第3章 集合と命題

集合の要素の個数
─ 「数える」を数学にする

「何個あるか」を正確に数えるのは、意外と難しい問題です。
ベン図と $n(A)$ の記法を使えば、重複を見逃さず、漏れなく数え上げる原理が手に入ります。

1有限集合の要素の個数 ─ $n(A)$ の記法

3-1で集合の基本(要素、部分集合、共通部分、和集合など)を学びました。 ここからは、集合の要素が何個あるかに注目します。

要素の個数が有限である集合を有限集合、 要素の個数が有限でない集合(自然数全体の集合 $\mathbb{N}$ など)を無限集合といいます。 有限集合については、その要素の個数を考えることができます。

集合 $A$ の要素の個数を $n(A)$ で表します。 $n$ は number(数)の頭文字です。 たとえば $A = \{2, 4, 6, 8, 10\}$ なら $n(A) = 5$、 空集合 $\emptyset$ は要素を1つも持たないので $n(\emptyset) = 0$ です。

💡 ここが本質:$n(A)$ は「集合を数に変換する道具」

$n(A)$ の記法を導入する最大の意義は、集合の関係式を、数(個数)の等式に翻訳できることです。

集合の演算($\cup$, $\cap$, 補集合)には、対応する個数の公式があります。 つまり、「集合の問題」を「方程式の問題」に変換して解けるのです。

この記事のゴールは、集合の演算と個数の公式の対応関係を理解することです。

$n(A)$ の記法を使うと、集合の性質を数の等式で表現できます。 たとえば、$A \subset B$($A$ が $B$ の部分集合)ならば $n(A) \leq n(B)$ です。 集合の包含関係が、個数の大小関係に翻訳されたわけです。

⚠️ 落とし穴:$n(A)$ と集合 $A$ そのものを混同しない

✕ 誤:「$n(A) = n(B)$ だから $A = B$」

○ 正:$n(A) = n(B)$ は「要素の個数が等しい」だけ。 $A = \{1, 2, 3\}$、$B = \{4, 5, 6\}$ なら $n(A) = n(B) = 3$ ですが、$A \neq B$ です。

$n(A)$ は集合の「サイズ」を表す数値であり、中身の情報は失われます。 個数が同じでも、要素が異なれば別の集合です。

🔬 深掘り:$n(A)$ は「濃度」の有限版

大学数学では、集合の「大きさ」を表す概念として濃度(cardinality)を学びます。 有限集合の濃度は要素の個数そのものですが、無限集合にも濃度を定義できます。

たとえば、自然数全体 $\mathbb{N}$ と偶数全体 $\{2, 4, 6, \ldots\}$ は、直感的には偶数の方が「少ない」ように見えますが、 $n \mapsto 2n$ で1対1に対応づけられるため、実は同じ濃度を持ちます。 「無限の大きさ」を厳密に比較するのが濃度の理論です。

2和集合の要素の個数 ─ なぜ単純な足し算ではダメなのか

2つの集合 $A$, $B$ の和集合 $A \cup B$($A$ または $B$ の少なくとも一方に属する要素全体)の要素の個数を考えましょう。 「$A$ の個数と $B$ の個数を足せばいい」と思いたくなりますが、それでは正確な答えが出ません。

なぜでしょうか? $A$ にも $B$ にも属する要素(つまり $A \cap B$ の要素)を2回数えてしまうからです。 $n(A) + n(B)$ では、共通部分の要素が重複してカウントされています。

💡 ここが本質:「足して、引く」── 重複を補正する

和集合の個数を正しく求めるには、重複して数えた分を引く必要があります。

$n(A) + n(B)$ の中には $A \cap B$ の要素が2回含まれています。 1回分を引けば正しい個数になります。

$$n(A \cup B) = n(A) + n(B) - n(A \cap B)$$

この「足して、重複分を引く」という発想が、この記事全体を貫く原理です。 3つ以上の集合に拡張しても、同じ原理が使われます。

📐 和集合の要素の個数(個数定理)

