第2章 2次関数

2次方程式・不等式とパラメータ
─ 「条件を満たす $a$ の範囲」を求める

「すべての実数 $x$ で不等式が成り立つ」「方程式が実数解をもつ」──
これらは「$x$ の条件」ではなく「パラメータ $a$ の条件」を問う問題です。
視点の転換ができれば、パラメータ問題は怖くありません。

1パラメータ問題とは ─ 「条件を満たす $a$ の範囲」を求める

2-3(2次方程式)や2-4(2次不等式)では、$x$ について解くことが目的でした。 しかし入試では、式の中に含まれる定数(パラメータ)の値の範囲を問う問題が非常に多く出題されます。

たとえば、「2次方程式 $x^2 - 2ax + 3a - 5 = 0$ が異なる2つの実数解をもつような定数 $a$ の値の範囲を求めよ」という問題を考えてみましょう。 この問題では $x$ の値そのものは聞かれていません。 $a$ がどんな範囲にあれば、方程式が「異なる2つの実数解をもつ」という条件を満たすかが問われているのです。

💡 ここが本質:パラメータ問題は「主役の交代」

通常の方程式・不等式では $x$ が主役($x$ の値を求める)。 パラメータ問題では $a$ が主役($a$ の範囲を求める)に交代します。

やるべきことは、「$x$ に関する条件」を「$a$ に関する不等式」に翻訳すること。 この翻訳の道具が、判別式最大値・最小値グラフの位置関係です。

パラメータ問題が難しく感じるのは、「$x$ について解く」という慣れた操作から「$a$ の条件を求める」という視点の転換が必要だからです。この転換さえできれば、あとは既に学んだ道具を使うだけです。

パラメータ問題の3つの代表パターン

パラメータ問題は、聞かれ方によって大きく3つに分類できます。

パターン問題の形主な道具
A:解の存在条件「方程式が実数解をもつ」「異なる2つの実数解をもつ」判別式 $D$
B:恒等的不等式「すべての $x$ で不等式が成り立つ」最大値・最小値、判別式
C:定数分離型「方程式 $f(x) = a$ が解をもつ $a$ の範囲」$y = f(x)$ の値域

これらは異なるように見えますが、実は根底にある考え方は共通しています。 それは「$x$ に関する条件を、$a$ に関する条件に言い換える」ということです。 以降のセクションで、各パターンを順に見ていきましょう。

⚠️ 落とし穴:「2次方程式」の前提を忘れる

$ax^2 + bx + c = 0$ の判別式 $D = b^2 - 4ac$ は、$a \neq 0$(2次方程式である)という前提で使う公式です。

✕ 誤:$2ax^2 - (2a-3)x + 2 = 0$ が異なる2つの実数解をもつ条件を $D > 0$ だけで求める

○ 正:まず $2a \neq 0$(つまり $a \neq 0$)を確認する。$a = 0$ のとき方程式は $3x + 2 = 0$ となり1次方程式(実数解は1つだけ)。よって $a \neq 0$ かつ $D > 0$ が正しい条件。

$x^2$ の係数にパラメータが含まれるときは、必ず「2次式であるための条件」を別途確認しましょう。

🔬 深掘り:パラメータと「条件の量化」

「すべての $x$ で成り立つ」「ある $x$ が存在して成り立つ」── これらは大学数学では量化子(quantifier)と呼ばれる概念に対応します。 $\forall x$(すべての $x$ について)、$\exists x$(ある $x$ が存在して)という記号です。

「$\forall x \, [f(x) > 0]$」は「$f(x)$ の最小値が正」と同値。 「$\exists x \, [f(x) = 0]$」は「$f(x) = 0$ が実数解をもつ」と同値。 高校数学のパラメータ問題は、量化子の扱い方を自然に学ぶ入口になっています。

2判別式を利用したパラメータの範囲

最もよく出題されるパターンが「2次方程式が実数解をもつ(もたない)条件」です。 これは判別式 $D$ を使って、$a$ の不等式に翻訳します。

📐 2次方程式 $ax^2 + bx + c = 0$ の解の存在条件($a \neq 0$)

