基本公式だけでは歯が立たない因数分解に出会ったとき、どう攻めるか。
「置き換え」「最低次数の文字で整理」「対称式・交代式の性質」── この3つの武器を身につければ、複雑な式も確実に崩せます。
1-2で学んだ因数分解の基本公式($a^2 - b^2$, $a^2 \pm 2ab + b^2$, $acx^2 + (ad+bc)x + bd$ など)だけでは対応できない式に出会うことがあります。 項数が多い、文字が複数ある、次数が高い ── そんなとき、闇雲に試すのではなく、戦略を持って攻めることが大切です。
複雑な因数分解に立ち向かう武器は、大きく分けて3つあります。
| 武器 | 使いどころ | 核心のアイデア |
|---|---|---|
| 置き換え | 式の中に共通部分がある | 共通部分を1つの文字に置き換え、見慣れた形に帰着 |
| 最低次数の文字で整理 | 2つ以上の文字を含む式 | 次数が最も低い文字について降べきに整理し、係数を因数分解 |
| 対称式・交代式の性質 | 文字を入れ替えても変わらない(or 符号だけ変わる)式 | 対称性から因数を予測する |
因数分解とは、展開(かけ算)の逆再生です。しかし複雑な式では、「何と何の積だったのか」が一見してわかりません。
3つの武器はすべて、式の中に隠れた構造(共通部分、次数の偏り、対称性)を発見するための道具です。 「この式にはどんな構造があるか?」と問いかけることが、複雑な因数分解の第一歩です。
まずは全体像を把握しましょう。以下のフローチャートが因数分解の方針を決める指針になります。
Step 1:共通因数はあるか? → あれば、まずくくり出す
Step 2:基本公式に当てはまるか? → 当てはまれば公式を適用
Step 3:共通部分はあるか? → あれば、置き換えて公式に帰着
Step 4:2文字以上あるか? → 最低次数の文字について整理
Step 5:対称式・交代式か? → 対称性を利用して因数を予測
✕ 誤:$(x+y)^2 - 5(x+y) + 6$ を見て、まず $(x+y)^2$ を展開してから因数分解しようとする
○ 正:$(x+y)$ という共通部分を $t$ とおけば $t^2 - 5t + 6 = (t-2)(t-3)$ と一瞬で因数分解できる
展開は最後の手段です。展開すると項数が増え、かえって見通しが悪くなることがほとんどです。 まずは式の構造をそのまま観察し、共通部分や公式のパターンを探しましょう。
式の中に同じかたまり(共通部分)が繰り返し現れるとき、そのかたまりを1つの文字に置き換えると、式が簡潔になり、基本公式が適用できるようになります。
これは2-2で学ぶ「おき換え」と同じ発想です。因数分解でも、式を「見やすい形に着替えさせる」のが置き換えの役割です。
たとえば $(x^2 - 3y)^2 - 5(x^2 - 3y) + 6$ を因数分解してみましょう。 $x^2 - 3y$ という共通部分が2回現れています。そこで $t = x^2 - 3y$ とおくと:
$$t^2 - 5t + 6 = (t - 2)(t - 3)$$$t$ を元に戻すと $(x^2 - 3y - 2)(x^2 - 3y - 3)$ です。 置き換えなしで展開してから因数分解するよりも、はるかに簡潔に答えにたどり着けます。
式が複雑に見える原因は、「注目すべき構造」と「それ以外の細部」が混在していることです。
置き換えとは、細部を一時的に $t$ の中に隠して、構造だけを浮かび上がらせる操作です。 構造に基づいて因数分解したあと、隠した細部を元に戻す。これが置き換えの本質です。
プログラミングで関数を使って複雑な処理を抽象化するのと、発想は同じです。
$x^4 + bx^2 + c$ のように、$x^4$ と $x^2$ と定数項だけからなる式を複2次式と呼びます。 $x^2 = t$ とおけば $t^2 + bt + c$ という $t$ の2次式に帰着できます。
たとえば $x^4 - 5x^2 + 4$ を因数分解しましょう。$t = x^2$ とおくと:
$$t^2 - 5t + 4 = (t - 1)(t - 4)$$$t$ を元に戻すと $(x^2 - 1)(x^2 - 4)$。さらに各因数が $a^2 - b^2$ の形なので:
$$(x+1)(x-1)(x+2)(x-2)$$✕ 誤:$x^4 - 5x^2 + 4 = (t-1)(t-4)$ と答える($t = x^2$ のまま)
○ 正:$t$ を $x^2$ に戻した後、各因数がさらに因数分解できないか確認する。 $(x^2 - 1)(x^2 - 4) = (x+1)(x-1)(x+2)(x-2)$
置き換えは「一時的な処理」であり、最終的にはすべて元の文字で表す必要があります。 さらに、元に戻した後にもう一段階因数分解できることもあるので、最後まで気を抜かないようにしましょう。
$x^4 + 4x^2 + 16$ を因数分解してみましょう。$t = x^2$ とおくと $t^2 + 4t + 16$ ですが、 これは $t$ の2次式として因数分解できません(判別式 $16 - 64 < 0$)。
このとき使うのが、適切な項を加えて引き、$A^2 - B^2$ の形を作るテクニックです。
$$x^4 + 4x^2 + 16 = (x^4 + 8x^2 + 16) - 4x^2 = (x^2 + 4)^2 - (2x)^2$$$A^2 - B^2 = (A+B)(A-B)$ を適用して:
$$(x^2 + 2x + 4)(x^2 - 2x + 4)$$ポイントは、$x^4 + 16 = (x^2)^2 + 4^2$ に着目し、$(x^2 + 4)^2 = x^4 + 8x^2 + 16$ を作るために $4x^2$ を加えて引いたことです。「完全平方式にするには何が足りないか」を考えるのがコツです。
✕ 誤:$t = x^2$ とおいて $t^2 + 4t + 16$ は因数分解できないから、元の式も因数分解できない
○ 正:$t$ の範囲で因数分解できなくても、$x$ に戻せば平方の差の形を作って因数分解できることがある
置き換えは万能ではありません。置き換えで行き詰まったら、別のアプローチ(平方の差を作る)を試す柔軟さが重要です。
平方の差を作るテクニックの有名な例として、ソフィー・ジェルマンの恒等式があります:
$$a^4 + 4b^4 = (a^2 + 2b^2 + 2ab)(a^2 + 2b^2 - 2ab)$$
これは $a^4 + 4b^4 = (a^2 + 2b^2)^2 - (2ab)^2$ と変形することで得られます。 19世紀フランスの数学者ソフィー・ジェルマンは、フェルマーの最終定理の研究でこの恒等式を活用しました。
「一見すると因数分解できなさそうな式が、巧妙な加減で美しく分解できる」── これは代数学の醍醐味の1つです。
2つ以上の文字を含む式を因数分解するとき、最も確実な方法が 最低次数の文字について整理することです。
なぜ「最低次数」なのでしょうか? 次数が低い文字について整理すれば、 その文字は1次式($Ax + B$ の形)にしかならないことが多く、 係数 $A$ と $B$ を因数分解するだけで全体の因数分解が完了するからです。
たとえば $a^2b + ab^2 - a - b$ では、$a$ は2次、$b$ も2次で同じです。しかし式の中に「$a$ に注目して整理すると1次の項しか残らない」ようなケースもあります。
多くの場合、最低次数の文字で整理すると、その文字の1次式になり、共通因数でくくれるのです。 2次以上の文字で整理すると、たすき掛けなどより高度な技法が必要になり、見通しが悪くなります。
「まず各文字の次数を数え、最も低いものを選ぶ」──これが多変数式の因数分解の出発点です。
$a^2b + a^2c - b - c$ を因数分解してみましょう。 各文字の次数を確認すると、$a$ は2次、$b$ は1次、$c$ は1次です。 最低次数は $b$ と $c$ で、どちらも1次。ここでは $b$ について整理してみます。
$$a^2b + a^2c - b - c = (a^2 - 1)b + (a^2c - c) = (a^2 - 1)b + c(a^2 - 1)$$共通因数 $(a^2 - 1)$ が出てきました!