一般の場合:

$$n(A \cup B) = n(A) + n(B) - n(A \cap B)$$

$A \cap B = \emptyset$(互いに素)の場合:

$$n(A \cup B) = n(A) + n(B)$$

※ $A \cap B = \emptyset$ のとき、共通要素がないので重複が発生しない。単純な足し算でOK。
▷ 個数定理の導出

ベン図を使って確認しましょう。$A$ と $B$ の各部分の要素の個数を $a$, $b$, $c$ とおきます。

・$A$ のうち $B$ に属さない部分の個数:$a$

・$A \cap B$ の個数:$c$

・$B$ のうち $A$ に属さない部分の個数:$b$

このとき $n(A) = a + c$, $n(B) = b + c$, $n(A \cap B) = c$ です。

$$n(A) + n(B) - n(A \cap B) = (a + c) + (b + c) - c = a + b + c = n(A \cup B)$$

$c$(共通部分)が2回足されて1回引かれるので、最終的に1回分だけ残ります。

具体例で確認する

100人の生徒のうち、数学が得意な生徒が65人、英語が得意な生徒が53人、 数学も英語も得意でない生徒が25人でした。数学も英語も両方得意な生徒は何人でしょうか。

全体集合 $U$ を100人の生徒全体、数学が得意な生徒の集合を $A$、英語が得意な生徒の集合を $B$ とおきます。 数学も英語も得意でない生徒は $\overline{A \cup B}$($A \cup B$ の補集合)に属するので、 $n(\overline{A \cup B}) = 25$ です。

よって $n(A \cup B) = n(U) - n(\overline{A \cup B}) = 100 - 25 = 75$。 個数定理より

$$75 = 65 + 53 - n(A \cap B)$$

$n(A \cap B) = 65 + 53 - 75 = 43$。 したがって、数学も英語も両方得意な生徒は 43人 です。

⚠️ 落とし穴:「得意でない人数」を引いただけで答えにしてしまう

✕ 誤:「100 - 25 = 75 だから、数学も英語も得意な生徒は75人」

○ 正:75人は「数学または英語が得意な生徒」の人数($n(A \cup B)$)であって、 「数学かつ英語が得意な生徒」の人数($n(A \cap B)$)ではない。

「または」($\cup$)と「かつ」($\cap$)の区別は集合の基本です。 必ずベン図をかいて、どの部分を求めているか確認する習慣をつけましょう。

3補集合の要素の個数 ─ 「全体から引く」という発想

全体集合 $U$ の部分集合 $A$ に対して、$A$ に属さない要素全体の集合を $A$ の補集合 $\overline{A}$ といいます。 補集合の要素の個数は、全体から $A$ の要素の個数を引くだけで求められます。

補集合の要素の個数

$$n(\overline{A}) = n(U) - n(A)$$

$U = A \cup \overline{A}$(全体 = $A$ に属するもの + 属さないもの)かつ $A \cap \overline{A} = \emptyset$ より、 $n(U) = n(A) + n(\overline{A})$。これを変形すれば上の式が得られます。

💡 ここが本質:「直接数えにくいなら、余事象で考える」

$n(\overline{A}) = n(U) - n(A)$ の本当の威力は、「数えたいもの」を直接数えるのが大変なとき、 「数えたくないもの」を引くことで間接的に求められる点にあります。

たとえば「5でも6でも割り切れない整数の個数」を直接数えるのは面倒ですが、 「5または6で割り切れる整数の個数」を求めて全体から引けばすぐにわかります。

この「全体から引く」発想は、確率の余事象($P(\overline{A}) = 1 - P(A)$)と 全く同じ原理です。

ド・モルガンの法則と組み合わせる

補集合の公式は、ド・モルガンの法則と組み合わせると特に強力です。 ド・モルガンの法則は次の通りです。

  • $\overline{A \cup B} = \overline{A} \cap \overline{B}$(「$A$ にも $B$ にも属さない」=「$A$ に属さない」かつ「$B$ に属さない」)
  • $\overline{A \cap B} = \overline{A} \cup \overline{B}$(「$A$ と $B$ の両方には属さない」=「$A$ に属さない」または「$B$ に属さない」)

たとえば「$A$ でも $B$ でも割り切れない」個数は $n(\overline{A} \cap \overline{B})$ ですが、 これはド・モルガンの法則より $n(\overline{A \cup B}) = n(U) - n(A \cup B)$ と変形できます。 $n(A \cup B)$ は個数定理で求められるので、計算が一気に楽になります。

具体例:倍数の個数

3桁の自然数(100から999まで)のうち、5の倍数でも6の倍数でもないものの個数を求めてみましょう。

全体集合を3桁の自然数全体 $U$ とすると、$n(U) = 999 - 100 + 1 = 900$ です。 5の倍数の集合を $A$、6の倍数の集合を $B$ とします。

