となる点を選ぶ」にほかなりません。

💡 ここが本質:図形の個数 = 頂点の組合せの数

$n$ 個の点から $k$ 個を選ぶと $k$ 角形(ただし $k = 2$ なら線分)が1つ決まります。したがって:

線分の本数 = $n$ 個の点から2個選ぶ組合せ = $_nC_2$

三角形の個数 = $n$ 個の点から3個選ぶ組合せ = $_nC_3$

この考え方が成り立つ条件は、どの3点も一直線上にないことです。 3点が一直線上に並ぶと三角形はできません。この「除外条件」が応用問題の核心です。

具体例:円周上の点から三角形を数える

円周上に $6$ 個の点があるとき、これらの点を頂点とする三角形はいくつできるでしょうか。 円周上の点なので、どの3点も一直線上にはなりません。したがって、単純に3点を選べばよく、

$$_6C_3 = \frac{6!}{3! \cdot 3!} = \frac{6 \cdot 5 \cdot 4}{3 \cdot 2 \cdot 1} = 20 \text{ (個)}$$

一直線上の点がある場合 ─ 「全体から除く」発想

では、$n$ 個の点のうちいくつかが一直線上に並んでいる場合はどうなるでしょうか。 たとえば、10個の点のうち4個が同一直線上にあるとします。

10個の点から3個選ぶと $_{{10}}C_3 = 120$ 通りですが、同一直線上の4点から3個選ぶ $_4C_3 = 4$ 通りは三角形になりません。 よって三角形の個数は $120 - 4 = 116$ 個です。

⚠️ 落とし穴:一直線上にない点の組は「すべて三角形になる」と思い込む

✕ 誤:格子点など規則的に配置された点で、「明らかな直線(横・縦)」だけ除外して終わりにする。

○ 正:斜めの直線上に3点以上が並ぶ場合もあります。格子点の問題では、横の直線、縦の直線に加えて、斜めの直線上にも3点以上が並ぶケースがないかを必ず確認しましょう。

見落としを防ぐには、すべての直線の方向(横・縦・右上がり・右下がり)を系統的にチェックします。

平行線がつくる図形の個数

$m$ 本の平行線と $n$ 本の平行線が交わっているとき、これらの交点を頂点とする平行四辺形の個数を考えましょう。 平行四辺形は「$m$ 本の中から2本、$n$ 本の中から2本」を選べば1つ決まります。

$$\text{平行四辺形の個数} = {}_mC_2 \times {}_nC_2$$

この発想は、「平行四辺形を決定する条件は何か?」を考えることから生まれます。 向かい合う2組の辺がそれぞれ平行であればよいので、各方向から2本ずつ選ぶのです。

💡 ここが本質:図形を「決定する条件」を組合せで数える

図形の個数を数えるときの鍵は、「その図形は何によって決まるか?」を考えることです。

三角形 → 3頂点を選べば決まる → $_nC_3$

平行四辺形 → 各方向の平行線を2本ずつ選べば決まる → $_mC_2 \times {}_nC_2$

長方形 → 横の線2本と縦の線2本を選べば決まる → $_mC_2 \times {}_nC_2$

「図形の決定条件」を見つけたら、あとは組合せの掛け算です。

🔬 深掘り:グラフ理論と「辺の数え方」

$n$ 個の点のすべての2点間を線分で結んだ図形は、大学数学やコンピュータサイエンスで完全グラフ $K_n$ と呼ばれます。 その辺の数は $_nC_2 = \dfrac{n(n-1)}{2}$ 本です。

グラフ理論は、ネットワーク(SNSの友人関係、鉄道路線図、インターネットの接続構造など)を数学的に扱う分野です。 「$n$ 個の点から2個選ぶ」という高校の組合せが、こうした応用数学の基礎になっています。

2対角線の本数 ─ なぜ $\dfrac{n(n-3)}{2}$ になるのか

正 $n$ 角形(一般の凸 $n$ 角形でも同じ)の対角線の本数は、入試で頻出のテーマです。 公式を暗記するのではなく、なぜその式になるのかを理解しましょう。

方法1:線分の本数から辺の本数を引く

$n$ 個の頂点から2個を選ぶと線分が1本引けます。線分の総数は $_nC_2$ 本です。 このうち $n$ 本は「辺」であって対角線ではありません。したがって、

$$\text{対角線の本数} = {}_nC_2 - n = \frac{n(n-1)}{2} - n = \frac{n(n-1) - 2n}{2} = \frac{n^2 - 3n}{2} = \frac{n(n-3)}{2}$$