判別式 $D = b^2 - 4ac$ とおくとき:

異なる2つの実数解をもつ $\Leftrightarrow$ $D > 0$

重解をもつ(ただ1つの実数解) $\Leftrightarrow$ $D = 0$

実数解をもつ $\Leftrightarrow$ $D \geq 0$

実数解をもたない $\Leftrightarrow$ $D < 0$

※ $D/4$ が使える場合($b$ が偶数のとき)は計算が楽になります。$b = 2b'$ のとき $D/4 = b'^2 - ac$。

具体例:判別式でパラメータの範囲を求める

$x^2 - 2ax + 3a - 5 = 0$ が異なる2つの実数解をもつような $a$ の値の範囲を求めてみましょう。

▷ 解法のステップ

Step 1:判別式を計算する。

$x^2$ の係数は $1 \neq 0$ なので、常に2次方程式。

$$D/4 = (-a)^2 - 1 \cdot (3a - 5) = a^2 - 3a + 5$$

Step 2:「異なる2つの実数解をもつ」条件は $D > 0$。

$$a^2 - 3a + 5 > 0$$

Step 3:これは $a$ についての2次不等式。

$a^2 - 3a + 5 = 0$ の判別式は $9 - 20 = -11 < 0$。

2次方程式が実数解をもたないので、$a^2 - 3a + 5$ は常に正。

結論:すべての実数 $a$ に対して $D > 0$。よって、$a$ はすべての実数

この例では「$a$ の不等式を解く」ことがゴールでした。 判別式の計算で出てくる式がパラメータの2次式になることが多く、 結局パラメータについての2次不等式を解くという作業に帰着します。

💡 ここが本質:判別式は「$x$ の条件」を「$a$ の条件」に変換する装置

「方程式 $f(x) = 0$ が実数解をもつ」は $x$ に関する条件です。 判別式 $D \geq 0$ と書き換えた瞬間、$D$ は係数(つまり $a$)だけで書かれた式になります。

これが「$x$ の条件 → $a$ の条件」への翻訳です。 判別式を計算すること自体は機械的な作業ですが、なぜ判別式を使うのか(=「$x$ が存在するかどうか」を係数の条件に言い換えるため)を理解しておくことが大切です。

⚠️ 落とし穴:「実数解をもつ」と「異なる2つの実数解をもつ」の区別

✕ 誤:「実数解をもつ」条件を $D > 0$ で求める

○ 正:「実数解をもつ」は $D \geq 0$(重解も含む)。「異なる2つの実数解をもつ」が $D > 0$。

不等号に等号が含まれるかどうかで答えが変わります。 問題文の「もつ」「もたない」「異なる」といった表現を正確に読み取りましょう。

$x^2$ の係数にパラメータがある場合

$2ax^2 - (2a-3)x + 2 = 0$ が異なる2つの実数解をもつような $a$ の範囲を考えましょう。 $x^2$ の係数が $2a$ なので、$a = 0$ のときは2次方程式になりません。

$a = 0$ のとき:方程式は $3x + 2 = 0$、すなわち $x = -\dfrac{2}{3}$(1つの解)。条件を満たさない。

$a \neq 0$ のとき:2次方程式なので判別式を使えます。

$$D = (2a-3)^2 - 4 \cdot 2a \cdot 2 = 4a^2 - 12a + 9 - 16a = 4a^2 - 28a + 9$$

$D > 0$ を解くと、$4a^2 - 28a + 9 > 0$ より $(2a - 1)(2a - 9) > 0$。 よって $a < \dfrac{1}{2}$ または $a > \dfrac{9}{2}$。 $a \neq 0$ と合わせて、答えは $a < 0,\ 0 < a < \dfrac{1}{2},\ \dfrac{9}{2} < a$ です。

⚠️ 落とし穴:$a \neq 0$ の確認を忘れて $a = 0$ を含めてしまう

上の例で、$D > 0$ だけを解くと $a < \dfrac{1}{2}$ または $a > \dfrac{9}{2}$ となり、$a = 0$ が含まれます。