$n(A) = 199 - 20 + 1 = 180$($5 \times 20 = 100$ から $5 \times 199 = 995$ まで)。 $n(B) = 166 - 17 + 1 = 150$($6 \times 17 = 102$ から $6 \times 166 = 996$ まで)。 $A \cap B$ は5と6の最小公倍数30の倍数の集合なので、 $n(A \cap B) = 33 - 4 + 1 = 30$($30 \times 4 = 120$ から $30 \times 33 = 990$ まで)。

$n(A \cup B) = 180 + 150 - 30 = 300$。 求める個数は $n(\overline{A \cup B}) = n(U) - n(A \cup B) = 900 - 300 = 600$ 個です。

⚠️ 落とし穴:$n$ 以下の $k$ の倍数の個数を正しく求める

✕ 誤:「100から999までの5の倍数の個数は $999 \div 5 = 199.8$ だから199個」

○ 正:1から $n$ までの $k$ の倍数の個数は $\left\lfloor \dfrac{n}{k} \right\rfloor$ 個($\lfloor \cdot \rfloor$ は切り捨て)。 $m$ から $n$ までの $k$ の倍数の個数は、$\left\lfloor \dfrac{n}{k} \right\rfloor - \left\lfloor \dfrac{m-1}{k} \right\rfloor$ 個。

「100から999までの5の倍数」は $\lfloor 999/5 \rfloor - \lfloor 99/5 \rfloor = 199 - 19 = 180$ 個。 「$m$ から」を忘れて $n$ だけで計算するのが典型的な間違いです。

⚠️ 落とし穴:「$A$ かつ $B$」の倍数を正しく求める

✕ 誤:「5の倍数かつ6の倍数」は $5 \times 6 = 30$ の倍数

上の例ではたまたま正しいですが、これは5と6が互いに素(最大公約数が1)だからです。

○ 正:「$A$ の倍数かつ $B$ の倍数」は、$A$ と $B$ の最小公倍数の倍数です。 たとえば「4の倍数かつ6の倍数」は $4 \times 6 = 24$ の倍数ではなく、$\text{lcm}(4, 6) = 12$ の倍数です。

「かつ」→ 最小公倍数を反射的に思い出せるようにしましょう。

43つの集合の包除原理 ─ 「足して引いて、また足す」

2つの集合の個数定理 $n(A \cup B) = n(A) + n(B) - n(A \cap B)$ を、 3つの集合に拡張しましょう。考え方は同じ「重複を補正する」です。

3つの集合 $A$, $B$, $C$ について $n(A) + n(B) + n(C)$ を計算すると、 ちょうど2つの集合に共通する要素は2回、 3つの集合すべてに共通する要素は3回数えてしまいます。

そこで、2つずつの共通部分 $n(A \cap B)$, $n(B \cap C)$, $n(C \cap A)$ を引きます。 すると、2つに共通する要素の重複は解消されますが、 3つすべてに共通する要素は「3回足されて3回引かれた」ので0回になってしまいます。 最後にもう一度 $n(A \cap B \cap C)$ を足して調整します。

📐 3つの集合の包除原理

$$n(A \cup B \cup C) = n(A) + n(B) + n(C)$$

$$\quad - n(A \cap B) - n(B \cap C) - n(C \cap A)$$

$$\quad + n(A \cap B \cap C)$$

※ 「各集合を足し、2つの共通部分を引き、3つの共通部分を足す」。この「足して引いて足す」パターンが包除原理。
💡 ここが本質:包除原理は「重複カウントの補正」

包除原理の名前は「包(含める)」と「除(除く)」から来ています。 英語では inclusion-exclusion principle です。

要素がいくつの集合に属しているかによって、何回カウントされるかが変わります。 包除原理は、どの要素もちょうど1回だけカウントされるように調整する公式です。

・1つの集合だけに属する要素:1回足される → 引かれない → 1回(正しい)

・2つの集合に属する要素:2回足される → 1回引かれる → 1回(正しい)

・3つの集合に属する要素:3回足される → 3回引かれる → 1回足される → 1回(正しい)

ベン図による確認

ベン図で各部分の要素の個数を $a, b, c, d, e, f, g$ とおきます ($a$:$A$ のみ、$b$:$B$ のみ、$c$:$C$ のみ、 $d$:$A \cap B$ のみ、$e$:$B \cap C$ のみ、$f$:$C \cap A$ のみ、 $g$:$A \cap B \cap C$)。