方法2:各頂点から引ける対角線を数える

1つの頂点から対角線を引くとき、自分自身と両隣の頂点を除いた $(n-3)$ 個の頂点に引けます。 $n$ 個の頂点それぞれから $(n-3)$ 本引けるので、合計は $n(n-3)$ 本。 しかし、1本の対角線は両端の2つの頂点から重複して数えているので、2で割ります。

$$\text{対角線の本数} = \frac{n(n-3)}{2}$$
📐 凸 $n$ 角形の対角線の本数
$$\frac{n(n-3)}{2}$$

導出1:$_nC_2 - n = \dfrac{n(n-1)}{2} - n = \dfrac{n(n-3)}{2}$

導出2:各頂点から $(n-3)$ 本 $\times$ $n$ 頂点 $\div$ 2(重複除去)

※ 導出1は「全体から辺を除く」、導出2は「各頂点から数えて重複を割る」。どちらの考え方でも同じ結果になります。
⚠️ 落とし穴:方法2で「2で割る」のを忘れる

✕ 誤:正八角形の対角線は各頂点から5本、全部で $5 \times 8 = 40$ 本。

○ 正:対角線 AB は「頂点Aから数えた対角線」にも「頂点Bから数えた対角線」にも含まれます。 1本の対角線を2回数えているので、$\dfrac{5 \times 8}{2} = 20$ 本が正解です。

この「重複を2で割る」は、$_nC_2 = \dfrac{n(n-1)}{2}$ と同じ原理です。順列を組合せに直す操作にほかなりません。

対角線の交点の個数

凸 $n$ 角形の内部で、対角線同士が交わる点の個数を考えましょう。 ここで重要な仮定は、3本以上の対角線が1点で交わることはないということです(正 $n$ 角形では特殊な交わり方をすることがありますが、一般の凸 $n$ 角形で考えます)。

凸 $n$ 角形の4個の頂点を選ぶと、その4点を頂点とする四角形が1つ決まります。 この四角形の2本の対角線は必ず内部で1点で交わります。 逆に、内部の交点はすべてこのような四角形の対角線の交点として得られます。

$$\text{対角線の交点の個数} = {}_nC_4$$
💡 ここが本質:対角線の交点 = 4頂点の組合せ

対角線の交点を直接数えるのは大変ですが、「4頂点を選ぶ ↔ 交点が1つ決まる」という一対一の対応に気づけば、答えは $_nC_4$ です。

このように数えにくいものを、数えやすい別のものと対応づけるのは、場合の数の重要な技法です。 「数えたいもの」と「一対一に対応する別のもの」を見つけることが、問題の急所になります。

⚠️ 落とし穴:正多角形で「3本以上の対角線が1点で交わる」場合

正六角形では、対角線3本が中心で交わります。この場合、$_6C_4 = 15$ は正しくありません。

✕ 誤:正六角形の対角線の交点は $_6C_4 = 15$ 個。

○ 正:正六角形では長い対角線3本が中心1点で交わるため、中心の交点を $_3C_2 = 3$ 個分として数えてしまっています。 正しくは $15 - 3 + 1 = 13$ 個です(3つの交点を1つに修正)。

$_nC_4$ が使えるのは「どの3本の対角線も1点では交わらない」場合だけです。正多角形では注意が必要です。

🔬 深掘り:オイラーの多面体公式と対角線の交点

凸 $n$ 角形の対角線をすべて引くと、内部が多くの領域に分割されます。 頂点の数 $V$、辺の数 $E$、面の数 $F$ の間にはオイラーの公式 $V - E + F = 2$ という美しい関係式が成り立ちます。

対角線の交点の個数 $_nC_4$ は、この分割の頂点の数に直結します。 大学数学のトポロジー(位相幾何学)では、このオイラーの公式がより一般的な図形に拡張され、 図形の「形の本質」を捉える道具になります。

3$_nC_r$ の性質と漸化式 ─ 公式の裏にある論理

$_nC_r$ にはいくつかの重要な性質があります。 これらは単なる公式ではなく、組合せの意味から自然に導かれるものです。 「なぜ成り立つのか」を理解すれば、暗記の必要はありません。

性質1:$_nC_r = {}_nC_{n-r}$

$n$ 個のものから $r$ 個選ぶことは、$n$ 個のものから $(n-r)$ 個残すことと同じです。 たとえば、10人から3人選ぶことは、10人から7人残すことと同じ。 したがって $_{{10}}C_3 = {}_{{10}}C_7$ です。

