第6章 場合の数

円順列・数珠順列
─ 「同じ並び」を見抜く技術

円形に並べる問題では、回転して重なるものを「同じ」と見なします。
なぜ $(n-1)!$ になるのか、なぜ数珠順列では $\div 2$ するのか。
原理を理解すれば、公式の暗記なしに条件付きの問題にも対応できます。

1円順列の考え方 ─ なぜ $(n-1)!$ なのか

6-2で学んだ順列は、ものを一列に並べる場合の数でした。 では、円形のテーブルに人を座らせるとき、場合の数はどう変わるでしょうか。

直線上の並びと円形の並びには、決定的な違いがあります。 直線上では「左端が誰か」で区別できますが、円形には左端がありません。 円形に並べたとき、全体をぐるっと回転させて同じ配置になるものは、1通りと数えるのです。 このような並べ方を円順列といいます。

具体例で考える:5人を円形に並べる

A, B, C, D, E の5人を円形に並べる場合の数を考えましょう。 まず、5人を一列に並べる順列は $5! = 120$ 通りです。

しかし、円形では「ABCDE」「BCDEA」「CDEAB」「DEABC」「EABCD」の5つは、 回転するとすべて同じ配置になります。 つまり、1つの円順列に対して $5$ 通りの直線順列が対応しています。

一般に、$n$ 個のものを円形に並べると、1つの円順列に対して $n$ 通りの直線順列が対応します。 なぜなら、円順列を1か所で切って直線に伸ばすとき、切る場所が $n$ か所あるからです。

ここが本質:回転で重なるものを「割る」

円順列の公式の根拠は、「同じものが $n$ 通りずつ重複している」という事実です。

直線順列 $n!$ 通りの中には、回転して同じになるものが $n$ 通りずつ含まれています。 だから $n!$ を $n$ で割ります。

$$\text{円順列の総数} = \frac{n!}{n} = (n-1)!$$

この「重複を数えて割る」という考え方は、円順列に限らずあらゆる場合の数の問題で使う基本原理です。

もう1つの考え方:1つを固定する

同じ結果を、別のアプローチでも導けます。 円形の並びでは「誰が最初か」に意味がないので、1人を固定して基準にするのです。

たとえば A の位置を固定します。すると、残りの B, C, D, E の4人を A の右隣から順に並べればよく、これは $4! = 24$ 通りです。 一般に $n$ 個のうち1つを固定すると、残り $(n-1)$ 個の順列で $(n-1)!$ 通りとなります。

円順列の公式

異なる $n$ 個のものの円順列の総数は

$$(n-1)!$$

※ 考え方1:直線順列 $n!$ を、回転で同一の $n$ で割る。
※ 考え方2:1つを固定し、残り $(n-1)$ 個の順列を数える。
導出:2つの考え方が一致することの確認

考え方1(割り算):$n$ 個の直線順列は $n!$ 通り。円形では回転で $n$ 通りが同一になるから、 円順列の総数は $\dfrac{n!}{n} = (n-1)!$

考え方2(固定):1つを固定すると残りは $(n-1)$ 個の直線順列。よって $(n-1)!$ 通り。

どちらも $(n-1)!$ となり一致します。考え方2のほうが直観的なので、実際の問題では「1つ固定」を使うことが多いです。

落とし穴:$n!$ と $(n-1)!$ を取り違える

誤:6人を円形に並べる方法は $6! = 720$ 通り

正:6人を円形に並べる方法は $(6-1)! = 5! = 120$ 通り

「円形に並べる」という条件を見落として直線順列の $n!$ で答えてしまうのは、最も多いミスです。 問題文に「円形に並べる」「円卓に座る」「輪になる」などのキーワードがあれば、 回転で同一視するかどうかを必ず確認しましょう。

落とし穴:0の階乗を忘れる

$n = 1$ のとき、円順列は $(1-1)! = 0! = 1$ 通りです。$0! = 1$ であることを忘れないようにしましょう。

$n = 2$ のとき、円順列は $(2-1)! = 1! = 1$ 通り。2人が円形に座る方法は1通りしかありません。 なぜなら、A-B と B-A は回転すると同じだからです。

深掘り:群論と「同値類で割る」

円順列で「回転で同じものを1つと数える」操作は、大学数学の群論で厳密に定式化されます。 $n$ 個の回転($0^\circ, \dfrac{360^\circ}{n}, \dfrac{2 \times 360^\circ}{n}, \ldots$)は巡回群 $C_n$ と呼ばれる群を構成し、この群の作用で同じになるものを「同値類」として1つにまとめます。

