第2章 2次関数

2次関数の最大・最小
─ 「場合分け」の原理を理解する

2次関数の最大・最小は、入試の最頻出テーマの1つ。
「場合分け」を暗記ではなく原理から理解すれば、どんな問題にも対応できます。

1最大・最小の基本 ─ なぜ頂点が最大・最小を与えるのか

2-1で学んだ平方完成の技術を使うと、2次関数は $y = a(x - p)^2 + q$ の形に書けます。 この「標準形」が最大・最小問題の出発点です。

定義域がすべての実数のとき($x$ の範囲に制限がないとき)を考えましょう。 $a > 0$(下に凸)の場合、$(x - p)^2$ は2乗なので常に $0$ 以上です。 よって $a(x - p)^2 \geq 0$ であり、$y = a(x - p)^2 + q \geq q$。 等号は $x = p$ のときに成り立ちます。つまり、頂点 $(p, q)$ で最小値 $q$ をとります。

では最大値はどうでしょうか? $(x - p)^2$ は $x$ を $p$ から遠ざければいくらでも大きくできるので、 $y$ の値に上限はありません。したがって、$a > 0$ のとき最大値は存在しないのです。

💡 ここが本質:$(x-p)^2 \geq 0$ が最小値の根拠

2次関数の最大・最小は「2乗は常に0以上」というたった1つの事実から導かれます。

$a > 0$ のとき:$a(x-p)^2 \geq 0$ より $y \geq q$。最小値 $q$($x = p$)。最大値なし。

$a < 0$ のとき:$a(x-p)^2 \leq 0$ より $y \leq q$。最大値 $q$($x = p$)。最小値なし。

平方完成は「$(x-p)^2 \geq 0$」を利用できる形に式を整える技術です。 最大・最小問題で平方完成が不可欠なのは、この不等式が唯一の根拠だからです。

⚠️ 落とし穴:「下に凸」と「上に凸」の取り違え

✕ 誤:$y = -2(x-1)^2 + 3$ は下に凸だから最小値3

○ 正:$a = -2 < 0$ なので上に凸。よって最大値が3($x = 1$)。最小値は存在しない。

$a$ の符号で凸の向きが決まり、凸の向きで「最大値があるか・最小値があるか」が決まります。 $a > 0$ → 最小値あり、最大値なし。$a < 0$ → 最大値あり、最小値なし。 この対応を取り違えると、答えが根本的に間違います。

📐 $y = a(x-p)^2 + q$ の最大・最小(定義域:全実数)

$a > 0$(下に凸)のとき

・$x = p$ で最小値 $q$  ・最大値は存在しない

$a < 0$(上に凸)のとき

・$x = p$ で最大値 $q$  ・最小値は存在しない

※ いずれも「頂点が答え」。定義域に制限がなければ、場合分けは不要です。
🔬 深掘り:微分で最大・最小を求める方法

数学IIで学ぶ微分を使えば、最大・最小は $f'(x) = 0$ を解くことで求められます。 $f(x) = a(x-p)^2 + q$ を微分すると $f'(x) = 2a(x - p)$。 $f'(x) = 0$ とすると $x = p$、つまり頂点の $x$ 座標が出ます。

高校では2次関数の最大・最小を「平方完成 + $(x-p)^2 \geq 0$」で扱いますが、 微分は同じことをより一般的な関数に適用できる手法です。 2次関数で培った「頂点で最大・最小」という直観は、微分の理解を助けてくれます。

2定義域がある場合 ─ 「3つの候補」を比較する

ここからが最大・最小問題の本題です。 定義域($x$ の範囲)が $\alpha \leq x \leq \beta$ のように制限されると、 「頂点が答え」とは限らなくなります。

なぜでしょうか? 頂点が定義域の外にあるかもしれないからです。 頂点が使えないなら、放物線のうち定義域内にある部分だけを見て、 その中で最も大きい値・小さい値を探す必要があります。