▷ 性質1の証明(計算による確認)

$_nC_{n-r} = \dfrac{n!}{(n-r)! \cdot (n-(n-r))!} = \dfrac{n!}{(n-r)! \cdot r!} = {}_nC_r$

分母の $r!$ と $(n-r)!$ は入れ替わっても積は同じなので、値が等しくなります。 しかし、この計算よりも「選ぶ = 残す」という意味の理解のほうが大切です。

この性質は計算の効率化にも役立ちます。 $_{{100}}C_{98}$ を直接計算するのは大変ですが、$_{{100}}C_{98} = {}_{{100}}C_2 = \dfrac{100 \cdot 99}{2} = 4950$ とすれば簡単です。

性質2:$_nC_r = {}_{n-1}C_{r-1} + {}_{n-1}C_r$(パスカルの漸化式)

これは $_nC_r$ の最も重要な性質です。意味から理解しましょう。

$n$ 個のものから $r$ 個選ぶとき、特定の1個(たとえば「もの $A$」)に着目します。 選び方は次の2つの場合に分けられます。

  • $A$ を含む場合:$A$ は確定で選ぶので、残りの $(n-1)$ 個から $(r-1)$ 個を選ぶ → ${}_{n-1}C_{r-1}$ 通り
  • $A$ を含まない場合:$A$ を除いた $(n-1)$ 個から $r$ 個を選ぶ → ${}_{n-1}C_r$ 通り

この2つの場合は互いに排反(同時に起こらない)なので、和の法則より

$${}_nC_r = {}_{n-1}C_{r-1} + {}_{n-1}C_r$$
💡 ここが本質:パスカルの漸化式 =「特定の1個を含むか含まないか」

$_nC_r = {}_{n-1}C_{r-1} + {}_{n-1}C_r$ は、「特定の要素について場合分けする」という最も基本的な数え方の技法を公式化したものです。

この「含む/含まない」の場合分けは、組合せの問題を解くとき繰り返し使う基本技法です。 条件付きの選び方(「特定の人を必ず含む」「特定の人を除く」)の問題は、すべてこの考え方の応用です。

性質3:$r \cdot {}_nC_r = n \cdot {}_{n-1}C_{r-1}$

これは「$n$ 人から $r$ 人の委員を選び、その中から委員長1人を決める」方法を2通りで数えることから導けます。

  • 方法A:まず $r$ 人の委員を選び($_nC_r$ 通り)、次にその中から委員長を選ぶ($r$ 通り) → $r \cdot {}_nC_r$
  • 方法B:まず $n$ 人から委員長を選び($n$ 通り)、次に残り $(n-1)$ 人から委員を $(r-1)$ 人選ぶ(${}_{n-1}C_{r-1}$ 通り) → $n \cdot {}_{n-1}C_{r-1}$

同じものを2通りで数えているので、$r \cdot {}_nC_r = n \cdot {}_{n-1}C_{r-1}$ が成り立ちます。

⚠️ 落とし穴:$_nC_r$ の性質を「公式の丸暗記」で済ませる

✕ 誤:$_nC_r = {}_{n-1}C_{r-1} + {}_{n-1}C_r$ を意味も考えずに暗記して、問題で使えない。

○ 正:「特定の1個を含むか含まないかで場合分けする」という意味を理解していれば、公式を忘れても自分で導けます。 $_nC_r$ の性質はすべて「同じものを2通りで数える」という発想で証明できます。

意味がわかっていれば、応用問題で「この性質を使えばよい」と気づけるようになります。

🔬 深掘り:ダブルカウンティング(二重計数法)

性質3の証明で使った「同じものを2通りで数える」手法は、組合せ論でダブルカウンティング(二重計数法)と呼ばれます。 大学数学では、等式を証明する強力な技法として頻繁に登場します。

たとえば、$\displaystyle\sum_{r=0}^{n} {}_nC_r = 2^n$($_nC_r$ の総和)も、 「$n$ 個の要素からなる集合の部分集合の個数」を2通りで数えることから証明できます。 $n$ 個の各要素について「含む/含まない」の2択があるので $2^n$ 通り。 一方、$r$ 個の要素を含む部分集合は $_nC_r$ 個なので、$r = 0$ から $n$ まで足せば同じ数になります。