高校で使う「$n!$ を $n$ で割る」は、「同値類の大きさがすべて $n$ だから、 全体を $n$ で割れば同値類の個数が出る」という群論の定理の特殊ケースです。

2数珠順列 ─ 裏返しで「同じ」が生まれる

円順列では「回転」だけを同一視しました。 しかし、ネックレスやブレスレットのように裏返すことができるものでは、 裏返して同じ配置になるものもさらに同一と見なします。 この並べ方を数珠順列(じゅず順列)といいます。

たとえば、5個の異なる宝石を糸に通して首飾りを作る場面を考えましょう。 首飾りは手で持ち上げてひっくり返せるので、円順列で異なる2つの配置が、 裏返すと同じになる場合があります。

ここが本質:裏返しで2通りが1通りになる

円順列のうち、裏返して一致するものが2つずつペアになっています。

たとえば、ある円順列で時計回りに「ABCDE」と並んでいるものと、 反時計回りに「ABCDE」(裏返すと「AEDCB」)と並んでいるものは、 裏返すと一致します。

このペアをまとめるには、円順列の総数を $2$ で割ります。

$$\text{数珠順列の総数} = \frac{(n-1)!}{2}$$

数珠順列の公式

異なる $n$ 個のものの数珠順列の総数は

$$\frac{(n-1)!}{2}$$

※ 円順列 $(n-1)!$ から、裏返しで同一になるペアを $\div 2$ する。
※ $n \geq 3$ のとき成立。$n = 1, 2$ のときは数珠順列も1通り。
落とし穴:数珠順列で $\div 2$ を忘れる

誤:6個の宝石でネックレスを作る方法は $(6-1)! = 120$ 通り

正:ネックレスは裏返せるので $\dfrac{(6-1)!}{2} = \dfrac{120}{2} = 60$ 通り

問題文に「首飾り」「ネックレス」「ブレスレット」「腕輪」「輪を作る」 などのキーワードがあれば、裏返しが可能かどうかを必ず考えましょう。 「円卓に座る」場合は裏返せないので円順列、 「糸でつないで輪を作る」場合は裏返せるので数珠順列です。

「机の上で円形に並べる」と「首飾りにする」の違い

同じ「円形に並べる」でも、問題の設定によって円順列か数珠順列かが変わります。

問題文の表現裏返し使う公式
円形に並べる / 円卓に座る / 手をつないで輪になる不可$(n-1)!$(円順列)
首飾りを作る / ブレスレットを作る / 輪を作る可能$\dfrac{(n-1)!}{2}$(数珠順列)
落とし穴:「輪になる」は円順列か数珠順列か

「手をつないで輪になる」は、人が立っている状態なので裏返せません。→ 円順列

「玉にひもを通して輪を作る」は、物理的に裏返せます。→ 数珠順列

判断基準は「裏返して同じ配置が作れるかどうか」です。 人が物理的に裏返ることはできませんが、ビーズや宝石はひっくり返せます。 迷ったら「裏表を入れ替えた配置が現実に起こりうるか」を考えましょう。

深掘り:二面体群 ─ 回転と裏返しの数学的構造

円順列では回転(巡回群 $C_n$)だけを同一視しましたが、 数珠順列では回転と裏返し(鏡映)の両方を同一視します。 この操作全体は大学数学で二面体群(dihedral group)$D_n$と呼ばれます。

$D_n$ は $2n$ 個の要素($n$ 回の回転 $+ n$ 回の鏡映)を持つ群です。 異なる $n$ 個の数珠順列が $\dfrac{(n-1)!}{2}$ になるのは、 $|D_n| = 2n$ なので $\dfrac{n!}{2n} = \dfrac{(n-1)!}{2}$ と計算できるからです。

3条件付き円順列 ─ 「隣り合う」「向かい合う」を攻略する

入試では「特定の人が隣り合う」「向かい合う」「隣り合わない」「男女交互」 などの条件が付いた円順列が頻出です。 これらの条件の処理方法を整理しましょう。

パターン1:特定のものが「隣り合う」

直線順列と同じく、隣り合うものをひとまとめにするのが基本です。

たとえば、A, B, C, D, Eの5人を円形に並べるとき、AとBが隣り合う場合の数を求めましょう。 AとBをひとまとめにして1つのブロックと見なすと、このブロックとC, D, Eの合計4つを円形に並べます。 4つの円順列は $(4-1)! = 3! = 6$ 通り。 さらにブロック内でAとBの並び方が $2!= 2$ 通りあるので、 $6 \times 2 = 12$ 通りです。