💡 ここが本質:放物線は軸から離れるほど値が大きくなる

$a > 0$(下に凸)のとき、放物線は軸 $x = p$ を中心として左右対称に値が増大します。 軸から離れれば離れるほど、$y$ の値は大きくなる。

この1つの性質さえ覚えておけば、定義域がある場合の最大・最小はすべて説明できます。

最小値の候補:軸(頂点)が定義域内にあれば頂点。なければ、軸に最も近い端点。

最大値の候補:軸から最も遠い端点。

つまり、候補は「頂点」と「両端」の最大3点だけです。

具体例で確認する

$y = x^2 - 4x + 5$ の $0 \leq x \leq 5$ における最大値と最小値を求めてみましょう。

▷ 解法のステップ

Step 1:平方完成。

$$y = (x^2 - 4x + 4) + 1 = (x - 2)^2 + 1$$

頂点 $(2, 1)$、軸 $x = 2$。$a = 1 > 0$ なので下に凸。

Step 2:頂点が定義域 $[0, 5]$ 内にあるか確認。

$0 \leq 2 \leq 5$ → 定義域内にある。

Step 3:3つの候補を比較。

・$x = 0$(左端):$y = (0-2)^2 + 1 = 5$

・$x = 2$(頂点):$y = (2-2)^2 + 1 = 1$

・$x = 5$(右端):$y = (5-2)^2 + 1 = 10$

結論:最小値1($x = 2$)、最大値10($x = 5$)

最大値が $x = 5$(右端)で得られたのは、$x = 5$ が軸 $x = 2$ から最も遠い端点だからです。 左端 $x = 0$ は軸からの距離が $|0 - 2| = 2$、右端 $x = 5$ は $|5 - 2| = 3$。 より遠い右端のほうが $y$ の値が大きい。

⚠️ 落とし穴:頂点が区間外のとき、端点だけ比較すればよいと思い込む

たとえば $y = (x-2)^2 + 1$ を $3 \leq x \leq 5$ で考えると、頂点 $x = 2$ は区間の外です。

✕ 誤:「頂点が区間外だから、最小値は左端か右端のどちらか」→ これ自体は正しいですが、 なぜ左端が最小値になるのかの理由を理解していないと、少し変わっただけで間違えます。

○ 正:軸 $x = 2$ は区間 $[3, 5]$ の左側にある。下に凸の放物線は軸から離れるほど $y$ が増加するので、 軸に最も近い $x = 3$ が最小値。$x = 3$:$y = 2$、$x = 5$:$y = 10$。最小値2、最大値10。

最大値を求めるときの「中点ルール」

下に凸($a > 0$)の放物線で、最大値はどの端点で得られるでしょうか。 答えは軸から遠い方の端点です。

具体的に言えば、区間 $[\alpha, \beta]$ の中点 $\dfrac{\alpha + \beta}{2}$ と軸 $x = p$ を比べます。

  • $p < \dfrac{\alpha + \beta}{2}$(軸が中点より左)→ 右端 $x = \beta$ が軸から遠い → 最大値は $f(\beta)$
  • $p > \dfrac{\alpha + \beta}{2}$(軸が中点より右)→ 左端 $x = \alpha$ が軸から遠い → 最大値は $f(\alpha)$
  • $p = \dfrac{\alpha + \beta}{2}$(軸がちょうど中点)→ 両端は軸から等距離 → $f(\alpha) = f(\beta)$(両方が最大値)

この「中点ルール」は、Section 3で軸が動く場合の最大値を求めるとき重要になります。

3軸が動くとき ─ 場合分けの原理

いよいよ入試の核心、場合分けの登場です。 ここでは「2次関数にパラメータが含まれていて、軸の位置が変わる」場合を扱います。

具体例で考えましょう。$f(x) = x^2 - 2ax + 1$ を $0 \leq x \leq 2$ で考えます。 平方完成すると

$$f(x) = (x - a)^2 - a^2 + 1$$

頂点は $(a, \, -a^2 + 1)$、軸は $x = a$。 パラメータ $a$ の値によって軸の位置が変わるので、 最小値・最大値が $a$ の値によって異なる式で表されるのです。

💡 ここが本質:場合分けは「分岐点を見つける作業」

場合分けとは、パラメータの値のどこで「答えの式が切り替わるか」を見つける作業です。

軸 $x = a$ が区間 $[0, 2]$ のどこにあるかで、最小値を与える点が変わります。 「軸が区間の左外にあるか、中にあるか、右外にあるか」── この3パターンの境界を見つけるのが場合分けです。

分岐点は「軸 = 区間の端」で決まります。 $a = 0$(軸が左端と一致)と $a = 2$(軸が右端と一致)が境界です。

最小値の場合分け(3パターン)