✕ 誤:$a < \dfrac{1}{2}$ または $a > \dfrac{9}{2}$

○ 正:$a < 0,\ 0 < a < \dfrac{1}{2},\ \dfrac{9}{2} < a$($a = 0$ を除く)

$x^2$ の係数にパラメータがあるときは、「2次式であるかどうか」の場合分けが最優先です。

3「すべての $x$ で成り立つ」条件 ─ 最大・最小との融合

「すべての実数 $x$ に対して $x^2 + ax + a + 3 > 0$ が成り立つような $a$ の範囲を求めよ。」 このタイプの問題は、判別式だけでなく最大値・最小値の考え方と深く結びつきます。

💡 ここが本質:「すべての $x$ で $f(x) > 0$」は「$f(x)$ の最小値 $> 0$」

「すべての実数 $x$ で $f(x) > 0$」を別の言葉で言えば、$f(x)$ がどんな $x$ でも正ということ。

$f(x)$ が最も小さくなるところですら正ならば、それ以外のすべての $x$ でも当然正です。 つまり「すべての $x$ で $f(x) > 0$」$\Leftrightarrow$「$f(x)$ の最小値 $> 0$」。

同様に、「すべての $x$ で $f(x) < 0$」$\Leftrightarrow$「$f(x)$ の最大値 $< 0$」です。

この言い換えが、パラメータ問題と最大・最小問題をつなぐ橋です。

$f(x)$ が2次関数の場合

$f(x) = x^2 + ax + a + 3$ を考えます。$x^2$ の係数が $1 > 0$(下に凸)なので、$f(x)$ は最小値をもちます。 「すべての $x$ で $f(x) > 0$」は「$f(x)$ の最小値 $> 0$」と同じです。

下に凸の放物線 $y = f(x)$ が常に $x$ 軸より上にあるための条件は、 $x$ 軸と共有点をもたないことです。 これは判別式 $D < 0$ と等価です。

$$D = a^2 - 4(a + 3) = a^2 - 4a - 12 = (a-6)(a+2)$$

$D < 0$ より $(a-6)(a+2) < 0$。よって $-2 < a < 6$。

ここで確認しておきましょう。なぜ $D < 0$ が「常に正」の条件なのでしょうか。

  • $D < 0$:$x$ 軸との交点がない → 放物線は $x$ 軸の上または下にある
  • $x^2$ の係数 $> 0$(下に凸)なので、$x$ 軸と交わらないなら $x$ 軸の上
  • よって $f(x) > 0$ がすべての $x$ で成り立つ
⚠️ 落とし穴:「$\geq 0$」と「$> 0$」で判別式の条件が変わる

「すべての $x$ で $f(x) > 0$」と「すべての $x$ で $f(x) \geq 0$」は微妙に異なります。

$f(x) > 0$(厳密に正)→ $x$ 軸と接してもダメ → $D < 0$

$f(x) \geq 0$(0でもよい)→ $x$ 軸と接するのはOK → $D \leq 0$

✕ 誤:「すべてで $f(x) \geq 0$」を $D < 0$ とする(接する場合を排除してしまう)

○ 正:「$\geq$」なら $D \leq 0$、「$>$」なら $D < 0$

$x^2$ の係数にパラメータがある場合

「すべての実数 $x$ に対して $ax^2 - (2a-3)x + a + 2 \geq 0$ が成り立つ」条件を考えます。 $x^2$ の係数が $a$ なので、$a$ の値によって式の性質が大きく変わります。

$a = 0$ のとき:$3x + 2 \geq 0$。$x = -1$ を代入すると $-1 \geq 0$ で偽。不適。

$a \neq 0$ のとき:「下に凸」かつ「$x$ 軸と交わらないか接する」が必要。 つまり $a > 0$ かつ $D \leq 0$。

$$D = (2a-3)^2 - 4a(a+2) = 4a^2 - 12a + 9 - 4a^2 - 8a = -20a + 9$$

$D \leq 0$ より $-20a + 9 \leq 0$、つまり $a \geq \dfrac{9}{20}$。 $a > 0$ の条件も合わせると、答えは $a \geq \dfrac{9}{20}$。