ここが本質:「ひとまとめ」は円順列でも有効

「隣り合う」条件の処理は直線順列と同じで、隣り合うものを1つのブロックにします。

手順:

1. 隣り合うもの $k$ 個を1ブロックにまとめ、全体を $(n - k + 1)$ 個と見なす

2. $(n - k + 1)$ 個の円順列を求める → $(n - k)!$

3. ブロック内の並び方 $k!$ をかける

$$\text{隣り合う円順列} = (n-k)! \times k!$$

パターン2:特定のものが「向かい合う」

円形の「向かい合う」は、円順列ならではの条件です。 $n$ 人が円形に座るとき、ある人から見て正面に座る人は1人に決まります($n$ が偶数の場合)。

たとえば、6人が円卓に座るとき、AとBが向かい合う場合の数を考えます。 Aの位置を固定すると、Bの位置は正面の1か所に決まります。 残りの4人を4つの席に並べるので $4! = 24$ 通り。

ここで重要なのは、Aを固定した時点で回転の重複が解消されていることです。 Bの位置も自動的に1通りに決まるので、残りは直線順列と同じ計算になります。

解法:「向かい合う」の処理手順

Step 1:一方(たとえばA)の位置を固定する。→ 回転の重複を解消。

Step 2:もう一方(B)は向かい側の1か所に確定。→ 1通り。

Step 3:残りの $(n-2)$ 人を残りの席に並べる。→ $(n-2)!$ 通り。

結論:$1 \times 1 \times (n-2)! = (n-2)!$ 通り。

パターン3:特定のものが「隣り合わない」

「隣り合わない」は、まず条件のないものを円形に並べてから、間に入れる方法が有効です。

たとえば、父母と子ども4人(息子2人、娘2人)が円卓に座るとき、 息子2人が隣り合わない場合の数を考えます。

まず息子以外の4人(父、母、娘2人)を円形に並べます。→ $(4-1)! = 6$ 通り。 4人の間に4つの隙間ができるので、そこから2つ選んで息子を1人ずつ入れます。 → $_4P_2 = 4 \times 3 = 12$ 通り。 よって $6 \times 12 = 72$ 通りです。

落とし穴:間に入れるときは「円順列ではない」

上の例で、息子2人を4つの隙間から2つ選んで入れる部分は、円順列ではなく通常の順列です。

誤:息子2人を4つの隙間に入れるのも円順列で $(2-1)! = 1$ 通り

正:4つの隙間は先に並べた4人によって「位置が区別されている」ので、 選び方は $_4P_2 = 12$ 通り

先に並べた人が基準になっているため、後から入れる人の配置は直線順列と同じです。 回転して同じになるものはもう含まれていないことがポイントです。

パターン4:男女が「交互に並ぶ」

男子 $m$ 人と女子 $m$ 人が交互に並ぶ場合(合計 $2m$ 人)は、 まず一方の性別を円形に並べ、その間にもう一方を並べます。

たとえば、男子3人と女子3人が交互に円形に並ぶ場合の数は、 まず男子3人の円順列 $(3-1)! = 2$ 通り。 男子の間の3か所に女子3人を並べるので $3! = 6$ 通り。 よって $2 \times 6 = 12$ 通りです。

ここが本質:条件付き円順列は「何を先に固定するか」で決まる

条件付き円順列で最も大切なのは、最初に条件を処理し、残りを配置するという順序です。

隣り合う:ひとまとめ → 円順列 → ブロック内の並び

向かい合う:一方を固定 → もう一方は確定 → 残りの順列

隣り合わない:他を先に円順列 → 間に入れる

交互:一方を円順列 → 間にもう一方を並べる

「円順列で処理する部分」と「通常の順列で処理する部分」を正しく見分けることが鍵です。

4円順列の応用問題 ─ 部分選択・立体の塗り分け

ここでは、$n$ 個から $r$ 個を選んで円形に並べる問題や、 立体の面を色で塗り分ける問題を扱います。 これらは円順列の考え方を応用した重要なテーマです。

$n$ 個から $r$ 個を選んで円形に並べる

$n$ 個の異なるものから $r$ 個を取り出して円形に並べる場合の数を考えましょう。 まず $n$ 個から $r$ 個を取って一列に並べると $_nP_r$ 通りです。 このうち、円形では回転で同じになるものが $r$ 通りずつあるので、

$$\frac{_nP_r}{r}$$

たとえば、7人から5人を選んで円形に並べる方法は、 $\dfrac{_7P_5}{5} = \dfrac{7 \times 6 \times 5 \times 4 \times 3}{5} = \dfrac{2520}{5} = 504$ 通りです。