$n(A) + n(B) + n(C) = (a+d+f+g) + (b+d+e+g) + (c+e+f+g) = a+b+c+2d+2e+2f+3g$

ここから $n(A \cap B) + n(B \cap C) + n(C \cap A) = (d+g) + (e+g) + (f+g) = d+e+f+3g$ を引き、 $n(A \cap B \cap C) = g$ を足すと

$$(a+b+c+2d+2e+2f+3g) - (d+e+f+3g) + g = a+b+c+d+e+f+g = n(A \cup B \cup C)$$

確かに公式が成り立つことが確認できます。

具体例:3教科の試験

50人の生徒が数学、英語、国語の3教科の試験を受けました。 数学の合格者30人、英語の合格者25人、国語の合格者20人、 数学と英語の両方に合格した生徒13人、英語と国語の両方に合格した生徒10人、 国語と数学の両方に合格した生徒7人、3教科すべてに合格した生徒3人のとき、 少なくとも1教科に合格した生徒は何人でしょうか。

数学、英語、国語の合格者の集合をそれぞれ $A$, $B$, $C$ とすると、 包除原理より

$$n(A \cup B \cup C) = 30 + 25 + 20 - 13 - 10 - 7 + 3 = 48 \text{ (人)}$$

したがって、少なくとも1教科に合格した生徒は 48人。 また、3教科すべてに不合格の生徒は $50 - 48 = 2$ 人です。

ベン図の各部分の個数を求める

上の問題で、ベン図の各部分の生徒数も求めてみましょう。 3つすべてに共通する部分から「外側に向かって」引き算で求めていくのがコツです。

$A \cap B$ のみ($C$ に属さない):$13 - 3 = 10$ 人。 $B \cap C$ のみ($A$ に属さない):$10 - 3 = 7$ 人。 $C \cap A$ のみ($B$ に属さない):$7 - 3 = 4$ 人。 $A$ のみ:$30 - 10 - 4 - 3 = 13$ 人。 $B$ のみ:$25 - 10 - 7 - 3 = 5$ 人。 $C$ のみ:$20 - 7 - 4 - 3 = 6$ 人。 検算:$13 + 5 + 6 + 10 + 7 + 4 + 3 = 48$。正しいことが確認できます。

🔬 深掘り:包除原理の一般化と組合せ論

包除原理は $n$ 個の集合にも拡張できます。一般に $n$ 個の集合 $A_1, A_2, \ldots, A_n$ に対して

$$n\!\left(\bigcup_{i=1}^{n} A_i\right) = \sum_{i} n(A_i) - \sum_{i < j} n(A_i \cap A_j) + \sum_{i < j < k} n(A_i \cap A_j \cap A_k) - \cdots$$

符号が $+, -, +, -, \ldots$ と交互に変わるのが特徴です。 大学の組合せ論では、この一般化された包除原理が「完全順列の個数」「オイラーの $\varphi$ 関数」 など多くの問題の解法の基礎になります。

5この章を俯瞰する

集合の要素の個数に関する公式は、すべて「重複を補正する」という1つの原理に基づいています。 ここで全体像を整理しましょう。

公式の体系

公式意味使いどころ
$n(A \cup B) = n(A) + n(B) - n(A \cap B)$2集合の和集合「AまたはB」の個数
$n(\overline{A}) = n(U) - n(A)$補集合「Aでない」の個数、余事象
3集合の包除原理3集合の和集合「A,B,Cの少なくとも1つ」の個数

つながりマップ

  • ← 3-1 集合:集合の演算($\cup$, $\cap$, $\overline{A}$)とド・モルガンの法則が、個数の計算のベースになる。
  • ← 3-2 命題と条件:命題の真偽を集合の包含関係で判定するとき、要素の個数で「反例が何個あるか」を考えることがある。
  • → 第6章 場合の数:集合の要素の個数は場合の数の基礎。和の法則は $n(A \cup B) = n(A) + n(B)$($A \cap B = \emptyset$)そのもの。
  • → 第7章 確率:確率の加法定理 $P(A \cup B) = P(A) + P(B) - P(A \cap B)$ は、個数定理を確率に翻訳したもの。余事象の確率 $P(\overline{A}) = 1 - P(A)$ も同じ構造。
  • → 数学B 統計:データ分析でクロス集計表を読むとき、ベン図と個数定理の考え方がそのまま使われる。

