第1章 数と式

二重根号と式の値
─ 根号の奥にある構造を見抜く

$\sqrt{5 + 2\sqrt{6}}$ のように、根号の中にさらに根号がある式を「二重根号」と呼びます。
外し方の公式を丸暗記するのではなく、なぜその変形ができるのかを理解しましょう。
さらに、整数部分・小数部分の考え方や、対称式を使った式の値の計算まで一気に扱います。

1二重根号とは何か ─ $\sqrt{\phantom{x}}$ の中に $\sqrt{\phantom{x}}$ がある式

$\sqrt{3}$ や $\sqrt{7}$ のように、根号が1つだけの式には慣れていると思います。 では、$\sqrt{5 + 2\sqrt{6}}$ はどうでしょうか。 根号の中にさらに根号が入っています。このような式を二重根号と呼びます。

一見すると複雑そうですが、実はこの式は $\sqrt{2} + \sqrt{3}$ という単純な形に等しいのです。 なぜそうなるのか、確かめてみましょう。$(\sqrt{2} + \sqrt{3})^2$ を計算すると

$$(\sqrt{2} + \sqrt{3})^2 = 2 + 2\sqrt{6} + 3 = 5 + 2\sqrt{6}$$

$\sqrt{2} + \sqrt{3} > 0$ なので、両辺の正の平方根をとれば

$$\sqrt{5 + 2\sqrt{6}} = \sqrt{2} + \sqrt{3}$$

このように、二重根号を外すとは「2乗して中身になる式」を見つけることです。

💡 ここが本質:二重根号は「展開の逆」

$(\sqrt{a} + \sqrt{b})^2 = a + b + 2\sqrt{ab}$ を展開と見れば、二重根号を外すのはその逆操作です。

$\sqrt{a + b + 2\sqrt{ab}}$ を見て「$a + b + 2\sqrt{ab} = (\sqrt{a} + \sqrt{b})^2$ だ」と気づけるかどうか。 つまり、二重根号の処理は因数分解と同じ発想──展開の逆再生──なのです。

なぜ二重根号を外す必要があるのでしょうか。 $\sqrt{5 + 2\sqrt{6}}$ のままでは、値の大きさも把握しにくく、他の式と足し引きもできません。 $\sqrt{2} + \sqrt{3}$ の形にすれば、近似値の計算も容易ですし、分母の有理化にも活用できます。

⚠️ 落とし穴:$\sqrt{a^2} = a$ と思い込む

✕ 誤:$\sqrt{(-3)^2} = -3$

○ 正:$\sqrt{(-3)^2} = \sqrt{9} = 3 = |-3|$

$\sqrt{a^2} = |a|$ です。$a \geq 0$ のときは $\sqrt{a^2} = a$ ですが、$a < 0$ のときは $\sqrt{a^2} = -a$ です。 二重根号を外すとき、中身の正負の確認を怠ると符号を間違えます。

