第1章 数と式

因数分解の基本
─ かけ算を「逆再生」する技術

展開が「かけ算を実行する操作」なら、因数分解は「かけ算に戻す操作」です。
公式の暗記ではなく、「なぜその形に分解できるのか」を原理から理解すれば、どんな式にも対応できます。

1因数分解とは何か ─ 展開の逆操作

1-1で学んだ展開は、積の形で書かれた式をバラして和の形にする操作でした。 たとえば $(x + 2)(x + 3)$ を展開すると $x^2 + 5x + 6$ になります。

因数分解はその逆です。 $x^2 + 5x + 6$ という和の形の式を見て、これを $(x + 2)(x + 3)$ という積の形に戻す操作です。 つまり、展開を「再生」とすれば、因数分解は「逆再生」にあたります。

ここで「因数」という言葉を押さえましょう。 $x^2 + 5x + 6 = (x + 2)(x + 3)$ と書いたとき、$(x + 2)$ と $(x + 3)$ はそれぞれ元の式の因数です。 自然数の素因数分解($12 = 2^2 \times 3$)と同じ発想で、多項式をこれ以上分解できない因数の積に分けるのです。

💡 ここが本質:因数分解 = 展開の逆操作

展開の公式を「右から左」に読めば、それがそのまま因数分解の公式になります。

$$\underbrace{(x+a)(x+b)}_{\text{積の形}} \xrightarrow{\text{展開}} \underbrace{x^2 + (a+b)x + ab}_{\text{和の形}}$$

因数分解はこの矢印を逆にたどる操作です。 $x^2 + (a+b)x + ab$ を見て、「足して $a+b$、掛けて $ab$ になる2数は何か?」を考えれば、積の形に戻せます。

つまり、展開の公式を覚えていれば、因数分解の公式は新たに覚える必要がないのです。

なぜ因数分解が必要なのでしょうか? 大きな理由は方程式を解くためです。 たとえば $x^2 + 5x + 6 = 0$ をそのまま解くのは大変ですが、 $(x+2)(x+3) = 0$ と因数分解できれば、「積が $0$ なら少なくとも一方が $0$」という性質から $x = -2$ または $x = -3$ と即座にわかります。

因数分解は2次方程式・2次不等式・さらには数学IIの高次方程式まで、あらゆる場面で使われる基本技術です。 この記事では、因数分解の基本パターンと、「どの公式を使えばいいか」を判断する方法を身につけましょう。

⚠️ 落とし穴:「因数分解」と「展開」の方向を混同する

✕ 誤:「$x^2 + 5x + 6$ を因数分解せよ」と言われて、$(x+2)(x+3) = x^2 + 5x + 6$ と展開してしまう

○ 正:因数分解は「和の形 → 積の形」。$x^2 + 5x + 6 = (x+2)(x+3)$ と書くのが因数分解です。

逆に「展開せよ」と言われたら「積の形 → 和の形」。方向を常に意識しましょう。

🔬 深掘り:因数分解と素因数分解 ── 「分解」の共通原理

自然数の素因数分解($60 = 2^2 \times 3 \times 5$)と多項式の因数分解は、 「合成されたものを基本要素の積に分解する」という同じ原理に基づいています。

大学の代数学(環論)では、整数と多項式を「可換環」という同じ枠組みで統一的に扱います。 どちらの世界でも「これ以上分解できない要素(素数 / 既約多項式)」が存在し、 分解の一意性(本質的に1通りにしか分解できない)という深い定理が成り立ちます。