📋まとめ

  • 有限集合 $A$ の要素の個数を $n(A)$ で表す。$n$ は number の頭文字。$n(\emptyset) = 0$
  • 和集合の個数定理:$n(A \cup B) = n(A) + n(B) - n(A \cap B)$。「足して、重複分を引く」
  • $A \cap B = \emptyset$ のとき(互いに素)は $n(A \cup B) = n(A) + n(B)$
  • 補集合の個数:$n(\overline{A}) = n(U) - n(A)$。「直接数えにくいなら、全体から引く」
  • 3集合の包除原理:$n(A \cup B \cup C) = n(A) + n(B) + n(C) - n(A \cap B) - n(B \cap C) - n(C \cap A) + n(A \cap B \cap C)$
  • すべての公式の根底にある原理は「重複を補正する」こと。ベン図で確認する習慣を持つ

確認テスト

Q1. $A = \{1, 3, 5, 7, 9\}$, $B = \{2, 3, 5, 7\}$ のとき、$n(A \cup B)$ を求めてください。

▶ クリックして解答を表示$n(A) = 5$, $n(B) = 4$, $A \cap B = \{3, 5, 7\}$ なので $n(A \cap B) = 3$。$n(A \cup B) = 5 + 4 - 3 = 6$。実際 $A \cup B = \{1, 2, 3, 5, 7, 9\}$ で6個。

Q2. $n(U) = 50$, $n(A) = 30$ のとき、$n(\overline{A})$ はいくつですか?

▶ クリックして解答を表示$n(\overline{A}) = n(U) - n(A) = 50 - 30 = 20$

Q3. $n(A) = 40$, $n(B) = 35$, $n(A \cup B) = 60$ のとき、$n(A \cap B)$ を求めてください。

▶ クリックして解答を表示$n(A \cup B) = n(A) + n(B) - n(A \cap B)$ より $60 = 40 + 35 - n(A \cap B)$。$n(A \cap B) = 15$。

Q4. 包除原理で3集合の場合、$n(A \cap B \cap C)$ を「足す」のはなぜですか?

▶ クリックして解答を表示$n(A) + n(B) + n(C)$ で3回数えられ、$n(A \cap B) + n(B \cap C) + n(C \cap A)$ で3回引かれるため、$A \cap B \cap C$ の要素は0回のカウントになってしまう。正しく1回にするために、最後にもう一度足す。

Q5. 1から100までの整数のうち、3の倍数の個数を求めてください。

▶ クリックして解答を表示$\lfloor 100 / 3 \rfloor = 33$ 個。($3 \times 1 = 3$ から $3 \times 33 = 99$ まで)

8入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

3-3-1 A 基礎 個数定理 ベン図

40人のクラスで、犬を飼っている生徒は18人、猫を飼っている生徒は12人、犬も猫も飼っていない生徒は15人である。犬も猫も飼っている生徒は何人か。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

5人

解説

方針:全体集合、犬の集合、猫の集合を設定し、個数定理を使う。

犬を飼っている生徒の集合を $A$、猫を飼っている生徒の集合を $B$、全体集合を $U$(40人)とする。

犬も猫も飼っていない生徒は $\overline{A \cup B}$ に属するので、$n(\overline{A \cup B}) = 15$。

$n(A \cup B) = n(U) - n(\overline{A \cup B}) = 40 - 15 = 25$

個数定理より $n(A \cup B) = n(A) + n(B) - n(A \cap B)$

$25 = 18 + 12 - n(A \cap B)$

$n(A \cap B) = 30 - 25 = 5$

よって、犬も猫も飼っている生徒は 5人。

B 標準レベル

3-3-2 B 標準 包除原理 3集合

1から100までの整数のうち、2, 3, 5の少なくとも1つの倍数であるものの個数を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

74個

解説

方針:2の倍数の集合 $A$、3の倍数の集合 $B$、5の倍数の集合 $C$ として、3集合の包除原理を使う。

$n(A) = \lfloor 100/2 \rfloor = 50$、$n(B) = \lfloor 100/3 \rfloor = 33$、$n(C) = \lfloor 100/5 \rfloor = 20$

$n(A \cap B) = \lfloor 100/6 \rfloor = 16$($\text{lcm}(2,3) = 6$)

$n(B \cap C) = \lfloor 100/15 \rfloor = 6$($\text{lcm}(3,5) = 15$)

$n(C \cap A) = \lfloor 100/10 \rfloor = 10$($\text{lcm}(5,2) = 10$)

$n(A \cap B \cap C) = \lfloor 100/30 \rfloor = 3$($\text{lcm}(2,3,5) = 30$)

$$n(A \cup B \cup C) = 50 + 33 + 20 - 16 - 6 - 10 + 3 = 74$$

よって、2, 3, 5の少なくとも1つの倍数は 74個

採点ポイント
  • 各集合の個数を正しく求める(2点)
  • 2つずつの共通部分で最小公倍数を使う(3点)
  • 包除原理の式を正しく立てる(3点)
  • 計算結果が正しい(2点)
3-3-3 B 標準 最大・最小 論述