2二重根号の外し方 ─ $\sqrt{a \pm 2\sqrt{b}}$ の公式

Section 1で見たように、二重根号を外すには「2乗して中身になる式」を見つけます。 ここでは、その手順を一般的な公式として整理しましょう。

📐 二重根号を外す公式

$a > b > 0$ のとき

$$\sqrt{a + b + 2\sqrt{ab}} = \sqrt{a} + \sqrt{b}$$

$$\sqrt{a + b - 2\sqrt{ab}} = \sqrt{a} - \sqrt{b}$$

※ 実用的には「$\sqrt{A + 2\sqrt{B}}$ の形にして、和が $A$、積が $B$ となる2数を探す」と覚える。
▷ 公式の導出

$a > b > 0$ のとき、$\sqrt{a} > \sqrt{b} > 0$ です。

$(\sqrt{a} + \sqrt{b})^2 = a + 2\sqrt{ab} + b = (a + b) + 2\sqrt{ab}$

$\sqrt{a} + \sqrt{b} > 0$ なので、両辺の正の平方根をとると

$$\sqrt{(a+b) + 2\sqrt{ab}} = \sqrt{a} + \sqrt{b}$$

同様に $(\sqrt{a} - \sqrt{b})^2 = (a + b) - 2\sqrt{ab}$

$\sqrt{a} - \sqrt{b} > 0$($a > b$ より)なので

$$\sqrt{(a+b) - 2\sqrt{ab}} = \sqrt{a} - \sqrt{b}$$

実際の計算手順

公式を覚えるだけでは使いこなせません。実際の問題では、次の手順で変形します。

手順:$\sqrt{A \pm 2\sqrt{B}}$ の形にする。そして「足して $A$、かけて $B$」になる2数 $p, q$ を見つける。

例1:$\sqrt{5 + 2\sqrt{6}}$ を簡単にする。

$A = 5$, $B = 6$ です。足して $5$、かけて $6$ になる2数は $2$ と $3$。 よって

$$\sqrt{5 + 2\sqrt{6}} = \sqrt{2} + \sqrt{3}$$

例2:$\sqrt{7 - 4\sqrt{3}}$ を簡単にする。

まず $2\sqrt{B}$ の形にします。$4\sqrt{3} = 2 \cdot 2\sqrt{3} = 2\sqrt{12}$。 よって $\sqrt{7 - 2\sqrt{12}}$。$A = 7$, $B = 12$。 足して $7$、かけて $12$ になる2数は $3$ と $4$。

$$\sqrt{7 - 2\sqrt{12}} = \sqrt{4} - \sqrt{3} = 2 - \sqrt{3}$$
💡 ここが本質:$2\sqrt{B}$ の形に合わせるのがコツ

$\sqrt{7 - 4\sqrt{3}}$ のように、根号の前の係数が $2$ でないとき、まず $2\sqrt{B}$ の形に変形します。

$4\sqrt{3} = 2\sqrt{12}$(つまり $4\sqrt{3} = 2 \cdot 2\sqrt{3} = 2\sqrt{4 \cdot 3} = 2\sqrt{12}$)

この「$2\sqrt{B}$ に合わせる」一手間を忘れると、公式が使えません。 根号の前の係数を $2$ に揃えてから、和と積の2数を探す。これが定石です。

$2\sqrt{B}$ の形にできない場合

$\sqrt{3 + \sqrt{5}}$ のように、根号の前に係数がなく $2\sqrt{B}$ の形に直せないこともあります。 この場合は、式全体を $2$ 倍してから $\frac{1}{\sqrt{2}}$ を掛ける工夫をします。

$$\sqrt{3 + \sqrt{5}} = \sqrt{\frac{6 + 2\sqrt{5}}{2}} = \frac{\sqrt{6 + 2\sqrt{5}}}{\sqrt{2}} = \frac{\sqrt{5} + 1}{\sqrt{2}} = \frac{\sqrt{10} + \sqrt{2}}{2}$$
⚠️ 落とし穴:引き算のとき、大小関係を間違える

$\sqrt{a + b - 2\sqrt{ab}} = \sqrt{a} - \sqrt{b}$ は $a > b > 0$(つまり $\sqrt{a} > \sqrt{b}$)のときに成り立ちます。

✕ 誤:$\sqrt{7 - 2\sqrt{12}} = \sqrt{3} - \sqrt{4} = \sqrt{3} - 2$

○ 正:$\sqrt{7 - 2\sqrt{12}} = \sqrt{4} - \sqrt{3} = 2 - \sqrt{3}$

$\sqrt{4} > \sqrt{3}$ なので、大きい方から小さい方を引きます。 結果が負になったら、大小関係の確認を忘れている証拠です。 平方根の値は必ず $0$ 以上であることを思い出しましょう。

🔬 深掘り:二重根号と「共役」の考え方

$\sqrt{a} + \sqrt{b}$ と $\sqrt{a} - \sqrt{b}$ は互いに共役な無理数です。 この2つの積は $(\sqrt{a} + \sqrt{b})(\sqrt{a} - \sqrt{b}) = a - b$ と有理数になります。