2共通因数のくくり出し

因数分解で最初にやるべきことは、共通因数がないか確認することです。 これはすべての因数分解の出発点であり、最も基本的かつ重要なステップです。

共通因数とは、多項式の各項すべてに共通して含まれている因数のことです。 たとえば $3x^2 + 6x$ では、$3x^2 = 3x \cdot x$ と $6x = 3x \cdot 2$ なので、 $3x$ が共通因数です。これをくくり出すと

$$3x^2 + 6x = 3x(x + 2)$$

となります。分配法則 $A(B + C) = AB + AC$ を逆に使っているだけです。

💡 ここが本質:共通因数のくくり出し = 分配法則の逆

分配法則は $A(B+C) = AB + AC$ です。この等式を右から左に読むと:

$$AB + AC = A(B+C)$$

これが「共通因数 $A$ をくくり出す」操作の正体です。 各項から共通な部分 $A$ を見つけて外に出し、残りをカッコの中に入れます。

因数分解の第一歩は、必ず「共通因数はないか?」と自分に問いかけること。 これを忘れると、公式を使っても不完全な因数分解になります。

共通因数の見つけ方

共通因数を見つけるには、各項の係数の最大公約数文字部分の最低次数を調べます。

たとえば $6a^3b^2 - 9a^2b^3 + 12a^2b$ を因数分解してみましょう。

▷ 共通因数を見つけるステップ

Step 1:各項の係数を確認。$6, -9, 12$ の最大公約数は $3$。

Step 2:文字 $a$ の各項の次数は $3, 2, 2$。最低次数は $2$ なので $a^2$ が共通。

Step 3:文字 $b$ の各項の次数は $2, 3, 1$。最低次数は $1$ なので $b$ が共通。

結論:共通因数は $3a^2b$。

$$6a^3b^2 - 9a^2b^3 + 12a^2b = 3a^2b(2ab - 3b^2 + 4)$$

⚠️ 落とし穴:共通因数をくくり出し忘れて公式に進んでしまう

✕ 誤:$2x^2 + 4x + 2$ をいきなり公式で因数分解しようとする

○ 正:まず共通因数 $2$ をくくり出す。$2x^2 + 4x + 2 = 2(x^2 + 2x + 1) = 2(x+1)^2$

共通因数を先にくくり出すと、カッコ内の式が単純になり、公式が適用しやすくなります。 「因数分解はまず共通因数」を鉄則として身につけてください。

⚠️ 落とし穴:マイナスの共通因数を見落とす

✕ 誤:$-x^2 + 4x - 4$ を「共通因数なし」と判断してしまう

○ 正:$-1$ も共通因数になりえます。$-x^2 + 4x - 4 = -(x^2 - 4x + 4) = -(x-2)^2$

最高次の項の係数が負のとき、$-1$ をくくり出すと見通しがよくなることが多いです。 符号も「因数」の一部として意識しましょう。

3公式を利用した因数分解(2次式)

共通因数をくくり出した後、カッコ内の式をさらに因数分解するために使うのが因数分解の公式です。 これらはすべて、展開の公式を逆に読んだものです。

📐 因数分解の基本公式(2次式)

公式1(和の平方)

$$a^2 + 2ab + b^2 = (a+b)^2$$

公式2(差の平方)

$$a^2 - 2ab + b^2 = (a-b)^2$$

公式3(平方の差)

$$a^2 - b^2 = (a+b)(a-b)$$

公式4(和と積)

$$x^2 + (a+b)x + ab = (x+a)(x+b)$$

公式5(たすき掛け)

$$acx^2 + (ad+bc)x + bd = (ax+b)(cx+d)$$

※ 公式1〜4は中学で学んだものの復習。公式5は $x^2$ の係数が1でないときに使います。

公式1・2:完全平方式の因数分解

$a^2 + 2ab + b^2 = (a+b)^2$ と $a^2 - 2ab + b^2 = (a-b)^2$ は、 展開の公式 $(a \pm b)^2 = a^2 \pm 2ab + b^2$ の逆です。

この公式を使うポイントは、与えられた式が完全平方式(何かの2乗の形)になっているかを見抜くことです。 具体的には、$3$ つの項があるとき、「両端の2項がそれぞれ何かの2乗であり、真ん中の項がその2倍の積」になっていれば完全平方式です。