$$(a^2 - 1)(b + c) = (a + 1)(a - 1)(b + c)$$$b$ が1次だったので、$b$ で整理すると「$b$ の係数」と「定数項」に同じ因数 $(a^2 - 1)$ が現れ、 一発でくくり出せました。これが「最低次数の文字で整理する」ことの威力です。
$x^2 + 2xy + y^2 - x - y - 2$ を因数分解してみましょう。 $x$, $y$ ともに2次です。$x$ について整理します:
$$x^2 + (2y - 1)x + (y^2 - y - 2)$$これは $x$ の2次式。定数項 $y^2 - y - 2 = (y-2)(y+1)$ を因数分解すると:
$$x^2 + (2y - 1)x + (y - 2)(y + 1)$$たすき掛けの要領で、$(y - 2) + (y + 1) = 2y - 1$ が $x$ の係数と一致するので:
$$(x + y - 2)(x + y + 1)$$Step 1:各文字の次数を調べ、最低次数の文字を選ぶ
Step 2:選んだ文字について降べきに整理する(他の文字は「係数」として扱う)
Step 3:整理した式が1次式なら、係数の共通因数でくくる
Step 4:整理した式が2次式なら、定数項を因数分解してからたすき掛け
Step 5:結果が正しいか、展開して元の式に戻るか検算する
すべての文字の次数が同じ場合は、どの文字で整理しても因数分解できます。 ただし、文字によって途中の計算の難しさが変わることがあります。
○ コツ:「定数項(選んだ文字を含まない部分)が因数分解しやすそうな文字」を選ぶのが実戦的です。 迷ったらとりあえず1つ選んで試し、うまくいかなければ別の文字に切り替えましょう。
「最低次数の文字で整理する」という手法は、実は計算代数学の入口です。 大学数学では、多変数多項式の因数分解を体系的に行うためにグレブナー基底という道具を使います。
グレブナー基底は「変数に順序をつけて式を整理する」という発想に基づいており、 高校の「1つの文字について整理する」はその最も単純な形と言えます。 数式処理ソフト(Mathematicaなど)が多変数の因数分解を瞬時に行えるのは、このアルゴリズムのおかげです。
$a$, $b$, $c$ を含む式で、どの2つの文字を入れ替えても式が変わらないものを 対称式と呼びます。 一方、どの2つの文字を入れ替えると符号だけが変わるものを 交代式と呼びます。
たとえば、$a^2b + ab^2 + b^2c + bc^2 + c^2a + ca^2$ は対称式です。$a$ と $b$ を入れ替えると $b^2a + ba^2 + a^2c + ac^2 + c^2b + cb^2$ となり、項の順番が変わるだけで式としては同じです。
一方、$(a - b)(b - c)(c - a)$ は交代式です。$a$ と $b$ を入れ替えると $(b - a)(a - c)(c - b) = -(a - b) \cdot (-(c - a)) \cdot (-(b - c))$。 符号を整理すると $-(a-b)(b-c)(c-a)$ となり、元の式の $-1$ 倍です。
対称式の性質:$a + b$ が因数なら、$b + c$, $c + a$ も因数
交代式の性質:$(a - b)(b - c)(c - a)$ を必ず因数に持つ
対称式の因数分解でも、基本戦略は1つの文字について整理することです。 対称性があるので、どの文字で整理しても同じ結果が得られます。
$a^2(b - c) + b^2(c - a) + c^2(a - b)$ を因数分解してみましょう。 この式は、$a$ と $b$ を入れ替えると $b^2(a - c) + a^2(c - b) + c^2(b - a) = -(a^2(b-c) + b^2(c-a) + c^2(a-b))$ となるので、交代式です。
$a$ について整理すると:
$$a^2(b - c) - a(b^2 - c^2) + bc(b - c)$$$(b - c)$ が共通因数としてくくれます:
$$(b - c)\{a^2 - a(b + c) + bc\} = (b - c)(a^2 - ab - ac + bc)$$$\{\}$ の中を $a$ について因数分解すると $a(a - b) - c(a - b) = (a - b)(a - c)$。よって:
$$(a - b)(b - c)(a - c) = -(a - b)(b - c)(c - a)$$交代式では、$a$ と $b$ を入れ替えると符号が変わります。ということは、$a = b$ を代入すると 「元の式 = 元の式 $\times (-1)$」つまり「元の式 = $0$」です。
因数定理の発想で言えば、$a = b$ で $0$ になるので$(a - b)$ を因数に持つ。 同様に $(b - c)$ と $(c - a)$ も因数です。
対称式でも同じ発想が使えます。$a = -b$ を代入して $0$ になれば $(a + b)$ が因数です。
$a^2b + ab^2 + b^2c + bc^2 + c^2a + ca^2 + 2abc$ を因数分解しましょう。 $a$ について整理します:
$$(b + c)a^2 + (b^2 + 2bc + c^2)a + bc(b + c)$$$b^2 + 2bc + c^2 = (b + c)^2$ なので:
$$(b + c)a^2 + (b + c)^2 a + bc(b + c) = (b + c)\{a^2 + (b + c)a + bc\}$$$\{\}$ の中は $a^2 + (b + c)a + bc = (a + b)(a + c)$。よって:
$$(a + b)(b + c)(c + a)$$結果が対称式になっていることを確認しましょう。$(a+b)$, $(b+c)$, $(c+a)$ の3つの因数が巡回的に現れており、 確かに対称式です。
参考書に「$a \to b \to c \to a$ の巡回の順に整理する」と書いてあることがあります。
✕ 誤:「巡回」という特殊なテクニックを覚えなければいけない
○ 正:「巡回の順に整理する」とは、単に「1つの文字(例えば $a$)について整理する」ことです。 対称式なのでどの文字で整理しても結果は同じ。難しく考える必要はありません。
巡回的に見えるのは、結果として因数が $(a+b)$, $(b+c)$, $(c+a)$ のように対称的に出てくるからです。 整理の手順自体は、最低次数整理と全く同じです。
大学の代数学では、対称式の基本定理という重要な定理があります。 「任意の対称式は、基本対称式の多項式として一意に表せる」というものです。
2変数の場合、基本対称式は $s = a + b$ と $p = ab$ の2つ。 3変数の場合は $s_1 = a + b + c$, $s_2 = ab + bc + ca$, $s_3 = abc$ の3つです。
因数分解で対称式がきれいに分解できるのは、この定理の背後にある代数的構造のおかげです。 高校で学ぶ「$x^2 + y^2$ を $x + y$ と $xy$ で表す」練習は、この定理の具体例にほかなりません。
第1章「数と式」で学んだ内容を振り返り、因数分解がどのように他の単元とつながっているかを確認しましょう。
| 手法 | 適用条件 | キーとなるアイデア |
|---|---|---|
| 基本公式(1-2) | 2次以下、1変数 | $a^2 \pm 2ab + b^2$, $a^2 - b^2$, たすき掛け |
| 置き換え | 共通部分がある式 | 共通部分を $t$ に置き換えて公式に帰着 |
| 平方の差を作る | 複2次式で $t$ 置き換え不可 | $A^2 - B^2$ の形に持ち込む |
| 最低次数整理 | 多変数の式 | 最低次数の文字で整理し、係数を因数分解 |
| 対称式・交代式 | 文字の入れ替えで不変/符号変化 | 因数の対称性から候補を予測 |
Q1. 「置き換え」が有効なのは、式にどのような特徴があるときですか?
Q2. $(x^2 + x)^2 - 8(x^2 + x) + 12$ を因数分解してください。
Q3. 2文字以上の式を因数分解するとき、なぜ「最低次数の文字」で整理するのが有効なのですか?
Q4. $a^2(b-c) + b^2(c-a) + c^2(a-b)$ は対称式ですか、交代式ですか? 理由も答えてください。
Q5. 交代式が $(a-b)$ を因数に持つことは、どのような考え方で説明できますか?