大学数学では、$\mathbb{Q}(\sqrt{2}, \sqrt{3})$ のような体の拡大を学びます。 二重根号を外す操作は、拡大体の元をより単純な生成元で表す作業と見なせます。 高校で行っている計算は、実は代数学の重要な概念への入口なのです。

3整数部分と小数部分 ─ $\sqrt{\phantom{x}}$ を含む数の分解

$3.14$ の整数部分は $3$、小数部分は $0.14$ です。では $\sqrt{5}$ の整数部分と小数部分は何でしょうか。 $\sqrt{5} = 2.236\ldots$ なので、整数部分は $2$ で、小数部分は $0.236\ldots$ ですが、 $0.236\ldots$ では正確な値がわかりません。

そこで、小数部分を「元の数 $-$ 整数部分」で表します。 $\sqrt{5}$ の小数部分は $\sqrt{5} - 2$ です。これなら正確な値です。

📐 整数部分と小数部分

実数 $x$ の整数部分を $n$、小数部分を $\alpha$ とすると

$$n \leq x < n + 1 \quad (n \text{ は整数}), \qquad \alpha = x - n \quad (0 \leq \alpha < 1)$$

※ 小数部分 $\alpha$ は常に $0$ 以上 $1$ 未満。$\alpha = x - (\text{整数部分})$ で求める。
💡 ここが本質:$\sqrt{\phantom{x}}$ を含む数の整数部分は「2乗して挟む」

$\sqrt{5}$ の整数部分を求めるには、$\sqrt{5}$ を連続する2つの整数で挟みます。

$4 < 5 < 9$ より $\sqrt{4} < \sqrt{5} < \sqrt{9}$、つまり $2 < \sqrt{5} < 3$。整数部分は $2$。

ポイントは、$\sqrt{\phantom{x}}$ の中身を完全平方数($1, 4, 9, 16, 25, \ldots$)で挟むことです。 これが「2乗して挟む」の意味です。

分母に根号がある場合

$\dfrac{1}{\sqrt{5} - 2}$ の整数部分と小数部分を求めてみましょう。

まず分母を有理化します。

$$\frac{1}{\sqrt{5} - 2} = \frac{\sqrt{5} + 2}{(\sqrt{5} - 2)(\sqrt{5} + 2)} = \frac{\sqrt{5} + 2}{5 - 4} = \sqrt{5} + 2$$

$2 < \sqrt{5} < 3$ より $4 < \sqrt{5} + 2 < 5$。よって整数部分は $4$、小数部分は $(\sqrt{5} + 2) - 4 = \sqrt{5} - 2$。

面白いことに、元の式 $\dfrac{1}{\sqrt{5} - 2}$ の小数部分が $\sqrt{5} - 2$ で、分母と同じ形になっています。 これは偶然ではなく、有理化が「逆数を取る」操作であることに由来します。

⚠️ 落とし穴:小数部分を小数で表してしまう

✕ 誤:$\sqrt{5}$ の小数部分は $0.236\ldots$

○ 正:$\sqrt{5}$ の小数部分は $\sqrt{5} - 2$

小数部分は「元の数 $-$ 整数部分」で正確に表します。 近似値の小数で書いてはいけません。$\sqrt{5} - 2$ のまま残すのが正解です。

整数部分・小数部分を使った式の値

整数部分 $n$ と小数部分 $\alpha$ がわかれば、$n$ と $\alpha$ を含む式の値を計算できます。 $\alpha = x - n$ なので、$x = n + \alpha$ の関係を使って式を整理するのが基本です。