例:$x^2 + 6x + 9 = x^2 + 2 \cdot x \cdot 3 + 3^2 = (x+3)^2$

例:$4x^2 - 12xy + 9y^2 = (2x)^2 - 2 \cdot 2x \cdot 3y + (3y)^2 = (2x - 3y)^2$

公式3:平方の差

$a^2 - b^2 = (a+b)(a-b)$ は、2つの項がともに「何かの2乗」であり、それらが引き算で結ばれているときに使います。

例:$x^2 - 16 = x^2 - 4^2 = (x+4)(x-4)$

例:$9a^2 - 25b^2 = (3a)^2 - (5b)^2 = (3a+5b)(3a-5b)$

⚠️ 落とし穴:$a^2 + b^2$ は因数分解できない

✕ 誤:$x^2 + 9 = (x+3)(x-3)$ と因数分解する

○ 正:$x^2 + 9$ は有理数の範囲では因数分解できません。$(x+3)(x-3) = x^2 - 9$ であり、$x^2 + 9$ とは異なります。

引き算($a^2 - b^2$)なら因数分解できるが、足し算($a^2 + b^2$)はできない。 この違いを見落とすと、存在しない因数分解をでっちあげてしまいます。

公式4:$x^2 + (a+b)x + ab$ の因数分解

$x^2$ の係数が $1$ の2次式 $x^2 + px + q$ の因数分解では、 「足して $p$、掛けて $q$」になる2数 $a, b$ を見つけます。 見つかれば $x^2 + px + q = (x+a)(x+b)$ です。

例:$x^2 + 7x + 12$ を因数分解する。 足して $7$、掛けて $12$ になる2数 → $3$ と $4$。 よって $x^2 + 7x + 12 = (x+3)(x+4)$。

例:$x^2 - 5x + 6$ を因数分解する。 足して $-5$、掛けて $6$ になる2数 → $-2$ と $-3$。 よって $x^2 - 5x + 6 = (x-2)(x-3)$。

💡 ここが本質:「足して $p$、掛けて $q$」の背景

$(x+a)(x+b)$ を展開すると $x^2 + (a+b)x + ab$ です。 つまり、$x$ の係数は $a+b$(2数の和)、定数項は $ab$(2数の積)です。

因数分解ではこれを逆にたどります。 $x^2 + px + q$ が与えられたら、$a + b = p$ かつ $ab = q$ を満たす $a, b$ を見つければよい。

探し方のコツ:先に定数項 $q$ の約数の組み合わせを書き出し、 その中から和が $p$ になるペアを探します。 掛け算の組み合わせは有限個なので、すべて試せます。

公式5:たすき掛け

$x^2$ の係数が $1$ でない場合、たとえば $2x^2 + 7x + 3$ のような式の因数分解には たすき掛けを使います。

$acx^2 + (ad+bc)x + bd = (ax+b)(cx+d)$ という公式で、 $a, b, c, d$ の組み合わせを見つける方法です。

例:$2x^2 + 7x + 3$ を因数分解する。 $2x^2$ の係数の分解:$2 = 1 \times 2$。 定数項の分解:$3 = 1 \times 3$。 たすき掛けで $1 \times 3 + 2 \times 1 = 5$(不一致)、$1 \times 1 + 2 \times 3 = 7$(一致!)。 よって $2x^2 + 7x + 3 = (x + 3)(2x + 1)$。

📐 たすき掛けの手順

$Ax^2 + Bx + C$ を因数分解するとき:

1. $A = ac$ となる $(a, c)$ の組を列挙する

2. $C = bd$ となる $(b, d)$ の組を列挙する

3. $ad + bc = B$ を満たす組み合わせを探す

4. 見つかれば $(ax + b)(cx + d)$ が答え

※ 「たすき掛け」の名前は、$a$ と $d$、$b$ と $c$ を斜めに掛ける図式が「たすき(×印)」に見えることに由来します。
⚠️ 落とし穴:たすき掛けで符号を忘れる

✕ 誤:$6x^2 + x - 2$ で、$6 = 2 \times 3$、$2 = 1 \times 2$ として正の数だけで試す

○ 正:定数項がのとき、$b$ と $d$ の符号は異なります。 $-2 = 1 \times (-2)$ または $(-1) \times 2$ のように、負の場合も含めて組み合わせを探す必要があります。