区間が限定されている場合 ─ 最大・最小との融合

「$0 \leq x \leq 3$ のすべての $x$ に対して $x^2 - 2ax + a + 2 > 0$ が成り立つ」条件を考えましょう。 定義域が限定されているので、単純に $D < 0$ とはいきません。

$f(x) = x^2 - 2ax + a + 2$ とおくと、「$0 \leq x \leq 3$ で常に $f(x) > 0$」は 「$0 \leq x \leq 3$ における $f(x)$ の最小値 $> 0$」と同値です。

$f(x) = (x - a)^2 - a^2 + a + 2$ で頂点は $(a, -a^2 + a + 2)$。 2-2で学んだ「場合分け」を使って、$0 \leq x \leq 3$ における最小値を求め、 それが正になる $a$ の条件を求めます。 このように、パラメータ問題と最大・最小の場合分けは融合するのです。

🔬 深掘り:線形計画法 ── 制約条件つきの最適化

「ある区間のすべての $x$ で不等式が成り立つ」は、制約条件つきの最適化問題と同じ構造をもっています。 大学の線形計画法(Linear Programming)では、複数の不等式が同時に成り立つ条件のもとで、 目的関数を最適化する問題を体系的に扱います。

高校数学の「すべての $x$ で成り立つ条件」は、制約条件の最も基本的な形です。 経済学では利潤最大化、工学では資源配分の最適化に直結する考え方です。

4定数分離法 ─ パラメータを分離して見通しよく

パラメータ問題の強力な解法が定数分離法です。 方程式に含まれるパラメータを片辺に分離し、グラフの共有点問題に帰着させます。

💡 ここが本質:$f(x) = a$ の形にすれば、$y = f(x)$ と $y = a$ の交点問題になる

方程式 $g(x, a) = 0$ を $f(x) = a$ の形に変形することを定数分離といいます。

この形にすると、「方程式が実数解をもつ」は「$y = f(x)$ のグラフと水平線 $y = a$ が交わる」ことと同値になります。

グラフをかけば、$a$ がどの範囲にあるとき交点が存在するかが視覚的にわかります。 特に、$y = f(x)$ の値域が $a$ の取りうる範囲を直接教えてくれるのです。

具体例:定数分離法で解く

「$x^2 - 2x + 2a - 3 = 0$ が実数解をもつような定数 $a$ の値の範囲を求めよ。」

▷ 定数分離法による解法

Step 1:$a$ を分離する。$x^2 - 2x - 3 = -2a$ より

$$a = -\frac{x^2 - 2x - 3}{2} = -\frac{(x-1)^2 - 4}{2} = \frac{-(x-1)^2 + 4}{2}$$

Step 2:$f(x) = \dfrac{-(x-1)^2 + 4}{2}$ の値域を求める。

$(x-1)^2 \geq 0$ より $-(x-1)^2 \leq 0$。よって $-(x-1)^2 + 4 \leq 4$。

$f(x) = \dfrac{-(x-1)^2 + 4}{2} \leq 2$。等号は $x = 1$ のとき。

また $(x-1)^2$ はいくらでも大きくなれるので、$f(x)$ に下限はない。

Step 3:$y = f(x)$ と $y = a$ が交わる条件は $a \leq 2$。

結論:$a \leq 2$

判別式で解くこともできます。$D/4 = 1 - (2a - 3) = 4 - 2a \geq 0$ より $a \leq 2$。同じ答えです。 しかし、定数分離法には判別式にない強みがあります。

定数分離法が威力を発揮する場面

定数分離法が特に強力なのは、次の場合です。

  • 解の個数を聞かれている場合 ── グラフの交点を数えれば一目でわかる
  • 区間内に解をもつ条件が聞かれている場合 ── $y = f(x)$ の区間での値域を見る
  • 絶対値・場合分けがある式の場合 ── グラフを描いて視覚的に処理できる