落とし穴:$_nC_r \times (r-1)!$ と $\dfrac{_nP_r}{r}$ の混同

実は $\dfrac{_nP_r}{r} = {}_nC_r \times (r-1)!$ が成り立ちます。

$\dfrac{_nP_r}{r} = \dfrac{n!}{(n-r)! \cdot r} = \dfrac{n!}{r! \cdot (n-r)!} \times (r-1)! = {}_nC_r \times (r-1)!$

これは「まず $r$ 個を選び(${}_nC_r$)、選んだ $r$ 個を円形に並べる($(r-1)!$)」と解釈できます。 どちらの式を使っても構いませんが、「一列の順列を $r$ で割る」と「選んでから円順列」は同じ結果になることを理解しておくと、ミスが減ります。

立体の面の塗り分けと円順列

立方体や正多角柱の面を異なる色で塗り分ける問題は、円順列の重要な応用です。 「回転して同じになるものを1つと数える」という考え方がそのまま使えます。

たとえば、正四角柱(直方体)の6面を異なる6色で塗り分ける方法を考えましょう。

解法:正四角柱の6面の塗り分け

Step 1:上面の色を1つ固定する。すると下面の色の選び方は残り5色から1つで $5$ 通り。

Step 2:側面4面の塗り方を考える。上面と下面が固定された状態で、 側面4面を回転して同じになるものを同一視する。 これは4色の円順列で $(4-1)! = 6$ 通り。

結論:$5 \times 6 = 30$ 通り。

上面と下面が同じ色で塗られる場合(5色で6面を塗るなど)は、 上下をひっくり返して同じになるものが出てくるため、側面は数珠順列を使います。

深掘り:バーンサイドの補題 ─ 対称性を持つ数え上げの一般理論

円順列の「$n!$ を $n$ で割る」、数珠順列の「さらに $2$ で割る」は、 実は大学数学のバーンサイドの補題(Burnside's lemma)の特殊ケースです。

バーンサイドの補題は次のように述べられます:群 $G$ が集合 $X$ に作用するとき、 軌道(同値類)の数は

$$|X / G| = \frac{1}{|G|} \sum_{g \in G} |X^g|$$

ここで $|X^g|$ は操作 $g$ で不変な要素の数です。 異なる $n$ 個の円順列では $G = C_n$(巡回群)、$|G| = n$ で、 恒等操作以外で不変な配置は0個なので $|X/G| = \dfrac{n! + 0 + \cdots + 0}{n} = (n-1)!$ となります。

同じものを含む場合や、正多面体の塗り分けなど、単純に「割る」だけでは対応できない問題では、 バーンサイドの補題が威力を発揮します。 さらにこれを一般化したポリアの数え上げ定理は、化学で分子の異性体を数える問題にも使われています。

深掘り:同じものを含む数珠順列 ─ 左右対称に注意

すべてが異なるものの数珠順列は「円順列 $\div 2$」で求められますが、 同じものを含む場合は単純に $\div 2$ できません。

なぜなら、円順列の中に左右対称な配置が含まれている可能性があるからです。 左右対称な配置は、裏返しても自分自身と一致するため、ペアにならず1通りのままです。

解法:

1. 円順列の総数を求める

2. そのうち左右対称な配置の数を数える($s$ 通りとする)