例:$\sqrt{7}$ の整数部分を $a$、小数部分を $b$ とするとき、$a^2 + 2ab + 3b^2$ の値を求める。

$4 < 7 < 9$ より $2 < \sqrt{7} < 3$。よって $a = 2$、$b = \sqrt{7} - 2$。

$$a^2 + 2ab + 3b^2 = (a + b)^2 + 2b^2 = (\sqrt{7})^2 + 2(\sqrt{7} - 2)^2 = 7 + 2(7 - 4\sqrt{7} + 4) = 7 + 22 - 8\sqrt{7} = 29 - 8\sqrt{7}$$

$a + b = \sqrt{7}$ という関係を利用すると、計算が楽になります。

🔬 深掘り:ガウス記号 $[x]$ と床関数

整数部分を表す記号として、大学数学ではガウス記号 $[x]$(または床関数 $\lfloor x \rfloor$)を使います。 $[x]$ は「$x$ を超えない最大の整数」と定義されます。

例:$[3.7] = 3$、$[\pi] = 3$、$[-1.5] = -2$($-1$ ではない!)

負の数のとき $[-1.5]$ が $-2$ であることに注意してください。 小数部分 $\{x\} = x - [x]$ は常に $0 \leq \{x\} < 1$ を満たすように定義されます。 整数論やコンピュータサイエンスで頻出する概念です。

4式の値の計算 ─ 有理化・対称式の活用

$x = \dfrac{1}{\sqrt{3} + \sqrt{2}}$ のとき $x^2 + \dfrac{1}{x^2}$ の値を求めよ──こうした問題では、 直接代入して計算するのは大変です。もっと賢い方法があります。

有理化で式を扱いやすくする

まず $x$ を有理化します。

$$x = \frac{1}{\sqrt{3} + \sqrt{2}} = \frac{\sqrt{3} - \sqrt{2}}{(\sqrt{3} + \sqrt{2})(\sqrt{3} - \sqrt{2})} = \frac{\sqrt{3} - \sqrt{2}}{3 - 2} = \sqrt{3} - \sqrt{2}$$

すると $\dfrac{1}{x} = \sqrt{3} + \sqrt{2}$ ですから

$$x + \frac{1}{x} = (\sqrt{3} - \sqrt{2}) + (\sqrt{3} + \sqrt{2}) = 2\sqrt{3}$$

これを利用して

$$x^2 + \frac{1}{x^2} = \left(x + \frac{1}{x}\right)^2 - 2 = (2\sqrt{3})^2 - 2 = 12 - 2 = 10$$
💡 ここが本質:$x + \frac{1}{x}$ を経由すれば、高次の式も簡単に求まる

$x^2 + \frac{1}{x^2}$、$x^3 + \frac{1}{x^3}$ などは、直接計算すると複雑ですが、 $x + \frac{1}{x}$ の値さえわかれば連鎖的に求められます。

$x^2 + \frac{1}{x^2} = \left(x + \frac{1}{x}\right)^2 - 2$

$x^3 + \frac{1}{x^3} = \left(x + \frac{1}{x}\right)^3 - 3\left(x + \frac{1}{x}\right)$

$x + \frac{1}{x}$ は対称式の基本量であり、ここを起点にすべてが導けます。

対称式の活用

$x = \sqrt{5} + \sqrt{3}$、$y = \sqrt{5} - \sqrt{3}$ のとき、$x^2 + y^2$ の値を求めましょう。

直接2乗してもよいですが、対称式の基本量を求めてから計算するのが定石です。 $x$ と $y$ の対称式は $x + y$ と $xy$ で表せるからです。

$$x + y = 2\sqrt{5}, \qquad xy = (\sqrt{5} + \sqrt{3})(\sqrt{5} - \sqrt{3}) = 5 - 3 = 2$$ $$x^2 + y^2 = (x + y)^2 - 2xy = (2\sqrt{5})^2 - 2 \cdot 2 = 20 - 4 = 16$$

なぜ対称式を使うのでしょうか。$x + y$ と $xy$ は、根号を含む $x$ と $y$ から計算しても 比較的簡単な値になることが多いからです。 $x + y = 2\sqrt{5}$ では $\sqrt{3}$ が消え、$xy = 2$ では根号がすべて消えます。 この「打ち消し合い」を利用するのが対称式の強みです。