たとえば、「$|x^2 - 2x - 3| = 2x + a$ の実数解の個数を $a$ の値で場合分けせよ」 という問題では、判別式だけで解くのは大変です。 定数分離で $|x^2 - 2x - 3| - 2x = a$ として $y = |x^2 - 2x - 3| - 2x$ のグラフと $y = a$ の交点の個数を調べると、見通しよく解けます。

⚠️ 落とし穴:分離するときに「$x$ で割る」と解が漏れる

$x^2 + ax - 2a = 0$ を定数分離したいとき、$a(x - 2) = -x^2$ として $a = \dfrac{-x^2}{x - 2}$ とするのは正しいですが……

✕ 誤:$x - 2$ で割ったまま $x = 2$ の場合を忘れる

○ 正:$x = 2$ のとき、もとの式に代入すると $4 + 2a - 2a = 4 \neq 0$。よって $x = 2$ は解でないことを確認。

パラメータを含む項が $x$ の式で括れるとき、括った式が $0$ になる $x$ の値を必ずチェックしましょう。

定数分離法と判別式の使い分け

場面判別式定数分離法
解の存在条件(シンプルな式)◎ 機械的に計算可
解の個数の場合分け△ 場合が多いと大変◎ グラフで一目瞭然
区間内の解の条件△ 追加条件が必要◎ 値域を見るだけ
絶対値を含む方程式✕ 使いにくい◎ グラフが有効
パラメータが分離しにくい式✕ 変形できない

判別式と定数分離法は対立するものではなく、問題に応じて使い分ける道具です。 両方の方法で解けるときは、一方で求めた答えをもう一方で検算するのも有効です。

5この章を俯瞰する

ここまで、パラメータ問題の3つのパターンと解法を学びました。 最後に、2次関数の章全体の中でこの記事がどこに位置するかを俯瞰しましょう。

パラメータ問題の体系

パターン問題の形解法の核心
A:解の存在方程式が実数解をもつ判別式 $D \geq 0$ で $a$ の不等式に変換
B:恒等的不等式すべての $x$ で $f(x) > 0$最小値 $> 0$ に言い換え($D < 0$ と同値)
B':区間限定区間のすべての $x$ で $f(x) > 0$区間での最小値 $> 0$(場合分けと融合)
C:定数分離$f(x) = a$ が解をもつ$y = f(x)$ の値域が $a$ の範囲

つながりマップ

  • ← 2-3 2次方程式:判別式 $D$ の意味と使い方がこの記事の基礎。判別式を「$x$ の条件 → $a$ の条件」の変換装置として再利用する。
  • ← 2-4 2次不等式:2次不等式の解法が、パラメータの不等式を解く道具になる。「$a$ の2次不等式」は2-4の応用そのもの。
  • ← 2-2 最大・最小:「すべての $x$ で成り立つ」は最小値・最大値の問題に帰着する。場合分けの技術がそのまま活きる。
  • → 数学II 微分:3次以上の方程式のパラメータ問題では、定数分離法が特に有効。微分でグラフの概形を描き、$y = a$ との交点を調べる。
  • → 数学II 三角関数:$\sin\theta$, $\cos\theta$ を含むパラメータ問題でも、定数分離や「すべての $\theta$ で成り立つ」条件が頻出。

📋まとめ

  • パラメータ問題は「$x$ の条件を $a$ の条件に翻訳する」問題。主役が $x$ から $a$ に交代する
  • 「方程式が実数解をもつ」→ 判別式 $D \geq 0$ で $a$ の不等式に変換。$x^2$ の係数がパラメータなら「2次式であるか」を先に確認
  • 「すべての $x$ で $f(x) > 0$」→ $f(x)$ の最小値 $> 0$ と言い換える。下に凸かつ $D < 0$ が条件
  • 区間が限定されている場合は、区間内の最小値・最大値を場合分けで求め、それが条件を満たすようにする
  • 定数分離法は $f(x) = a$ の形にしてグラフの交点問題に帰着させる。値域が $a$ の範囲を教えてくれる
  • 判別式と定数分離法は問題に応じて使い分ける。両方で解けるときはクロスチェックが有効

確認テスト

Q1. 「2次方程式が実数解をもつ」ための判別式の条件は $D > 0$ ですか、$D \geq 0$ ですか?