3. 左右非対称な配置は $(円順列の総数 - s)$ 通りで、これが2つずつペアになる

4. 数珠順列の総数 $= s + \dfrac{円順列の総数 - s}{2}$

5俯瞰マップ ─ 円順列・数珠順列の全体像

ここまで学んだ内容を整理し、問題のパターンを一覧にしましょう。

パターン分類表

パターン問題の特徴解法のポイント
A:基本の円順列$n$ 個すべてを円形に並べる$(n-1)!$(1つ固定して残りを並べる)
B:数珠順列裏返して同じものを同一視$\dfrac{(n-1)!}{2}$(首飾り、ブレスレット)
C:隣り合う特定のものが隣り合うひとまとめにして円順列 → 内部の並び
D:向かい合う特定のものが正面に来る一方を固定 → 他方は確定 → 残りの順列
E:隣り合わない特定のものが隣接しない他を先に円順列 → 間に挿入
F:交互に並ぶ2種類が交互に配置一方を円順列 → 間に他方を順列
G:部分選択$n$ 個から $r$ 個を選んで円形に$\dfrac{_nP_r}{r}$ または ${}_nC_r \times (r-1)!$
H:塗り分け立体の面を色分け1面を固定 → 残りを円順列または数珠順列

すべてのパターンの根底にある原理は同じです: 「回転(または回転+裏返し)で同じになるものを数え、その分だけ割る」。 この原理さえ理解していれば、どんな条件の問題にも対応できます。

つながりマップ

  • ← 6-2 順列:直線順列 $n!$ が円順列の出発点。「重複を割る」考え方は順列の応用。
  • ← 6-3 組合せ:部分選択の円順列では $_nC_r$ を使う。組合せと円順列の融合問題が頻出。
  • → 7-1 確率の基本:「全員が円形に並ぶ」場合の確率では、全事象が円順列になる。
  • → 7-2 いろいろな確率:条件付き円順列の場合の数を使った確率の問題が入試で頻出。
  • → 大学数学(群論):巡回群・二面体群・バーンサイドの補題は、円順列・数珠順列を一般化した理論。

📋まとめ

  • 異なる $n$ 個の円順列の総数は $(n-1)!$。回転で同じになるものが $n$ 通りずつあるので $n!$ を $n$ で割る
  • 異なる $n$ 個の数珠順列の総数は $\dfrac{(n-1)!}{2}$。裏返しで同一になるペアをさらに $\div 2$
  • 隣り合う条件:隣り合うものを1ブロックにまとめて円順列を求め、ブロック内の並びをかける
  • 向かい合う条件:一方を固定すると他方の位置は確定。残りは通常の順列
  • 隣り合わない条件:条件のないものを先に円順列で並べ、間のスペースに挿入する
  • $n$ 個から $r$ 個を選んで円形に並べる:$\dfrac{_nP_r}{r} = {}_nC_r \times (r-1)!$
  • 立体の塗り分けは、1面を固定して残りの面を円順列(または数珠順列)で数える

確認テスト

Q1. 8人が円卓に座る方法は何通りですか。

▶ クリックして解答を表示$(8-1)! = 7! = 5040$ 通り

Q2. 異なる6個の宝石でネックレスを作る方法は何通りですか。

▶ クリックして解答を表示数珠順列なので $\dfrac{(6-1)!}{2} = \dfrac{120}{2} = 60$ 通り

Q3. A, B, C, D, E, Fの6人が円形に並ぶとき、AとBが隣り合う並び方は何通りですか。

▶ クリックして解答を表示AとBをひとまとめにして5つの円順列 $(5-1)! = 24$ 通り。AB内部の並び $2! = 2$ 通り。$24 \times 2 = 48$ 通り。

Q4. 円順列と数珠順列の違いを説明してください。

▶ クリックして解答を表示円順列は「回転して同じものを同一視」するのに対し、数珠順列は「回転に加えて裏返しても同じものも同一視」する。首飾りやブレスレットなど裏返せるものは数珠順列。円卓に座る場合は円順列。

Q5. 10人から4人を選んで円形に並べる方法は何通りですか。

▶ クリックして解答を表示$\dfrac{_{10}P_4}{4} = \dfrac{10 \times 9 \times 8 \times 7}{4} = \dfrac{5040}{4} = 1260$ 通り。または ${}_{10}C_4 \times (4-1)! = 210 \times 6 = 1260$ 通り。

8入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

6-4-1 A 基礎 円順列 隣り合う

a, b, c, d, e の文字が書かれた5個の玉がある。

(1) これらの玉を円形に並べる方法は何通りあるか。

(2) a と b が隣り合うように円形に並べる方法は何通りあるか。

(3) これらの玉にひもを通し、輪を作る方法は何通りあるか。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $24$ 通り  (2) $12$ 通り  (3) $12$ 通り