⚠️ 落とし穴:直接代入で計算ミスを誘発する

✕ 誤:$x = \sqrt{5} + \sqrt{3}$ をそのまま2乗して $x^2 = 5 + 2\sqrt{15} + 3 = 8 + 2\sqrt{15}$、 同様に $y^2 = 8 - 2\sqrt{15}$、足して $16$。これでも正解にはなりますが…

○ 正:対称式の方法なら、$x + y$ と $xy$ を先に求め、$(x+y)^2 - 2xy = 20 - 4 = 16$ と 1行で終わります。直接計算は途中式が長くなるほどミスの確率が上がります。

原則:$x + y$ と $xy$ で表せる式は、基本量を先に求めてから計算する。

有理化と二重根号の組み合わせ

二重根号と有理化を組み合わせた問題も頻出です。たとえば、 $\dfrac{1}{\sqrt{5 + 2\sqrt{6}}}$ を簡単にするには、まず二重根号を外し、次に有理化します。

$$\frac{1}{\sqrt{5 + 2\sqrt{6}}} = \frac{1}{\sqrt{2} + \sqrt{3}} = \frac{\sqrt{3} - \sqrt{2}}{(\sqrt{3} + \sqrt{2})(\sqrt{3} - \sqrt{2})} = \frac{\sqrt{3} - \sqrt{2}}{1} = \sqrt{3} - \sqrt{2}$$

このように、二重根号→有理化の順で処理すれば、見た目が複雑な式も単純な形になります。

5この章を俯瞰する

この記事では、二重根号・整数部分と小数部分・式の値という3つのテーマを扱いました。 一見バラバラに見えますが、実はすべて「根号を含む式の変形」という共通の技術で繋がっています。

テーマ核心技術使う場面
二重根号$(\sqrt{a} \pm \sqrt{b})^2$ の逆式の簡約化、値の大きさの把握
整数部分・小数部分完全平方数で挟む$\sqrt{\phantom{x}}$ を含む数の分解、式の値
式の値有理化 + 対称式$x + \frac{1}{x}$ 型、$x + y$ と $xy$ 型

つながりマップ

  • ← 1-3 実数と平方根:平方根の性質($\sqrt{a^2} = |a|$、$\sqrt{a}\sqrt{b} = \sqrt{ab}$)が二重根号の基盤。ここが曖昧だと二重根号で手が止まる。
  • ← 1-1 整式の加法・減法と乗法:展開公式 $(a + b)^2 = a^2 + 2ab + b^2$ が二重根号を外す原理。因数分解の発想がそのまま活きる。
  • ← 1-2 因数分解:「和と積から2数を見つける」のは、因数分解のたすき掛けと同じ思考。二重根号の処理は因数分解の別形態。
  • → 第2章 2次関数:2次方程式の解 $x = \frac{-b \pm \sqrt{b^2 - 4ac}}{2a}$ に二重根号が現れることがある。式の値の技法は、関数の値域を求めるときにも使える。
  • → 数学II 式と証明:対称式と基本対称式の理論を体系的に学ぶ。ここで培った「$x + y$ と $xy$ で表す」技法は、その中核となる。

📋まとめ

  • 二重根号とは $\sqrt{\phantom{x}}$ の中に $\sqrt{\phantom{x}}$ がある式。外すとは「2乗して中身になる式」を見つけること
  • 公式:$a > b > 0$ のとき、$\sqrt{(a+b) + 2\sqrt{ab}} = \sqrt{a} + \sqrt{b}$$\sqrt{(a+b) - 2\sqrt{ab}} = \sqrt{a} - \sqrt{b}$
  • 実用手順:$2\sqrt{B}$ の形に合わせ、足して $A$・かけて $B$ の2数を探す
  • 整数部分は完全平方数で挟んで求める。小数部分は「元の数 $-$ 整数部分」で正確に表す
  • 式の値は有理化で分母の根号を消してから計算する。直接代入より圧倒的に楽
  • 対称式の基本量($x + y$ と $xy$、または $x + \frac{1}{x}$)を先に求めれば、高次の式も連鎖的に計算できる