▶ クリックして解答を表示$D \geq 0$。「実数解をもつ」は重解を含むので等号がつく。$D > 0$ は「異なる2つの実数解をもつ」の条件。

Q2. 「すべての実数 $x$ に対して $f(x) > 0$ が成り立つ」は、$f(x)$ のどのような条件に言い換えられますか?

▶ クリックして解答を表示「$f(x)$ の最小値が正」。$f(x)$ が最も小さくなるところですら正ならば、すべての $x$ で正。2次関数(下に凸)の場合、$D < 0$ と同値。

Q3. $x^2 + ax + a + 3 > 0$ がすべての実数 $x$ で成り立つ $a$ の範囲を求めてください。

▶ クリックして解答を表示$D = a^2 - 4(a+3) = a^2 - 4a - 12 = (a-6)(a+2) < 0$ より $-2 < a < 6$。$x^2$ の係数は $1 > 0$(常に下に凸)なので、$D < 0$ だけでよい。

Q4. 定数分離法とはどのような方法ですか? 1文で説明してください。

▶ クリックして解答を表示方程式をパラメータ $a$ だけの辺と $x$ だけの辺に分けて $f(x) = a$ の形にし、$y = f(x)$ のグラフと水平線 $y = a$ の交点問題に帰着させる方法。

Q5. $ax^2 + bx + c = 0$ の判別式を使うとき、最初に確認すべき条件は何ですか?

▶ クリックして解答を表示$a \neq 0$(2次方程式であること)。$a = 0$ のとき1次方程式になり、判別式は使えない。$x^2$ の係数にパラメータがある場合は特に注意。

8入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

2-11-1 A 基礎 判別式 解の存在条件

2次方程式 $x^2 - ax + 3a - 5 = 0$ が異なる2つの実数解をもつような定数 $a$ の値の範囲を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

$a < 2,\ 10 < a$

解説

方針:$x^2$ の係数は $1 \neq 0$ なので常に2次方程式。判別式 $D > 0$ を解く。

$D = (-a)^2 - 4 \cdot 1 \cdot (3a - 5) = a^2 - 12a + 20$

$D > 0$ より $a^2 - 12a + 20 > 0$

$(a - 2)(a - 10) > 0$

よって $a < 2$ または $10 < a$。

B 標準レベル

2-11-2 B 標準 恒等的不等式 論述

すべての実数 $x$ に対して、不等式 $ax^2 - (a+3)x + a > 0$ が成り立つような定数 $a$ の値の範囲を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

$a > 3$

解説

方針:$x^2$ の係数がパラメータ $a$ なので、$a = 0$ と $a \neq 0$ で場合分けする。

$a = 0$ のとき:不等式は $-3x > 0$、つまり $x < 0$ でのみ成立。すべての $x$ では成り立たない。不適。

$a \neq 0$ のとき:すべての $x$ で正であるためには、下に凸かつ $x$ 軸と共有点なしが必要。

条件1:$a > 0$(下に凸)

条件2:$D = (a+3)^2 - 4 \cdot a \cdot a = a^2 + 6a + 9 - 4a^2 = -3a^2 + 6a + 9$

$D < 0$ より $-3a^2 + 6a + 9 < 0$。両辺を $-3$ で割って $a^2 - 2a - 3 > 0$。

$(a - 3)(a + 1) > 0$ より $a < -1$ または $a > 3$。

条件1($a > 0$)と合わせて $a > 3$。

採点ポイント
  • $a = 0$ の場合を先に確認(2点)
  • 「$a > 0$ かつ $D < 0$」の2条件を立てる(3点)
  • 判別式を正しく計算し、$a$ の不等式を解く(3点)
  • 2条件の共通範囲を正しく求める(2点)
2-11-3 B 標準 定数分離 解の個数

方程式 $x^2 - 4x + 3 = a$ の実数解の個数を、定数 $a$ の値によって場合分けして求めよ。

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解答

$a < -1$ のとき $0$ 個、$a = -1$ のとき $1$ 個、$a > -1$ のとき $2$ 個

解説

方針:$f(x) = x^2 - 4x + 3 = (x-2)^2 - 1$ のグラフと、水平線 $y = a$ の交点の個数を調べる。

$y = f(x)$ は頂点 $(2, -1)$、下に凸の放物線。

水平線 $y = a$ との交点の個数は:

・$a < -1$:頂点より下 → 交点なし → 実数解 $0$ 個

・$a = -1$:頂点と接する → 交点 $1$ 個 → 実数解 $1$ 個(重解 $x = 2$)

・$a > -1$:放物線と2点で交わる → 実数解 $2$ 個

これは判別式 $D = 16 - 4(3-a) = 4(a+1)$ の符号と一致する。$D > 0 \Leftrightarrow a > -1$、$D = 0 \Leftrightarrow a = -1$、$D < 0 \Leftrightarrow a < -1$。

採点ポイント
  • 定数分離の発想($y = f(x)$ と $y = a$ の交点)(3点)
  • $f(x)$ の最小値(頂点)を正しく求める(2点)
  • 3つの場合を正しく分類(3点)
  • 判別式との整合性を確認(2点)

C 発展レベル

2-11-4 C 発展 恒等的不等式 場合分け 論述

$a$ を定数とし、$f(x) = x^2 - 2ax + a + 2$ とする。

(1) すべての実数 $x$ に対して $f(x) > 0$ が成り立つような $a$ の値の範囲を求めよ。

(2) $0 \leq x \leq 3$ のすべての $x$ に対して $f(x) > 0$ が成り立つような $a$ の値の範囲を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $-1 < a < 2$

(2) $-2 < a < 2$

解説

(1) の方針:下に凸($x^2$ の係数 $= 1 > 0$)なので、$D < 0$ が条件。

$f(x) = x^2 - 2ax + a + 2$ の判別式:

$D/4 = a^2 - (a + 2) = a^2 - a - 2 = (a-2)(a+1)$

$D < 0$ より $(a-2)(a+1) < 0$。よって $-1 < a < 2$

(2) の方針:区間が限定されているので、$[0, 3]$ における $f(x)$ の最小値 $> 0$ が条件。

$f(x) = (x - a)^2 - a^2 + a + 2$。軸 $x = a$、下に凸。

(i) $a < 0$ のとき:軸が区間の左外。区間内で単調増加なので、最小値は左端。

$f(0) = 0 - 0 + a + 2 = a + 2$。$a + 2 > 0$ より $a > -2$。

$a < 0$ と合わせて $-2 < a < 0$。

(ii) $0 \leq a \leq 3$ のとき:軸が区間内。最小値は頂点。

$f(a) = -a^2 + a + 2$。$-a^2 + a + 2 > 0$ より $a^2 - a - 2 < 0$、$(a-2)(a+1) < 0$。

$-1 < a < 2$。$0 \leq a \leq 3$ と合わせて $0 \leq a < 2$。

(iii) $a > 3$ のとき:軸が区間の右外。区間内で単調減少なので、最小値は右端。

$f(3) = 9 - 6a + a + 2 = 11 - 5a$。$11 - 5a > 0$ より $a < \dfrac{11}{5}$。

$a > 3$ かつ $a < \dfrac{11}{5}$ は共通範囲なし。

(i)(ii)(iii) を合わせて $-2 < a < 2$

検算:$a = -2$ のとき $f(0) = 0$($> 0$ でないので境界で不適 ✓)。$a = 2$ のとき $f(2) = 4 - 4 + 4 = 4 > 0$ だが、$f(a) = f(2) = -4 + 2 + 2 = 0$($> 0$ でないので不適 ✓)。

⚠️ (1) の $-1 < a < 2$ と比較すると、(2) の方が広い($-2 < a < 2$)。区間が限定されているので条件が緩くなるのは自然です。

採点ポイント
  • (1) 判別式の計算と $D < 0$ の立式(3点)
  • (2) 軸と区間の位置関係で3つに場合分け(3点)
  • 各場合の最小値を正しく求め、$> 0$ の条件を解く(3点)
  • 各場合の共通範囲を正しく求めて統合する(3点)