4パスカルの三角形 ─ 二項係数が織りなす美しい規則

パスカルの漸化式 $_nC_r = {}_{n-1}C_{r-1} + {}_{n-1}C_r$ を視覚化すると、 驚くほど美しい三角形が現れます。これがパスカルの三角形です。

パスカルの三角形の構造

$n = 0$ から順に $_nC_r$ の値を三角形状に並べます。

$n$$_nC_0, \; _nC_1, \; _nC_2, \; \ldots$
$n = 0$$1$
$n = 1$$1 \quad 1$
$n = 2$$1 \quad 2 \quad 1$
$n = 3$$1 \quad 3 \quad 3 \quad 1$
$n = 4$$1 \quad 4 \quad 6 \quad 4 \quad 1$
$n = 5$$1 \quad 5 \quad 10 \quad 10 \quad 5 \quad 1$

この三角形には、3つの美しい規則が隠れています。

規則1:両端は常に $1$

各行の左端は $_nC_0 = 1$、右端は $_nC_n = 1$ です。 $n$ 個のものから0個選ぶ方法は「何も選ばない」の1通り、$n$ 個すべて選ぶ方法も1通りだからです。

規則2:隣り合う2つの数の和が下の数になる

これはパスカルの漸化式 $_nC_r = {}_{n-1}C_{r-1} + {}_{n-1}C_r$ そのものです。 たとえば、$n = 4$ の行の $6$ は、$n = 3$ の行の $3$ と $3$ の和です。 $n = 5$ の行の $10$ は、$n = 4$ の行の $4$ と $6$ の和です。

規則3:各行は左右対称

これは $_nC_r = {}_nC_{n-r}$(性質1)から従います。 「$r$ 個選ぶ」と「$(n-r)$ 個残す」が同じだから、左右対称になるのです。

パスカルの三角形と二項定理

パスカルの三角形の $n$ 行目は、$(a + b)^n$ の展開式の係数と一致します。

$$(a + b)^n = {}_nC_0 \, a^n + {}_nC_1 \, a^{n-1}b + {}_nC_2 \, a^{n-2}b^2 + \cdots + {}_nC_n \, b^n$$

たとえば $(a+b)^4 = a^4 + 4a^3b + 6a^2b^2 + 4ab^3 + b^4$ の係数は $1, 4, 6, 4, 1$ で、 パスカルの三角形の $n = 4$ の行と一致します。この定理を二項定理といい、 $_nC_r$ を二項係数とも呼びます。

📐 二項定理
$$(a + b)^n = \sum_{r=0}^{n} {}_nC_r \, a^{n-r} b^r$$

一般項(第 $r+1$ 項):${}_nC_r \, a^{n-r} b^r$

※ $(a+b)^n$ の展開式の各項の係数が $_nC_r$ になるのは、$n$ 個の $(a+b)$ から $a$ と $b$ を選ぶ組合せの数が $_nC_r$ だからです。
▷ 二項定理の直感的理解

$(a+b)^n = \underbrace{(a+b)(a+b)\cdots(a+b)}_{n \text{ 個}}$ を展開するとき、各因数から $a$ か $b$ のどちらかを1つずつ選んで掛け合わせます。

$a^{n-r}b^r$ の項が現れるのは、$n$ 個の因数のうち $r$ 個から $b$ を、残り $(n-r)$ 個から $a$ を選んだときです。 $b$ を選ぶ $r$ 個の因数の選び方は $_nC_r$ 通り。

したがって、$a^{n-r}b^r$ の係数は $_nC_r$ になります。

各行の総和 = $2^n$

パスカルの三角形の各行の数をすべて足すと $2^n$ になります。 二項定理で $a = 1, \, b = 1$ とおけば、

$$(1 + 1)^n = \sum_{r=0}^{n} {}_nC_r = 2^n$$

たとえば $n = 4$ のとき、$1 + 4 + 6 + 4 + 1 = 16 = 2^4$ です。

⚠️ 落とし穴:二項定理の一般項で $r$ の範囲を間違える

✕ 誤:$(a+b)^5$ の第3項の係数を求めるとき、$r = 3$ を代入して $_5C_3 = 10$。

○ 正:一般項は ${}_nC_r \, a^{n-r}b^r$ で、第 $r+1$ 項です。第3項は $r = 2$ なので、$_5C_2 = 10$ です。

「第 $k$ 項」は $r = k - 1$ です。$r$ は $0$ から始まることに注意しましょう。

🔬 深掘り:パスカルの三角形に隠れたフラクタル

パスカルの三角形の各数を「偶数なら白、奇数なら黒」で塗り分けると、 シェルピンスキーの三角形と呼ばれるフラクタル図形が現れます。 フラクタルとは「全体と部分が相似な構造」を持つ図形で、自然界の海岸線やシダの葉にも見られます。