$f(x) = (x-a)^2 - a^2 + 1$ を $0 \leq x \leq 2$ で考えるとき、最小値は:

(i) $a < 0$ のとき(軸が区間の左外)

軸 $x = a$ は区間 $[0, 2]$ より左にあるので、区間内で $f(x)$ は単調増加。 最小値は左端 $x = 0$ で:$f(0) = 0 - 0 + 1 = 1$

(ii) $0 \leq a \leq 2$ のとき(軸が区間内)

頂点が区間内にあるので、頂点で最小値:$f(a) = -a^2 + 1$

(iii) $a > 2$ のとき(軸が区間の右外)

軸は区間より右にあるので、区間内で $f(x)$ は単調減少。 最小値は右端 $x = 2$ で:$f(2) = (2-a)^2 - a^2 + 1 = 4 - 4a + a^2 - a^2 + 1 = 5 - 4a$

最大値の場合分け(3パターン)

下に凸の放物線の最大値は、軸から最も遠い端点で得られます。 区間 $[0, 2]$ の中点は $\dfrac{0+2}{2} = 1$。 軸 $x = a$ と中点 $x = 1$ の位置関係で場合分けします。

(i) $a < 1$ のとき(軸が中点より左)

軸から遠いのは右端 $x = 2$。最大値:$f(2) = 5 - 4a$

(ii) $a = 1$ のとき(軸がちょうど中点)

両端が軸から等距離。$f(0) = 1$、$f(2) = 5 - 4 = 1$。最大値:$1$(両端で同じ値)

(iii) $a > 1$ のとき(軸が中点より右)

軸から遠いのは左端 $x = 0$。最大値:$f(0) = 1$

⚠️ 落とし穴:場合分けの境界で「等号をどちらに含めるか」

最小値の場合分けで、$a = 0$ は (i) と (ii) のどちらに含めるべきでしょうか?

$a = 0$ のとき、軸 $x = 0$ は区間の左端と一致します。 (i) の式 $f(0) = 1$ と (ii) の式 $-a^2 + 1 = 1$ は一致するので、どちらに含めても正しい

場合分けの境界では、隣り合う場合の式が同じ値を与えるのが正常です。 もし異なる値になったら、場合分けの境界が間違っている可能性があります。 境界で値が一致するか確認する習慣をつけましょう。

⚠️ 落とし穴:最小値と最大値の場合分けの境界が異なる

上の例で、最小値の場合分けの境界は $a = 0$ と $a = 2$(軸と区間の端の一致)。 最大値の場合分けの境界は $a = 1$(軸と区間の中点の一致)。

✕ 誤:「最小値で3パターンだったから、最大値も同じ境界で3パターン」

○ 正:最小値と最大値では、場合分けの原理が異なる(端 vs 中点)ので、境界も異なります。 必ず最小値と最大値を独立に考えてください。

🔬 深掘り:場合分けは「区分的に定義された関数」

上で求めた最小値を $a$ の関数 $m(a)$ として書くと:

$$m(a) = \begin{cases} 1 & (a < 0) \\ -a^2 + 1 & (0 \leq a \leq 2) \\ 5 - 4a & (a > 2) \end{cases}$$

これは大学数学で区分的に定義された関数(piecewise function)と呼ばれるものです。 場合分けの各パターンが、パラメータの異なる範囲に対応する「式のパーツ」になっています。

プログラミングでは if-else 文に相当し、工学では制御理論の切り替え条件に使われます。 「場合分け」は高校数学に限らず、あらゆる分野で現れる基本的な構造です。

4おき換え ─ 新しい変数の「定義域」に注意

4次式 $y = x^4 - 4x^2 + 3$ のように、一見すると2次関数でない式でも、 $t = x^2$ とおけば $y = t^2 - 4t + 3$ となり、$t$ の2次関数に帰着できます。

このようなおき換え(置換)は強力な技法ですが、 1つ大きな落とし穴があります。

💡 ここが本質:おき換えたら、新変数の定義域を必ず求める

$t = x^2$ とおくと、$x$ が全実数のとき $t \geq 0$ です。 $t$ は負の値をとれません。この新しい変数の定義域を無視すると、 存在しない値を「最小値」と答えてしまいます。

おき換えの手順:

1. 新変数でおき換えて、式を整理する

2. 新変数の定義域(とりうる値の範囲)を求める

3. その定義域で最大・最小を求める

手順2を飛ばすのが最も多い間違いです。

具体例:$t = x^2 - 2x$ のおき換え

$y = (x^2 - 2x)^2 + 2(x^2 - 2x) - 3$ の最小値を求めましょう。

▷ 解法のステップ

Step 1:$t = x^2 - 2x$ とおくと、$y = t^2 + 2t - 3$

Step 2:$t$ の定義域を求める。$t = x^2 - 2x = (x-1)^2 - 1$。 $(x-1)^2 \geq 0$ なので $t \geq -1$。

Step 3:$y = t^2 + 2t - 3 = (t+1)^2 - 4$ を $t \geq -1$ で考える。 頂点は $t = -1$ で、$t \geq -1$ なのでこの頂点は定義域の端に含まれる。

結論:$t = -1$(すなわち $x = 1$)のとき、最小値 $-4$。

⚠️ 落とし穴:$t = (x-1)^2 - 1$ で $x$ が全実数なのに $t$ の範囲を忘れる

$t = x^2 - 2x$ とおいたとき、「$x$ が全実数だから $t$ も全実数」と思ってしまうことがあります。

✕ 誤:$t$ は全実数 → $y = (t+1)^2 - 4$ の最小値は $-4$($t = -1$)... たまたま正解ですが根拠が誤り。

○ 正:$t = (x-1)^2 - 1 \geq -1$ なので $t \geq -1$。 この範囲で $(t+1)^2 - 4$ は $t = -1$ で最小値 $-4$。

もし仮に $y = (t+1)^2 - 4$ の頂点が $t = -2$ にあったら、$t \geq -1$ の範囲ではその頂点に到達できず、 最小値は $t = -1$ での値になります。定義域を正しく求めていないと、このような場合に間違えます。

🔬 深掘り:ラグランジュの未定乗数法 ── 制約付き最適化の入口

おき換えで「新変数の定義域を求める」のは、実は制約付き最適化問題の初歩です。 大学数学では、$x^2 + y^2 = 1$ のような制約条件のもとで $f(x, y)$ の最大・最小を求める ラグランジュの未定乗数法を学びます。

高校の「おき換えで定義域に注意」は、制約条件を意識する最初の練習です。 「変数が自由に動ける範囲はどこか?」を常に考える習慣は、 大学の最適化理論や経済学の効用最大化問題にそのまま繋がります。

5俯瞰マップ ─ 最大・最小問題の全体像

ここまで、2次関数の最大・最小を複数のパターンで学んできました。 最後に、すべてのパターンを一覧にして全体像を整理しましょう。

パターン分類表

パターン問題の特徴解法のポイント
A:定義域なし$x$ の範囲に制限がない頂点が答え。場合分け不要
B:固定区間$[\alpha, \beta]$ が定数頂点と両端の最大3点を比較
C:軸が動く軸にパラメータが含まれる軸の位置で場合分け(最小:端、最大:中点)
D:区間が動く定義域にパラメータが含まれる区間と軸の関係で場合分け
E:おき換え$t = g(x)$ で2次に帰着新変数の定義域を求めてからBまたはCに帰着
F:文章題数量関係から立式が必要変数と定義域を自分で設定し、A〜Eのどれかに帰着

どのパターンも、根底にある原理は同じです: 「放物線は軸から離れるほど値が増大($a > 0$)/ 減少($a < 0$)する」。 この1つの性質に立ち返れば、場合分けの境界も、おき換えの注意点も、自然に導けます。

つながりマップ

  • ← 2-1 2次関数のグラフ:平方完成で標準形にする技術がすべての出発点。この記事の内容は2-1の直接的な応用。
  • → 2-3 2次方程式:「$f(x) = k$ を満たす $x$ が存在する条件」は、$y = f(x)$ と $y = k$ の交点の問題。最大・最小が値域を決める。
  • → 2-4 2次不等式:不等式の解の範囲は、グラフが $x$ 軸の上/下にある部分。最小値が正なら常に正、など最大・最小と直結。
  • → 第4章 三角比:$\sin\theta$, $\cos\theta$ をおき換えて2次関数の最大・最小に帰着する融合問題が頻出。パターンEの典型例。
  • → 数学II 微分・積分:3次以上の関数の最大・最小は微分で扱う。2次関数で身につけた「場合分け」の考え方はそのまま活きる。