確認テスト

Q1. $\sqrt{11 + 2\sqrt{30}}$ の二重根号を外してください。

▶ クリックして解答を表示足して $11$、かけて $30$ の2数は $5$ と $6$。よって $\sqrt{11 + 2\sqrt{30}} = \sqrt{5} + \sqrt{6}$。

Q2. $\sqrt{9 - 4\sqrt{5}}$ を簡単にしてください。

▶ クリックして解答を表示$4\sqrt{5} = 2\sqrt{20}$。$\sqrt{9 - 2\sqrt{20}}$。足して $9$、かけて $20$ の2数は $4$ と $5$。$\sqrt{4} = 2 > \sqrt{5}$ なので $\sqrt{9 - 2\sqrt{20}} = 2 - \sqrt{5}$。$\sqrt{5} \approx 2.24 > 2$ なので $2 - \sqrt{5} < 0$。平方根は $0$ 以上なので、正しくは $\sqrt{5} - 2$。

Q3. $\sqrt{10}$ の整数部分と小数部分を求めてください。

▶ クリックして解答を表示$9 < 10 < 16$ より $3 < \sqrt{10} < 4$。整数部分は $3$、小数部分は $\sqrt{10} - 3$。

Q4. 「対称式の基本量」とは何ですか? なぜそれを先に求めるのが有利ですか?

▶ クリックして解答を表示$x + y$(和)と $xy$(積)のこと。$x^2 + y^2$、$x^3 + y^3$ などの対称式はすべて $x + y$ と $xy$ で表せる。根号を含む場合、和や積では根号が打ち消し合って簡単な値になることが多いため、先に求めておくと高次の計算が楽になる。

Q5. $x = \sqrt{2} + 1$ のとき、$x + \dfrac{1}{x}$ の値を求めてください。

▶ クリックして解答を表示$\frac{1}{x} = \frac{1}{\sqrt{2} + 1} = \frac{\sqrt{2} - 1}{(\sqrt{2}+1)(\sqrt{2}-1)} = \frac{\sqrt{2} - 1}{1} = \sqrt{2} - 1$。よって $x + \frac{1}{x} = (\sqrt{2} + 1) + (\sqrt{2} - 1) = 2\sqrt{2}$。

8入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

1-8-1 A 基礎 二重根号

次の式の二重根号を外して簡単にせよ。

(1) $\sqrt{8 + 2\sqrt{15}}$

(2) $\sqrt{11 - 4\sqrt{7}}$

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $\sqrt{3} + \sqrt{5}$

(2) $\sqrt{7} - 2$

解説

方針:$2\sqrt{B}$ の形に合わせ、和と積の2数を探す。

(1) $A = 8$, $B = 15$。足して $8$、かけて $15$ → $3$ と $5$。

$\sqrt{8 + 2\sqrt{15}} = \sqrt{3} + \sqrt{5}$

(2) $4\sqrt{7} = 2 \cdot 2\sqrt{7} = 2\sqrt{28}$。$A = 11$, $B = 28$。

足して $11$、かけて $28$ → $4$ と $7$。$\sqrt{7} > \sqrt{4} = 2$ なので

$\sqrt{11 - 2\sqrt{28}} = \sqrt{7} - \sqrt{4} = \sqrt{7} - 2$

1-8-2 A 基礎 整数部分・小数部分

$\dfrac{1}{\sqrt{3} - 1}$ の整数部分を $a$、小数部分を $b$ とするとき、$a$ と $b$ の値を求めよ。

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解答

$a = 1$, $b = \dfrac{\sqrt{3} - 1}{2}$

解説

方針:分母を有理化してから、整数で挟む。

$\dfrac{1}{\sqrt{3} - 1} = \dfrac{\sqrt{3} + 1}{(\sqrt{3})^2 - 1^2} = \dfrac{\sqrt{3} + 1}{2}$