組合せの数 $_nC_r$ という素朴な整数の列に、こうした深い幾何学的構造が隠れていることは、 数学の美しさを象徴する例の1つです。パスカルの三角形にはほかにも、 フィボナッチ数列(斜めの和)やカタラン数など、多くの数列が潜んでいます。

5俯瞰マップ ─ 組合せの応用の全体像

ここまで学んだ組合せの応用を整理しましょう。すべてのパターンは「$_nC_r$ の意味」に立ち返ることで理解できます。

パターン分類表

パターン問題の特徴解法のポイント
A:三角形の個数$n$ 点から3点を選ぶ$_nC_3$ から同一直線上の3点の組を除く
B:対角線の本数$n$ 角形の対角線$_nC_2 - n = \dfrac{n(n-3)}{2}$
C:対角線の交点対角線同士の交点4頂点の組 $_nC_4$(3本が1点で交わらない場合)
D:平行線の図形平行線群から図形を数える各方向の線を独立に選ぶ(積の法則)
E:$_nC_r$ の性質等式の証明・計算組合せの意味または二重計数法で証明
F:パスカルの三角形二項係数の規則漸化式 $_nC_r = {}_{n-1}C_{r-1} + {}_{n-1}C_r$ を活用

つながりマップ

  • ← 6-3 組合せ:$_nC_r$ の定義と基本的な計算。この記事はそのすべてが前提。
  • ← 6-2 順列:$_nP_r$ と $_nC_r$ の関係($_nC_r = \dfrac{{}_nP_r}{r!}$)は常に意識する。
  • → 7-1 確率の基本性質:確率 $\dfrac{_nC_r}{_nC_k}$ のように、組合せは確率計算の基盤。
  • → 数学II 二項定理:パスカルの三角形と二項定理は数学IIで本格的に扱う。ここで学んだ $_nC_r$ の性質が直接活きる。
  • → 8-1 三角形の性質:正多角形の頂点から三角形を作る問題は、図形の性質と組合せの融合。

📋まとめ

  • 図形の個数 = 頂点の組合せの数。3点を選べば三角形、2点を選べば線分。ただし同一直線上の点に注意
  • 凸 $n$ 角形の対角線の本数は $\dfrac{n(n-3)}{2}$。「$_nC_2 - n$」または「各頂点から $(n-3)$ 本 $\times n \div 2$」で導出
  • 凸 $n$ 角形の対角線の交点の個数は $_nC_4$(3本以上が1点で交わらない場合)
  • $_nC_r = {}_nC_{n-r}$:「$r$ 個選ぶ = $(n-r)$ 個残す」
  • $_nC_r = {}_{n-1}C_{r-1} + {}_{n-1}C_r$(パスカルの漸化式):特定の1個を「含む/含まない」で場合分け
  • パスカルの三角形の3つの規則:両端は1、隣接する2数の和が下の数、左右対称
  • 二項定理:$(a+b)^n = \displaystyle\sum_{r=0}^{n} {}_nC_r \, a^{n-r}b^r$。各行の総和は $2^n$

確認テスト

Q1. 正十角形の対角線は何本ですか。

▶ クリックして解答を表示$\dfrac{10(10-3)}{2} = \dfrac{10 \times 7}{2} = 35$ 本。別解:$_{10}C_2 - 10 = 45 - 10 = 35$ 本。

Q2. 円周上に8個の点があるとき、これらの点を頂点とする三角形はいくつできますか。

▶ クリックして解答を表示円周上の点なのでどの3点も一直線上にない。$_8C_3 = \dfrac{8 \cdot 7 \cdot 6}{3 \cdot 2 \cdot 1} = 56$ 個。

Q3. パスカルの漸化式 $_nC_r = {}_{n-1}C_{r-1} + {}_{n-1}C_r$ を、言葉で説明してください。

▶ クリックして解答を表示$n$ 個のものから $r$ 個選ぶとき、特定の1個を「含む」選び方(${}_{n-1}C_{r-1}$ 通り)と「含まない」選び方(${}_{n-1}C_r$ 通り)に分けると、その和が全体 $_nC_r$ に等しい。