$6x^2 + x - 2$:$2 \times 2 + 3 \times (-1) = 1$(一致)。よって $(2x - 1)(3x + 2)$。

4因数分解の手順 ─ どの公式を使うかの判断法

因数分解の公式を個別に覚えても、実際の問題で「どの公式を使えばいいか」がわからなければ意味がありません。 ここでは、与えられた式を見て最適な公式を選ぶための判断フローチャートを整理します。

💡 ここが本質:因数分解の3ステップ

どんな式を因数分解するときも、以下の順番で考えます。

Step 1:共通因数をくくり出す(最優先。これが見つかれば必ず先にやる)

Step 2:項の数と形から公式を選ぶ

・2項 → 平方の差 $a^2 - b^2$、または3乗の公式を疑う

・3項 → 完全平方式か? → 「足して $p$、掛けて $q$」か? → たすき掛けか?

・4項以上 → 組み合わせの工夫(2項ずつまとめる)、最低次の文字で整理

Step 3:結果をさらに因数分解できないか確認する(因数分解は「できるだけ」分解する)

判断のフローチャート(2次式)

式の特徴使う公式確認ポイント
共通因数があるくくり出し必ず最初に実行。くくり出した後、カッコ内をさらに因数分解
$A^2 - B^2$ の形(2項)公式3各項が「何かの2乗」で引き算になっているか
$A^2 \pm 2AB + B^2$ の形(3項)公式1・2両端が2乗、真ん中が2倍の積か
$x^2 + px + q$($x^2$の係数が1)公式4足して $p$、掛けて $q$ の2数を探す
$ax^2 + bx + c$($a \neq 1$)公式5(たすき掛け)$a$ と $c$ の因数分解を列挙し、たすき掛けで確認

具体例で手順を確認する

$3x^2 - 12$ を因数分解してみましょう。

▷ 判断フローに沿った解法

Step 1:共通因数を確認。$3x^2$ と $-12$ に共通因数 $3$ がある。

$$3x^2 - 12 = 3(x^2 - 4)$$

Step 2:カッコ内 $x^2 - 4$ の形を見る。2項で、$x^2 - 2^2$ の形。平方の差(公式3)が使える。

$$3(x^2 - 4) = 3(x + 2)(x - 2)$$

Step 3:$(x+2)$ と $(x-2)$ はこれ以上因数分解できない。完了。

もし Step 1 の共通因数のくくり出しを忘れると、$3x^2 - 12$ に直接たすき掛けを適用しようとして 無駄に苦労することになります。「まず共通因数」を徹底してください。

さらに因数分解できないか必ず確認する

因数分解は、有理数の範囲でこれ以上分解できなくなるまで行います。 たとえば $x^4 - 16$ を因数分解するとき、次のようになります。

$x^4 - 16 = (x^2)^2 - 4^2 = (x^2 + 4)(x^2 - 4)$

ここで止めてしまう人がいますが、$x^2 - 4 = (x+2)(x-2)$ とさらに因数分解できます。 一方、$x^2 + 4$ は有理数の範囲では因数分解できません。

最終結果:$x^4 - 16 = (x^2 + 4)(x + 2)(x - 2)$

🔬 深掘り:「有理数の範囲で」という条件の意味

因数分解では通常「係数は有理数の範囲」という暗黙の約束があります。 この範囲では $x^2 + 1$ は因数分解できません。

しかし、数の範囲を広げると話が変わります。 複素数の範囲では $x^2 + 1 = (x + i)(x - i)$($i$ は虚数単位)と因数分解できます。 大学の代数学では、「どの数の範囲(体)で因数分解するか」が重要なテーマになります。

高校の問題で「実数の範囲で因数分解せよ」と指定されることがあります。 この場合、$x^2 - 2 = (x + \sqrt{2})(x - \sqrt{2})$ のように無理数の係数も許されます。 範囲の指定がなければ、有理数の範囲で答えてください。