📋まとめ

  • 定義域が全実数のとき、$y = a(x-p)^2 + q$ は頂点で最大または最小。$(x-p)^2 \geq 0$ が根拠
  • 定義域 $[\alpha, \beta]$ があるとき、候補は「頂点」と「両端」の最大3点。頂点が区間外なら端点だけで決まる
  • 軸が動くとき:最小値の境界は「軸 = 区間の端」最大値の境界は「軸 = 区間の中点」
  • 場合分けとは「分岐点を見つける作業」。暗記ではなく、放物線の性質から導く
  • おき換えでは新変数の定義域を必ず求める。忘れると答えが変わる
  • すべてのパターン(A〜F)の根底にある原理は「放物線は軸から離れるほど値が増大する」

確認テスト

Q1. $y = -3(x+1)^2 + 7$ の最大値と最小値を答えてください(定義域は全実数)。

▶ クリックして解答を表示$a = -3 < 0$ なので上に凸。$x = -1$ で最大値 $7$。最小値は存在しない。

Q2. 定義域がある場合、最大・最小の「候補」は最大何点ですか? それはどこですか?

▶ クリックして解答を表示最大3点。「頂点」と「区間の両端」。頂点が区間外なら候補は端点の2点だけになる。

Q3. $y = (x-3)^2 + 2$ の $0 \leq x \leq 2$ における最小値を求めてください。

▶ クリックして解答を表示軸 $x = 3$ は区間 $[0, 2]$ の右外。下に凸なので区間内では単調減少。軸に最も近い右端 $x = 2$ で最小値 $(2-3)^2 + 2 = 3$。

Q4. 軸が動く問題で、最小値と最大値の場合分けの「境界」が異なるのはなぜですか?

▶ クリックして解答を表示最小値の分岐点は「軸が区間の端と一致するとき」(軸が区間内にあるかどうか)。最大値の分岐点は「軸が区間の中点と一致するとき」(どちらの端が軸から遠いか)。判断基準が異なるため、境界も異なる。

Q5. $t = x^2 + 4x$ とおくとき、$x$ が全実数を動くなら $t$ の取りうる範囲は?

▶ クリックして解答を表示$t = (x+2)^2 - 4$。$(x+2)^2 \geq 0$ より $t \geq -4$。

8入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

2-2-1 A 基礎 固定区間 最大・最小

2次関数 $y = x^2 - 6x + 10$ の $1 \leq x \leq 5$ における最大値と最小値を求めよ。

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解答

最小値 $1$($x = 3$)、最大値 $5$($x = 1$)

解説

方針:平方完成して頂点を求め、頂点と両端の値を比較する。

$y = (x^2 - 6x + 9) + 1 = (x-3)^2 + 1$

頂点 $(3, 1)$、軸 $x = 3$。$a = 1 > 0$ なので下に凸。

頂点 $x = 3$ は区間 $[1, 5]$ 内にある。

3つの候補:

・$x = 1$:$y = (1-3)^2 + 1 = 5$

・$x = 3$:$y = (3-3)^2 + 1 = 1$

・$x = 5$:$y = (5-3)^2 + 1 = 5$

よって最小値 $1$($x = 3$)、最大値 $5$($x = 1$ および $x = 5$)。

※ 軸 $x = 3$ は区間 $[1, 5]$ のちょうど中点なので、両端の値が等しくなる。

B 標準レベル

2-2-2 B 標準 場合分け 論述

$f(x) = x^2 - 2ax + 3$ の $0 \leq x \leq 2$ における最小値を $m(a)$ とする。$m(a)$ を求めよ。

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解答

$$m(a) = \begin{cases} 3 & (a < 0) \\ -a^2 + 3 & (0 \leq a \leq 2) \\ -4a + 7 & (a > 2) \end{cases}$$