全体集合 $U$ の部分集合 $A$, $B$ について $n(U) = 100$, $n(A) = 70$, $n(B) = 45$ のとき、$n(A \cap B)$ の最大値と最小値を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

最大値 $45$、最小値 $15$

解説

方針:$n(A \cap B)$ の取りうる範囲を、個数定理と集合の性質から求める。

最大値:$A \cap B \subset B$ なので $n(A \cap B) \leq n(B) = 45$。 $B \subset A$ のとき($B$ のすべての要素が $A$ にも属するとき)等号が成り立つ。 $n(A) = 70 \geq 45 = n(B)$ なので、$B \subset A$ は可能。よって最大値は $45$。

最小値:$n(A \cup B) = n(A) + n(B) - n(A \cap B) = 115 - n(A \cap B)$。 $A \cup B \subset U$ なので $n(A \cup B) \leq n(U) = 100$。

$115 - n(A \cap B) \leq 100$ より $n(A \cap B) \geq 15$。 $n(A \cup B) = 100$(全員が $A$ か $B$ の少なくとも一方に属する)のとき等号が成り立つ。 よって最小値は $15$。

採点ポイント
  • $n(A \cap B) \leq n(B)$ から最大値を導く(3点)
  • $n(A \cup B) \leq n(U)$ から最小値を導く(3点)
  • 等号成立条件を述べる(2点)
  • 表記・論述が適切(2点)

C 発展レベル

3-3-5 C 発展 包除原理 ベン図 論述

200以上400以下の整数のうち、次のような数の個数を求めよ。

(1) 3でも4でも5でも割り切れる数

(2) 3または4または5で割り切れる数

(3) 3または4で割り切れ、かつ5でも割り切れる数

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) 3個 (2) 121個 (3) 21個

解説

方針:3の倍数の集合を $A$、4の倍数の集合を $B$、5の倍数の集合を $C$ として設定する。

200以上400以下の $k$ の倍数の個数は $\lfloor 400/k \rfloor - \lfloor 199/k \rfloor$ で求まる。

$n(A) = \lfloor 400/3 \rfloor - \lfloor 199/3 \rfloor = 133 - 66 = 67$

$n(B) = \lfloor 400/4 \rfloor - \lfloor 199/4 \rfloor = 100 - 49 = 51$

$n(C) = \lfloor 400/5 \rfloor - \lfloor 199/5 \rfloor = 80 - 39 = 41$

$n(A \cap B) = \lfloor 400/12 \rfloor - \lfloor 199/12 \rfloor = 33 - 16 = 17$($\text{lcm}(3,4) = 12$)

$n(B \cap C) = \lfloor 400/20 \rfloor - \lfloor 199/20 \rfloor = 20 - 9 = 11$($\text{lcm}(4,5) = 20$)

$n(C \cap A) = \lfloor 400/15 \rfloor - \lfloor 199/15 \rfloor = 26 - 13 = 13$($\text{lcm}(5,3) = 15$)

$n(A \cap B \cap C) = \lfloor 400/60 \rfloor - \lfloor 199/60 \rfloor = 6 - 3 = 3$($\text{lcm}(3,4,5) = 60$)

(1) $A \cap B \cap C$(3でも4でも5でも割り切れる = 60の倍数):$n(A \cap B \cap C) = 3$ 個

(2) 包除原理より:

$n(A \cup B \cup C) = 67 + 51 + 41 - 17 - 11 - 13 + 3$

$= 159 - 41 + 3 = 121$ 個。

(3) 「3または4で割り切れ、かつ5でも割り切れる」は $(A \cup B) \cap C$。

$(A \cup B) \cap C = (A \cap C) \cup (B \cap C)$(分配法則)。

$(A \cap C) \cap (B \cap C) = A \cap B \cap C$ なので、

$n((A \cup B) \cap C) = n(A \cap C) + n(B \cap C) - n(A \cap B \cap C) = 13 + 11 - 3 = 21$ 個。

採点ポイント
  • 各集合の個数を正しく求める(2点)
  • 最小公倍数を正しく求める(2点)
  • (2)で包除原理を正しく適用する(3点)
  • (3)で $(A \cup B) \cap C$ を分配法則で分解する(3点)