$1 < \sqrt{3} < 2$ より $2 < \sqrt{3} + 1 < 3$、よって $1 < \dfrac{\sqrt{3} + 1}{2} < \dfrac{3}{2}$。

$1 < \dfrac{\sqrt{3}+1}{2} < 1.5 < 2$ より整数部分 $a = 1$。

小数部分 $b = \dfrac{\sqrt{3}+1}{2} - 1 = \dfrac{\sqrt{3} - 1}{2}$

B 発展レベル

1-8-3 B 発展 二重根号 式の値

$\sqrt{5 + 2\sqrt{6}} - \sqrt{5 - 2\sqrt{6}}$ の値を求めよ。

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解答

$2\sqrt{2}$

解説

方針:各二重根号を外してから引き算する。

$\sqrt{5 + 2\sqrt{6}}$:足して $5$、かけて $6$ → $2$ と $3$。$= \sqrt{2} + \sqrt{3}$

$\sqrt{5 - 2\sqrt{6}}$:$\sqrt{3} > \sqrt{2}$ より $= \sqrt{3} - \sqrt{2}$

$(\sqrt{2} + \sqrt{3}) - (\sqrt{3} - \sqrt{2}) = 2\sqrt{2}$

⚠️ 検算:$(2\sqrt{2})^2 = 8$。別解として全体を2乗すると、$(5+2\sqrt{6}) - 2\sqrt{(5+2\sqrt{6})(5-2\sqrt{6})} + (5-2\sqrt{6}) = 10 - 2\sqrt{25-24} = 10 - 2 = 8$。$\sqrt{8} = 2\sqrt{2}$。✓

採点ポイント
  • 2つの二重根号を正しく外す(各2点)
  • 引き算の計算と最終結果(2点)
  • 大小関係の正しい判断(2点)
1-8-4 B 発展 対称式 式の値 論述

$x = \dfrac{\sqrt{7} + \sqrt{3}}{\sqrt{7} - \sqrt{3}}$, $y = \dfrac{\sqrt{7} - \sqrt{3}}{\sqrt{7} + \sqrt{3}}$ のとき、次の値を求めよ。

(1) $x + y$

(2) $x^2 + y^2$

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解答

(1) $5$

(2) $23$

解説

方針:$x$ と $y$ は互いに逆数の関係。$x + y$ と $xy$ を基本量として求め、(2) は $(x+y)^2 - 2xy$ を使う。

まず $xy$ を確認:$xy = \dfrac{(\sqrt{7}+\sqrt{3})(\sqrt{7}-\sqrt{3})}{(\sqrt{7}-\sqrt{3})(\sqrt{7}+\sqrt{3})} = \dfrac{7-3}{7-3} = 1$

$x + y$ を求める。分母を有理化して

$x = \dfrac{(\sqrt{7}+\sqrt{3})^2}{(\sqrt{7}-\sqrt{3})(\sqrt{7}+\sqrt{3})} = \dfrac{10 + 2\sqrt{21}}{4} = \dfrac{5+\sqrt{21}}{2}$

$y = \dfrac{(\sqrt{7}-\sqrt{3})^2}{4} = \dfrac{10 - 2\sqrt{21}}{4} = \dfrac{5-\sqrt{21}}{2}$

$(1)$ $x + y = \dfrac{5+\sqrt{21}}{2} + \dfrac{5-\sqrt{21}}{2} = 5$

$(2)$ $x^2 + y^2 = (x+y)^2 - 2xy = 25 - 2 = 23$

採点ポイント
  • $xy = 1$ の確認(2点)
  • 有理化による $x + y$ の計算(3点)
  • $(x+y)^2 - 2xy$ の利用(3点)
  • 正しい最終答え(2点)