この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。
次の式を因数分解せよ。
(1) $x^4 - 10x^2 + 9$
(2) $(x+y)^2 - (x+y) - 6$
(1) $(x+1)(x-1)(x+3)(x-3)$
(2) $(x+y-2)(x+y+3)$
(1) 方針:$x^2 = t$ とおいて $t$ の2次式に帰着。
$t^2 - 10t + 9 = (t-1)(t-9)$
$t$ を $x^2$ に戻すと $(x^2 - 1)(x^2 - 9)$。
各因数は $a^2 - b^2$ の形なので、さらに因数分解して $(x+1)(x-1)(x+3)(x-3)$。
(2) 方針:$x + y = t$ とおいて $t$ の2次式に帰着。
$t^2 - t - 6 = (t - 3)(t + 2)$
$t$ を元に戻して $(x + y - 3)(x + y + 2)$。
⚠️ 注意:(1) では $t$ を戻した後にもう一段階の因数分解がある。戻したら終わりではない。
次の式を因数分解せよ。
$x^2 - xy - 2y^2 + x + 7y - 6$
$(x + y - 2)(x - 2y + 3)$
方針:$x$, $y$ ともに2次。$x$ について降べきに整理する。
$x^2 + (-y + 1)x + (-2y^2 + 7y - 6)$
定数項($x$ を含まない部分)を $y$ の2次式として因数分解する:
$-2y^2 + 7y - 6 = -(2y^2 - 7y + 6) = -(2y - 3)(y - 2)$
定数項を2つの因数の積に分解し、和が $x$ の係数 $-y + 1$ になる組合せを探す。
$(y - 2)$ と $-(2y - 3) = (-2y + 3)$ の組合せを試す:
和:$(y - 2) + (-2y + 3) = -y + 1$。$x$ の係数と一致!
よって:$(x + (y - 2))(x + (-2y + 3)) = (x + y - 2)(x - 2y + 3)$
検算:$(x+y-2)(x-2y+3) = x^2 - 2xy + 3x + xy - 2y^2 + 3y - 2x + 4y - 6 = x^2 - xy + x - 2y^2 + 7y - 6$。✓
次の式を因数分解せよ。
$x^4 + x^2 + 1$
$(x^2 + x + 1)(x^2 - x + 1)$
方針:$t = x^2$ とおくと $t^2 + t + 1$ となり、$t$ の範囲では因数分解できない(判別式 $1 - 4 < 0$)。 そこで平方の差を作る。
$x^4 + x^2 + 1 = x^4 + 2x^2 + 1 - x^2 = (x^2 + 1)^2 - x^2$
$A^2 - B^2 = (A+B)(A-B)$ を適用:
$= (x^2 + 1 + x)(x^2 + 1 - x) = (x^2 + x + 1)(x^2 - x + 1)$
⚠️ ポイント:$x^4 + 1$ を $(x^2)^2 + 1^2$ と見て、$(x^2 + 1)^2$ を作るために $x^2$ を加えて引いた。 「完全平方式にするには何を足せばいいか」を考えるのがコツ。
次の式を因数分解せよ。
$a^3(b - c) + b^3(c - a) + c^3(a - b)$
$-(a - b)(b - c)(c - a)(a + b + c)$
方針:$a$ と $b$ を入れ替えると符号が変わるので交代式。$a$ について整理する。
$a$ について整理すると:
$a^3(b - c) - a(b^3 - c^3) + bc(b^2 - c^2)$
$= a^3(b-c) - a(b-c)(b^2+bc+c^2) + bc(b-c)(b+c)$
$(b - c)$ をくくり出すと:
$(b-c)\{a^3 - a(b^2+bc+c^2) + bc(b+c)\}$
$\{\}$ の中を $a$ について整理し、$a = b$ を代入すると $b^3 - b(b^2+bc+c^2) + bc(b+c) = b^3 - b^3 - b^2c - bc^2 + b^2c + bc^2 = 0$。よって $(a - b)$ が因数。
同様に $a = c$ でも $0$ なので $(a - c)$ も因数。
$\{\}$ は $a$ の3次式で因数が $(a-b)(a-c)$ と2次分あるので、残りは1次の $(a + b + c)$ の定数倍。
$a^3$ の係数を比較して $1$ 倍($(a-b)(a-c)(a+b+c)$ の $a^3$ の係数は $1$)。
よって全体は $(b-c)(a-b)(a-c)(a+b+c) = -(a-b)(b-c)(c-a)(a+b+c)$。