解説

方針:平方完成して軸を求め、軸と区間の位置関係で場合分けする。

$f(x) = (x-a)^2 - a^2 + 3$。頂点 $(a, \, -a^2+3)$、軸 $x = a$。

(i) $a < 0$ のとき:軸が区間の左外。区間内で単調増加。最小値は $f(0) = 3$。

(ii) $0 \leq a \leq 2$ のとき:軸が区間内。頂点で最小値 $f(a) = -a^2 + 3$。

(iii) $a > 2$ のとき:軸が区間の右外。区間内で単調減少。最小値は $f(2) = 4 - 4a + 3 = -4a + 7$。

⚠️ 検算:境界で値が一致するか確認。$a = 0$:(i) $3$、(ii) $-0+3 = 3$。✓ $a = 2$:(ii) $-4+3 = -1$、(iii) $-8+7 = -1$。✓

採点ポイント
  • 平方完成(2点)
  • 3つの場合分けの境界が正しい(3点)
  • 各場合の最小値を正しく求める(3点)
  • 場合分けの表記が適切(2点)
2-2-3 B 標準 おき換え 最大・最小

$y = (x^2 - 2x)^2 - 4(x^2 - 2x) + 1$ の最小値を求めよ。

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解答

最小値 $-3$($x = 1$ のとき)

解説

方針:$t = x^2 - 2x$ とおき換え、$t$ の定義域を求めてから $t$ の2次関数の最小値を求める。

Step 1:$t = x^2 - 2x$ とおくと $y = t^2 - 4t + 1$。

Step 2:$t$ の定義域を求める。$t = (x-1)^2 - 1 \geq -1$。よって $t \geq -1$。

Step 3:$y = t^2 - 4t + 1 = (t-2)^2 - 3$。頂点は $(2, -3)$。$t = 2$ は $t \geq -1$ を満たす。

$t = 2$ のとき最小値 $-3$。このとき $x^2 - 2x = 2$ より $x = 1 \pm \sqrt{3}$。

⚠️ 訂正:$t = 2$ のとき $(x-1)^2 - 1 = 2$、$(x-1)^2 = 3$、$x = 1 \pm \sqrt{3}$。 問題が「最小値」のみを聞いているので、$y$ の最小値 $-3$ が答え。

採点ポイント
  • 適切なおき換え(2点)
  • $t$ の定義域 $t \geq -1$ を正しく求める(3点)
  • $t$ の2次関数の最小値を正しく求める(3点)
  • $t = 2$ が定義域内であることを確認(2点)

C 発展レベル

2-2-4 C 発展 場合分け 最大値の最小 論述

$f(x) = x^2 - 2ax$ の $0 \leq x \leq 2$ における最大値を $M(a)$ とする。

(1) $M(a)$ を求めよ。

(2) $M(a)$ の最小値を求めよ。

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解答

(1) $M(a) = \begin{cases} 4 - 4a & (a < 1) \\ 0 & (a = 1) \\ 0 & (a > 1) \end{cases}$

まとめると:$M(a) = \begin{cases} 4 - 4a & (a \leq 1) \\ 0 & (a \geq 1) \end{cases}$

(2) $M(a)$ の最小値は $0$($a \geq 1$)

解説

方針:$f(x) = (x-a)^2 - a^2$。軸 $x = a$、下に凸。最大値は軸から遠い端点。

区間 $[0, 2]$ の中点は $1$。

(i) $a < 1$ のとき:軸が中点より左。右端 $x = 2$ が遠い。$M(a) = f(2) = 4 - 4a$。

(ii) $a = 1$ のとき:軸がちょうど中点。$f(0) = 0$、$f(2) = 4-4 = 0$。$M(a) = 0$。

(iii) $a > 1$ のとき:軸が中点より右。左端 $x = 0$ が遠い。$M(a) = f(0) = 0$。

まとめると $M(a) = \begin{cases} 4-4a & (a \leq 1) \\ 0 & (a \geq 1) \end{cases}$

(2) $M(a)$ のグラフを考える。$a \leq 1$ では $M = 4 - 4a$ は減少し、$a = 1$ で $M = 0$。 $a \geq 1$ では $M = 0$(一定)。よって $M(a)$ の最小値は $0$($a \geq 1$ のとき)。

⚠️ この問題は「最大値を最小にする $a$」を求める問題で、最適化のミニマックス問題の入門です。

採点ポイント
  • 平方完成と軸の特定(2点)
  • 最大値の場合分けの境界が中点 $a = 1$(3点)
  • 各場合の $M(a)$ を正しく求める(3点)
  • (2) $M(a)$ の最小値を正しく求める(2点)