解説

方針:(1) 基本の円順列。(2) ひとまとめにして円順列。(3) 数珠順列。

(1) 異なる5個の円順列なので $(5-1)! = 4! = 24$ 通り。

(2) a, b を1つのブロックと見なして、ブロック+c, d, e の4つの円順列。 $(4-1)! = 3! = 6$ 通り。 ブロック内の a, b の並び方は $2! = 2$ 通り。 $6 \times 2 = 12$ 通り。

(3) ひもを通して輪にすると裏返しが可能なので数珠順列。 $\dfrac{(5-1)!}{2} = \dfrac{24}{2} = 12$ 通り。

6-4-2 A 基礎 円順列 向かい合う

1, 2, 3, 4, 5, 6 の数字が書かれた6枚のカードを円形に並べるとき、次の場合の数を求めよ。

(1) 1 と 2 が隣り合う並べ方

(2) 1 と 2 が向かい合う並べ方

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $48$ 通り  (2) $24$ 通り

解説

(1) 1と2をひとまとめにし、このブロックと3, 4, 5, 6の合計5つの円順列。 $(5-1)! = 24$ 通り。 ブロック内の並び方 $2! = 2$ 通り。 $24 \times 2 = 48$ 通り。

(2) 1の位置を固定すると、2の位置は正面の1か所に確定。 残りの4枚(3, 4, 5, 6)の並び方は $4! = 24$ 通り。

B 標準レベル

6-4-3 B 標準 条件付き 論述

両親と4人の子ども(息子2人、娘2人)が手をつないで輪を作るとき、次の問いに答えよ。

(1) 6人の並び方は全部で何通りあるか。

(2) 両親が正面に向かい合う並び方は何通りあるか。

(3) 男性と女性が交互に並ぶ並び方は何通りあるか。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $120$ 通り  (2) $24$ 通り  (3) $12$ 通り

解説

方針:「手をつないで輪になる」は人なので裏返し不可。円順列で考える。

(1) 6人の円順列。$(6-1)! = 5! = 120$ 通り。

(2) 父の位置を固定すると、母は正面の1か所に確定。 残りの4人(息子2人、娘2人)の並び方は $4! = 24$ 通り。

(3) 男性は父と息子2人の計3人。 まず男性3人を円形に並べる。$(3-1)! = 2! = 2$ 通り。 男性の間の3か所に女性3人(母と娘2人)を並べる。$3! = 6$ 通り。 $2 \times 6 = 12$ 通り。

注意:(2)で子ども4人の並びを円順列とする間違いに注意。 父と母の位置が既に固定されているので、残りの4人は直線順列 $4!$ で数えます。

採点ポイント
  • 円順列であることの判断(裏返し不可)(2点)
  • (2) 父を固定し母の位置が確定する論理(3点)
  • (3) 男性の円順列と女性の順列を正しく分離(3点)
  • 各場合の計算が正確(2点)

C 発展レベル

6-4-4 C 発展 塗り分け 数珠順列 論述

立方体の各面を色で塗る。回転させて一致する塗り方は同じとみなす。

(1) 異なる6色をすべて使って塗る方法は何通りあるか。

(2) 異なる5色をすべて使って塗る方法は何通りあるか。ただし、向かい合う1組の面が同じ色になる。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $30$ 通り  (2) $15$ 通り

解説

方針:1つの面を固定して、残りの面の配置を円順列(または数珠順列)で数える。

(1) 1色を上面に固定する。 下面に塗る色の選び方は残り5色から1つで $5$ 通り。 側面4面の塗り方は、上下が固定された状態で4色の円順列。 $(4-1)! = 3! = 6$ 通り。 よって $5 \times 6 = 30$ 通り。

(2) 同じ色で塗る向かい合う面の色の選び方は $5$ 通り。 この色で上面と下面を塗る。 残りの側面4面を残り4色で塗るが、上下をひっくり返すと側面の配置が裏返しになるので、 数珠順列を使う。 $\dfrac{(4-1)!}{2} = \dfrac{6}{2} = 3$ 通り。 よって $5 \times 3 = 15$ 通り。

上下が同じ色のとき、立方体を180度回転させて上下を入れ替えると側面が裏返し状態になるため、 側面は数珠順列で数えます。これが(1)との本質的な違いです。

採点ポイント
  • (1) 上面を固定する発想(2点)
  • (1) 側面を円順列で数える(3点)
  • (2) 上下が同色のとき数珠順列になる理由の説明(3点)
  • 計算の正確さ(2点)