Q4. $_7C_0 + {}_7C_1 + {}_7C_2 + \cdots + {}_7C_7$ の値を求めてください。

▶ クリックして解答を表示二項定理で $a = b = 1$ とおくと $(1+1)^7 = 2^7 = 128$。

Q5. 凸七角形の対角線の交点の個数を求めてください(3本以上の対角線は1点で交わらないとする)。

▶ クリックして解答を表示$_7C_4 = \dfrac{7 \cdot 6 \cdot 5 \cdot 4}{4 \cdot 3 \cdot 2 \cdot 1} = 35$ 個。4頂点を選ぶと交点が1つ対応する。

8入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

6-7-1 A 基礎 対角線 組合せ

正十二角形について、次のものを求めよ。

(1) 対角線の本数

(2) 3個の頂点を結んでできる三角形の個数

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) 54本  (2) 220個

解説

方針:頂点の組合せから辺の数を引く(対角線)、3頂点の組合せ(三角形)。

(1) $_{12}C_2 - 12 = \dfrac{12 \cdot 11}{2} - 12 = 66 - 12 = 54$ (本)

別解:$\dfrac{12(12-3)}{2} = \dfrac{12 \times 9}{2} = 54$ (本)

(2) 正十二角形の頂点は円周上にあるので、どの3点も一直線上にない。

$_{12}C_3 = \dfrac{12 \cdot 11 \cdot 10}{3 \cdot 2 \cdot 1} = 220$ (個)

B 標準レベル

6-7-2 B 標準 図形の個数 場合分け

正八角形の8個の頂点を結んでできる三角形のうち、この正八角形と辺を共有しないものの個数を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

$16$ 個

解説

方針:全三角形の数から、辺を共有する三角形の数を引く。

Step 1:全三角形の数:$_8C_3 = 56$ 個

Step 2:正八角形と2辺を共有する三角形(隣り合う3頂点を選んだ場合)は $8$ 個。

Step 3:正八角形と1辺のみを共有する三角形を数える。8本の辺のそれぞれについて、その辺の両端に隣接しない頂点を選べばよい。1辺について $8 - 4 = 4$ 個の頂点が使えるので、$8 \times 4 = 32$ 個。

Step 4:辺を共有しない三角形 = $56 - 8 - 32 = 16$ 個

採点ポイント
  • 全三角形の数 $_8C_3 = 56$ を正しく求める(2点)
  • 2辺共有の場合を正しく数える(2点)
  • 1辺共有の場合を正しく数える(4点)
  • 最終答えを正しく求める(2点)
6-7-3 B 標準 平行線 長方形

平面上に、横方向に5本の平行線と、縦方向に4本の平行線がある。これらの直線で囲まれてできる長方形の個数を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

$60$ 個

解説

方針:長方形は「横の平行線から2本」と「縦の平行線から2本」を選べば1つ決まる。

横5本から2本を選ぶ方法:$_5C_2 = 10$ 通り

縦4本から2本を選ぶ方法:$_4C_2 = 6$ 通り

積の法則により、長方形の個数は $10 \times 6 = 60$ 個。

採点ポイント
  • 長方形の決定条件を正しく理解(3点)
  • 各方向の組合せを正しく計算(4点)
  • 積の法則を適用して最終答え(3点)

C 発展レベル

6-7-4 C 発展 直角三角形 円周角 論述

正八角形の8個の頂点を結んでできる三角形のうち、直角三角形の個数を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

$24$ 個

解説

方針:正八角形の頂点は外接円上にある。円周角の定理から、直径を斜辺とする三角形は直角三角形になる。

正八角形には、向かい合う頂点を結ぶ「直径」が4本あります(頂点の対は4組)。

各直径について、残りの6個の頂点のうちどれを第3の頂点に選んでも、円周角の定理より直径に対する円周角は $90°$ です。

よって、1本の直径に対して $6$ 個の直角三角形ができ、全部で $4 \times 6 = 24$ 個。

逆に、直角三角形ができるのはこの場合に限られます。正八角形の外接円において、直径でない弦に対する円周角は $90°$ 未満または $90°$ 超であり、ちょうど $90°$ になるのは直径の場合のみです。

採点ポイント
  • 円周角の定理を正しく適用(3点)
  • 直径の本数(4本)を正しく求める(2点)
  • 各直径に対する直角三角形の数(6個)を正しく求める(3点)
  • 直角三角形がこの場合に限られることの説明(2点)