5この章を俯瞰する

因数分解の基本パターンと判断手順を学びました。 ここで、因数分解が数学の他の分野とどのようにつながっているかを整理しましょう。

因数分解のパターン分類

パターン式の特徴使う公式
A:共通因数各項に共通な因数がある$MA + MB = M(A+B)$
B:完全平方$a^2 \pm 2ab + b^2$ の形$(a \pm b)^2$
C:平方の差$a^2 - b^2$ の形$(a+b)(a-b)$
D:和と積$x^2 + px + q$($x^2$ の係数が1)$(x+a)(x+b)$(足して $p$、掛けて $q$)
E:たすき掛け$ax^2 + bx + c$($a \neq 1$)$(ax+b)(cx+d)$
F:組合せA〜Eの複合・4項以上項のグルーピング、最低次の文字で整理

つながりマップ

  • ← 1-1 整式の加法・減法と乗法:展開の公式がそのまま因数分解の公式の源。展開を理解していれば、因数分解の公式を新たに覚える必要はない。
  • → 1-3 実数と平方根:「実数の範囲で因数分解せよ」という問題では、$\sqrt{}$ を含む因数分解が登場する。$x^2 - 3 = (x+\sqrt{3})(x-\sqrt{3})$ など。
  • → 2-3 2次方程式:2次方程式 $ax^2 + bx + c = 0$ の解法の基本が因数分解。「積 = 0 ならどちらかが 0」を利用して解く。
  • → 2-4 2次不等式:2次不等式を解くには、まず2次式を因数分解してグラフとの関係を読み取る。因数分解が不等式の出発点。
  • → 数学II 高次方程式:3次以上の方程式でも因数分解が解法の柱。因数定理と組み合わせて、高次式を低次式の積に分解する。

📋まとめ

  • 因数分解は展開の逆操作。展開の公式を「右から左」に読めば因数分解の公式になる
  • 因数分解の第一歩は共通因数のくくり出し。分配法則 $AB + AC = A(B+C)$ の逆
  • 2次式の因数分解の基本公式:完全平方式($a^2 \pm 2ab + b^2$)、平方の差($a^2 - b^2$)、和と積(足して $p$、掛けて $q$)
  • $x^2$ の係数が1でないときはたすき掛けを使う。$ad + bc$ が $x$ の係数と一致する組を探す
  • 手順は「共通因数 → 公式選択 → さらに分解できないか確認」の3ステップ
  • $a^2 + b^2$ は有理数の範囲で因数分解できない。引き算($a^2 - b^2$)と足し算を混同しない

確認テスト

Q1. 因数分解と展開の関係を一言で説明してください。

▶ クリックして解答を表示因数分解は展開の逆操作。展開が「積の形 → 和の形」なら、因数分解は「和の形 → 積の形」。

Q2. $6x^3 - 18x^2 + 12x$ を因数分解してください。

▶ クリックして解答を表示共通因数 $6x$ をくくり出す。$6x(x^2 - 3x + 2) = 6x(x-1)(x-2)$。足して $-3$、掛けて $2$ の2数は $-1$ と $-2$。

Q3. $x^2 - 10x + 25$ を因数分解してください。

▶ クリックして解答を表示$x^2 - 2 \cdot x \cdot 5 + 5^2 = (x-5)^2$。完全平方式の公式を使う。

Q4. $x^2 + 4$ は有理数の範囲で因数分解できますか? 理由も述べてください。

▶ クリックして解答を表示因数分解できない。$a^2 - b^2$(平方の差)なら $(a+b)(a-b)$ と因数分解できるが、$a^2 + b^2$(平方の和)は有理数の範囲では因数分解の公式が存在しない。

Q5. $3x^2 + 10x + 3$ をたすき掛けで因数分解してください。

▶ クリックして解答を表示$3 = 1 \times 3$、$3 = 1 \times 3$。たすき掛けで $1 \times 3 + 3 \times 1 = 6$(不一致)、$1 \times 1 + 3 \times 3 = 10$(一致)。よって $(x + 3)(3x + 1)$。

8入試問題演習

この記事で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

1-4-1 A 基礎 公式利用 因数分解

次の式を因数分解せよ。

(1) $x^2 - 8x + 16$

(2) $4a^2 - 9b^2$

(3) $x^2 + 3x - 28$

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $(x - 4)^2$

(2) $(2a + 3b)(2a - 3b)$

(3) $(x + 7)(x - 4)$

解説

(1) 方針:$x^2 - 8x + 16 = x^2 - 2 \cdot x \cdot 4 + 4^2$。完全平方式(公式2)を使う。

$= (x - 4)^2$

(2) 方針:$4a^2 - 9b^2 = (2a)^2 - (3b)^2$。平方の差(公式3)を使う。

$= (2a + 3b)(2a - 3b)$

(3) 方針:$x^2$ の係数が $1$。足して $3$、掛けて $-28$ の2数を探す。$7 + (-4) = 3$、$7 \times (-4) = -28$。

$= (x + 7)(x - 4)$

1-4-2 A 基礎 共通因数 複合

次の式を因数分解せよ。

(1) $5x^2 - 20$

(2) $2x^2 + 12x + 18$

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $5(x + 2)(x - 2)$

(2) $2(x + 3)^2$

解説

(1) 方針:まず共通因数 $5$ をくくり出す。$5x^2 - 20 = 5(x^2 - 4)$。カッコ内は平方の差。

$= 5(x + 2)(x - 2)$

(2) 方針:まず共通因数 $2$ をくくり出す。$2x^2 + 12x + 18 = 2(x^2 + 6x + 9)$。カッコ内は完全平方式。

$= 2(x + 3)^2$

いずれも「まず共通因数をくくり出す」ことで、公式が適用しやすい形になります。

B 発展レベル

1-4-3 B 発展 たすき掛け 論述

次の式を因数分解せよ。

(1) $6x^2 + 7x - 3$

(2) $4x^2 - 12xy + 9y^2$

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $(2x + 3)(3x - 1)$

(2) $(2x - 3y)^2$

解説

(1) 方針:$x^2$ の係数が $6$、定数項が $-3$。たすき掛けを使う。

$6 = 2 \times 3$、$-3 = 3 \times (-1)$ とすると、たすき掛けで $2 \times (-1) + 3 \times 3 = -2 + 9 = 7$(一致)。

$= (2x + 3)(3x - 1)$

検算:$(2x+3)(3x-1) = 6x^2 - 2x + 9x - 3 = 6x^2 + 7x - 3$ ✓

(2) 方針:$4x^2 = (2x)^2$、$9y^2 = (3y)^2$、$12xy = 2 \cdot 2x \cdot 3y$。完全平方式。

$= (2x)^2 - 2 \cdot 2x \cdot 3y + (3y)^2 = (2x - 3y)^2$

採点ポイント
  • (1) たすき掛けの組み合わせが正しい(3点)
  • (1) 符号の処理が正確(2点)
  • (2) 完全平方式であることの判定(3点)
  • (2) 2変数の処理が正確(2点)
1-4-4 B 発展 複合 工夫

次の式を因数分解せよ。

(1) $x^2 - y^2 + x + y$

(2) $(x+y)^2 - 4(x+y) + 4$

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $(x + y)(x - y + 1)$

(2) $(x + y - 2)^2$

解説

(1) 方針:4項あるので、グルーピングを考える。$x^2 - y^2 = (x+y)(x-y)$ と因数分解でき、残りの $x + y$ と共通因数 $(x+y)$ を持つ。

$x^2 - y^2 + x + y = (x+y)(x-y) + (x+y)$

$= (x+y)\{(x-y) + 1\} = (x+y)(x - y + 1)$

(2) 方針:$x + y$ を1つのかたまり($A$ とおく)と見る。$A^2 - 4A + 4 = (A - 2)^2$。

$= (x + y - 2)^2$

※ おき換えを使わず直接 $(x+y)^2 - 2 \cdot (x+y) \cdot 2 + 2^2$ と見ても同じ結果になります。

採点ポイント
  • (1) $x^2 - y^2$ を先に因数分解する着眼(3点)
  • (1) 共通因数 $(x+y)$ でくくる(2点)
  • (2) $(x+y)$ をひとかたまりと見る発想(3点)
  • (2) 完全平方式の適用と元に戻す作業(2点)